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時計と指輪  作者: 憂花
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#02

#02


「和泉は絶対雪乃のこと好きだよね」


「ご冗談を」




バイト終わり、明日が土日ということで同期の咲穂と華金を謳歌することにした。



「でも、雪乃には懐いてるじゃん」


「使われてるだけだもん」


「使えるって認められてるんでしょ?」


「都合いいだけじゃない?」



咲穂は興味津々といった様子で聞いてくるが、生憎私と和泉の間には何も無い。



「それに和泉、彼女いるじゃん」



そうなのだ。和泉には同じ大学の同学年で彼女がいる。もう付き合って2年経つだろうか。



「そうだけど…」


「それに私もだし」



私には2つ年上の彼氏がいる。

サークルの先輩で、気になるなぁと思っていたら、何回かデートに行き告白された。



「でも、周りから見たら、和泉と雪乃っていい感じなのかなって思うよ?」


「残念でした。

まぁ、お互い無いなって思ってるからこそ、安心する節はあるかもね」



お互いがお互いを恋愛対象に入っていない。単なる異性の友達と割り切れるからこそ、余計な疑いは無くサバサバと付き合える。

それは私にとって居心地がよいもので。その関係を壊すのは私には惜しい。



「そこでダブル浮気したら面白いのに」


「馬鹿なこと言わないでよ」



ふふふっと笑って、梅酒のソーダ割りを口に含む。



「でも、君ら本当に仕事できて人望あるって憧れられてるんだからね」


「それは幻想だって」



真面目にやってればこうなった。

私と和泉はたぶん、負けず嫌いで手を抜くのが嫌いなだけ。



「そういう咲穂は例の彼とはどうなのさ」


「えーーー…、うーん、まぁ、特に何も…」



話の矛先を変えることに成功した私は、梅酒のロックを追加オーダーした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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