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《開幕》

教室に着くとクラスメイトたちが

「おお~っ!夫婦で登校か~!!」

などと騒いでいる。よく見る光景だろうに...

反論をば、と口を開きかけた時

「そういうの全くないから。やめてもらえる?」

と隣から声がした。結構ガチだったのか、自然と低めの声になっていた。

あぁ、そうですかい...と俺の中で何かが崩れる音がした、気がした。

今の一言が効いたのか、それ以降はやしたてるクラスメイトはいなかった。

...ひとりを除いて。

「おうおうおうおう!朝から熱いもん見せてくれるじゃねぇかよぉ!」

教室に入るなり怒号が飛び込んでくる。

「うるさいぞ、ヒデ。そんなんだから幸運が逃げてくんだよ」

「ううっ...そこを突かれると痛い...」

彼の名前は『三葉 ヒデ』。その名字のせいか、「幸運」をあと少しのところで逃してしまうという特異な体質(?)を持った男だ。

「俺の名字が四葉だったら幸せになれると思うんだがなー」とは彼の口癖だ。

「ホームルーム始めるよー、みんな席についてー」

とのんびりした声が耳に届く。姿を確認するまでもない。声の主は担任のミカちゃん...もといミカ先生だろう。

彼女の声と共に生徒達が自分たちの席へ赴く。

「それじゃあ...出席とりまーす」

ほんわかと始まったホームルーム。呼ばれた生徒が「はい」と返事をする。

「はい、全員いますね。皆元気に来てくれて先生嬉しいです」

先生がわざとらしく笑顔を作る。そんな仕草も似合ってしまうのがこの先生の凄いところでもある。

「今日の連絡事項は―。さて、今日も1日頑張りましょうっ!」

右手を握って手を上げる仕草すら健全な男子高校生には毒だったりもする。現に数人の男子が悩殺されている。別段脱いでいるというわけでもないのにこの破壊力は素直に尊敬できる。

「それじゃあ、また数学の時間に会いましょ~」

と言い残し、教室を退室する。


とても興奮した様子でヒデがこちらへ向かってくる。

「やっぱりミカちゃんは最高だな!お前もそう思うだろ!?」

「いや…そうでもないような」

「わかってねぇなー。あのあざとさ、可愛さがいいんじゃないか」

頭を掻きながらヒデが答えた。

「…似たような事言ってないか?」

「ん、そうか?まあ細かいことを気にしちゃダメだろ。そんなことよりさ、ミカちゃんに彼氏とかいると思うか?」

「彼氏、ねぇ。そんなこと聞いてどうすんだよ」

まさか……

「そんなこともわからんのか……。告白するんだよっ!」

何を言っているんだこいつは。

「心の声漏れてるぞ!!良いじゃねえか夢見るくらいはよ……」

「それは構わんが。……お前自分の体質忘れたのか?」

「オオオオオオオオオノオオオオオオオ!!」

ヒデは膝から崩れ落ちた

◆◆◆

「あ〜!!終わった終わった〜!!」

ヒデの声が教室内に響く。

「おい、俺の近くで大きな声を出すな。女子達の視線が痛い」

あまりの眼光の強さに野獣を思い浮かべてしまう。

「まあまあ、ところで放課後は暇か?暇ならどっか行こうぜ?」

特に用事は……。何かあったような……?

「……すまんが、今日は無理そうだ。明日でいいか?」

「お、そうか。分かった、じゃあまた明日な。」

そう言ってヒデは教室を出た。

さて、どんな用事があったか思い出さなければ。それまで適当にふらついてみるか。

その後、ハルにも一応用事があることを告げ、教室を出た。

◆◆◆

校門まで来たのはいいものの、何処をふらつくのか決めていなかったことに気がついた。いや、ふらつくのだから行き先なんて決めなくてもいいのか。

目的地を決めずに歩くことを決めた。紛らわしいが、間違っていないのでよしとする。

校門から一歩、足を踏み出す。その瞬間、ピリ、と殺気のようなものを感じた。嫌な胸騒ぎがする。

あたりを見回すが、人影なんてどこにも無い。

思い違いか。心を落ち着かせ、道なりに歩き始めた。

◆◆◆

……どうやら、思い違いではなかったらしい。

俺の動きと共に気配も動いている。つまり、尾行してきている。

少しでも早く広い所へ出よう。そこで相手の目的を問えばいい。

確か、今いる路地を抜ければ公園があったはずだ。そこを目指そう。

俺は気付かれないように少しだけ歩幅を広くした。

◆◆◆

さて、公園に無事ついた。まずは相手を目視で確認しよう。

相手がもし武器を持っているなら逃げなければ。

後ろを向き、虚空へ声をかける。

「なあ、アンタは何者だ?なぜ俺をつける?」

…返事はない。あくまで隠れているつもりか。

と、その時。

「なんだ、バレちまってたのか。なんにも動きが無かったせいで気付かれてないのかと思ったぜ。」

植え込みの方から声がした。

「まぁ、バレてるなら隠れててもしょうがねぇ。」

植え込みの影から男が出てきた。

背は175というところだろう。バットのようなわかりやすい武器は持っていないようだ。

しかし、ナイフ等を持っている可能性も捨てきれない。警戒しておくに越したことは無いだろう。

「なぁ、アカリ。アイツも《スレイヴァー》で間違いないんだろ?」

男が声を上げる。

「えぇ、間違いありません。」

アカリと呼ばれた少女が男が居た植え込みの反対側から姿を現す。

「スレイ…ヴァー?なんだそりゃ、ドッキリか?」

聞き慣れない単語に戸惑う。

「オイオイ、トボケんなよなぁ。もしかしてそういう作戦か?残念だがその手にゃ乗らねえぜ?こちとら《願い》がかかってるからなぁ」

願い…?余計に意味がわからない。

「何を言ってるんだ?もしかしてお前…アブない奴か?」

「……黙ってりゃあ痛みを感じなくて済んだのになぁ…!」

言い終わったかと思うと

「スレイヴ!『ローヴァイス』!!」

男の左手の手のひらから柄の様なものが出現する。

右手でそれを引き抜きながら男は言った。

「男の情けだ。一撃で終わらせてやるよ…!」

ここから早く逃げなければ。本能が、頭が訴えかける。が、体が動かない。それに反するように心臓の動きだけが早くなる。

斧を持った男が接近し、

「うらぁっ!」

振り下ろされた斧が俺の身を切り裂―かなかった。

ギリギリの所で右によける事ができたのだ。

「よく避けられたな、次はねぇぜ」

男はすぐに向きを変え二撃目を繰り出した。

マズい。避けきれな―ゴシャッ。内蔵が潰れたかと思うほどの衝撃と音だった。

「ガハッ…!!」

体が後方へ吹き飛ばされ、木の幹へとぶつかる。

虚ろな瞳で斧が当たったであろう胸元を見ると血が泉のように吹き出していた。

「ぐあぁっ…!!げぼっ…!!」

かろうじて口から出るのはうめき声と血だけだった。

……これが死の感覚か。

「じゃあな、迷わず逝けよ。」

男の足音が遠ざかってゆく。

そして俺の意識は―――。

たったこれだけです。どうもすいません。

1ヶ月かけてこの量って……。少しは鎌○和馬さん見習えって話です。

次話についても頑張って書いてますので待っていただけると幸いです。



……見てくださっている方はいるんでしょうか?

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