第3話 はえ(2)
私は恐る恐る言った。
「その彼が後ろの人ですか?」
「やっぱりいる?」
「見えないけど感じる」
「3日前部屋に行ったら首を吊っていたのを見つけたから──そうよかった──そうじゃないかと思った」
そういうと女性は満足気に帰って行った。その事を私に聞くためだけに自宅から出社したらしい、その日私が編集室に一人でいるのを上司に聞いて…。
どっと疲れた。さすがにこんなの初めてめてだった。
その夜、編集作業を早々に切り上げてアパートに帰った私は、窓を開けてコンビニ弁当を食べていた。
すると部屋の中に一匹の蝿がいることに気がついた、テーブルの隅にとまっていた──
どうりで空気が重いはずだ。
私は蝿に向かって言った。
「お兄さん、僕にはどうにも出来ません、お経も知らないし、術など全く知りません、死んだんですからここから出て行って成仏して下さい。迷う方が妹さんの為になりません!」
そういうと蝿は飛び上がり、部屋の中をグルグルとうるさく何周かして、窓から暗闇へと──
と・び・た・っ・た
成仏したかどうかなんて判らない、でも、部屋の空気は軽くなった。
私は凄く悲しい気持ちになり女性にメールを出した。
『ごめんなさい、私には何もできません』




