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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第37話   2年編最終話
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37-3






     37-3




 久し振りの学校。

 昨日も来たんだけど、感覚的な話としては。

 正門の封鎖も解け、生徒の流れはいつも通り。

 制服の着用を呼びかける集団は相変わらずで、これも日常の光景となりつつある。

 強制さえされなければ、よどみがちな空気を振り払う元気さと思えなくもない。

「……プロテクター」

 頭の中で勝手に制服の着用を呼びかけていると思ったが、内容は全く別。

 プロテクターの重要性を解き、その販売をアピールしている。

 これはむしろ生徒の側から話を聞きに行く状態。

 私もさすがに興味を引かれ、売っている品物を確かめる。


「ゴム弾、スタンガン、ナイフ。薄手でありながら、大抵の物は跳ね返します。現在金利無しでのローンも可能。あらゆるサイズを揃えていますので、是非お早めに……」

「一つ見せて」

「な、何を」

 何をって、プロテクターを売ってるからそれ以外に何を見せるのよ。

 構わず男の子が振り回していた、インナーのプロテクターを奪い取る。

 素材は私が使っている物よりはやや落ちる感じ。

 ただのシャツをプロテクターと偽っている訳ではなさそうだが、それ程上質な物ではないようだ。

「制服はどうしたの」

「それは、その」

「最近批判を浴びてるから、懐柔路線に転向したんでしょ」

 後ろから聞こえるサトミの声。


 なるほどとも思ったが、それなら無料で配布した方がいいんじゃないのか。

 それとも売りつける事で関係を持ち、制服にまでつなげる気かも知れない。

 ただプロテクター自体は着るに越した事はなく、悪い話ではない。

 プロテクターが必要な学校というのはどうかとも思うが。

「試して良いの」

「無茶をしないのでしたら」

「了解」

 プロテクターを正門の塀に掛け、スティックで軽く叩く。

 ある程度ショックを吸収される感じで、これに関しては問題がなさそう。

「これって高いの」

「制服を着用してくれるのなら、無料で配布しています」

 やっぱり出てきたこの台詞。

 ただ無いよりあった方が良いのは確かで、文句を付ける理由は無い。


 プロテクターを返却したところで、違う呼びかけの声が聞こえてきた。

 そちらを意識する余裕が出てきたと言うべきか。

「あなた達は売らないの」

 彼等とは別グループ。

 傭兵組の方へと話を向ける。

 彼女達は制服の着用も呼びかけなければ、プロテクターも勧めない。

 それでも生徒達は彼女の所へ向かい、話をしている。

 もしかすると、情報を売っているんじゃないだろうか。

「今なら格安で、学内のセーフティマップをお譲りします」

「一つちょうだい」

「毎度どうも」

 後ろから手が伸び、小冊子が持って行かれる。

 サトミはそれに軽く目を通し、それを読みながら立ち去ろうとした。


「お金は、私が払ったんだけどね」

「ああ、ごめんなさい。ただ、あなたには必要ないわよ」

「どうして」

「雪野優の周辺は常に危険地帯ってあるから」

 なるほど。それは納得だ。

 などと言えるほど人間は出来ていないし、何が危険なのかを知る必要がある。

 それを知っている人物は、多分すぐ側にいるだろう。

 さっきは加減したけど、あの程度のプロテクターなら引き裂くのも訳はない。

「どういう事」

「情報は毎日変わるから、明日のバージョンでは安全地帯になってるかも」

 何やら上手い営業トークを言い出す女の子。

 つまりこれは、毎日発行されてる訳か。


 価格としては新聞を買うのと同じくらいで、これなら支払うのもあまり抵抗はない。

 ただ逆に、儲けも薄い気がする。

「利益は出てるの、これ」

「薄利多売と言いたいけど、印刷代がせいぜいね」

「情報を渡すからには、対価が必要だから」

 彼女達から良く聞く台詞。

 ただそれは信念としての話で、利益とはまた別な部分の事。

 彼女達が配布する情報は生徒達を救い、安全へと導く。

 もしかするとそのために、彼女達はここにいるのだろうか。

「意外と人が良いの?」

「コネを作って取り入ろうとしてるだけよ。今なら格安で広告も載せられるけど」

「考えとく。それと、頑張って」

