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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第50話
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50-4






     50-4




 自警局を訪ねてくるスーツ姿の綺麗な女性。

 何者かと思う間もなく、彼女は受付で立ち止まると軽く深呼吸をして周りを見渡した。

「3年生の方はいらっしゃいますか」

 良く通る澄んだ声。

 それに手を上げる数名の生徒。

 女性は爽やかに微笑むと、小脇に抱えていたカラフルな書類を振りかざした。

「ただ今当社では、今年卒業される方を対象にしたキャンペーンを行っております。割引は勿論、各種プレゼント。海外旅行の当たる抽選も行っております」

 旅行代理店の社員か。 

 それにしても旅行してまた旅行が当たるのも、ちょっと困るかも知れない。



 ただこういう営業を見たのは初めてに近い。

 普通は中に立ち入れなかったと思うんだけど、これこそ規則が緩和されたか運用が見直されたんだろうか。

「あれ、良いの?」

「試験的に認めているようです」

 興味ないと言わんばかりに、素っ気なく告げる真田さん。

 彼女は2年生なので、実際興味を示す理由も無いだろう。

「先輩は良いんですか、卒業旅行」

「そういう余裕も無いし、そんなお金があれば貯金する」

「精神的なゆとりがないのでは」

 なるほどね。

 確かに、ちょっと気持ちの遊びがないのかも知れない。



 とはいえ、たるみきってるよりはまし。

 そういう事にしておき、卒業までの予定を確認。

 最大のイベントは当然卒業式。

 その前には退寮の手続きを含めた、事務処理が少し。

 後は、学年末テストなる物も控えている。

「真田さん、勉強は大丈夫?」

「テストをパスするくらいなら、どうにか。先輩こそ、大丈夫ですか」

「卒業出来るくらいの点数は取れるでしょ」

「だと良いんですけどね」

 怖い事を言って去っていく真田さん。

 これはちょっと確認をしておこう。


 局長執務室を訪ね、サトミにその質問を向ける。

「学年末テスト?余程ひどい点を取らなければ大丈夫でしょ」

「そうだよね」

「それにテストなんて、どうでも良いじゃない」

 長い黒髪をかき上げ、平然と言ってのけるサトミ。

 ただこの人の場合、言っている意味が根本的に違うからな。

 全教科100点を取る自信があるから、どうでも良いという意味で。

「それと、旅行代理店の社員が来てた。卒業旅行をお願いしますって」

「営業が入り込んでくるようではお終いね。どうなの、その辺は」

「私にどうと言われても。迷惑なら追い返して良いと聞いてるから、様子を見て対応したら」

 肩をすくめて答えるモトちゃん。

 迷惑ではないが、違和感はさすがに覚える。

 自治とは直接関係はないにしろ、何か自分の居場所に入り込まれた気がして。


 縄張り意識と言うんだろうか。

 やはり周りは、自分の身内で固めたい。

 誰しもそういう思いはあるだろうけど、私の場合はそういう傾向が強い気もする。

「ちょっと疲れた」

「急に、何」

「理由は無いけどね」

 ソファーに横たわり、目を閉じて丸くなる。

 眠い訳ではないが、一度に色々考え過ぎた。

 私の処理能力では、この辺がどうやら限界のようだ。

「仕事は良いの?」

「元々私は仕事が無いからね。それにもう卒業なんだから、余計にやる事がない」

「だからって、寝てる場合でも無いでしょ」

「それは分かってるよ」

 分かってはいるが、どうも気持ちが乗らないというか積極的に何かをしたい心境とは程遠い。


 卒業を間近に控えて気持ちがナーバスになっているのか、もっと根本的な理由。

 この半年間を、いまいち有意義に過ごせなかった事への鬱積が吹き出してきたのかも知れない。

「復学したのは、結局どうだったのかな」

「何が?」

「いまいち、何も出来なかったと思って」

「果てしなくどん欲ね、あなた」

 真剣に呆れられた。

 サトミからすれば、私はそれなりの事をしたように見えているようだ。

「ちょっと疲れてるんでしょ。甘い物でも食べてきなさい」

 胸元にチケットを置くモトちゃん。

 何かと思ったら、食堂でのデザート引き替え券。

