【白き死神の白夜叉】と【ゴーレム・マスター】
奇襲してきた【ブラッド・チルドレン】の【ゴーレム・マスター】の異名を持つ9番隊隊長のゴンザレスとその部下達。
エルクは、同じ学園の生徒を守ったが、生徒を庇って右腕を怪我した。
一方、アリスはゴンザレスと交戦するが、近くに教師や生徒がいるため、切り札である【テンペスト】が使えず、仕方ないので、まだ未完成のエルクから教わった【風華旋】を使うが、ギリギリのところで、ゴンザレスに届かずに失敗に終わり、残りの力も僅かに陥り、ゴーレムと一体化したゴンザレスの巨大な拳が迫る絶体絶命のピンチにエルクが到着した。
エルクは、アリスに口づけをして封印を解いてデス・サイズで、ゴーレムと一体化したゴンザレスの巨大な拳と体を真っ二つした。
【ライティア国・ライティア学院・グランド】
エルクを囲っている【ブラッド・チルドレン】9番隊のゴンザレスが率いる部下達とゴンザレスが召喚したゴーレム3体が、一斉にエルクに襲い掛かる。
「月華聖天流奥義、三日月」
「エルク!だめ!」
エルクは大鎌を横に凪ぎはらう様に振るい、大鎌から三日月の形をした巨大な光の斬撃を放つと同時にアリスの制止の声が聞こえた。
「「アース・ウォール」」
エルクの正面にいる【ブラッド・チルドレン】達は回避が間に合わないと判断し、土壁を作り出して防ごうとする者やゴーレムの後ろに避難する。
しかし、光の斬撃は土壁やゴーレムを軽々(かるがる)と切断して【ブラッド・チルドレン】達を切り裂いた。
光の斬撃の威力は衰えることなく、そのまま突き進み学院の建物の端も切断してしまい、切断された部分が大きな音を立てながら崩壊した。
「あれ…?手加減したのに…」
エルクは、破壊してしまった建物を呆然と見て呟いた。
「ここは、俺一人で十分だからアリスは先生達を頼んだ」
「わかったわ」
アリスは頷いて教師達のもとへと向かった。
エルクは、アリスの姿が見えなくなるまで見送り、未だに驚愕して呆然と立ち尽くしている【ブラッド・チルドレン】に振り返る。
「さて、じゃあ、久しぶりに能力を解放したし、準備運動と行くか」
大鎌を握っているエルクの聖霊力と気配が消えたと同時に素早く動いて正面にいる【ブラッド・チルドレン】の背後に回った。
「「なっ!?」」
ゴンザレス達は、驚愕した声をあげた。
「まずは、一人目だ」
「ぐぁ」
素早く【ブラッド・チルドレン】の背後に回ったエルクは、元とはいえ仲間が相手でも容赦なく大鎌を振り下ろして【ブラッド・チルドレン】の背中を斬って倒した。
「次だ!」
【ブラッド・チルドレン】を倒したエルクは、すぐに動いて左側にいる【ブラッド・チルドレン】に向かって走り出す。
そして、エルクは流れる動作で、反応が出来ていない【ブラッド・チルドレン】を次々(つぎつぎ)に倒していく。
仲間達が倒される光景を呆然と立ち尽くして見ていたゴンザレスは我に返り、歯を食い縛りながら拳に力を入れて握り締める。
「はぁぁぁ」
ゴンザレスは、大剣を掲げて聖霊力を高める。
ゴンザレスの周囲の大地に亀裂が入り、上空に舞い上がり、エルクの頭上に広いグランドの半面ぐらいの大きさの巨大な岩の塊が出来上がった。
膨大な聖霊力を感知したエルクは、【ブラッド・チルドレン】を倒しながら頭上を見上げた。
「お前達、退け!メテオ・ストライク」
ゴンザレスは、掲げていた大剣を振り下ろすと共に巨大な岩の塊がエルクを押し潰す様に降下する。
【ブラッド・チルドレン】は、すぐにその場から退避した。
「月華聖天流奥義、三日月」
エルクは、その場から動かずに体を捻り、大鎌を横にふり払って大鎌から三日月の形をした白い光の閃光の斬撃を放った。
エルクが放った三日月の斬撃は、ゴンザレスが放った巨大な岩の塊を簡単に真っ二つに切断した。
真っ二つに切断されたゴンザレスの巨大な岩の塊は、グランドに落下して轟音と共に大地が揺れ、衝撃波と砂埃が舞った。