「ありがとうと言いたいけど。私達が頑張らなくても良い学校にしてよね」

 そう言い残して去っていく傭兵の子達。

 この学校を大切に思うのは、私達だけではない。

 彼女達も、そしてお父さんやお母さん達も大切に思っている。

 その事も胸に刻み、これからも頑張っていこう。




 教室に付いて、筆記用具を並べる。

 HRの時間になっても教師はやってこず、見切りを付けて教室を出て行くクラスメートもいる。

 私も帰っていいけど、帰って行くところもないしやる事もない。

 何より、学校に来ている以上授業を受けるのが基本。

 誰も来ない状態で、無為に時だけが過ぎていく気はしないでもないが。

「眠くなってきた」

 そう呟き、机に伏せる。

 これこそ最も無駄な時間の過ごし方とは分かっていつつ、退屈な分眠気は強烈に襲ってくる。

 一旦起きてタオルを引き、腕にタオルの一部を掛けて頭を乗せる。

 後は何もせず、眠気に身を委ねるだけだ。


 突然の怒号。

 眠りを妨げられ、むっとしつつ顔を上げる。

 怒号の原因は教室に入って来た何人かの生徒。

 クラシックな制服と横柄な態度。

「何、あれ」

「力尽くで押さえに来たんでしょ」

「今更、何を押さえるの」

「なりふりを構わなくなったんじゃなくて」

 気のない調子で答えるサトミ。

 こっちは何も理解出来ず、まだ半分夢の中。

 怒鳴り声と威圧的な態度だけが、かろうじて理解出来る。

「大体、誰」

「傭兵でしょ。多分警備員と連携して、脅して回ってるのよ」

「何一つ意味がないと思うけど」

「あなたには意味が無くても、脅されば大抵の人は従うわ」

 そうかなと言いたいが、サトミが言うからにはそうなんだろう。


 ただここには、彼女の言う「あなた」がいる。

 つまり、他の教室の理屈は通じない。

 向こうもそれは分かっているはずで、その上での恫喝。

 さすがに目が覚めてきた。

「それで、何言ってるの」

「1生徒会の指示に従え。2学校の指示に従え。3逆らった場合は、処分する」

「してもらおうじゃないの」

 席を立ち、スティックを抜いて机の間を歩いていく。

 不安や恐れの空気は一瞬にして消え去り、期待が両肩にのし掛かる。

 それは重みともなれば、私を後押しする力ともなる。


「誰だ」

 私の名前を分かっていての台詞。

 全員が武器を持っていて、体格もショウに匹敵するくらい。

 ただそんな事は関係ない。

 ルールを主張するのなら、私達だってそれを主張する。

 学校のルールではなく、人としてのルールを。

「誰でも良いでしょ。騒ぐのなら出ていって」

「今日からこの学校は、俺達の支配下に入った」

 何かの冗談かとも思ったが、この態度やこの行動。

 十分な裏付けあっての事か。

 ただ、それはそっちの都合。

 私は認めないし、そういう事を排除するために私達は行動している。

「馬鹿話は分かったから、出ていって」

「そういう偉そうな奴から片付けてくのが、俺達の仕事なんだ」

「ここが初めて?」

「偉そうな奴からって言っただろ」

 それを聞いて、少しは安心した。

 とりあえずこの連中については、他の人に迷惑は掛けていないようだ。

「今帰るなら見逃す」

「そういう態度がむかつくんだ」

 なるほど。そういう考え方もあるか。

 しかしそうですかと言える訳もなく、スティックを構えて腰を落とす。


 ……待てよ。

 この連中は、あくまでも全体のごく一部。

 つまり、当然だが他にも何グループも存在するはず。

 今までもこれに似た自体はあったが、それとは目的があまりにもかけ離れている。

 何より支配という言葉が全てを言い表している。

「悠長にしてられないか。ショウ、緊急事態」

「あ、何か言ったか」

「5秒数える。その内に出てかないなら、力尽くで排除する。……5、4」

 余裕の表情で笑っている男達。


 しかしその表情は一瞬にしてかき消える。

 正確には表情がではなく、顔自体が。

 私の頭を飛び越えての跳び蹴り。

 ショウはそのまま教室のドアへと走り、廊下の様子を窺った。

「よし。誰もいない」

「分かった。モトちゃん」

「丹下さんと北川さんに連絡する。サトミ、木之本君、連絡網通りに」

「了解」

 素早く手を打つモトちゃん達。

 私はスティックを背中のアタッチメントへ戻し、倒れている男達を避けてショウの隣へと並ぶ。


 今までも似たような事は起きていたが、それはあくまでもデモンストレーションに近い行動。

