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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第42話
477/596

42-5






     42-5   




 正門を見に行くのは御剣君に任せ、私は医療部へと向かう。

「やりすぎたかな」

 当たり前だがさすがに気になり、付いてきてくれたショウにそっと尋ねる。

 彼は焼きそばを売っている模擬店から視線を離し、軽く首を振った。

「そういう態度で出たからには、やられる覚悟も持ってないとな」

「でも、違うやり方もあったかなと思って」

「話して諭すって?どうなんだ、それも」

 いつになく攻撃的な態度。

 彼にしては、少し珍しい事ではある。



 やがて医療部へ到着。

 受付で話をして、彼のいる病室を尋ねる。

 ベッドサイドに腰掛け、右腕を三角巾で吊っている彼。 

 ギブスはしていないが、そのくらいは痛めたようだ。

「お前か」

 私が謝ろうかと思う間もなく、真っ直ぐに彼へ突き進むショウ。

 そして襟首を掴むと、そのまま力任せに引き上げた。

「随分強いらしいな。だったら、俺とやろうぜ」

「ぐ、ぐぁ」 

 手首を返し、襟で頸動脈を締めるショウ。

 戦う以前の話で、多分彼の声も聞こえていないだろう。

「れ、玲阿さん、落ち着いて」

「ここでは、ちょっと」

 慌てて止めに入る後輩二人。

 彼等の姿を見て、ショウも舌を鳴らして男の子をベッドの上に投げ捨てる。

 無茶苦茶だと言いたいが、彼がここにいるのは私のせい。

 人を責める資格はない。


 殺伐として重い空気。

 1年生は全員押し黙ったまま。

 ショウは今にも、怒りを再爆発させそう。

 だとすれば、私が口火を切る以外にない。

「ごめん、やりすぎた」

 小声でそう告げ、頭を下げる。

 ショウがむっとした顔をするが、それは目線で封じる。

「あのくらいやった方がと思ったんだけど。ここまで怪我させるのは良くなかった。ごめん」

「い、いや。俺が悪かったんです。本当に。あ、あの。俺。い、いや。自分は、鳴海なるみと申します」

 さっきまでの態度とは一変。 

 殊勝な面持ちで頭を下げる鳴海君。

 ショウに掴みかかられた事だけが理由ではないと思うけど。

「雪野さんって、あの雪野さんですよね」

 慎重な口調で尋ねてくる鳴海君。

 どの雪野さんかは知らないが、この学校に雪野は私しかいないと思う。

「草薙高校を悪の手から解放して、生徒連合を勝利に導いた」 

「……マンガの話?」

「違いました?」

 素で尋ねられた。


 彼が言ってるのは、おそらく前年度の管理案。

 それに際する私達の行動だと思う。

 間違ってはいないがかなり誇張されているし、私が導いた訳でもない。

 導いたのはモトちゃんで、私はそれを手助けしただけ。

 大体、生徒連合ってなんだ。

「俺もどうせ噂先行で、実際は大した事無いと思ってたんですよ」

「実際、大した事無いしね」

「いや。あれは本当に、俺が悪かったです。済みません」

 何度となく頭を下げてくる鳴海君。

 こうなると、今度は誰が悪者かという話。

 さすがに体面が悪く、それをすぐに止めさせる。

「怪我はどうなの」

「肘が外れたけど、すぐにはまりました。綺麗に外れたから、はめるのも簡単だって医者が言ってました」

 褒め言葉なのか、それって。



 とにかく彼の事は少し分かったので、他のメンバーにも話を聞いてみる。 

 まずはさっきから気になっている子。

 初めから私に敵意を見せていた女の子に話しかけてみる。

 彼女の名前は、八田はったさん。

 ちなみに今は敵意どころか、気配を消したそうにすら見える。

「あなたも、同じ考え?」

「え、ええ?まさか、そんな。私は呼ばれてきただけで、誰がどうだろうと全然」

 妙にうろたえる女の子。

 まあ、同じ考えで間違いないだろう。

「言っておくけど、私は強くないからね」

「え」

「この人とか御剣君の方がよっぽど強い。それに誰が強くても良いでしょう、別に」

「は、はい。仰る通りでございます」

 何時代の人かは知らないけど、さっきの行動が効果的だったのは確か。

 効果的過ぎたという意見は、気にしないでおこう。

「他校から転校してきた?」

「私は、大阪から」

「俺は東京」