「やはり、これでも無理か。噂通りの馬鹿火力だな。それより、お前達。まずは、落ち着け!確かに、死神の動きは速いが、実際は俺達より少しだけ動きが速いだけだ。圧倒的に死神の動きが速く感じているのは、死神の聖霊力と気配が全く感じ取れず、不意をつかれているからだ。だが、俺達は死神に復讐するために対策と訓練をしてきただろ!」
「「ハッ!」」
ゴンザレスの話を聞いた【ブラッド・チルドレン】達は冷静なり、小さく頷いて行動に移った。
砂埃で視界が悪い中、エルクの背後から【ブラッド・チルドレン】達が襲い掛かる。
エルクに接近した【ブラッド・チルドレン】の一人は、剣を振り下ろす。
「おっと…」
聖霊力を感知したエルクは、体を横に傾けて【ブラッド・チルドレン】の攻撃を回避し、バックステップして距離を取ろうとするが、左右から【ブラッド・チルドレン】達が一定の距離を保ちながら張りつく様にエルクを追う。
エルクの左右に走っている【ブラッド・チルドレン】達が次々(つぎつぎ)にエルクに襲い掛かる。
エルクは左右に動いたり、体を傾けて攻撃を器用に躱したり、足で蹴り飛ばしたり、持っている大鎌の柄の部分で攻撃したりして倒す。
「チッ、人数が多いな」
エルクは、舌打ちする。
エルクが交戦している中、二人の【ブラッド・チルドレン】はジャンプして上空からエルクを襲い掛かる。
「くっ」
エルクは、両手で大鎌を持ち上げて攻撃を受け止めて押し返した。
しかし、【ブラッド・チルドレン】達は、再びエルクに襲い掛かる。
「やはりな、にらんだ通りだ。確かに、お前の大鎌は驚異的な破壊力があるが、その反面、その巨大過ぎる武器だと小回りが利かず、重量も重く動きにくく接近されたら何もできないだろ?様子見は、もう十分だな。アース・ストロング・アーマード」
勝ち誇った様に笑みを浮かべるゴンザレスは、大剣を掲げてアース・ストロング・アーマードを唱える。
ゴンザレスの鎧は、巨大な4本の腕がついた鎧に変化した。
「この鎧はゴーレムやガーディアンよりも硬く強固だ。接近して、すぐに終わらせてやる!」
ゴンザレスは、エルクに向かって走る。
「そういえば、お前達は知らないのか。なぜ俺が【白き死神】から【白き死神の白夜叉】と言われる様になったのかを」
「そんなこと知るか!」
エルクは大鎌を手放し、大鎌は光の粒子となって消えた。
「ん?観念したか?行け!お前達。終わらせろ!」
「「了解!」」
ゴンザレスの指示に従って、4人の【ブラッド・チルドレン】がエルクに飛び掛かる。
「この愚かな者達を断罪せよ!断罪の剣」
エルクは、左手を前に出すと真っ白の鞘におさまった刀が現れると共にローブ姿だったエルクの服装が真っ白で所々(ところどころ)に青色の刺繍が入った着物姿になり、瞳は金色から紅蓮色に変化した。
「「な、何だと!?」」
「そんな馬鹿なっ!」
エルクに襲い掛かった【ブラッド・チルドレン】達は、驚愕した。
「月華聖天流奥義、秘伝、夜桜」
エルクは、【ブラッド・チルドレン】達が驚愕している隙を見逃さずに目にも止まらない速さで居合い切りをする。
エルクの周囲にいた全ての者が、一瞬だったが辺りが闇に覆われ、その闇の中にエルクが照らされており、エルク側に桜の木が一本だけ生えていて、エルクの居合い切りと共に桜の花びらが舞う光景が見えた。
「「ぐあっ」」
エルクに飛び掛かった4人の【ブラッド・チルドレン】達は、胴体を斬られて激痛が走り悲鳴をあげて倒れた。
斬られた【ブラッド・チルドレン】4人の体から血が一滴も出ていなかったどころか、纏っている砂の鎧も傷一つなかった。
エルクの断罪の剣は、精神を直接に攻撃ができる能力を持っていた。
そのため、どんなに頑丈で強固な鎧でもエルクの断罪の剣の前では無意味なのだ。
「ど、どうなっている!普通は一人1つの能力しか所有できないはずだ。それなのに、何故お前は大鎌とその白い刀を召喚できるんだ!?」
目の前の信じられない出来事にゴンザレスは、取り乱す。
「わざわざ、親切に教えるわけがないだろ」
