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ブラッド・チルドレン  作者: フミナベ
4/12

戦闘開始と目覚める死神

【ブラッド・チルドレン】9番隊、隊長ゴンザレスの率いる部隊の奇襲を受けたエルク達。


エルク達は学園から避難を開始するが、避難している時にエルク達の前にゴーレムが現れた。


ゴーレムを倒したエルク達だったが、生徒を庇ったエルクは右腕を負傷し、【ブラッド・チルドレン】に囲まれる。

【ライティア(こく)・ライティア学院(がくいん)・グランド】


(しろ)のローブを羽織(はお)り、その(した)には(すな)(よろい)(まと)った子供達(こどもたち)【ブラッド・チルドレン】9番隊(ばんたい)は、エルク(たち)包囲(ほうい)していた。


エルクとアリスは(おち)()いていたが、教師(きょうし)生徒達(せいと)不安(ふあん)表情(ひょうじょう)になり、(なか)には(おび)える(もの)もいた。



エルクは、周囲(しゅうい)(かの)っている【ブラッド・チルドレン】(たち)見渡(みわた)す。

「ざっと()(かん)じだと、およそ100(にん)ぐらいか…」

「ええ、そうね」

エルクの意見(いけん)賛同(さんどう)するアリス。


包囲(ほうい)している【ブラッド・チルドレン】の(なか)一人(ひとり)(まえ)()てきた。


(まえ)()(もの)からは、(まわ)りにいる【ブラッド・チルドレン】(たち)よりも段違(だんちが)いの威圧感(いあつかん)(かも)()しており、エルク(たち)は、ただ(もの)ではないと本能(ほんのう)理解(りかい)した。


そして、(まえ)()た【ブラッド・チルドレン】が右手(みぎて)()げて自身(じしん)のフードに()()れた(とき)右手(みぎて)(こう)にⅨの文字(もじ)刻印(こくいん)(いん)えた。


「やはり、ゴンザレスの部隊(ぶたい)だったか…」

見覚(みおぼ)えのある刻印(こくいん)にエルクは(つぶ)く。


エルクが()った(とお)り、フードを(はず)して素顔(すがお)()せたのは二十歳(はたち)ぐらいの青年(せいねん)【ブラッド・チルドレン】9番隊(ばんたい)隊長(たいちょう)のゴンザレスだった。


(ひさ)しいな、【疾風(しっぷう)のヴァルキュリア】」

ゴンザレスは、獰猛(どうもう)()みを()かべてアリスに(はな)()けた。


「ええ、そうね。こうして、あなたと直接(ちょくせつ)()うのは3(ねん)ぶりだったかしら?」

アリスは、不敵(ふてき)()みを()かべる。


「ああ、(いま)までお(まえ)(たお)しきれなかったが、今日(きょう)こそは(ひね)(つぶ)して、この因縁(いんねん)()()ってやる」


「それはどうかしら?残念(ざんねん)だけど、今回(こんかい)はあなたが()けるわよ」


「ほう、この状況(じょうきょう)でその自信(じしん)()ると(なに)(さく)でもあるみたいだな」


「え!?」

アリスは驚愕(きょうがく)した表情(ひょうじょう)でエルクを()る。


(ひさ)しぶりだな、ゴンザレス」

笑顔(えがお)()かべながらエルクは、ゴンザレスに(はな)()けた。


「お(まえ)(だれ)だ?聖剣(せいけん)でもない雑魚(ざこ)が、気安(きやす)(おれ)(はな)()けるな」

ゴンザレスは、(はじ)めは(いぶか)しげな表情(ひょうじょう)でエルクを()たが、(おも)()たる(ふし)がなく、殺気(さっき)(はな)ちながらエルクを(にら)みつける。


「え?(おれ)がわからないのか?」


「お(まえ)なんか()らんし、見覚(みおぼ)えもない。ゴーレムを(たお)したみたいだから、多少(たしょう)実力(じつりょく)がある(よう)だが精霊(せいれい)宿(やど)していない時点(じてん)精霊(せいれい)宿(やど)している(おれ)(てき)にすらならない」


「ちょっと、エルク。どういうことなの?(なん)で、ゴンザレスは貴方(あなた)のことを()らないのよ。(おな)組織(そしき)一員(いちいん)だったのでしょう?」

アリスは、エルクの(そで)()()って耳打(みみう)ちをする。


「あれ?おかしいな、そんなはずはないんだけど…。ん~…。あっ、そういえば隊長達(たいちょうたち)(あつ)まる大切(たいせつ)集会(しゅうかい)(とき)は、各隊長達(かくたいちょう)不意討(ふいう)ちされても大丈夫(じょうぶ)(よう)能力(のうりょく)完全解放(かんぜんかいほう)した状態(じょうたい)だったな。ほら、(おれ)(しろ)いローブでフードを(ふか)(かぶ)っていたから、ゴンザレス(たち)(おれ)素顔(すがお)()らないんだよ」


「なるほどね…って、そんなに危険(きけん)物騒(ぶっそう)組織(そしき)だったの?まぁ、反乱(はんらん)()こしている組織(そしき)だから物騒(ぶっそう)ではあるけど」


「いや、集会(しゅうかい)では、そんな物騒(ぶっそう)なことは1()()こらなかったよ。ただ、(おれ)長老達(うえ)命令(めいれい)で、裏切(うらぎ)(もの)組織(そしき)()ける(もの)重要(じゅうよう)任務(にんむ)簡単(かんたん)任務(にんむ)失敗(しっぱい)した(ひと)などを始末(しまつ)していたからね。それで、(みんな)(おれ)警戒(けいかい)していたし、集会(しゅうかい)以外(いがい)場所(ばしょ)では仲間(なかま)(ころ)された(うら)みとかで(おれ)闇討(やみう)ちをしたりする人達(ひとたち)がいたぐらいだよ。あははは…」


