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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第32話
363/596

エピソード(外伝) 32-4   ~舞地さん視点~






     先輩  4



 翌日。

 痛みと共に目が覚める。

 枕元に置いてあった鎮痛剤を口に入れ、ペットボトルのお茶で流し込む。

 比較的即効性があり、多少のだるさはあるが痛みに苦しみ続けるよりはましだろう。


「おはようー。気持の良い朝ね」

 ハイテンションでカーテンを開ける映未。

 昨日から泊り込んで色々世話を焼いてくれるのは良いが、朝は静かにして欲しい。

 などと言う気力も無く、布団に包まり目を閉じる。

 まだ少し熱もあるのか、思考もあまり働かない。

 今日から自分がどうなるのか、今は考えたくも無い。

「パン?ご飯?それとも、私?」

 自分で言って、自分で笑う映未。

 とても付き合ってられず、また眠気も多少薄れたようだ。


 TVをつけてローカルニュースを眺めていると、着替えが膝の上にそっと置かれた。

「学校に行くわよ」

「今日はさすがに、休んでも良いだろう」

「執行委員会からの呼び出し。欠席は処分内容を受け入れるのと同等ですって」

 性質の悪い冗談。

 いや。現実か。


 TVに映る、季節外れの餅つきをやっている子供達。

 また彼等に季節や理由は関係ない。

 今感じている楽しみ喜びが、その全て。

 将来やその先を小賢しく考えるのではなく、今という時を大切に生きている。

 無論子供達が、それを意識してやっている訳でも無いだろうが。

 なんにしろ、このくらいの時期が一番楽しいのかもしれない。

「お餅が食べたいの?」

「いや。パンで良い」

 すぐに差し出される、バターの塗られた食パン。

 風味から言って、パンは手作りか。

「昔、爆発しなかったか」

「イーストの発酵具合を間違えてね。あなた、頭に当たったじゃない」

 おにぎりを食べ、何とも楽しそうに笑う映未。 

 これも今でこそ笑い話だが、あの時は一瞬意識が飛んだ。

 しばらくはパンを見るのも嫌だったくらいだ。

「最近、昔話が多いわね」

「そういう年なんだ」

「怖い事言わないで。タクシー呼ぶから、支度を済ませてて」




 学校の正門までタクシーで乗りつけ、松葉杖を付いて外へ降りる。

 別段身が引き締まる思いは無く、痛みが全身を走るだけ。

 映未が肩から大きなコートを掛けてくれ、そのぬくもりに包まれる。

「歩ける?」

「そこまで重傷じゃない」

 そう言いつつ、一歩一歩喘ぎながら前に出る。

 痛みに慣れてしまえば走るくらいは出来そうだが、逆にそれまでは手足を動かすだけでも辛い。

 これでも鎮痛剤が効いているので、もしそれが切れたらどうなるかは考えたくも無い。

「何か、揉めてるわよ」

 楽しそうな口調。

 優しげな眼差し。

 視線の先には、思った通り雪野がいた。

 とはいえ今は彼女が主体ではなく、彼女の回りにいる人間が揉めている様子。

 どうやら、彼女をかばっているようだ。

「人望があるじゃない」

「どうかな」

 人に好かれるタイプなのは認めるが、人望と呼ぶものなのかは疑わしい。

 どちらかといえば可愛がられるタイプ、マスコットだろう。

「放っておくの?」

「人に構う余裕は無い」

 無関心を装う訳ではなく、実際歩くだけで汗が出てくる。

 今は少しでも早く休みたいだけで、余計な事には関わりたくない。

 大体こうなった原因は雪野で、あの子に関わるとろくな事は無い。

 近付いてきた生徒を一喝して追い払い、揉め事に関わりたそう映未を先に行かせる。



 通り抜けようとした私を取り囲む生徒達。

 しかし敵意は感じられず、むしろ守られている安心感が先に立つ。

 視線の先には、雪野がいて私を囲むよう指示を出している。

「おい」

「私より重傷でしょ。それで、制服がどうしたっって」

 なんか、一気に疲れてきた。

 私も、人に面倒を見られる側に回ってきたのか。

 いや。それは生まれてからずっとという気もするが。


 しかし雪野一人で全員を相手には出来ず、何人かが制服片手にこっちへと近付いてきた。

 身を固くする、私を守ってくれる生徒達。

 彼女達をそっと下げ、痛みを堪えて前に出る。

「制服を…………」

「何」

 不機嫌さを隠す気も無く、敵意剥き出して睨み返す。 

 これ以上何か言うようなら、今の自分と同じ目に遭わせたいくらいの気分。