エルクは、ゴンザレスに向かって走り、目の前に立ちはだかる【ブラッド・チルドレン】達を斬り倒していく。
「あと残るは、お前だけだな。ゴンザレス」
「く、糞が!」
ゴンザレスは、叫びながら鎧の背中から生えた巨大な4本の腕を伸ばし、それぞれ拳を握り締めてエルクに連打する。
エルクは、ゴンザレスの拳を全て刀で弾いていくが、負傷しているエルクの右腕にゴンザレスの拳が掠り、エルクの右腕から血が飛び散った。
「どうだ!」
ゴンザレスは余裕がある様に振る舞ったつもりだったが、実際は頬を引きつった状態のままだった。
「たかが、この程度の掠り傷を負わせただけで、そんなに喜んでいるんだ?ゴンザレス。まさかとは思うが、これで終わりか?」
エルクは右手を口元の位置に挙げ、右腕から手の甲に滴れた血を舐める。
「くっ」
(どうする?今度は大剣の間合いまで接近して攻撃の手数を増やすか…。いや、それだと死神の間合いに近付き過ぎて反撃がくる)
ゴンザレスは、歯を食い縛り恐怖を押し止めながら必死に思考する。
「そろそろ決着をつけるか、ゴンザレス」
エルクは、刀の剣先をゴンザレスに向けた。
「糞、まだだ!」
ゴンザレスは、鎧に回していた聖霊力を全て握っている大剣に込める。
大剣は巨大化し、研ぎ澄まされた石包丁の様な漆黒の輝きを放つ。
「ウオォォ」
ゴンザレスは、力一杯に巨大化した大剣を振り下ろした。
「面白い!」
エルクは、不敵に笑いながら断罪の剣に聖霊力を込めると、断罪の剣は目が眩むほどに輝き放つ。
「ハッ!」
エルクは、刀を下から掬い上げる様に上に振り抜いた。
エルクの真っ白な刀とゴンザレスの漆黒の巨大な大剣が衝突する。
ゴンザレスの漆黒の巨大な大剣は、意図も容易く切断された。
「なっ、なんだと!?」
驚愕するゴンザレス。
一方、エルクはゴンザレスの大剣を切断した直後、すぐに高く真上にジャンプをする。
ショックから立ち直ったゴンザレスは、ずっと見ていた切断された自分の大剣から目を逸らしてエルクの方を見たが、そこにエルクの姿はなかった。
「ど、何処だ!?あいつは何処行った?」
ゴンザレスは焦りながら辺りを見渡すが、エルクの姿を見つけられない。
「ここだ、ゴンザレス」
「くっ」
上空からエルクの声が聞こえ、空を見上げたゴンザレスは、太陽の光で目が眩んで目を瞑った。
「月華聖天流奥義、鳴神」
エルクは降下しながら刀を上から振り下ろしてゴンザレスを斬った。
「ぐぁ」
斬られたゴンザレスは、全身に雷に打たれた様な激痛が走り、ふらつきながら意識が飛びそうになったが握っている大剣を地面に突き刺して凭れかかり、どうにか耐えた。
「うっ、ハァハァ…。やはり、【白き死神】だな。やはり、お前は、総隊長達と同じぐらいの実力があったか…。うっ…」
ゴンザレスは大剣に凭れかかった状態で、荒くなった呼吸を整えながらエルクを睨みつけるが、ゴンザレスの口元は笑っていた。
「エルク、こっちは片付いたわ。私も手伝うわ」
教師の援護に向かっていたアリスは、【ブラッド・チルドレン】達を気絶させて拘束も終わったのでエルクの援護しに来た。
「いや、こっちもすぐに終わる。それにしても、怪我して片手だったとはいえ、あの鳴神が直撃しても倒れずに意識を保っているとは驚きだな。だが、ゴンザレス。もう満足に動くことすらできないだろ?大人しく投降しないか?お前だけでなく、お前の部下達も死刑にはならない様に俺も国王に頼むから、どうだ?」
エルクは、刀を腰に掛けてある鞘におさめた。
「ハァハァ…。帝国軍だけでなく、同じ組織の奴らから冷徹で冷酷だと恐れられていた【白き死神】と言われたお前が、ハァハァ…。俺達の命を助けたいだと!?笑わせるな。どういう風の吹き回しだ。ぐっ…ハァハァ…。それに、まだ俺にも切り札はあるんだ」
「ま、まさか…。やめろ!ゴンザレス!」
「ハァハァ…。【白き死神】、お前達だけでなく、この国の大半を巻き込んでやるぞ。さらばだ【白き死神】。ラスト・レクイエム」
