01
このプロテア国では、次期王を決めるのに王都がにぎやからしい。
私の住んでいる田舎のコリウス村は王都から馬で半日ほどかかる場所にある。なので王都とは無縁で至って穏やかだ。
穏やかなはずだった。
たまに魔物や山賊が出るけれど平和なこの場所が大好きで、いつも通るこの道はウサギやリスぐらいしか出てこない道だ。
なのになぜか血の匂いがする。獣臭さはないので、恐らくは人だろう。
なぜ村はずれの山道で人の血の匂いがするのか。
なんだか嫌な予感がする。
ああ、やっぱり。血だらけの男が倒れてる。
こんなに綺麗な金髪は村で見たことがないから、旅人だろうか?
質素な服装の切れ目から傷口が見えていてとても痛そうだ。
あまり面倒事には関わりたくないけれど、そうは言ってられないか。
「おい。意識はあるか?」
返答はなし。困ったな。
足首の傷が一番酷く熱がある。傷からきてるものだろうが厄介だ。
とりあえず、持っている傷薬と熱冷ましを飲ませるが・・・
―― 問題はこの後だな。どうしようか。
私の貧相な体では、180cmもあるであろう男を担いで村まで行くのは無理だし、この男の体は細身のわりにしっかりと無駄のない筋肉がついている。
「村まで行って、人を呼んでくるか。」
「それは困る。」
「え?」
「人を呼ばれると困るんだ。」
「なぜ?って、、、、おい。おい!」
それだけ言って意識をなくすな。
困ったな、どうしたものか。