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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第46話   草薙高校自治確立編・風成(ショウの従兄弟)、流衣(ショウの姉)、秀邦(サトミの兄)メイン
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 普段通りに登校してくる風成と流衣。

 教室に到着した彼等が目にしたのは、席について大人しく本を読んでいる笹原。

 珍しい、ただ普通と言えば普通の態度。

 彼等は笹原を刺激しないよう、挨拶だけをして自分達も席へ着いた。

「調理師にでもなるつもりかしら」

「分からんし、あいつの料理を食べるのも抵抗がある」

「ひどいわね」

 そう言って笑う流衣。


 ちなみに笹原が呼んでいたのは、栄養学のタイトルが書かれた本。

 ただ中身は武装闘争時の武器製造法が書かれている。

 戦中戦後の混乱期に、昔流行った指南書を誰かがリメイクして密かに配付。

 一部は実際に活用され、学生運動などで使用された。

 昨日の火炎瓶は、その名残。

 ただ彼女は敵を知るためではなく、どうやら自分が使うために呼んでいる節もあるが。



「道具が色々いるわね。どうやって調達すればいいのかな」

「遠野君に聞いてみれば。……今日も来ないのかしら」

「あの色男?来なくて結構。やる気のない人間は、今すぐ去ってもらいたいわ」

「なんのやる気?」

「黙って、今集中してる」

 話を振っておいて、これ。

 傍若無人どころの話ではない。




 授業中も彼女の行動は変わらず、しかし教師達は見て見ぬ振り。

 迂闊に指摘して騒がれるより、大人しくさせる道を選んだようだ。

「科学部を押さえる必要があるわね。それと、運動部。国家解体、政府転覆よ」

 革命思想に染まりつつある笹原。

 意外に信じやすいタイプなのかも知れない。



 彼女が革命を起こす前に、午前中の授業が終了。

 生徒達は持参してきた弁当を広げたり、食堂へと向かい出す。

「共産主義革命万歳ね」

「何時代の話よ。大体今時、共産主義の国自体存在しないでしょ」

「それは政党や指導者が悪かっただけよ」

「今まで全部失敗してきたのだから、根本的に人間が運用するのは不可能な制度とは考えないの?」

 それには答えず、教室を出ていく笹原。

 流衣はその後を追ってまで議論をしたいとも思ってないようで、彼女が完全に立ち去るまでその場を動こうとはしない。

「たまには外で食べるか」

「どうかしたの?」

「学校にいると、横やりが入る気がする。食べる時くらいはゆっくりしたい」

「それは良い話ね」

 廊下の様子を窺いながら答える流衣。

 どうしても、笹原の存在が気になるようだ。




 二人が訪れたのは、学校の近くにある洋食店。

 ピザやパスタがメインで、彼等以外にも高校生風の客が店内に溢れている。

 それ程広くはない店。

 自然と相席になり、ただ昼休みという制約があるため回転率は高い。

「混んでるわね」

「俺は立ってでも食べられるぞ」

「ゆっくり食べるんでしょ」

「ん、ああ。そうだな」

 適当に頷く風成。

 彼の言うゆっくりとは、主に笹原に邪魔されないという意味。

 また食事自体は、どちらかと言えば早い方である。

「テイクアウトする?」

「それでいいか。適当に頼んでくる」

 カウンター越しにオーダーをして、ピザを受け取る風成。

 混雑を見越してある程度は先行して作り置きをしているため、テイクアウトの時はこういう事が出来る。

 是が非でもシーフードピザが食べたいのに、ミックスピザしか残ってない場合もあるが。

「どこで食べる?」

「学校へ戻るか。中庭辺りで良いだろ」




 なだらかな丘になっている、芝の敷き詰められた中庭。

 周囲を教棟に囲まれているため風が吹き込まず、非常に居心地の良い場所。

 木々も程よく生い茂り、夏場は木陰で憩う生徒の姿もよく見られる。

 昼休みともなればその数はさらに増え、芝の上にはいくつものランチマットが広げられる。

「……なんだ、こいつ」

 芝の上に置いたピザに鋭い視線を注ぐ黒猫。

 風成はそれを手で追い払い、その上から猫に叩かれる。

「この野郎。俺に手を出すとは良い度胸だな」