 実際今は、何の歯止めも聞かないだろう。

 顔を青くして下がっていくグループ。

 そこから一歩でも前に出れば、間違いなくこの杖を振るう。

「用がないなら呼び止めるなと言った。言葉の通じない奴から掛かってこい」

 そう吐き捨て、足を引きずりながら正門をくぐる。

 後ろでは改めて雪野が揉めているが、もう振り返る気力も無い。

 いっそ、昨日の時点で退学させた方が良かったな。



 久しぶりに直属班のオフィスへ戻り、ソファーに寝転び丸くなる。

 私が何をやったか、この怪我の原因は何か。

 その怪我をおしてまで、何故学校に来ているか。

 この部屋にいる全員は理解している。

 そして、何も言おうとはしない。

 私への信頼。

 もしかすると、敬意も含まれているのかもしれない。

「査問よ、査問。サーモンじゃないわよ」

 妙に下らない事を言って、場の空気を凍りつかせる映未。

 仮に思い浮かんでも、普通は口にしないと思う。

「なんですか、それ」

 さすがに突っ込みを入れる、小柄な女の子。

 映未は彼女の頭を撫でて、私に向かって手を振った。

「真理依と会えるのも、今日で最後かもしれないのよ。今の内に名残を惜しんだら」

「でも、卒業まであと二ヶ月ですよね。あまり差が無いような気もするんですが」

「冷たい子ね。でも、そこが良いところ」

 雪野の言う「うしゃうしゃ」した笑い声を上げ、卓上端末と睨み合う映未。

 ただ査問といっても私一人はなく、映未達3人も召喚されている。

 それでも浮かれるのは、元々そういう場が好きなせいだろう。

 名雲や司が格闘において血をたぎらせるのと同様に、彼女は議論や策を練る事に生きがいを感じる。 

 ただ問題は、この査問に勝算があるかどうか。

 雪野との約束は守りたいが、私が頑張ってどうにかなるという事でもない。


「査問だってよ。サーモンじゃないぞ」

 一斉に投げられるペンやノート。

 名雲はそれを避け、机の上にあった得体の知れないお菓子を食べだした。

「まずいな、これ」

「運営企画局から流れてきたの。ほら、あのばさばさした髪の女の子。メーカーの売れ残りですって」

「ちゃんとした物をもってこいよな。なんだよ、ナスナックって」

 文句を言いつつ、ナスのスナックを食べ進める名雲。

 しかし、どうして運営企画局が持ってきたんだろうか。

 直接の面識は殆どないし、部門も違う。

 今回の件と、何か関係があるのかもしれない。

「持ってきたのは」

「まだいるわよ。隣の部屋で待ってる」

「呼んでくれ」


 隠すつもりも無いが、全員に負担を与える必要も無い。

 という訳で隊長室に招きいれ、ソファーに横たわって天満を見上げる。

 彼女は寝たままの自分に好意的な視線を向け、毛布の上からそっと撫でてきた。

「私の先輩が、そんな感じだったのよ。病弱で、学校に来ても満足に動けない時もあったの」

「コンダクター。新妻だっか。妹がいるだろ」

「ええ。タイプは違うけれど。そう考えると、時は流れている訳よ」

 しみじみと呟く天満。

 外見では雑な性格に見えるが、意外と繊細なタイプなんだろうか。

「どうでもいいじゃない。もういないんだし」

「冷たいわね、随分」

「水葉も茜さんも、みんないなくなったのよ。勿論、美貴さんも。私達を置いて」 

 切なげに呟く中川。

 と思ったら、すごい目付きでこちらを睨みつけてきた。 

 確か沙紀の従兄弟で、そう考えれば仮想敵と想定してもおかしくは無いか。

 しかしそれは私も譲れず、キャップの鍔を上げて視線を真正面から受け止める。

 大事なのは共に過ごした長さではなく、その思い。

「あまり時間もないため、その辺で」

 柔らかく私達を制する大山。 

 その後ろでは、塩田が苦笑気味の表情を浮かべている。 

 かつて学校と戦った、いわば草薙高校の英雄か。


「何かと迷惑を掛けたようだな」

「別に、迷惑は」

「雪野達の事だ。一応は俺も先輩だし、あいつらの後見人でもある。学校とのトラブルも、俺達が張本人だ」

 そういう意味か。

 ただやはり謝られるような事ではなく、自分の意志でやった事。

 彼等が自分の達の先輩に謝られても困るのと似たようなものだと思う。

「私達は一応執行委員会の構成員だから、査問会でも発言権はある。最悪の事態は避けるよう、努力するわ」

「ただし立場が立場だから、過度な期待はしないで。退学させられる大本命は私達だもの」

 面白くなさそうに笑う、天満と中川。

 先輩達の敗北を目の当たりにして、後を託され。

 全ての矢面に立ち、それでも彼女達は学校に留まり卒業を迎える。

