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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第49話
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     49-8




 昼休み。

 みんなで食堂へ行くと、小谷君に出迎えられた。

 彼は冷ややかな視線を注ぐサトミへ一礼して、私には笑顔を向けくる。

「よろしいですか」

 良くはないが、ここまでされて断るのも悪い。

 やはりサトミの視線を浴びつつ、彼に付いていく。


 といっても、厨房のカウンターに並ぶだけ。

 隣にはタイミング良く。もしくは悪く、サトミ達。

 こちらを見てはいないけど、気配は嫌という程放っている。

「伺いたいんですが。元野さんは何をしたら怒りますか」

「怒らせてどうするの」

「例えばの話です。このままだと、単に俺達のわがままで終わってしまう」

 なんか、難儀な話になってきたな。

 この時点で、相当迷走している気もするが。


 しかし、モトちゃんが怒るか。

 彼女も、結局は普通の高校生。 

 勿論怒る時はある。

 ただ何がきっかけかは、正直思い浮かばない。

「人として、悪い事をすれば怒るよね」

「……普通、そうですよね」

 答えが当たり前すぎたか。

 難しいな、これは。



 オムレツを食べつつ、過去の怒られた記憶を辿っていく。

 思い出せるのは、怒られたというか注意された事。

 それは私の生活態度に関する事で、小谷君が聞きたい内容ではないと思う。

「難しいな、これは」

「まさか、怒らないとか」

「菩薩様じゃないんだしさ。怒る時はあるよ、勿論」

 時はあるけど、四六時中爆発する訳でも無い。

 無いな、本当に。

「ちょっと思い付かないから、別な人を呼ぶ。……こっち、こっちきて」

 露骨に嫌そうな顔をするケイ。

 空気を読めと言いたそうにも見える。

 それは私も分かってるけど、思い付かないんだから仕方ない。

 なにより怒られるなら、私よりもまずこの人だろう。



 ため息を付きつつ、チャーハンのお皿を持ちながら移動してくるケイ。

 小谷君はそれでも丁寧に頭を下げ、改めて彼に質問をした。

「その時点で子供のわがままだと突っ込みたいけど。モトが怒る事、か。……まあ、思い付かなくもない」

「なんですか」

「人としての道に外れる事。これは怒る」

 それは怒るだろう。

 誰だって怒る。

 ただそう言われてみると、確かにモトちゃんが一番嫌いそうな話。

 さすが、その辺のツボは心得てるな。

「済みませんが、もう少し具体的にお願いします」

 それこそメモでも取りたそうな小谷君。

 ケイは鼻で笑い、指を一本ずつ立て始めた。

「信頼を裏切る、他人を顧みないで行動する、自分の利益だけを考える、他人を貶める。そういう事だよ、大体は。で、どうだった?」

「……参考になりました」

 沈んだ声で呟く小谷君。


 つまりは今の彼が、それに幾つか該当する。

 それでもモトちゃんは、取りあえず表面上は怒ってはいない。

 小谷君も、色々考えてはしまうだろう。

「大体怒らせておしまいなんて、浅いよ。打倒元野智美だろう」

「けしかけてどうするのよ。それに打倒なんてしないって」

「つまらんな。それなら結局、子供のわがままだ」

 まさに、傷口へ塩をすり込むような発言。

 とはいえ、小谷君もそう言われても仕方ない事をやっている訳だけど。



 少し沈んだ彼に対し、ケイはさらに話を続けてきた。

「どうして元野智美はリーダーなのか。もしくは、元野グループは形成されているか。なんて、考えた事ある?」

「元野さんの人柄でしょう」

「そうだよ。人柄が良いから、人が集まる。つまり、元野智美を信奉する人間が多い。そうでなくても友好的な人間、信頼を置いている人間は多い。それが何を意味するか」

 なんか講義風になってきたな。

 良いけどさ。

「元野智美に対する攻撃は、その周りにいる人間が許さない。自分が信奉、もしくは信頼する人間に対しての攻撃だからね。これは元野智美本人の意思とは関係無い。周りにいる人間が、勝手に反応する事だ」

 私を見ながら話すケイ。

 でもって、全くもってその通りだ。


 モトちゃんへの攻撃は、私自身への攻撃よりも不快。

 これはサトミも同じ意見のはず。

 また仲間とは、そういう物だとも思う。

「違う言い方をすれば、元野智美を守るという概念になる。そういう人間が大勢いれば、彼等は同じ認識を共有した仲間。自然、その結束も強くなる」

「それが元野グループの形成理由ですか」

「その一つ、だね。問題は信奉する人間の意思が強固な点と、結束が強い点。さっきも言ったように、周りが過剰反応。元野智美への攻撃は、私への攻撃と同意義かそれ以上。なんて考える生徒もいる」