 そういう事に不慣れな連中も混じっていたし、恣意行動と呼べる程度でしかなかった。

 だが今回の相手は、その意図が明らかに違う。

 好戦的な態度と、支配という言葉。

 そして学校に反抗的な私達への明確な敵意。

「モトちゃん」

「動けるガーディアンとSDCのメンバーは全員動いてる。それにここは、私達だけで大丈夫」

「分かった。私達が出たらドアをロックして。それと、窓側も」

 そう言い残して教室を飛び出て、ドアがロックされる音を確かめてから走り出す。

 これでこの部屋は、完全に守られる。


 戦中戦後の名残で、壁やドアは銃で撃たれても耐えられる構造。

 ゴム弾程度ではかすり傷しか付きはしない。

 その意味だけにおいては、戦争の名残も今は助かる。

「突かれて困るのは、誰だと思う」

「1年の教室を見てみるか」

 そういって先を走り出すショウ。

 私は端末で、真田さんへ連絡を取る。

 走りながらで自然と息が上がり、言葉は半分も出てこない。

 ただ、足を止める事も通話を止める事も出来はしない。

「……教室、鍵掛けて。……そう、襲撃。……そう、モトちゃん達の指示に。……ええ」

「大丈夫そうだな」

「そう、みたい」

 端末をしまい、走る事に集中をする。


 やがて目の前に現れたのは、長い階段。

 駆け下りるのも面倒で、軽く跳んで角の部分に足の裏を乗せる。

 そのまま足を滑らせ滑降し、角の部分を滑っていく。

 踊り場の所で床を蹴り、すぐさま次の階段へ。


 そう思ったところに、下から武装した集団が現れた。

 一瞬でお互いが敵だと悟り、行動を開始。

 ただこちらは上で、十分勢いが付いた状態。

 何よりここで立ち止まっている暇はない。


「せっ」

 背中からスティックを抜き、それを宙に舞わせて跳び蹴りを見舞う。

 足の裏を丁度スティックの中央に添え、右側の壁に手を掛け力強く蹴り付ける。

 下から殺到する連中を横になったスティックがホールド。

 私の体重プラス加速で、そのまま後ろに吹き飛んでいく。

 それを見届け、足首を返しスティックを手元へ引き戻す。

 迫ってきた左側の手すりを軽くスティックで押し、戻っていく反動で背中のアタッチメントに戻して床へ降り立つ。

「真田さんの教室は?」

「そこから、渡り廊下で行ける」

「渡り廊下か」

 嫌な予感。

 もしくは、蘇る嫌な記憶。

 以前舞地さんへ会いにいく時襲われたのが、ガラス張りの廊下。

 渡り廊下は窓こそ狭いが、構造としては似たような物。

 こちらは逃げ場が少なく、相手は私達を待ち構えていればいい。

 窓から突入というのはリスクが高いにしろ、それなら挟撃という手もある。

 どちらにしろ遠回りしている時間はなく、突破する気以外はないが。



 渡り廊下の手前で一旦速度を落とし、前方と後方を確認。

 少なくともこの場所に人の気配はない。

 教棟同士を分断するのなら、ここに人を配置しておくべき。

 それだけの人数がいないのか連携した行動を取っていないのか。

 もしくは、私達が先を制しているのかもしれない。

「……モトちゃん?……いや、渡り廊下。……教棟同士が分断されないよう、通路と玄関を確保して。……そう、お願い」

「やってるって?」

「私達が早かったみたい。ただ、衝突はあちこちで起きてる」

「良し、急ぐか」

 姿勢を低くして走り出すショウ。

 私もスティックを腰に溜め、スタンガンを作動させて彼に続く。


 警戒すべきは左右の窓。

 自然と足は遅くなり、渡り廊下の先が遠く感じる。

「……何か、音がしない」

「気のせいかな。シャッターが閉まっていくように見える」

 そう言って、前後を指さすショウ。

 彼の指摘通り渡り廊下の連結部分で、天井から分厚い金属製のシャッターが降りてきていた。

 私達は丁度中央の位置。

 全速力で走っても、どちらへ滑り込むのも難しい。


 とりあえず廊下を渡りきり、正面のシャッターへ手を添える。

 当たり前だが私が押したくらいではびくともせず、それ以前に押し上げないと開かない。

「無理、だよね」

「さすがにな」 

 内部からの脱出に備えて取っ手はやコンソールはあるが、こちらの操作は一切受け付けない。

 また横にスライドするのではなく、上下に稼働するシャッター。

 通るには持ち上げる必要があり、またそれを維持し続けなければならない。

 多分、ダンプカーを持ち上げる方が余程楽だと思う。

「何にしろ、速く逃げた方が無難だろ」

 窓を開け、軽く跳んで窓枠に飛び乗るショウ。

 彼は窓枠をくぐって立ち上がり、腰のワイヤーを上へと放った。