 無念、慚愧、後悔。

 それらを胸に秘め、卒業する。


「雪野達で大丈夫だと思ってるのか。自分達で、決着を付けようとは」

「それはない。敗者復活って考え方もあるが、俺達にそんな資格もない」

「自分で決める事なのか」

「さあな。大体俺達に任せたら、また特別教棟に突っ込むのがオチだ」

 鼻先で笑う塩田。

 管理案はそれで廃案になるだろう。

 しかし、根本的な解決には至らない。

 だからこそ彼等は雪野達に後を託した。

 長い時が必要だと判断して。

 自分達が卒業してもいいように。

 もしかすれば、雪野達が卒業した後も見据えて。


 塩田は苦笑して、私の体を指さした。

「なんだかんだと言っても、後輩は育ってきてる。それは実感しただろ」

 包帯、ガーゼ、三角巾、松葉杖。

 後輩の成長した結果がこれだ。

 だったら、その責任は誰が取る。

「睨むな。大体、その程度で済んで助かったと思えよな」

「真理依は、大怪我してるじゃない」 

 さすがに怒り気味の口調で問い返す映未。 

 塩田は黙って壁に手を添え、膝を落として腰を回した。


 音もなく砕ける壁。

 床に舞い落ちる破片。

 相手は壁だから、文句は言わない。 

 ただ人間でも、文句を言わず床に倒れるだけだ。

「見た感じ、直接的な打撃は殆ど無い。肘も、関節を取られたんだろ」

「ああ」

「あいつは基本的に打撃系。今みたいに、密着した状態でも十分にダメージを与えられる。威力は、今くらいのレベルじゃないぞ」

「冗談でしょ」

 壁には大きな穴が穿たれ、破片が今も舞い落ちる。

 何が冗談かは、私もあまり知りたくはない。

「手加減した訳じゃなくて、一瞬で勝負を決めるつもりだったはずだ。今は目が悪いからな」

「それに助けられたって?雪ちゃんよ、雪ちゃん。あの子供が?」

「あいつをおもちゃ扱いするのは勝手だけどな。俺から言わせると、手榴弾でお手玉してるようなもんだ」



 何となく青白い顔の映未。

 これから行われる査問会に対しての緊張より、さっきの話を引きずっているらしい。

 普段の雪野は確かに小さい子供だが、中身は塩田が言った通り虎か狼。

 今頃になって、それを知ったらしい。

「全員揃っているようですので、ただ今より聴聞会を開始します」 

 淡々と開始を告げる傭兵の女の子。

 小牧といったか、確か。

「議題は、執行委員会の指示を無視した行動について。対象は、舞地真理依以下4名」

 査問されるのは私達4名。

 召還した側は、執行委員会。自警局、保安部。そして何故か、学校の職員。

 何かあれば私達を退学させるというプレッシャーか。


「ご意見のある方は」

 ゆっくりと手を挙げる委員長。

 珍しく表情が無く、事務的に私達が命令違反を犯したと告げていく。

「これに対する罰則はどうなってますか」

「ガーディアンの解任。必然的に、隊長の解任も含まれます」

 静かに報告する矢田。

 これなら私達を呼ばずに、決定だけを伝えてくれれば済んだ話。

「では、それでよろしいでしょうか」

「退学させたらどうだ」

 笑い気味に提案する金髪の傭兵。

 賛同の声は上がらないが、否定する声もない。

「その根拠は」

「ガーディアン隊長としての立場の私的利用。職務放棄。一般生徒への影響を考えれば、責任を取るのも当然だろう」

「そういった例は、一昨年度にもありました」

 書類に視線を落としながら指摘する職員。


 一昨年度といえば、屋神達が学校と戦っていた時期。

 それを逆に利用してきたか。

「退学については生徒会の権限を越えますが、意見を付託する事は可能です。どなたか、ご意見は」

「反対」

「断固反対。職員引っ込め」

 ストレートに声を上げる、中川と天満。

 それには職員も顔を赤くして彼女達を睨み付ける。

「わ、私はあくまでもアドバイザーとして」

「都合の良いように利用されてるだけじゃない」

「職員引っ込め」

 それはもういいんだ。

 大体、これは私達の支援になってるのか?



「ご静粛に。舞地さん達から、弁明はありますか。…………どうぞ」

 一礼して立ち上がる映未。

 彼女は前髪を横へ流し、室内を見渡して自分の間を作った。

「まず退学は論外で、受け入れられません。我々は不測の事態を考慮し教棟をロックアウトしただけで、建物一般生徒共に被害は出ていません。また舞地を隊長に据えたのは執行委員会の意向であり、彼女が希望した物ではありません。私達を退学にするというのなら、彼女を隊長に据えた理由。前隊長を据えた理由、即座に解任した理由を明確にして下さい」