 そういう心境ではないが、せっかくの気遣い。

 また期限が今週中までなので、早めに使った方が良いだろう。



 ゆっくりと廊下を歩き、ぼんやりと周りを見る。

 生徒会のブースを出ると、途端に空気が変わる。

 色々あってもやはり生徒会内は張り詰めていて、どこか固い。

 大してこちら側は、良くも悪くも自由。

 気持ちとしては伸び伸びと出来る。

「団子なんて食べたくないぞ」

 後ろから文句を言ってくるケイ。

 他の人が忙しかったので彼を連れてきたんだけど、別に団子限定とは伝えてない。

「良いじゃない、たまには。仕事ばかりしてても、疲れるでしょ」

「ふらふらと遊んでる場合でも無いんだよ、残念ながら」

 そう言って欠伸をするケイ。

 疲れているようには思えないが、それ程エネルギッシュな状態でもないようだ。

「そういえば予算局の件はどうなってるの?」

「さあね。新妻さんが何をやりたいのか知らないけど、こっちはもう卒業。今更何があっても、大して困らん」

「後輩は困るじゃない」

「新妻さんも卒業するんだ。その短い間に、大した事が出来るとは思えないって事。あの人も、卒業前の思い出作りをしてるんじゃないの」

 適当な事を言い、食堂に入っていくケイ。

 無関心というか、本当こういう部分には動じないな。




 食堂で、私はプリンをオーダー。

 購買ではふ菓子、食堂ではプリン。

 この辺は双璧だと思う。

 なんの双璧かは、自分でも分からないが。

「……何よ、それ」

「好きで頼んだ訳じゃない」

 テーブルへ付いた彼の前に置かれたのは、フルーツみつ豆。

 みつ豆は悪く無いけれど、彼とみつ豆が一致しない。

「誰かがオーダーをキャンセルしたとか言って、俺に渡して来やがった」

「チケットは使ったの?」

「持って行かれたさ」

 それでは彼が憮然となるのも仕方ないか。


 そう言いつつ、黙々とみつ豆を食べるケイ。

 良いんだけど、ちょっと嫌だな。

「ぱっとしない味というか。どうなんだ、この食べ物って」

「砂糖味だからね、基本的に」

「贅沢は言わんが、みつ豆以外を食べたかった」

 そこまで嫌わなくても良いと思うが、大量に食べる物でないのは確か。

 私も一口二口食べれば、十分だ。

「でも、こんな事してて良いのかな」

「良いからしてるんだろ。……この砂糖水って、飲み干すのか?」

「好き好きだろうけど、私は飲まないよ。飲めないしね」

 そもそも砂糖水という言い方も、どうかとは思う。

 味はそのままなんだけどさ。

「ぱっとしないね」

「みつ豆がか」

 それはもう良いんだって。


「そうじゃなくて、私達が。復学して、何もしない内に半年過ぎた」

 突然咳き込むケイ。

 そんなに変な事を言ったつもりはないんだけどな。

「冗談だろ、おい」

「私は本気だよ。いつだって」

 そう答えると、非常に醒めた目で見つめられた。

 正気を疑われたのかも知れない。

「一つ一つ言った方が良いかな」

「何を」

「ちょっと待ってくれ」

 ポケットをまさぐり、4つ折りのプリントを取り出すケイ。

 彼はそれを裏にして、点を一つ付けた。

「まず、なんだ。SDCの内紛に介入した」

 点の横に書かれる、SDCの文字。

 その下に、また点が付け加えられる。

「ガーディアンの削減に手を付けた」

「あったね、そんな事も」

「他校に乗り込んで、不良グループを一掃した」

「乗り込んではないんじゃないの」

 あくまでも、一時的に転入しただけ。

 一掃に付いては、コメントしないでおく。


 これで箇条書きは3つ目。

 でもって、さらに点が追加される。

「体育祭で、オリンピック指定強化選手と張り合った」

「それは仕方ないでしょ」

「……ついでに、矢田君の面目も丸つぶれにした」

「私だけの責任でもないでしょ」

 反論するが、返事無し。

 ただ、点は追加される。

「俺達がいない間学校を支えていた御剣君をぶちのめして、自信を喪失させた」

「あれは、私が悪いって言うの?」

「教育庁長官に説教を垂れた」

「それはサトミやモトちゃんじゃない」

「だったらこれは保留だ」

 横に引かれる斜線。

 しかし、点は追加される。


「他の局へ研修に行って、混乱を引き起こした」

「起こしてはない」

「それはユウの主観だろ。最後は小谷君を追放して、3年の横暴さを見せつけた」

「それこそモトちゃんじゃない」

「でもって規則の運用見直しと一部改正。で、誰が何をやってないって」