「ふーん」

 地元を離れてわざわ名古屋へ転校。

 ただ距離を取ると、この学校の良さに気付く。

 それまで当たり前と思っていた事。

 気にもしていなかった事が、本当はどれだけ恵まれていたかと。

 制度や設備だけではなく、人のつながりにおいても。


 どっちにしろ二人は緊張で話を聞けなそうなので、もう一組に視線を向ける。

 男の子が、沢上さわかみ君。女の子が高蔵たかくらさん。

「あなたは?」

「ぼ、僕は北地区から来ました。雪野さんの噂はかねがね」

 かねがね、なんだ。

 聞きたいけど、聞きたくないな。

 男の子も少し細いが、やはり動きに隙はない。

 態度はともかく、意味もなく直属班に配属された訳ではないようだ。

「沙紀ちゃん達の後輩?」

「ええ。後輩と言うのもおこがましい話ですが」

「あなたも?」

「は、はい。それはもう」

 ……みんな、そういう話し方は止めてくれるかな。



 こちらも緊張しているので、話は後で。

 最後に残った一組。

 昔なじみの二人に話を振る。

「久し振り、荒子あらこ君」

「あはは」

 乾いた笑い声を立てて下がる荒子君。

 中等部からの、私に取っての数少ない後輩の一人。

 ただそれにしては、今まで明らかに避けてたな。

「先輩には挨拶も出来ないって?」

「いやいや。俺みたいな人間が、皆さんとお近づきになるなんて。そんな、おこがましい」

「だったらどうして直属班にいるの?」

「好きで配属された訳ではないですよ」

 なんか、嫌な言い方をされてしまった。

 名誉とは言わないけど、もう少し誇りみたいなものって無いんだろうか。

「トレーニングは欠かしてない?」

「雪野さん達には及びませんが、一応は」

 ここは真剣な顔になる荒子君。

 そうでなければ、私も話を振った甲斐がない。


 そして最後の一人。

 茶髪のロングヘアをなびかせる女の子に声を掛ける。

「久し振りだね、川名かわなさん」

「ご無沙汰してました。雪野さんは、相変わらずですね」

 薄く微笑む川名さん。

 この子の皮肉っぷりも、相変わらずだな。

「私は逃げてた訳ではなく、総務局へ出向していただけです。逃げてませんよ」

 何故か二度言う川名さん。

 それってもしかして、結果的に逃げられて助かったという意味か。

「直属班って、今まで集まってなかったの?私無しで、何か活動してた?」

「全く。今日初めて揃ったんでしょう、全員が」

 至って素っ気なく告げる、後輩の川名さん。

 やはりこれが、初顔合わせ。

 あまり良い出会いではなかった気もするが、それはこの際考えないでおこう。

「全員、予定は?」

 私の言葉に反応は無し。

 それ以前に、あっても言い出しにくい空気ではある。

「だったら、正門を見に行こうか。御剣君が見に行ってるけど、私達がもう一度行って困る事でもないしね」

「あの、俺もですか」

 三角巾で吊られた腕を振る鳴海君。

 しかしショウの刺すような視線を受けて、弾かれたように立ち上がる。

「じゃあ、初仕事って事で。行ってみようか」




 時間が過ぎたせいもあり、模擬店は殆ど開店。

 人の流れも増え始め、草薙高校の生徒以外の姿も結構目に付く。

 他校の生徒や父兄。

 もしかすると、大学からも来ているかも知れない。


 掻き分けるという程ではないが、かなりの人が行き来する廊下。

 それでも私達は目を引くのか、模擬店や展示ブース以上にこっちへ視線が集まってくる。

 ショウは言わずもがなで、荒子も見た目は申し分ない。

 川名も、サトミほどではないが人目を引くには十分である。

 私に突っかかってきた二人も、すれ違えば振り返るだろう容姿。

 注目を集めるのは当然と言える。


「すごいですね」

 素直に感嘆の声を漏らす沢上君。

 彼は至って地味で、それ程目立たない外見。

 ただ所作の一つ一つは、機敏の一言。

 本人はそれを隠そうとしてるようだが、隠して隠せるようなものでもない。

 さっきとは違う意味で、軽く試してみたくなるな。

 やらないけどね。

「やっぱり、雪野さん達はすごいです」

 男の子同様、感心した口調で呟く八田さん。

 この子も普通というとあれだけど、まあ普通。

 一度見たら忘れないというタイプではない。

 むしろその癖がないのが癖というか、自然に場へ溶け込むタイプ。

 真田さんがそれに近いけど、もっとそれよりも自然。

