第三話 玄信の進言
町のはずれについた。
これが俺の家か。
目の前には小さな門があり、
それをくぐると小さな館があった。
これが俺の家なのか・・・大きいな。
平成ではアパートに住んでいたのだが
あまりの大きさに叫んでしまった。
東京のアパートは小さいんだよな。
家賃に見合った間取りだったのだが。
「一真殿。いえ。殿のお呼びしましょうか。
これが大殿様から授かった館なのですね?」
玄信が門をくぐって入ってきた。
「そうなんだよな。広いよな。」
そう言うと俺は靴を脱いで館に上がった。
手入れができていない・・・
歩くと足跡が残るくらいホコリがたまっていた。
「よぉし!みんなで掃除するぞ!!!」
ははっ!!!
1時間たったが俺がダラダラしていたから
気づいたら家臣たちも皆ダラダラしていた。
すると玄信が寄ってきた。
「殿。少し散歩してみませぬか。」
いいな。気分転換にはいいかもしれないな。
10分ほど歩いていたら
鍛冶屋が見えてきた。行ってみて損はないだろう。
「玄信。あそこに行ってみよう。」
すると玄信は軽く頭を下げた。
「ご名案でございますな。」
この鍛治職人との出会いは今後を大きく左右するのであった。
鍛冶屋の工場は鉄と鉄がぶつかり、カーンカーンと音が鳴り響いていた。
奥ではいかにも名工という感じの人がいた。
「すいませーん。ちょっといいですか?」
すると職人は手を止めて
かなづちをおいてこちらを見た。
「なんじゃ。邪魔しに来たのか。」
邪魔したから怒らしちゃったかな・・・
「ち、違います!!!ちょっと色々と話したいなと思いまして。」
職人はまたかなづちを振るい始めた。
「そうか。続けよ。」
俺は玄信に助けてもらいながら、
俺がいままでに起きたことを簡潔にわかりやすく説明した。
ついでに、兵器開発についても少し話してみた。
「よろしい。その変な時代の武具の図があれば
少しばかり考えてやるぞ。」
よかった。気難しそうな人かと思ったけど
意外とわかってくれる人なんだな。
「それでは失礼します。」
次は鍛冶職人から聞いた道場を尋ねることにした。
「失礼します。」
道場の師範代らしき人が出てきた。
「道場破りか!!!」
すると弟子たちがこちらを睨みつけた。
玄信は咄嗟に弁解をした。
「いえ違います。殿はこの道場の師範にお話しがあります。」
師範代は少し考えると俺たちを案内した。
「師範の武蔵です。お見知りおきを。」
知的な一面もあるが強靭な肉体を持った
文字では説明できないような外見をしている。
「あ、あのぅ。ちょっと信長様に仕官して
家臣を雇うことができるようになったので
武闘派の方を探していまして・・・
あとですね。まだ貧弱な家臣の訓練もお願いしたい。」
武蔵は少し考えるとすぐに承諾してくれた。
しかし、費用はかかるようだ。
貯金がなくなる前に収入源を見つけなければ。
「殿。そろそろ館に戻りませぬか。
ここ清須では盗賊が町の中にも現れ、
町人が切られることが頻発していますので。」
おぉ。怖っ。衛兵は何をしているんだか。
「よし。帰ろう!!!」
俺は玄信と2人の忍者に守られながら館に帰ることにした。