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ブラッド・チルドレン  作者: フミナベ
9/12

気分転換

柳水達から竜神際に招待されたエルク達は、水の国・アクアドリームを訪れた。


エルクとアリスは、雫から近いうちに同じ聖剣であるバダカルと争いが始まると伝えられる。

(みず)(くに)・アクアドリーム(こく)水鈴邸(すいりんてい)


朝日(あさひ)(のぼ)り、(ひかり)(まど)ガラスを(とお)()けてエルクの顔を()らした。


「う、う…ん」

()()ましたエルクは、()(こす)ろうとしたが右腕(みぎうで)にはアリス、左腕(ひだりうで)には(しずく)()きついており(うご)かせなかった。


(たたみ)(うえ)布団(ふとん)三枚(さんまい)()かれており、エルクが()ている中央(ちゅうおう)布団(ふとん)一枚(いちまい)三人(さんにん)(はい)っていた。


「な、(なん)で…こんな状況(じょうきょう)になっているんだ…」

戸惑(とまど)いながらも必死(ひっし)昨晩(さくばん)のことを(おも)()そうとするエルク。


((たし)か、あの(あと)風呂(ふろ)(はい)って、その(あと)、この部屋に案内(あんない)されて(おれ)別室(べっしつ)()るって()ったけど、アリスと(しずく)から、せっかく用意(ようい)して(もら)っているんだからと()われて()(なか)布団(ふとん)()ることになったんだった。だけど、何故(なぜ)(おれ)布団(ふとん)二人(ふたり)(はい)っているんだ?まぁ()いか。それにしても、二人(ふたり)(むね)予想(よそう)よりも(おお)きく(やわ)らかいな。って、しっかりしろ!(おれ)。そんな気持(きも)ちに(ひた)っている場合(ばあい)じゃない。(いま)は、二人(ふたり)()()ます(まえ)にこの状況(じょうきょう)(なん)とか脱出(だっしゅつ)しないと…。もし、この状況(じょうきょう)二人(ふたり)()()ましたら確実(かくじつ)(ころ)されてしまう…)

エルクは(あたま)左右(さゆう)()煩悩(ぼんのう)()(はら)うと同時(どうじ)にどうにか()()そうと(こころ)みるのだが、(うご)かす(たび)二人(ふたり)浴衣(ゆかた)ははだけていき、()きついているアリスと(しずく)(うで)(ちから)(つよ)まり()()すことはできなかった。


そうしているうちに、アリスと(しずく)()()ました。

「「うん…」」

アリスと(しずく)は、()(こす)りながら()ている浴衣(ゆかた)がはだけていることに気付(きづ)いておらず、そのままの状態(じょうたい)上半身(じょうはんしん)()こした。


((おれ)()んだ。間違(まちが)いなく()んだ)

エルクの(かお)(あお)()まった。


「お、おはよう。アリス、(しずく)

(かお)()()りながら挨拶(あいさつ)するエルク。


「ん~、おはようエルク」

「おはようございます、エルクさん」

アリスは(うで)()ばしながら挨拶(あいさつ)し、(しずく)笑顔(えがお)()かべて挨拶(あいさつ)した。


「こ、これは、その…」


「ま、間違(まちが)ってあなたの布団(ふとん)(はい)ったみたい…。だ、だから、()にしていないわ」


「そ、その(わたし)(あやま)って(はい)ったので…()にしていないです…」

アリスと(しずく)は、(ほお)(あか)()めながら(くる)(まぎ)れの()(わけ)をした。


「そ、そう…」

((たす)かったのか?)

二人(ふたり)予想外(よそうがい)反応(はんのう)戸惑(とまど)うエルク。


「だけど」

「ですけど」


「ん?」


「せ、責任(せきにん)()りなさいよ!」

「せ、責任(せきにん)()って(くだ)さい…」

アリスと(しずく)は、(かお)(あか)()めながら()()がりエルクを指差(ゆびさ)した。



(なん)責任(せきにん)()らないけどけど、1つ忠告(ちゅうこく)をして()いかな?」


(なに)よ?」


二人(ふたり)(とも)浴衣(ゆかた)がはだけて下着(したぎ)()えているよ。だから、浴衣(ゆかた)(なお)した(ほう)が…」


「「え?きゃ~」」

エルクの言葉(ことば)意味(いみ)理解(りかい)したアリスと(しずく)は、一瞬(いっしゅん)瞬間湯沸(しゅんかんゆわか)()(よう)(かお)一瞬(いっしゅん)()()()めながら同時(どうじ)無意識(むいしき)でビンタをした。


