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時計と指輪  作者: 憂花
12/17

#12

#12


1枚ずつ焦らすように剥がされて、私ばっかり焦ってる気がする。ベッドの上で脱がされながら、キスを交わし、どんどん押し倒されていく。和泉のペースが嫌で、インターバルを取るために距離を置こうとしたら、顔が近づいてくるからどうしようもない。



「あ、」



感じやすいとこ、触られて。

耳弱いのいつのまにかバレてて。

つーっと舐められたって気づく前に、抵抗できずに声が出る。



「可愛い」


「、思ってもないくせに」


「俺の下で組み敷かれてる姿がいいの」



ふざけんなって思ってるのに、どんどん身体に力が入らなくなる。

うるさいぐらいドキドキしてる自分に嫌気がさした。


この先を期待してる自分に。



あっというまにボタンをはずされて、薄暗い照明ですら恥ずかしい。この人の前で自分の素肌を晒すとは思いもしなかったから。

かろうじてまだ引っかかってるブラウスの前を閉じようとすると、頭上で両手首

を絡め取られる。



「良い眺め」


「変態、」



キッと睨むと苦笑いしてた。



「案外余裕なくて困ってる」



そんなまさかって思ったけど、ブブブっという鈍い音に意識がいく。

かすかなバイブ音と視界の端に画面の光った私のスマホ。



「彼氏?」


「どうだろう」


「見る?」



この状態で見ることなんてできないのに、わざとこの人は言っているのだろう。

悔しくなって、


「彼女からは何もないの」


カマかけたら


「どうかな」


一瞬だけ悲しそうな顔したのは何で?

部屋も暗くてちゃんと表情がわからない。

私は誰に抱かれようとしているのだろう?




深く考えようとしたけど、そこから先は記憶になかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

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