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記憶持ち転生疑惑の少女  作者: 日下みる
22/31

~増える謎とわかったこと~

家族で広い公園に行ったらしいです。

母親目線。

今日は少しだけ遠出して大きな公園に家族で遊びに来ましたー!

公園と言っても、芝生や池や森が大半な自然が多い公園。

娘が遊具に興味を持たず、近所の芝生とかお花とか桜の下がお気に入りというお兄ちゃんの情報を元にチョイスしました!

この公園は私達みたいな幼い子持ちの若い夫婦や老若問わずのカップルなどに人気の場所。

どこかしらに人がいるから、人知れず攫われる心配がないし、市が運営しているので管理人も在中。

とはいえ、小さい子供の探究心とか好奇心、興味を持ったら他に目がくれず迷子。というのは広いが故に多数発生。

さっきからひっきりなしに迷子のお知らせが放送されてるけど、考えようによってはちゃんと目が届いてる、という事。

一応、子供達に私達から見えない所に行っちゃダメってきつく言い聞かせないと。


「いい?ここはとっても広いから、私達が見えないような場所に行っちゃダメよ?」

「はーい」

「・・・ぐたいてきには、どこまでママたちはみえるですの?」


あ。それもそうか。

大人と子供じゃ視野が違うものね。


「そうねー。この芝生の場所と、池の所までは行っていいわ」

「わかりましたですの」

「知らない大人には付いていかない事、お菓子くれるって言ってもダメよ?」

「わかってますの。いまさらですの」

「はい、じゃぁ、遊んでらっしゃい」


私達は夫婦水入らずでイチャイチャするから。

子供達は約束させたから大丈夫でしょう。

そういった意味では、お兄ちゃんよりも娘の方がしっかりしてるので安心してまったり出来る。

と、思ったんですけど。


娘が私達の横に腰を下ろしてぼんやりしてる・・・。

お兄ちゃんは遊びに行く気満々だったようで、妹を見下ろしながらちょっと困ってる。


「えーと?遊びに行かないの?お兄ちゃんが待ってるわよ?」

「?あそんでるですの。かぜさんがきもちいいですの」

「ここはいつもの公園よりも広いから、私の目の前にいなくても大丈夫よ?」

「?ひろい?・・・たしかに、おそらがたくさんあるですの」


空がたくさん?空って増えるものだっけ?


「確かにうちは団地だからなぁ。遮蔽物が沢山あるからあんまり空は見えないが、ここの上空は一面空だな。」


あー。なるほど。そういう意味か。この娘の表現はちょっと独特で解読が難しい・・・。

パパ、よくわかったね。

この間の一戦は、コミュニケーションの意味があったのね。

無駄にならないで良かったね。

私はどう間違っても戦いたくはないですが。


「まぁ、折角来たんだ。チビ助。お前いつも家にいてばっかだろ。たまには運動して来い」

「はぁ・・・ここはうるさいから、あんまりいきたくないですの」

「あー。人多いしな。人酔いか?」

「ひとよい・・?あたしはよわないですの」

「そういえばそうだな。まぁ、人が多い分うるさいのは確かか。我慢しろ。

 つか、それに慣れてこい。」

「はぁ・・・しかたないですの。おにーちゃん、どこであそぶですの?」


渋々立ち上がる娘。

新しい場所に連れて来られたら、普通喜ぶんじゃないの?

折角連れてきたのに、そんなに嫌がられると凹むんだけど・・・。

この娘が遊園地やら動物園に連れて行けと騒がないのは、

人が多い場所が嫌いだからか。

パパも満員電車とか嫌いだしなー。

でも、パパの言う通り、慣れてもらわないと。

この娘もそのうち保育園に行く予定だし。

保育園には娘みたいに黙々と一人遊びしてるような子の方が少数よ。

皆無とは言わないけど。


「ホラ、あっち行こうよ!森の中!きっと奥には宝箱があるんだ!見つけに行こう!!」


お兄ちゃーん?さっそく約束破らないでねー?

てか、こんな公園に宝箱があったら騒ぎになってるし。

誰かがすでに回収してると思うよー?