「それって、(わら)(ごと)()むことなの…」


「まぁ、闇討(やみう)ちされる(たび)(かえ)()ちにしていたけどね。勿論(もちろん)(ころ)してはいないよ。組織内(そしきない)では、仲間同士(なかまどうし)(ころ)()いは御法度(ごはっと)だったから、全治(ぜんち)3ヶ(かげつ)以上(いじょう)怪我(けが)(ゆる)してやっていたよ」


「そ、そう…。でも、ゴンザレスがエルクの素顔(すがお)()らなくって()かったわ」

(なん)とも()えない表情(ひょうじょう)返事(へんじ)をするアリス。


「ん?(なん)で?」


「だって、もしもここで貴方(あなた)正体(しょうたい)が【(しろ)死神(しにがみ)白夜叉(しろやしゃ)】だと(みんな)にバレることがあれば、学院(がくいん)どころかライティア(こく)から追放(ついほう)、もしかしたら処刑(しょけい)されるかもしれないもの」


「ああ、(たし)かに」

エルクは、苦笑(にがわら)いを()かべた。


「さっきから、(なに)をコソコソっと二人(ふたり)(はな)している」

不機嫌(ふきげん)表情(ひょうじょう)になるゴンザレスは、アリスとエルクを(にら)みつける。



「ところで、アリス。救援(きゅうえん)は、まだ()ないのか?」


「ゴンザレス(たち)は堂々(どうどう)と()たから、ベル(たち)気付(きづ)いているはずなんだけど。おそらく、そろそろ()るはずよ。そうしたら、形勢逆転(けいせいきゃくてん)するのだけど」


(おれ)は、(なん)だか(いや)予感(よかん)というか、胸騒(むなさわ)ぎがするんだよな」


「やめてよ、エルク。こんな(とき)縁起(えんぎ)(わる)いことを()わないで。たださえ、こういう(とき)のあなたの(かん)は、よく()たるんだから」


「ごめん、アリス」


「ううん、(べつ)()いわ。こっちこそ、その、ごめんねエルク」


「ん?ごめんって、(なに)が?」


私達(わたしたち)があなたの能力(ちから)(ふう)じたせいで、あなたに怪我(けが)をさせてしまった()()、こうして怪我(けが)をしているのに無理(むり)をさせてしまって…。ううん、それどころか(おな)組織(そしき)メンバーと(たたか)わせてしまうことになってしまって…」

(もう)(わけ)なさそうな面持(おもも)ちになるアリス。


(べつ)()にしないで()いよ、アリス。あの(とき)(おれ)生半可(なまはんか)覚悟(かくご)でアリスと契約(けいやく)なんてしてないから。勿論(むろん)、こんなこともあろうと(あらか)予測(よそく)していたからね」

エルクは苦笑(にがわら)いを()かべた。


「エルク…ありがとう」

(いま)まで(こころ)()さっていたトゲが()()ちて、(すく)われた(よう)(かん)じがしたアリスは、(うる)んだ(ひとみ)(ゆび)(ぬぐ)笑顔(えがお)()せる。


俺達(おれたち)は、アリス(さま)をお(まも)りするぞ!」

男子(だんし)体育(たいいく)教師(きょうし)のヤザンは(げき)()ばし、教師(きょうし)(たち)(ふる)()たせて士気(しき)(たか)める。


「「了解!(りょうかい)」」

教師達(きょうしたち)返事(へんじ)をすると(とも)に、それぞれ能力(ちから)使用(しよう)して武器(ぶき)召喚(しょうかん)する。


気持(きも)ちはとても(うれ)しいのですが、最前線(さいぜんせん)(わたし)とエルクに(まか)せて(もら)えませんか?その()わりと()っては(なん)ですが、先生達(せんせいたち)一旦(いったん)()がって(いただ)いて(ほか)生徒達(せいとたち)(まも)って()しいのですが」


「ですが、危険(きけん)です。ここは、私達(わたしたち)(ちから)()わせて…」

「わかりました。ですが、ご無礼(ぶれい)だと(ぞん)じますが、(わたし)と一つ約束(やくそく)して(くだ)さいませ。もしも、無理(むり)だと(おも)いましたら、私達(わたしたち)のことはお()にせず、アリス(さま)はご自分(じぶん)()安全(あんぜん)のことだけをお(かんが)え、お()(くだ)さい」

反対(はんたい)(こえ)をあげるヤザンだったが、サリサはヤザンの(はなし)中断(ちゅうだん)させるように(こえ)(かぶら)せてアリスに賛同(さんどう)する。


「サリサ先生(せんせい)(わたし)(みんな)見捨(みす)てたりなんてできません」


「アリス(さま)のお気持(きも)ちはわかりますが、ここでアリス(さま)(たお)れれば、私達(わたしたち)だけでなく、世界(せかい)(たも)っている勢力(ちから)のバランスが崩壊(ほうかい)してしまい、この(くに)()んでいる人々(ひとびと)にも多大(ただい)影響(えいきょう)がでます。アリス(さま)(いのち)は、あなた(さま)だけのものではありません。どうか、ご了承(りょうしょう)(くだ)さい」


「……。わかりました」

アリスは、渋々(しぶしぶ)と了承(りょうしょう)して(ちい)さく(うなず)いた。


私達(わたしたち)はアリス(さま)(おっしゃ)られた(とお)り、生徒達(せいとたち)護衛(ごえい)(まわ)るわよ!」

「「はい」」

「ヤザン先生(せんせい)も、(はや)く」

「わかった」

アリスの返事(へんじ)()いたサリサはホッと(むね)()()ろして(うなず)き、(ほか)教師達(きょうしたち)一緒(いっしょ)生徒達(せいとたち)(そば)へと()かう。


そんな(なか)、ヤザンは途中(とちゅう)(あし)()めてエルク(たち)()(かえ)る。

「おい!エルク。お(まえ)自分(じぶん)(いのち)優先(ゆうせん)しろ!もしも、お(まえ)()んだら葬式(そうしき)でも(はか)(まえ)で、(おれ)はお(まえ)説教(せっきょう)するからな!(こころ)しておけよ!」