「ぐぁ」

甲高(かんだか)(おと)とエルクの(こえ)が、屋敷(やしき)(じゅう)(ひび)いた。




(みず)(くに)・アクアドリーム(こく)水鈴邸(すいりんてい)食堂(しょくどう)


エルクは、左右(さゆう)(ほお)(あか)紅葉(もみじ)みたいな()のひらの(あと)がついたまま食事(しょくじ)をしていた。


「そ、そのエルク。ごめんなさい」

「ごめんね、エルク(くん)


「もう()にしていないから」


「お食事(しょくじ)(ちゅう)失礼(しつれい)します。(しずく)(さま)、そろそろ竜神際(りゅうじんさい)のご準備(じゅんび)のご支度(したく)を…」


「わかりました。アリスちゃん、エルク(くん)(わたし)(まつり)準備(じゅんび)をするために(さき)()くけど、()にせずにゆっくりとして()ってね」


「ええ、そうさせて(もら)うわ。それに、今年(ことし)(まつり)満喫(まんきつ)するわ」


(しずく)頑張(がんば)れよ。今年(ことし)(かなら)ず、(しずく)(まい)()()くから」


「うん!絶対(ぜったい)だよ!約束(やくそく)だよ!」

(しずく)微笑(ほほえ)み、そして、仲居(なかい)さんと一緒(いっしょ)部屋(へや)から()()った。



その()、エルクとアリスは食事(しょくじ)()わった。


「ねぇ、エルク。この(あと)一緒(いっしょ)(まつり)()かない?」


「それは()いけど、(おれ)護衛役(ごえいやく)として()ているから、まずはジニール(さま)(たち)相談(そうだん)しないとね」


「そうよね…」

(今年(ことし)は、お(そろ)いの着物(きもの)()二人(ふたり)だけで(まわ)りたかったのだけど…)

(おち)()むアリス。


そんな(とき)突然(とつぜん)(となり)(ふすま)(ひら)き、ジニール、アリーナ、ベルの三人(さんにん)がいた。


「それなら、大丈夫(だいじょうぶ)よ。ねぇ、あなた」


「そうだぞ、(わたし)とアリーナにはベルがいるからな。それに、柳水(りゅうすい)殿(どの)が、この(くに)騎士団(きしだん)派遣(はけん)してくれいるのだ。だから、私達(わたしたち)のことは心配(しんぱい)せずに、二人(ふたり)(まつり)(たの)しんでくれば()い」


(わたし)にお(まか)(くだ)さい、アリス(さま)

ベルは、会釈(えしゃく)する。


「ありがとう。じゃあ、エルク。1時間後(じかんご)水鈴邸(すいりんてい)玄関(げんかん)で。ちゃんと、()った着物(きもの)()てきなさいよ」


「わかったよ、アリス」


「わかれば、よし!では、お(さき)失礼(しつれい)します。お父様(とうさま)、お母様(かあさま)

アリスは、両親(りょうしん)会釈(えしゃく)して(うれ)しそうな表情(ひょうじょう)()かべて部屋(へや)から()()った。


「どうした?エルク。(なに)私達(わたしたち)(よう)でもあるのか?」


「はい、モラビニス(こく)とのことで」


(なん)だ?」


「ジニール(さま)(たち)は、アリスを()れてご帰還(きかん)して(いただ)きたいのです。アクアドリーム(こく)助力(じょりょく)(わたし)一人(ひとり)だけで…」


「それには、(わけ)はあるのだな?」


「はい、まだライティア(こく)は、何者(なにもの)かに(ねら)われている可能性(かのうせい)非常(ひじょう)(たか)く、出国(しゅつこく)する(まえ)(ちか)くに(ひそ)んでいるのか周囲(しゅうい)徹底的(てっていてき)捜査(そうさ)しましたので、流石(さすが)三日(みっか)ではライティア(こく)に【ブラッド・チルドレン】の奇襲(きしゅう)はないと(ぞん)じますが、()()びると(はなし)(ちが)います。もし【ブラッド・チルドレン】が侵攻(しんこう)してきてもアリスがいれば阻止(そし)できると(おも)います。(ぎゃく)(もう)せば…」


(くに)(おち)ちると()いたいのだな?」


(もう)しにくいのですが、その(とお)りです」


柳水殿(りゅうすい)