「猫相手に止めなさいよ」

「猫だろうと人間だろうと関係あるか」

「止めなさいって言ってるの」

 シーフードピザのトッピングであるエビを遠くへ投げる流衣。

 猫はいきり立つ風成には見向きもせず、一目散にエビの方へと駆けだしていった。

「日本から、猫を追放しろ」

「何よ、それ」

「猫とか犬とか。俺はああいうのが苦手なんだ」

 ただ彼の場合は猫や犬というより、玲阿家にいる猫や犬。

 山猫やボルゾイを差す。

 その感情が他の猫や犬にも波及して、結果相手からも嫌がられる構図になっている。


 エビで満足したのか風成の相手も飽きたのか、それきり姿を現さない黒猫。

 風成はシーフードピザを全て平らげ、次のカルボラーナに取りかかった。

「何がしたいのかしら」

「猫なんて、食べる事と人を襲う事以外考えてないぞ」

「そうじゃなくて。自治を推進しようとしてる人達よ」

「別に興味もない。結局連中が騒動の原因って気もするしな」

 中庭に集う生徒達へ視線を向ける風成。

 仲間同士で楽しげに食事を取る彼等が不満や苛立ちを抱えている様子は無い。


 昼休みの穏やかな一時。

 気の合う仲間との語らい。

 空は気持ちよく晴れ渡り、木々の間を抜けた風は清涼感が漂っている。

 彼等は高校生活を満喫し、何かを求めているようには見受けられない。

 今という時に満足しているとしか。



 鼻を鳴らし、流衣の膝へ頭を乗せる風成。

 だがその頭は、膝に触れる寸前で素早く止まる。

「お、お前な」

「膝枕がご所望なんでしょ」

「膝蹴りだろ。それは」

「そんな重い頭、乗せられる訳無いじゃない」

 立てた膝をゆっくり畳み、彼から距離を置く流衣。

 そこまで重いとも思えないが、そういう許容があるタイプでも無い。

 人と、必要以上に近付きすぎない。

 彼女にとって従兄弟。

 異性としても非常に近しいだろう関係である風成ですら、この扱い。

 蹴り飛ばされなかっただけまし、という考え方もある。




 そんな切なくも甘い二人の空気は、一瞬にしてかき消える。

 足を振り上げ、手を使わずに起き上がる風成。

 流衣もすぐに立ち上がり、彼の後ろで身構える。


 中庭の空気を一変させる、下品な集団。

 いや。服装は全員ブレザーで、身なりとしては整っている。

 ただ全員手には武器を持ち、何より顔付きが悪い。

 凝り固まったエリート意識とでも言おうか。

 自分以外は全て下として見るような。

 中庭にいた生徒達は一斉に食事を片付け、その場を逃げていく者もいる。


 そういった反応が面白いのか、一層集団の表情。雰囲気は悪くなる。

 人の弱みを糧とする外道。

 勿論、世の中そんな外道だけではない。

 正道を行く者も、当たり前だが存在する。

 勧善懲悪。

 悪は滅び、正義は勝つ。

 そういう理想は、誰もが胸の中に描いている。

 それはあくまでも理想に過ぎず、本当に正義が勝つのならそもそも悪党自体この世に存在はしない。



「玲阿君、だね」

 少し震え気味の声。

 草薙高校において、彼を知らない者はいない。

 その巨体。

 古武道宗家直系。

 父と叔父は、前大戦の英雄。

 何より、中等部以来の武勇伝によって。


 尾ひれの付いた噂話も、勿論ある。

 ただ彼の実力を、草薙高校の生徒達はその目で見てきた。

 だから期待する。

 その力が、正義のために使われる事を。

 眠れる獅子が起き上がる時を。

「何の用だ」

 身構えてはいるが、会話は交わす風成。

 売られたケンカを買う事はあっても、自分から仕掛ける事は無い。

 自制。

 自分の力を知る故のブレーキとでも言おうか。


 それは理不尽な振る舞いをしないのと同時に、こういう輩に対してもそれ程積極的ではない事にも繋がる。

 自分に敵意が向けられれば戦うが、その存在自体を消し去る真似はしない。

 テリトリーとでも言おうか。

 自分の範囲に関しては強く守る物の、そこを出れば無関心。

 決して責められる事ではないのだが、それに不満を抱く生徒がいるのも事実。

 それだけの力がありながら、どうして自分のためにしか使わないのかと。

 例えば、先日の生徒会長のように。



「生徒会が再編される話は知ってるかな。特に、自警組織に重点を置くという話は」

「聞いた事はある。それがどうした」