ヤザンは、大声(おおごえ)(はな)すと(ほか)生徒達(せいとたち)(もと)へと()かった。



「ハハハ…。それは、本当(ほんとう)(いや)だな…」


「フフフ…。エルク、お(たが)いに()なない(よう)頑張(がんば)るわよ」


「だな」

エルクは苦笑(にがわら)いを()かべていたが、最後(さいご)、エルクは口元(くちもと)()みを()かべていた。


教師達(きょうし)生徒達(せいとたち)(ほう)()かったか。まぁ、当然(とうぜん)そうするよな。本当(ほんとう)は、こんな状況(じょうきょう)決着(けっちゃく)をつけるのは不本意(ふほんい)だ。お(まえ)(まわ)りを()にせずに全力(ぜんりょく)(たたか)える場所(ばしょ)決着(けっちゃく)をつけたかったのだが、今回(こんかい)依頼(いらい)での仕事(しごと)でな。すまないが、確実(かくじつ)()たせて(もら)うことにした」

ゴンザレスは、アリスが(まわ)りを()にして自身(じしん)()(ふだ)であるテンペストを使(つか)えないことを()っていたため舌打(したう)ちをする。


「エルク、完全(かんぜん)とはできないけど、あなたに(ほどこ)しされた封印(ふういん)()いた(ほう)()いわよね?」

エルクの正体(しょうたい)がバレてしまうので、アリスはあまり気乗(きの)りしないかったが状況(じょうきょう)状況(じょうきょう)なため複雑(ふくざつ)面持(おもも)ちで(たず)ねた。


「いや、さっきアリスが()っていた(とお)り、(みんな)(おれ)正体(しょうたい)()られるのも後々(のちのち)に面倒(めんどう)になるから、ギリギリまで封印(ふういん)()かなくっていいよ。それに、(おれ)封印(ふういん)勝手(かって)解除(かいじょ)したらアリスが国王様(こくおうさま)(おこ)られるだろ?いや、どちらかと()えば、大臣(だいじん)の方が五月蝿(うるさ)いか」


今回(こんかい)緊急事態(きんきゅうじたい)だから、きっと大丈夫(だいじょうぶ)よ」


「まぁ、部下(ぶか)相手(あいて)なら、おそらく(なん)とかなると(おも)う。それに、先生達(せんせい)だけじゃ【ブラッド・チルドレン】を相手(あいて)にはキツイと(おも)うから、(おれ)先生達(せんせいたち)援護(えんご)(まわ)るよ。アリスには(わる)いけど、ゴンザレスを(たの)むけど大丈夫(だいじょうぶ)?」


「ええ、ゴンザレスは(わたし)(まか)せて。まだ完璧(かんぜん)ではないけど、エルクから(おし)えて(もら)ったあの(わざ)実戦(じっせん)(ため)してみたかったの」


「じゃあ、サリサ先生(せんせい)()っていたけど、()をつけてアリス」


「もちろんよ。エルクも()をつけてね」

「ああ」

アリスの返事(へんじ)()いたエルクは、教師達(きょうしたち)生徒達(せいとたち)(もと)へと()かう。


()まった(よう)だな。()け!お前達(まえたち)()りの時間(じかん)だ!」

ゴンザレスの指示(しじ)で【ブラッド・チルドレン】(たち)は、一斉(いっせい)教師達(きょうしたち)(おそ)()かる。




教師達側(きょうしたちがわ)


アリスの反対側(はんたいがわ)にいる【ブラッド・チルドレン】(たち)教師(きょうし)生徒達(せいとたち)(せま)ってくる。


「き、()たぞ!」

「「きゃ~」」

授業(じゅぎょう)戦闘訓練(せんとうくんれん)はしているが、まだ(いのち)()けた(たたか)いなど無縁(むえん)教師(きょうし)生徒達(せいとたち)にとって、(せま)ってくる【ブラッド・チルドレン】の冷徹(れいてつ)(ひとみ)(こころ)(そこ)から恐怖(きょうふ)するものだった。


「あ、安心(あんしん)して、ここは私達(わたしたち)先生達(せんせいたち)(いのち)()けてでも、あなた(たち)(まも)()いて()せるから」

サリサは緊張(きんちょう)した面持(おもも)ちで生徒達(せんせいたち)(まえ)()(けん)(かま)える。


そのすぐ(あと)にヤザンが(つづ)き、(ほか)教師達(きょうしたち)もサリサとヤザンの姿(すがた)()固唾(かたず)()みながら覚悟(かくご)()めて(まえ)()(かま)えた。


先生(せんせい)(なん)()らないが、戦闘経験(せんとうけいけん)(すく)ない奴等(やつら)俺達(おれたち)(かな)うとでも(おも)っているのか?」

次々(つぎつぎ)に【ブラッド・チルドレン】(たち)は、サリサ(たち)教師達(きょうしたち)(おそ)()かる。


「ぐぁ」

「つ、(つよ)い。がはっ」

(さき)ほどまで奮闘(ふんとう)してゴーレムと対等(たいとう)以上(いじょう)(たたか)っていた教師達(きょうしたち)だったが、【ブラッド・チルドレン】(たち)(まえ)では(まった)通用(つうよう)せず、【ブラッド・チルドレン】(たち)はまるで赤子(あかご)()をひねるかの(よう)に次々(つぎつぎ)に教師達(きょうしたち)簡単(かんたん)(たお)していく。


その(なか)で、学院長(がくいんちょう)であるランドールと教師(きょうし)のサリサとヤザンの3(にん)だけは、学院(がくいん)創設(そうせつ)する(まえ)までは騎士団(きしだん)在籍(ざいせき)しており、【ブラッド・チルドレン】との戦闘(せんとう)何度(なんど)経験(けいけん)していたので、どうにか()(こら)えていた。


