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ブラッド・チルドレン  作者: フミナベ
12/12

騎士団とエルク

【戦の大魔王】のバダカルが動き出す。

【アクアドリーム(こく)(よる)水鈴邸(すいりんてい)


(しずく)儀式(ぎしき)(まい)無事(ぶじ)()わり、次々(つぎつぎ)に花火(はなび)夜空(よぞら)()()がり、国内(こくない)色鮮(いろあざ)やかに()らす(なか)、エルク、アリス、(しずく)三人(さんにん)屋台(やたい)(まわ)っていた。


エルクの右手(みぎて)にアリス、左手(ひだりて)(しずく)()(つな)いでおり、(しずく)()ずかしそうに(ほお)(あか)らめて(ある)いている。


エルク(たち)とずれ(ちが)人達(ひとたち)(しずく)だと気付(きづ)いて(おど)いた表情(ひょうじょう)()かべたり、微笑(ほほえ)んだりしていた。


(とく)男達(おとこたち)は、(しずく)信者(しんじゃ)(おお)いので(なみだ)(なが)したり、放心(ほうしん)したり、(うらや)ましいそうにエルク(たち)()ながらすれ(ちが)う。


「ねぇ、エルク、(しずく)。あっちの屋台(やたい)に、はしまきが()っているわ。せっかくだし、()べてみない?」

アリスは、はしまきを()っている屋台(やたい)指差(ゆびさ)した。


「うん、()こうアリスちゃん、エルク(くん)も」


「そうだな、小腹(こばら)()いてきたころだし、()こうか」

エルク(たち)は、はしまきを()っている屋台(やたい)()かった。



「らっしゃい!って、し、(しずく)(さま)!?」

(あたま)にハチマキをした店主(てんしゅ)(しずく)気付(きづ)き、驚愕(きょうがく)した(こえ)をあげた。


「あの、はしまき3(ぼん)(ねが)いします」


「へい!じゃなかった。は、はい、(かしこ)まりました。少々(しょうしょ)、お()(くだ)さい」

店主(てんしゅ)はハチマキを()(なお)普段(ふだん)とは(ちが)緊張(きんちょう)した面持(おもも)ちで、はしまきを()(はじ)める。


店主(てんしゅ)炭火(すみび)真剣(しんけん)面持(おもも)ちで()ながら団扇(うちわ)(あお)ぎ、はしまきはジューっと(おと)()てながら、お(この)()きみたいな(こう)ばしい(かお)りとソースの(あま)(かお)りが屋台(やたい)周囲(しゅうい)(ひろ)がっていく。

店主(てんしゅ)は、青海苔(あおのり)やマヨネーズを()けてトッピングしていく。


美味(おい)しそうな、(こう)ばしい(にお)いだな」

「ええ」

「はい」

アリスと(しずく)は、エルクに同意(どうい)笑顔(えがお)()かべた。


「へい!じゃない、はい。お()ち…いえ、お()たせ(いた)しました。どうぞ、(しずく)(さま)。あの、(しずく)(さま)のお(くち)()えば()いのですが…」

店主(てんしゅ)は、はしまきを(しずく)(たち)一本(いっぽん)ずつ(わた)す。


「「フーフー」」

「あ、(あつ)っ…」

アリスと(しずく)(かみ)()()げながら、はしまきに(いき)()()けて(すこ)()まし、エルクはそのまま(くに)(くわ)えた。


店主(てんしゅ)緊張(きんちょう)した面持(おもも)ちで(つば)()()み、(しずく)反応(はんのう)見守(みまも)る。


美味(おい)しいです」

「ええ、美味(おい)しいわ」

「うん、美味(うま)い!」

(しずく)とアリスは()口元(くちもと)(かく)して笑顔(えがお)()かべ、エルクは大胆(だいたん)にかぶりつく。


「よ、()かった…」

店主(てんしゅ)は、胸元(むなもと)()()ててホッと(むね)()()ろす。


「ねぇ、エルク」

「ん?」

アリスはエルクの(そで)(かる)()()り、ヨーヨーすくいの屋台(やたい)指差(ゆびさ)した。


「あ、そうだ。せっかくだし、(しずく)にも()ってあげるよ」


「え?(なに)をですか?」


(まつ)りと()えば、定番(ていばん)だろ?ヨーヨー」


「じゃあ、(わたし)二人(ふたり)(ぶん)のリンゴ(あめ)()ってくるから、二人(ふたり)(さき)()ってて」

アリスは、(すこ)(はな)れた場所(ばしょ)にあるリンゴ(あめ)屋台(やたい)(ゆび)()した。


「ありがとう、アリス。でも、一人(ひとり)大丈夫(だいじょうぶ)?」

「あの、アリスちゃん。(わたし)一緒(いっしょ)()こうか?」



「もう!二人(ふたり)(とも)心配(しんぱい)()ぎなんだから!(わたし)一人(ひとり)でも、大丈夫(だいじょうぶ)()まっているわよ」


「なら、()いけど」


「で、でも、そ、その…心配(しんぱい)してくれて、あ、ありがとう…」

アリスは、(ほお)(あか)()めて()ずかしそうに視線(しせん)()らしてお(れい)()った。


エルクと(しずく)は、お(たが)(かお)()わせてクスクスと(わら)った。


「な、(なに)よ!二人(ふたり)して!もう!二人(ふたり)は、(さき)()っててよね!」

()ずかしくなったアリスは、(かお)(あか)()めて大声(おおごえ)()して誤魔化(ごまか)す。


「うん、わかったよアリスちゃん。ありがとう」


「それは、()いけど。集合場所(しゅうごうばしょ)何処(どこ)にする?」


「そ、そうね…。集合場所(しゅうごうばしょ)はヨーヨーの屋台(やたい)()いわよ」

アリスは、口元(くちもと)()()てて(かんが)えて場所(ばしょ)指定(してい)した。


「わかった。じゃあ、()()けてアリス」


「もう、心配性(しんぱいしょう)なんだから。まぁ、(わたし)(まか)せなさい!あ、そうだ。ねぇ、(しずく)


(なに)?アリスちゃん」


(わたし)()使(つか)わなくって()いわよ。自分(じぶん)気持(きも)ちに素直(すなお)になって()いからね」

アリスは(しずく)とすれ(ちが)(とき)小声(こごえ)(ささや)き、リンゴ(あめ)販売(はんばい)している屋台(やたい)()(あし)()かった。


アリスの(ささや)きを()いた(しずく)(かお)()()()まり、(かお)()せた。


「じゃあ、(しずく)俺達(おれたち)()こう」

エルクは(しずく)()(かえ)り、(しずく)()(にぎ)る。


「う、うん」

エルクからキュッと()(にぎ)られた(しずく)は、(かお)()げて(うれ)しそうに微笑(ほほえ)んだ。


「ん?どうした?(しずく)(なん)()いことでもあった?」


「フフフ…さぁ、どうでしょう?エルク(くん)には内緒(ないしょ)ですよ。フフフ…」

(しずく)は、(ゆび)(うご)かして恋人(こいびと)(つな)ぎ(お(たが)いの(ゆび)交互(こうご)(から)ませる)をした。


(なに)それ?物凄(ものすご)()になるんだけど。(おし)えてくれよ、(しずく)()いだろ?」


「エルク(くん)だけには、秘密(ひみつ)です」

(しずく)は、人差(ひとさ)(ゆび)口元(くちもと)()ててウィンクする。


「ん~。物凄(ものすご)()になるけど、まぁ、(しずく)(うれ)しいなら()いか」

エルクは()いている()自身(じしん)(あたま)()き、(しずく)笑顔(えがお)()かべたままエルクに()()いながら一緒(いっしょ)(ある)く。




エルクは(しずく)一緒(いっしょ)に、午前中(ごぜんちゅう)にアリスと一緒(いっしょ)(おとず)れたヨーヨー()りの屋台(やたい)辿(たど)()いた。


「ん?午前中(ごぜんちゅう)可愛(かわい)いお(じょう)ちゃんと一緒(いっしょ)(おとず)れた(ぼう)やか。って、おい!今度(こんど)(しずく)(さま)とデートだと!?」