「次期生徒会長選では、我々も候補者を立てる。その際、是非君に自警組織を率いてもらいたい。白紙の小切手とは言わないが、それなりの待遇は用意するつもりだ」

 下劣な、緩みきった笑み。

 餌さえ放れば、喜んで尻尾を振るとでも言いたげな。

 しかし風成の反応は薄く、返事はない。

 放っておけばそのまま背を向け、帰ってしまいそうですらある。

「では、何が望みだ」

「平凡な高校生活さ。今の生徒会長のやり方も好きじゃないが、お前らの仲間になる気も無い。勝手にやり合ってろ」

「そんな曖昧な立場が許されると思ってるのか」

「少なくとも、お前の許可を得る必要は無いだろ。戦争ごっこがしたいなら、北海道でも行ってこい」

 鼻を鳴らし、顎を振る風成。

 その先は北。

 つまりは北海道。

 未だに銃火器が横行し、高校間の抗争では銃撃事件も発生しているという。



 一気に白ける空気。

 風成は話が終わったと判断したのか、流衣の肩に軽く触れて歩き出した。

 だがそれは、彼の考え。

 男達の考えではない。

 すぐに行く手が遮られ、下劣な笑みがさらに深まる。

「まあ、待ってくれ。君は裕福だから、金銭的な欲求は少ない。それは分かってる」

「何が分かってるんだ」

「……彼女の前では言いにくいが、まあいいだろう。つまりは、そういう事だ」

 一層深まる笑み。

 男。

 それも年頃の男の欲求と言えば、異性。

 どういうレベルまでは語らないが、それは男の表情から大体察する事が出来る。

「興味ないな」

 素っ気なく、全くの感情のブレも見せずに返す風成。

 相手をする気は一切無い。

 醒めた口調から、彼の意志は容易にくみ取れる。



 男もそれが分かったのか、一応は迎合気味だった笑みは侮蔑のそれへと変わる。

「所詮粗暴な輩。我々の理屈も理解出来ないか」

「理屈なんて語ってないし、聞きたくもない。お互い時間の無駄だ。さっさと帰れ」

「父親が卑怯者と聞いていたが、子供は能なしか」

 どっと笑い出す男の仲間達。

 風成の父。月映は、ヨーロッパでの工作活動をしていた情報将校。

 武器を使って戦うのではなく、知略で名を馳せた軍人。

 ただ敵国のプロパガンダにおいて、彼等は卑怯者と揶揄され続けてきた。

 戦後においてそれを真に受ける人間や彼等の活躍を心良く思わない人間から、その面がクローズアップされるケースも時折あった。

 男は、その事を言いたかったのだろう。


 それでも風成の反応は薄いまま。

 だからどうしたと言いたげに、目の前の男を醒めた目で見下ろし続ける。

「俺が能なしでも父親が卑怯者でも、お前に関係無いだろ。そこをどけ」

 外見とは裏腹な自制心。

 どう責めようと反応がなければ、それは全く無意味な行為。


 彼がもう少し大人なら。

 もう少し人生経験を積んでいたら、気付いただろう。

 自分への攻撃は無意味。

 だとしたら、その矛先はどこへ向くか。



 男の視線が風成の後ろ。

 一応は身構えつつも、興味なさげにしていた流衣へと向けられる。

「臆病者の子供が、お前にはお似合いだよ。見た目だけで、中身は……」

 全くの躊躇もなく繰り出される正拳。

 それは男の顎を真正面から捉え、真下へと振り下ろされた。


 血飛沫に混じる白い欠片。

 悲鳴なのか助けを求める声なのか。

 だが口元から漏れるのは鮮血と、砕け散った歯の欠片。

 男が何を言いたいのかは、誰にも聞き取れはしない。

「日本に生まれて良かったな。歯無くても、豆腐は食べられる」

 半歩前に出て、体を回しながら肘を振る風成。

 木刀を振り下ろそうとしていた男の脇腹にそれがめり込み、やはり口から鮮血がほとばしる。

「お前は大丈夫だ。肋骨3本の単純骨折だから。そっちのは、整形不可能だろ」

 そっちのとは、顎を砕かれた男の方。

 俯せになっているのでどうなってるかは見えないが、未だに起き上がらない所を見るとかなりの重症。

 やはり血は止まらず、芝がみるみる赤く染まっていく。

「失血死されても困るか」

 男の制服をはぎ取り、無理矢理口にめり込ませる風成。

 その程度で出血が止まるとは思えないが、取りあえず見た目の出血は止まった。

 口に入っている制服は、みるみる赤く染まって行くにしろ。

「早く病院へ連れて行けよ。……それと、一つ言っておく。自治も自警組織も興味はないが、俺は生徒会長側に付く。お前達は、退学の準備でもしておけよ。こいつみたいになりたくなかったらな」

