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神龍の血を持つ少年ホムラ  作者: えのしぃ
第3章 白龍の血を持つ少女
11/23

第11話 第ニの神龍器、加護の儀式

海で無限に呼吸したい。

 ブクブクブクブク

「ここは......海か。」

 目覚めたら、ホムラは海の中にいた。水中で呼吸と言葉を発する事が出来るのは蒼い炎を纏っているお陰だろう。直感的にそれを理解したので、驚かずに冷静にいられた。


「黒い翼よ!トウカのもとへ。」

「その必要は無い、彼女なら大丈夫だ、白龍もな。命を感じ取る事が出来る。そして、かなり心も落ち着いているようだからな、問題は無いだろう。」

「それは良かった。あ、でもどちらにしろこんな所にいても仕方が無いしトウカの元へ迎えばいいんじゃないか?」

 翼を出したまま神龍に問う。

「近くに、神龍器の気配がするのだ。辺りを散策すればすぐに見つかる距離にある。」

「え?飛ばされた場所に丁度、神龍器が?ラッキーだね。」

 もう二つ目の神龍器に到達するなんて幸先が良いと思いながら、周囲を見渡すホムラに何者かが声をかける。


「これが欲しいのぉ?」

「誰だ!?」

 声が聞こえた方向には、ホムラと同じくらいの大きさをした、フグからイカの触手が10本生えたような見た目をした、奇妙な生き物がいた。触手2本で青く光る宝石を持っている。

「ボクッチはロードン十七柱十二番、ゲソルブークさ!君の命と引き換えにこの神龍器【涙の石】あげよっかあ???」

 触手を持ち上げ、宝石を見せつける。

「意味の分からない取引だね!もちろんそんなのごめんだね。今から強引に奪い取るよ!蒼い炎よ!」

 ホムラが炎を放つ!海であろうと関係なく燃え盛り、ゲソルブークの体を焼き尽くす!

「あっついなあああああ!!丸焼きになっちゃうじゃないかあああ!死ぬ!一時退却だぁー!」

 ゲソルブークは神龍器の宝石を手放し、遠くへと泳いで逃げてしまった。


 ホムラはすぐに手放された宝石を回収した。

「あっけなかったな......まさかこんな簡単に敵を撃退して、こんなに都合よく2つ目の神龍器が手に入るなんて。これ、偽物とかじゃないよね?」

 キョトンとした顔で、手にした青く光る宝石の神龍器【涙の石】を見ながらつぶやく。

「疑うで無い、本物だ、白龍達の元に持っていって儀式を行おう。」 

「分かった!黒い翼よ、トウカ達の元へ......飛べ!」




 トウカと白龍は、ブラーパと戦ったビワコスクランブルの外れでホムラ達が帰ってくるのを待っていた。

 彼らが到着する。

「帰って来たよ!トウカ!」

「あー!ホムラおかえりー!おつかれー!」

「お土産に神龍器持ってきたよー。」

「えぇ!?うっそ!?もうニ個目手に入っちゃったの!?て言うか何この仕事帰りの夫とそれをいたわる妻みたいなノリみたいなの!ちょっとキュンとするー!」

 トウカが驚いたような表情でホムラが手に持っている涙の石を見ながら話す。

 夫婦と聞いて少しドキっとするホムラ。

「さ、さあ!ちょっと休んだら加護を受ける儀式を始めようか!」


「ねえ神龍!儀式って何をすればいいんだ?初めての儀式では巡礼者の方に全てを任せていたから何も分からないや。」

「なーに、儀式と言っても難しい事では無い。加護を頂けるよう祈れば良いだけだ。あそこの巡礼者達はお前たち龍の血を持つものに少しでも楽をさせようと、かわりに祈っていただけだ。」

「何かを念じているように見えたけど、あれは祈っていたんだね。ん?あれ?」

 ホムラが首をかしげる。

「本当に全部任せっきりだったから気にしなかったんだけど、ビワコスクランブルの神龍器ってどんなのだったっけ?」

「聖地そのものだって聞いたよ!」

 トウカが話に割り込む。

「私も気になったから巡礼者の方に聞いたんだけど。たくさんの人に崇拝された聖地、ビワコスクランブルそのものが神龍器としての役割を果たしているんだってー。」

「聖地自体が神龍器だったのか!この涙の石みたいな片手で運べるものから土地まで、色々なんだね。残り3つを見つけるのも楽しみだなー!」

「最後の神龍器は、私達の絆だった!みたいな感じかもねー。愛の力で世界を救う!なんちゃってー。」

「さっきから、夫婦だとか愛だとかおちょくらないでよー!」

ホムラの頬が赤くなる。


 涙の石を二人の目の前に置き、儀式を始める。

 目を閉じ、加護が貰えるよう強く願う。

 ビワコスクランブルの儀式が終わった後は、加護を授かったと確信出来る程に力が漲る感覚あった。その時のような感覚を抱いたら儀式は成功だろう。と二人は考えていた。


 儀式を始めてから10分が経過した。加護を少しずつ受けてはいるがまだ全然足りないと二人は感じていた。聖地では多くの巡礼者が補助してくれたお陰で直ぐに儀式が終わったのだと言うことを理解した。


 そしてさらに、1時間後......

「キタ!」

「私も!」

 力が漲る、加護を授かったと言う確信を得て二人は目を開けてお互いを見合う。

「成功だ。」

「うん、よく頑張ったわね。」

 神龍と白龍が儀式の結果をつげる。


「はあー!!疲れたー!!祈るだけって聞いたから楽だと思ったけど、こんなにも大変だったなんて。」

「ねー!あーもうお腹ペコペコ!何か食べに行こうよーホムラー。」

「そうだねトウカ。ビワコスクランブルの街に戻ってご飯にしようか!」


 第ニの神龍器【涙の石】の加護 享受完了。

次回、新章突入!

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