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海岸
深い碧。夜の青と海の青が混ざり合い、月がその境界線を照らし出していた。
その碧は、遠く離れた星の海よりも深い。
音が聞こえる。
大地を眠りへと誘う子守歌が。人が生まれる遙か前から聞こえるあの音が。
海の匂いがする。
いつぶりだろう。この匂いを嗅いだのは。長い、永遠のような時が経っていた。
少しだけ冷たい風が私の頬を撫で、髪が揺られ、肌をなぞった。
靴の中の小石が、私に痛みを教えてくれていた。
座っている石の台は、日が三度沈む前に降った雨で濡れている。
私は水滴を指ですくい、そっと空にかざした。
月と星の光が水を照らし、輝かせている。
指紋の陰影が、輝く液でつながれている。
急に強くなった海風が、水を攫っていった。
草木や、岩の輪郭が白くぼやけている。海もそうだ。
きっと私も、この柔らかな光に抱かれ、ぼんやりとかすれていく。
私は顔を上げて、星を見た後、やっぱり嫌になって、また海を見た。
この深い碧の中でそっと目をつむり、私は眠りに落ちた。