 思い出すのが、名古屋港高校の彼女。

 そのくらいの自然さがこの子にはある。

 内偵や追跡調査が専門かも知れないな、もしかすると。




 勝手に分析している間に、正門前へと到着。

 来場者は呆れる程多く、門の外にも内側にもその流れをさばく警備員が右往左往してる状態。

 イベントになると人が集まるのはいつもの事。

 警備に関しては厄介だが、誰も来ないよりは余程良い。


 視界の関係上塀の上にでも登りたいが。恥はかきたくないのでそれは却下。

 代わりに、ショウに見てもらう。

「どう?」

「人が多くて、どうにもって言いたいな」

 苦笑気味の答え。

 ちなみに私に見えているのは、正門から入ってくる途切れのない人の流れ。

 その肩とか背中は見えているが、全体はさっぱり不明。

 木を見て森を見ずというのは、多分今みたいな事を言うんだろう。

「ただ、露骨に不審な奴が一人いる」

「浦田さんですか」

 結構真顔で尋ねる荒子君。 

 つくづく信用がないな、あの子も。

「他校の生徒だ。肘が突っ張ってるから、武器を持ってるようにも思える」

「あなたとあなたで左右から。あなたは後ろから」

 すかさず指示を出す、後輩の女の子。

 それへ反論も示さず、優男と私に突っかかってきた男の子と地味な子が素早く移動。

 人混みに紛れ、ショウが示した場所に消えていく。

 私には、それがどこか全く見えないけど。

「では、様子を見てきますね」

 特に気負う様子もなく、やはり人混みに入っていく地味な女の子。

 武器を持っていると聞いても慌てる事はなく、今から散歩に行くような風情。

 伊達に、直属班には選ばれてはない訳か。

 彼女のみならず、全員が。


「私は、どうします?」

 唯一残った八田君が質問をしてくる。

 私の後輩。川名さんは、どちらかといえば指揮系統。

 現場に出なくもないが、今は私の代わりと言っても良い。

 するとこの子は、どうすればという話になってくる。

「あなたは雪野さんの護衛。死んでも彼女を守るの」

「そこまでしなくても大丈夫だけどね。お姫様じゃないんだし」

「そういう気構えが必要と言いたいんです。私達全員は」

「少し、面白くなってきた」

 反発する事無く、警棒に手を掛けて私の側に立つ八田さん。

 ショウ以外の人間に守られる事は基本的にないんだけど、私は隊長で彼女は部下。

 こういう事も言ってみれば、普通なんだろう。

「だったら、俺は」

「玲阿さんは、常に待機です。存在自体が卑怯ですから」

「俺は見てるだけか」

「いざという時は、先頭を切ってもらいますよ。……収まったみたいですね」

 端末に視線を落としながら呟く川名さん。

 どうやら、突っ込んでいった彼等から連絡が入ったらしい。


 彼等が立ち回っている間、私はただ突っ立っていただけ。

 これでは、ソファーの上で寝ているのと大差ないな。

「私って、必要だった?」

「雪野さんがいない事には始まらないでしょう」

 慰めるような口調ではなく、至って真剣なトーン。

 表情も同様で、思わず姿勢を正してしまう。

「でも私、何もしてないよ」

「存在感ですよ。逆を言えば、雪野さんがいなければ今頃みんなその辺に行ってます」

「そんな物かな。どう思う?」

「全然分からん」

 結構ひどい事を、さらっと言ってくるショウ。

 もう少し、オブラートに包んだ物の言い方もあると思うんだけどな。



 やがて人混みの中を縫って、全員が戻ってくる。

 ただその中に、おそらくは拘束したはずの他校の生徒が見当たらない。

「ああ、ガーディアンに引き渡しました。事後処理はそちらで済ませてくれるとの事です」 

 静かに説明する沢上君。

 何というのか、すごい助かるタイプだな。

 無闇に暴れて、後は野となれ山となれなんて人が私の周りには多すぎる。

 何より、私自身がそうだから。

「だったら、一度戻ろうか。それともどこか見ていきたいなら、ここで解散しても良いけど」

「示しが付きませんよ、雪野さん」

 固い事を言い出す、川名さん。

 私の存在自体示しが付いてない気もするけど、それは言わないでおこう。




 結局全員で自警局へ戻り、久しく使っていない私の部屋へと全員集まる。

 妙な沈黙。

 初対面の人間ばかりだし、何しろさっきの今。

 肩は外した、その後で吊し上げられたでは和やかになる訳がない。

「空気が重いよ」

