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07

アル視点が続きます

騎士達の後を追って行くと小さな村が見えてきた。

あまり近づきすぎると怪しまれるので、少し離れた高台から様子を見ることにし、リーを探す。村の入り口で村人と騎士がどうやら揉めているようだった。


その中にはリーもいて老人の後ろに隠れるように騎士を睨んでいた。いつも着けているブレスレットを強く握っていて腕は真っ赤になっている。

この距離では話し声までは聞こえないので、もう少し近づこうと高台から下りていると、




「いちいちうるさい村人だ。この村はまだ税を払えていないのだろう?今後そんな村を増やさないためにも、この村にはいい見本になってもらおう。」



聞き覚えのある憎たらしい声が聞こえた。

あぁ、この声はワンズだ。




---その声を筆頭に騎士が村に火をつけ始めた。


「やめてくれ!!!!!!!」


「おい!早く逃げろ!!!」

村人たちの悲鳴が聞こえる。

家や物置に次々と火が燃え移っていく。



俺は動けなかった。

どうしていいかわからなかった。ただ見ていることしか出来なかった。

頭の中ではわかっているのに、体は動かない。



「リーシャ!!!やめるんじゃ!!」


老人の声が聞こえた瞬間、風を感じた。

先ほどまで、雲などなかった空にいきなり黒い雲がかかる。

リーシャと呼ばれた方向を見るとそこには俺を助けてくれた少女がいる。リーだ。でも少し雰囲気が違う。


顏の半分には何かの紋章のような黒い刺青が描かれ、長い紫色の髪が風になびき、腕にはめていたブレスレットを手に持ち空に手をかざしていた。


何かを口にした瞬間、いきなり黒い雲から雨が降ってきた。

大粒の雨が降り出し村の火を消していく。




「そいつを捕まえろ!!!!!!!!!」

ワンズの声が響き渡るとリーが捕まっていた。

両腕を騎士に掴まれ、体を地面に押し付けられている。


「なにをした!!!!なぜ魔力を持っている!この村には魔力持ちはいないはずだろう!!」


「火を消した。税が払えないのは税が高すぎるからだ。」

リーは冷静に言いかえし、ワンズを睨んでいた。


「黙れ!!なんだその目は!!!この村はなぜ魔力持ちを報告していない!こんなにも強力な魔力を!!この娘を反逆罪とする!!おい!この娘を檻へ入れろ!」


リーが捕まってしまう!

俺はなにをしているんだ。リーの元へ行こうとした瞬間、





「やっと見つけたぞ。」

勢いよく腕を捕まれた。

掴んだ腕は幼いころからの友人、エリクのものだった。


「今、出て行ったら第一王子の思う壺だぞ。よく考えろ!お前らしくもない。奴らはすぐに何かするわけではない。一度、王都へ戻る。助けたいならお前も王都へ戻れ!!!


第二王子、アルバート・マクファーデン!!!」










---逃げていたのだ。俺は。王子という肩書きに。


この国には三人の王子がいる。



第一王子のエドモンド。頭がとてもよく、日々国の政治にも関わりるが、戦いは得意ではない。


第二王子のアルバート。魔力が強く剣の扱いがとても上手い、魔物の討伐や戦の前線にでている。


第三王子のデリック。まだ幼いが誰に対しても優しく、国民にとても愛されている。



俺のことを兄が嫌っているのは知っていた。兄は戦いが苦手だ。魔力が強く、戦いの前線で戦っている俺のことを王は良く褒めてくれた。


ある日、王は「アルバートが次期、王になるかも知れぬ。」と言ったそうだ。

その日から兄が俺を見る目は今まで以上に冷たくなった。




リーが俺を見つけた時、俺は王都から逃げてきたのだ。

部屋で寝ていると暗殺者に襲われた。すぐに兄からの刺客だと分かったが、毎日のように魔物や人の血を浴びるのに疲れた俺は、そのまま王都から出ようと考えた。

途中、傷が深くて気を失ったのは予想外だったが。





王都に戻る気など始めはなかった、でも今は違う。リーを、リーシャを助けなければ。



王都に居ることが知られれば面倒なことになるとエリクに言われ、完全に夜になるのを待ってからエリクとともに王都へ向かう。




待っててくれ、リーシャ。必ず助けるよ。

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