「デ、デートだなんて…」

()ずかしそうに(ほお)(あか)()める(しずく)


「こ、これは、大変(たいへん)失礼(しつれい)しました。(ぼう)やは案内人(あんないにん)だったのですね。(わたくし)多大(ただい)なる勘違(かんちが)いをしてしまい、大変(たいへん)(もう)(わけ)ありませんでした。どうか、お(ゆる)(くだ)さい」

「……。」

屋台(やたい)のおじさんは(あわ)てて()(なお)して、(しずく)表情(ひょうじょう)一変(いっぺん)して(くら)くなり(しずく)周囲(しゅうい)空気(くうき)がビリビリと()りつめる。


「お、おじさん、今回(こんかい)一回分(いっかいぶん)だけど(たの)むよ。はい、お(かね)

(しずく)変化(へんか)気付(きづ)いたエルクは、(あわ)ててお(かね)()()して屋台(やたい)のおじさんに(わた)した。


「お、おう…」

屋台(やたい)のおじさんも(しずく)変化(へんか)気付(きづ)いて戸惑(とまど)っていたが、エルクに(かみ)(ひも)()(ばり)がついた(ひも)(わた)す。


「し、(しずく)、どれが()い?」


「え?」

(しずく)は、エルクに(こえ)()けられて(われ)(かえ)り、()()めた空気(くうき)(きり)(よう)霧散(むさん)した。


「え?って、(おれ)は、ただ、どのヨーヨーが()しいのか()いているのだけど。(おし)えてくれたら、(おれ)()ってやるよ」

表情(ひょうじょう)()さずにエルクは、ホッと(むね)()()ろす。


「え~っと、そうですね…。あっ、あの全体(ぜんたい)水色(みずいろ)(ちい)さな金魚(きんぎょ)沢山(たくさん)(えが)かれているのが()いかな」

(なや)んだ(しずく)は、右端(みぎはし)にある金魚(きんぎょ)絵柄(えがら)全体(ぜんたい)水色(みずいろ)ヨーヨーを指差(ゆびさ)した。


「わかった。じゃあ、移動(いどう)しよう。ほいっと…」

エルクは(しずく)()(にぎ)ったまま右側(みぎがわ)移動(いどう)して、(こし)()として(しずく)(えら)んだヨーヨーをすくい()げた。


「はい、(しずく)

エルクは笑顔(えがお)()かべて、(となり)にいる(しずく)にヨーヨーを(わた)した。


「あ、ありがとう、エルク(くん)大切(たいせつ)にするね」

ヨーヨーを()()った(しずく)は、(ほお)(あか)()めながら大切(たいせつ)そうにヨーヨーを両手(りょうて)(やさ)しく()って微笑(ほほえ)んだ。


「お、(おれ)も、そんなに(よろこ)んでくれると(うれ)しいよ。それに、去年(きょねん)プレゼントした髪止(かみど)めを使(つか)ってくれてありがとう、(しずく)

(しずく)笑顔(えがお)()とれたエルクは、去年(きょねん)(わた)した髪止(かみど)めに(はなし)()えた。


「う、うん…。とても()()っているから大切(たいせつ)使(つか)っているよ」

(しずく)は、(うれ)しそうに(あたま)()けているエルクから(もら)った(ゆき)結晶(けっしょう)(かたち)をした髪止(かみど)めに()れる。


()かった、()()って(もら)えて。あ、アリスだ。こっちだ、こっちアリス」

()ずかしくなったエルクは、偶然(ぐうぜん)、アリスを発見(はっけん)してアリスに()かって手を(て)()って誤魔化(ごまか)す。


「ごめん、お()たせ。()たせた?」

アリスは、エルクと(しずく)()けつけた。


「ううん、大丈夫(だいじょうぶ)だよアリスちゃん。丁度(ちょうど)(いま)()って(もら)ったところだから」


「そうなの?()かったわ。そうだ。はい、二人(ふたり)(ぶん)のリンゴ(あめ)

アリスはホッとし、()ってきたリンゴ(あめ)をエルクと(しずく)(わた)した。


「ありがとう、アリスちゃん」


「ありがとう、アリス」

(しずく)とエルクはお(れい)()い、三人(さんにん)は、屋台(やたい)(ちか)くにあったベンチに(こし)かけてリンゴ(あめ)()べた。


()()えたし、じゃあ、(つぎ)()こうか」


「ええ、そうね」

「うん」

アリスと(しずく)はエルクと()(つな)ぎ、三人(さんにん)(ある)()した。


(うらや)ましいぜ、(ぼう)や。両手(りょうて)(はな)だなんてよ」

(なん)だ?あの美少女(びしょうじょ)二人(ふたり)は…?」

「ねぇ、あの子って、(しずく)(さま)じゃない?」

「まさか…」

屋台(やたい)のおじさんは(つぶ)き、道中(どうちゅう)にエルク(たち)()男達(おとこたち)(うらや)ましいそうにし、女性達(じょせいたち)(しずく)だと(かん)づいたが(だれ)もエルク(たち)(こえ)()けずに見送(みおく)った。




エルク(たち)(しばら)(ある)いていると、エルクとアリスが午前中(ごぜんちゅう)金魚(きんぎょ)すくいの屋台(やたい)出会(であ)った父親(ちちおや)(むすめ)遭遇(そうぐう)した。


「あっ!金魚(きんぎょ)すくいのお(にい)ちゃんだ!」


「また()ったな。イエーイ」

エルクは、(こし)()として両手(りょうて)(まえ)()した。


「いえーい!」

少女(しょうじょ)は、エルクに()()って(うれ)しそうに無邪気(むじゃき)笑顔(えがお)()かべて両手(りょうて)でエルクの両手(りょうて)にタッチした。


「そうだ、せっかくだし、面白(おもしろ)いものを()せてあげるかな」


面白(おもしろ)いもの?」

(むすめ)(あたま)(かし)げる。


「うん、そうだよ。ちょっとした手品(てじな)()せてあげる。ところで、名前(なまえ)は?」


幸美(ゆきみ)だよ。パパは義也(よしや)って()うんだよ」


(むすめ)紹介(しょうかい)した(とお)り、(わたし)義也(よしや)()います。」


(あらた)めまして、よろしくお(おねが)いします義也(よしや)さん、幸美(ゆきみ)ちゃん。(おれ)はエルクです。(みぎ)にいるのがアリスで、(ひだり)にいるのが(しずく)です」

エルクに紹介(しょうかい)されたアリスと(しずく)は、会釈(えしゃく)した。


「よろしく!エルクお(にい)ちゃん、アリスお(ねえ)ちゃん、(しずく)(ねえ)ちゃん」


「じゃあ、(おれ)(すこ)準備(じゅんび)してくるから、ここで()っていてくれ」


「うん!」

「わかったわ」

「はい」



「あの失礼(しつれい)ですが、(しずく)(さま)はこの(くに)の【(みず)巫女(みこ)】であられるあの(しずく)(さま)ですよね?それに、そちらのアリス(さま)は、もしや、ライティア(こく)(ひめ)の【疾風(しっぷう)のヴァルキュリア】であられるアリス(ひめ)でおられますか?」