「俺は全然平気だぞ」

 ごく平然と答えるショウ。

 この人は日頃から、常に周囲のプレッシャーに晒されている。

 それからすれば、今の雰囲気など春の日向みたいにしか感じないのかも知れない。

「私は気にするんだけどね」

「……おい、正門で暴れた馬鹿って誰だ」

 部屋に入って来るなり、嫌な事を言い出すケイ。

 彼を見て、後輩二人は露骨に視線を逸らす。

 地味な二人も彼の事は知ってるのか、青い顔で後ずさる。


 となれば、展開はさっきと同じ。

 例の二人が前に出る。

「あんた、誰」

「名乗る程の者でもない。暴れた馬鹿を捜してるだけだ」

「探してどうする気」

「どうもこうもないよ」

 こう、くらいでジャブを放つケイ。

 十分に見極められる、大した速度もない攻撃。

 鳴海君は難なくそれをかわすが、相手が悪い。

 拳から何かが飛び散り、彼は悲鳴を上げて床に転がった。

「さて、もう一度聞こうか。暴れた馬鹿って誰」

「僕です」

「初めからそう答えれば良いんだ。他校の応援団とか言うのがぞろぞろやってきて、さんざん文句を付けられたぞ」

 付けられたのは分かったが、その後どうしたとは言わないケイ。

 まあ、ろくでもない展開になったのは確かだろうけど。


 でも今は、彼の事より鳴海君の方。

 何を浴びたのか、まだ顔を押さえて小さく唸り声を上げている。

「顔洗ってきたら。良いんだよね、水に浸けても」

「ただの酢だよ。強いと思うから、過信が生まれるんだ。これからは、俺の言う事を何でも素直に聞きなさい」

 馬鹿じゃなかろうか。

 でもって、後ろで感心してるのは誰なんだ。


 一層重くなる空気。

 というか、何がしたかったんだこの人は。

「……はい。……いや、良いよ。分かった、すぐ行く」

「どうかした?」

「駐車禁止の場所に、車が止まってるってさ。早速出番だな。雪野優と、愉快な仲間達の」

 何を言ってるんだか。

 でもって、飛び出ていったのは誰なんだ。




 やってきたのは、一般教棟の裏手にある駐車場。

 普段は来客用に使われる駐車場で、今日は指定された人以外使用出来ないはず。

 駐車された車のフロントガラスには、許可証が置かれている。

「これ、か」

 その駐車証のない車が止まっているのは、障害者用の駐車スペース。

 また有事には、救急車や消防車などが止まる場所。

 ちなみに停まっているのは変なデザインをした、大きな黒のワンボックスカー。

 見た目でどうとは言えないが、許可証がない以上不正に停まってるのは間違いない。

「動かすか」

 ぽつりと呟くショウ。

 ニヤリと笑うケイ。

 何をという顔をする1年生達。

 認識の相違。

 過去経験してきた出来事の違いを、思い知る。


 動かすのは、目の前にある車。

 それ以外に動かす物は無い。 

 鍵が掛かっている、他人の所有物、自分達の権限外。

 そういった理屈は、取りあえず今は関係ない。

「持ち主が来ると面倒だ。早めにやろう」

 あまり面倒そうではない口調でそう言って、車内を覗き込むケイ。

 私も一緒になってみてみるが、スモークガラスが邪魔で殆ど様子を窺う事は出来ない。

「まあ、程度は知れた」

 吐き捨てるような一言。

 この先の行動も、自ずと分かる。



 少し時間を掛けすぎたせいか。

 その面倒の元となる、持ち主が戻ってきた。

 大体は、予想していた通りの人間。

 派手な、映画のチンピラ役みたいな服装とそれに似た歩き方。

 そんな人間が計5人。

 向こうからすれば、こっちは所詮高校生。

 気に留める程の相手でもないのか、にやけた笑み浮かべながら車を指さした。

「俺の何だけど」

「ここ、一般車両は駐車禁止ですよ」

 静かな口調で注意する後輩の女の子。 

 俺のと告げた男はさらににやけて、車の下。

 つまりは駐車スペースを指さした。

「空いてるんだ。だったら、使っても問題ないだろ」

「障害者の方も、ここを利用します。体の悪い方や、怪我をしている方が優先して使う場所です」

「それがどうした」

 平然と、何の疑念も持たず答える男。

 それに笑いで応じる仲間達。


「確かにお前達も、ここを使う理由はあるよ。悪いからな」

「あ、何がだ?」

「お前らの、頭がさ」 

 腰から警棒を抜くや、それを真横に薙ぐケイ。

 サイドガラスが音を立てて割れ、警報音が鳴り響く。

「てめぇ」

「ない方が乗りやすいだろ」