(わたし)は、それでも(かま)わない」


大変(たいへん)(もう)し訳ない」

ジニールとアリーナは、(あたま)()げた。


「ジニール(さま)、アリーナ(さま)(あたま)()げて(くだ)さい。(くに)のためです。仕方(しかた)ありません」

(きさき)瑞樹(みずき)は、(あわ)てて(こえ)()ける。


「かたじけない」



「ところで、(しずく)からバダカルが【ブラッド・チルドレン】を勧誘(かんゆう)したとお()きしたのですが、【ブラッド・チルドレン】の(だれ)なのでしょうか?」


「【ブラッド・チルドレン】7番隊(ばんたい)隊長(たいちょう)の【クレイジー・ピエロ】だ。我々(われわれ)より(くわ)しく()っているとは(おも)うが年齢問(ねんれいと)わず、命乞(いのちご)いをする者達(ものたち)(わら)いながら平気(へいき)(ころ)す。思考(しこう)行動(こうどう)もイカれている少女(しょうじょ)だ」


「よりによって、あの痴女(ちじょ)か…」


「ん?痴女(ちじょ)だと?」


()にしないで(くだ)さい。こちらの(はなし)です。あと最後(さいご)に、大変(たいへん)(もう)しにくいのですが…」


「お(まえ)封印(ふういん)のことだな?」


「はい」


「あなた」


「わかっておる。(わたし)は、(けっ)してエルクを(うたが)っておらん。それどころか、(むしろ)(こころ)から信頼(しんらい)しているほどだ。だが、(ほか)者達(ものたち)(おも)いもある。そこで、条件(じょうけん)を2つ()す。まず1つは、封印解除(ふういんかいじょ)私達(わたしたち)帰国(きこく)する(さい)(おこな)う。そして、最後(さいご)の1つはアリスの封印解除(ふういんかいじょ)私達(わたしたち)所持(しょじ)している制約(せいやく)封印解除(ふういんかいじょ)片方(かたほう)だけだ。すまないが、完全(かんぜん)封印解除(ふういんかいじょ)できない」


「わかりました。片方(かたほう)だけでも感謝(かんしゃ)しております。では…」




水鈴邸(すいりんてい)玄関(げんかん)


(完全(かんぜん)封印解除(ふういんかいじょ)しないままで、あいつに()てるのか…。)


「お()たせ、エルク」


(いや、それ以前(いぜん)完全(かんぜん)封印解除(ふういんかいじょ)しても身体(しんたい)反応(はんのう)戦闘(せんとう)(かん)(にぶ)っている(いま)のままでは微妙(びみょう)かもしれない…)


「エルク?」


(いや、(なに)弱気(よわき)になっているんだ。()てるか、どうかじゃない。やるしかないんだ)


「ねぇ!エルクってば!」

アリスは、両手(りょうて)でエルクの(ほお)()まんで()()った。


()だだ…。(なに)すんだ?アリス」


(はな)()けても、気付(きづ)いてくれなかったじゃない。そんな深刻(しんこく)表情(ひょうじょう)して(なに)(かんが)えていたの?」


「ごめん、去年(きょねん)竜神際(りゅうじんさい)(おも)()していたんだ」


(うそ)、だって、(おも)()すだけなら、あんなに(けわ)しい表情(ひょうじょう)しないもの。大方(おおかた)、バダカルのことを(かんが)えていたのでしょう?」


「アハハ…。バレていたか。アリスには(かく)(ごと)はできないな」


「エルク、あなた一人(ひとり)じゃないわよ。(わたし)(しずく)一緒(いっしょ)協力(きょうりょく)して(たたか)うのよ。だから、心配(しんぱい)ないわ。大丈夫(だいじょうぶ)()まっているわよ。それに、そんな深刻(しんこく)表情(ひょうじょう)でいたら(しずく)心配(しんぱい)するでしょう?」


「それもそうだな」


「わかれば()し!じゃあ、気分転換(きぶんてんかん)()ねて、(はや)(まつり)()くわよ!エルク」

アリスは、エルクの()()って()()りながら()()いて微笑(ほほえ)んだままウィンクした。


「あ、ああ…」

エルクはアリスの笑顔(えがお)()とれて反応(はんのう)(おく)れ、そのままアリスに()()られて一緒(いっしょ)(まつり)()かった。


次回、竜神際です。


もし、宜しければ次回もご覧下さい。

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