「ええ、そうだけど」

「はい、()ってます」

アリスと(しずく)は、(うなず)いた。


「……。」

「わぁ~。お(ねえ)ちゃん(たち)、お姫様(ひめさま)だったんだ!()いな~!」

義也(よしや)呆然(ぼうぜん)()()くしていたが、一方(いっぽう)幸美(ゆきみ)()(かがや)かせてはしゃぐ。


「それにしても、エルク(くん)って、手品(てじな)もできるなんて意外(いがい)だね。アリスちゃん」


「ええ、(わたし)()らなかったわ。まぁ、(わたし)手品(てじな)のトリックを見破(みやぶ)ってみせるわ」


「ハハハ…」

アリスのギラギラと()えている()()(しずく)苦笑(にがわら)いを()かべた。


「お()たせ!じゃあ、(はじ)めよう。レディ&ジェントルマン。さぁ、()ってらっしゃい()てらっしゃい、(ゆめ)はないけど、(たね)仕掛(しか)けもある手品(てじな)(はじ)まり(はじ)まり~」


「わ~」

「「ハハハ…」」

幸美(ゆきみ)(うれ)しそうに(ひとみ)(かがや)かせながらパチパチと拍手(はくしゅ)し、アリスと(しずく)苦笑(にがわら)いを()かべた。


(まわ)りにいた人々(ひとびと)も、エルクの場所(ばしょ)に続々(ぞくぞく)と(あつ)まってくる。


「ではまず、ここにクジのハズレ(しょう)()()れた透明(とうめい)変哲(へんてつ)もないプラスチック(せい)使(つか)()てコップが1つあります。(みんな)(わた)すから(なに)細工(さいく)されていないか、(まわ)して確認(かくにん)してくれ」

エルクは右手(みぎて)でコップを()()げて幸美(ゆきみ)(わた)し、幸美(ゆきみ)はアリスに(わた)してアリスは(しずく)にと次々(つぎつぎ)に(わた)して全員(ぜんいん)確認(かくにん)させる。


「では、(つぎ)にこれもまたクジのハズレ(しょう)景品(けいひん)のプラスチック(せい)のミカンの模型(もけい)があります。これも、(なに)細工(さいく)されてないか確認(かくにん)してくれ」

コップを()()ったエルクはコップをテーブルに()いて、右手(みぎて)でミカンの模型(もけい)()って(ふたた)幸美(ゆきみ)(わた)してアリス(たち)(まわ)して()せていく。


最後(さいご)使(つか)うのは、これも(おな)じくクジのハズレ(しょう)未開封(みかいふう)のミネラルウォーター2リットル。はい、確認(かくにん)してくれ。そして、最後(さいご)確認(かくにん)した(ひと)はキャップを()けて(おれ)(かえ)してくれ」

エルクは、再度(さいど)幸美(ゆきみ)(わた)して確認(かくにん)させていき、最後(さいご)()()った(しずく)がペットボトルのキャップを()けてテーブルに()いた。


「では、準備(じゅんび)(ととの)ったところで、おまちかねの手品(てじな)(はじ)めます。まずは、このコップにミネラルウォータを(そそ)ぎます。そして、右手(みぎて)でミカンの模型(もけい)(にぎ)ってミカンのエキスのパワーを(しぼ)()します。そして、ミカンの模型(もけい)(にぎ)った右手(みぎて)でコップの(まわ)りを時計回(とけいまわ)りに(まわ)し、(つぎ)左手(ひだりて)でコップの(ふち)(てのひら)(おさ)えてシャッフルすると、(なん)ということでしょうコップの(なか)のミネラルウォーターは、どんどんオレンジ(いろ)変化(へんか)していくではありませんか」

エルクがコップをシャッフルしていくと透明(とうめい)だったミネラルウォーターがオレンジ(いろ)変化(へんか)していった。


(すご)い!どうして?(なん)で?(なん)で?」

(ひとみ)(かがや)かせてコップを間近(まじか)()幸美(ゆきみ)


「フフフ…。まだ(おどろ)くのは(はや)いよ。これは、ただ(いろ)変化(へんか)しただけじゃないんだよ。幸美(ゆきみ)ちゃん、(すこ)()めて」


「うん。す、(すご)い!ミカンの(あじ)がする!(すご)い!(すご)い!」


(うそ)!?本当(ほんとう)だわ。ねぇ、エルク。あなた、どうやったの?」


「わ、(わたし)()りたいです」


「チッチッチッ!企業秘密(きぎょうひみつ)だから残念(ざんねん)ながら無理(むり)(なん)せこれぞ、ハンドパワーですから」


「もう、(おし)えくれたって()いじゃない。(なに)企業秘密(きぎょうひみつ)なのよ、エルクのケチ」


「アハハ…。わからないから、(たの)しいんだよアリス。じゃあ、(つぎ)いくよ」


「うん!」

幸美(ゆきみ)は、ワクワクしながら返事(へんじ)をした。


今度(こんど)は、このクジのハズレ(しょう)()()れたトランプを使(つか)う」

エルクは、トランプの(はこ)からトランプを()()して、ダイアとスペードのA(エース)()()して(わき)()き、()っているトランプを表向(おもてむ)きに(ひろ)げて()ざっているかを()せてトランプをまとめた。


「じゃあ、(おれ)がテーブルにカード一枚(いちまい)ずつ裏向(うらむ)きに(かさ)ねて()いていくから、幸美(ゆきみ)ちゃんは()きな(とき)にストップと()ってくれ。そしたら、(おれ)()くのを()めるから、幸美(ゆきみ)ちゃんが、そこのA(エース)一枚(いちまい)表向(おもてむ)きに()いて(かさ)ねて()しい」


「うん、わかった」


「じゃあ、(はじ)めるよ」

エルクは、テーブルにトランプを裏向(うらむ)きに一枚(いちまい)ずつ()いて(かさ)ねていく。


「ストップ!」

幸美(ゆきみ)()(まえ)()して大声(おおごえ)()し、エルクは()()めた。


「じゃあ、幸美(ゆきみ)ちゃん。(わき)()いてある()きな方のA(エース)一枚(いちまい)()って、テーブルに()いてある裏向(うらむ)きのトランプの(うえ)表向(おもて)きで()いて」


「うん!わかった。はい、()いたよ!エルクお(にい)ちゃん」


「ありがとう、じゃあ、テーブルの(うえ)のトランプを()っているトランプの(した)(かさ)ねるよ。そして、また(おな)じようにトランプを裏向(うらむ)きで()いていくから()きな(とき)にストップと()ってくれ」


「うん!わかった!」

幸美(ゆきみ)返事(へんじ)をしたので、エルクは(ふたた)びトランプを一枚(いちまい)一枚(いちまい)(かさ)ねていく。


「ストップ!」

幸美(ゆきみ)合図(あいず)で、(ふたた)びエルクはトランプを(かさ)ねていくのを()めた。


「じゃあ、幸美(ゆきみ)ちゃん、また(おな)(よう)にトランプを()いてくれ」


「はい、()いたよ」


「ありがとう。じゃあ、また(おな)じようにテーブルのトランプを()っているトランプの(した)(かさ)ねます。そして、人差(ひとさ)(ゆび)でトランプの(うえ)(えん)(えが)くように三回(さんかい)まわしてトランプの表面(ひょうめん)をトントンっと三回(さんかい)(さわ)って1、2、3!はい!」