 男の脇腹へ突き刺さるつま先。

 その体が大きく浮き上がり、上から踏みつけられて芝へと叩き付けられる。

「文句は……。無いようだな。今度俺に会いに来る時は、銃でも持ってこい」




 食堂で激しくテーブルを叩く笹原。 

 一瞬眉を動かし、だが言葉は出さずざるそばをすする生徒会長。

「銃って何よ、銃って」

「名古屋近郊では最近無いが、一つ前の世代では銃撃戦が行われていたらしい」

「映画の話じゃなくて?」

「学校中の廊下を歩いてみれば、弾痕の一つや二つは見つかる」

 さらりと告げ、湯飲みに手を伸ばす生徒会長。

 笹原はもう一度テーブルを叩き、回りの生徒に睨まれる。

「何よ。撃たれたら、こんな物じゃ済まないわよ。ライフルなら秒速800m。避ける間もないのよ」

 全く意味不明の言い訳。

 ただそれに何故か何人かの生徒は納得し、頷きながらトレイを片付けに行く。

「小銃はどうなんだ」

「普通の銃?それでも秒速300mとかでしょ。撃たれたら、もう終わってる」

 手で銃の形を作り、「バン」と呟く笹原。

 その指先は向かいの生徒会長へ向けられ、テーブルの幅は当然300mもない。



 少し顔を青くする生徒会長。

 自分で言ったように、名古屋近郊で銃撃戦が行われたのは数年前の話。

 中高に限って言えば、戦後の混乱期のみ。

 しかし今でも裏社会に少し通じていれば、銃器の入手は容易。

 強盗は小銃を所持しているのが普通である。

「入る部分を制限するべきだな。警備会社にも強く要請しておく」

「生徒の自治じゃないの」

「学外の警備は、警備会社の仕事だ」

「本当、都合の良い台詞よね。今日のチャーハンが美味しいのも、生徒の自治のせいかしら」

 適当に言ってトレイを片付けに行く笹原。

 彼女からすれば、生徒の自治はその程度の話。

 冗談として扱う話でしか無く、知識はともかく体感としては備わっていない。



 気楽な彼女とは対照的に、青い顔でざるそばの残りを見つめる生徒会長。

 銃の問題もだが、自治についても難問が山積。

 笹原の指摘通り、どこまでを自治とするか。

 そして自治が言い訳の材料として使われないか。

 生徒がどの程度理解をしているのか。

 どれも非常に難題かつ、曖昧。

 そして自分が口にしたように、学内の混乱が激しくなれば銃を持ち出す者がいないとも限らない。

 防弾チョッキの入手は可能でも、全身を覆う訳ではないしそれが本当に有効かどうかも不明。

 何より一番の標的はおそらく彼本人。

 いくら自治に熱心だと言っても、銃で撃たれる覚悟まではないだろう。



 テーブルの間を駆け抜け、息を切らし彼の前にやってくる生徒会のメンバー。

 生徒会長は顔を上げ、何事かと彼に尋ねる。

「顎、大丈夫ですか?」

「……見ての通りだ」

 ざるそばの残りをつゆに浸け、それをすする生徒会長。

 会話も出来れば咀嚼も可能。

 別におかしい部分はない。

 おかしいのは、その質問内容くらいだろう。


「顎がどうした」

「無いんですよ、顎が」

「分かるように話してくれ」

 差し出されたお茶を一気飲みした男子生徒は空いていた席へ座り、テーブルにあった急須からお茶を注いでもう一杯飲んだ。

「おい」

「ああ、失礼。さっき生徒が二人、病院へ運ばれました。一人は顎と肋骨の骨折。もう一人は肋骨の骨折です」

「それで」

「顎を折られた生徒は歯が全部無くて、顎は粉砕骨折。鼻もヒビが入ってて、医者が悲鳴を上げてました。こんな手術した事無い。どうやら、新しい術技を試したいそうです」

 妙に熱のこもった口調で語る男子生徒。

 医者の、変な熱気に当てられてきたようだ。

「治療法はどうでも良い。その二人がケンカをした結果なのか」

「どうやら、中庭でトラブルがあったそうです。聞き込みがされましたけど、誰も何も言いません」

「命に別状はないんだな」

「顎はなくなりましたけどね」

 そこにこだわる男子生徒。

 とうとうプリントをテーブルの上に置き、裏の白紙部分に骨格図まで書き出した。

「顎はどうでも良い。経緯をもう少し調べてくれ。さすがに怪我の程度が重すぎる」

「俺の顎はどうでも良いっていうんですか」

「……そうだな。調べるのは俺がやる。しかし、ハンマーでも使ったのか」

「医者もそんな事を言ってました。物騒な話ですね」

 最後は適当にまとめる男子生徒。

 生徒会長は気のない調子で頷き、つゆに浸った麺をまずそうにすすり上げた。




 授業が終わると同時に、流衣へ近付いてくる笹原。

 愛想の良い笑顔を携えて。

「流衣ちゃん」

 猫なで声を出し、彼女にすり寄る笹原。

 流衣はすかさず身を引き、彼女から距離を置く。

「つれないのね」

「用があるのなら、普通に言って」

「防弾チョッキちょうだい」

「頂戴って。そんな物……。あるのかしら」

 小首を傾げ、記憶を辿る流衣。