 書類に視線を落とし、口を閉ざす職員。

 執行委員会側からの発言はなく、沈黙が室内を支配する。

「また退学についてはここではなく、教職員会議もしくは理事会でお話下さい。そこで決定があった際、改めて抗議させて頂きます」

「一応申しておきますと、内々の話し合いでは退学という方向が出ています」

 書類に視線を落としたまま話す職員。

 意外な発言にも映未は動じず、両手を机に付いてゆっくりと立ち上がった。

「では正式な書面での回答を要求します。それとも、この場の勢いで私達を自主退学させるとでも」

「退学というのは決定事項でして。私からは、なんとも」

「責任者を連れて来て下さい。それとも、こちらから」

 軽く叩かれる机。

 それを合図とするようにドアが開き、赤いスーツ姿の女が入ってくる。

 気品と威厳。

 人を従わせる事に慣れた、またそれを担うだけの自信に溢れた態度。



「報告書は受け取ったわ。個人的な話には口を出さないつもりだったんだけど、一言いいかしら」

「誰」

「馬鹿、理事長よ」

 小声で怒ってくる映未。

 そういえば、この前会ったばかりか。

 普段はもう少し穏やかというか大らかな雰囲気を漂わせているけれど、出るところに出れば化けるらしい。

「この案件を扱ったのは誰」

「その。学校問題担当理事です」

 書類に視線を通したまま答える職員。

 先程までの無関心な態度というよりは、明らかに理事長を避ける態度。

 役職を考えれば当然で、また人間的にもおそらく一生掛かっても彼が上回る事は無いだろう。

「学内を混乱させたのは確かで、また混乱を生じると理解しつつそれを静観した。罰するには十分ね」

「その通りです」

 狡猾そうな顔を見せる職員。

 理事長は醒めた笑顔を浮かべ、ハイヒールの靴音を鳴らしながら私達の前へとやってきた。


「随分ご活躍のようね。でも、生徒は勉強さえしてればいいの。転入手続きの時、そう聞かなかった?」

「伺いました」

「で、教棟のロックアウト。学内での乱闘。それに伴う学内の混乱。そうなると分かっていて、それを静観した罪はどう思ってるの」

「私達を罰するというのなら、この策謀を仕組んだ人間はどうなります」

「それはあなた達には関係ない事よ」

 強く押し切る理事長。

 しかし映未も、この程度で引き下がりはしない。

「言わせて頂きますと、そうした自衛策をとらざるを得ない現在の学内状況が問題なのではないでしょうか。それを看過している学校上層部が。勉強に集中させる目的で規則改正をしたと仰っていますが、一部生徒に権限が集中し乱用しそれを妨げています」