エルクは、テーブルの(うえ)のトランプを()っているトランプの(した)(かさ)ねて左手(ひだりて)()ち、右手(みぎて)人差(ひとさ)(ゆび)でトランプの(うえ)三回(さんかい)(えん)(えが)いた(あと)三回(さんかい)トントン…とタッチしながら(かぞ)えて最後(さいご)右手(みぎて)(ゆび)()らした。


「じゃあ、トランプを()やすく一列(いちれつ)()ばすよ」

エルクは、右手(みぎて)()っているトランプをテーブルの左側(ひだりがわ)()いて右側(みぎがわ)にスライドさせる。


トランプは、綺麗(きれい)(よこ)一直線(いっちょくせん)(ひろ)がり、一枚(いちまい)一枚(いちまい)半分(はんぶん)()える(よう)(なら)んだ。


そこには、幸美(ゆきみ)()いた表向(おもてむ)きのダイアとスペードA(エース)二枚(にまい)以外(いがい)(すべ)裏向(うらむ)きのままだった。


「これから、不思議(ふしぎ)なことが()こります。(なん)と、(さき)ほど(ゆび)()らした(とき)に、A(エース)(ほか)A(エース)()んで()ています。さぁ、幸美(ゆきみ)ちゃん。(きみ)表向(おもてむ)きに()いた()きな(ほう)A(エース)(うえ)(かさ)なっているトランプを(めく)ってみて」


「うん!わかったよ。う~ん、じゃあ、ダイアの(うえ)のトランプのカードを(めく)るよエルクお(にい)ちゃん」

()いよ」

幸美(ゆきみ)は、ゆっくりとトランプに()()ばし、ダイアのA(エース)(うえ)(かさ)なっているトランプを(めく)るとハートのA(エース)だった。


「う、(うそ)…!?(なん)で!?(なん)で!?」

幸美(ゆきみ)は、驚愕(きょうがく)しながら自分(じぶん)表向(おもてむ)きに()いたもう一枚(いちまい)のスペードのA(エース)(うえ)(かさ)なっているトランプを(めく)るとミツバのA(エース)だった。


手品(てじな)()ていたアリス(たち)驚愕(きょうがく)した表情(ひょうじょう)()かべる。


「エルクお(にい)ちゃん、(ほか)のトランプも()ても()い?」


()いよ」

幸美(ゆきみ)は、テーブルに()いてある(のこ)った(すべ)のトランプを()()り、(ほか)A(エース)がないか確認(かくにん)する。


アリスや(しずく)、それに(まわ)りに(あつ)まった人達(ひとたち)幸美(ゆきみ)(まわ)りから(のぞ)()んで確認(かくにん)したが、A(エース)一枚(いちまい)もなかった。


(なん)で!?(なん)で!?どうやったの?エルクお(にい)ちゃん」


「ごめんね、幸美(ゆきみ)ちゃん。これも企業秘密(きぎょうひみつ)


「え~!また~」


「ごめんね、幸美(ゆきみ)ちゃん。じゃあ、(つぎ)いくよ」


「うん!」

その後、エルクは幸美(ゆきみ)やアリス、(しずく)(えら)んだカードを()てたり、トランプのテレポートなどを披露(ひろう)した。


(おれ)手品(てじな)以上(いじょう)です。お()()いありがとうございました!」

「とても(たの)しかったわ~」

坊主(ぼうず)来年(らいねん)(まつり)()手品(てじな)披露(ひろう)してくれ!絶対(ぜったい)()()くからな!」

エルクは右手(みぎて)胸元(むなもと)()ててお辞儀(じぎ)をすると、エルクの手品(てじな)()ていた人達(ひとたち)笑顔(えがお)()かべながら拍手(はくしゅ)をし歓声(かんせい)(こえ)()()盛大(せいだい)()()がった。


「どうだった?幸美(ゆきみ)ちゃん」


「うん!とても面白(おもしろ)かった!ありがとう、エルクお(にい)ちゃん」


(むすめ)だけじゃなく、(わたし)(たの)しませて(もら)いました。ありがとう、エルク(くん)


(たの)しんで(いただ)けて()かったです」


「う~。(くや)しいわ。どれもネタがわからなかったわ」


(わたし)もです。それにしても、エルク(くん)。クジでハズレを()()ぎです」


「それは、()えてるわね」

(しずく)肯定(こうてい)するアリス。

二人(ふたり)は、口元(くちもと)()()ててクスクスと(わら)った。


「~っ!」

「「アハハ…」」

エルクは苦笑(にがわら)いを()かべながら(あたま)()き、アリスと(しずく)口元(くちもと)()()ててクスクスと(わら)い、(まわ)りの人達(ひとたち)盛大(せいだい)(わら)った。


「もう、こんな時間(じかん)か。エルク(くん)、ありがとう。とても(たの)しかったよ。幸美(ゆきみ)、もう(おそ)いから(かえ)ろう。お(かあ)さんが心配(しんぱい)するから」


「うん!じゃあね、エルクお(にい)ちゃん、アリスお(ねえ)ちゃん、(しずく)(ねえ)ちゃん。バイバイ!」

「では、私達(わたしたち)失礼(しつれい)させて(いただ)きます」

義也(よしや)(あたま)()げ、幸美(ゆきみ)義也(よしや)()(つな)いでエルク(たち)()()りながら人混(ひとご)みに(まぎ)れていった。


「「幸美ちゃん、バイバイ」」

エルク(たち)は、幸美(ゆきみ)義也(よしや)姿(すがた)()えなくなるまで()()って見送(みおく)った。


「さてと、これからどうする?」

アリスは、()っていた()()ろして(たず)ねる。


「ん~。せっかくの(まつ)りだし、(しずく)(あそ)べる時間(じかん)(かぎ)られているから、もう(すこ)しだけ(まわ)って(かえ)ろうか」

「わかったわ」

「うん、ありがとう、エルク(くん)アリスちゃん」

それから、エルク(たち)屋台(やたい)(まわ)り、輪投(わな)げや射的(しゃてき)をしたり、わたあめ、()きそば、お(めん)など購入(こうにゅう)した。




(まつ)りを満喫(まんきつ)したエルク(たち)は、川原(かわら)(そば)にあるベンチに腰掛(こしか)けていた。


「う~ん…今日(きょう)随分(ずいぶん)(あそ)んだな。とても(たの)しかった」

エルクは、両手(りょうて)(うえ)()ばし背伸(せの)びをする。


「ええ、あっという()一日(いちにち)()ぎたわね」


「うん、そうだね。とても(たの)しかったよ。ありがとう、エルク(くん)、アリスちゃん」


「お(れい)()うのは、こっちだよ。ありがとう、(しずく)


「そうね、(しずく)私達(わたしたち)竜神際(りゅうじんさい)招待(しょうたい)してくれたもの。ありがとう」


「そんな、(わたし)(たい)したことしてないよ」


「そんなことないよ、とても感謝(かんしゃ)しているよ(しずく)俺達(おれたち)もこれ以上(いじょう)(おそ)くなるとジニール(さま)柳水(りゅうすい)(さま)(ほか)(みんな)心配(しんぱい)させるから、そろそろ(かえ)ろうか。アリス、(しずく)