 彼女の父は元軍人で、叔父はセキュリティコンサルタント。

 今でも家には銃器が所蔵されている。

「あったかしら」

「サイズは知らんが、チョッキやヘルメットはあるぞ」

「一式ちょうだい。いざという時に備える」

「戦争でも行くのか、お前は」

 そう言って笑う風成。

 顎を砕いた事を思わせる素振りは一切無く、普段通りの態度。

 つまり彼にとっては、その程度の事。

 怒りの着火点はともかく、あの男の顎など考慮されるべき事柄ではないようだ。

「それにサイズは、多分成人男性用だ。大きすぎると思う」

「撃たれて死ぬよりましでしょ。相手が銃を使う可能性があるんですって」

 そんな馬鹿な。

 とは笑い飛ばさない二人。

 風成は特に、先程の自分の発言。

 「銃でも持ってこい」という部分を思い返している所だろう。




 生徒会、生徒会長執務室。

 骨格図のイラスト、銃のパンフレット、警備会社の連絡先、自治関係の書類。

 それ以外の、日常業務の書類とDD。

 まずはため息。

 次に、骨格図がゴミ箱へと捨てられる。

 インパクトはともかく、これは確かになくても良い。

「……いつもお世話になっております。……治安の悪化が懸念されてまして。ええ、そうです。……銃器に対する対応は可能なのでしょうか。……ええ、ええ。……では申し訳ありませんが、そのように。……詳細は、また後日……。はい、失礼致します」

 連絡先が引き出しの中。

 パンフレットもそれと一緒にしまわれる。


 これで、取りあえずは片付いた。

 イレギュラーな部分に関しては。

「面会希望って男の子が来てるけど」

 ぶっきらぼうに告げる女子生徒。

 生徒会長は顔を上げ、相手が誰かを訪ねた。

「知らないわよ、そこまで。それより、早く仕事して」

 書類の束を机に置いて去っていく女子生徒。

 言ってみれば、笹原タイプ。

 生徒会長はその背中に声を掛けようとしたが、一歩遅くドアが閉まる。

「規律が乱れてないか」

「何の話」

「こっちの話だ。初めまして、でいいのかな」

「俺は知ってるが、あんたは知らないだろ」

 笑い気味に告げるガーディアン連合議長。 

 生徒会長は席を立ち、書類から目を背けつつ応接セットへ彼を案内した。



 差し出される缶コーヒー。

 生徒会長はやはり気になったのか、数枚だけ書類を運びそれにサインを書き込んでいく。

「忙しいなら出直すが」

「いや。いつ来ても変わらない。それとここに来たという事は、協力してくれると考えて良いのかな」

「ああ。傘下に入るのは構わんが、組織は別にして欲しい。後は資金と備品の援助を頼む。指揮監督権はそちらへ預けるが、現場での対応はある程度こちらに任せて欲しい」

「組織と援助については了承した。ただ出来れば、組織は統合したいのだが」

 これは当然の要望。

 傘下とはいえ別組織になれば、そちらの勢力が大きくなった場合抑えが効かなくなる。

 また必ずしも生徒会に対して友好的とは限らず、武装組織を生徒会が育てる事にもなりかねない。


 ただ議長もここは譲れない線。

 生徒の自治を謳う以上、自分達の手で学校を守るという意思は強い。

 彼等からすれば生徒会自体、学校の手先。

 組みするに値しないという意見も多い。

「組織については悪いが、変更は出来ない。そっちの言う事は聞くが、基本的には俺達だけでやっていく」

「まあ、良いだろう。協力してくれるだけで、今は十分だ」

「ただ、一つ不確定要素が存在する」

「体育会か」

 若干表情を厳しくする生徒会長。


 体育会は格闘系クラブを主流とする親睦会。

 力を背景にした、生徒会と並ぶ学内の一大勢力。

 また上意下達の絶対的なピラミッド組織であり、形式上とはいえ民主的な方向性を目指している生徒会とは組織的にもまとまっている。

「いや。そうじゃない。確かにそれも厄介だが、もっと厄介な存在がいる。組織じゃなくて、個人だ」

「笹原か」

「違うよ。まあ、あれはあれで面倒だが」

 そこは認める議長。


 これは、彼女に関わった人間に共通する認識。

 傍若無人、自己中心的、付き合いきれない。

 表現は様々だが、つまりはそういう事。

 出来れば関わりたくない相手。

 また何が厄介といって、彼女に関わる関わらないかの選択肢は笹原本人にしかない点。

 邪険にすれば余計むきになり、さりとて相手にすれば一層攻め掛かってくる。

 人を不快にするタイプでは無いのだが、やはり程度問題である。


「……玲阿か」

「そう。それに比べれば、体育会も笹原も小物だ。あれ一人でこの学校を支配する事も出来るんだからな」

「強いとは聞いているが、実際どの程度なんだ。俺はその辺が、よく分からないんだが」

「空手十段、柔道十段、剣道十段。なんて言えば分かりやすいかな。虎が制服を来て、高校に通ってるみたいな物だ。あいつが襲ってきたら、絶対逃げろ。例えじゃなくて、殺される」

