第20話 最後の邪神、最後の神龍器
最終章開幕。
ホムラたちは最後の神龍器【真実の鍵】は、ロードン十七柱一番、虚の邪神カトロンが持っていると言う事をピンクドアから教えてもらった。
しかしカトロンは、まだ封印から開放されていないようだ。
「カトロンが出てくるまでは、ゆっくり休もうか。」
ホムラがトウカとビビアンに提案する。
「さんせーい!」
「ウチも賛成だね。」
二人とも提案を受け入れ、皆で休憩する事になった。
三人で仰向けになり、悪夢の都の空を見る。
「悪夢の都は不気味な場所なのに、空は綺麗だし、星も輝いてるね。」
空の星を見渡しながら、ホムラが話す。
「きっとね、こう言う場所にいるからこそ、空が綺麗に見えるんだと思う。」
一緒に夜空を見上げながら、トウカが語る。
「私この冒険を通してね、分かったの。必死になればなるほど、その先に見える物が輝いて見えるって。」
「え?」
「戦いを続けるにつれて、その戦いはどれだけの人を救っていてどれだけ私達の未来を変えてくれるんだろうってね。」
トウカは立ち上がり、話を続ける。
「私この冒険が終わったら、改めて旅をしようと思うの。今度は邪神を倒すためでは無くて、平和になった世界を、見て回るために。」
「だったらウチも、それについて行こうかな。」
ビビアンも立ち上がり、トウカの方を見つめながら話す。
「トウカちゃんとホムラくんについて行ったウチの選択が、どんな結果を招いたのか知りたいんだ。」
「ぼ......僕もついていきたいなー。なんて。」
二人に続いてホムラも立ち上がる。
「アハハw戦いが終わっても、結局皆一緒じゃん!」
二人の言葉を聞いて笑顔になるトウカ。
星空の下、三人は笑い合う。
次の日 遂に決戦の幕が開く。
悪夢の都 マァマムーズカシィの中心部にて最後の邪神、カトロンが、目覚める!
「やあ諸君、良くぞここまで辿り着いた。俺はロードン十七柱一番、虚の邪神カトロン。さあ、最終審査と行こうか!神龍の戦士たちよ!」
カトロンは人間に深緑の角が生えた様な姿をしている。
彼は両腕を広げ、闇を纏う。
「最終審査?どういう事だ!?」
カトロンの発した言葉に、疑問を抱くホムラ。
「この戦いの後に分かるさ。さあ行くぞ。」
そう答えた後、こちらへと緑色の炎を放つ。
ホムラもそれを相殺するように蒼い炎を放つ。
トウカも合わせて空色の風を打ち込む。
二人の攻撃は緑色の炎を少しずつ押し返していく。
「おぉ......これは良い!素晴らしいでは無いか!」
そう言うとカトロンは炎を放つのをやめ、高速で遠くへと逃げて行く。
「トウカ、追いかけよう!」
「うん!」
トウカとホムラは手を繋ぎ共に黒い翼を広げカトロンが逃げた先へと飛んでいく。
それを見ていたビビアンは自分のスピードでは彼らには追いつけ無いと、すぐに理解した。
「あー、こりゃウチはついて行けないや。」
一瞬にしてカトロンの目の前へと辿り着く二人。
「おやおや、これは想像以上の成果だ。」
カトロンは感心したようにそう呟く。
「トウカ、行くよ!」
「分かった!せーのっ!」
二人はそのまま手をつないだ状態で銀色の爪を思いっきり打ち込む。
カトロンの周囲を無数の刃が囲う!
「なるほど完璧だ、これでロードン様もお喜びになられる。」
そのまま刃はカトロンに襲いかかるが、彼は抵抗もせずに笑っている。
数え切れぬ程の刃が突き刺さり、倒れる。
「合格です。さあ、これを受け取りなさい。そして、全てを知った上でロードン様と戦うのです。」
カトロンが最後の神龍器【真実の鍵】をホムラに渡し、満足そうな表情で灰になり消えていく。
「これが最後の神龍器......」
「さあ、早速加護の儀式を始めよっか!」
鍵を見つめるホムラに、トウカが話しかける。
二人が儀式を始めようとすると突然鍵が光を放つ。
光はどんどん大きくなり、二人を覆う。
次回、二人は、この戦いの本当の意味を知る。