ゴンザレスはエルクの静止を振り切り、笑みを浮かべながらラスト・レクイエムを唱えた。
ラスト・レクイエムは、自分の身に宿している聖霊を解き放つ禁術だった。
ゴンザレスは、白目を向いて体全身の血管が浮き彫りなり、再び体全身に土がまとわりついて巨大なガーディアンの姿となったが、先ほどのガーディアンの姿とは違い、今回のガーディアンは更に倍ほど巨大で姿はドス黒い邪悪なオーラを放っていた。
ガーディアンの胸元の中央には、ゴンザレスが磔にされた格好で気を失っている。
「グォォォ!」
暴走したガーディアンは猛獣の様な獰猛な口を開き、醜悪な雄叫びをあげて衝撃波を放つ。
ガーディアンは、目につくものを手当たり次第破壊していく。
「大馬鹿野郎が!」
「エルク、あなたは休んでいなさい。あとのことは、私に任せて」
「ありがとう、アリス。気遣ってくれて。だけど、これは昔とはいえ同じ組織の者ととしてのケジメをつけたいんだ」
「そう、わかったわ…」
アリスは、エルクの代わりにゴンザレスにトドメを刺そうと伝えたが、エルクは断った。
「来い、デス・サイズ」
エルクは断罪の剣を解除し、再び大鎌を召喚して両手で大鎌を握り締める。
「月華聖天流奥義、三日…。アリス!」
「きゃっ」
エルクは、ガーディアンと一体化しているゴンザレスにトドメめを刺そうとした時、上空から膨大な聖霊力と気配を感じ取ったエルクは攻撃を中断してアリスに飛び付いた。
エルクとアリスがガーディアンの傍から離れた瞬間、上空から一本の金色の炎の矢が雲を突き抜けて物凄いスピードで降ってきた。
暴走したガーディアンも少し遅れて、上空から降ってくる金色の炎の矢に気付き、空を見上げた瞬間、金色の炎の矢がガーディアンの胸元の中央にいるゴンザレスの心臓を貫き、地面に縫い付けられる様にガーディアンが転倒した。
そして、ゴンザレスの胸に突き刺さった金色の炎の矢は目が眩むほどの激しい光を放った瞬間、雲を突き抜けるほどの巨大な炎柱が発生し、ゴンザレスだけでなく巨大なガーディアンを焼き尽くしていき、やがてガーディアンは灰に変わり跡形もなく消滅した。
金色の炎の矢と炎柱は、ゴンザレスが消滅したとほぼ同時に矢は金色の粒子になり霧散し、炎柱は終息した。
「アポロンか」
大鎌を解除したエルクは制服姿に戻っており、アリスに覆い被さっている状態で呟いた。
「あ、ありがとう、エルク。お蔭で助かったわ」
間近にエルクの顔があったアリスは、顔を真っ赤に染めながら視線を逸らしてお礼を言った。
「もう大丈夫だな」
アリスを抱き締めていたエルクは、アリスを放して立ち上がり、倒れているアリスに手を差し伸べた。
アリスは、エルクの手を取って立ち上がる。
「あの攻撃は、アポロンで間違いないな」
「ええ、そうね」
エルクとアリスは、ゴンザレスがいた場所を見る。
ゴンザレスがいた場所は、巨大なクレーターができており、大地が赤黒く焼き焦げ溶けていた。
「あそこにアイツがいるな。ゆっくりと降りてきている」
エルクは話ながら上空を見上げ、アリスもエルクが指をさした上空を見上げる。
上空から水着姿の赤髪ロングヘアーの二十歳ぐらいの女性が足元に炎を纏いながら、ゆっくりとエルクとアリスの傍に降りてきた。
「やっほ~!お久しぶりね、アリスちゃん。何年ぶりかな?」
女性は、笑顔を浮かべてアリスに手を振る。
「お久しぶりです、アスカ様。助けて頂き、ありがとうございます。あと、聖戦と謂われた日以来です」
「良いよ良いよ、気にしないで。そもそも、私は【ブラッド・チルドレン】のゴンザレスが此方に居るって情報が入ったから始末しにきたからね。それより、そっか~。アリスちゃんとは、そんなに会っていなかったんだね。見ないうちに大きくなって、ますます可愛くなったね。ん?その隣いる男の子、もしかして…」
エルクに気付いたアスカは、上半身を前に出す様に傾けて顔をエルクに近付けてよく見る。
アスカにエルクが【白き死神の白夜叉】とバレたら殺し合いが始まると悟ったアリスは慌てる。
「あ、あのですね!」