「ええ、そうね」


「あ、あのね…。エルク(くん)、アリスちゃん」


「ん?」

(なに)(しずく)

エルクとアリスは、(しずく)()()く。


(すこ)しだけ()って…」

(しずく)は、(かお)(あか)らめながら(した)()いたままモジモジする。


「ここに()られましたか!(しずく)(さま)、アリス(さま)

(しずく)(はな)そうとした(とき)騎士団(きしだん)(たち)()けつけて(しずく)(たち)(まえ)片膝(かたひざ)地面(じめん)について敬礼(けいれい)をした。


(なに)かあったのですか?そんなに(あわ)てておられますが」

モジモジしていた(しずく)表情(ひょうじょう)一変(いっぺん)し、(いま)一国(いっこく)(ひめ)(かお)()わっており(たず)ねる。


「は、はい、それが、モラビニス(こく)潜入(せんにゅう)させていた諜報員(ちょうほういん)者達(ものたち)から、聖剣(せいけん)の【(いくさ)大魔王(だいまおう)】であられるバダカル(さま)が【ブラッド・チルドレン】7番隊(ばんたい)隊長(たいちょう)【クレイジー・ピエロ】とその部隊(ぶたい)(ほか)傭兵(ようへい)猛者(もさ)()()れて出陣(しゅつじん)したと報告(ほうこく)がありました。予想(よそう)なのですが、三日後(みっかご)にこのアクアドリーム(こく)奇襲(きしゅう)(おこな)うであろうと(おも)われます。ですので、(ただ)ちにお()(くだ)さい。国王(こくおう)様方(さまがた)が、お()ちしておられます」


「わかりました。あなた(がた)は、(さき)(もど)って(くだ)さい。私達(わたしたち)も、すぐに(もど)りますので」

(しずく)は、表情(ひょうじょう)()えずに了承(りょうしょう)指示(しじ)()した。


「「ハッ!」」

騎士団達(きしだんたち)は、その()から()()った。


「ごめんね、エルク(くん)、アリスちゃん。()()んでしまって。どうしよう…」

(しずく)は、騎士団達(きしだんたち)姿(すがた)()えなくなると不安(ふあん)表情(ひょうじょう)()わった。


不味(まず)いな。(おも)っていたよりも、随分(ずいぶん)進展(しんてん)(はや)いな。まぁ、大丈夫(だいじょうぶ)だ」

エルクは、(あご)()()てて作戦(さくせん)今後(こんど)のことを(かんが)える。


「ええ、そうね。(しずく)大丈夫(だいじょうぶ)よ。私達(わたしたち)がいるもの」


「うん。ありがとう、アリスちゃん、エルク(くん)


「ここで、(かんが)えても意味(いみ)がない。とりあえず、俺達(おれたち)(はや)(もど)ろう」


「ええ、そうね」


「うん」

エルク(たち)は、(いそ)いで水鈴邸(すいりんてい)(もど)ることにした。




水鈴邸(すいりんてい)水蓮華(すいれんか)()


部屋(へや)には、柳水(りゅうすい)瑞希(みずき)、ジニール、アリーナ、ベルだけでなく、アクアドリーム(こく)騎士団(きしだん)各部隊(かくたいちょう)隊長達(たいちょうたち)(けわ)しい表情(ひょうじょう)(せき)についていた。


「アリス、エルク、雫姫(しずくひめ)()っていたぞ」

ジニールは(うで)()んだまま、エルク(たち)一瞥(いちべつ)する。


「ごめんなさいね、三人共(さんにんとも)。せっかく(たの)しんでいたのに」

アリーナは、(もう)(わけ)ない(よう)表情(ひょうじょう)()かべて謝罪(しゃざい)をした。


「いえ、(かま)いません。それよりも、(いま)時間(じかん)がありませんので(はな)()いましょう」

エルクは、提案(ていあん)してアリス(たち)一緒(いっしょ)()いている(せき)()かう。


「ああ、そうだな。三人共(さんにんとも)、まずは(せき)についてくれ」

柳水(りゅうすい)(うなず)き、エルク(たち)(せき)につく(よう)(うなが)す。


「では、(もう)(わけ)ありませんが、できるだけ(いま)状況(じょうきょう)(くわ)しく(はな)して(いただ)けないでしょうか?」

エルクは、(いま)状況(じょうきょう)()になっていたので(たず)ねる。


貴様(きさま)!なぜ、貴様(きさま)仕切(しき)る!」

騎士団(きしだん)総隊長(そうたいちょう)であり(しずく)従兄(いとこ)千水(せんすい)激怒(げきど)し、テーブルを力強(ちからづよ)(たた)いて()()がった。


「そうだ!納得(なっとく)できん!」

「そうだ、そうだ」

各隊長達(かくたいちょうたち)(こえ)(あら)げる。


()()け!お前達(まえたち)…」

柳水(りゅうすい)は、(こま)った表情(ひょうじょう)()()ちつかそうとした。


「はぁ~、(いま)は、(あらそ)っている場合(ばあい)じゃないだろ?理由(りゆう)必要(ひつよう)ならば()ってやる。この(なか)で、【ブラッド・チルドレン】の思考(しこう)()めるのは(もと)【ブラッド・チルドレン】の(おれ)だけだからだ」


生意気(なまいき)な!我々(われわれ)の警備(けいび)(すき)一切(いっさい)ない!」

「そうだ!自意識過剰(じいしきかじょう)にもほどがあるぞ!餓鬼(がき)(くせ)に!そもそも聖霊力(せいれいりょく)もない無能(むのう)がここにいること事態(じたい)が、お門違(かどまち)いだ!調子(ちょうし)()るなよ!」

千水(せんすい)は自信満々(じしんまんまん)に(こた)え、(となり)にいる隊長(たいちょう)同意(どうい)しながらエルクを侮辱(ぶじょく)する。


聖霊力(せいれいりょく)か…。(たし)かに、(いま)(おれ)聖霊力(せいれいりょく)(まったく)くないに(ひと)しい。だが、1つ断言(だんげん)してやる。(おれ)封印(ふういん)が1つでも解除(かいじょ)されたら、この(なか)一番(いちばん)(つよ)いは(おれ)だ」


貴様(きさま)聖剣(せいけん)であられる(しずく)(さま)やアリス(さま)御前(ごぜん)で、ぬけぬけと!」

千水(せんすい)は、(こえ)(あら)げる。


(うそ)(まこと)か。ここで(ため)してみるか?お前達(まえたち)隊長(たいちょう)クラスぐらいなら聖霊力(せいれいりょく)(まった)使(つか)えない状態(じょうたい)でも()てることを証明(しょうめい)してやろうか?」

エルクは(ひとみ)(かがや)きが()え、まるで(そこ)()えない(やみ)(よう)(ひとみ)()わり、エルクから(はな)たれる圧力(プレッシャー)により周囲(しゅうい)空気(くうき)(おも)息苦(いきぐる)しくなった。


「「うっ…」」

千水(せんすい)隊長達(たいちょうたち)(いき)()み、エルクの(ひとみ)()本能(ほんのう)危険(きけん)(さっ)して恐怖(きょうふ)(からだ)(しん)から(ふる)()す。