 やはり私を見ながらの発言。

 当然その通りなので、私から言う事は無い。

「さらに厄介なのは、その周りにいる人間の質。モトと言えば、ユウとサトミ。これは3人セット。それで、ユウがいればショウが付いてくる。ショウがいれば、木之本君もやってくる。ショウと木之本君がいれば、御剣君が追ってくる」

 まるで磁石が連結していくみたいな言い方だな。


 ただ私はともかく、それ以外の人は何かに秀でた人達ばかり。

 味方ならこれほど頼もしい人達もないが、敵に回ればどうなるかは想像もしたくない。

「生徒会にも支持者は多い。例えば久居さんや矢加部さん。SDCだと黒沢さん。自警局内は言うまでもない。当然ガーディアンも。生徒会は、実質元野智美の影響下にあると言っても良い」

「……続けて下さい」

「昨年度の抗争で停学にはなったけど、退学にはならなかった。それは彼女が、学校から信頼されている証しでもある。学校っていうのは教師一人とか、職員一人じゃない。校長や理事会、職員全体の信頼を得てるって事だよ。そういう存在を相手にしている訳だ、君達は」

 それこそ、「がはは」と笑い出しそうなケイ。

 しかし今の話は間違ってはいないはず。

 本当に、改めてすごいとしか言いようがない。

「で、どうやってモトを怒らせようか。方法はいくらでも思い付く。なんなら、今すぐでも良いよ」

「……止めておきます」

「あ、そう。だったら土下座でもする?」

 挑発的に尋ねるケイ。

 小谷君はそれには乗らず、トレイを持って去っていった。

「嫌な事言わないでよ」

「子供のわがままに付き合ってられないんだよ。家出した子供じゃないんだから」

「立場としては、似たような物じゃないの」

「さあね」

 素っ気なく答え、残りのチャーハンを食べるケイ。

 それにしても怒らせる方法か。

 私なら、そういう発想自体存在しないけどな。




 放課後。

 律儀に教室まで出迎えてくる小谷君。

「また来てるじゃない。新しい彼氏?」

 くすくす笑う、髪全体にウェーブの掛かったお嬢様風の女の子。

 誤解というか、確かに何か言われそうな状況ではあるな。

「自警局の後輩。モトちゃんを倒したいんだって」

「なんのために」

「反抗期じゃないの」

 私もその辺はよく分からないし、もしかして本人も分かってないかも知れない。

「打倒雪野優って線は?」

 私の耳を揉みながら話す、前髪にウェーブの掛かった優しげな顔立ちの女の子。

 そういう事は聞いてないけどな。

「タイプが違うでしょ。正直言って殴り合いになれば、私が絶対勝つよ」

「武器を持ってたら?最近ショットガンみたいなのを、ガーディアンが持ってるじゃない」

「ああ、あれ。目の前ならともかく、少し距離が空けばバッティングセンターと同じだからね。撃ち返すのは簡単だよ」

「つくづく、人智を越えてるわね」

 そんな大げさな話なのか。

「でも元野さんは大丈夫なの?変な人が襲ってきたりしない?」

 不安げに尋ねてくる、清楚な顔立ちの眼鏡を掛けた子。

 さすがにそれは無いだろうし、あったら私が真っ先に阻む。

「大丈夫だとは思うけどね。今回に限らず、普段から警戒してるし」

「それこそ、雪野さんみたいな人が団体で押し寄せてきたらどうするの?」

 どうするのって、本人に聞かないでよね。




 どうやら私の相手は飽きたらしく、小谷君へと群がる3人。 

 いや。3人では群がりようもないが、私の印象として。

「雪野さんとどうなりたいの?」

「玲阿君に殺されるわよ」

「殺されるくらいなら、自分が死ぬっ」

 何を言ってるんだか。

 大体それなら、結局自分が死ぬだけじゃない。

「俺がどうかしたのか」