「あの3(にん)は、なかなかやるな」

「ああ、あの3(にん)は、おそらく(もと)騎士団(きしだん)だろうな。あの剣筋(けんすじ)騎士団(きしだん)のものだ」

【ブラッド・チルドレン】(たち)は、戦闘経験(せんとうけいけん)(すく)ない(よわ)教師達(きょうしたち)相手(あいて)をするのが()きてきていたので、手応(てごた)えのあるサリサ(たち)(むら)がっていく。



「くっ」

「サリサ先生(せんせい)(うし)ろです!」

サリサは、【ブラッド・チルドレン】の一人(ひとり)(けん)同士(どうし)鍔迫(つばぜ)()いになっていた(とき)学院長(がくいんちょう)であるランドールが(おお)きな(こえ)警告(けいこく)した。


(もら)ったぜ!」

「くっ」

(()()わない)

「ぐぉ」

【ブラッド・チルドレン】の一人(ひとり)が、サリサの背後(はいご)から()()かろうとした(とき)、エルクが真横(まよこ)からサリサに(おそ)()かった【ブラッド・チルドレン】の側頭部(そくとうぶ)をジャンプキックで()()ばした。


「「~っ!?」」

()()ばされた【ブラッド・チルドレン】は仲間達(なかまたち)(まえ)(ころ)がり、仲間達(なかまたち)(いま)気配(けはい)がないエルクを(まえ)にして警戒(けいかい)しながら一斉(いっせい)にバックステップして距離(きょり)()った。


先生達(せんせいたち)(なか)で、土属性(つちぞくせい)適性(てきせい)のある先生達(せんせいたち)生徒達(せいとたち)(かこ)うように土壁(どへき)(つく)るんだ。(すこ)しでも、【ブラッド・チルドレン】を生徒達(せいとたち)近付(ちかづ)けさせない(よう)阻止(そし)するんだ」

エルクは、(けわ)しい表情(ひょうじょう)指示(しじ)()す。


「わ、わかったわ」


「「アース・ウォール」」

サリサの返事(へんじ)(とも)教師達(きょうしたち)は、(けん)(やり)などの能力(ちから)召喚(しょうかん)した武器(ぶき)地面(じめん)()()して生徒達(せいとたち)(かこ)うように土壁(どへき)(つく)()した。


「まずは、これで一安心(ひとあんしん)だな。さてと…」

エルクは()()ばした【ブラッド・チルドレン】に()をやると、()()ばされた【ブラッド・チルドレン】は左手(ひだりて)(かぶ)っている(かぶと)(おさ)さえながら(あため)左右(さゆう)()って()()がろうとしていた。


「やはり予想(よそう)はしていたが、さっきの()りでも(ほとん)()いていないみたいだな。普通(ふつう)なら、(くび)(ほね)()れてもおかしくないんだけど。相変(あいか)わらず、(あき)れるほどタフな部隊(ぶたい)だ」

(これは深刻(しんこく)問題(もんだい)だな。武器(ぶき)もないし、能力(ちから)使(つか)えない(いま)状況(じょうきょう)部下(ぶか)(たお)すことはできるのか?どうする?)

必死(ひっし)(あたま)(まわ)して突破口(とっぱこう)(さが)すエルク。



(くそ)平和(へいわ)ボケをしている年下(としした)学生(がくせい)が、(おれ)()()ばしやがって!あいつは()獲物(えもの)だ。おれ(みずか)らの()始末(しまつ)するから()()すなよ」

エルクから()()ばされた【ブラッド・チルドレン】は、右腕(みぎうで)鼻血(はなぢ)(ぬぐ)いながら仲間達(なかまたち)指示(しじ)()した。


「ああ、()きにしな。その()わり、あの3(にん)俺達(おれたち)(もら)うからな」


「ちっ、仕方(しかた)ないな」

言質(げんち)()った【ブラッド・チルドレン】の仲間達(なかまたち)は、(だれ)一人(ひとり)とその()から(うご)かずにニタニタと余裕(よゆう)()みを()かべて見守(みまも)る。


(ひさ)しぶりにムカついたぜ!なぁ?」

エルクに()()ばされた【ブラッド・チルドレン】は、怒鳴(どな)りつけるようにエルクに(はな)()けて一直線(いっちょくせん)にエルクに()かって(はし)る。


「エルク君!」

サリサは、(こえ)(あら)げる。


()ねぇ!」

((なん)だ?こいつの()は、俺達(おれたち)やゴンザレス(さま)以上(いじょう)冷酷(れいこく)()がする)

エルクに接近(せっきん)した【ブラッド・チルドレン】は、(けん)(おお)きく()りかぶった(とき)違和感(いわかん)(かん)じた。



気絶(きぜつ)する(まえ)に、1つ忠告(ちゅうこく)してやる。(いか)りと(おれ)()()ぎで大振(おおぶ)りになっているぞ」

エルクは、(けん)()(おろ)ろされる(まえ)に【ブラッド・チルドレン】の(ふところ)(はい)り、左拳(ひだりこぶし)で【ブラッド・チルドレン】の(あご)(なぐ)った。


「ぐっ」

エルクから(なぐ)られた【ブラッド・チルドレン】は、(かる)脳震盪(のうしんとう)()こして足元(あしもと)がふらつく。


「ハァ!月華聖天流奥義(げっかせいてんりゅうおうぎ)破城槌掌(はじょうついしょう)

【ブラッド・チルドレン】がふらついている(あいだ)に、エルクは(なが)れる動作(どうさ)で【ブラッド・チルドレン】の胸元(むなもと)負傷(ふしょう)している右肘(みぎひじ)肘打(ひじう)ちを()()み、右腕(みぎうで)肘間接(ちゅうかんせつ)起点(きてん)にして右腕(みぎうで)()げて右拳(みぎこぶし)(こう)を【ブラッド・チルドレン】の顔面(がんめん)()て、最後(さいご)にスクリュー回転(かいてん)聖霊力(せいれいりょく)(くわ)えた左手(ひだりて)掌底打(しょうていう)ちで【ブラッド・チルドレン】の心臓部(しんぞうぶ)連続攻撃(れんぞくこうげき)をした。


