第18話 衝撃!労働者の邪神!
実は冒険を始めてから3日も経ってないと言う。
「ロウドウ......」
笑うホムラたちの後ろで倒れ、小さく萎んでいたダルセロスが何かを呟いている。
「労働者!!!!!!!!!!」
なんと、ダルセロスの体を突き破り、中から全身緑色の紳士服を着た男が飛び出してくる。
「え......何?」
「どういう事なの?」
衝撃を受けるホムラとトウカに、ビビアンが語りかける。
「あれが本物のダルセロス。ウチがここに来る前に多分紫色で凄く大きい邪神を倒したでしょ?あれはダルセロスの手下である巨大化の邪神マッシュ。」
「おしい!」
本物のダルセロスらしき緑の男が声をあげる。
「ビビアンちゃーん!解説ありがとうねー。でもちょっとその説明、違うところがあるんだ。怠惰の邪神ダルセロスって言うのはマッシュの中に入って怠けているボクに対して他のやつが勝手につけた名前なんだよ。」
やれやれと言った表情をしながら話す。
「それと、マッシュはボクの手下じゃなくて友達だよ!ロードン十七柱七番、巨大化の邪神マッシュ•ローム。」
両手を前に出し指を7本たてる。
「そして、ボクの本当の名前は、ロードン十七柱四番、労働者の邪神アールゴージュ•キューゴダブル•ディーイチエイチ。」
「4......だって......そして名前が長い!」
ホムラたちは六番の邪神と五番の邪神に負けている。
それより上の邪神を前に怯むホムラ。しかし、その後神龍の加護を受けて凄まじい力を得ているということを思い出し、一歩踏み出す。
「おっと、その前にボクの名前はしっかりと覚えたかい?これから戦う相手の名前くらいしっかり覚えておいたほうがいいんじゃないかな?」
「え、何だ急に。」
ホムラは動揺する。
「大丈夫だよ!私、覚えたから!」
トウカがホムラの横に並んで話す。
「本当かい?なら言ってみてよ。」
トウカを挑発する労働者の邪神
「もー面倒くさいやつだなぁ、むー!。アールゴージュ•キューゴダブル•ディーイチエイチでしょ!ってウッ!」
「引っかかったね。」
「ロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウシャ!」
トウカが突然吠えだす。
「おいお前!トウカに何をしたんだ!」
「もう手遅れだから教えてあげるよ!君はもう引っかからないだろうしね。ボクの能力は自身の名前を誰かに言わせると、ソイツをボクの操り人形に出来るのさ!僕が消えるまで、永遠にね。」
ホムラはダルセロス、いやマッシュが意味不明な言葉を発していた事。労働者の邪神が別の名前で呼ばれていた事の意味を全て理解した。全てこの能力の為である事に!
「さぁ、遊戯を始めよう!」
「ロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウロウドウシャ!!」
労働者の邪神の掛け声と同時に、操り人形と化したトウカがホムラに飛びかかる!ビビアンが、トウカの腕を掴み動きを止める。
「ごめんねホムラくん。ウチもこの能力の事は知らなかったんだ。ウチがトウカちゃんを止めるから、ホムラくんは奴を!」
「うん分かった!」
ホムラは黒い翼で労働者の邪神の元へと飛ぶ。
「すごい、飛ぶスピードが全然違う!それに今まで必要だった掛け声も全くいらないみたいだ!これなら行ける!」
労働者の邪神に近寄りすぐさま蒼い炎の放つ。しかし避けられてしまい、少し掠っただけであった。
「危ない危ない、直撃してたら終わってたよ。」
ホムラが蒼い炎の威力が何千倍にもなっている事に気づいた。
「やっぱり、翼だけじゃない。全ての力が桁違いだ!」
「ここは一旦逃げよう。」
「そうはさせないよ。」
逃げようとする所を先回りする。
「いっけえええええええええええ!!!」
数万枚の蒼い炎を纏った銀色の爪の刃が労働者の邪神の四方八方を包囲する。
「なんだよ、こんなに強いなんて聞いてないよ。終わりみたいだね、おめでとう。君の勝ちだ。」
全ての刃が突き刺さり、労働者の邪神は一瞬にして消滅してしまう。
「すごい!すごいよこの力!」
「あれ?私、さっきまで何を......」
トウカが正気に戻る。
「良かった......トウカちゃん、もとに戻った。」
ビビアンは元に戻ったトウカを見て安心する。
「トウカ!大丈夫?」
ホムラがかけ寄り心配する。
「うん、なんともないよありがとうホムラ!ビビアンちゃんもありがとう!」
「よおーっし!それじゃあ、最後の神龍器の所へ行こう!」
人を操る能力って結構脅威だよね。