「ああ?」

「こういう意味だ」

 男の一人にタックルを食らわせ、そのまま車内へ突っ込むショウ。

 そこで足を持ったままスイングされ、今度はフロントガラスにヒビが入る。

「怪我もしたし、明日からは大手を振ってここを利用出来る。優しいね、俺達は」

「全くだ」

 一切悪びれた様子もなく、そう言ってのけるショウとケイ。

 仲間は逃げた方が良いのか、それとも彼等に立ち向かうべきか逡巡している様子。

 だが逃げるという選択肢が与えられる訳もない。


 後ろで組んでいた手を軽く動かし、1年生達に合図。

 それを受けて彼等が素早く動き、仲間を全員拘束。

 抵抗した者は、それなりの対応をして床に組み伏せる。

「反応が早くて良いね。さてと、この車はどうしよう。燃やすか、燃やすか、燃やすか」

 燃やすしか言って無いじゃない。

 大体中に、まだ人が入っている。

「燃やさないわよ。邪魔だから、その辺に捨ててきて」

「今日、粗大ゴミだった?」

「車は引き取るのかな。取りあえず、運ぶか」

 突き出ている足を引っ張り、気絶してる男を地面へ転がすショウ。

 そして無理矢理ドアを開けて運転席へ乗り込み、キーの部分を拳で数度叩いた。

「キー、ありますけど」

「もう、掛かった」

 高蔵さんが声を掛けるが、すでにエンジン音が聞こえた後。

 叩いて掛かる物ではないと思うけど、私達にも知らないコツがあるらしい。



 軽快に走り去る車。

 残されたのは、呻き声を上げて地面に転がる男達。

「それで、どうするんですか。倫理的にはともかく、法的には私達の方が問題だとも思うんですが」

 生真面目に尋ねる高蔵さん。 

 ケイは肩をすくめ、そのまますたすたと歩き出した。

「俺達はここに来なかった。誰もここに来なかった。それで良いだろ」

「はい?」

「帰るって事だよ」

 すでにケイは遠くへ去った後。

 その辺はさすがに分かっている後輩二人も、すかさず彼の後を追う。

「い、良いんですか?」

「全然良くないけどね。ここにいるよりはましだと思う」

 残っている4人を促し、私もすぐにこの場を立ち去る。

 そしてここにある事実は、男が5人拘束されて転がっている。 

 ただそれだけ。

 その経緯を語る者は、本人達も含めて誰もいないはずだ。




 自警局へ戻り、当然この件に関しての報告を求められる。

「車なんて無かった。勘違いだろ」

「……どういう意味」

 さすがに声のトーンを低くするモトちゃん。

 ケイは同じ言葉を繰り返すだけである。

「映像付きで、報告が入ったの」

「悪戯だ、それは。悪い奴がいるな」

「……大丈夫でしょうね」

「だって、無い物は仕方ない」

 なにが仕方ないのかは知らないが、無茶な論理を押し通すケイ。

 モトちゃんがガーディアンを派遣して状況を調べるが、見つかったのは拘束されて地面へ転がる男達だけ。

 車は当たり前だが、どこにもない。

「あの連中は?」

「新手のパフォーマンスだろ。駐車場へ来る人達限定の。ストイックな連中だよな」

「本当に、大丈夫ね」

「そこは、俺という人間を信じてもらうしかない」 

 そんなの、この世で一番信用出来ないじゃない。

 なんて言いたかったが、すごい目で睨まれたので口にはしない。

 自覚もあるなら、言わないでよね。


「ショウ君は」

「そろそろ戻るだろ。ゴミの積載所からの距離を考えれば」

「……この件に関しては、これで終了。報告書も必要ない。ただ、始末書は書いてよね」

 頭を押さえながら、奥のブースへ戻っていくモトちゃん。

 代わりに木之本君が、苦笑気味に始末書を数枚持ってきた。

「悪いけど、これは書いてよね」

「意味あるの?」

「無いけど。何もしないのも問題だと思うから」

 口には出さないが、私達の行為を咎めたいような態度。

 あまり逆らうと彼の怒りを買う気もするので、ここは大人しく始末書を受け取る。

「もう、10枚は書いてる?」

「ペースは早いと思うよ」

 そう言って、指を折り出す木之本君。

 それが一旦親指まで戻ってさらに進み出したのを見て、さすがに目を反らす。

 この間復学したばかりと思っていたが、これだといなかった前期の分はあっさり取り戻すんじゃないかな。



 戻ってきたショウも始末書を書き、これで形としては終了。

 何に対する始末書かは、少し疑問が残るけど。

「これだけで、良いんですか」