 箇条書きは6項目。

 一つ一つ言いたい事はあるが、こう書かれてみると色々やってきたなとは思う。

 最初に思っていたように、何もしていない訳では無いようだ。

「ただ、どうしても実感がないんだよね」

「春先に騒ぎすぎたんだ。あんなイベント、そうそうあっても困る」

「何の話してるの」

 隣に置かれるチョコパフェ。

 そして沙紀ちゃんが、スプーン片手に隣へ座った。

「……これ、何」

「ユウが引き起こした争乱のまとめ。なのに本人は、この半年何もやってこなかったと言い切りやがった」

「へぇ」

 平坦に返事をする沙紀ちゃん。

 そういうのは、つくづく止めて欲しい。



 プリンの残りを食べ、お茶を飲んで一息。

 箇条書きに、もう一度目を通す。

 こうして示されると、思い出すというか何かをやったというのはよく分かる。

 それでもやはり、目に見える変化。

 成果がいまいち自分では感じられず、時を無為に過ごしてしまったという思いが強い。


 それはもっと以前からの問題。

 結局昨年度の抗争とも繋がる話。

 管理案は撤回され、悪質な傭兵は学内から去った。

 しかし目に見えて学校が良くなったかと言えば、決してそうではない。

 努力に対する結果を求める訳では無いが、釈然としない気持ちは強い。

 復学して不満を抱いている事自体、納得していない証拠である。


 つまりこの半年への不満よりも、この3年間の不満。

 ただそれが理不尽な考えなのも分かってはいる。

 私の思い通りに物事が進む訳は無く、またケイが言っているようになにがしらの変化はあった。

 それを全て無視して、何も無かったは確かにひどい。

 私も卒業を間近に控え、気持ちに余裕が無くなってきているのかも知れない。



 そんな私の隣で、ゆったりとパフェを頬張る沙紀ちゃん。

 私のように慌てたり苛ついてはしておらず、彼女はかなりの余裕があるようだ。

「沙紀ちゃん、仕事は良いの?」

「後輩に任せてるから。後は引き継ぎを済ませて、私物を片付けていくだけね」

「心残りとか無い?」

「無くはないけど、今更あがいても仕方ないと思って」

 そう答え、長いスプーンをグラスへ差し入れる沙紀ちゃん。

 今は私との会話より、パフェに集中したいようだ。

「聞いたか、雪野さん」

「聞いてるわよ。だからって、今の状況に納得してる訳じゃないからね」

「つくづくどん欲だな。もう卒業だっていうのに」

「卒業だからでしょ。やり残した事がないか、気がかりなの」

「新妻さんと気が合いそうだな」 

 鼻を鳴らし、みつ豆の器を遠ざけるケイ。

 それへ釣られるように、沙紀ちゃんの視線がすっと動く。

「食べないの、それ」

「食べないも何も、そんなに美味しいか?」

「ええ?」

 声を裏返して悲鳴を上げる沙紀ちゃん。

 私もまずいとは思わないが、そこまで美味しいとも思えない。


 どちらにしろ器は沙紀ちゃんの元へ移動し、パフェとみつ豆を食べる事となる。

「幸せ?」

「この上ないわね」

 満面の笑みでパフェを食べていく沙紀ちゃん。

 この人の方がどん欲な気もするけどな。




 沙紀ちゃんがパフェとみつ豆を食べ終わった所で、食堂から移動。

 行く当てもないため、自警局へ戻る事となる。

「いや。その前に行く所がある」

「どこに」

「花壇。園芸部」

 まだ何か植えている訳ではないが、朝顔の種を預けている。

 種なので今の私には、何かをする事は出来ない。

 それでも行って困る事も無いはずだ。



 沙紀ちゃんは寒いという理由で、すっと姿を消してしまった。

 実際外に出ると風はまだ冷たく、結構足の方から寒くなってくる。

「俺も寒いんだよ」

「すぐ済むから。それにこっちが頼んでるんだから、たまには様子を見ないと悪いでしょ」

「朝顔なんて、何もしなくたって勝手に育つだろ。その内、朝顔先輩って呼ばれるぞ」

「意味が分かんないし、呼ばれても困らないわよ。……と、ここか」

 園芸部の建物前に来ると、花壇ではいつもの女の子が花に水をやっていた。

 今が1年で一番寒い時期。

 それでもいくつかの花が顔を出し、頼りない日差しを浴びて懸命に育っている。

「あら、いらっしゃいませ」

「こんにちは。この時期でも、花は咲くんだね」

「一部の種類だけですが、上手く種を撒けば花が絶える事はありません」

 柔らかく答える女の子。

 それは少し考えさせられる言葉でもある。


「ケイも何か育ててもらったら?」

