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『おなか』 ─嘘のような本当のおはなし─  作者: 赤木 爽人
第2章 もりのなか
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第4話 あくむ(1)

 小学校低学年の頃、一週間に一度くらいの頻度で見る夢があった。

 それは──

 木が一本も生えていない二つの小山に挟まれた谷の間に小川が流れ、私はその小山の稜線に作られた小道を歩いている。

 夢の中でも小学二年生くらいだ。

 すると後ろから何かが追ってくる気配がする。

 はっと振り返る。

 そこにいたのは錯乱した中型犬だ。

 芝犬くらいの茶色い野犬が目を白黒させ、よだれを撒き散らし、舌を揺らして、ギャンギャンいいながらこれでもかっていう速度で迫ってくるのだ。

 驚く私は、一生懸命逃げる、走って逃げる。

 犬はドンドン近づいてくる、ギャンギャン吠える声はドンドン大きくなる。それとともに小川の流れはザーザー辺りに響きだす。

 全速力で逃げるが、足が重い、重いんだ!

 最初は速度が早かったのに、足がドンドン重くなり走る速度が遅くなる。

 私は後ろを振り向く。

 錯乱した犬は構わず追っかけてくる。

 激しく揺れ動く犬の真っ赤な舌の周りに鋭い牙が何個も見えている、口を大きく広げて、今にも襲いかかってきそうだ。

 錯乱している、犬は更に錯乱している。目は半分白目になって黒目はどこにいったか分からない。耳は早まる速度とともにブンブン揺れ動いている。「逃げなきゃ、逃げなきゃ、誰か助けて!」

 私は心の中で叫ぶが周りには誰もいない。

 前を向いて走る、いや走ってるつもりなのだが、足は更に重くなる。

 一歩進むのに時間がかかり心と裏腹にちっとも前に進まない。

 ギャンギャングルルル…すぐ背後に犬の鳴き声がして、川の響きが絶好調に激しく鳴り響いた時、鉛のように足が固まり動けなくなった!

「ああ、もう駄目だ」

 ギャン!

 ──その瞬間辺りがが真っ黒になり、ベッドの上で目が醒める。

 身体中汗だくで息も激しい。

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