「とりあえず、誰もいない」

「了解」



 ショウの手を借りて私も窓枠に飛び乗り、腰のワイヤーを渡り廊下の上へ放る。

 先端は形状が変わり、どういった素材にも接着が可能。

 フックのアタッチメントの方が精神的には気楽だが、今までこれで落ちた事はない。

 素材と素材同士の空間を無くし、完全に一体化させるような事をサトミは言っていた。

 理屈は良く分からないが、分かっていなくても恩恵にあずかる事は出来る。


 グローブをはめ、ワイヤーを握ってウインチを作動。

 後は放っておいても、勝手に体が持ち上がっていく。

 今言ったように、結合部は一体化。

 ワイヤーの強度も、その気になれば車を吊せるくらい。

 カッターやナイフで切ろうとするなら、むしろそちら側が刃こぼれする。

 先に上ったショウの手を借り、勢いを付けて渡り廊下の上へと立つ。


 当然だが左右には柵も何もなく、渡り廊下分のスペースが前後左右にあるだけ。

 誰かが遊んでなくしたのか、テニスボールが一つ転がっているのがこういう場所の雰囲気を醸し出す。

 下は植え込みの花が小さく見え、左右が何もない分空を近いと思う気分。

 遮る物がない分風が強く、正直あまり立っていたい場所ではない。


 そう思った直後、下から沸き上がってくる煙。

 どうやら催涙ガスか何かを放り込まれたらしい。

 私達はすでにこの場所にいるので、何を放り込まれようと関係ないが。

「さて、ここからどうする」

 渡り廊下からは脱出したが、正面は教棟の壁。

 窓枠は左右とも遠く、ワイヤーを放るにはやや距離がある。

「任せろ。ワイヤーを」

 腰から外したワイヤーを受け取り、まずは自分のフックを教棟の壁に向かって放るショウ。

 彼はそれを頼りに壁を這い上がり、今度は私のワイヤーを横へ放った。

 そこで自分のワイヤーを外し、今度は私のワイヤーで横へと移動。


 よく考えたと言いたいが、私は一人取り残される。

「それを真似しろって言うのっ?」

 風に負けないようそう叫ぶと、ショウが同じ作業を繰り返して戻ってきた。

「一旦シミュレーションしただけだ。振り子の真似は出来ないだろ」

 彼が言うのは窓枠までワイヤーのフックを投げて、一気にそこへ辿り着く方法の事。

 手順は一度で済むが、ワイヤーの長さの分振り子のように振られる必要もある。

 つまり今度は私の体重プラス勢いで、教棟へ激突する訳だ。

「仕方ないな。前?後ろ?」

「前の方が掴みやすい。後ろだと、すっぽ抜けるぞ」

「怖い事言わないでよ」

 彼の前に立ち、両手を上げて彼に抱きすくめられる。


 さすがにこの状況で恥ずかしいとは言ってられず、彼のぬくもりが今は全て。

 というか、それが無くなったらどうなるかという話だ。

「行くよ」

「いつでも」

「よっと」

 ワイヤーのフックをやや右前に放り、先端が壁に接着したのを確認。

 軽く引いて強度も確かめ、膝を曲げ手足を浮かす。

 後は彼に任せるだけだ。

「っと」

 何のためらいもなく飛び出すショウ。

 ちょっとした浮遊間。

 足元に見えるのは、花壇と通路。

 窓から身を乗り出すのとは根本的に違う、視界の殆どが何もない空間。

 しかしすぐに正面へ教棟の壁が迫り、足を伸ばして激突を防ぐ。

「次行くよ」

「おう」

 ショウの両腕は私を抱きすくめているので、一切使えない。

 最悪私くらいは片手てで大丈夫とは思うけど。

 今度はショウのワイヤーを右前へ放り、窓枠の上へ接着成功。

「切るよ」

「両方切るなよ」

「分かってる」

 初めのワイヤーを切断。

 右へ流れる体。 

 正面は壁だが、足元は以前として何もない。

 頼れるのはワイヤーとショウの力だけ。

 それには信頼しすぎてしすぎる事もない。




 どうにか窓枠の下にまでたどり着き、そこに手を伸ばしてみる。

「鍵が掛かってる。ちょっと下がって」

「どうやって」

 頭の上から聞こえる声。

 確かにこれでは、下がりようも無いか。

「慎重に割るけど、顔は上げないでよ」

「下は、誰もいないな」 

 ショウの言葉を確認し、スティックを抜いて窓を軽く叩く。


 簡単な事では割れないようかなりの強度を保っているが、叩く場所や叩き方さえ分かっていれば力一杯という必要は無い。

 ひびが入ったところでスティックで突き、破片を廊下側へと落とす。

 後は窓枠の縁に沿ってスティックを滑らせ、鍵を開けて手を掛ける。 

 掛けたまでは良かったが、多分私の力でショウを引っ張り込むのは不可能。