「ぐぁ」

最後(さいご)のエルクの破城槌掌(はじょうついしょう)によって、【ブラッド・チルドレン】が(まと)っていた(すな)(よろい)は粉々(こなごな)に粉砕(ふんさい)され、吐血(とけつ)しながら()()ばされた。



「よくも!」

余裕(よゆう)()かべて観戦(かんせん)していた【ブラッド・チルドレン】の仲間(なかま)一人(ひとり)は、すぐに正面(しょうめん)からエルクに(おそ)()かり(にぎ)っている(けん)(よこ)()ぎはらう。


月華聖天流奥義(げっかせいてんりゅうおうぎ)天地落雷(てんちらくらい)

「そんな馬鹿(ばか)な…」

エルクは、上半身(じょうはんしん)()らしながら【ブラッド・チルドレン】の()ぎはらいを回避(かいひ)し、そのままバク(てん)をしながら両足(りょうあし)驚愕(きょうがく)している【ブラッド・チルドレン】の(くび)(はさ)()んで【ブラッド・チルドレン】の(あたま)地面(じめん)(たた)きつけた。


「がはっ…」

(あたま)から地面(じめん)(たた)きつけられた【ブラッド・チルドレン】は気絶(きぜつ)した。



(もら)った」

エルクの背後(はいご)から【ブラッド・チルドレン】が(おそ)()かる。


エルクは、()(かえ)りながら右足(ひだりあし)のハイキックして【ブラッド・チルドレン】の側頭部(そくとうぶ)()りを()れたが、【ブラッド・チルドレン】は(すこ)しよろめく程度(ていど)(たお)れなかった。


「フフフ…(おれ)()ちだ!」

ハイキックを()えた【ブラッド・チルドレン】は、勝利(しょうり)確信(かくしん)して(けん)()()ろそうとするが、エルクの右足(みぎ)(こう)自分(じぶん)首元(くびもと)()かったままだった。


月華聖天流奥義(げっかせいてんりゅうおうぎ)影月(かげつき)

エルクは、右足(みぎあし)(こう)を【ブラッド・チルドレン】の(くび)()かけたまま右足(みぎあし)()いて、【ブラッド・チルドレン】を地面(じめん)(たた)きつける。


「うぁ」

【ブラッド・チルドレン】は、悲鳴(ひめい)をあげながら顔面(がんめん)から地面(じめん)(たた)きつけられ気絶(きぜつ)した。


油断(ゆだん)は、禁物(きんもつ)だ。って、もう気絶(きぜつ)しているから()こえないか」

(やはり、この人数(にんずう)相手(あいて)だと能力(ちから)使(つか)わないと(きび)しいか。仕方(しかた)ない)

エルクは、(こし)()として気絶(きぜつ)させた【ブラッド・チルドレン】の携帯用(けいたいよう)(けん)()ろうとしたが、(ほか)の【ブラッド・チルドレン】の仲間達(なかまたち)阻止(そし)しようと一斉(いっせい)(おそ)()かってきたため、(けん)奪取(だっしゅ)(あきら)めてアリスに封印(ふういん)()いて(もら)うためアリスの(もと)へと(はし)る。


()がすな!」

【ブラッド・チルドレン】(たち)は、教師(きょうし)生徒達(せいとたち)無視(むし)してエルクを()いかけた。




【アリス(がわ)


「お前達(まえたち)は、()()すなよ」

ゴンザレスは左手(ひだりて)()げて、この()待機(たいき)している部下達(ぶかたち)静止(せいし)させる。


「あら?せっかくの優位(ゆうい)(みずか)()てるの?」


「ああ、そうだ。(さき)ほども()ったが、(おれ)は、お(まえ)全力(ぜんりょく)()せない、こんな状況(じょうきょう)での決着(けっちゃく)不本意(ふほんい)だ。だから、せめて一対一(サシ)勝負(しょうぶ)をしてやる」


「あなたは相変(あいか)わらず、馬鹿正直(ばかしょうじき)ね。ゴンザレス」


「そもそも、テンペストが使(つか)えない、(いま)のお(まえ)()けるはずがないからな」


()ってくれるわね」


事実(じじつ)()ったまでだ」

ゴンザレスは、左手(ひだりて)でローブの胸元(むなもと)(つか)んで(そら)()けて()()てた。


時間(じかん)がない、(たたか)いを(はじ)めようかアリス。(つち)精霊(せいれい)ノームよ、(われ)(まも)りたまえ!完全解放(かんぜんかいほう)

ゴンザレスは(なに)もない場所(ばしょ)から大剣(たいけん)召喚(しょうかん)し、両手(りょうて)大剣(たいけん)(にぎ)り、胸元(むなもと)位置(いち)まで()()げて能力(ちから)完全解放(かんぜんかいほう)した。


ゴンザレスの周囲(しゅうい)のグランドが地響(じひび)きをあげて、グランドの(すな)がゴンザレスに()()まれるかの(よう)(あつ)まっていく。


そして、砂埃(すなぼこり)(おさ)まり、姿(すがた)(あらわ)したゴンザレスの姿(すがた)は、(ほか)の【ブラッド・チルドレン】よりも頑丈(がんじょう)屈強(くっきょう)(すな)(よろい)(まと)っていた。


「いくわよ!」

アリスは、全身(ぜんしん)(かぜ)(まと)いながら加速(かそく)してゴンザレスの正面(しょうめん)から()()かる。


「オラッ!」

ゴンザレスは、その()から(うご)かずに大剣(たいけん)両手(りょうて)(にぎ)()めて()()ろして(むか)()つ。


アリスのレイピアとゴンザレスの大剣(たいけん)衝突(しょうとつ)したことにより衝撃波(しょうげきは)発生(はっせい)し、(すな)砂埃(すなぼこり)(いきお)()周囲(しゅうい)()い、(ちか)くにいた【ブラッド・チルドレン】(たち)は、素早(すばや)くその()から(はな)れて回避(かいひ)した。