「花に興味がないし、そもそも知識がない。池上さんが植えていった木も、よく分からないし」

「あったね、そんなのも」

 私もあれがなんの木かは知らず、またその姿も植えた1年前とさほど変化はない。

 この花壇に咲く花以上に成長は緩やか。

 本当に成長したと感じられるのは、数年先の話だろう。

 その頃は高校どころか、大学も卒業しているはず。

 さすがに想像も出来ない遠い話になってくる。



 少し気持ち的に疲れ、花壇のブロックに座ってため息を付く。

 ちょっと不安定になっているかも知れず、目元に手を触れる。

 それで確認出来る訳では無いが、視力に問題は無し。

 これこそ、元に戻るのは数年先。

 ただ少しずつとはいえ、治っていっているのも確か。

 私もこの件に関しては、比較的悠長に考えていると思う。


 猫でも来ないかなとぼんやり考えていると、後ろから話し声が聞こえてきた。

 話しているのは、女の子と部員のよう。

 どうやら、部費の事で問題があるようだ。

「どうかしたの?」

「予算局から、来月分の予算が降りないんです。プール分があるので、すぐ困る訳では無いんですが」

「予算。予算局。……新妻さんが関係してるのかな」

「一番分かりやすい方法ではある」

 腰を屈め、何かを運んでいるアリを眺めるケイ。

 この話にも、あまり興味がないようだ。

「アリはどうでも良いでしょ」

「内紛とかトラブルには興味なくてね。肥料が欲しければ、ショウの家から持って行けばいい。あそこなら、それこそ売る程あるだろ」

「そういう問題?」

「さあね。しかしこいつらはよく働くな。人生、何が楽しいんだか」

 アリを見て、そんな事を言われても困るんだけどな。



 ケイはともかく、私はさすがに見過ごす事は出来ない。

 朝顔を託しているからだけではなく、後輩が困っていて放っておくなんてあり得ない。

「起きて、早く」

 また張り切りだしたなという、嫌な視線。

 それは私も分かっているが、こうなってしまってはここでじっとはしていられない。

「予算は私が何とかする」

「本当かよ」

 小声の突っ込みは無視。

 彼女に手を振り、一目散に走り出す。

 で、どこに向かえばいいのかな。




 教棟の前で足を止め、後ろを振り返る。

「俺は、もう、何も……」

 その後に続くのは多分、「何もしないからな」だろうか。

 実際言葉はそれ以上続かず、膝に手を付いて動かなくなった。

「予算局に行けば良いの?行ってどうする?無意味かな」

「知るか」

 それだけは、何が何でも言いたかったようだ。


 待つ事しばし。

 ようやくケイが回復し、大きく深呼吸をし始めた。

「予算局に行くのは、あまり賢くないな」

「賢くなくても、予算は止められてるんだよ」

「あくまでも推測。例えばの話だけど」

 人差し指を立てるケイ。

 私も素直に話を聞く。

「予算局に行って、新妻さんに掛け合いました。プール分があるなら、それを使って下さい。まずはそれで終わる」

「予算が足りないって言ったら?」

「それは困ったわね。そうそう、そう言えば自警局は大学側の借地権を持ってるわね。その収入を、予算に組み込んではどうかしら。むしろ組み込むべきよ。いっそ予算局がその借地権を管理し、収入を配分するべきではなくて?生徒の自治を語るのなら」

 変な口調で話し出すケイ。

 言い方はともかく、そういう展開は確かにありそう。

 本当、こういう事にはすぐ頭が回るな。


「だったらどうするの。予算が無いのは絶対に困るよ」

「また見極めが必要だろ。俺達やその周りを狙い撃ちしてるのか、生徒会全体にやってるのか。それによって対応も異なる」

「そういうタイプかな、あの人って」

「お姉さんがお姉さんだ。妹も過激論者なんだろ」

 新妻さんのお姉さんは、殆ど面識はないが相当の原理主義者と聞いた事がある。

 生徒の自治が全てに優先され、そのためなら生徒会どころか学校組織の解体もやむなし。

 全ては生徒の自治のためにという考え方だったらしい。

「でも妹なんだから、そこまでするのかな」

「それは分からないし、相手の心情はどうでも良い。こっちは向こうより先に手を打つか、対応する方策を考えればいい」

「全然平気だって態度だね」

「小物ではないけど、今更って話だよ。学年末の混乱に乗じて事を起こすにしろ、打てる手は限られてる。それなら昨年度学校側について、上手く立ち回った方が有効だった。まあ、見誤ってるな」