「交代」

「大丈夫か」

「問題ない」

 足を後ろへ振り上げ、それでショウの胴体を挟み込む。

 そのまま上体を後ろへ向け、今度は両腕でショウの胸にしがみ付いて足を離す。

 さらに足も前へと戻し、ショウのおなかを挟み込む。

「頭打つなよ」

「え」

 何がと思った時には後頭部に涼しい風が走り、窓枠を通り抜けていた。

 私一人がしがみ付くくらいでは、彼の運動能力には何の影響も無いようだ。

 それ以前に私の方が限界で、自分の意志で離す前に腕が疲れて勝手に落ちた。

 思わず足を踏みしめるが、下は廊下。

 少しの間は勘違いしそうだな。

「とりあえずこっち側からも渡り廊下を確保して、その後真田さん達と合流しよう」

「ああ」



 渡り廊下のコンソールを今度は外側から操作。

 さすがにここは壊していなく、重そうなシャッターは音を立ててせり上がっていく。

 さっき私達がいた場所からは数歩分も無く、大回りどころか命がけの行為が少し馬鹿馬鹿しく思えなくも無い。

「突破したぞっ」

 悲鳴にも似た叫び声。

 その途端頭上を掠める大きなゴム弾。


 すぐに姿勢を低くして、一旦渡り廊下へ逃げ込む。

 もしかして、この繰り返しってオチじゃないだろうな。

 私達の視界にあるのは、渡り廊下と一般教棟の廊下の連結部分。

 そしてそこを通り抜けていく無数のゴム弾。

 サイズ的には小さく、完全装備のプロテクターを着ていれば気にもならない程度。

 しかし今はインナーのプロテクターだけで、顔に当たればあざくらいは出来るだろう。

「弾切れなんて待てないわよ」

「……これは」

 口元をジャケットの袖で覆い、床に転がってた缶を蹴るショウ。

 おそらくはさっきの煙の原因。

 今は少しの刺激臭を放ってはいるが、すでに動く事は無いようだ。

「空でしょ」

「進退窮まったな」

「じゃあ、帰る?」

 そう言った私達がやってきた教棟側のシャッターは下りたまま。

 向こうへ戻るには今と同じ事をする必要がある。

 何より、戻る理由は一つも無い。


「強引に行くとか言うなよ」

「じゃあ、どうやって行くのよ」

「ちょっと待ってろ」

 ジャケットを脱ぎ、それを顔の前に掲げるショウ。

 盾にしてはあまりにも脆く、柔らかい。 

 しかも隠れるのは上半身の一部だけ。

 下半身は遮るものなど何も無い。

 いや。待てよ。

 私が下に入ればいい訳か。


「よしよし。分かってきた」

「何も分かってないと思うぞ」

「大丈夫。それに時間が無い」

 そう言って、廊下を飛んでいくゴム弾へと視線向ける。

 さっきより量は減ったが、私達が飛び出ればそれまで以上に増えるのは必至。

 一発二発は覚悟した方がいいか。

「いい?」

「いつでも」

「それっ」 

 スティックをバトントワリングのように回転させながら、廊下へ飛び出る。


 予想通り、一気に増えるゴム弾の量。

 それをスティックで跳ね返しつつ、小走りで前進。

 ショウはジャケットだけでどうにか耐えている。

 集中砲火という言葉の意味が良く分かる今の状況。

 押し寄せるゴム弾の反動でこちらが下がってしまいそうな程で、時折ショウの口元から声が漏れる。

 私が弾くのに使っているのはスティックだが、彼はジャケットで直撃を防いでいるだけ。

 当然ダメージも蓄積されるし、覆い切れない部分もあるだろう。

 ただ、ここに来て大丈夫と聞いても仕方ない。

 謝るのは後からどれだけでもすればいい。

 今はここを突破する事。

 そして大切なのは、突破する事ではない。

 真田さん達と合流し、その無事を確保する事なんだから。




 強くなるゴム弾の勢い。

 それは逆に距離が詰まった証でもある。

 銃の形状にもよるが、どんなタイプでも弾の量には限界がある。

 長篠の戦なら3列を交代させたかもしれないが、彼らがそこまで統制を取って行動している訳ではない。

 それでも武田軍はこんな心境だったのかなと思いつつ、必死の顔で弾を込めようとしている男に足を向ける。

 いち早くショウが気付き、私をかわして一気に走る。


 すでに距離が詰まり出し、ジャケットでは多い切れない部分にも相当ゴム弾は当たっている。

 それでも彼は自分から飛び込んでいく。

 だったら私は、それを助ける以外にする事は無い。

「せっ」 

 列に突っ込んだショウが混乱を引き起こしたのを確認し、壁を蹴って宙を舞う。

 ある程度舞い上がったところでスティックを壁に着きたて、さらに高さを確保してショウの頭上を飛び越える。

