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三章 『消せない傷をdon't miss it』 その2

 かすみとコモルを壊滅させに行くぞという提案をされたその日の夜。

 宿題を終えて自室のベッドで寝転がっていた内貴の枕元に転がっていたスマホに、メールが一通届いた。


 差出人はかすみ。

 内容は簡潔に、住所と時間。おそらく住所はかすみの家のものだろう。そして時間は待ち合わせの時間。よろしくとも、遅れるなとも、なにも書いていないそのメールを横になりながら見て、内貴はふと今更な事実に気付く。


 ……もしかして、自分は明日女の子と人生初めてデート的なことをするのでは?


 コモルを壊滅させに行く――という目的はある。しかし、女の子と二人きりでかけるという事実には変わりない。それをデートと呼べるかどうかは微妙……いやかなり怪しい……むしろかすみを女の子と意識出来るか最近ちょっと怪しい……ものではあったが。


 女の子と出かけると言うのは間違いない。

 デートではないかもしれないが。

 人生初、女の子と二人で出かけるのだ!


「……うわ」


 スマホを投げ出した内貴は、ベッドの上で『うわ』と何度か呟きながらごろごろと寝転がった。いくら変人とはいえ一応かすみも女性である。しかも休日にかすみと行動を共にするなんて初めてだ。

 いつも通りにしていれば全く問題ないというのは分かっているのだが、しかし、理屈は分かっていてもなんとも言い難い焦りが心のそこからふつふつとわきだしてくる。それはいかなる理性をもってしても止めがたい、男の本能ともいうべきものだった。

 あるいは童貞の本能だろうか。

 いずれにしても、内貴には持て余す。このまま当日まで放っておけば収まるようなものでないのは確定的に明らか!


「ど、どうにかしないと……しかし、どうすれば……」


 相談できる相手は居ない。強いて言うなら親か。両親とは大分『なんでも話せる』関係である内貴だったが、しかしこう、思春期チックな悩みを相談するのは流石に勇気が要る。

 出来れば男友達とか、そういうポジションの人間に相談したい内容だったが――そんなもの内貴には居ない。なにせクラスメイトからはガン無視喰らっているような状態なのだ。

 しかし、そこで内貴は思いついた。

 男友達は居ないが――女友達ならば、いるじゃないか、と。


「……恥ずかしいけど……そうも言ってられないよな」


 当日恥を晒してかすみに色々と笑われてしまうよりはいいだろう。かすみのことだ、一度笑い話を見つけたらしばらくいじってくるに違いない。それは嫌だ。

 そう思って、内貴は早速、高校に入ってから出来た唯一の友達、上月ももに連絡をとったのだった。


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