「「くっ…」」

ジニール、柳水(りゅうすい)、ベル(たち)もエルクの圧力(プレッシャー)によって動悸(どうき)(はや)くなり()(あせ)を掻(か

)いていた。


「エルク(くん)…」

「もう!(なに)やっているのよ!エルク。(いま)味方同士(みかたどうし)(あらそ)っても不毛(ふもう)よ!それに、時間(じかん)無駄(むだ)よ!無駄(むだ)!」

エルクの右側(みぎがわ)(すわ)っていた(しずく)()(よど)み、エルクの左側(ひだりがわ)(すわ)っていたアリスは右拳(みぎこぶし)(かる)くエルクの(あたま)をこっつく。


アリスは普段通(ふだんどお)りを(よそお)っていたが、(しずく)同様(どうよう)(にぎ)っている()には()(あせ)()いていた。


「あ、ごめんアリス、(しずく)(ぼく)としたことが、つい(あつ)くなってしまった。皆様(みなさま)にも大変(たいへん)迷惑(めいわく)をお()けしました。(もう)(わけ)ありませんでした」

エルクは、()って(あたま)()げる。


「エルク、(あたま)()げて(すわ)って()しい。こちらも態度(たいど)(わる)かった。それに、(わたし)(はじ)めからエルクに指揮(しき)()って(もら)っても(かま)わないと(おも)っている」


「「柳水様(りゅうすいさま)!?」」

各隊長達(かくたいちょうたち)(こえ)(あら)げる。


(もう)(わけ)ありませんが、(わたし)反対(はんたい)です。納得(なっとく)ができません。この(もの)柳水様(りゅうすいさま)、あなた(さま)のお父上(ちちうえ)であり、我々(われわれ)帝国(ていこく)(ぐん)聖剣(せいけん)(なか)でも最強(せいけんさいきょう)(うた)われた【九頭竜(くずりゅう)】の一頭(いっとう)でもあり先代(せんだい)国王様(こくおうさま)()られた緑水様(りょくすいさま)()()けたのですよ。なぜ、この(もの)(かた)()つのですか!それに、なぜ、この(もの)(いま)すぐにでも処刑(しょけい)をなされないのですか?」

千水(せんすい)()()がり、エルクを指差(ゆびさ)して柳水(りゅうすい)(うった)えかける。


「「そうだ!そうだ!(ただ)ちに処刑(しょけい)だ!」」

各隊長達(かくたいちょうたち)も、大声(おおごえ)()して賛同(さんどう)する。


「……。」

アリスは(こぶし)(つよ)(にぎ)()め、眉間(みけん)(しわ)()せて我慢(がまん)する。


「お前達(まえたち)()()け!それには無論(むろん)明確(めいかく)理由(りゆう)がある。エルクは、かの【ブラッド・チルドレン】の四番隊(よんばんたい)隊長(たいちょう)(しろ)死神(しにがみ)白夜叉(しろやしゃ)】と(おそ)れられた人物(じんぶつ)だ。お前達(まえたち)(わす)れてはいないだろ?(だれ)もが能力者(のうりょくしゃ)人数(にんずう)(おお)帝国(ていこく)優先(ゆうせん)()われ(おも)っていた。しかし、すぐに決着(けっちゃく)がつくかと(おも)った(あらそ)いは苦戦(くせん)()いられ、我々(われわれ)、帝国軍(ていこくぐん)はレジスタンスの【ブラッド・チルドレン】の戦略(せんりゃく)()いようにあしらわれ、多大(ただい)被害(ひがい)(こうむ)った。そう…聖剣(せいけん)(なか)でも、帝国(ていこく)(だれ)もが最強(さいきょう)(みと)めた帝国(ていこく)の9(にん)聖剣(せいけん)九頭竜(くずりゅう)】が半分(はんぶん)以上(いじょう)(たお)され、(のこ)った4(にん)(いま)四宝(しほう)】と()われている。(いま)は、元【ブラッド・チルドレン】だからとか敵討(かたきう)ちの対象(たいしょう)だからとか、(いま)はそんなことを()にするよりも、一番大事(いちばんだいじ)なのは国民(こくみん)安全(あんぜん)だ。(ちが)うか?お前達(まえたち)

柳水(りゅうすい)は、(するど)眼光(がんこう)千水(せんすい)隊長達(たいちょうたち)見渡(まわた)す。



「そうですが…」

千水(せんすい)()(よど)み、隊長達(たいちょうたち)(しず)まり(かえ)り渋々(しぶしぶ)と肯定(こうてい)するしかなかった。


「それに、エルクに(たよ)りきって(すべ)てを(まか)せる(わけ)ではない。(すこ)しでも、勝利率(しょうりりつ)()げるために我々(われわれ)も意見(いけん)()()いながら協力(きょうりょく)する。()いな?」


「……わかりました」


「エルクも、それで()いか?」


「はい」


「では、()()わせを(はじ)めよう。もう時間(じかん)(あま)りないからな」

柳水(りゅうすい)一度(いちど)()(つむ)り、深呼吸(しんこきょう)をして(はな)(すす)める。


「では、まず相手(あいて)大体(だいたい)戦力(せんりょく)()りたいのですが」


千水(せんすい)総隊長(そうたいちょう)説明(せつめい)(たの)む」


「ハッ!相手(あいて)(おも)警戒(けいかい)すべき人物(じんぶつ)は、聖剣(せいけん)の【(いくさ)大魔王(だいまおう)】と()われていますバダカル(さま)と【ブラッド・チルドレン】7番隊(ばんたい)隊長(たいちょう)である【クレイジー・ピエロ】の二人(ふたり)だと(おも)います」

千水(せんすい)は、その()()()がり、まとめてある資料(しりょう)()()げながら説明(せつめい)した。


「うむ。やはり、その二人(ふたり)か…」

柳水(りゅうすい)は、納得(なっとく)しながら(うなず)く。


「だな。だが、こちらには聖剣(せいけん)である愛娘(まなむすめ)疾風(しっぷう)のヴァルキュリア】のアリス、柳水(りゅうすい)殿(どの)(むすめ)である【(みず)巫女(みこ)】である(しずく)、それに【(しろ)死神(しにがみ)白夜叉(しろやしゃ)】であるエルクが()る。戦力的(せんりょくてき)にこちらが有利(ゆうり)だ」

ジニールは、肯定(こうてい)しながら戦力(せんりょく)分析(ぶんせき)する。


「そうね」

「ええ」

アリーナと瑞希(みずき)肯定(こうてい)し、アリスと(しずく)無言(むごん)力強(ちからづよ)(うなず)いた。


しかし、この()いる(なか)一人(ひとり)だけエルクが否定(ひてい)する。

「いや、その二人(ふたり)だけじゃない。もっとも厄介(やっかい)相手(あいて)がいる」


「それは、(だれ)だ?傭兵(ようへい)(なか)にいるのか?千水(せんすい)総隊長(そうたいちょう)(ほか)(だれ)がいる?」


「いえ、そんな情報(じょうほう)一切(いっさい)(はい)ってきていませんが」

千水(せんすい)は、(あわ)てながら()っている資料(しりょう)(めく)りながら確認(かくにん)する。


「エルク、お(ぬし)警戒(けいかい)しているのは(だれ)だ?」

ジニールは、エルクに(たず)ねる。


「7番隊(ばんたい)副隊長(ふくたいちょう)のナーヤです。ナーヤは(ほか)のどの部隊(ぶたい)副隊長(ふくたいちょう)(くら)べたら(よわ)いのですが、味方(みかた)身体能力(しんたいのうりょく)向上(こうじょう)させて強化(きょうか)するサポーターの能力者(のうりょくしゃ)で、とても厄介(やっかい)人物(じんぶつ)ですので、(もっと)警戒(けいかい)する人物(じんぶつ)だと(おも)います」


