#13
#13
少し肌寒くて目が覚めた。
軽い二日酔いに気持ち悪さを覚えながら記憶を辿り、ああついにやってしまったと目の前にいる和泉の顔を見る。
無防備に眠る様子はあどけなくて、つい口元がほころんだ。
これからどうするべきだろう?
私は修斗と別れるつもりはないし、和泉だって彼女と別れたりはしないだろう。
無かったことになる、その方がお互い都合がいい。
でも、
でも、無かったことにしたくないと、指先を伸ばして触れたくなった。
そのくせ、そう思う自分に気持ち悪いと思った。
たった1回の経験から始まる恋愛なんて嫌だと思ってたくせに、もしもの未来を期待した。
やっぱり寝なきゃ良かったと思う。
…知りたくなかった、こんな感情。
それも、私だけが感じているなんて。
愛されてみたいだなんて思いたくもなかった。
何も知らなかった私に戻りたい。
和泉はこんな風に朝を迎えるって知らなければ、きっとこの先も和泉の彼女の話を聞けたのに。
______ただの"欲"だったら良かったのに、まさか"情"があったとは。
これ以上、昨日の残り香が残る部屋にいるのは耐えられなくて、テーブルの上に諭吉を1枚置いて、ごめんなさいと書き残した。
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遅くなりました。お待たせしました。