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記憶持ち転生疑惑の少女  作者: 日下みる
10/31

~おべんきょう~

おべんきょうをさせてみた。

彼女もそろそろ、簡単な基礎くらいは覚えさせよう。という年齢になった。

言葉も話せるし、理解しているし、TVもよく見てるし、すぐ覚えるだろう。

と、母親は思っていた。

兄よりも妹の方が物覚えがいいのはそれとなく気付いていた。

状況把握も乳飲み子の頃から出来た子である。

簡単に覚えるだろう。と。

まさか、覚える以前の問題にぶつかるとは思っていなかった。


まずはひらがなである。

母音から始める。

つまり、あ行だ。

「これが”あ”よ」

すでに喋るのだ。音に形を与えるだけである。

娘はじーっと、母親が書いた文字を見て

「なんでコレが”あ”なの?どうして?なんで?」


そんなもの知るわけがない。


母親は大学も行ってなければ、専門家でもない。

日本史が趣味と言っても、平安~戦国時代である。しかも偏った。


「とにかく、コレが”あ”なの。偉い人が決めたの。わかった?」


むしろ、わかれ。納得しろ。そのまま飲み込め。

暗記でもいーから飲み込んでくれれば、おべんきょう時間なんか取らずに本を読んだり昼寝したり出来るのだ。

さっさと終わらせたい。

最初の一文字で躓かれ、全ての文字にこの質問が来るかと思うとウンザリする。


そしてやはり。


「わかんない。なんで?えらいひとってだれ?どうしてそのひとがきめたの?いつきめたの?どうしてそうなったの?」


うん。まったく進まないね!!



気を取り直して、算数にした。

「これが”1”よ。わかった?」

「わかんない。なんでコレが”いち”なの?いちってなに?」

「1は一つってことよ。ここにミカンが一つあるでしょ。これが1よ。」

「ひとつってなに?いちってなに?なんでいちなの?どうしていちなの?」


数字一つ教えるのに、これほどの質問が来るとは思ってなかった。

お兄ちゃんの時はすんなり行ったのに。

質問は流して進めることにした。

この娘の事だ。流せば諦める。

「それで、この1がもう一つあると2になるの」

「…………………。」

どうやら質問しても答えが返ってこないと理解したようだ。

状況把握の早さは相変わらずだ。

この調子でサクサクと理解してもらおう。

なぜなぜ攻撃はもう来ないだろう。


と、思ったら。



「ほんとに?うそついてない?」



物凄く疑わしい目を向けられた。

何故ではなく、真偽を問われた。

母親は教えることを諦めた。

お兄ちゃんに教えさせよう、と。



兄の出番になった。

やはり”あ”で躓いた。

何故、彼女は”あ”を”あ”と表記することにこれほど違和感を覚えるのか。

彼女は明らかに「解せぬ」という顔をするのだ。

彼女にとって”あ”という音は別の表記なのだろうか・・・。

いやいや。そんなわけがない。日本語しか知らないはずである。


算数に移行した。

「これが1で~…」

10までを紙に書いた。


妹は黙って見ている。


書き上げた兄が顔を上げた。

「わかった?」

母親は思った。

それでわかってくれるなら私は苦労してない…。


ところが。


「うん。わかった。」



ちょっと待てぇぇえええぃっ!!!



私の時との差は何?!

質問一つもないって何で!??



足し算に移行した。

「1+1=2になるんだよ。わかった?」

その説明はすでにした。

それで理解してくれていたら、そもそも息子に投げていない。


ところが。


「うん。わかった」




ほんと待って!!!!!

なにその差?!!

私の時は疑ったよね?!

嘘つき扱いだったよね??!

質問もなしに飲み込んだよこの子!!

絶対理解してないよね?!!



事実、彼女は足し算を理解していなかった。


「おにーちゃんがいうなら、そういうもの」


と丸呑みしただけである。

そして、状況も把握していた。

兄に詳しい説明は出来ないだろう、と。



その夜、仕事から帰ってきた旦那に愚痴りまくったのは言うまでもない。



母親は気付いていなかった。

知ってはいたが、舐めてたのである。

彼女の状況把握能力と、強者を嗅ぎ分ける能力を。

母親は彼女を使って旦那を揶揄った事があるのだ。

基本である。

仕事に出る旦那に向かって、窓からこう言え、と言った事があるのだ。

そして娘は素直に言ったのだ。


「おじちゃん。またきてねー!」


衝撃を受けた旦那を見て楽しんでいたのだ。

アレが「パパ」であって「おじちゃん」じゃないのを。

悪戯するために、パパを傷付けるために自分にウソをつくよう命令したのを娘が理解してる事を母親は気付いていなかった。


彼女はこの歳ですでに母親を信頼していなかったのである。

ご飯を貰う為に命令には従う、というだけだった。


彼女は基礎よりも先をとっくに習得してるような気がしなくもない。

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