 今まで横の攻撃しかしていなかった彼らには予想外の動き。

 上に銃口を向ける者もいるが、そういう人間はすぐさまショウの餌食になる。

「せっ」

 スタンガンを作動させ、列の後方へ降り立ち横へ薙ぐ。

 私へ向けられた銃口の列はそのまま後ろへ倒れ、天井めがけて発砲された。

 残った人間は悲鳴をあげて逃げていき、ショウがその背中にゴム弾を連射して戦意を喪失させる。

「良し、行くか」

 ショットガンを背負い、私の前を行くショウ。


 頬には傷が浮かび、血が滲んでいる。 

 体に浴びたゴム弾はどれほどかもしれない。

 それでも彼は泣き言も言わなければ、恩着せがましい事も言いはしない。

 私が言った事のため、懸命に頑張ってくれる。

 彼はいつまでも彼でしかない。

 だからこそ、私は彼を好きなんだと思う。




 などと、人をなぎ倒した後で思う事でもなかったな。

 慎重に廊下を進んで行く内に、教室へ突入しようとしている武装集団と出くわした。

 人相、装備、行動。  

 そう考えてもガーディアンではなく、それを悟ったショウがすぐさまショットガンで発砲。

 何人かが、警棒を構えたまま吹き飛んでいく。

「そんなにすごいの?」

「大げさなんだろ」

 事も無げに言い捨てるショウ。

 彼はもっと至近距離での直撃を受けていて、しかし吹き飛ぶどころか怯みもしなかった。

 本当、格好良い以外の言葉が見つからないな。

「とにかく、このまま排除して……」


 真横を抜けていく疾風。

 整然とした列と規律の取れた動き。

 リーダーの指示に従い、武装集団を取り囲み複数対一人という構図を作り出していく集団。

 何事かと思っている内に武装集団は掃討され、教室からは怯えた顔の生徒が出てくる。

「失礼しました」

 真剣な顔でそう声を掛けてくる真田さん。 

 彼女の教室はこの先。

 何より、教室に閉じこもっていろと言ったはずだ。

「申し訳ありませんが、1年のガーディアンを動員してきました」

「それはいいんだけど。大丈夫なの?」

「私もいつまでも子供ではないですよ」

 そう言ってかすかに笑う真田さん。


 私が年を重ねていくように、当たり前だが彼女も年を重ねていく。

 経験を積み、知識を得、成長をしていく。

 いつまでも、私達の後ろにいる訳ではない。

 こうして時には追い越され、彼女達は自分の足でしっかりと歩き出す。

 言葉や理屈では分かっていても、そんな日が本当に来るとは思わなかった。

 それは少し寂しくもあり、誇らしくもある出来事。 

 私の数少ない後輩の成長を目の当たりに出来た事が。

 彼女達を育てていく必要は、もうなくなりつつある事が。



「現在1年のエリアはほぼガーディアンが制圧しつつあります」

「ほぼ」

「ええ。一部傭兵と警備員はやはり頑強でして、正直ガーディアンでは辛いかと」

「分かった」

 スティックを背中へ戻し、息を整える。

 彼女達の成長は良く分かった。

 そして、出来ない事があるとも自分から教えてくれた。

 だったらその先は、先輩である私達の役目だろう。

「モトちゃんに連絡。状況を聞いて」

「了解。……真田です。今、雪野さんと合流しました。……ええ、こちらはほぼ制圧しています。……はい、ではそのように。言いにくいんですが」

「大丈夫。その連中は私達が片付ける」

 スティックをチェックし、全ての機能が稼動するのを確認。


 スタンガン以外の使い方をするのは久しぶりだが、それは実戦での話。

 あらゆる事態を想定した訓練は日々欠かした事は無い。

「緒方さんは」

「ここに」

「知り合いの傭兵に連絡。協力する意思があるなら、生徒の誘導をして」

「了解」

「……御剣君」

 端末で通話をするが、連絡は無し。 

 代わりに、非常時を告げるアラームが鳴り響く。

 傭兵や保安部はガーディアンが制圧中で、彼はそれ以外の敵。

 警備員と、より性質の悪い傭兵と交戦中だと思う。

 ただ通話に出ないのは戦っている最中だからで、彼自身に危険が及んでいる訳ではない。

 この学校に彼と互角に戦える人間は限られているし、それは世間一般でも同じ事。

 私から連絡があったと知れば、折り返し通話が入るだろう。

「真田さん達はこのまま、G棟に移動してモトちゃんの指示を仰いで。緒方さんは、逃げ送れた生徒がいないか検索。傭兵にもそれを伝えて」

「了解」

「……御剣です」


 予想より早い連絡。

 少し息は上がっているが、助けを求めもしないし何があったかも語らない。

