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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第37話   2年編最終話
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     37-1




 大きな姿見の前に立ち、身なりを確認する。

 タータンチェックのスカートと茶の革靴。

 上は襟の小さい紺のブレザーに、赤の細いリボン。

 ブレザーの胸元には草薙高校の校章が入っている。


「制服を着る意味はあるの?」

「高校生だという部分をアピールするのよ」

 私の後ろから両肩に手を添えるサトミ。

 着ているものはほぼ同じで、彼女はスカートも紺だというくらい。

 しかしこちらは小学生で、向こうはトップモデルも逃げ出すような佇まい。

 で、何をアピールするって。

「大体、矢加部さんの紹介ってどうなの」

「仕方ないでしょ。少し、といた方が良い?」

「あまり時間もないし、このままでいいよ」

 そう答え、手で自分の髪を撫で付ける。

 薄く茶色がかった髪におかしなところはなく、触った感触も申し分ない。

 猫や犬の子を撫でると、多分こんな気持ちになるんだろう。

 などと、自分で思う事でも無いが。 



「……なに、それ」

 制服姿で現れたケイに、つい吹き出す。

 彼もブレザーと、下は同様に紺のスラックス。

 ネクタイを苦しそうに指で緩め、こちらを嫌そうな顔で睨んできた。

「何って、制服だろ」

「似合わないというか、似合わないというか」

「普段着てないから、見慣れてないだけだ。というか、制服を着るって誰が決めた」

「高校生らしさをアピールするのよ」

 やけにその点にこだわるサトミ。

 ただそれは彼女の主観的な意見であり、これから向かう相手へのアピール材料になるかは不明。

 これ以上異議を唱える勇気は、私には無いが。

「ショウは」

「サイズが合わなくてね。お母様自ら、寸法を直してましたよ」

 鼻で笑ったケイの後ろから、ジャケットを小脇に抱えて現れるショウ。


 シャツの胸元ははちきれそうで、一番上のボタンはとめるのもやっとといった様子。

 大きい服は世の中にいくらでもあると思うが、制服用のシャツに限定すればサイズは限られる。

 これは破れてもいいように、ジャケットを着させつづけるしかないな。

「ジャケットを羽織って。それとネクタイも」

「苦しいんだ」

「死にはしないわよ」

 無慈悲に告げ、腕を組んで足を踏み鳴らすサトミ。

 何者かとも思うが、今の彼女に逆らうのはあまり賢い事とは言えない。

 今の彼女が、あまり賢いとも思えないが。


「……着たぞ」

「ネクタイは」

「下手に動かすと、破れる気がする」

「ソファーに座って。ユウ」

「はいはい」

 ソファーに座った彼の前に立ち、手を回してシャツの襟にネクタイを通す。 

 反対側からだが、手順は頭の中に入っているので混乱する事は無い。

 何もショウのためにではなく、サトミやモトちゃんのネクタイやリボンを結んでいる経験からだ。

「……もう少しかな」

 最後に微調整して、少しゆるめに締めておく。

 ブレザーにネクタイというやや固い格好も、着る人が着ればなんとも様になる。

 この人の場合、何を着ても様になるけどね。

「準備は」

 コートを抱えて部屋に現れるモトちゃん。

 彼女も制服で、その後ろからついてきた木之本君とヒカルも同様。

 多分卒業式以来じゃないかな、これだけみんなが制服を着てるのは。

「大体良いみたいね」

 ケイのところは見ずに頷くモトちゃん。

 ちなみに彼はすでに床へ寝転がり、腕で頭を支えて欠伸をしている。

 しわになるとか汚れるという事は、あまり考えてないんだろう。

 もしくは、気にもしたくないというところか。


「似合ってるね、みんな」

 にこにこと笑いながら、ビデオカメラを回す瞬さん。

 なんとなくショウの部分で止まる時間が長いのは、親の特権というものか。

「セーラー服とか、学ランは?。俺達はそうだったよ」

「今の草薙高校は、ブレザーが主流なんです。セーラー服や学ランは、趣味の域ですね」

「趣味に走って欲しかったな」

 なにやら怖い事を言って、カメラをしまう瞬さん。

 彼は私に向かって指を差し、それを素早く動かした。