「「~っ!」」


「なるほどね、納得(なっとく)したわ。だから、【クレイジー・ピエロ】の部隊(ぶたい)だけ、(あき)らかに(ほか)部隊(ぶたい)より(つよ)かったのも(うなず)けるわね」

「そうですね」

右手(みぎて)右頬(みぎほお)()てながら深刻(しんこく)表情(ひょうじょう)(おも)()しながら(はな)すアリスに、(しずく)肯定(こうてい)した。


「あと、ドロシー。いや、【クレイジー・ピエロ】の相手(あいて)(おれ)がするつもりです」


「おい!なぜ、貴様(きさま)相手(あいて)をするんだ!さては、わざと()けたり、こちらの情報(じょうほう)横流(よこなが)したりするんじゃないのか?」

千水(せんすい)は、納得(なっとく)できずに(こえ)(あら)げる。


「あなたねぇ!さっきから…」

我慢(がまん)ができなかったアリスは、不機嫌(ふきげん)表情(ひょうじょう)()かべながら千水(せんすい)(するど)眼光(がんこう)(にら)みつけた。


「まぁ、()()けアリス。理由(りゆう)簡単(かんたん)です。【クレイジー・ピエロ】の武器(ぶき)(けん)(やり)大剣(たいけん)とかじゃなく、(めずら)しい(むち)なので、(たたか)(かた)(ほか)者達(ものたち)(くら)べたら特殊(とくしゅ)です。なので、(むち)との戦闘経験(せんとうけいけん)(すく)ないアリスや(しずく)では苦戦(くせん)()いられると判断(はんだん)したまでです」


「おい!貴様(きさま)雫様(しずくさま)とアリス(さま)無礼(ぶれい)だぞ!(いま)、この()(いま)発言(はつげん)()()し、謝罪(しゃざい)をしろ!それに、武器(ぶき)のリーチのことを()っているなら(なに)問題(もんだい)ない!(とく)雫様(しずくさみ)は、相手(あいて)がリーチの(なが)(やり)大剣(たいけん)使用(しよう)していることを想定(そうてい)して日々(ひび)訓練(くんれん)をしている!」


「「そうだ!そうだ!」」

(かく)隊長(たいちょう)(たち)千水(せんすい)同意(どうい)して(こえ)()す。


「おい、(むち)(やり)大剣(たいけん)(おな)じと(おも)っている時点(じてん)三下確定(さんしたかくてい)だな。三下(さんした)は、大人(おとな)しく(だま)っていろ。お前達(まえたち)のせいで(はなし)(すす)まない」

堪忍袋(かんにんぶくろ)()れたエルクは、喧嘩腰(けんかごし)になる。


「「(なん)だと!」」


「はぁ、仕方(しかた)ない。事実(じじつ)()っただけなんだが。それに、言葉(ことば)説明(せつめい)しても(あたま)()(のぼ)っている(いま)のお前達(まえたち)三下(さんした)には無意味(むいみ)だろうから、この()(からだ)(おし)えてやる」

ため(ため)()きながら提案(ていあん)するエルク。


「ちょっと、エルク!」

「エルク(くん)!」

アリスと(しずく)は、(こえ)(あら)げる。


()わせておけば、ぬけぬけと。ふん、()いだろう!この(くに)守護(しゅご)する(われ)騎士団(きしだん)(ちから)()せてやる!」

千水(せんすい)は、右手(みぎて)人差(ひとさ)(ゆび)(まえ)()してエルクを指差(ゆびさ)す。


千水(せんすい)総隊長(そうたいちょう)!」

「あなた(たち)ねぇ、いい加減(かげん)に…」


雫様(しずくさま)、アリス(さま)大変(たいへん)(もう)(わけ)ありませんが、ここは(ゆず)れません。これは、我々(われわれ)のプライドの問題(もんだい)です。我々(われわれ)を、三下(さんした)三下(さんした)愚弄(ぐろう)した、この(おろ)(もの)天誅(てんちゅう)(あた)えなければ()(おさ)まりません。柳水(りゅうすい)(さま)、ジニール(さま)(わたし)死神(しにがみ)との決闘(けっとう)をさせて(いただ)けないでしょうか?」

(しずく)とアリスは()めようとしたが、千水(せんすい)(あたま)左右(さゆう)()って拒否(きょひ)して謝罪(しゃざい)をした。


総隊長(そうたいちょう)俺達(おれたち)加勢(かせい)させて(もら)うぜ」


「そうだ!(おれ)もだ!」


「いや、()て、お前達(まえたち)気持(きも)ちはわかるが、これは(わたし)死神(しにがみ)決闘(けっとう)だ。(わたし)一人(ひとり)で…」



(べつ)何人(なんにん)いようと(おれ)(かま)わない。それで、納得(なっとく)してくれるならな。だが、(おれ)()ったら、これからは文句(もんく)()わずに素直(そっちょく)(したが)って(もら)う」


()いだろう。だが、我々(われわれ)が勝利(しょうり)した場合(ばあい)貴様(きさま)即刻(そっこく)このアクアドリーム(こく)から()()って(もら)う。だいたい、お(まえ)みたいな【ブラッド・チルドレン】の(もの)()()りずとも我々(われわれ)だけで十分(じゅうぶん)なのだ。それに、アリス(さま)力添(ちからぞ)えをして(くだ)さる。()ける要素(ようそ)など(なに)一つもない!柳水様(りゅうすいさま)、ジニール(さま)何卒(なにとぞ)決闘(けっとう)許可(きょか)を…」


「……。仕方(しかた)あるまい、お(たが)いの実力(じつりょく)()るのも大切(たいせつ)だ。その決闘(けっとう)(みと)めよう。日時(にちじ)はどうする?」

柳水(りゅうすい)はジニールに視線(しせん)()けると、ジニールは(うなず)いたので柳水(りゅうすい)決闘(けっとう)承認(しょうにん)した。


私共(わたしども)は、(いま)すぐでも(かま)いません」


「エルク、お(ぬし)は?」


(わたし)(いま)すぐでも(かま)いませんが、この着物(きもの)はおろしたてですので着替(きが)えたいと(おも)います。なので、30(ぷん)ほど時間(じかん)(いただ)きたいのですが」


「わかった。では、30分後(ぷんご)訓練場(くんれんじょう)にて決闘(けっとう)開始(かいし)する。()いな?」


「「ハッ!」」

エルクと千水(せんすい)、それに隊長達(たいちょうたち)()()がって敬礼(けいれい)をした。




【アクアドリーム(こく)闘技場(とうぎじょう)


闘技場(とうぎじょう)は、(ねん)に2(かい)ある騎士団(きしだん)入隊試験(にゅうたいしけん)実技試験(じつぎしけん)(ねん)に1(かい)(おこな)われる騎士団達(きしだんたち)昇格(しょかく)降格(こうかく)する実技試験(じつぎしけん)などに使(つか)われている。


今回(こんかい)審判(ジャッジ)をするベルとエルクと(たたか)千水(せんすい)など各騎士団(かくきしだん)隊長達(たいちょうたち)10(にん)(うで)()んでエルクが(あらわ)れるのを()っていた。


闘技場(とうぎじょう)上層部(じょうそうぶ)には高価(こうか)装飾(そうしょく)(ほどこ)され見渡(みわた)しの()場所(ばしょ)には、ジニール、柳水(りゅうすい)、アリーナ、瑞希(みずき)豪華(ごうか)椅子(いす)(すわ)って見守(みまも)っている。