 もう物事は全て済み、事後処理でもしながら話すような口調。

 私からすれば結構な事態だと思うけど、この人からすればありふれた日常に見えてるらしい。




 結局予算局へは向かわず、自警局へと戻る。

 気分を安らげるどころか、却って慌ただしくなっただけ。

 それもまた、私らしいとは言えるが。


 自警局の雰囲気は、特に普段と変化無し。

 せいぜい、生徒会長選挙のポスターが目立つくらいで。

「予算局の予算は、どこから出てるの?」

「自治体や企業からも出てるけど、大半は学校。つまり、教育庁」

「それを勝手に止めて良いの?」

「教育庁に反抗して学校を占拠した生徒もいるんだ。予算を止めるくらい、訳ないだろ」

 まるで人ごとみたいに言うな、この人も。



 局長執務室を訪ね、モトちゃんに事情を説明。

 一緒にいたサトミにも。

「それはどの程度の範囲?」

「知らない。たまたま園芸部に行ったら、予算が降りないって聞いただけだから」

「……自警局も、降りてないわね」

「矢田君絡みじゃないのか、そっちは」

「どういう事?」

 今回の件に関しては、彼は新妻さんと敵対する立場のはず。

 彼が予算を止める理由は無いと思う。

「小谷君の暴走を押さえるために、矢田君が自警局の予算を抑えたんだよ。予算が無ければ、小谷君も白旗を上げるしかないから」

「それで?」

「白旗を上げる前に、首を切られた」

 そう言って、自分の首に手を添えるケイ。

 視線は当然というべきか、モトちゃんへと向けられている。


「……それとこの件と、どうリンクしてるの」

 静かに尋ねるモトちゃん。

 ケイは鼻で笑い、大げさに肩をすくめた。

「予算局が予算を降ろさないんです。という名目に出来る。こっちは勝手に干上がって、身動きが取れなくなる。建前上は」

「実際はどうなの」

「ユウにも言ったけど、借地権の話が出てくる。あれを自警局が独占してるのは問題だって。新妻さんというか予算局は、それを手に入れたいって所かもね」

「矢田君の意図は?」

「自警局を黙らせたいんじゃないの。もしくはそうやって、予算局と食い合わせるか」

 あくまでも推測と断って語るケイ。

 ただこちらもそれを想定して手を打っておけば、仮に推測通りの事態になっても対応は出来る。

 聞いておいて、困る話ではないだろう。



 そういう対応は彼等に任せ、私は自分に出来る事をする。

 何かと言えば、物理的な圧力。

 攻撃から、みんなを守る事。

 それが私の仕事であり、今までやってきた事。

 卒業まであとわずかでも、それは変わらない。

「予算については、もう少し様子を見る。木之本君は予算局へ連絡。サトミは他の局や部署の予算状況を確認。ケイ君は分析と対応を考えて。それと、北川さんと丹下さんも呼んで。今後の対応を決める」

「七尾君はどうする」

「彼がどうかした?」

「元予算局付きのガーディアンだよ、彼は」

 静かに指摘するケイ。

 それは今思い出したというくらいの話。


 だけど予算局と関係のある行動をしていた記憶はなく、それは過去の話でしかないとも思う。

 その考え自体が、甘いのかも知れないが。

「……ここに呼ぶのは問題ね。査問だと思われる」

 顎に手を添えて思案の表情を見せるモトちゃん。

 この場にいるのは、自警局の幹部達。

 そこに沙紀ちゃんと北川さんが加われば、その幹部がほぼ揃う。

 仮に話を聞くだけだとしても、あまりいい気はしないだろう。

「話は別室で聞く。サトミは北川さん達に事情を説明しておいて。ケイ君、ユウ、付いて来て。それとショウ君を呼んで」

「後は御剣君だな。最近、彼と親しい」

「……新妻さんはその辺も考えて行動してるのかしら」

「相手の疑心暗鬼を利用してるって?策士らしいし、それもあるだろ」

 平然と答えるケイ。

 その辺は、彼の方がより専門だろう。

「とにかく無用な混乱は避けたい。新妻さんの意図が何であれ、みんな冷静に対応してね」

 冷静、か。

 一応、気には留めておこう。

 それが出来るのなら、誰も私を見てこないだろうしね。




 小さめの会議室で待っていると、七尾君が息を弾ませ現れた。 

 ジャージ姿で、腰には警棒。

 ガーディアンの訓練をしていたようだ。

「ご苦労様。少し話が聞きたいんだけれど」

「穏やかじゃない雰囲気だね」

 口調は軽く。

 ただ表情は少し固め。

 鋭さを増しているように思える。

「予算局が、予算の執行を停止してる。何か聞いている?」

「さあ。俺には関係無い話だし」

「元予算局付きのガーディアンよね」

「古い話だな。それにあれはガーディアン削減が目的でガーディアンズを分割したんであって、予算局にガーディアンを配置したのは大して意味はないよ。俺が分割した訳でもないし」

