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第4話 Nくん(3)
病気が悪いのではない、病気は自分が望まなくてもかかる、その原因が何であれかかる時はかかる、持病だってある、生まれつきの遺伝子が原因の事もある、だから、病気である事は誰も責められない、だが、自分で自分の状態を把握していながら、仕事仲間を死ぬ状態まで追い詰めるのは論外だ。
──その行為が人を殺した。
私は悲しかった。N君と会わなかった時間を悔やんだ。
N君の辛さは痛いように分かった、会ってさえいれば、少しでも救いになったと思えて悔しかった。本当に悔しかった。
その後その制作会社は潰れた。
ある時私は何かに呼ばれるようにその会社があったマンションに向かった。
エレベーターを降り、ドアの前に立つ。
次の入居者はまだ入っていない。
なぜここに来たかは私自身も分からなかったが、ドアを見つめた。
中から何かの気配がした。
ドアの向こう、誰もいない部屋の中で…N君が…N君が…嬉しそうにコピーをとって──いた。
私は涙が溢れた。
次から次へと溢れ出る涙を拭うこともでず、しばらく立ちすくんだ。




