~感情~
彼女の身体能力説明。
彼女の感情の波はかなり激しかった。
感情豊かなのはいいことである。
問題は、波が大き過ぎて手綱を握れないことである。
一定以上の感情の表現が泣く。一択だった。
そして、手綱が外れた時、彼女の意識は奥に引っ込んでしまうのである。
大泣きしている自分を内側で見ているのである。
結果、泣く程の感情は自分から離れた。
涙が収まると表に出ているのは空っぽである。
彼女の意識は奥にあった。
人形の様に無表情な身体が残るのである。
そこに徐々に彼女の意識が表に出てくるのだ。
その時には泣く程の感情は分離されているので「泣いた烏がすぐ笑う」という状況になった。
気分や感情の切り替えが早い気分屋と言われた。
なくなる。というのは誰も気づかなかった。
また一定以上のショックを受けると、感情がなくなった。
心が揺れないようにガードされるのである。
時には記憶される事もなかった。
時には何かあった自分を外から見ている。ということもあった。
彼女の感情や記憶には衝撃、感触など残らなかった。
ただ身体だけが記憶していた。
彼女の防衛本能はとても優秀だった。
彼女に害がある事は記憶に残さず、反射や反応は出来る様に身体にだけ残したのである。
結果、彼女は自覚のないトラウマを抱えすぎるほどに抱え込み、
自覚がないからこそ踏み込み、
また記憶がなくなりトラウマが増え、珍しく治療も出来ない病気になる将来が待っているなんて、彼女に理解出来る筈もなかった。