~秘密基地~
お兄ちゃん目線。説明の為に年齢不相応な漢字やらが出まくってます。
そして初のお兄ちゃんのお友達登場。
僕の妹の言葉遣いが最近、たまに変なんだ。
ずーっとじゃないから誰も怒らないけど。
パパやママは不思議がってたけど、僕は知ってる。
アレはアニメの天使の女の子の言葉遣いをマネしてるんだ!
似合わないわけじゃないけど、ちょっとたまにイラっとする。
「おにーちゃん、どこいくですの?」
「今日はついてきちゃダメだってば」
「どうしてですの?」
ほらね。なんかうざさが倍増してる。
今日は友達と秘密基地に行くんだから。
秘密基地は女の子立ち入り禁止なんだよ。
それに、秘密基地は実は「行っちゃダメ」って言われてる所に作ったんだよね。
やっぱ秘密基地はそうじゃないと!
ウチから一番近い公園の外側なんだ。
この公園は家のすぐそば。入り口の正面がうちのゴミ捨て場ってくらい近い。
団地内の一番大きな公園で、4つに分かれてるんだけど、外側は全部、木に覆われてるんだ。
場所同士は細い道で繋がってるけど、一番奥の場所は植物が多くてどこからも見えないし、あるのも砂場と動物の石像とかベンチくらい。
滑り台とかブランコは別の場所にあるから、めったに人もいない。
それに、ここだけ柵で覆われてるんだ。
それを乗り越えると、木に覆われてて、裏山っぽいところがあるんだよ!
そこの木のとこに基地を作ったんだ。
最近、僕がやっと乗り越えられるようになった柵の高さ。
僕より背が高いんだ。普通に手を伸ばしても柵の上に触れないくらい。
近くにある、ちょっとした段差に足を乗せて、
ジャンプしてよじ登って、やっと柵の上に乗っかれるんだ。
ドジな妹じゃ無理だと思う。
「このおくは、はいっちゃだめってゆわれてるですの!」
「僕は言われてないもん。だから帰りなってば」
実は、行動制限が厳しいのは妹だけなんだよね。
妹がこの公園で許されてるのは通りから見える場所だけ。
それも一人じゃ禁止。元から一人での外出は禁止されてるけど。
まぁ、僕は妹みたいにドジじゃないし。鈍臭くないし。
それに、友達も困ってるから早く帰さないと。
僕の友達は妹に強く出れないんだ。
友達は男兄弟の弟なんだって。
女の子の兄弟がいないから扱い方がわかんないみたい。
最初は、一人で家に帰しても怒られたんだけど、
逃げるのだけは何故か速いから、追いつけないんだよね。
逃げ帰った妹に後から追いついてママに説明したら、許してもらえた。
秘密基地がバレて怒られるよりも、妹が勝手にイジけて帰ったってことにすればいーし。
「ほんとにいくですの?こわいですの」
「だから帰りなってばー」
「おにーちゃんもいっしょにかえるですの!」
「僕は帰らないの。」
「・・・・じゃぁ、あたしもいっしょにいってあげるですの」
なんで上から目線なの・・・。
こっから一人でお家に帰るの怖いって言えばいーのに。
どうする?って友達とアイコンタクト。
友達は妹が泣くのに慣れてないから、泣かれるよりはーって思ったみたい。
まぁ、どうせ基地まで来れないだろうし、そこまではいっか。
「わかったよ。でも、ママには奥に行った事ナイショだよ?それが出来ないならダーメ」
「・・・・・・・・・・・・・わかったですの。ナイショにするですの」
なんでそんな真面目なの。
物凄い悩んだよ。今。渋々だよ。ママにあんまり懐いてないのに。変なの。
真面目な分、約束は破らないから大丈夫かな。
・・・・・・・これから違う約束破らせるんだけどね。
「んじゃ、ついて来てもいいよ」
「しょうがないですの。ついていってあげるですの」
ねぇ。それ何のキャラ?
天使の女の子はそんなキャラだったっけ・・・?