「……見えてるみたいだね」

「ええ。問題ないですよ」

「調子良い?」

「前よりは、かなり」

 今でも眼鏡は掛けているが、見え方は段違い。

 薬品を浴びる前程に回復はしていないが、今までの不安定さや薄暗さは一切無い。

 日常生活を過ごすには何一つ問題なく、眼鏡を掛けているのは万が一のため。 

 勿論また不意に見えなくなっても、普通に行動出来る自信はある。


「あのTV出演が良かったのかな」

 どうもみんなこれを言う。

 ただ私自身も、その意見にはある程度賛成している。

 今まで抑えてきた事を、ああいった形で主張したのが余程精神的な開放感につながったんだと思う。

 また回復期に入ってきていたという事もあるとは思うが、あれが効果的だったのは医者も認めていた。

 実際数値もはっきりと回復したと分かるくらいの変化があり、眼鏡やサングラス無しでも良いと言われているくらい。

 神様は本当にいるんだなと、しみじみ思う。

 これからはあまり恨まず、熱田神宮にも出来るだけ通うようにしたい。



「さて、迎えが来たか」

 玲阿家の玄関先で、にこやかに笑う瞬さん。

 行き止まりの玄関前に現れたのは、黒塗りの長い車。

 多分リムジンか、それに類する車種。

 外的の侵入を防ぐためここまでの道は多少カーブが多いのだが、リムジンは何事も無かったかのように玄関前に停止した。

「お待たせしました」

 車を降りてきたのは、綺麗な女性。

 品の良い笑顔と柔らかな物腰。

 ただ雰囲気に隙は無く、運転手というタイプにも見えない。

 兼ボディーガードといったところかな。

「どうぞ。お乗り下さい」

「ありがとうございます」

 乗る配置は一応決めていたが、中に入ってそれが無意味だと気付かされた。


 車内は円卓上のソファー。

 中央にテーブルがあるという、どこかのリビングといった風情。

 テーブルには飲み物が置かれ、気付けば走り出していたが揺れには全く気付かない。

 窓の外を見ると瞬さんが半笑いで手を振っていて、その姿もすぐに遠ざかる。

「すごい車だね。矢加部さんのもすごいけどさ」

「そうね」

 大して興味も示さず、ミネラルウォーターに口を付けるサトミ。

 私も同じ物を手にして、首の部分を持って軽く振る。 

 ここから運転席に投げたらという反応が見たいくらいの相手で、ただそれはかなり自殺行為だが。

「どこかにお寄りになりますか」

「いえ。そのまま向かって下さい」

「かしこまりました」

 滑らかに加速する車。


 そうと分かったのは、周りの景色が早く流れ出したから。

 外さえ見ていなければ、まだ玲阿家の前と勘違いするくらい。

 前の車は自然と割れ、前には車も何もいなくなる。

 瞬さんの車。メガクルーザーとはまた違う迫力と威圧感。

 ただこちらの恐怖は、より金銭的な部分だろう。

 下手をしたら、バンパーだけで私のスクーターくらい買えそうだ。




 車は都市高速へ乗り、どうやら北東へ向かっている様子。

 景色はすぐに緑が増え、名古屋市街から遠ざかる。

「わ」

 後ろから越えるサイレン。

 そして白バイの赤色燈。

「そこのリムジン、左に寄せなさい」

「スピード違反?」

「さあ」

 あまり気の無い返事で答える女性。

 それでもリムジンは左へ寄せられ、白バイを降りた警官が窓を下ろすよう手で合図する。

「到着が遅れました。今から、先導いたしますので」

「マラソンかよ」

 小声で呟くケイ。

 さすがに警官へ届くような声の大きさではないが、尋常でないのは頷ける。

「お願いします」

 ごく平然と頷き、走り出した白バイを追うリムジン。


 景色の流れ方はそれまで以上で、今度こそスピード違反。

 権力というものは、あるところにはあるらしい。

「いつもこういう事をしている訳ではありませんので。今回は皆様の時間を考え、警察に依頼をしただけです」

「ご配慮。恐れ入ります」 

 丁寧に礼を告げるモトちゃん。 

 女性はこれといった返事もせず、淡々と車を走らせる。

 要人や緊急時ならともかく、私達はただ相手の家に向かうだけ。

 それに対する白バイの先導が可能なんて、どういう相手なのかという気もしてきた。

「どこまで行くんですか」

「下呂温泉の別邸に宿泊しておりますので、そちらに参ります」

「今回のお願いについては、どうおっしゃってましたか」

「お会いになってお話を聞くとしか、私は伺っておりません」