「勉強はどういう環境でも出来る。戦争中でも、学校は存在したのよ」

「誰も、大昔の話はしてません。私は、今の話をしてるんです」

 真っ向から刃向かう映未。

 それには理事長も眉をひそめ、机に両手をついて彼女を睨み付けた。


「私は、この学校の最高責任者なの。私が不的確と判断すれば、誰だろうと退学にさせられるのよ。それを分かってる?」

「個別の要件には口を挟まないのでは。大体前回の混乱にしても、最後まで傍観してたのは誰ですか」

「口が減らないわね」

「質問に答えて下さい」

 二人の間に飛び散る火花。 

 緊張感はピークに達し、今すぐ殴り合いが始めても驚く者はいないだろう。

 また、それを止められる勇気がある者もいないはずだ。

「そんな退学になりたい訳」

「明確な理由と、その根拠となる規則を上げて下さい」

「私の権限で処分出来るといったわよ。ここは、私の学校なんだから」

 これにはさすがに映未も反論は出来ない。 

 また、反論する事でもない。



「異議はないようね。では、結論から言う。退学は取り消し、停学も必要なし」

 今までの流れを断ち切るような言葉。 

 さすがに映未も戸惑いの表情を浮かべる中、理事長は腕を組んで私の顔を覗き込んできた。

「草薙グループ理事長として、教育庁に申請を出す。あなた達4人の、大学卒業資格の取り消しを」

「は」

 声を裏返す映未。

 でもって席を立ち上がり、改めて机を叩き出した。

「あ、あのね。資格取り消しってそんな簡単に」

「異議は認めない。ここは高校なんだから、別に困らないでしょ」

「大学は真面目に通えって事ですか」

「そのくらいの罰は当然じゃない。4年間、勉学に励みなさい」

 明るく、意地の悪い笑顔。

 今すぐここで暴れて退学になった方が、余程ましかも知れないな。

「舞地さんは、何かご不満でも」

「いえ、別に」

「なら結構。他に意見は」

 私達は無論、執行委員会からも発言は無し。

 特に委員長は表情一つ変えようとしない。

 こういう展開を、あらかじめ予想していたという訳か。 

 もしくは、両者の間で取引があったと考える方が正しいかも知れない。

 それが私達にとって。

 いや。雪野達にとってどう働くのか、今しばらく見守る必要があるだろう。

「では、これで解散。職員は全員、今すぐ理事長室へ来るように」




 大学卒業資格取り消し。

 理事長の言った通り、別に困る事はない。

 真面目に4年間大学に通う、という部分を除いては。

「参ったわね」

 私達に与えられた控え室で、紅茶片手にため息を付く映未。

 ただあの時戸惑いはしたが、驚いたという程でもない。

 何らかの想定はしていたと考えるのが妥当。

 あらゆる可能性を考えるのが参謀であり、予想外でしたでは務まらない。

「俺は別に困らんぞ」

 至って気楽そうな名雲。

 裏切り者一人発見。

 彼は軍の士官学校へ進むので、卒業資格があってもなくても学校を卒業するまでは真面目に通う必要がある。

 無理矢理にでも通わされると言うべきか。

「僕も、別に。学校好きだよ」

 裏切り者二人発見。

 ただ司はプロ格闘家としての進路もあるため、勉強との両立は大変かも知れない。

 卒業資格を取得出来るくらいなので、ついて行けないという事は無いだろうが。


「やあ。大変だったね」

 珍しく、上機嫌で現れる沢。

 でもって司と軽く拳を重ね合い、薄く微笑んだ。

「屋上は寒かったよ」

「ああ、昨日の」

 屋上に待機していた保安部や傭兵を食い止めたのは、彼と沢。

 だからこそ私と雪野は、二人だけの戦いの場を与えられた。

「それにしても、卒業資格取り消しか。大変だね」

 待てよ。

 教育庁に申請すると理事長は言っていたが、目の前にいる男は誰だ。

 教育庁の、若きエリート官僚ではなかったか。


 私の視線を察してか、沢は今まで見た事もない朗らかな笑顔を向けてきた。

「ああ。資格取り消しの申請を受け取った。後で天崎さんと協議して、本庁に送る」

「君が黒幕な訳」

「言い方が悪いな。穏便に済ますための手段だよ。高校卒業資格を剥奪されたら、雪野さんとの約束も守れないだろ」

 やけに楽しそうな沢。

 積年の恨みをここで晴らす気か。

「本当、大変だね」

 もういいんだ、それは。

 警棒って、どこにしまったかな。

「後の処理は、僕でしておくよ。君達は、もう帰って良いから」

「処理って、私達の処分か」

「言い方は色々だね。せいぜい養生してよ」




 言われなくても体は休める。

 というか、休む以外に何も出来ない。

 直属班のオフィスで横になり、ぼんやりと天井を見て過ごす。

「卒業って、いつ」

「3月よ、3月。分かってる?」

 全然分かってないし、今まで気にもしなかった。

 あれ、卒業って9月じゃ。

「北米は、9月の所もあるわよ」

 聞く前に教えてくれた。

 3月か。

「3月って、もうすぐ?」

 答えもしない映未。

 そんなに変な事を聞いたかな。

「疲れた。少し寝る」

「一生寝てなさい」



 眠りに入る手前で、足音に意識を呼び起こされる。

 目の前を、忙しそうに行き来する直属班のガーディアン達。

 どうやら、トラブルの応援を要請されたらしい。

「名雲達は」

「行ってもらってます」

 プロテクターを装着しながら答える、細身の男の子。

 私も一応起き上がり、卓上端末でデータを確認する。