観客席(かんきゃくせき)には、今回(こんかい)国民(こくみん)一人(ひとり)もいないが、()わりに(せき)()めつく(よう)騎士団達(きしだんたち)椅子(いす)(こし)かけている。


隊長達(たいちょうたち)大人気(おとなげ)ないよな。相手(あいて)は、子供(こども)一人(ひとり)だぞ」


「だよな。ハハハ…時間(じかん)無駄(むだ)だよな」


「いや、(おれ)隊長達(たいちょうたち)判断(はんだん)(ただ)しいと(おも)う。相手(あいて)子供(こども)だからと(あなど)らない(ほう)賢明(けんめい)判断(はんだん)だと(おも)う」


「だな、子供(こども)って()っても相手(あいて)は、あの【ブラッド・チルドレン】だ。しかも、あいつは、【(しろ)死神(しにがみ)白夜叉(しろやしゃ)】だぞ」

騎士団達(きしだんたち)見解(けんかい)見事(みごと)()かれた。


「ああ、勿論(もちろん)それは()っているさ。だが、聖剣(せいけん)疾風(しっぷう)のヴァルキュリア】であられるアリス(さま)とライティア(こく)二重(にじゅう)制約封印(せいやくふういん)によって、死神(しにがみ)(いま)(まった)くと()って()いほど聖霊力(せいれいりょく)使(つか)えない状態(じょうたい)なんだぞ。そんな状態(じょうたい)()てる(わけ)がない。そこまで()うんなら、()けようぜ?隊長達(たいちょうたち)死神(しにがみ)、どっちらが()つかをな。勿論(もちろん)(おれ)隊長達(たいちょうたち)五千(ごせん)()けるがな」


(おれ)隊長達(たいちょうたち)二千(にせん)!どうした?お前達(まえたち)(おじ)()ついたか?」


気乗(きの)りはしないが、(おれ)死神(しにがみ)(せん)だ」


「じゃあ、(おれ)死神(しにがみ)二千(にせん)!」


「なら、(おれ)隊長達(たいちょうたち)三千(さんぜん)!」


「ところでさ、死神(しにがみ)武器(ぶき)(なに)(えら)ぶんだ?聖霊力(せいれいりょく)がないから能力(ちから)武器(ぶき)召喚(しょうかん)できないだろ?だから、倉庫(そうこ)にある武器(ぶき)(えら)ぶか(ちか)くの武器屋(ぶきや)()いている武器(ぶき)になるよな?」


死神(しにがみ)なんだから大鎌(おおがま)だろ?」


「いやいや、普通(ふつう)(かんが)えてみろ。この(くに)に、大鎌(おおがま)なんかないぞ。おそらく無難(ぶなん)(けん)だろ」


「だな」


「おっ、やっと死神(しにがみ)()たぞ。な、(なん)だ!?」

騎士団達(きしだんたち)()けに()()がっていた(とき)騎士団(きしだん)一人(ひとり)がエルクに気付(きづ)いたがエルクが()っている(もの)驚愕(きょうがく)した。


エルクは(けん)大鎌(おおがま)()っておらず、その()には数枚(すうまい)のタオルをタオルの(はし)(はし)(むす)んで大蛇(だいじゃ)(よう)(なが)くした一本(いっぽん)のタオルを左右(さゆう)()()っていた。


「すまん、(わる)いが、死神(しにがみ)(せん)()けていたが隊長達(たいちょうたち)(ほう)()けなおさせて(もら)う」


「お、(おれ)も」

エルクに()けていた騎士団達(きしだんたち)は、エルクの姿(すがた)()て続々(ぞくぞく)と隊長達(たいちょうたち)(ほう)()(なお)していき、()()けば(だれ)一人(ひとり)エルクに()けている(もの)はいなかった。


「おいおい、全員(ぜんいん)隊長達(たいちょうたち)()けたなら、()けにならないだろ!」


仕方(しかた)ないだろ。死神(しにがみ)武器(ぶき)(けん)大鎌(おおがま)じゃなく、まさかタオルで(たたか)うなんて()らなかったんだから。そもそも、(だれ)予想(よそう)できないだろ?」


「まぁ、(たし)かにな。おそらく、死神(しにがみ)(はな)から隊長達(たいちょうたち)()てないと()んで、()けた(とき)口実(こうじつ)にするんだろうな」


「やはり、時間(じかん)無駄(むだ)だったな」


「ああ、そうだな」

騎士団達(きしだんたち)興味(きょうみ)()くなり、()()がって(かえ)ろうとする。



「フフフ…。じゃあ、(わたし)はエルクに()(ほう)に1(いちまん)()けるわ!」


「「え!?」」

アリスの(こえ)()こえたので、騎士団達(きしだんたち)(うし)ろに()(かえ)るとアリスと(しずく)()た。


「ア、アリス(さま)、それに、雫様(しずくさま)

騎士団達(きしだんたち)は、(あわ)ててその()片膝(かたひざ)地面(じめん)につけて敬礼(けいれい)をする。


「お(わす)れですか?あなた(がた)は、この(くに)(ほま)(たか)騎士団(きしだん)なのですよ。騎士団(きしだん)(だい)51(じょう)騎士団(きしだん)入隊(にゅうたい)した(もの)()けなど賭博(とばく)御法度(ごはっと)です」


「「た、大変(たいへん)(もう)(わけ)ありません!」」


()(ごと)をやめるのでしたら、今回(こんかい)だけは多目(おおめ)見逃(みのが)します」


「「あ、ありがとうございます」」


(しずく)今回(こんかい)だけは賭博(とばく)(ゆる)してあげたら?」


「アリスちゃん、駄目(だめ)だよ。法律(ほうりつ)()まっているから」


相変(あいか)わらず(あたま)(かた)いわね、(しずく)は。でもまぁ、そこが(しずく)()いところなんだけど。だけど、勿体無(もったいな)いわね。せっかく、確実(かくじつ)()てる()(ごと)だったのに」

大袈裟(おおげさ)落胆(らくたん)するアリス。


「ハハハ…」

(しずく)苦笑(にがわら)いを()かべた。


「「え?」」


「あの、アリス(さま)雫様(しずくさま)死神(しにがみ)()つと(おも)われておられるのですか?」


「はい」

「そんなの()たり(まえ)でしょう。エルクは、あなた(たち)(おも)っている以上(いじょう)(つよ)いわよ。そうじゃなきゃ、(すで)に【炎帝(えんてい)のアスカ】(さま)や【氷帝(ひょうてい)のファーネ】(さま)など【四宝(しほう)様方(さまがた)がエルクを(たお)しているわよ」

(まよ)うことなく(しずく)即答(そくとう)し、アリスは()たり(まえ)かの(よう)()(こし)()てて説明(せつめい)する。


「「~っ!」」

アリスの説明(せつめい)()いた騎士団達(きしだんたち)は、(いき)()む。


「そうですね、あなた(がた)(かえ)らず、これから(はじ)まる死神(しにがみ)()ばれたエルク(くん)(たたか)いを観戦(かんせん)すれば多少(たしょう)なり(つよ)くなれると(おも)いますよ」

(しずく)はニッコリと笑顔(えがお)()かべ、騎士団達(きしだんたち)(ふたた)(せき)()きリングの(うえ)にいるエルクを真剣(しんけい)眼差(まなざ)しで()つめる。


次回、騎士団とエルクが戦います。

もし宜しければ、次回もご覧下さい。

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