 不安そうに尋ねてくる沢上君。

 車一台を壊して、それをよく分からない場所へ運搬。

 殴り倒した連中は放置。

 良い理由の方が見つからない。

「問題ない。これが雪野流だ」

 何を、勝手な事言ってるのよ。

 大体主犯は自分じゃない。

「それでも、君達は運が良いよ。先輩に恵まれて」

「はぁ」

「俺の時は馬鹿な先輩がいて、とにかく苦労した。反面教師って言うのかな」

 机に腰を下ろし、喜々として話し出すケイ。

 とにかくこの話が好きだな。

「女には振られる、先輩には捨てられる、役職は解任される。とにかく駄目な奴だったんだ」

「先輩、なんですよね」

「年が上で、同じ組織にいたってだけだ。そうでなければ、徹底的に」

 一瞬で目の前から消えるケイ。

 どこへ行ったのかと思ったら、机の反対側に落ちていた。


 代わりに現れたのは、彼の胸元にミドルキックを食らわせた塩田さん。

 いつも思うけど、この人達ってわざとやってるんじゃないだろうな。

「徹底的になんだ。焼け死にたいか、溺れ死にたいか。それともじっくり絞め殺されたいか」

「冗談です、冗談。塩田議長万歳」

「俺はもう大学生だ。そういう事に付き合ってる暇はない」

「誇りも何もないのかよ。所詮下忍だな」

 背中に膝蹴り一撃。

 本当懲りないな、この人も。

「何かあったんですか」

「文化祭だろ、今日。隣だから、見に来ただけだ」

「モトちゃん呼びますね」

「呼ばなくて良いぞ。というか、呼んでくれるな」

 今にも逃げたそうな顔をする塩田さん。

 しかし折角先輩が来たのに、まさかこのまま返す訳にも行かないだろう。



 という訳で、モトちゃんがサトミを伴い戻ってくる。

 塩田さんは無意識の内にかテーブルの上に乗せていた足を慌てて下ろし、軽く咳払いした。

「よう。自警局長」

「肩書きだけですよ、私は。無料チケットがありますので、よろしければ持っていって下さい」

「そう弾ける年でもないんだが」

 苦笑しつつチケットを受け取る塩田さん。

 その間にお茶とお菓子が運ばれて来る。

「待遇が良いな、随分」

「先輩ですからね。当然でしょう」

「浦田。今の言葉、聞いたか」

「年上なら、駄目でも何でも先輩ですよ」

 とことん懲りないな、この人も。

 塩田さんは別として、言わんとしたい事は分からなくもないが。



 久し振りの高校が懐かしいのか。

 それとも自警局という場所に違和感があるのか、しきりに周りを見渡す塩田さん。

 私は見慣れているため何も感じないが、いわば部外者である彼に気付く事があるのかも知れない。

「随分、備品が揃ってるな」

「そうですか?」

「だって昔はあれだろ。ペン一本すら、頭を下げてもらいに行ってたぞ」

「ああ。そんな時期もありましたね」

 しみじみと頷くモトちゃん。


 今でこそ文房具でも端末でも、必要な物は欲しいだけ揃えられている。

 無ければ頼めばすぐに届けられ、困るという事がない。

 プリントを4つ切りにしてメモ用紙にしたり、塩田さんが言うように頭を下げて文房具をもらいに出かけたのも遠い過去。

 そんな事もあったなと思うくらいの話になってしまった。

「お金、無かったんですか」

 哀れむような顔をする八田さん。

 そこまで悲惨な状況ではなかったが、お金が無かったのも確か。

 ここは頷く以外に出来る事はない。

「誰だ、お前。見ない顔だな」

「雪野さんの部下にあたります」

「雪野の、部下。部下?部下って何だ?」

 そんな不思議がらなくても良いと思うけどな。

 というか、今の説明以上に何を話せって言うのよ。

「ユウは今、直属班の隊長なんです」

「雪野が、ね。お前ら、全員出世したな」

「それも塩田さんのご指導があったからです」

「俺は何もしてないよ」

 肩をすくめ、鼻で笑う塩田さん。


 彼自身にそういう自覚はなくても、もし彼がいなければ今の私達がなかったのも確か。

 それこそ、中等部の頃に退学していたもおかしくはなかった。

 世間一般で言う先輩とはまた違うかも知れないけど、私達にとっては信頼に足る尊敬できる人だったののは間違いない。

「今、どういう構成になってるんだ」

「私が局長、北川さんが総務課課長。丹下さんが、自警課課長。サトミと木之本君が私の補佐。ケイ君は丹下さんの補佐。ユウとショウは、直属班の隊長と私の護衛。七尾君が、ガーディアン全体を統括。3年生は、大体こんなところです」

