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今回は短くてすみません!





俺の鎌の風切り音と粘着物がぼとぼと床に落ちる音だけが響いていたフロアには、不気味な蒸気が漂っている。

スライムみたいな物が蒸発したものなのだけど、切った時に触っても毒はなかったから蒸気になっても毒はないと思う。ただ色が紫色だから気持ち悪いだけだろう。

多分、きっと。


殆んどの粘着物が剥げ落ちたゾンビ変異体は、2.5mほどの高さと1mほどの幅を持った灰色の皮膚を持つ男で。

その両目がまだ光を失っていないのも不気味だし、体を覆っていた物が消えてしまっても焦りもしない様子に、やっぱりさっきのでフラグ立っちゃったかなあと、自分で後悔し始める。


いやいや、いいんですよ。そのままで。

だからフラグは折りましょうよ。


俺がそんな事を思った矢先に、変異体の皮膚にビシリと亀裂が入る。

ああ。やっぱり。


俺は横目でちらりと二人の無事を確認した後で、双振りの鎌を両手に構えた。


皮膚に入った亀裂が体全体におびただしく入っていき、胸のあたりからボロボロと皮膚が剥がれていく。

その下からは真っ黒な肌が現れた。何だか剛毛まで生えているような気がするけど。


変異型ゾンビがどんな変化をするかなんて初めて見るけど、あんまり強そうには変化して欲しくなかったり。


しかし、俺の希望など受け入れて貰えない事は知っている。



巨大な身体の変異をじっと眺めている性分ではない。

変身シーンを見て感動するのは、テレビの中だけだろ。


俺が切りかかると、ゆっくりとした動きで俺の鎌の刃を避けた。

一撃が当たれば良いだけなのになかなか当たらない。


不意打ちで素早い一撃が繰り出された。

その拳を避けた途端に、反対の拳が撃ち込まれて来た。

よけきれずに腹に一撃入ってしまう。重い拳が内臓を抉るようで、俺は数歩後ろに下がってから息を吐き出した。


近接攻撃が得意なのか。困ったな。

この鎌の大きさの時は近接なのは俺も一緒だ。近接攻撃同士なんてただの格闘になりそうだよ。

そんな思考を打ち破るように、ゾンビが次々と拳を繰り出してくる。

右左。俺がよけるのを見ると今度は下、斜め上からも。

拳を避けながら俺も鎌を振るうがゾンビの身体に一撃も入らない。


避けるのが上手いのもあるのだが、身体が変化してからはその皮膚が自分で意思を持っているかのように勝手に刃を避けていく。

何でそんな体になっちゃうんだよ!?


ゴムみたいに伸び縮みしながら、俺の攻撃をことごとくかわしていく。

本体は俺を狙って手足を使いながら攻撃をしていて、身体は自在に俺の攻撃を避けてるなんて、なんて言う神業ですかこれ!?


頭を狙っているのが完全にばれているから、他も狙うのだがどうしても肉体には一撃が入らない。指先を掠めるだけでもいいのだが。


何か打開策を見つけないと、こっちの体力が尽きちゃうな。






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