うちの息子の発想はゲームですか。

まぁ、男の子なんてこんなもんかしらね。冒険心というかなんというか・・・。

でも、約束は破っちゃだめよー。


「おにーちゃん、そっちはダメですの。ママたちがみえないですの」

「大丈夫だってば!少しだし!何かあったら僕が守ってあげるから!」

「ひつよーないですの。いきたかったらひとりでいくですの。

 あたしはいかないですの」

「なんでだよ。お兄ちゃんの命令が聞けないのかよ」

「やくそくをやぶるのはダメですの。ちゃんときいてたですの?」

「見つかならきゃ大丈夫だって。なんだよ。怖いのか?」

「そうゆうもんだいじゃないですの。・・・そうですね。こわいですの。

 きっとおくには、こわーいひとがたくさんいるですの。

 あたしたちみたいなこどもは、さらわれてうられちゃうですの。」

「うっ・・・。わかったよ。この辺で遊ぼう」

「ならいいですの」


相変わらずしっかりしてるわー。

約束破る気満々なお兄ちゃんを脅して誘導するとは・・・。

それに、守るとか言ってるけど、この間の一戦でお兄ちゃんより娘の方が戦闘力高いの判明してるしなー。

お兄ちゃんはゲームに夢中でいなかったし、仕方ないのかしらねぇ。

知ったらショック受けるんじゃない?

てか、お兄ちゃんの約束が如何に口だけなのか、よーくわかりました。


「あんた達、聞こえてるわよー。その辺で遊びなさい。」

「うっ。はーい。ホラ、行くぞ!」

「わかったですの。そんなにいそがないでもいいですの」


アンタはもうちょっと若さを取り戻して来い。


ふぅ。子供達もいなくなったし、まったりしましょ。

水筒からコーヒーを出してパパに渡したり。

ほのぼのいいわー。

本でも持ってくれば良かったかしらねー。

まったりと周りを見てみると、やっぱり私達くらいの家族連れが多い。

ちょうど私達のちょっと離れた目の前を家族連れが歩いてる。


ビターン!


「うぇえええええええええん!!ママー!!!」


転んで泣き出した。

確かに、子供には芝生の上って歩きづらいかもしれない。

傾斜な所も多いし。草も滑るし。

娘は確実に転ぶだろうなぁ・・・。

今日は汚れても大丈夫な服を着せてるし、ズボンだし大丈夫だろうけど。


「なぁ。」

「ん?どうしたの?」

「チビ助って泣き虫なんだよな?」

「うん。そうよー。しょっちゅう泣いてるわね」

「なんで泣いてんだ?」

「知らないわよ。ちょっとしたことでビービー泣いてるもの」

「うーん・・・」


何をそんなに不思議がってるのかしら?

娘が泣き虫なんて、本当に今更だと思うんだけど・・・。

パパだって夜泣きした娘の相手をしてるんだから知ってるでしょーに。


「あ、アメンボだ!つかまえよーぜ!」

「いやですの。それに、いけに、はいっていいとはいわれてないですの」

「なんだよー。つまんねーなぁ」

「アメンボさんにいいめーわくですの。

 いたずらにいのちをもてあそぶのはよくないですの」

「ちぇーっ。じゃぁ、あっち行こうぜ!」

「あっ。はしったらあぶないですのっ・・?!」


ビターンッ


・・・ムクッ


パンパンッ


「大丈夫か?痛くないか?」

「だいじょうぶですの。すべるからあるいていくですの」

「そうだな。危ないから手繋ごうぜ」

「わかったですの」


「「・・・・・・・。」」

「なぁ、本当にチビ助って泣き虫なのか?」

「うぅ~ん。転びすぎて慣れてる、とか?」

「あいつ、もっとチビの頃から転んでも泣いてねーだろ」

「あ。そういえば・・・。気付いたらよく転ぶなーって感じだったけど、普通、泣くわね」

「あぁ。多分、さっき目の前で転んだガキが当たり前の反応だと思うぞ」


「「うぅ~~~ん」」


陽が暮れる前に子供達を回収して帰りました。

謎が深まったような、少し解明したような一日でした。

泣く基準はどこにあるのかしら・・・?


どこなんでしょうね?

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