 H棟の隊長。

 正確には、前隊長が銃を持って部屋に立てこもっているとある。

「外から鍵を掛けて、放っておけば良いんじゃないのか」

「そういう意見もあったんですけどね。さすがに、ちょっと」

「生真面目な話だ」

「ちなみに放っておけば良いと言ったのは、浦田君です」

 前言撤回。

 断固として叩きのめし、追い出すべきだ。

「浦田を拘束して

「え」

「……いや、何でもない。私も一応現場に行く」



 急ぎはせず、杖を頼りにゆっくりと向かう。

 その間に収束すれば良し。

 しなくても、様子を見るくらいは問題ないだろう。

「急ぎますか」

「このペースで良い」

「了解」

 私を先導する渡瀬。

 体型は小柄だが、その実力はガーディアンでもトップクラス。

「沙紀は」

「すでに向かっています。雪野さん達も」

 彼女が付いているのは、沙紀が私を心配しての事。

 どうも、あちこちに迷惑を掛けているようだ。

「雪野さんと戦ったと聞いてますが」

「負けた」

「仕方ないですよ。多分、今あの人に勝てるのは玲阿君くらいだと思います」

 意外に冷静な事を言ってくる渡瀬。

 日頃は雪野並に落ち着きがない分、そのギャップに少し戸惑う。


「お前はどうなんだ」

「今は無理ですね。でも、一生勝てないって事でもないですから」

 割り切った。

 いや、前向きな思考。

 誰もがこうであればいいと思える、明るい道を歩いている存在。

「舞地さんも、一生勝てないって考えるタイプですか?」

 何も考えてなかった。

 とは答えず、傷が痛む振りをして適当に誤魔化す。

 ただ渡瀬も答えを待っていた訳では無いらしく、歩く速度を少し早めた。

「付けられてますね」

 全然気付いていなかった。

 自分が弱くなってるのか、集中力が途切れているのか。

 この状態で神経を研ぎ澄ませろと言われても、少し困るが。


「面倒ですし、応援を呼びましょう」

「応援?」

「…………ええ、後ろ。…………そう、お願い」

 そう、の辺りで聞こえる悲鳴。

 振り向くと、木刀を持った集団が床に倒れていた。

 その集団を、文字通り積み上げているのは御剣。

 私も、後輩に守られるような立場にまでなってしまったか。

「後は放っておいても逃げていきます。現場は、すぐそこですが」

「一旦休む。状況を」

「了解。…………渡瀬です。…………はい。…………分かりました。…………以前として立てこもったまま。部屋にガスを撒いているとの情報もあります」

「沢を呼べ。それと、ガーディアンは全員下がらせろ。多分、対応出来ない」

 単なる格闘戦なら、ガーディアンが傭兵に後れをとる事はない。

 ただ特殊な武器を使用された場合。

 犯罪まがいの手段を使われた場合は異なってくる。

 こうした、大規模な破壊活動に対しても。




 現場で指揮を執っていたのは沙紀。

 彼女にデータを見せてもらい、見取り図と睨み合っている映未を呼び寄せる。

「ガーディアンは下げさせて、私達と沢で片付ける」

「それが妥当ね」

「助かった」

「お前は囮だ」

 逃げ出そうとする浦田の襟首を掴む名雲。

「どうすれば。…………いや、いい。ガーディアンは全員下げて、私達だけで対処する」

「だから下がるんでしょ」

「達と言った」

 映未達。

 そして雪野達を見渡し、彼等を一人一人見ていく。

 その言葉に異議を唱える者はいない。

 力不足の者も。

 だからこそこの場に駆けつけ、私も残すと決めた。

「ライフラインは」

「全てカット済み。ネットワークも遮断しています」

 すぐに答える遠野。

 彼女に軽く頷き、まだ文句を言っている浦田を呼び寄せる。

「囮なんて、やりませんよ。銃と言ってもこの学校のおもちゃじゃなくて、壁に穴が空くような奴ですから」

「じゃあ、盾を持っていけ」

 立てこもっているのは、出入り口が二つしかない普通の教室。

 反対側の壁に窓はなく、通気口も人が入れる幅ではない。

「もう、知らんからな」


 盾を左に構え、一気に走り出す浦田。

 するとドアがわずかに開き、銃口がそこから覗く。

 無音で発射される弾。

 横へよろめく浦田。

 それでもどうにか、反対側にまで辿り着いた。

「一人だな」

 小声で呟く名雲。

「銃口は一つ。この状況でも、バックアップなし。目撃情報も、奴一人。何より協力する理由も無い。…………浦田、弾は」

「一つだけ、盾にめり込んでます」

「連射は大した速度じゃない。戻って来い」

「この」


 それでも言われた通りに戻ってくる浦田。

 今度は射撃ではなく、ボールが彼の足元に転がり大爆発をした。

 いや。建物の中なので威力を大きく感じただけで、実際は少し勢いのある花火といったようなものだが。

「使い切るまでこれをやるつもりじゃないでしょうね」

「駄目かしら」 

 ころころと笑い、焦げている浦田の足元に視線を向ける映未。

 少しすすが付いている程度で、やはりそれ程の危険性は無い。

「小出しにしてるって訳でもなさそうだし、そのガスだけでしょ。データは?」

「ガスというより、ガソリンでしょうか。距離と成分量を考えると、建物が吹き飛ぶとは言いませんが教室くらいは爆発しますよ」

 端末にデータを表示させ説明する木之本。

 ガソリンか。

 手に入りやすく、威力も申し分ない。

 私達は爆発よりも、暖をとるために使っていたが。


