一話 ロリータ・アウェイクン
唐突だが朝起きると幼女になっていた。
幼い女の子。ロリ。そうあの幼女だ。
何をいってるかわからないだろうがその通りなのだから仕方ない。
昨日はいつも通り大学帰りにバイトして、クタクタになって帰り、そのままベッドにダイブしたところまでは覚えている。起床するとご覧の有様。
目覚ましに手は届かないわ布団がやたら大きくて埋もれそうだわでなかなか苦労した。
「すげえ、白髪だよ。超ふぁんたじー」
今洗面台の鏡の前で己の姿を確認している。
見た目は完全に日本人のそれではない腰くらいまでの白髪に青い目の洋ロリである。しかもなかなか可愛い。
ふざける声も甘々の高音。違和感が拭えない。
ブカブカのTシャツをワンピースのように着て、なぜか下には子供向けではあるが女物の下着を着用していた。
小学生、良くて中学生くらいだろうか。
「どーなってんだろうなぁ……」
わけがわからない。というかこのままだと大学にもバイトにもいけないではないか。
そう悩んでいると。
ガチャリ
洗面所の戸が開けられ、母親が入ってきた。
まずい。なんて説明すれば。しかも女の子になったなんてどんな反応されるか。
背筋に冷や汗をかいている俺に母は。
「あら、おはよう」
特になんの反応も示さず、俺の隣に立って歯磨きを始める母。
「……いやいやいや!?」
思わず声を上げる。
今では見上げないと見れないほど大きな母に尋ねる。
「何よ、うるさいわねー」
「母さん、俺についてなんか思わないの!?」
「はぁ? もう時間ないんだからそういうのは後ね」
さっさと歯磨きと洗面を済ませた母は洗面所を出てってしまう。
「…………あれぇ……?」
一人残された俺は間抜けな声を上げるしかなかった。
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