「大げさじゃないのか……。待てよ」

 机に戻り、先程の傷害事件の資料を持ってくる生徒会長。 

 一人は肋骨の単純骨折。

 もう一人は、肋骨の単純骨折と顎の粉砕骨折。

 ゴミ箱に捨てられた骨格図も拾い上げられ、それが議長へ示される。

「……つまりは、こういう事だ。手加減してるだろ、これでも」

「手加減?」

「ああいう連中は貫手も使う。指を真っ直ぐにして揃えて、それで突き刺してくる。鍛えてる人間なら、喉くらい簡単に突き刺すぞ。ただ、あの男は意外と自制が効くんだよな。むしろ関わらない方が良いというか、無関心の方がむしろ助かる……」

 突然開いたドアから転がり込んでくる大男。

 唖然とする生徒会長をよそ目に、議長は素早く立ち上がって警棒を構える。


 倒れた男を乗り越えて現れる風成。

 左右の脇に、別な大男を一人ずつ抱え。

「会長を出せと言っても、アポがいるとか言いやがる。リンゴでも欲しいのか」

「全然面白く無いぞ」

 小声で指摘する議長。

 アポとアップルを掛けた、確かにあまり面白くはない台詞。

 ただ風成はそれに構わず、脇に抱えていた大男を床へ転がした。

「悪かったな。もう帰って良いぞ」

 その言葉も聞かず、脱兎のごとく逃げ出す3人。

 生徒会長もため息を付きつつ席を立ち、彼に声を掛ける。

「……何がしたい」

「俺も参加するぞ。生徒会の再編に」

「興味がないと言っていただろ」

「気が変わった。連中は全員潰す」

「……そういう目的で行動している訳ではない」

 小さなため息。

 議長も気が抜けた顔をして、警棒を腰のフォルダーへと戻す。




 応接セットに座り、改めての説明を受ける二人。

 風成は缶コーヒーの缶を握り潰し、それをテーブルへと叩き付けた。

 ちなみにまだ中身は入っていて、潰そうと思って潰せる強度ではない。

「無闇に暴れられても困るんだ。非暴力主義とは言わないが、敵を作るような行動を取ってもらっても困る。我々と一緒に行動するのなら、規則を守って行動をしてくれ」

「ぬるいな、随分」

「当たり前だ。山賊が戦ってる訳じゃない。取りあえず、これを預けておく」

 机に積まれる数冊の本。

 一番上は、生徒会の規則。

 次が内規。

 学内規則。

 草薙高校の歴史をまとめた小冊子。

 自治制度関連の資料が続く。

「……読まないとは言わないが、どうしてこんなに規則がある」

「本来は統一すべきなんだが、校則を公にしたくない連中もいる。生徒会に生徒を退学する権限は無い事とか」

「無いのか。良い事聞いたな」

「そういう連中の気持ちも分かる」

 しみじみ呟く生徒会長。

 風成はそれに構わず、資料を適当にめくり始めた。



 そんな彼をじっと見つめる議長。

 敵愾心や敵意そのものではなく、冷徹な観察眼を持って。

 おそらくは、いざという時のシミュレーション。

 学内最強とも呼ばれるこの男を倒すにはどんな策があるか、彼なりに考えているようだ。

「俺がどうかしたか」

「いや。どうもしないさ。参加するのは構わないが、生徒会長が言ったようにルールは守ってもらいたい。君個人で行動する事を制限はしない。ただ、俺達に迷惑が掛かるような行動は慎んでもらいたい」