「通気口から、延焼防止用の薬剤を注入。スプリンクラーも作動させとけ。建物は、大丈夫なんだな」

「元々爆撃に耐えられる設計ですし、爆発物にも対処出来る作りです。ただ、中の人はちょっと」

 ここは言いよどむ木之本。

 建物の強度は問題ない。

 仮に中で爆発が起きても、外への被害は最小限で食い止められる。

 ただ、その爆発の現場にいる奴はどうなるか。

 当たり前だが、人間はそこまで頑丈には出来ていない。

「後が使いづらくなっても困るし、睡眠ガスでも流し込めば?」

「マスクをするんだ、こういうケースでは」

「準備周到と言いたいけど。助けも来ないのに立てこもっても仕方ないでしょう」

 鼻で笑い、壁に手を添える浦田。 


 そう。立てこもるのは、あくまでも助けが来るのを前提とした行動。

 でなければただ時間を無駄に過ごし、自分を追い込むだけで終わる。

「まさか、助けが来るってオチじゃ」

「廊下も教棟の周囲もガーディアンが囲ってるし、それはないわ。案外、自殺願望かな」

 ポツリと漏らす元野。

 彼女は相手の気持を理解しやすい性格。

 共感性、共応能力に優れている。

 それに推測力も備わっていて、彼女の人を見る目は大抵の場合で間違いはない。

「侵入するしかないな。突入は、俺と玲阿と柳。御剣と沢はバックアップ。服じゃなくてプロテクターに着替えて、延焼防止用の薬品を吹き付けろ。マスクも忘れるな」

 妥当な人選であり、また彼等以外に務められる者はいないだろう。

 私に至っては、自由に歩く事すらままならない。 

 それは、壁に背をもたれて目元を押さえている雪野も同様だろうが。

 この場に居合わせていて、だけど何の役にも立たない。

 意味のない、価値のない存在。

 人に守られるだけの、何も与えられない自分。



 それで問題なく物事が進むのなら、別に構わない。

 私が先頭に立つより、誰かに任せた方が上手く行くのならそれで。

 人には役割があり、出来る事と出来ない事がある。

 出来ない事を無理してやる必要はなく、だったら大人しくしていればそれでいい。

「雪野、大丈夫か」

「ん、ああ。これは癖。目は問題ない」

 特に落ち込んだ様子も無い口調。 

 今の自分の体調。

 蚊帳の外に置かれていると考えてもおかしくない状況。

 それでも彼女は気にした様子はなく、普段とそれ程変わらない態度を示している。

 私よりも現場に出て、そこで生きがいを見出すタイプのはず。 

 だけどここで何も出来ない自分を、必要以上に責めてはいない。

 元々そういう性格なのか、それとも成長ゆえの証なのか。

 それはそれで、人として十分に素晴らしい素質なんだと思う。

「下がるぞ」

「いや。私は残る。いざという時のために」 

 前言撤回。

 全然分かってないし、そこまで深い人間でもなかったらしい。

 さすが玲阿達と一緒に行くとは言わないが、突入する気は十分にあるようだ。

「燃えるんだぞ」

「プロテクターに、延焼剤を吹き付けるんでしょ」

「それは気休めだ。爆発すれば、延焼剤も何もない」

「爆発させないようにやってるんじゃないの」

 なかなか上手い事を言う。

 それとも、私が浅すぎるだけか。

舞地、雪野。下がれ」

「はいはいと」

 素直に後ろへ下がる雪野。

 あくまでも数歩。

 ドアから少しずれた位置に。

「そこでいいのか」

「いいよ」

「好きにしろ」

 説得を、あっさりと諦める名雲。

 第一言って聞く相手なら、誰も苦労はしていない。

 ただ人数は多い方がいいのは確かで、私も一応準備だけはしておくか。



 プロテクターを着用し、ドアの左右に張り付く名雲達。

 コンソールにコードが差し込まれ、そのコードは遠野の前にある卓上端末にまで伸びている。

「…………システム、制圧完了。キー解除、5秒前からカウントします」

「5、4、3、2.1。解除しました」

 元野の合図と同時に開くドア。

 中に閃光弾が放り込まれ、強い光が廊下に漏れ出てくる。

 それが収まりきらない内に突入する名雲達。

 ドアは即座に閉まり、内部の様子は彼等が付けているカメラの映像で確認出来る。

「拘束完了」

 卓上端末のスピーカーから聞こえる、名雲の声。

 画面にも、指錠を付けられたH棟前隊長の映像が映っている。

「ドア開放します。…………開放中止、システムカット」

 キーの上を素早く滑る遠野の指先。

 元野はそれをサポートし、木之本がドアへ向かう。

「何かが起動したようです。システムの一部から、わずかですが電流が供給されました。…………木之本君」

「システムは完全に止ってる。あくまでもスイッチを入れただけで、装置は別にあると思う」

「名雲さん」

「聞こえた。もう一度電源を入れるのはまずいのか。…………まずいみたいだ」

 画面に映る、ライトに照らされた青白い顔。

 隙を見て脱出し、私達にドアを開け閉めさせて爆発させるつもりだったのか。

 とりあえず自殺願望がないのは分かったが、万が一のケースもあまり考えてなかったらしい。


「構わん、強引にドアを開ける」

「慎重に。火花が散ると爆発する可能性もあります」

 やや固い表情で指摘する木之本。

 ドアと壁の接合部分にテスターが添えられ、小さくため息が漏れる。

「外部では、爆発する危険性は薄いです。中の濃度は?」

「アラームが、ピーピーうるさい」

「強引に開けるのはいいですが、絶対慎重に。スイッチが入らないよう、こちらでシステムは組み替えるようにします」