 今頃気付いたとばかりに、のそりと廊下へ現れるショウ。

 そして小谷君と目を合わせ、爽やかに挨拶を始めた。

「お前、偉いぞ」

「はい?」

「大勢の人間をまとめて、頑張ってるって聞いたからさ。何より、打倒元野智美が良いと思う。うん。いいな、それ」

 勝手に一人で納得し始めた。

 案外、鬱積がたまってるのかな。

「だったら、玲阿君も参加してみれば」

「いや。俺はそういう器じゃない。お猪口の裏より小さいんだ、俺は」

 何を真顔で言ってるんだ。


 騒ぎを聞きつけた訳でも無いが、モトちゃんとサトミも外へと出てくる。

 モトちゃんはともかく、サトミは例により冷ややかな態度を崩そうとはしない。

「もう少し、愛想良くしたら」

「どうして」

 処置無しだな、この子。

 性格だから、今更直しようも無いけれど。

「では、俺はこの辺で」

「あら、もう少しお姉さんと遊んでいきましょうよ」

「それとも、他にいい子でもいるの?」

「今すぐ失せろっ」

 もう良いんだってば。




 さすがに自警局まで3人は付いてこず、ようやく雰囲気も落ち着いてくる。

 ただし後ろにはサトミが控えていて、そのプレッシャーはひしひしと感じるが。

「それで、打倒元野智美は成功しそう?」

「いや。そういう事をする訳では無いんですが」

 苦笑気味に否定する小谷君。

 確かに、この子は何も言ってなかったな。

「だったら、いつまでこの状態を続ける訳。言い方は悪いけど、落としどころは必要でしょう」

「単純に言うなら、俺達の力を知らしめる事でしょうね」

「どうなったら、知らしめる事になるの」

「それが難しいんですよね。一体、どうした物やら」

 なんか、雲を掴むような話になってきたな。



 自警局内でサトミ達と別れ、例の会議室へ引きこもる。

 昨日のマンガも運び込まれていて、今日は伊勢湾激闘編を読む。

 篠島が北米軍に占領され、そこを足がかりに名古屋へ侵略する様子。

 対して日本軍は、九鬼水軍が出動。

 何時代かよく分からないが、その辺の混沌さが面白い。

「暇なの?」

 少し疲れた顔で尋ねてくる神代さん。

 また実際、精神的には疲労しているんだろう。

「私はやる事無いからね。少なくとも、この件に関しては」

「あたしだって、好きでやってる訳じゃないよ」

「小谷君も真田さんも、友達でしょ。友達のために力を尽くすのは当たり前じゃない。それで自分が不利益になるとしてもさ」

「その漫画に載ってた台詞?」

 怪訝そうに尋ねられた。

 まあ、少々恥ずかしい台詞ではあったか。


 卓上端末を引き寄せ、リストを確認。

 昨日より出席率は悪く、また当初のメンバーからすると2/3くらいになっている。

「弱体化してるね。でも逆に、良く残ってる方か」

「そうかな。去年連合が解体された時、残った人は殆ど脱落しなかったでしょ」

「いや、それは幻想を抱き過ぎじゃないの?」

 私も正確な数値を把握はしてないが、参加した後に辞めていった人もいたにはいた。

 最後に残った人数が2/3までいかなかったとしても、脱落者はそれなりにいたと思う。

「多分、想像で考え過ぎてるんだって。モトちゃんの事とか、サトミの事とか。それと、自分達を過小評価してるんじゃないの?私からすると、みんな良くやってるよ。もしかして、去年の私達より」

「まさか」

 騙されないぞと言いたげな神代さん。

 かなり追い込まれてるな、この人も。



 彼女を前の席に座らせ、改めて話をする。

「私達が学校と戦ったのを評価してるみたいだけど、あれは冷静に考えると失敗でしょ。学校中を混乱させて、しかも自分達は退学。成果もさほど上がって無くて、今は管理案に近い状態なんだから」

