表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/29

一章 『堪えきれないstruggle!』 その6

「いや結局立ち話じゃないすか……」

【まぁまぁ! 細かいことは気にせず、まずはジュースのセルフサービス!】


 内貴とエコーがやって来たのは中野ブロードウェイ地下一階のトイレの手前の通路にある、自動販売機の横だった。やや奥まった位置にあり、店が並ぶ通路からは見えず、トイレに入るなり出るなりする客もすぐに通り過ぎるので、話をするには人の邪魔にならない場所ではあるように思えた。

 色々と聞きたいこともあるので、とりあえず内貴は自動販売機で飲み物を買うことにした。あまり人が通らない場所に設置してあるせいだろう、良くわからない、ある意味挑戦的なラインナップが自販機には並んでいた。迷った末に、ナタデココ入りぶどうジュースを買ってみる。

 プルタブをおこして一口中身をあおると、わざとらしいブドウの味と一緒に小さな四角いナタデココが口の中に入ってきた。正直あまり美味しくないそれに微妙な顔をしながら、内貴は話を促す。


「それで、色々と聞きたいことはあるんですけど――」

【YES! ニューカマーへの解説もミーのタスク! なんでも説明せてやるぜ!】

「……とりあえず、その大声やめません? 俺も恥ずかしくなってくるんですけど……いや、周りに人はいないんですが……」


 エコーがさっきから響聞かせている大声に、内貴は肩をすくめて周囲をきょろきょろと見渡す。トイレでも感じたが、DJエコーの声は奇妙なくらい響き渡っているように感じられるのだ。体感では、この細い通路から中野ブロードウェイの地下の端から端までエコーの声は響くように感じられていた。

 しかしそんな風に思う内貴に対して、エコーはにやりと、深く唇の端を吊り上げた笑みを浮かべる。ぎざぎざの歯を見せつけるようなその笑みは、なんだか三日月のようだった。


【NO、NO! 心配なんてNOPROBLEM! ミーの『響き』はお前らの、熱い闘志に響くモノ! パンピーどもには聞こえねぇ!】

「ぱん……ぴー?」

【一般PEOPLES! 略してパンピー! アーユーオールライト?】

「いやいや、一般人には聞こえないって……どういうこと?」


 こんな大声で話しているというのに、エコーの声は一般人には聞こえないと言う。意味が分からず混乱していると、ち、ち、とエコーは指を振った。毎度仕草が大げさで、微妙にうざったい。


【ミーの話をする前に――ダイベニストの説明が、ニューカマーには必要サ!】

「順番に説明するってことか……」

【いぇあ! ちょいと長くなるけど聞いてくれ! ダイベニストの歴史と今を】


 そうして、エコーは語り始めた。

 ダイベニストとはなんなのかを。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