表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ―日常

「運命」―。既に決められていることがら、さだめ。

ある意味絶対の力を持っている言葉。

どんな事もその一言に集約される。

その言葉は完全で、さらには逆の言葉なんて無いようで。

そんな言葉を俺はきっと―。


好きではなかった。


◆◆◆


いつものように起き、学校へと向かう支度をして朝食を取る。この場合は摂る、の方が正しいのかも知れないがそんな事は些末な問題だった。

ともかく〝いつも通り〟の朝を迎えて〝いつも通り〟の事をして〝いつも通り〟に家を出る。

今日も天気は雲ひとつない快晴―とまではいかないけれど晴れであることに間違いはなかった。

天気予報では降水確率は0%らしい。だから今日は(も)傘を持たずに家を出る。念のために鞄の中には折りたたみ傘も入っている。「備えあれば憂いなし」というやつだ。

さてさて今日も足を動かして学校へと向かう。靴と地面がコツコツ、と低いながらも心地よい音を立てている。

前を向いてみると幼馴染が前を歩いていた。幼馴染の隣に移動しつつ声を掛ける。

「おはよう、ハル」

すると声を掛けられたことに驚いたのか、

「ひぃやぁあ!」

と素っ頓狂な声を上げた。その後、

「なんだ君か、あまりビックリさせないでくれ」

と髪を弄りながらこちらに抗議をしてくる。

「ごめんごめん、驚かすつもりはなかったんだ。」

謝罪を試みる。

「本当か?」

「神に誓って。」

「ならよし」

こんな簡単に神に誓っていいのか、とも思ったが彼女が良いというのならきっと良いのだろう。

因みに彼女は『青陰ハル』という。さっきも言ったとおり俺の幼馴染で、クラスメイトだ。彼女は常に大人しく、言動も常に淡々としている。それも相まってか、黒髪ロングという髪型が非常に似合っている。


「―ところで、なんであんなに驚いたんだ?」

「少し考え事をしていただけだ。」

いつも冷淡な彼女の考え事とは何なのだろうか。

「考え事?」

「君には関係の無い話だ、あまり気にしなくていい」

そう言われると余計に気になるのだが…。

「余計に気になる」

「君には関係の無い話だと言っているだろう!」

そうこうしている内にも時間は進んでいて、時計は登校時間の少なさを物語っていた。

「やっべ!急ぐぞ!」

言いながら彼女の腕を掴み、走り出す

「えっ、ちょっ!待って!」

彼女の声を無視してできる限りの速度で駆けた。

◆◆◆

「ふぅ、何とか間に合ったみたいだ...」

胸を大きく上下に揺らしながら言葉を吐き出す。

「いきなり...!走り出さないでくれ...!」

彼女はもちろんというか、やはりというか息が上がっていた。

まぁ、俺もだけど。

「いいじゃないか、間に合ったんだし結果オーライだろ?」

実際のところ後3分ほどで校門は閉められているところだったのだ。納得してもらわないと困る。超困る。

「まあいいが...!走る時は走るって言ってくれ!」

長い黒髪を揺らしながら本日2度目の抗議をされた。

「これからは気を付けるよ」

と少しだけ反省の素振りを見せた。

返事はもちろん「ならよし」で、俺達はクラスへと向かった。

話は随時更新していく予定ですが、次話投稿に時間がかかる場合があります。その際はお待ちいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