「そうかな」

「そうだよ。あの時の行動が全て無意味だったとは言わないけれど、神代さんが考えるほどすごい事はやってないからね。少なくとも、私は」

 ただしこれは、私の意見。

 神代さんの考えではない。


 去年までは私も、絶対塩田さん達には敵わないと思っていた。

 その考えは今でも変わらず、先輩はどこまで行っても先輩。

 偉大で、尊敬が出来、どこまでも私達の先を行く。

 神代さんもモトちゃん達には、そういう意識を抱いているんだろう。

 私に対しては、どうか知らないが。

「自分達に自信を持って行動すれば?この騒ぎも、もう止めてさ」

「止めてどうなるの?」

「モトちゃんに謝れば良いんじゃないかな。私は、それ程迷惑を掛けてるとは思ってないからね」

 命令系統の無視はあるが、仕事はしているし職権を乱用している訳でも無い。

 自警局としての問題は特になく、人の頭越しに仕事をしているだけ。 

 それが問題だと言われると、どうしようもないが。


 ちらりとドアに視線を向ける神代さん。

 彼女には、あそこが自由へ続く道に見えているのかも知れない。

「……いや。私一人で逃げ出しても仕方ない」

 逃げ出すという表現自体、かなり追い込まれてるな。

 気持ちは分かるけどさ。

「だったら小谷君が諦めるまで待つか、だね。あの子は矢田局長に焚きつけられたって聞いてるけど、具体的には何を言われたの?」

「聞いてる通りだと思うよ。北川さん達が嫌みを言われて、それが小谷に伝わって。その後、小谷が改めて矢田局長に言われたって」

「最後のは知らないな。そこは何?」

「君は来期から自警局の局長らしいけれど、今のままで大丈夫ですかとか。そういう趣旨だったと思う」

 大丈夫も何も、問題は一つもない。

 ケイが言ったように疑える要素もあるが、矢田局長は小谷君の先輩。

 そういう会話が合っても、別に不思議ではない。

「矢田局長は、何か意図があったのかな」

「さあ。私はそこにいたんだけど、普通の激励だったと思うよ。小谷がどう思ったかは知らないけどね」

「ふーん。一度確かめてみよう」



 部屋の外に出て、通路に椅子を置いて本を読んでいたサトミに声を掛ける。

 というかこの子は、何をしてるんだ。

「総務局に行く。付いて来て」

「急に何」

「矢田局長が、小谷君に何を言ったか知りたい。その真意を」

「面倒見がいいのね」

 ぺたりと私の頭に手を置くサトミ。

 そんな物かなと思いつつ、頭に手を置いた理由は何なのかとも思う。

「ショウは、それとケイ」

「ショウは、段ボールを積み上げてたわよ。ケイは知らない」

「どうして、いつも段ボールなの」

「前世と関係があるのかしら」

 段ボールとの縁って、どんな前世なのよ。



 3人を伴い、もしくは私がお供になって総務局へと向かう。

 相手が相手。

 本来なら会いたくはないが、今回は真意を是非とも確かめたい。

 そのためなら、私の感情はこの際脇へ置いておけばいい。

「……殴り込みじゃないだろうな」

 慎重に、下の方から尋ねてくるショウ。

 私も、さすがにそこまで短慮には走らない。

「小谷君が矢田局長に何か言われて、こうなった気がする。北川さん達の話は、その前振りに過ぎないと思う」

「その真意を確かめるのか。で、確かめてどうする」

 難しい事を聞くな。

 それは私も考え中というか、相手の返答次第。

 あまりふざけた話なら、短慮に走る可能性もある。




 やがて総務局へ到着。

 受付で名前を告げ、アポを取る。

 昔なら、ここで門前払い。 

 その後は、短慮に走っていた事も思い出す。

「いや。短慮じゃないよ。正しい事なんだって」

「……急に何」

 怪訝そうに振り返るサトミ。

 どうやら、知らない間に声が出ていたらしい。

「昔は生徒会の受付を、無理矢理通過してたでしょ。でもあれは、ちゃんとした理由があったって言いたかったの」

「そんな事もあったわね。……今、無理矢理通る訳ではありませんので」

 怯え気味の受付の女の子へ笑いかけるサトミ。

 でもって私には睨むと来た。

「だってさ。昔の事を考えてみてよ。連合ってだけで、いきなり拒否だよ。いきなり拒否」

「二回言わないで。大体、今更何を言ってるの」

「色々と思い出してね。別に昔の方が良かったとは言わないけど。なんだろう、この気持ち。なんだと思う?」

「知りません」

 怒られた。

 確かに、あまり賢い質問ではなかったな。



 結局アポは簡単に取れたらしく、案内をしようと申し出る受付の子。

 サトミがそれを断り、すたすたと歩き出す。

 露骨にほっとするな、この子達も。

「評判悪いのかな、私達」

「達?」

 声を裏返さないでよね。

「達でしょ、やっぱり。それとも、自分は絶対的に評価されてると思う?特に生徒会で」

「それは、その。考え方が相容れない人もいるじゃない」

「本当、最低だな」

 笑い気味に呟くケイ。

 最低という表現はともかく、結局の所私達が浮いているのは確か。

 周囲の視線は冷ややかであったり、怯え気味であったり。

 好意的な人もいるが、それ程歓迎されているようにも思えない。

「やっぱり、実績が物を言うんだよ。モトが信頼されているように、俺達も違う意味で信頼されてる。ああ、また暴れに来たなって」

「暴れないわよ、私は」

「世間の印象って話だよ。モトが今更マンガを読んでも、遊んでいるとは思わない。でもってユウが今更大人しくしても、誰も信用をしない」

 つくづく失礼だな。