 そんな彼の頑張りに心の中で褒めて、今はこの事態の収拾を優先させる。

「私達は今、えーと」

「I棟です」

「に、いるらしい。合流出来そう?」

「多分、下のフロアにいます。渡り廊下から出てくるのを見ましたから」

「分かった。とりあえず、その場で待機して。すぐ向かう」

「了解」

 相手の人数や戦術は把握出来ないが、それは向こうも同様。

 単独で各個撃破出来る人間が潜入したとなれば、相手の戦術は根底から覆る。

「じゃあ、二人とも気を付けて」

「ええ」

「お二人も」

 軽く握手を交わし、お互いに頷きあってこの場を別れる。 

 もう彼女達に私の助けは必要なく、むしろ私達が助けられるくらい。

 その成長振りが今はただ誇らしく、頼もしい。



 慎重に階段を下り、廊下の左右を確認して一歩踏み出す。

 今度はゴム弾の嵐も無ければ、シャッターが下りてくる事も無い。 

 床に転がるゴム弾やボウガンの矢。

 警棒と、それから続く血痕。

 さらに辿っていくと、人が累々と倒れている。


 そんな中、窓を背にして一人佇む御剣君。

 血まみれの服。

 傷付いた顔。

 荒い息。

 しかし彼は平然とした顔で私達を出迎え、背負っているショットガンを担ぎ直した。

「とりあえず、鎮圧しました」

 倒れているのは10人以上。

 半数が大人で、体格は彼より大きい人もいるくらい。

 それでも彼はこの場を死守し、私達を出迎えてくれた。

「良くやった」

 拳を差し出すショウ。 

 御剣君は少しはにかみ、それに自分の拳を重ねた。

「怪我してるじゃない。屈んで」

「大丈夫ですよ」

「もう一度言おうか」

「座りますね」

 慌てて正座する御剣君。

 誰も、そこまでやれとは言ってない。


「絆創膏。絆創膏と」

「あの、ガキ大将じゃないんですから」

「ばい菌が入ったらどうするの」

「ばい菌ってなんですか」

 最近、この子もへりくつを覚えだしたな。

 ばい菌といえばばい菌で、それ以外の何物でもない。

 とりあえず血が出ている右頬へ張り、もう一つ出てきたのでショウの顔もチェックする。

 張っても良いけど、この顔に張るのは惜しいというか造形美に申し訳ない。

「俺には貼れるけど、四葉さんには貼れないとか言うんじゃないでしょうね」

「そんあ訳無いでしょ。ショウも屈んで」

「ああ」

 御剣君とは違い、素直に正座するショウ。

 だから、正座はしなくて良いんだって。


 彼の場合は傷も浅く、軽い擦り傷程度。

 正直放っておいた方が良いくらいだが、流れという物もある。

 慎重に左頬へ貼り、一度離れて確認する。

 ちょっとバランスが悪いな。

「もう少し右に」

「貼り直すとか言うなよ」

「まさか、冗談でしょ」

 空笑いしてさらに離れ、床に落ちている物を確認。

 使えそうなショットガンをショウへ渡し、端末を適当に拾う。

「……サトミ。端末を拾ったから、転送する。……今御剣君と一緒。……分かった」

「なんだって」

「この教棟にいるのは私達だけだって。撤収するよ」




 誰もいないというのは、生徒がいないという意味。

 傭兵は警備員がどこかに潜んでいる可能性はある。

 前をショウ。後ろを御剣君。

 私は真ん中で、比較的安全な位置を歩く。

「渡瀬さんと神代さんは」

「もう外へ出てるんじゃないんですか」

「ちょっと待って、確認する。……モトちゃん、渡瀬さん達は。……まだ来てない?……連絡だけ取って。私達は、まだ残る。……この教棟にいるの?」

「普段は」

 曖昧な返事をする御剣君。

 ただ彼もいつも一緒に彼女達といる訳ではないし、さっきの状態では他人を気遣い余裕もないはず。


「……連絡取れた?……分かった、すぐ行く。……逃げ送れた子を助けて移動してるみたい」

 送られてきた場所を二人にも転送し、モトちゃんの言い方を思い出す。

 多少含みを持たせた、私を気遣うような言葉。

 ただそれはこの際関係は無い。

 今は渡瀬さん達の無事を確保し、彼女達が守っている子達の無事も確保する。

 それが私の仕事。

 ここで時間を過ごしている暇は無い。



 人気の無い廊下。

 この廊下は窓が無いため、警戒するのは教室のドア側だけで済む。

 やがて正面に小柄な姿が見え、向こうもこちらを確認したらしく軽く手を振ってくる。

 全員無事な様子で、追っても今のところは見当たらない。 

 とりあえずは一安心か。

 始めはそう思っていたが、彼らが近付いて来る内に違和感を覚え出す。

 彼らの服装。

 クラシックな制服に。