そういえば、早起きできない妹はそのアニメちょっとしか見てないんだっけ。
性格とかまではわかんないか。
「んじゃ、ここ登るよー」
「おーう」
「?!ここのぼるですの?!でちゃだめですの!あぶないですの!!!」
「僕は大丈夫だもん。だから帰れって言ったじゃん」
「っ・・・!!」
妹はかなりの負けず嫌い。
僕達がどう登るのか、見て覚えようとしてるらしい。
見てどうにか出来るもんじゃないけど。
出来てたら、僕はとっくに登れてるもん。
僕よりおっきいお兄さん達が登ってくの、前に見たんだよね~。
ヨイッショっと。ふぅ。
うん。友達も登れたみたい。
友達の方が運動神経いいしね。当たり前か。
後は向こう側に着地っと。
友達が妹の方を心配そうに見てた。
あ。忘れてた。どうしようかなー。
こっから一人で帰すのも心配だし、ここに一人残すのも心配。
悩んでたら、妹が行動に出た。
いやー無理でしょ。
と思ってたんですけど。
カシャッ(柵の棒に掴まった)
(段差に立って、そのまま手は柵の上に移動)
タンッ(ジャンプ)
カシャッ(柵の上に到着)
トッ(こっちの地面にジャンプして着地)
僕より簡単に乗り越えてきたーーーーーーーーー?!!!!
友達も僕もポカーンと口を開けることしか出来ない・・・。
え。僕達より3つ年下だよね。
背も小さいし、腕も細いし、手も小さいし。
どうやったんだろう・・・。
「?どうしたですの?いかないのですの?」
妹は乗り越えられて当たり前って顔してる。
「え。あ。うん。いこっか。」
「・・・そだね。大丈夫そーだし」
「「・・・・うん・・・」」
「????」
妹が一人で首を傾げてる。
僕達の敗北感とかなんかもう色々ゴチャゴチャしたものをどうしてくれよう・・・。
気を取り直して!!!
着きましたぁああああ!!!!
僕達の秘密基地!!!
ダンボールとか、ビニールシートとか拾ってきて作ったんだ!
低い所に枝がある木だからちょっとなら登れるし。
友達も気を取り直してすでに登ってる。
いいなー。僕、そこまでは登れないんだよね。
妹はキョロキョロしてる。大きな穴に不思議そうな顔して入ったりしてる。
うん。なんていうか。
「「似合わない・・・」」
あ。被った。
「似合わないよね?」
「うん。すんごく変・・・」
「お花畑とか芝生の上なら変じゃないのにね」
「僕達だけの時は気付かなかったけど、ここ、女の子がいるとかなり変だね」
「秘密基地に女の子の立ち入り禁止って、こうゆう意味だったのかな?」
「・・・・違うと思う・・・。」
「そう?でもどうしよう。追い出した方がいいかな」
「うん。そうしてあげて。あ!髪が地面に付いちゃってるよ?!」
「あ。ほんとだ。踏んでこけなきゃいーけど。どうやって追い出そうかなー」
「・・・普通に言ったら?」
「ダメダメ。頑固だから。さっき見たでしょ」
「うーん・・・。」
「あ。そうだ!ここってクマの噂あるよね。それにしよう!」
「え・・・それはちょっと可哀想じゃない?」
「大丈夫大丈夫。適当に合わせてね!」
「ねぇねぇ、知ってる?」
「?なにをですの?」
妹の横にしゃがみこんで話掛ける。
「ここって、クマが出るんだって。今入ってる穴あるでしょ?
そこってクマの寝床らしいよ?」
「!!!!!!!!!!!!?」
ガバッ
ダッ
・・・・・・トンッ
どうやら帰ったらしい。
てか、早いよ。速攻にも程があるよ。
そして逃げ足速いよ。柵を乗り越えるのも速いよ。
まぁ、これで男だけの秘密基地だし!
満足したら帰ろう!秘密基地の事もチクってないだろうし、心配ない。
と、思ったら別の問題がありましたぁーー・・・。
家に帰った僕が見たのは、帰ってからずっとなんだろう。
ママの横で必死に訴えてる妹がいた。
「たいへんですの!!クマさんのじゃましちゃったですの!!
おにーちゃんたべられちゃうですの!!」
「あら。お帰りなさい。この子、何言ってるかわかる?
ずっと言ってるんだけど意味わからないのよ。いつものことだけど。」
「た、、、ただいま。うん。なんだろうね・・・」
「おにーちゃんぶじですの?たべられてないですの?
クマさんにちゃんとごめんなさいしたですの?」
確かに秘密基地の事も奥に行ったこともしゃべってない。
クマの事はナイショって言ってないし。
結局、コレが原因でバレて怒られました・・・。
後日、秘密基地に行ったら雨が降ったのか秘密基地はグチャグチャになっていた。
もぅ秘密基地なんて作るもんかっ!!!!!ぐすん。
約束は守る子らしいです。兄>ママなので約束破っちゃったらしいです。
お兄ちゃんが言った事は全部丸呑みで信じちゃう妹ちゃん。
そして実は結構ヤンチャなお兄ちゃん。




