番外編 トウカの旅立ち
エピソードゼロ!
「おじいちゃん......さようなら。」
墓の前でトウカが別れを告げる。
昨日の夜、彼女の祖父は森の奥で巨大な亀に襲われたと、祖父と共に森を歩いた商人が言う。
他の家族はトウカが小さなときに彼女を置いて何処かへ行ってしまったと、何年か前に祖父から聞かされた。
「独りぼっちだね。」
墓前を去りながら呟く。
「時が来たようですね。」
何処からか声が聞こえる。
「え?誰?」
声が聞こえたのは、トウカの内側からだった。
「私は白龍。貴方と共に世界を救う者。」
「世界を救うって、突然なに!?なんか人違いとかじゃないの?」
トウカが声をあげると同時に目の前に大きな亀が現れた。
赤みがかった大きな甲羅に首の模様や傷の位置、祖父を襲ったと言う亀と同じ特徴があった。
「お参りなんて、そんな無意味な事を。そんな事をしてもおじいちゃんは生き返りませんよ。」
亀がトウカをバカにするように話す。
「私はロードン十七柱十五番、無意味の邪神フンゾリガメ!あのうるさい男は貴方のおじいちゃんだったんですねぇ。叫び声が鬱陶しかったで二度と喋らないように黙らせてやりました。」
今の言葉から、コイツがおじいちゃんを殺した犯人だ、とトウカは確信した。
「貴方、最低ね。」
トウカが冷たい表情で亀を見る。
「フフフ、いい顔をするではないですか。美味そうだったものでね、つい貴方のおじいちゃんを食べてしまいました。そして貴方も今から。」
ゆっくりと迫りくる亀
「トウカ、聞こえてる?」
白龍がトウカに声をかける。
「え?うん、聞こえてるよ。」
「奴は古の邪神、貴方が倒すべき敵。貴方は今、私、白龍の力を使える様になっているはず。掌をあいつに向けて空色の風と叫んでみて。」
「白龍の力!?うーん、何かよくわからないけどやってみる。空色の風!いっけー!」
トウカの掌から、かまいたちのような風の塊が飛び出す。
風の塊が亀の甲羅を破壊する。
「うおおおおおおお!何という事を!何という事を!」
亀は激昂する。
「おいでなさい!十七番、テレンス•テレーヌ!」
そう亀が叫ぶと実態の白い湯気の塊のような亡霊が現れる。
「仲間を呼んだのね。まとめて倒してあげる!」
テレンスの突進攻撃を避けながら亀への攻撃を続けるトウカ。
攻撃を続けていると亀の甲羅が完全に粉砕され、そのまま亀は地べたにはいつくばり騒ぐ。
「助けて!助けて!」
「嫌だよ。」
命乞いをするフンゾリガメにトウカは冷たい眼差しを向けながらトドメをさす。
「私の存在も、また無意味。」
フンゾリガメはそう言い、灰になって消えてしまった。
「うーっうーっ。」
亡霊の邪神テレーヌはそのまま逃げてしまおうと考えた。が、もう手遅れである。
夜があけると日の光が入り込み、それにあたったテレーヌも灰になって消えてしまった。
「やった!勝ったよ!」
二体の邪神を倒し、喜ぶトウカ。
「おめでとう。では次は仲間に合うため、神龍の地ビワコスクランブルにやってくるに行きなさい。」
勝利を手に来たトウカを祝福する神龍
「分かった!今から準備をしてくる!」
こうして、もう一人の主人公 トウカの旅が始まったのだ。
この後ビワコスクランブルでホムラに出会う。