「は、はぁ~ん。さては、君はアリスちゃんのコレだったりする?」
アスカは、知っているかの様に自信満々(じしんまんまん)に右手の小指を立て不敵に笑みを浮かべる。
「やはり、そう見えます」
「おっ!」
エルクの言葉に目を輝かせるアスカ。
「ち、違います。エルクは私のボディガードです!勘違いしないで下さい、アスカ様。そ、それに、エルクも勝手なこと言わないで!」
「そっか~、外れたか~残ね~ん。でも、あながち間違っていないと思ったのにな」
笑顔を浮かべて自分の頭を触るアスカ。
アリスは、左手を自身の胸に当ててホッと胸を撫で下ろす。
「ところで、アスカ様」
「何?エルク君だっけ?」
「俺と結婚して下さい!」
エルクは、咄嗟にアスカに飛び付くが、アスカはひょいっと横に移動して避けた。
そのため、躱されたエルクはヘッドスライディングで地面を滑った。
「あ~、ごめんね、エルク君。気持ちは、とても嬉しいのだけど。私、弱い男性に興味がないのよね~。だから、私と結婚したいなら最低でも聖剣にならないとね。じゃあ、私、用事がまだあるから。あ、そうだった。アリスちゃん、今回みたいに【ブラッド・チルドレン】を見かけたら教えてね。特に私の妹の場所を知ったら絶対だからね」
笑顔だったアスカだったが、最後に殺気を醸し出していた。
「は、はい」
間近でアスカの殺気を受けたアリスは、緊張が走った。
「じゃあね、二人共。フレア・バースト」
アスカは笑顔を浮かべて手を振り、再び足元に炎を纏って飛び去った。
「へぇ~、意外だったな。あんな性格だったんだ。聖剣の四宝の一角、聖霊【サラマンダー】を宿している【炎帝のアスカ】。何度か戦ったことがあるけど、やはり、他の聖剣達とは別格だな」
エルクはアリスに振り返ると、アリスからとても危険な雰囲気が漂っていた。
「え!?あ、あのアリス、いえ、アリス様。どうかされましたか?」
「ところで、エルク」
アリスは笑顔を浮かべていたが目が笑っておらず、ドスの利いた声でエルクに話し掛ける。
「は、はい、何でしょうか?アリス様」
エルクは、緊張した面持ちで右手を自身のこめかみ当てて敬礼する。
「さっき、アスカ様に結婚して下さいって言っていたけど、本音なの?」
「も、もちろん、じょ、冗談です。あの場を和ますための冗談です。はい」
「ほ、ん、と、う、に?」
「え、えっと、しょ、正直に言いますと、半分は、そ、その、そのですね…。できたら良いな~と思っていました。すみません!本当にすみません!」
アリスのプレッシャーに耐えれなかったエルクは、潔く正直に認め、すぐに土下座して謝る。
その後、エルクの悲鳴はライティア国に響き渡った。
【ライティア国・バーミュル家・大広間】
バーミュル家では、パーティーをしていた。
「生まれ変わるライティア国に乾杯!」
「「乾杯~!」」
ライティア学院から追放されたバルサ、バスラ、ヤラダと、その親のラガイル、マラガ、ナイサルの6人は祝杯をあげる。
「これで、ライティア国は我々(われわれ)の物になるな」
バルサの父であるラガイル・バーミュルは、嬉しそうに話し掛ける。
その時、紅蓮色の炎の矢が6本が屋敷の壁を貫通して、それぞれの炎の矢はラガイル達6人全員の額に突き刺さり、ラガイル達は炎上して屋敷ごと燃え盛った。
屋敷の上空には、足元に炎を纏ったアスカが金色の炎の弓を持っており、矢を射った格好をしていた。
「これで、【ブラッド・チルドレン】の関係がある人物の処理が終わったわね。ふぁ~、つまらなかったわ」
アスカは、口元に手を当てて欠伸する。
その時、エルクの悲鳴が微かに聞こえた。
「ん?誰かの断末魔の声が聞こえたような気がするけど。この辺には、そんな人は見えないわね。きっと、遠く離れたこの国に休まずに飛んできたから、私、疲れているのね。速く帰って、寝ようかしら」
アスカは、物凄いスピードで空彼方へと飛んでいった。
次回、ライティア学園の話?
とりあえず、もし宜しければ、次回もご覧下さい。