 そう。

 予算局付きのガーディアン。

 フォースは、私達が高校に入学する前からあった組織。

 設立したのは前予算局長である中川さんよりも、さらに前の局長。

 そこに七尾君の意思が介在する余地は無い。


 モトちゃんは微かに頷き、改めて七尾君へ視線を向けた。

「予算局との関連はないと考えて良いのね。これは非常にナイーブな問題なの」

「予算が無ければ揉めるだろうから、それも当然か。俺はガーディアンを率いる立場だし、それが予算局に付けばさらに揉める」

「そういう事。疑うようで悪いんだけれど」

「気にしなくて良いよ。それと俺が予算局付きのガーディアンになったのは、大した意図は無い。中川さんの下に付くって意味の方が強いしね」

 そう説明する七尾君。 

 彼も中川さんも、北地区出身。

 個人的なつながりで参加したという事か。

「分かったわ。ガーディアンで、予算局と連動。もしくは同調しそうな人はいる?」

「金をもらえば動く奴も出てくるんじゃないの。さすがにそこまでは統制できないしね、俺も」

「現状では、問題ないと」

「表面上はそう見える」

 素っ気なく告げる七尾君。

 気分を害してはいないようだけど、この件にさほど関心があるようにも思えない。

 いつもの彼らしいと言えば、彼らしいが。


「分かった。どうもご苦労様」

「こちらこそ。訓練に戻って良いかな」

「ええ。それと、御剣君はどうしてる?」

「さあ。別な所でガーディアンを指導してるんじゃないの」

 そう答え、会議室を出て行く七尾君。


 ケイはそれを見届け、肩をすくめた。

「心証としてはどうですか、元野さん」

「疑わしい部分は無いわね。もしくは余程信念に基づいて行動しているか」

「まあ七尾君は北地区出身。組織側の人間だからな。新妻さんのような過激論者には荷担しないか」

 それを分かっていて、七尾君を呼んだのか。

 慎重というか、固い行動するな今回は。

「彼は問題ないとして、御剣君はどうなの?」

「問題ないとは言い切れないけど。御剣君は、ユウから釘を刺すのが一番効果的だろ。あの子こそ、新妻さんに同調するとは思えない」

「七尾君にこだわるのね」

「ガーディアンの運用は自警課が行ってるけど、実質的な責任者は七尾君。自警課と七尾君どちらに従うかと聞かれれば、ガーディアンは七尾君に従うさ。俺が新妻さんなら、彼か御剣君に働きかける」