「意外と真面目なんだな」

「組織とは、そういう物だ。自分さえ良ければそれで良い訳でも無い」

 風成の言葉通り、生真面目に諭す議長。

 またその言葉には重みと、微かではあるが威圧感も込められる。


 彼等は決して志を同じくする同士ではない。

 生徒会長と議長はまだしも共通する認識があるものの、風成は全く別。

 今回の彼の行動原理は、流衣に対する侮辱故。

 生徒会長達が学校のために行動しているのに対し、彼は個人的な感情での行動。

 また彼個人が組織を背負っている訳でも無く、責任もない。

 言ってみれば箍もなければ手綱もない状態。

 このままでは不確定要素どころか、不安定要素でしかない。

「……取りあえず君は、笹原さんと行動をするように」

「冗談だろ」

「毒をもって毒を制すだ。嫌なら参加してもらわなくて結構。ただしその場合、身勝手な行動をすれば我々が君を処分する」

「そういう権限は、生徒会に無いって言わなかったか」

「権限はないが、学校に上申する事は出来る。俺が生徒会長を退任するのと引き替えなら、君の退学くらいは認めてくれるだろう」

 非常に分かりやすい警告。

 風成は不満さを露骨に表しつつ、それでも仕方なそうに頷いた。

「理解してくれて助かった。笹原さんは別室にいるから、会ってくるように」

「会いたくないんだが」

「それは君だけじゃない」




 会議室に散らかる書類。

 無造作に積まれる本の山。

 床に落ちていたスーパーのチラシを拾い上げた風成は、英文の雑誌を難しい顔で読み耽っている笹原へ声を掛けた。

「よう。調子はどうだ」

「最悪よ。何か用?」

「これから一緒に仕事をする。よろしく頼む」

「一緒?どうして」 

 当然の疑問。

 風成はチラシを机の上へ置き、学内の事情を鑑みてと適当に答えた。

「どうせ流衣ちゃんを馬鹿にされたとか、そういう陳腐な理由でしょ」

 かなりのひどい言い方。

 でもってそれが事実と来ては、風成も反論のしようがないようだ。


 そんな彼に構わず、雑誌を読み耽る笹原。

 風成は散らかった室内に視線を向け、その事を彼女に尋ねる。

「変な連中が来て、さんざん荒らして帰って行った」

「おい」

「手は出されなかったわよ。やっぱり、あれ。美人は得ね」

 口元に手を当て、おほほと笑う笹原。

 風成も虚しそうに笑い、床に落ちている書類を拾い始めた。

「何者だ、相手は」

「生徒会内の、反主流派みたいね。言ってみれば現状維持、学校の権限を強めたいグループでしょ」

「でもって自分達は甘い汁を吸うのか」

「その程度の輩よ。相手にする価値もないのよ」

 おそらく脅し文句の一つも言われただろうが、あくまでも強気。

 色々問題のある人物ではあるにしろ、頼もしいのは間違いない。



 やがて雑誌が閉じられ、笹原はそれを風成へ差し出した。

「英語で書いてあるぞ」

「北米で、戦前に出版された本。地域コミュニティー論について書かれてる」

「それが何か関係あるのか」

「私達は生徒の自治について考えてるけど、これは地域の自治について言及してる。日本で言う町内会や自治会ね」

 適当に頷きながらページをめくる風成。

 どうやら社会学の論文雑誌で、内容は高度と言うより専門的。

 英語を理解する者でも、この文章を読み進めるのはかなり困難と思われる。

「……要約すると、何が書いてある」

「自治に大切なのは、住民の連携。それと共通の認識。我々は一つなんだっていう思いね」

「分かったような、分からんような」

「そういう意見が書いてあるだけで、それが正しいとは言ってない。ただ、間違ってる訳でも無いでしょ」

 笑い気味に諭す笹原。

 風成はやはり曖昧に頷き、雑誌を机に置いた。


「連携は分かったが、ここに押しかけてきた連中とも仲良くしろって事か」

「理屈としてはね。とはいえ敵は排除するのが基本。敢えて敵を作って、結束を固めるなんて方法もあるくらいだし」

「ますます訳が分からん」

「例えばの話よ。それに自治と言ってもどこまでの事を生徒会長が目指してるのか分からない。案外自治って言葉に憧れてるだけかもね」

 辛辣な台詞。

 彼がそこまで夢見がちとは思えないが、彼女からすれば実現が困難な制度。

 お題目に終わると予想しているのかも知れない。




 草薙高校生徒会、生徒会長執務室。

 書類とDDの山に目を向け、ため息を付く生徒会長。

 これに対し、感慨を抱く事は無かったようだ。

「大丈夫。これは全部、処理してある」

 書類の向こうから聞こえる綺麗な声。

 その隙間から見えるのは端正な笑顔。

 生徒会長は机を回り込み、マンガを読んでいる秀邦を見下ろした。

「それは助かったと言いたいが、何をしてる」

「生徒会の再編案がまとまったんでね。レポートを持ってきたら、会長が留守。でもって書類は山積み。不備があったら、申し訳ない」

「……むしろ、俺よりしっかりした内容だと思うが」

 苦笑気味に書類をめくっていく生徒会長。

 当然署名欄も「遠野秀邦」とはなっておらず、生徒会長の名前が書き込まれている。

「早速だが、再編の概要を教えてもらおうか」

「資料を見ながらの方が早いと思う」

 差し出される図表入りの資料。


 基本的には、会議室で話していた内容と同一の内容。