 思わず、なるほどと言いそうにはなったが。




 局長執務室前に到着し、監視カメラを睨み付ける。

 カメラは悪く無いが、これと理解し合う事は一生無いと思う。

 理解し合う人も、あまりいないと思うが。

「開いたよ」

 おそらく内部からの操作で開くドア。

 私はそれ程積極的に入りたくはないので、ショウを前に押し立てる。

「小谷のために来たんだろ」

「それは、それ。これはこれ。話は、ショウがして」

「仕方ないな。……昔は、良くこういうところに閉じこめられたな」

 二つめのドアに手を触れ、感慨深げに呟くショウ。

 本当私達の思い出は、ろくな物が無いな。


 さすがに閉じこめられる事は無く、二つめのドアはすぐに空いた。

 執務室には矢田局長だけでなく、久居内局局長。

 そして新妻予算局局長。

 後はその部下らしい人が数名いて、なにやら話し合っている。

 かなり迷惑だな、私達も。

「忙しかったのか」

「いえ。ちょっとした打ち合わせです」

「何、殴り込み?」

 気だるそうに尋ねてくる新妻さん。

 それに対してサトミは薄く微笑み、彼女を牽制した。

「そう言えば、ガーディアンの削減はどうなったの」

「私達が卒業すれば、1/3は削減出来るわよ」

「それ以外のガーディアンを私は尋ねてるの。大体自警局がどれだけの予算を使ってるか分かってる?ガーディアンは確かに必須の存在だけれど、無尽蔵にお金は沸いてこないのよ」

「だったら、独自財源を作っても良いのかしら」

「……それは絶対に止めて下さい」

 相当に困った声で制止する矢田局長。


 財源が独自になれば、生徒会からの独立にもつながる。

 つまり生徒会のコントロールを離れる訳で、それはガーディアンが学内の混乱要因にもなりかねない。

「そういう事。今後も、自警局への支援をよろしくね」

「……覚えてなさいよ」

 すごい目付きでサトミを睨む新妻さん。

 この二人、打ち合わせでもしてるのか。



 話が途切れたところで、一歩前に出るショウ。

 矢田局長も、彼に視線を向けて姿勢を正す。

「どういったご用件でしょうか」

「小谷の事だ。お前に何か言われて暴走したとも聞いてる」

「……特に、けしかけるような事は言ってないつもりですが」

 表情は硬いが、嘘を言っているようにも見えない。

 あくまでも、私の印象としては。

「具体的には、何を言った」

「来期からは小谷君が局長なのですから、頑張って下さい。という事を。特に深い意味はありません」

「あいつはどう答えた?」

「頑張りますとだけ。彼がそれをどう受け止めたかまでは分かりかねます」

 困惑気味の返事。

 もしその言葉通りの会話だとしたら、そう答える以外に無いだろう。


 少し下がって聞いていたサトミも、私と似たような反応。

 結局は小谷君一人の暴走で終わってしまう。

「小谷君って、来期の局長?」

 笑い気味に尋ねてくる久居さん。

 ショウがそれに頷いたのを確かめ、彼女は「なるほど」と呟いた。

「この前、挨拶に来てたわよ。真面目そうで、ただそれ程堅物でもない感じで。印象としては良い雰囲気だったけれど」

「今はちょっと、空回りしてる」

「自警局は3年生がすごすぎるものね。後輩としては、少し無理をしたくなるんじゃなくて」

 私達へ注がれる視線。

 こうなると私達の存在自体が問題になってしまう。

「みんなの頭越しに行動するのはともかく、その気概は立派よね。元野さんも、彼の行動は黙認してるんでしょ」

「ああ」

「だったら問題ないじゃない」

 簡単に結論づけられた。

 人ごとだからと言うのもあるし、多少やり過ぎている事以外は実際問題は無い。

 私も外部の人間なら、こう答えるかも知れない。


 ただここには内部の人間もいて、それを気にするタイプの人もいる。

「頭越しに行動するのは事自体、大問題なのよ。秩序を維持するのも、生徒会としての仕事でしょ」

「そうなんだけれど。私が彼の立場でも、とても行動は起こせないから」

「気概さえ持っていれば、行動はしなくて構わないでしょ」

「うーん。新妻さんはどう思う?」

 話を振る久居さん。

 新妻さんは小首を傾げ、上目遣いでサトミを見つめた。

「行動に難があるのは認めるけれど、やる気を見せるのは良い事でしょ。悪い事をしてる訳でも無いんだから」

「秩序を乱してる点はどう考えてるの」

「私も詳しくはないけれど、昔のあなた達は今回どころの話ではなかったんでしょ。その時、秩序はどうだったの」

「私達が秩序を維持し、回復してきたのよ」

 言い切ったな、この人。

 でもって、絶対違うだろうな。



 分かったのは、みんな小谷君に同情的で理解を示している事。

 それと、矢田局長に悪意が無い点。

 こうなると、落としどころがさらに難しくなってくる。

「話は分かった。どうやら、俺達が解決する問題みたいだ。どうも、ありがとう」

 一人納得し、結論づけ、頭を下げるショウ。

 これには新妻さんも久居さんも顔を赤くして、何となく熱っぽい視線を彼へと向ける。

 良いんだけど、ちょっと嫌だな。

 それと、舌を鳴らしてるのは誰よ。

「浦田君は、何か意見はないの?」

 笑い気味に話を振る久居さん。

 ケイは肩をすくめ、ソファーに座っている彼女達に視線を向けた。

「生徒会として問題視しないのなら、放っておいても良いと思いますよ。サトミの言う秩序は多少乱れるにしろ、悪意でやってる訳でも無い。良い予行演習と考えれば、むしろ小谷君を褒めたいですね」