 深い部分には触れない女性。

 それも当然で、彼女がぺらぺらしゃべるようなタイプなら私達を迎えにも来ないだろう。




 気付けば車は下呂に到着。

 川原沿いに立ち並ぶホテルや旅館。

 しかし車はどこにも止まらず、山の中へと入っていく。

 道幅は広く、ただ走る車は一台も無い。

「ここはすでに、私有地になっています」

 聞く前に教えてくれる女性。

 車が無いのも、道幅が広いのも道理という訳か。 

 しかし年に数度も利用しないと思うし、高級ホテルのスイートを取った方が余程安上がりだと思う。

 ただそういう感覚を持たないのがお金持ちだとも言える。



 九十九折の道を登り、やがて目の前の緑が切れて景色が現れる。

 眼下に広がる下呂の温泉郷。

 旅館やホテルから立ち上る湯気も見え、風情としては申し分ない。

 裕福な人間にのみ許された特権といった所か。

「到着いたしました」

 外側からドアを開けてくれる女性。

 お礼を言って車を降りると、純和風の建物が立っていた。

 高級旅館といった概観で、玄関前には和服姿の女性が並んでいる。

 ここの主の為だろうが、ここまで無駄な行為も珍しい。

「それではご案内いたします」



 廊下から見える日本庭園。

 どこからか小鳥のさえずりは聞こえるが、車の音も人の声も無い。

 本当の静けさとはなんなのかを、今知ったような気もする。


 長い廊下を歩き、通されたのは一転洋室。

 派手な調度品と革張りのソファー。

 壁際の棚には洋酒が並び、テーブルにもワイングラスが置かれている。

 最悪正座を覚悟していたので、これはむしろ助かるが。

「少々お待ち下さい」 

 丁寧に頭を下げて去っていく女性。

 その姿がドアの向こうに消えたところで、軽く室内を見渡す。

 カメラは正面に二台。

 その背後の窓に、センサー。

 ドアには強力なロックや防犯装置も取り付けられている様子。  

 その気になればここに監禁するくらいの設備は整っている。

 そのメリットがどの程度あるかの話ではあるが。


「お待たせしました」

 すぐに戻ってくる女性。

 その後に悠然とした足取りで現れる、恰幅の良い壮年の男性。

 ガウンに葉巻。

 薄くなり始めた髪は整髪料が塗られ、あまり近くには寄りたくない。

「まあ、楽にしたまえ。適当に飲み物を」

「かしこまりました」

 一礼して部屋を出て行く女性。

 男性が一人がけのソファーに座ったところで、私達もその左右にあるソファーへ腰を下ろす。


「早速本題に入らせていただきます。何度もお伝えした通り、草薙高校の借地権を是非我々にお譲り下さい」

 単刀直入に切り出すモトちゃん。

 男性は葉巻をくゆらせ、目を細めて漂っていく煙を見上げた。

「簡単に言うが、現在草薙グループが提示している金額を上回るだけの資金があるのかな」

「まずはこちらを」

 テーブルに置かれる書類。

 そこには、私達の資金がリストとなって書かれている。

「正直、全く話にならんよ」

「勿論、それだけではありません」

 改めてカードを取り出すモトちゃん。

 それを端末に通し、表示された額を男性へと見せる。

 これはケイがブックメーカーからせしめたお金で、今までの資金を軽く上回る。

「全く足りんな」

「当然でしょう」

 さらに置かれるカード。

 今度はキャッシュカードではなく、マンションのカードキー。

 言うまでも無く、屋神さんから受け取ったものだ。

「どれも草薙高校周辺の物で、時価総額は近隣のマンションと決して引けを取りません」

「ようやく半分といったところか」

「では」

 さらに提示されるカード。

 これは確か舞地さんが持っていた、渡り鳥の集めている資金。

 何故とは思ったが、モトちゃんは黙ってカードを端末に通した。

「ほぼ並んだのではないでしょうか」

「まあ、半年なら貸してもいいだろう。ただし」



 含みを持たせた台詞。

 狡猾に歪む表情。

 暗い光を宿した瞳が、サトミへと向かう。

「水心あれば魚心ありとも言う。少し、余興があっても良いだろう」

「おっしゃっている意味が分かりませんが」

 固く撥ね付けるモトちゃん。

 そして先程の女性が運んできたワゴンからグラスを手に取り、彼女はそれをテーブルへとそっと置いた。

「建物や土地は、あくまでもこのグラス。肝心のワインである私達をないがしろにすると、あなたも困る事態になると思いますが」