 怜悧に告げるケイ。


 相手が誰であろうと信念を貫いて行動するのは、むしろ彼の方。

 お互いの人間関係など、彼の信念の前には大した意味を持たないのかも知れない。

「七尾君に関しては、北川さん達からも話すよう頼んでおく。他には?」

「矢田君かな。自警局と予算局がやり合ってる間に、良い所を持って行かれる可能性もある。そっちはそっちで、カードがあるんだけど」

「何が」

「言うまでもない。小谷君」

 普通に出てくるその名前。


 彼は生徒会を除籍処分になり、自警局からも追われた立場。

 また有効なカードかも知れないが、正直やり過ぎな気もする。

「良いのか、それで」

 さすがに口を挟むショウ。

 ケイは鼻を鳴らし、背もたれに体を預けた。

「効果的な手を言ったまでさ。それに放っておいたら、小谷君を他の局に取られる可能性もある。その辺も含めて、小谷君をこちらで確保する」

「あいつは物じゃないぞ」

「感情の話はしてないよ」

 非常に醒めた口調。

 ケイの言う事は分かるが、私も感情としてはショウと同じ。

 小谷君を利用するような真似は、どうも面白く無い。



 必然的に悪くなる空気。

 これも込みで仕掛けてるのなら、相当に有効な手法だろう。

「大体新妻さんは、本当に生徒会の解体を目指してるの?」

「それは分からん。ただ混乱させてるのは事実で、向こうの事情までは分からない。こっちは起きてる事に対処するまでさ」

「彼女に会ってみたらどうなのよ」

「向こうが会うかどうかも分からないし、何が起きるかも保証出来ない。それでも良いなら、行くのも手の一つかな」

 素っ気なく説明するケイ。

 どういう状況になろうと、私としては会わない事には始まらない。

 こちらの誤解かも知れないし、それこそ彼女に何か事情があるのかもしれない。

 それを確かめるためにも、直接会って確かめる。

「一度行ってみる。ショウ付いて来て。ケイも」

「俺もかよ」

「サトミを連れて行くと、絶対混乱させるからね」

 ここにいなければ、何を言おうと関係無し。

 後で伝わる事は、気にしないでおく。




 予算局も同じ生徒会内のブースにあるため、移動は比較的楽。

 ただし警備のレベルは、以前の予算編成局と同様。

 受付前には銃を担いだ警備員が二人いて、厳しい表情で周囲を警戒している。

「あの人達が襲って来る訳じゃないよね」

「さすがにそれは無いだろ。……アポイントを取っておいた、自警局の者ですが」

 平然と警備員の間を抜け、受付の女の子に声を掛けるケイ。

 女の子は彼のIDを確かめ、向かう場所を説明し始めた。

「別な教棟?」

「予算局の別室がありますので、そちらへお願いします」

 丁寧に答える女の子。

 多少不穏な気はしないでもないが、行けというのなら突き進むだけだ。



 指示された通り、一旦外へ出て別な教棟へ移動。

 渡された地図を頼りに、通路を歩いていく。

「罠でもあるのかな」

「あっても困らないだろ、別に」

 平然と答え、吹きすさぶ冷たい風に身をよじるケイ。

 緊迫感の欠片もないな。

 私もおそらくは、大差無いと思うが。

「えーと、ここか。……ここって、昔の予算編成局?」

「金はあるんだ。建物の一つや二つ、維持してるだろ」

「なんか納得いかないな」

 正面玄関に人影はなく、ただカメラだけはこちらの動きをトレース。

 相当に、気分が悪い。


 私の気分を感じ取ったのか、単に映像を確認しただけか。

 自動的に開く大きなドア。

 誰か隠れてないだろうな、まさか。

「ショウ、先行して。ケイはライター。私は、眼鏡を掛けるか」

 慣れない場所なら、慎重になって然るべき。

 また警戒して困る事は無く、取り越し苦労が一番助かる。


 建物の中は照明が付いていて、ただ私達が入った途端ドアが閉まった。

「困ったな、これは」

「困らないよ、どうやってでも開けられるからね」

 ドアは分厚いが、スティックを使えば寸断するのも可能。

 なんなら、コンクリートを突き破っても良い。

「つくづく相手の想像を超えるよな。だから、罠の意味が無い」

「そういう言い方は止めてよね。さてと、どこに行けばいいのかな」

「片っ端から壊していけば、その内出てくるだろ。取りあえず、この辺を燃やしてみるか」

 取り出したライターに火を灯し、無造作に壁へ近づけるケイ。

 火事だとか危ないとか、自分も燃えるとか。

 そういう事は全然考えないんだな。

「おい、止めろ」

「呼んでおいて、出て来ない方が悪いんだ」

「つくづくお前は、常識がないな」

「お前に言われたくもないんだが」

 むっとしつつ、ライターをしまうケイ。

 ショウの指摘に従った訳ではなく、血相を変えたスーツ姿の女性が駆け寄ってきたからだ。

「この前、矢田の所でも同じ真似をしただろ」

「よく知ってるな。なんだかんだと言って、人間は動物らしい。火をちらつかせると、本気で焦る」

 何を言ってるんだか。



 この建物。

 かつての予算編成局には、中川さんがいた頃は何度も訪れた事がある。

 廊下の雰囲気や景色も、大体記憶通りのもの。

 ただ、この建物がまだ使われてるのは知らなかった。

「ここって、何に使ってるのかな」

「政治家の接待とか官僚との癒着とか。その辺だろ」

 前にいる女性に聞こえるくらいの声で話すケイ。

 そのたびに彼女の肩が、小さく揺れる。

「そういう事は排除してるじゃないの」

「世の中、何事も本音と建て前がある。それに排除してたのは、中川さんの時代。だけど今、彼女はいない」

「新妻さんがいるじゃない」

「その代わり、学校主導だろ。だったら、やりたい放題し放題だ。予算を少なめに配分して、それを着服する手もある」

 牽制なのか、過激は発言を続けるケイ。

 とはいえ使われてないはずのこの建物が機能している時点で、不自然なのは確か。

 彼の言う通りでなくても、不信感は自然と芽生える。



「ど、どうぞ」

 通されたのは、例によって小さめの会議室。

 私達3人なので、あまり広い場所に通されても困るが。

「ここは結局どこなんですか」

「事務局の財務課です」

「……学校の組織?」