 体育会と文化系クラブに付いては、学校内局の傘下。

 もしくは独立の部局を設けるとある。 

 それ以外は、現在の草薙高校生徒会に引き継がれている組織構成。

 生徒会長は逐一頷きながら資料をめくり、治安組織の部分で手を止めた。

「虎を育てる事にはならないのか、これは」

「数がいないと治安組織としての意味をなさない。余程信頼出来る人間を、組織の長に置くべきだね。もしくは、しばらくは生徒会長が兼任するとか」

「今更だが、難しい問題だ」

「これで義理は果たした。後は頼むよ」

 マンガを机において、席を立つ秀邦。

 その行く手を、生徒会長がそれとなく遮る。

「まだ、何か」

「前も言ったが、それだけの能力を遊ばせておくのか」

「他が忙しいんだよ。君の父親からも、レポートを頼まれててね」

「心理学の教授なら、叔父だ」

「どっちでもいいよ。とにかく、見た目より忙しい。手が空けば、その時また考える」

 柔らかい動きで彼を避け、執務室を出て行く秀邦。

 生徒会長は首を振り、秀邦が置いていったマンガを手に取った。

 非常に平素な内容の、万人受けしそうな四コママンガ。 

 天才と呼ばれる人間にしては、かなり軽いジャンル。

 それが単なる息抜きなのか、彼なりの真理が含まれているのか。

 生徒会長はマンガにタグを付け、それを引き出しへとしまった。

「天才のやる事は、理解不能だな」




 ファッション雑誌、グルメ雑誌、旅行雑誌、男性成人向け雑誌。

 山と積まれた雑誌から一冊ずつ手に取り、素早くめくっていく笹原。

「……何してるんだ」

「読んでるのよ」

「速読か」

「まあね。内容を理解してる訳じゃなくて、気になる点をピックアップするだけ。例えば親しい人だったら、人混みに紛れてもすぐ気付くでしょ」

「ふーん」

 今更ながら見直したという顔の風成。

 この姿を見る限り、確かに天才との呼称が当てはまる。

 女性の裸が延々と続く雑誌を読んでる姿はともかくとして。

「で、何が分かった」

「自治制度は時期尚早って事ね。世論は意外と規律を求めてる。生徒が好き勝手にやるのはよろしくないみたいよ」

「まあ、大人はそう言うだろう」

「大体これって、誰が得するの?」

 男性向け成人雑誌を机へ放り投げ、足を組む笹原。


 この件における、根幹とも言える部分。

 単純に考えれば生徒。

 彼等は自由を手にし、学校を自分達の思うままに運営する事が出来る。

 それは勿論笹原も承知なのか、彼女はその部分から話を始める。

「生徒が好き勝手に学校を動かせる。つまり動かすための人出と努力と資金。設備、備品、規則、システム。といった具合に、色々いる訳よ。生徒の自治なんて言葉は良いけど、やりましょうそうしましょうで済む問題じゃない」

「誇りとか言ってなかったか、誰か」

「そういう意思を持ってる人間が何人いるかって話。その辺にいる生徒を掴めて聞いてみれば分かるんじゃない。「自治についてどう思います?」多分、聞き直してくるわよ。言ってる意味が分からなくて」

 失笑気味に指摘する笹原。

 プリントの裏に自治と書かれ、そこから派生した生徒という文字に罰が打たれる。



「となると、次は学校。自分達の負担は減るし、やり方によっては経費も削減される。特殊な事例だから教育庁も力を入れてくる」

「学校は反対してるんだろ」

「自分達の力が削がれるのと同意義だから。つまり生徒へ権限を委譲する訳よ。それに賛成する人は少ないでしょうね」

「だったら、なんのための自治なんだ」

「誇りなのか、ノスタルジックなのか。私はもう少し、嫌な気もするんだけど」

「嫌?」

 風成の問いに小さく頷く笹原。

 言ってみれば誰も得をしない制度。

 しかしそれが不意に推進される不自然さ。


 そして笹原は声を潜めて語り出す。

「自治を一番主張してるのは誰」

「生徒会長。と、理事の誰か。親子とか言ってたな」

「彼等が誇りやノスタルジックで行動してるなら良い。でも、何かの意図があったらどうする?利権、権力欲、支配欲、なんてところかしら」

「そういうタイプかな」

「私もそこまで詳しくはないし、推測の一つとして挙げただけ。ただあの男を、それ程信用しない方が良いと思うけど。仮に誇りのためにやってるとしても、その場合は全てを犠牲にして自治を貫くって方向に行きそうだから。楽しくない話になりそうね」

「俺はむしろ、燃えてくるね」

 笹原の主張を根底から覆す風成。

 それには笹原も苦笑して、雑誌の山を指さした。

「これ、もういらないから。持って帰るなり捨てるなして」

「こんな本持って帰ったら、流衣に殺される」

「どういう関係なのよ、あなた達」

「深く考えた事も無い」

 旅行雑誌と料理雑誌だけをリュックにしまう風成。

 実際これと言った感情は読み取れず、ただそれは逆に二人の関係が非常に成熟している事も伺わせる。



 進み出す生徒会再編。

 交差し出す、それぞれの思惑。

 生徒の自治というゴールはすでに決まっている。

 だがその道筋は、まだスタートラインへ着いたに過ぎない。   






     







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