「なかなかに強気だな。ただ私としては、あの土地を完全に草薙グループへ売却しても構わんのだよ」

 険しい表情で睨み合う二人。

 その間で激しく散る火花。

 そこにケイが、半笑いで割って入る。


「まあまあ、お二人とも落ち着いて。よろしければ、これを」

 無造作にテーブルへと置かれるワインボトル。 

 それを見て、男性の顔付きが一変する。

「……これを、どこで」

「少しつてがありまして。ワイン、お好きなんですよね」

「ああ。しかし、これを手放す馬鹿がいるとは思えんが」

 コルクとラベルを慎重に確かめ、悦に言った表情で抱きしめる男性。

 ケイは愛想よく笑い、そのまま床へ膝をついた。

「ここはそのワインに免じて。是非ともご容赦を」

 床に着く額。

 彼はそのまま土下座して、それでもなお頭を下げた。


「そういう真似をされてもな。大体私は、草薙高校だったか。そこがどうなろうと、関係ないからね」

「決して悪いようには致しません。本当、この通りです」

「うーん。寿司でも食べるかね」

 そう言うや、カーペット敷きの床へ鉄火巻きを放る男性。

 ケイは顔を動かし、それを何のためらいもなく頬張った。

「味はどうかな」

「美味しゅうございます」

「それは結構。 では、ヒラメも食べるかね」

「是非とも」

 床から直接犬食いするケイ。

 それを見て男性は愉悦の表情を浮かべ、優雅にワイングラスを傾けた。

「ちょっと座ってもいいかな」

「なんなりと」

「君は、プライドは無いのかね」

「そんな、滅相もございません」

「男の子がそれでは良くないね。君、座ってみなさい」

 顎を振り、女性を促す男性。


 彼女は一礼すると、なんのためらいも無く土下座しているケイの背中へ腰を下ろした。

「気分はどうだね」

「光栄です」

「プライドは持った方がいいよ。甘鯛はどうかな」

「頂きます」

 やはり犬食いで食べるケイ。

 男は口を大きく横へ裂き、グラスのワインを一気に飲み干した。

「駄目だな、君は。同姓として、私は情けないよ」

「申し訳ございません。ですが是非、温情におすがりさせて下さい」

「どうしても?」

「本当、この通りでございます」

 さらに伏せるケイ。 

 その傾斜で体が揺れ、女性はかかとで彼の脇腹を軽く蹴った。

「怒られたよ。駄目だね、君は」

「全ては、私の不徳の致す限りです。そこを、なにとぞ」

「ちょっと脱いでみようか」

「は。なんなりと」 

 女性が立ち上がり、その目の前で上着を脱ぎ出すケイ。


 やがてシャツも床に捨てられ、大きな傷口が露わになる。

「意外と、修羅場をくぐってきたタイプ?」

「いえ。単なる病気の傷跡です」

「それにしては随分派手だね。体つきは貧弱だけど」

「お恥ずかしい限りです」

「その格好で、庭を走ってきて」

「は、たたぢに」

 窓を開け、庭へと飛び出すケイ。


 男性は表情を緩めたままこちらへ向き直り、テーブルの上に置かれたカードを押し戻してきた。

「これは持って帰りなさい」

「それは」

「ああ。勘違いしなくていい。あの土地の借地権は、今日から君達に渡そう。手続きはこちらで進めておく」

「その見返りは」

「まあ、彼の頑張りに涙したという事だ」

 言葉とは裏腹な、陰湿な表情。

 約束を違えるとは思えないが、釈然としない部分があるのも確か。

 男性はすでに私達への興味は削がれたのか、庭の奥を走るケイの姿を眺めてグラスを傾けている。

「それでは、私達はこれで失礼します。本日は、ありがとうございました」

「何。気にしないでくれ」

「それと、彼も連れて帰りたいのですが」

「ん?ああ、そういう事。車の準備をさせるから、それまでは走らせておきなさい」




 リムジンのソファーに転がり喘ぐケイ。

 あれやこれやと理屈をつけられ、リムジンが到着したのは1時間後。

 その間に借用書が用意され、私達の手元にそれはある。

 書類は正式なもので、役所の手続きも済んでるとの事。

 あらかじめ作っておいたのか、それともあの別荘に役人がいるのか。

 警官を先導させるくらいなので、今更何があっても驚かないが。

「とにかく借地権は手に入れたし、かなりのアドバンテージを得れた。これは有効に使わせてもらう」

「それは俺の」

「私の名前で登記してあるの」

 きっぱりと言い切り、大きな封筒をリュックにしまうモトちゃん。


