第21話 この世界の真実
そして、全てが明かされる。
鍵が放った光に包まれた二人。
どこからか声が聞こえてくる。
「私は金色の瞳。ホムラ=クリムガル、トウカ=ヤブサメ、今から貴方達にこの世界の真実とここまでの戦いの、本当の意味を教えます。」
「本当の意味?」
「一体どういう事?」
二人が金色の瞳を、名乗る者に問う。
「これから私が映す光景を見れば理解できるはずです。これは五十ニ億年前、過去の世界での出来事です。」
二人の前に景色が広がる。
「ロードン様!ロードン様!敵襲でございます。」
ここは王宮だろうか。
玉座に座っている、深い黒色をした髪をし角を二本生やした、ロードンと呼ばれている男が深緑色の角が生えた配下らしき者から報告を受けている。
「敵の数は数万にも及びます。」
「下らん。」
配下に対しそう言葉を放ち、ゆっくりと歩き外へと出るロードン。
王宮の上から平野を眺めると、伝達の通り数万もの人間たちが武器を持ちこちらへと向かってくる。
「本当に下らん。」
ロードンが爪を鳴らす。
そうすると人間たちの身体は燃え盛り、一瞬にして灰と化す。
「下らん、そしてつまらん。私を楽しませる事が出来る者は、もうおらぬのか。」
再び玉座に座るロードン
「ロードン様、貴方はすでにこの世界を統治している二十三の神と六の龍、全てを倒してしまったでは無いですか。」
配下が話す。
「そうか、強き者は皆、私が滅ぼしてしまったのだったな。」
一億年程の前の事を思い出し、落胆する。
「そうだ、カトロンよ!良い事を思いついたわ!」
ロードンは先程まで話していた配下、カトロンの方を見て、笑いながら話す。
「私にかなう者がいないなら、作れば良いのだ。」
「完成したぞ!!」
この世界は、二十三体の神と六体の龍が統治していた。
しかし、ある日産み落とされた悪魔の子、ロードンによってそれら全てが滅ぼされた。
そして今、ロードンが滅ぼした神のうちの七体と龍六体の魂を融合させる事に成功し、そこから2頭の生物が生まれた。
ロードンはそれを【神龍】と名付けた。
さらに、残された十六の神の魂、そして最も忠実な下僕であったカトロンに、新たなる肉体と自らの力を分け与え、それを【邪神】と名付けた。
「この神龍たちは十二億年後に私と同等の強さになるであろう。私はそれまで老いぬよう自らを封印する。」
「自らを......封印......」
「カトロンよ、お前はこの十六の邪神をつれて私と共に自らを封印するのだ。そして私より少し先に目覚め、神龍たちの前に立ちはだかるのだ。」
「それは、何故でしょうか?」
カトロンが、不思議そうに問う。
「戦闘本能、能力を呼び覚ます為だ。十二億年後、神龍たちが戦うことを忘れておるかも知れぬ。それを私が復活する前に、思いださせるのだ。」
「なるほど、畏まりました。」
「目の前に驚異が現れれば、それを消し去る為にさらなる力を求める。神龍たちがそうする様に仕向けるのだ。」
「そうだ、この神龍達に名前をつけよう。私の名の一部を、それぞれに与えよう。ホムラとトウカだ。」
ロードン=ホムラトウカ、それがロードンの名であった。
神龍たちは時が流れると、それに合わせて姿を変えていった。魚や巨人、あらゆる姿に変わっていき、最終的に人間の姿になったのだ。
その内に、過去の記憶をも無くしていった。
再び光が包み込む。
「嘘だ......それじゃあ僕たちは......」
「ロードンと戦う為に作られた存在だったって事!?」
衝撃の事実に驚愕する二人。
最初は偽りでは無いかと疑ったが、自然と過去の記憶を取り戻していき、全て真実である事を思い知らされた。
二人を包み込む光が消えていく。
光が完全に消えた。
前を見ると十二億年の眠りから覚めたロードンが笑顔で立っていた。
「さあ、始めようか。」
最後の戦いが、始まる。