08
リーシャ視点に戻ります。
---ガタンッ!
痛っ。どうやら檻の中で寝ていたようだ。魔力を使ったせいか体が重い。手と足には手錠がかけられていて鉄の鎖が重い。辺りは真っ暗でここがどこか全くわからない。少し広いこの檻は魔物用なのだろう。しっかりした作りで逃げれそうもない。
---目の前で家が燃えているのを見た時に、私の中の何かが弾けた。今まで魔力をあまり使ったことないけれど何とかしないといけないと思った。気づいたら体が勝手に動いていて、ブレスレットを外していた。あのブレスレットには魔力を抑える魔法がかけられている。
なぜかわからないけれど外してはいけないと昔、誰かに言われた。誰かはわからないけれど。
それでも後悔はしていない。村をじい様を守れたのだから…
騎士団の怒りをかったのだから村に帰れないのだろうか。じい様に会えなくなるのは辛い。アルにも。
色々と考えていると辺りがだんだん明るくなってきた。
どうやら朝が近いようだ。辺りを見渡していると高い塀が見えてきた。とても立派でここが「王都」というところだとすぐわかった。
門の前でまたガタンッ!という音とともに激しく檻が揺れた。
「ワンズ・アーベルだ。門を開けろ。」
あの男の声が聞こえた。村に火をつけたあの男の声だ。
その声とともに門が開き奥へ進む。途中で辺り一帯が真っ暗になったかと思うと檻から引きずり出された。
何が起きたのかわからなかった。思いっきり地べたに叩き付けられた感覚とともに男の声が聞こえた。
「おい。娘。名前はなんという?」
答えを言おうか少し迷っていると腹を蹴られた。鈍い音が辺りに響く。
「早くしろ!私はお前に構っている時間などないのだよ。」
「リ、リーシャ。」
「リーシャだと!?なんだ孤児ではないか。はははははは。そうか、そうか孤児か。」
憎たらしい笑い声だ。
「まぁよい。お前は反逆罪の罪でここにいる。さぁどうする?魔力の報告をしないでさらに騎士に歯向かうとはな(笑)あの村を焼くか、、、それともお前が責任を取るか?お前の魔力はこれから国の脅威になりかねんからなぁ。」
「私が責任を取れば村を焼かないでくれるか?」
「ああいいさ。それで?お前はどう責任を取るのだ?一生この檻にでも入っているか?」
「いる。それでいいなら私は一生ここにいよう。」
「はははは、いいだろう。処分は追々考えるとしよう。お前の力も使い方によっては…
とりあえず、お前がここに居る限り村には手は出さない。が、脱走してみろ。村はないものと思え。」
そう言って男は居なくなった。あの男の言葉が本当かはわからないが、今は信じるしかない。
また眠くなってきた。やっぱり魔力を使ったせいなのか先ほど蹴られたからなのかわからないが意識が遠くなっていく。