 ケイはようやく起き上がり、ヒカルからペットボトルを受け取ってそれを一気に空にした。

「でも、ケイなんかいじめて何が楽しいの」

「そこはそれ。趣味の世界って奴さ」

 悪い顔で笑い出すケイ。 

 なんか、話を振らない方が良かったな。

「金もある地位もある名誉もある。何でも出来る。じゃあ、行き着く先はどこにある」

「知らないわよ」

「女遊びも飽きたし、元々そっちの資質があったんだろ。しかも普通なら俺よりも、ショウを指名する。だけど、俺の方に興味を示した。本当、趣味の世界は奥が深いね」

 聞きたくも無い知識を披露されても困るし、深く話してもらいたくも無い。

 本当、彼を対象に見て何が楽しいんだろうか。

「平凡でどこにでもいそうな、うだつの上がらない奴をいじめるのが趣味らしい。それも地味に、ねちっこく責めるのが」

「どうして」

「それは個人の趣味だから、俺達が文句を言う筋合いでもない。寿司も食べられたし」

 そう言って笑うケイ。


 笑い事ではないと思うが、笑う以外に反応しようが無いのも確か。

 というか、この話題にはあまり乗りたくないな。

「ワインって、この前親睦会から盗んできて入れ替えた奴?」

「レア物なのは知ってたんだ。あの変態親父が探してるのも」

「飲まれれば、さすがに分かるんじゃないの」

「奴が言ってたように、ワインの知識があれば普通は手放さない。つまり、飲むなんて事はありえない代物。飲むとしたら、あいつが死ぬ間際だろ」

 なにやらひどい話になってきたな。



 借地権の代価の一つはあのワインだったはずで、それがスーパーの店頭で売ってるようなホームワイン。

 でもって最大の代価がケイと来ては、この借地権自体手放したくなる。

「いつまで借りられるの、これ」

「とりあえず、来年度一杯。それ以降は話し合いになるけど、一度借りればこっちのものよ」

 表情を鋭くさせるモトちゃん。

 何がこっちのものかは知らないが、莫大な財産を手に入れたのは間違いが無さそうだ。

「済みません。このまま学校へ」

 ケイの声に答えもせず、黙々と車を走らせる女性。

 彼が運転席へ歩み寄ったところで、急加速して彼を床へ転ばせる。

「こ、この」

「危ないから」

「危なくしたんだろう」

「そういう事もある」

 どういう事があるのか知らないが、女性はさっきまでよりも素っ気無い。


 すでに化粧は落とされ、服もスーツではなくワイシャツとジーンズ。

 ただ切れ長の瞳は時折鋭さを湛えルームミラー越しにこちらを見ている。

「伊藤さん、何か不満でも」

「別に。退職金代わりに車も貰えたし」

「え」

「辞めるっていったら、これに乗って帰れと言われた。だから、みんなを乗せてる」 

 そう平然と答える伊藤さん。

 彼女が運転手をしているのは、あの男性宅へ潜入していた続きだと思っていた。

 もしかして、伊藤さんの素性も承知済み。

 そう考えると、あの男性はかなり底知れないな。

「私の報酬は」

「後で払います。というか、この車で十分だろ」

「そういう訳には行かない。契約をすれば義務が生じ、それには代価が必要となる」

 そう諭し、都市高速を降りる伊藤さん。

 ここから草薙高校はすぐ近く。

 ビルが立ち並び車が激しく行き交う、雑多な景色。

 ただ私には馴染みのある、落ち着く光景でもある。

「東門へお願いします。俺の土地に」

「仰せの通りに」

 皮肉っぽく告げて、正門を通過する伊藤さん。

 つまりここは草薙高校ではあるけれど、土地の所有者はモトちゃんでありケイ。

 言ってしまえば、私でもいい。

 彼がふざけた事を言い出した理由も分からなくは無い。




 東門から来客用の駐車場に向かい、リムジンを止める。

 しかしそこはさすがに、草薙高校。

 この車程の大きさは無いが、高級車はこれでもかというくらい並んでいる。

 資金提供を申し出ている有力者も多いと言うし、私が思っている以上にお金持ちはいるんだろう。

 もしくは、あるところにはあると言うべきか。

「さてと。見回るか、俺の土地を」

「土下座しただけじゃない」

「俺の土下座だけで、多分この駐車場くらいはある」

 それもまた、貧相な例えだな。



 駐車場を抜け、街路樹の茂る通路を歩き、なんとなく景色が様変わりする。

 緑は多いが、その間には廃材がちらりほらりと現れ出す。

 やがて廃材の中に緑が見えるようになり、空気は沈み辺りが薄暗くなった感覚に陥る。