「え、ええ。では、私はこれで」

 ばたばたと逃げるように去っていく女性。

 それで少しは納得したような気にもなるが、ここへ呼ばれた理由は不明なままだ。


 特に待つ事もなく、すぐに現れる新妻さん。

 彼女は私達を見ると、薄く微笑み机を指差した。

「座らないの?」

「それより、予算が降りてこない」

「プール分があるでしょ。それか、自警局が所有してる借地権。その収入を使ってみたら」

 ケイの推測通りの台詞。

 彼女がどこまで本気かどうかは不明だが、そういう返され方をしたのは事実である。

「プール分は微々たるものだし、借地権の収入は個人的な物。生徒会の資金に流用するつもりはない」

「生徒が保持するには巨大すぎる権益でしょ」

「手に入れたのは私達で、法的根拠もある。学校が権利を買い取るというのなら別だけどね」

 あらかじめ教えられた通りの台詞を告げる。

 新妻さんは思案の表情を浮かべ、机に手を付いた。

「その権益を、もっと有効に使おうとは思わないの?」

「あれは個人的に取得しただけで、それも昨年度の混乱絡みだから。今影響力を行使する理由は無いの」

「そう」

 失望したとでも言いそうな表情。


 それを合図にしたかのように、スーツ姿の男女が数名現れた。

 雰囲気としては弁護士か、その類。

 こちらも自然と身構える。

「借地権の有効性を疑問視する意見もありますが」

「誰」

「こういう物です」

 机に置かれる幾つもの名刺。

 予想通り、弁護士と司法書士。

 後は学校の職員になっている。

「……普通に借地権を譲って欲しいって頼めば、こちらもそれに応じたんだけど。予算を止めるって、どういう事」

「我々には、そういった権限がある。出来る、という意味です」

「脅してるの、それ」

「まさか」

 鼻で笑う、若い男性。

 それに同調する仲間達。


 こちらも自然と笑みがこぼれる。

 あまりの馬鹿馬鹿しさと、怒りのせいで。

「そういう真似が通用すると思ってる?」

「予算が無いと困るでしょう。それとも借地権の資金を切り崩します?それは寄付行為に当たるので、学校へ付託してもらわないと困りますよ」

「当然、生徒会へ回る額もこちらで審査させて頂きます。直接現金を渡すようでしたら、それは不正行為。贈収賄と見なしても……」

 軽く机をスティックで叩き、取りあえず黙らせる。


 挑発であれなんであれ、これ以上話を聞きたくはない。

「もういい。何をしたいのか分からないけど、その申し出には応じない。以上」

「我々を敵に……」

「以上と言った」

 今度は勢いを付けて机を叩き、それを二つに叩き斬る。

 これでも我慢した方で、我ながら良く耐えた。

「法律で来るのなら、好きにすればいい。これ以上生徒を不当に弾圧するのなら、私達も本気で学校に抗議する」

 もはや返事は返らず、少し荒くなった私の息づかいが聞こえるだけ。

 そしてここに留まる理由は、もう無くなった。



 ドアへ向かって歩き出すと、新妻さんが半笑いで声を掛けてきた。

「大人になりなさい」

「なりたくもないし、そういうのは大人と言わない。大体、生徒の自治はどうなったの」

「世の中、妥協も必要よ」

「妥協、ね」

 これを妥協と呼ぶかは、かなりの疑問。

 彼女の意図も含めてだ。




 外へ出た所で、お馴染みの警備員。

 完全武装はしているが、それでひるむようならこっちも威勢の良い事は言ってない。

「通るからどいて」

 横一列になって廊下をふさぎ、移動する様子は無し。

 こちらもスティックを構え、息を整える。

「どうも不安定だな」

 私の頭に手を置き、苦笑するショウ。

 さっきまで沈み込んでいて、突然の爆発。

 彼でなくても、そう言いたくはなるだろう。

「連中が何をしたいのかは知らないけど、ああいうのは我慢出来ないの」

「楽しい話でないのは確かだな」

 そう言って笑い、無造作に歩き出すショウ。

 警備員達は一斉に構えを取るが、それより早く彼の真正面にいた一人がプロテクターごと顔を掴まれる。

「手荒な真似はしたくないんだ。今なら、まだ間に合う」

 顔を押さえられたまま、床へ沈んでいく警備員。 

 腰が落ちて膝が付き、後頭部が床へと押しつけられる。

 周りの警備員がショウを囲もうとする前に、私も距離を詰めて彼の背中に張り付く。

「そろそろ、間に合わなくなるぞ」

 床から聞こえる、きしむような音。

 それはプロテクターの強度か、それとも彼の我慢だろうか。

「……さ、下がれ」

 誰かの合図で、囲みを解く警備員達。

 何がしたいのかと思いつつ、壁に背をもたれていたケイを呼び寄せる。

 後は左右に割れた警備員の間を抜けて行くだけ。

 ひたすらに、虚しさしか残らない。



 建物の外へ出て、開放感と凍えるような寒さを同時に味わう。

 それでもさっきまでの怒りや不快感は消え去らず、その辺をスティックで叩いて回りたい気分。

「学校はともかく、新妻さんはなんなの」

「言っただろ、混乱が目的だって。学校と俺達が揉めれば、去年の再来。あれ以上の混乱はない」

「誰が得するのよ」

「得はしないけど、信念は貫ける。それか案外、人が良いのかも知れない」

 相当に矛盾する発言。

 ただそれを額面通りに受け取るなら、彼女は敢えて憎まれ役を買って出てる事になる。

 雨降って地固まるではないが、混乱後の結束を想定しての行動なら意味としては理解出来る。

 その必要があるとは、私には思えないが。

「混乱させて、生徒を一つにするって事?」

「可能性の一つとしてはある。卒業まで、後2ヶ月。みんな、焦ってるんだろ」

 私を見ながら話すケイ。

 仮にそうなら新妻さんに改めて会うべきだろう。




 少し見えてきたのは、屈折した形での新妻さんの思い。

 それはお姉さんが関係しているのか、彼女の性格なのか。

 また彼女の意図はともかく、事態の収拾は必要。

 私達も卒業間近。

 混乱を起こしたままここを立ち去る事は許されない。






  






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