「元野さんに対する反乱とは考えないの?」

「そういう態度を見せたら、その時考えます。俺以外の人間もね」

 何気なく答えるケイ。


 俺以外とは、つまりはここにいる人間。

 私とサトミとショウの事。

 私達が彼の行動を黙認しているのは、自警局にとって不利益になっていないから。

 そして、モトちゃんに対する悪意がないから。

 仮にそれが垣間見えるようであれば、ケイが言う通り私達も行動を移す。 

 それは秩序の回復以前の問題。

 私達が秩序を乱す側になろうと、彼を止める。

「彼はそういうプレッシャーとも戦ってる訳ね。ちょっと同情するわ」

「俺達はいつでも後輩に優しいですよ。ここにいるみんなと同じで」

「どうかしら。私達を追い越すのは簡単だけど、あなた達を追い越すのって多分無理でしょ」

 私に関してはすでに追い越されているだろうが、サトミやモトちゃんを追い越すのは相当に困難。

 一生敵わないなんて思ってる人も多いと思う。


 小谷君は、そんな人の後に局長へ就任。

 当然比較もされれば、彼女以上の成果を示さないと評価もされにくい。

 かといって仕事を投げ出せば、彼女にも申し訳が立たない。

 改めて考えると、小谷君へのプレッシャーは相当だな。

「小谷君って、大変なんだね」

「今更何よ。大体あなた達、そういった部分をフォローしてきたの?」

 詰問に近い調子で尋ねてくる新妻さん。

 それには私達全員が視線を逸らす。

 後輩の面倒を見てきた記憶は殆ど無く、そういた事はモトちゃんや木之本君達任せ。

 特に小谷君は何でも無難にこなしていたので、意識すらしていなかった。

「何もしてないって顔ね。そういうのを、自業自得って言うのよ」

「そこまでひどくはないと思うけど」

「この件に関しては、その小谷君は悪く無い。日頃からあなた達がフォローして、彼の不満も読み取って、良い方向へ導いてれば良かったのよ。先輩としての自覚を持ちなさい。自覚を」