「こ、ここって、旧クラブハウスじゃないの」

「所有者が変わったって事を知らしめないと。新しい王が誕生したと」

「お酒でも飲んでるの?」

「一生に一度くらいは、浮かれさせあげれば」

 そうフォローするサトミ。

 ただ浮かれる機会が一生に一度なのも、物寂しい話だが。


 やがて古ぼけた建物が現れ、その玄関先に人影が見える。

 皮のジャケットに物静かな佇まい。

 小坂さんは私達に視線を向け、それをすっと後ろへと持っていった。

「伊藤か。何してるんだ、お前」

 前を見たまま、全く答えない伊藤さん。

 それは慣れてるのか、小坂さんは首を振ってモトちゃんへ改めて尋ね直した。

「何か用か」

「草薙高校の東側についての借地権を私達が取得したので、ご報告に上がりました」

「そんな話もあったな。それで、俺達を追い出すとでも?」

「いえ。つまりはその借地権を盾に、この建物を占有する権利を主張出来ます」

 「ここへ立てこもるのは、あまり得策では無いと思うが」

「ええ。それでも最悪の事態は想定すべきですし、指揮所としてここを利用するケースは考えられます」

「ええ?」


 思わず声を上げ、モトちゃんと目を合せる。

「ここを使うって初めに言い出したのは、ユウじゃない」

「だけどさ。ここ、ほら。あれ。怖いじゃない」

「それはユウの理屈。お化けの一匹や二匹、むしろ賑わって楽しいかも知れないわよ」

 楽しい訳がない。

 大体お化けって、一匹二匹で数えるものなのか。

「指揮所にしろ、一般教棟からは遠くないか。そのために、俺達はここを占有していても黙認されているんだが」

「一般教棟が使えないケースを想定した際、ここがベストでしょう」

「なるほど。まあ、使うのは好きにすればいい。俺も卒業だし、生徒会も手を入れてきている。使うには確かに都合がいいかもしれない」

 生徒会との攻防で、私達はここから撤退。

 彼の言うように、現在名目上は生徒会の管理化にある。

 ただ再三話に出てきている一般教棟との距離から、生徒会関係者も常駐するのはためらっているらしい。


「卒業。ですか」

「留年しないくらいの成績は修めてる」

 多少むっとした顔で答える小坂さん。

 そういう意味ではなかったが、少し疑わなくも無かった。

「だったら、卒業後はここは誰が管理するんですか」

「俺は管理人じゃない」

 さらにむっとする小坂さん。

 言い方が悪かったな。

 でも、管理人じゃなかったらなんなんだ。

「渡り鳥や傭兵はこの学校ではシステムに組み込まれつつあるから、こういう場所も必要ない。建物も老朽化してるし、何年後かには取り壊すのかもしれないな」

「そうなんですか?」

「その意味でこの学校は、渡り鳥や傭兵にとっては居心地は良い。なんだかんだと言って、居場所は提供してくれている」

「居場所」

 彼らはその名の通り、学校を点々と渡り歩く存在。

 一箇所に留まり続ける事は無く、だからこそその名前が付いてもいる。


 だけど私の知るだけでも、この学校に留まっている傭兵や渡り鳥は多い。

 舞地さん達がそうだし、彼もそう。

 そして沢さんも本来なら、フリーガーディアンとしてあちこちの学校を渡り歩いているはず。

 沢さんや小坂さんは、高校生活の大半をここで過ごした事にもなる。

 すでに彼らは傭兵やフリーガーディアンというより、草薙高校の生徒と呼んだ方がいいくらい。

 彼らと私達を隔てるものは何も無く、かろうじて残っている肩書きや呼称だけがその違いを思い出させるに過ぎない。

「今回は、成功するのかもしれないな」

「みんな言うけど、前回は失敗なんですか」

「退学者や転校者が続出。残った塩田や俺達も主流にはなれず、なる気力も無かった。その間に学校は体制を整え、生徒会を完全に支配。間違いなく、負けだ」

 はっきりと言い切る小坂さん。

 彼は当時の抗争に参加しているので、その言葉は何より重い。


「当時は生徒会やSDCを抑えてたから、どうにかなると過信してた部分もある。実際そこを抑えていただけで、学校と五分近くにやり合えていた。ただ一般生徒の支持も何も関係なく行動してたから、盛り上がりも何も無くあっさりと鎮圧された」

「生徒会を抑えられている今は?」

「それは痛いが、一般の生徒の支持を受けてる。当時は支持を得る前に潰されたし、一般生徒を巻き込むのは危険すぎるという判断もあった。物理的な危険もだし、暴走する可能性もあった。この間のように」