「なるほどね。というか、その前に自警局って生徒会か。つくづく時代を感じるな」 

「それは確かに」

 苦笑気味に頷くモトちゃん。

 昔の私達が所属していたのは、ガーディアン連合。

 組織としてはボランティア扱いで、自警局の下部組織。

 あくまでも彼等が上で、私達は下。

 そういう上下関係よりも、対立関係と言った方が正しいだろうか。

 それを考えると、塩田さん達が感慨に耽るのも頷ける。




 塩田さんが帰った所で、一度警備状況を確認。

 何しろ文化祭。

 トラブルになる要素は普段以上にあり、ただ今のところは滞りなく進行している様子。

 外部は基本的に警備会社へ一任。

 また各教棟や主要施設の出入り口にも警備員が常駐しているため、そちらの抑止効果も大きいと思う。

 生徒の自治が大切とはいえ、人の力を借りる事を全て否定する訳ではない。

 都合良い解釈と言われそうな気はしないでもないが。

「取りあえず、問題なさそうだね。私達は一旦解散しようか」

「よろしいんですか」

 静かに確認を求めてくる八田さん。

 何と言っても今日は文化祭。

 せっかくの一日なのに、ここへ閉じこもってトラブルが起きるまで待って過ごすのもかなり虚しい。

 例えそれが、私達の仕事だとしても。

「良いよ。用が出来たら、その時に呼ぶから。端末の電源だけ入れて、遊んできて」

 待ってましたと言わんばかりに飛び出ていく鳴海君。

 八田さんも一礼して、すぐに自警局のブースを出て行く。


 残ったのは4人。

 後輩二人はともかく、地味な子達は性格上だろうか。

「あら、今日はどうしたの」

 くすくす笑いながら、そんな彼等に手を振る沙紀ちゃん。

 その隣では、やはり北川さんがおかしそうに笑っている。

「いえ。今日は、直属班の仕事がありまして」

「なるほどね。優ちゃん、この子達は私の後輩なの。迷惑を掛けるかも知れないけど、よろしくね」

 優しい笑顔と先輩らしい気遣い。

 沢上君と高蔵さんは少しはにかみつつ、改めて私達に頭を下げる。


 私が漠然と思い描く、先輩と後輩の形。

 それと重なる彼女達の姿。

 逆を言うと、塩田さんと私達はちょっと違うんだなとも思ったりする。

 ただそれは塩田さんよりも、私達に問題があるのかも知れないが。

「普段は、何してるの?」

「自警課で北川さんの手伝いをしています」

「優秀なんだね」

「雪野さんほどでも無いわよ」

 淡々と告げる北川さん。

 冗談なのか皮肉なのか。

 本気だったら、ちょっと困る言い方だな。

「それだと、直属班の仕事は控えた方が良いのかな。北川さんが困るでしょ」

「私は構わないわよ。無闇に暴れさえしなければ」

「それは大丈夫」

「へぇ」

 さっき以上に乾いた口調。

 この手の話に関しては、とにかく信用がないな。



 彼等は沙紀ちゃん達と楽しそうに話し出したので、私は私で後輩達と話してみるか。

「あなたは総務局って聞いたけど、自分は何してたの」

「七尾さんの所にいたり、御剣さんの所にいたり。仕事はしてましたよ」

「挨拶無しで?」

「それは、その。タイミングを逸したというか、間が悪かったというか。避けてた訳ではないですよ。ただ気付いたら一ヶ月くらい経ってて、そうなると今更とも思って」

 汗を吹き出しながら語る荒子君。

 これでは会話と言うより、詰問だな。

「まあ、元気そうだから良いけどさ。二人とも、文化祭は良いの?」

「雪野さん達はどうなんですか」

「私はパス。まだ体育祭の疲れも残ってるしね」

 それに何となく、責任なんて物を感じ始めた。


 今までも責任がなかった訳ではないし、多少はその自覚もあった。

 ただ部下がいるという事実を突きつけられ、それを実感した今。

 のんきに出歩けるほど、私も気楽な性格ではない。

 そう考えると、議長になってもふらふら出歩いてた塩田さんはある意味偉大だな。

「俺は予定もないんですけど。たこ焼きでも買ってきます?」

「適当にお願い。パトロールついでに、見回ってきて」

「分かりました。お前は?」

「今行く。では、また後で」

 二人連れだって自警局を出て行く後輩達。

 お互い癖のある性格だが、私にとってはやはり可愛い後輩。

 彼等には楽しく時を過ごして欲しいし、無事であって欲しい。

 またそれを守るのも、私の努めなんだろう。


「急にレベルアップしたって顔ね」

 私を観察でもしてたのか、人をゲームのキャラクターみたいな言い方をするサトミ。

 とはいえ、実際にその通りだと思う。

 せいぜい、レベル2がレベル3になった程度だとしても。

「一応先輩だから。頼りになるかどうかはともかくとして」

「その模範となるよう、日頃から努めてみたら」

「それは無理でしょ」

 取りあえずソファーに寝転び、タオルケットを被る。

 言い訳ではないが、少し動いたせいか疲れが出てきた。