「任せる。全員ドアに取り付け。御剣達は、外から開けろ」

 強度に優れているというのは、逆を返せば脱出も難しい。

 どちらにしろ私にやれる事はなく、忙しそうに働くみんなを眺めるのがせいぜい。

 卒業まで残るよう雪野は言ったが、私がここにいて何か役に立つのだろうか。

 今まで、役に立ってきただろうか。

 その自信はあまりないし、この場にいても大して意味があるとは思えない。


「壁を壊せよ」

 笑い気味に呟く浦田。

 この壁は爆撃にも耐えられると、さっき言ってなかったか。

「天井でも床でもいいからさ。ドアを開けるのは、絶対に火花が出る。何しろ、金属製だから。でも、壁は鉄筋部分を避ければ問題ない」

「ドアよりも強度は高いのよ。爆発させたら、意味ないんだし」

「壁自体は、型枠でしょう。鉄筋を挟み込む形の。解体用の道具なり薬品を使えば、火花は出ませんよ」

 簡単に言う浦田。

 実際、その方法を取れば危険もなく中の人間を救出は出来る。

「壁を取り除きました。中の人も助け出しました。で、その後は誰が処理するの」

「そこは、それ。責任者に責任を取って頂かないと」

 これまで会った事は無いが、今ははっきりと確信出来る。

 悪魔の姿。

 その笑顔という奴を。



 天井と壁の交差する部分に散布される薬品。

 木之本が設計図を廊下に広げ、作業する者に散布する場所を指示している。

 単純に教室の壁をどかせば終わり。という事ではない。

 当たり前だが簡単には崩れないよう壁と床、そして鉄筋は入り組んで建築されている。 

 このフロア全体とは行かないまでも、上下のフロアまで壁を外す必要が出てきた。

「建て替えや補修用の作業工程もあるんですけど、その工具を使うと火花が出ますので」

「任せる」 

 それ以外に言い様はなく、すでに工事と呼べるくらいの規模になっている作業をただ眺める。

 壊せば終わり。後は知らぬ存ぜぬ。

 渡り鳥の頃はそれで済ませていて、その後建物がどうなったかなんて考えもしなかった。

 崩れ去ったのか、誰かが立て直したのか。

 こうして、作業をしたのか。

 本当、因果は巡るとは良く言った。


「…………何をしてるのかしら」

 笑顔。

 般若もかくやという顔で現れる理事長。

 学内でこれだけの作業。

 届出はしたが、さすがに規模が大きすぎた。

「中に閉じ込めらたせ生徒の救出です。道具が使えないので、多少大掛かりになってますが」

 しれっとした顔で答える遠野。

 理事長は額に手を当て、長くやるせないため息を付いた。

「もう、何も言わない。今は、言いたくもない。それで、責任者は誰」

「舞地さんです」 

 一切の迷いも逡巡もなく答える遠野。

 鬼はむしろ、こちらの方か。

「昨日の今日で、何してるの」

「私が命令した訳でもない。みんなが勝手に」

「その責任を取るのが、あなたなんでしょ。請求書は実家に回すわよ。それと、理事長室の壁が汚れてた」

「今すぐ手配します」

 愛想のいい笑顔で答える遠野。

 手配はいいけど、それは誰が支払うんだ。

「…………請求書は、実家によろしく」

「助かるわ。本当、早く卒業してよね」

 頭を抑え、しみじみと呟く理事長。

 出来る事なら、私だってそうしたい。



 動く壁。

 現れる幾つもの顔。 

 そこに駆け寄っていく仲間達。

 笑顔と笑い声。

 冬には似合わない、暖かな空気。 

 私がそれを作りだした訳ではなく、また守り通せるとは思えない。

 だけど、その手助けくらいは出来ると思う。 

 私にも出来る事が、一つや二つはあるだろう。

 それを思えば、ここの支払いも大した事ではない。

「…………真理依です。…………いえ、請求書をお送りしますので。…………済みませんが。…………ええ、いずれ」

 たまの通話が、金の無心。

 これでは家に帰れないのも仕方ない。

 本当に、我ながら何をやってるのかと思えてくる。



 私が少し苦しむだけで、誰かが救われる。

 私を利用すれば、誰かが助かる。

 そういう役目も良いだろう。

 この笑顔を見られるのなら。

 それが例え後わずかな時だけだとしても、私の全てをなげうってでも決して惜しいとは思わない。  






                         了












     エピソード 32 あとがき




 本編に引き続き、舞地さん編でした。

 また本編でもお分かりのように、結構ユウの事を気に掛けている様子。

 ふわーっとしてるように見えて、色々と考えているようです。


 彼女達が草薙高校に来たのは、間にスカウトされたから。

 その経緯については若干事情もあり、もう少し引っ張ります。

 日頃は軽いですが、契約の遵守は絶対。

 他人から見れば。

 例えば今回のようにユウ達から見れば、非情に思われる時もしばしば。

 強い信念を抱き、日々を生きてきました。


 相変わらず池上さんは、舞地さんの代理。

 ほぼ、彼女の名代として行動しています。

 舞地さんも出来ない訳では無いんですが、そういうのは苦手。

 ただ出るところに出れば、化ける人。

 一応は舞地財閥長女として、東海地区においては多少なりとも企業間の会合などに顔を出しているようです。

 という訳でした。


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