#12
#12
1枚ずつ焦らすように剥がされて、私ばっかり焦ってる気がする。ベッドの上で脱がされながら、キスを交わし、どんどん押し倒されていく。和泉のペースが嫌で、インターバルを取るために距離を置こうとしたら、顔が近づいてくるからどうしようもない。
「あ、」
感じやすいとこ、触られて。
耳弱いのいつのまにかバレてて。
つーっと舐められたって気づく前に、抵抗できずに声が出る。
「可愛い」
「、思ってもないくせに」
「俺の下で組み敷かれてる姿がいいの」
ふざけんなって思ってるのに、どんどん身体に力が入らなくなる。
うるさいぐらいドキドキしてる自分に嫌気がさした。
この先を期待してる自分に。
あっというまにボタンをはずされて、薄暗い照明ですら恥ずかしい。この人の前で自分の素肌を晒すとは思いもしなかったから。
かろうじてまだ引っかかってるブラウスの前を閉じようとすると、頭上で両手首
を絡め取られる。
「良い眺め」
「変態、」
キッと睨むと苦笑いしてた。
「案外余裕なくて困ってる」
そんなまさかって思ったけど、ブブブっという鈍い音に意識がいく。
かすかなバイブ音と視界の端に画面の光った私のスマホ。
「彼氏?」
「どうだろう」
「見る?」
この状態で見ることなんてできないのに、わざとこの人は言っているのだろう。
悔しくなって、
「彼女からは何もないの」
カマかけたら
「どうかな」
一瞬だけ悲しそうな顔したのは何で?
部屋も暗くてちゃんと表情がわからない。
私は誰に抱かれようとしているのだろう?
深く考えようとしたけど、そこから先は記憶になかった。
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