 これを着ているのは当然今の生徒会に賛同する人間か、執行委員会の関係者。


 いや。中にははっきりと見覚えのある顔。正門でいつも見かける子もいる。

「先輩、落ち着いて」

 私の気持ちを理解したのか、なだめるように声を掛けてくる神代さん。

 彼女も執行委員会にはいい思いは無いはずで、それでもこうして彼らをかばってここまで来ている。

 それに比べれば、私の下らない感情など全く無意味だ。

 本当、私に比べて二人は成長してるんだな。

「これで全員?」

「付いて来たいと言った人は」

 若干非常とも取れる発言をする渡瀬さん。

 冷静に考えれば、執行委員会内にも不満を持っている人達はいるだろう。

 やり方、システム、待遇。

 始めは理想を語られ、それに釣られてという人ももしかすればいるかもしれない。

 執行委員会だからといって、一概に否定するのは良くないのかもしれない。

 改めて、渡瀬さんと神代さんに教えられた思いがする。


「小谷君を見てないけど、どこにいるの」

「まだ説得を続けてますけど、多分すぐ戻るかと」

「説得」

 何か彼らしくない行動ではあるが、それこそ私の身勝手な見方。

 ただ彼は矢田君の後輩であり、側近。

 私達と行動する事には相当な葛藤もあると思う。

「来ました」

 彼女達がやってきた廊下の先を指差す渡瀬さん。

 小谷君を先頭に、小走りで駆けてくる小集団。

 表情はあまり余裕が無く、それは走っている疲労のせいだけでもなさそうだ。

「ショウ、御剣君。彼らのフォロー。渡瀬さん達は合流したらすぐに教棟を出て」

「了解」

「小谷君急いで。後は私達がやる」

「助かります」

 喘ぎながら私達とすれ違い、そのまま走り去る小谷君。

 それ以上の言葉は交わされない。

 ただ彼は走り、私はその後ろを守る。

 ここからは、少し先輩らしい事をさせてもらおう。



 集団の先頭を渡瀬さんと私でガード。

 後方はショウと御剣君。

 小谷君が連れてきた集団は走り詰めだったのか足取りが重く、ややもすれば全体のペースを落としがちになる。

 彼らも全員クラシックな制服を着用。

 いわばこの間までは、私達と敵対するグループだった。

 置いていくのは簡単で、それ以前に彼らの存在すら想定していなかった。


 だけど今彼らは私達の目の前にて、喘ぎながらも走っている。

 私達と一緒に、同じ方向へ向かっている。

 だったら、彼らを守らない理由は無い。

「来たぞ」

 後ろから聞こえるショウの声。

 振り向くと、階段から出てきたらしい集団が銃を構えてこちらに近付いてきていた。

 有効射程距離ではないが、当たればうずくまりたくなるくらいの距離ではある。

「ショウと御剣君で迎撃。渡瀬さん、ペース上げて」

「了解」

 一気に駆け出すショウと御剣君。

 距離があるためゴム弾は軽くかわされ、ニ撃目が放たれる前に今度は二人が襲い掛かる。

 先頭を行く渡瀬さんはかなり遠ざかり、集団もやや長くなる。

 多分連中はこれを狙っていたんだろう。


 ただ後ろはショウ達が守っているので、多少の遅れは問題ない。

 つまりはショウ達の犠牲の上に成り立っている訳でもあるが。

 それでも後方は二人に任せ、私は遅れ出した生徒達の後ろにつく。

 足取りは重く、歩いてるのと大差ないペース。

 一瞬無理やり追い立てようかとも思ったが、それは自分が抱いている感情を爆発させるのと大差ない。

 積年の恨み、仕返しとでも言おうか。

 大げさに言えばそれをするだけの権利はあり、また見捨てる訳ではないため責められるいわれは無い。

 それが

 それが出来ないからこそ、私はこうして彼らの後ろを守っているんだけど。

「ほら、隣の子を助けて。一人で先に行かない」

 喘ぎながら振り向く女の子。

 すでに私が誰だかもよく分かってない顔で、ただ言った事は伝わったらしく隣を歩く女の子の手を引いて歩き出した。


 これでどれだけ早くなる訳でもない。

 だけど、彼らは一人出歩いている訳でもない。

 考え方は人それぞれでも、思う事は同じ。

 ここから早く逃れたい。

 その気持ちだけで彼らは足を動かしている。




 手をつないだって、何も代わりはしない。

 むしろ遅れるくらいかもしれない。

 それでも何か変わり、分かるかもしれない。

 私の勝手な思い込みだとしても、そうしてお互いを励まし支えあう姿は守るべき価値がある。






 







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