 その言葉にこめかみを抑え、小さく頷く。

 しかし彼らの指示なくして、私達の存在も無い。

 かつては自分達だけでという思いもあったが、今は違う。

 私達は突出した存在ではなく、今は彼らの総意を代弁しているんだと思う。




 「生徒会は抑えられてるが、それ以外の組織はこちら側。その生徒会でも自警局はこちらが抑えている。ガーディアンがいる以上、物理的にはこちらが圧倒的に優位だ」

「相手が警備員でも?」

「群集を抑えるのは慣れていても、組織戦はまた別。何よりこちらには地の利がある」

 学内での大規模な戦闘を想定した発言。

 つまりは、そういう覚悟も必要か。


 それにはモトちゃんの顔が曇るが、小坂さんは構わず続ける。

「向こうはおそらく警官の導入も視野に入れているだろう。それに対する備えは」

「特には。第一警官相手にだと、ガーディアンでは荷が重過ぎます」

「そのための俺達であり、名雲達だ」

「逮捕される可能性もあるんですよ」

「それがどうした」

 平然と尋ね返す小阪さん。

 モトちゃんはため息交じりに首を振り、乱れた前髪を整えながら上目遣いで彼を見た。

「そういう事をする為に残ったんですか」

「ためではないが、必要ならためらいはしない。お前達の先輩達を、俺はこの目で見てきた。その行動も、覚悟もな」

「自暴自棄になるのは無意味だという教訓を得たんではないんですか」

「ヒーロー願望があると思ってくれ。それと俺達は指示系統に組み込まなくていい。逮捕された場合、共謀罪や教唆に問われる可能性もある」

「本気ですか」

「冗談を言っても仕方ない。2年間何も無く過ごしてきた分、少し発散してもいいだろ」

「馬鹿らしい」

 そう呟き鼻を鳴らす伊藤さん。


 渡り鳥と傭兵。

 立場上、彼の気持ちを一番理解出来るのは彼女。

 ただ、決して共感は呼ばなかったようだ。

「そんな事に、真理依や映未を巻き込む気」

「参加するのは名雲と柳だけでいい。その二人も強制はしないし、こちらから申し出る気も無い。ただ、俺は契約に基づいて行動するだけだ」

「契約は、この建物を死守する事じゃないの」

「違うな。俺が屋神さんから最後に言われたのは、後輩を頼むという事だ」

 静かに語る小坂さん。

 彼の言う後輩は、間違いなく私達の事。

 彼との接点は少なく、出会った回数も限られている。

 それでも彼は後輩という言葉を使う。

 私達を後輩と呼んでくれる。

 もしかすると、今この学校に通う全ての生徒に対しても。

「どちらにしろ、賢くは無いわね」

「傭兵とすれば、そうかもな」

「草薙高校の生徒としての発言?らしくないわね」

 おかしそうに笑い、口元を緩める伊藤さん。

 彼女が笑ったのを見たのは、もしかすると初めてかもしれない。


 そのくらい意外で、彼女に笑顔を浮かばせるだけの発言。

 小坂さんの強い思いを、私達も受け止める必要がある。

 ただ彼に頼るだけではなく、それに応えられるだけの存在になるという。

 それこそが、後を託された私達の役割でもある。

「好きにして。私には関係ないから」

「好きにするさ」

「じゃあ、また」

 素っ気無く呟き、振り返りもせずに立ち去る白鳥さん。

 ただ彼女は最後に、「また」と言っていた。

 それがいつを意味するのかは分からない。



 暗くなる前に旧クラブハウスから一般教棟へと戻り、事なきを得る。

 しかしここはいつも気味が悪いというか、この雰囲気だけで人を寄せ付けないものがあるな。

 ただしかなり土地を無駄にしているのは間違いなく、有効利用を考える必要はあるはず。

 少なくとも廃材の置き場所には惜しいし、不良をたまらせておく場所でもないと思う。

 借地権を手に入れたせいか、思考が多少変わって来たかも知れないな。

 休日の夕方前とあって学内に生徒の姿は殆ど無く、以前は見かけていた生徒会関係者も見当たらない。

 見かけるのは出入りの業者と警備員くらい。

 後はわずかなクラブ生と、自分達か。


「へろー」

 夕方にへろーは無いだろうと思いつつ振り返ると、なぜかスコップを手にした池上さんがいた。

 彼女が持っているのは小さな園芸用のだが、後ろにいる名雲さんは土木現場で使いそうなのを。

「何してるの」

「卒業記念に、植樹でもしようと思って」

「渡り鳥には、そういう習慣があるの?」

「全然。昨日、TVで観た」

 なんだ、それ。

 悪い事ではないと思うが、ここは学校でつまりは他人の土地。

 勝手に植えるのはどうなんだろうか。

 いや。他人の土地ではなかったな。

「この辺りは、誰の土地になるの」

「一般教棟のJ棟までは、借地の範囲内よ」

「じゃあ、植えていいのかな」

「誰の土地だろうと植えればいいのよ」

 良くないよ。 


 てっきりこの借地権の事があるから、植樹という話もしているんだと思っていた。

 それとも彼女は彼女なりに、寂しさを紛らわせようとしているのだろうか。

「植えるって、何を」

「大きくなりそうなのを探したんだけと、手入れが面倒そうだから放っておいても育ちそうなのにした」


