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#15
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後から聞いた話。
和泉は彼女と上手くいってなかったらしい。
何となくやりたくなったとき、たまたまそこに私がいた、だけなのだろう。
きっと他の人でもよかったのだろう。
素面で抱けるほど、私のことを好きで抱いたのではないことはわかっていた。
指輪を外せないやつが、私に本気なわけがなかった。
「ごめんなさい」
「どうしたの急に」
「別れて欲しい」
あの夜からしばらくして、私は修斗と別れた。
結婚を意識した人だった。
生涯を共に過ごすのだろうと思ったりもしていた。
だからこそ、このままじゃ付き合えないと思った。
罪悪感がこうさせたのではない。
___私が他の人に愛されたいと思っているなんて。
修斗を和泉の代わり、にしてはいけないと思ったから。
「準備したけど、要らなくなっちゃったね」
修斗が用意していたペアリング。私たちの記念日にプレゼントしようとしていたらしい。
私はとことん、リングに苦しめられているのかもしれない。