「フン」

「くっ」

(ちから)(まさ)っているゴンザレスがアリスを()()ろうとするが、アリスは(ちから)(さかわ)らわずに(おお)きくバックステップをして距離(きょり)()った。


「ちっ、クリエイト・ゴーレム」

ゴンザレスは、アリスを()いかけずに大剣(たいけん)地面(じめん)()()してアリスを(かこ)うように5(たい)のゴーレムを召喚(しょうかん)する。


ゴーレムは、(あか)(ひとみ)(ひか)らせてアリスに(おそ)()かる。


(うご)きが(おそ)いわ。ヤッ!」

正面(しょうめん)にいるゴーレムが接近(せっきん)して右拳(みぎこぶし)(なぐ)りにきたので、アリスは(ひる)むことなく(みずか)らも接近(せっきん)してゴーレムの右拳(みぎこぶし)()けながらゴーレムの胸元(むなもと)中央(ちゅうおう)にある(かく)()きを(はな)破壊(はかい)する。


(かく)破壊(はかい)されたゴーレムは、(からだ)(くず)れて(もと)(すな)(もど)っていった。


しかし、その(あいだ)にアリスの背後(はいご)から接近(せっきん)したゴーレム4(たい)左拳(ひだりこぶし)右拳(みぎこぶし)背中(せなか)()せているアリスに一斉(いっせい)攻撃(こうげき)する。


「くっ、エア・スラッシュ」

アリスはジャンプをして4(たい)のゴーレムの攻撃(こうげき)回避(かいひ)しながら空中(くうちゅう)(からだ)(ひね)り、レイピアを(よこ)()って巨大(きょだい)(かぜ)のリング(じょう)(やいば)(はな)ち、4(たい)のゴーレムの(かく)だけでく胴体(どうたい)ごとを()(ふた)つに切断(せつだん)した。


4(たい)のゴーレムは、一斉(いっせい)土塊(つちくれ)になり(すな)(もど)った。


「5(たい)のゴーレムをあっという()(たお)すとは、流石(さすが)、【疾風(しっぷう)のヴァルキュリア】だな。だが、聖霊力(せいれいりょく)()める時間(じかん)十分(じゅうぶん)(かせ)ぐことができた。クリエイト・ガーディアン」

ゴンザレスが(とな)えると同時(どうじ)巨大(きょだい)(かげ)がアリスだけでなく、エルクや教師達(きょうしたち)(おお)(かぶ)さった。


相変(あいか)わらずに巨大(きょだい)ね」

アリスは、(そら)見上(みあ)げると全長(ぜんちょう)15mぐらいある巨大(きょだい)なガーディアンと一体化(いったいか)したゴンザレスの姿(すがた)があった。


「この姿(すがた)になれば、テンペストが使(つな)えない、(いま)のお(まえ)()()はない」

ゴンザレスは、ガーディアンの胸元(むなもと)中央(ちゅうおう)上半身(じょうはんしん)だけ(そと)()ており、下半身(かはんしん)はガーディアンと一体化(いったいか)していた。


「それは、どうかしら?」

「なら、()せて(もら)おうか」

ガーディアンと一体化(いったいか)したゴンザレスは、巨大(きょだい)左右(さゆう)(こぶし)でアリスを連打(れんだ)する。


「エア・スラッシュ」

アリスは、機敏(きびん)素早(すばや)(うご)いて回避(かいひ)しながら(かぜ)(やいば)何本(なんほん)(はな)つ。


しかし、アリスが(はな)った(かぜ)(やいば)は、ガーディアンと一体化(いったいか)したゴンザレスは巨大(きょだい)(うで)をクロスにして(ふせ)いだ。


ガーディアンに(ふか)(きず)がつくが、すぐにガーディアンの(きず)(いえ)えて元通(もとどお)りに復元(ふくげん)された。


「やはり、普通(ふつう)のゴーレムよりも(くら)(もの)にならないほど(かた)く、回復力(かいふくりょく)(すご)いわね」

地上(ちじょう)着地(ちゃくち)したアリスは、バックステップをして、一旦(いったん)、ゴンザレスから距離(きょり)()った。


「だから、無駄(むだ)だと(はじ)めに()っただろ」


「ええ、(たし)かに(まえ)までは、その姿(すがた)になった貴方(あなた)攻撃(こうげき)通用(つうよう)するのは威力(いりょく)があり広範囲(こうはんい)のテンペストだけだったけど、(いま)(ちが)うわ」


「ほう、ならば、(おれ)()せて(もら)おうか」


「ええ、()いわよ。特別(とくべつ)()せてあげるわ」

アリスは(よこ)()いて(こし)()とし、左手(ひだりて)(まえ)()してレイピアを(にぎ)っている右手(みぎて)()き、聖霊力(せいれいりょく)をレイピアに集中(しゅうちゅう)させ(かぜ)がレイピアに渦巻(うずま)く。


「その(かま)えは、ま、まさか…」

ガーディアンと一体化(いったいか)したゴンザレスは、アリスの(かま)えを()瞬間(しゅんかん)(おな)組織(そしき)にいた【ブラッド・チルドレン】の総隊長(そうたいちょう)や2番隊(ばんたい)隊長(たいちょう)、3番隊(ばんたい)隊長(たいちょう)姿(すがた)(さな)なった。


「そ、そんなことは(けっ)してない!あるはずがない!いくぞ!」

ゴンザレスは、(おそ)れを()(はら)うかの(よう)(あたま)左右(さゆう)()り、雄叫(おたけ)びあげながら巨大(きょだい)右拳(みぎこぶし)でアリスに(なぐ)りにいく。


月華聖天流奥義(げっかせいてんりゅうおうぎ)秘伝(ひでん)花鳥風月(かちょうふうげつ)