 説教調で攻めてくる新妻さん。

 もしくは、サトミをやり込めるのが楽しくて仕方ないのかも知れない。

 どちらにしろ言っている事はもっともで、こちらは頭を低くしてそれを聞くしかないんだけど。




 文句の一つでも言おうと思ったんだけど、逆にたしなめられた。

 本当、何をやってるのかって話だな。

 執務室を出てとぼとぼ歩いていると、矢田局長が私達を呼び止めた。

「小谷君は、そんなに困った事をしてますか」

「そうでもないぞ。俺は問題ないと思ってるし、モトもそのつもりだろ。……まあ、多少目に余る部分もあるが」

 サトミの視線を気にしつつ、言葉を追加するショウ。

 矢田局長は口元を押さえ、彼を見上げた。

「どうしてもと言うのなら、僕から注意しますが」

「それには及ばないわ」

 素早く遮るサトミ。

 ふと垣間見える、先輩としての表情。


 人は誰しも変わっていくけれど、彼女がこんな態度を示す日が来るとは思わなかった。

 昔は自分の事だけが大切みたいな態度が強く、その後もせいぜい私達を気にするくらい。

 それが今は後輩の事で気に病み、感情を露わにするくらい。

 本人は否定するだろうが、彼女もこの6年間で大きく成長したんだろう。

「……では、彼の事はお任せします」

「ええ。それとこの件は自警局内の問題だから、生徒会としては不問にしておいて」

「分かりました。ただ自警局内で収められないような状況になれば、こちらとしても対応はします」

「その時は好きにして構わない。彼は、あなたの後輩でもあるんだから」

 柔らかく微笑むサトミ。

 矢田局長もそれに微笑み返し、一礼して執務室へと戻っていった。

「……何よ」

「いや、別に。なんにしろ、小谷君も良い先輩に恵まれと思っただけ」

 くすりと笑い、サトミの肩に軽く触れる。

 この人も、なんだかんだと言ってやっぱり良い先輩だ。




 自警局へ戻り、受付の女の子に話を聞く。

 状況は今のところ変化無し。

 小谷君達は、相変わらず部屋にこもっているとの事。

「まあ、仕方ないか。モトちゃんは?」

「掃除をしてらっしゃいました」

「あの子も結構落ち着かないな」

 なんて言っていると、真横をモップが通過。

 モトちゃんが、黙々と床を磨いていた。


 何もしないのは良くないと思うけど、こういう真似も止めて欲しい。

「ショウ、代わってよ。モトちゃん、もっと他の事して」

「掃除も大切でしょ」

「局長がやる仕事ではないと思うよ」

「ユウに言われた」

 何も、そこまで意外そうな顔をしなくても良いじゃない。



 モップはショウに代わってもらい、私は雑巾。

 サトミにも一つ渡す。

「取りあえず、受付からやっていこう」

「私が掃除をする理由はあるの?」

「先輩としての範を示すって、いつも言ってるじゃない」

 まずは受付のカウンターを拭き、受付の子に睨まれる。

「掃除掃除。すぐ終わる」

「いつもしてますから」

「あ、そう」

 いきなりつまずいた。

 先輩としての範どころじゃないな。

「カウンターの裏は?」

「毎日磨いてます。それよりいらないパンフレットや広報誌がたまってるので、そちらの処分をお願いします」

 なんだろうな、先輩って。


 それでもいらない書類を段ボールに詰め、台車へ載せる。

 ますます、何をやってるのか分からなくなってきたが。

「あなた、それをどうするつもり?」

「捨てるか、再利用するかだね。小さく切って、メモ用紙にする?」

「そこまで自警局の財政は逼迫してないわよ。全部捨てて」

 再利用はあっさり却下。

 せっかくだから、他のゴミも探すとするか。

「卒業前だし、いらない物は全部捨てていこう。他に何か、ゴミはある?」

「捨てて下さるなら、すぐに集めますが」

「お願い。御剣君を使っても良いから」

「分かりました」

 すぐに連絡を取る受付の女の子。

 何か言いたそうなサトミは気にせず、台車の上に座る。

「寮の荷物も、持って帰らないとね」

「まだ早いでしょ」

「いや。やり始めると、ついつい突っ走る……。小谷君も、もしかしてこういう心境だったのかな」

「執務室の、私物の話?無くも無いでしょうね」

 消極的に認めるサトミ。


 こういういくつかの出来事が積み重なり、その結果が今の行動。

 特別なきっかけがあった訳では無いのかも知れない。

 それが分かった所で、なんの解決にもならないが。

「悪意はないと思うよ、やっぱり」

「悪意がないからといって、結果が悪ければ同じでしょう」

「そうだけどさ。私達も反省する点はあるんじゃないの」

「反省?誰が?どうして?具体的な理由を挙げてみて」

 矢継ぎ早に責め立ててくるサトミ。

 そう言われると私も困るが、何も問題がないとは言えないと思う。

 卒業間近に悟る事でも無いけれど。



 やがてゴミの山が受付前に出来上がり、受付の女の子に白い目で睨まれる。

「大丈夫。片付けるから」

「思いつきで行動してません?」

「結果が良ければ良いんだって」

 さっきのサトミと言っている事は反対だが、意味としては同じになってしまった。

 やはり結果だけでなく、経緯も大切だ。

 本当、今更ながら悟ってしまった。

「これ、運ぶのか」

 モップを担ぎながら戻ってくるショウ。

 そんな彼に頷き、モップはサトミに渡して後を頼む。

「これ捨ててくるから、後をお願い。それと小谷君の件は、よく考えておいてよ」

「何を考えるの」

「どうしてこうなったのか。本当に私達に問題は無いか。これからどうするか」

「へぇ」

 よく分からないけど、感心された。

 私が多少なりとも論理だった事を言ったのが意外だったようだ。

「とにかく、後をお願い。ショウ、それ運んで」

「小谷が、また何かやったのか?」

「全然。これは私がやった事。思いつきで行動しても良くないと分かった」

「反省するのは良い事だ」

 しみじみ呟かれた。

 この人は今までそういう目線で、私を見てたのかな。




 台車を押し、ゴミの集積センターまでやってくる。

 押してるのはショウだけど、気分的にね。

「まだ寒いね」

「一番寒い時期だろ。でも、後は温かくなるだけだ」

 楽観的な事を言いながら、分別したゴミを指定の場所へ運び出すショウ。

 私も軽めの紙袋を手に取り、焼却炉の前へと持って行く。

「……何してるの?」

「え」

 紙袋を頭の上まで持ち上げ、焼却炉へ放り込んでいる七尾君。

 捨ててるのはゴミみたいだけど、行動自体はあまり尋常とは思えない。

「風間さんじゃないけど、俺も紙袋は好きじゃなくてね」

「始末書とか?」

「俺も、そこまで悪い事はしないよ。大体、紙袋が一杯になるほどは書いてない」

 軽く笑われた。

 私も笑い、少しため息。

 私達の場合は紙袋一杯どころか、そこからはみ出すだろう。


 ゴミを全て捨て終え、台車を押しながら教棟へと戻る。 

 七尾君は至って普段通り。

 軽い調子ではあるが、それが非常に安定している。

「小谷君の件、どう思う?」

「やる気があって良いんじゃないの。ちょっと俺には真似出来ないけど」

 少々意外な答え。

 彼ならああいう事を好むというか、積極的にやるくらいに思っていた。

「一応俺も、北地区出身でね。先輩は絶対、後輩は服従。その表現は大げさにしろ、規則からの逸脱は好ましくない。良い悪いじゃなくて、精神的に受け付けづらい。3年間、そうして生きてきたから」