 自分が言ったように、体育祭の疲労がまだ完全には抜け切れていない。

 何よりこのソファーは妙に居心地が良く、ついついここに居座ってしまう。

「最近、そこにこだわってるわね。自分の部屋で寝ても良いのよ」

「変に落ち着くの、ここが。周りに人がいるから、それが良いかもしれない」

「一人の方が、静かに休めるでしょう」

 私の言葉は納得出来ないと言いたげなサトミ。


 これは性格の違い、考え方の違い。

 私は人の中で生きていきたいし、一人でいるよりは誰かといる方を好む。

 対してサトミは、それ程他人へのこだわりはない。

 むしろ自分の時間、空間を大切にしたいタイプ。

 人がひっきりなしに出入りするような場所で寝るのは、彼女の理解の外にあるんだろう。

 とはいえソファーも受付の前にある訳ではなく、私が寝るようになってからは場所を移動。

 受付の奥。

 棚や衝立で、周囲の視線を遮るようにはしてある。

 それでも話し声や足音は聞こえるし、側を通りかかれば目にも入る。

 とはいえ私も四六時中寝転がってる訳ではないので、問題は無い。 



少し眠気が訪れたところで、軽く体を揺すられた。

「何、たこ焼き?」

「間違えてはないわよ」

 ぼやけた視界に映る、たこ焼きのイラスト。

 竹の皮に乗ったたこ焼きではなく、地球を模したたこ焼き。

 これは月だろうか。

 その周りを鰹節が回り、遙か彼方には太陽だと思われるタコが見えている。

「……何、これ」

「各組織がたこ焼き屋さんを出店して、その出来映えとか売り上げを競うの」

「ふーん」

 たこ焼きバトルか。

 何とも微笑ましい限りだな。


 後で適当に見て回ろうと思っていたら、モトちゃんの手が肩へと置かれた。

「手伝ってきて」

「私、食べる方が良いんだけど」

「少しだけで良いから。上手く焼けないみたいなの」

 去年も聞いたな、こんな話。

 というか、誰がそんな甘い見通しでたこ焼きを焼こうとしてるのよ。

「食べて良いの?」

「それは好きにして。材料は一通り揃ってると思う」

「だし汁も?」

「あるでしょう。勿論」

 当たり前すぎて、議論の余地もないと言いたげなモトちゃん。

 ただそれは、料理に精通してる彼女だからこそ。

 水で小麦粉を溶く場合も、意外とあるからな。

「もしものために、少し予算をお願い」

「分かった。ただ、あくまでもお遊びだから。そんなに張り切らなくても良いわよ」

「私も、たこ焼きで張り切りたくはないけどね」

 たかがたこ焼き。

 ただ、心の中でもう一人の自分がこうもささやく。

 されどたこ焼きだ、と。




 局長執務室を訪ね、本棚から料理の本を手に取る。

 たこ焼きの焼き方は書いてないが、何かの参考にはなるだろう。

 取りあえずソファーに座り、ページをめくる。

「タコは、必ず入れるの?」

「基本はね。ただ、多少のアレンジは構わないって」

「ふーん」

「お遊びなんだから、気楽にね」

 そこをしきりに強調するモトちゃん。

 どうやら彼女はその気でも、周りがお遊びとは捉えていないようだ。

「勝ったら、何かもらえるとか」

「賞金は無いけど、商品は出るみたい。せいぜいたこ焼きセットとか、そういう物でしょ」

 たこ焼きをさんざん焼いた後で、たこ焼きセットか。

 それもどうなんだ。


 彼女の言う通り、肩肘を張っても仕方ない。

 ここは個人的な趣味に走らせてもらうか。

 いや。その前に市場のリサーチだな。

「ショウは、どんなたこ焼きが好き?」

「量が多くて、大きい奴」

 聞くんじゃなかったな。

 予想は付いてたけどさ。

「サトミは」

「オーソドックスで良いんじゃなくて。せいぜい、素材にこだわるくらいで」

「素材、か。……高畑さん?……いや、タコ。たこ焼き作るから、タコ。……そう、取りあえず3匹」

「蛸は、一杯二杯よ」

「……取りあえず、3杯。ええ、お願い」

 どうでも良い訂正は入ったが、手配は済んだ。

 高畑さんのお父さんは蛸漁もする漁師さん。

 これで、メインはどうにかなったな。



 材料は一通り揃えてあるらしいので、後は下見をして足りない分は買い揃えるとしよう。

「作るのって、私だけ?」

「少しの時間だけ手伝ってくれれば良いから。それに、サトミは無理でしょ」

「無理って何よ。誰が決めたの、そんな事」

「あなた、たこ焼き作った事ある?」

 その問いには答えないサトミ。

 とにかくやれないとは言わないな、この人は。

「私も一緒に行くわよ」

「見るだけなら良いけどね。ショウは」

「食べて良いなら行く」

「ケイは」

「タコは、ヨーロッパだと悪魔って言われてるんだぞ」

 だから何なのよ。

 自分の親戚とでも言いたいの?









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