ガーディアンの巨大(きょだい)右拳(みぎこぶし)(せま)る中、アリスは(するど)()きを(はな)つ。


レイピアは、ガーディアンの右拳(みぎこぶし)衝突(しょうとつ)せずに手前(てまえ)(とま)まり、レイピアから突風(とっぶう)発生(はっせい)した。


その突風(とっぶう)()れたガーディアンの右拳(みぎこぶし)は、粉々(こなごな)になって(くず)れていく。


「ま、まさか、そんな馬鹿(ばか)な!(くそ)、こっちに()るな!()まれぇ~!」

ゴンザレスは雄叫(おたけ)びをあげるが、ガーディアンは突風(とっぶう)()れた箇所(かしょ)から粉々(こなごな)に(くず)れていった。


そして、突風(とっぶう)はガーディアンと一体化(いったいか)して胸元(むなもと)にいるゴンザレスに(せま)っていく。


「お(ねが)い!(とど)いて~!」

アリスは、()っている聖霊力(せいれいりょく)(すべ)使(つか)いきっており、能力(ちから)完全解放(かんぜんかいほう)状態(じょうたい)()けて制服姿(せいふくすがた)(もど)っていた。


「ハァハァハァ…」

アリスが(はな)った突風(とっぶう)は、ゴンザレスの()(まえ)霧散(むさん)して消滅(しょうめつ)したが、()(おも)いをしたゴンザレスは過呼吸(かこきゅう)(おちい)っており身体中(からだじゅう)から大量(たいりょう)(あせ)()()して(おお)きく(いき)(みだ)していた。


(だれ)から(おし)えて(もら)ったか()らないが、まさか、総隊長達(そうたいちょう)(おな)月華聖天流奥義(げっかせいてんりゅうおうぎ)(なか)でも最強(さいきょう)()われる秘伝(ひでん)使(つか)えるとは予想外(よそうがい)だった。だが、まだ未完成(みかんせい)(よう)だな。射程(しゃてい)(みじか)くって(たす)かった。もう、(おれ)油断(ゆだん)はしない。それに、(いま)のお(まえ)姿(すがた)()るとわかる。花鳥風月(かちょうふうげつ)使(つか)うには異常(いじょう)なまでの聖霊力(せいれいりょく)必要(ひつよう)(よう)だな。(いま)()っているのがやっと(よう)だな」

(いき)(ととの)えたゴンザレスは、(はな)しながら破壊(はかい)されたガーディアンの右半身(みぎはんしん)修復(しゅうふく)していき完全(かんぜん)元通(もとどお)りに復元(ふくげん)した。


「ハァハァ…。まだ、あなたを(たお)(わざ)があるかもよ」

(渾身(こんしん)一撃(いちげき)だったのに、()まらなかったのは正直(しょうじき)不味(まず)いわね。花鳥風月(かちょうふうげつ)破壊力(はかいりょく)があるけど、その反面(はんめん)聖霊力(せいれいりょく)消費(しょうひ)(はげ)しいし、肉体(にくたい)精神(せいしん)(おお)きな負担(ふたん)()かるから一度(いちど)しかまだ使(つか)えないし、(いま)もレイピアを召喚(しょうかん)している状態(じょうたい)維持(いじ)するのもギリギリだわ。(はや)決着(けっちゃく)をつけないと…)

平常心(へいじょうしん)(よそ)うアリスだったが、内心(ないしん)では不安(ふあん)(あせ)りが()()せてきていた。


(はなし)()わりだ。クリエイト・ゴーレム」

ゴンザレスは、アリスの左右(さゆう)背後(はいご)にゴーレムを1(たい)ずつ召喚(しょうかん)して包囲(ほうい)する。


「いくぞ!【疾風(しっぷう)のヴァルキュリア】」

ゴンザレスの()(ごえ)同時(どうじ)に、ゴーレム(たち)一斉(いっせい)にアリスに(おそ)()かる。


背後(はいご)にいるゴーレムが、両手(りょうて)()ばしてアリスを(つか)まえようとした。


アリスは(まえ)(はし)って()けたが、疲労(ひろう)移動(いどう)スピードが(おそ)くなっており、簡単(かんたん)左右(さゆう)にいるゴーレムに()いつかれた。


左右(さゆう)にいるゴーレム(たち)は、右拳(みぎこぶし)()()ろした。


「うっ」

アリスはジャンプして()けようとしたが、上手(うま)足腰(あしこし)(ちから)(はい)らず(たか)()べなかったため、ゴーレムの(こぶし)地面(じめん)直撃(ちょくげき)して()ねた(すな)(いきお)()くアリスに直撃(ちょくげき)した。


「きゃ」

空中(くうちゅう)にいたアリスは、()()った(すな)()たりバランスを(くず)して地面(じめん)(たお)()(ころ)がった。


「やはり、花鳥風月(かちょうふうげつ)代償(だいしょう)(おお)きかったようだな。満足(まんぞく)使(つか)えない(わざ)使(つか)い、自滅(じめつ)とは呆気(あっけ)ない決着(けっちゃく)だった。だが、容赦(ようしゃ)はしない。これで()わりだ」

ガーディアンと一体化(いったいか)しているゴンザレスは、右拳(みぎこぶし)(たた)きつける(よう)()()ろす。


「~っ!!エルク、ごめんなさい…」

()()わないと(さと)ったアリスは、力強(ちからづよ)()()じてエルクに謝罪(しゃざい)をした。


ガーディアンと一体化(いったいか)しているゴンザレスの巨大(きょだい)(こぶし)によって大地(だいち)()れ、砂埃(すなぼこり)()った。


()わったな。ん?いないだと!?何処(どこ)だ!」

()っていた砂埃(すなぼこり)がおさまり、アリスの死体(したい)確認(かくにん)するために、ゴンザレスは地面(じめん)()()さっている(こぶし)()いて確認(かくにん)したが、そこにはアリスの姿(すがた)がなかった。