「七尾君なら、小谷君はとっくに止めてる?」

「素振りを見せた時点で注意はしてるよ。まあ、こうだね」

 自分の首へ主刀を添える仕草。

 それが何を意味するかはよく分からないが、言いたい事は伝わった。


 そうなると、止めない私達が問題。

 この状況を招き、放置していた責任がより大きくなる。

 七尾君の考えを借りるならば。

「私達が甘いのかな」

「厳しければ良いとも思わないけどね。焚きつけたのは、北川さんや丹下さんだし」

「そうだけど。先輩と後輩の関係はどうなの?」

「人それぞれじゃないの。俺達はそれを絶対的な物と考え過ぎるからね。だからどうしても厳しくなるし、後輩の行動に口を挟みたくなる。それが必ず良いとは限らない」

 教棟に入り、大きく息を付く七尾君。

 普段こういう話は彼としないだけに、色々と参考になる。

 これもまた、今更か。

「良いんじゃないの。俺の背中を見ろ、みたいな育て方も」

「俺の事か」

「玲阿君にしろ、雪野さんにしろ、行動で示してきたんだろ」

「そうだったか?」 

 私に視線を向けてくるショウ。

 そう言われると返事に困るというか、多分そこまで考えてはいない。

 小谷君は、それも含めて行動で示してきたと言いたいのだろうか。

「何が良くて間違ってるかは、この件に関しては正答はないと思うよ。最悪、小谷君を殴り飛ばして終わらせればいい」

 軽く笑い、手を振って去っていく七尾君。

 最悪な終わり方ではあるだろうが、場合によってはそうするべき。

 それこそ先輩としては。

 無論、そうならない終わり方を見つけるつもりではいるが。




 自警局へ戻り、台車をしまってソファーに座る。

 まずはお茶。

 しかしペットボトルが無く、お湯を沸かすところから始めなければならない。

 大げさな言い方をすれば、手間が掛かる。

 手間の積み重ねで成り立っているとでも言おうか。

 買えば美味しいお茶は手に入るが、自分で作る事も出来る。

 後輩がお茶とは言わないまでも、ちょっと考えさせられた。

「難しいね、先輩というのも」

「威厳は無いだろうな、少なくとも」

 鼻で笑い、貯金箱に小銭を入れるショウ。

 確かに私達はそういうタイプでは無く、上下よりも横の関係で成り立ってきた。

 ただそれも誇りというか、自慢の一つ。

 そこまで否定をするつもりはない。

「それと、みんな色々考えてるんだね」

「ユウも考えてるんだろ」

「私は丸く収めようとばかり考え過ぎてる。七尾君みたいに、多少厳しくした方が良いのかな」

「慣れない事はしない方が良いぞ」

 笑い気味に指摘された。

 確かにそれは、失敗する最たる原因か。



 空のマグカップを睨んでいると、書類を抱えたサトミが怪訝そうにこちらを見てきた。

「何してるの、あなた」

「いや。色々難しいなと思って」

「また悩み始めてないでしょうね」

 ちょっと不安そうな表情。

 私がこのモードに入るのは良くない兆候と思っているようだ。

「大丈夫。それ程深刻には思い悩んでない」

「だったらいいけれど。それと小谷君が、モトと話し合いをしたいって」

「謝るのかな」

「決闘を申し込むのかも知れないわよ」

 適当に言って、書類の束を机に置くサトミ。

 卒業式の資料か、これは。

「まだ早くない?」

「遅いよりは良いでしょ」

「大体、卒業は出来るんだよね」

「怖い事言わないで」

 肩を押さえ、表情を強ばらせるサトミ。


 単に成績だけならサトミは何も問題は無い。

 私もそこまでひどくはない。

 とはいえ私も彼女も、一度退学になった身。

 この辺に関しては、どうしても敏感になってしまう。

「今考えると、退学になったのは相当失敗だったよね」

「過去を振り返っても仕方ないでしょ。そうじゃない?」

「ん、俺か。まあ、退学は退学で良い経験と思えばいい」

 満面の笑みで、さらりと言ってのけるショウ。

 それにはこちらも、つい微笑み返してしまう。

「……たまにすごいわね、ユウ並みに」

 褒めてるのか、それ。

 笑っていないところを見ると、どちらとも取れないが。





  












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