「掘るのは楽じゃないんだぞ」

 名雲さんの呟きには一切反応しない池上さん。

 彼はため息混じりにスコップを担ぎ、近くの街路樹へ向かって歩き出した。

「え。そんな所に掘るの?」

「日辺りがいいだろ」

「いいけど、目立つよ」

「たくさんの人に見られて幸せだ」

 なんか疲れてそうだな、この人。



 という訳で穴掘りは違う人に任せてみる。

「タイムカプセルでも埋める気か」

 鼻で笑うケイ。

 確かにどう見ても掘り過ぎて、私一人くらい埋まりそうな深さ。

 本当、放っておくと地球の裏側まで彫りそうだな。

「戻して、戻して」

「ああ」

 文句も言わず、黙々と土を戻すショウ。

 どうして俺がとか、嫌だとかは全く口にもしない。

 やらせる私達も私達だが、つくづく損をする生き方だな。

「汗出てるよ」

 私に出来るのは、そんな彼に尽くす事くらい。 

 穴は掘れないが、汗をぬぐうくらいはどうにか出来る。

「持ってきた。……死体でも埋める気か」

 これでも半分は埋め戻したとは言わず、舞地さんが手に提げているビニール袋の中身を覗く。


 花の種と、少しの苗木。

 柳君の方は肥料と苗木。

 ただこういうのは専門では無いので、口を出しようもない。

「適当に植えればいいの?」

「一応土壌にあった物を植えるといいんだけどね。その辺は肥料で調整すれば何とかなると思うよ」

 センサーを土の中に差し入れ、肥料の説明書きを読む木之本君。

 どうでもいいけど、かなり目立ってないか。これは。

「とりあえず、肥料と土を混ぜようか」

「それって、掘り直すって事」

「無理してやらなくてもいいんだけどね」

「やるよ、この子はやる子だよ」

 無責任に言い放ち、ショウの肩を叩くヒカル。

 叩かれた彼はため息を付き、それでも黙々と土を掻き出し始めた。

「本当にこれって育つのかな」

「春休み中、観察すればいいじゃない。自由研究にもなるわよ」

 なにやら怖い事を言い出すサトミ。

 しかもすでにカメラで撮影を始めてるし、決して冗談で言ってる訳では無さそうだ。


「まあ、そう遠くないからいいけどね」

 重くなった気分を振り払うように背伸びをすると、池上さんが目に入った。

 彼女は花の種を手の平に落とし、それを無造作に街路樹の周りへと振りまいている。

 植える訳でもなく、この場所のように肥料を混ぜる事も無い。

 ただ種を蒔き続け、そのまま歩いていく。

「埋めなくていいの」

「育つ子は、放っておいても育つのよ」

「育たなかったらどうするの」

「雑草だって育ってるんだし、花だって育つでしょ」

 かなり強引な論理。

 ただ彼女の言葉の意味。

 重さは少しは理解出来る気もする。


 彼女は種を蒔く。

 それには何も手を加えはしない。

 そしてその中から、いつか花開くものも現れる。

 彼女がそれを見る時は訪れなくても、花はきっと咲く。

 その願いを込めて、彼女は今まで過ごしてきたのかもしれない。

「僕も、咲く時を見られるのかな」

「あなたはもう咲いてるじゃない」

「そう?」

「そうよ」 

 朗らかに笑う池上さん。 

 彼女に向かってはにかみつつ頷く柳君。


 そこにかつての影は無く、あどけないが明るくきらめく少年が一人いる。 

 彼が渡り鳥としての生活を続けていたら、この笑顔が生まれていたかは分からない。

 でもこの学校に通い続け、彼が影を払拭していったのは間違いない。

 彼という花は咲いた。 

 だから、まだ咲き誇る花もあるはずだ。


「……何してるの」

「ハーブを植えてる」

 舞地さんが植えているのはキャットニップ。

 これの実力は我が家でも実証済みで、下手をしたら名古屋中の猫が集まってくる。

「卒業するんだし、猫はもう良いでしょ。大学に植えてきたら」

「え」

「何よ。えっ、て。もしかして、考えても無かった?」

「冗談じゃない」

 何が冗談かは知らないし、抜こうとしないでよね。

 こういうところは本当にお嬢様というか、世慣れてないな。


「それで、大学生活を送れるの」

「子供でも高校生になれるんだ。問題ない」

「そうですか」

 こうして軽口を叩き合えるのも後わずか。

 それでも彼女達とは、学校以外で出会う事は出来る。

 でも、ショウと一緒に穴を掘っている名雲さんとは春になればもう会えない。

 モトちゃんが何も言わず名雲さんの側から離れないのは痛い程分かる。

 それは来年のショウにも言える事。

 いつまでも一緒に、同じ時を過ごす事は出来はしない。




 だからこうした一瞬も貴重な思い出。

 大切な瞬間。

 夕日に包まれ赤く染まるみんなの姿。

 子供のようにはしゃぎ、穴を掘って、目を輝かせ。

 いつまでもは続かない。

 いつかは終わりを告げる時。

 だからこそこの瞬間は大切な宝物になる。













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