背後(はいご)気配(けはい)があったので、ゴンザレスは()(かえ)る。


そこには、アリスをお姫様(ひめさま)()っこしたエルクの姿(すがた)があった。


大丈夫(だいじょうぶ)?アリス」


「……。」

アリスはゆっくり()()けると、()(まえ)には(かお)(のぞ)()んで心配(しんぱい)しているエルクの(かお)間近(まじか)にあった。


「~!?エ、エルク!?どうして、ここにいるの!?」

アリスは、(かお)(あか)()めながら(こえ)(あら)げる。


「いや~、(なさ)けない(はなし)だけど、どうしても封印(ふういん)()いて(もら)いたくってね。それで、(もど)って()たんだけど、そうしたら、アリスがピンチになっていたから(たす)けたんだ。でも、()()って()かったよ。アハハ…」

苦笑(にがわら)いを()かべて(はな)すエルク。


「さっきの餓鬼(がき)か。よくも決闘(けっとう)邪魔(じゃま)をしてくれたな」


今度(こんど)は、(おれ)がお(まえ)相手(あいて)をしてやるよ。ゴンザレス」


「だから、(おれ)気安(きやす)(はな)()けるな!雑魚(ざこ)が!」

ゴンザレスは、(ひたい)青筋(あおすじ)()てて激怒(げきど)しながら巨大(きょだい)左拳(ひだりこぶし)でエルクを(たた)きつける(よう)にを()()ろす。


巨大(きょだい)(こぶし)(せま)(なか)、エルクは(かお)をアリスに近付(ちかづ)ける。


「ごめんけど、アリス」

「エルク…」

苦笑(にがわら)いを()かべているエルクと、(かお)()()()めているアリスの(くちびる)同士(どうし)()()った瞬間(しゅんかん)、エルクの胸元(むなもと)(きざ)まれている刻印(こくいん)外側(そとがわ)刻印(こくいん)()え、エルクの(からだ)(ひか)り、周囲(しゅうい)()らす。


「な、()だ!?(なに)()きているんだ!?それに、この膨大(ぼうだい)聖霊力(せいれいりょく)は、まるで精霊(せいれい)宿(やど)している(おれ)や【疾風(しっぷう)のヴァルキュリア】と同等(どうとう)だと!?」

突然(とつぜん)のことに驚愕(きょうがく)したゴンザレスは、自身(じしん)右手(みぎて)()(おお)(ひかり)遮断(しゃだん)する。


(ひかり)終息(しゅうそく)すると(とも)に、ガーディアンと一体化(いったいか)しているゴンザレスは、ガーディアンの(からだ)違和感(いわかん)気付(きづ)()てみると、エルクに()けて()()ろした巨大(きょだい)左拳(ひだりこぶし)だけでなく、左半身(ひだりはんしん)ごと()っ二つに一刀両断(いっとうりょうだん)されており、ズレ()ちて(くず)れていく。


「な、(なん)だと!?」

ガーディアンと一体化(いったいか)しているゴンザレスは半身(はんしん)(うしな)い、バランスを(くず)して(たお)れそうになったので能力(のうりょく)解除(かいじょ)して、空中(くうちゅう)落下(らっか)している大剣(たいけん)右手(みぎて)(つか)み、大剣(たいけん)(かた)(かつ)いだまま(こひ)()ろして左手(ひだりて)地面(じめん)についた体勢(たいせい)着地(ちゃくち)した。


そして、ゴンザレスは変貌(へんぼう)したエルクの姿(すがた)()て、驚愕(きょうがく)して言葉(ことば)(うしな)った。


エルクの姿(すがた)制服姿(せいふくすがた)ではなく、(しろ)いローブを(まと)い、(くろ)(かみ)()白色(はくはつ)に、漆黒(しっこく)(ひとみ)金色(こんじき)()わり、左腕(ひだりうで)には(かお)()()()めているアリスを()()んでおり、右手(みぎて)には(しろ)巨大(きょだい)大鎌(デスサイズ)()()ろした姿(すがた)だった。


「まさか、どこでも()そうな餓鬼(がき)が、帝国軍(ていこくぐん)だけでなく(おな)組織内(そしきない)でも冷酷(れいこく)無比(むひ)(おそ)れられていた。あの【(しろ)死神(しにがみ)白夜叉(しろやしゃ)】だったとはな」


「やっと気付(きづ)いたか?ゴンザレス。で、どうする?(いま)なら、部下(ぶか)()れて撤退(てったい)をするなら見逃(みのが)してやるが」

エルクは大鎌(デスサイズ)(かた)(かつ)ぎ、左腕(ひだりうで)()いているアリスを解放(かいほう)する。


「あ…」

アリスは残念(ざんねん)そうな表情(ひょうじょう)()かべたが、すぐにエルクの邪魔(じゃま)になると(おも)い、その()から(はな)れた。



「フン、()められたものだな。(たし)かに、お(まえ)破壊力(はかいりょく)組織内(そしきない)で、あの総隊長(そうたいちょう)(なら)ぶほどだったかもしれない。だが、戦闘(せんとう)破壊力(はかいりょく)だけでは()まらないことをその()(おし)えてやる。何している?【(しろ)死神(しにがみ)】を(かこ)え」

ゴンザレスは獰猛(どうもう)()みを()かべ、エルクを()っていた【ブラッド・チルドレン】(たち)はエルクを姿(すがた)()驚愕(きょうがく)(うご)きが()まったが、ゴンザレスの指示(しじ)()こえて(われ)(かえ)りエルクを(かこ)んだ。


「この(さい)だ、()いでにお(まえ)弱点(じゃくてん)(おし)えてやるぞ【(しろ)死神(しにがみ)】。今日(きょう)が、お(まえ)命日(めいにち)だ!()け!」

ゴンザレスが左手(ひだりて)(まえ)()すと同時(どうじに)に【ブラッド・チルドレン】(たち)一斉(いっせい)にエルクに(おそ)()かった。

投稿が遅れ、話も進まず申し訳ありません。


次回、ブラッド・チルドレンの隊長同士が戦います。


もし宜しければ、次回もご覧頂けたら幸いです。

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