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駄菓子屋でのひと夏の偏愛  作者: テツヤ
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間違っていた関係か

 十時愛菜は、元彼氏の宇多田国男が年上の女性に遊ばれて捨てられたという話を聞く。愛菜は国男の失恋話に対して皆と一緒にあざけった。だが、愛菜は心の動揺に揺れる。

 そして愛菜は、独り国男に同情的だった後輩、敏子の反発を買う。愛菜が国男に同じような事をしたのだと言うのだ。


「もういっぺん言って、って言ってんだけど・・!?」


 たまに後輩を注意することはあっても、基本、優しくてマジメ人間で通っている元部長の愛菜が怒りの感情をあらわにしている。その場にいた部の後輩らはこわばってしまう。

「ちょっと、ちょっと! よしなよ、愛菜。ホラ、敏子ちゃんも取り消しなよ!」

 あわてた、愛菜の同級の桐子が間に入るのだが、敏子の方は。

「私は本当の事を言ったまでなんで。十時先輩のことだから、私は間違った事はしてないって思ってるんでしょうけどね」

「ハア!?」

 愛菜は突発的な怒りの感情が収まってくる。ただ単に後輩から侮辱されるという状況でもないと判断した、ということだ。この場は喫茶店の店内であり、ケンカしても仕方がない。ただ、敏子との議論なら受けて立とうと思った。愛菜は憤懣の態度を隠さず、椅子に座りなおす。

「言っとくけどね、敏子ちゃん。私は国男君とはつきあってたけど、恥じるようないかがわしい事はしてないんだよ・・」

「えええええ・・!?」

 意外そうな驚きの声を上げたのは桐子だった。愛菜が皆の顔を見回すと、後輩らも気まずそうな顔をしている。

「あの、みんな知ってるんですけど。十時先輩と国男君のしてたこと」

 と、敏子。

 愛菜は冷や汗をかいている。二人で”してたこと”というと、思い当たりすぎる。それは皆々が知っているはずもないこと。愛菜が思い当たったのは、国男が男同士の猥談で自分の淫らな行為を暴露をしていたことだ。

「ハハ・・、そっか、みんな国男がバラまいたくだらない話を真に受けてんだ~。でもアレって全部ヤツの嘘なわけで・・」

「だから、そうじゃないんですって」

 敏子はヤレヤレ、という感じで首を振っている。どういうことなの!?、という意味で愛菜は桐子の顔を見るのだが。

「・・あの、愛菜さぁ、たまに学校の中で国男とエッチなことしてただろ。3年生に上がってからかな」

「ゴメンナサイ! のぞく気はま~ったく無かったんですけど! たま~に、こっそりと、ええっと・・」

「そうそうそう! むしろ!二人の噂が広がらないように見守っていたんですよ! 私たち!」

「でも、いつ先輩が不純異性交遊で処分されるかと心配はしてたんですよぉ。ホント」

 愛菜は、自分と国男のアレコレが部員達に見られていたと知って赤面するしかなかった。

「しかし、愛菜ってアレでバレてないつもりだったのね、やっぱ」

「でも、やっぱり先輩がうらやましかったですよ」

「え~、それって、男の子と同じコトしてみたいってことぉ?」

 部の皆々でキャーキャー騒ぎながら好き勝手に言っている。

「・・・お願い・・、みんなもう許して・・」

 愛菜は、自分が恥をさらして高校生活を送っていたと知り、顔も上げられない心境だった。そんな愛菜に桐子は、暗い笑顔で言う。

「・・だからさ、国男のアホが浮気しているって噂を聞いて、・・・なんというか、言葉も無かったよ」

「・・・それって」

 愛菜自身が気付かなかった国男の浮気を桐子達は知っていたということになる。

「ゴメン! 私は、ソレを言おうか、どうしようか迷って・・、その、何も言えなかったんだよ! 結局二人の問題だと勝手に結論付けたりしてさ。今では後悔しているよ・・」

「私は十時先輩がソレを知ったうえで遊んでいるのか、と疑ってました」

 後輩のひとりが当時の偏見を口にすると、『先輩がそんなわけないでしょう!』と反論の声が上がる。その後輩はあわてて頭を下げる。

「ゴメンナサイ・・、だから私も敏子ちゃんと同じで先輩を誤解していた一人ということなんです」

 愛菜はその後輩に怒る気持ちは無かった。ただただ、自分が後輩からも誤解されるようなことをしていたのだと考えた。

「違いま~す!」

 ここでしばし発言を止めていた敏子の反論。

「私は十時先輩のことを”誤解”してたから文句をつけてるのではありませーん!」

「・・じゃあ、どういうことなの?」

 愛菜は疲れているのだが、やはり小憎こにくらしい敏子と向き合う。

「私は、国男と先輩がキッスとかお遊び程度のイチャイチャをしてただけなら批判はしてません! 先輩が国男君にしたことは度が過ぎていたでしょう? スカートまくって自分から見せるわ、胸を触らせるわ・・。あああ、もうっ!口にするのも汚らわしいッ!」

 そして、愛菜は『あくまで悪いのはアンタ』という主張を曲げない敏子に猛然と反論する。

「違う! 私は国男と本気で恋をしてたんだ! いやらしい事はしてたよ!でも、それは国男が喜んでくれると思ったから。二人の関係が深まると思ったんだよ!アイツと遊んでやろうなんて思ったことない、ヤリ捨て女と一緒にするなよな!」

「・・・で、結局どうなったの?」

 吐き捨てるかのような敏子の言葉。アンタがしたことで結果的にはおかしくなった、と敏子に言われれば、愛菜は言葉を返せなかった。それでも、なんで!?、と納得はいかない。

「おい敏子、いいかげんにしないと私も怒るぞ」

 代わるかのように桐子が言うと、敏子は、フン!、といった感じで財布から千円札を机の上に置くと。

「これ、私の分のお代です、もう帰りますんで。十時先輩、『私の何が悪い』って顔してますね、それについてはご自分の頭で考えてくださいな。優等生でしたのでしょう?」

 不機嫌そうな音を立てて、敏子は店から出ていく。『なんなんだよ、アイツ』とボヤく桐子だったが、敏子と同じ中学だった後輩が言う。

「敏子さん、国男君と小、中と同じで、幼馴染と聞いてます。敏子さん、うちの高校では最初テニス部だったのに、国男君と同じバドミントン部に入り直したりして・・」

「妙に国男に肩入れすると思ってたら、そうなんか。アイツ、国男のこと好きだったのかもな。愛菜に当たってたのは嫉妬かよ」

 そう言う桐子に、別の後輩が言うには。

「幼馴染で仲良しってのは当たってます。でも、敏子と国男はイトコ同士なんです。血のつながりがあるんですよ」

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