31-12
31-12
眠ったままの木之本君をショウが背負い、そのまま医療部へと連れてくる。
診断の結果、異状は無し。
単なる寝不足との結果が出た。
「寝てる場合じゃないだろ」
鼻を鳴らし、木之本君の頬を引っ張るケイ。
しかし反応はなく、少し口元が緩んだだけ。
一気に安心して、気が緩んだんだろう。
「ケイ君、この後は?」
「執行委員会に抗議と、前回の処分の異議申し立て。それは、モトの名前で。映像は、……あった」
勝手にウエストバッグを漁ったケイが見つけたのは、一枚のDD。
それを端末とリンクさせ、画像を確認し始めた。
「ちっ。プロテクトが掛かってる」
「貸してみて」
サトミはDDを受け取り、自分の端末とリンクさせてボタンを操作する。
しかし結果ははかばかしくないらしく、そのままDDが返される。
「あくまでも、義理堅いのね」
「馬鹿なんだ、馬鹿。退学だって言うのに、全然分かってない」
「だから立派なんでしょ」
「立派、ね」
もう一度頬を引っ張り、鼻を鳴らすケイ。
木之本君はやはり少し口元を緩めるだけで、起きる気配はまるでない。
「映像は。……仕方ないな」
取り出される一枚のDD。
ケイはそれをサトミの端末とリンクさせ、画面を見るよう促した。
「鮮明ではないけど、映ってるわね。どうして、今まで隠してたの」
「木之本君が自分のを見せない可能性もあるから、その時出そうと思ってた。さっきのような場面にさ。結果として、必要は無かったけど」
「死角に入ったって、言ってなかった?」
「映ってないとは言ってない」
薄い、酷薄な笑顔。
結局は全員が、この人の手の中でコントロールされていた気もする。
もしかして、この人を処分した方が一番良いんじゃないだろうな。
「で、彼女はどうするの」
後ろへ視線を流すサトミ。
そこには、不安そうな顔でこちらの様子。
おそらくは木之本君の様子を窺っている女が、人の肩越しに見えている。
「どうするって。私達が判断する事じゃないと思うし。木之本君、起きて」
彼には悪いが、軽く肩を揺らして目を覚まさせる。
寝起きが悪いという事はなく、眠そうだがそれでもすぐに状況を把握したようだ。
「終わったみたいだね。ごめん、いつから寝てた?」
「立ったまま寝てた。とりあえず、処分は無いと思う」
「彼女の?」
「木之本君の」
ここまで来ると、神々しいとしか言いようがないな。
もうあれこれ説明するのも疲れたので、黙って彼女の方に指を差す。
「処分は、されてないんだよね」
「ここにいるんだから、大丈夫でしょ」
「良かった」
笑顔で手を振る木之本君。
女は戸惑った表情を浮かべ、それでもぎこちなく手を振り返した。
そして深々と頭を下げ、背を向けてそのまま走り去ってしまった。
「あれ」
手を振ったまま固まる木之本君。
彼は何も悪くない。
多分、誰も悪くないんだろう。
自分の行為、彼の心。
今までの出来事。
彼が手を振り、それに振り返す自分。
彼女はそこに、何かを見たんだと思う。
「追いかける?」
「いや。いいよ。多分負担になると思うから」
静かにそう告げて、席を立つ木之本君。
彼はあくまでも、彼女を気遣い続ける。
そこに私心や欲は無い。
人への思い、優しさがあるだけで。
本部へと戻り、書類を作成。
それを手にして、執行委員会へと向かう。
木之本君はまだ眠そうだが、付いてくると聞かなかったので。
「提出後はどうするつもり」
「正式な回答を求めて、それを公開。木之本君には悪いけど、この件は利用させてもらう」
「僕は良いんだけどね。他の人の迷惑にならなかったら」
「心配ない。処分するのは、馬鹿だけにする」
それには突っ込まない木之本君。
彼も、誰も彼もを無制限に助けるという訳ではない。
ケイが言う馬鹿。
人を陥れ、弱みにつけ込むような人間を許す子ではない。
特別教棟の玄関をパスし、例により周囲を囲まれながら教棟内を移動する。
どうやらこれは、私やショウだけへの対応では無かったらしい。
「私はあんまり会いたくないけどね。見てるだけで腹が立つ」
「会って話すのも大事なの。相手がどういう人間であれ」
決して楽しくは無い事を、暗に認めるモトちゃん。
やがてエレベーター前まで到着し、人数の関係上で二手に分けられる。
「ユウはサトミ達と。ショウ君は、私達と。乗り方まで制限はしませんよね」
「そ、それは勿論」
軽い冗談のつもりだろうが、顔を青くして頷くガーディアン。
モトちゃんは愛想良く笑い、ショウ達と共にエレベーターへ乗り込んだ。
こっちは私とサトミ、それに木之本君とケイ。
ショウと私を分けたのは、襲撃という可能性を考えての事だろう。
「先ほどの討論会。素晴らしかったです」
エレベーターの表示板を見上げながら、そう呟くガーディアン。
こちらを見ようとはしないし、それ以上の事も言わない。
だけど彼の思いは確かに伝えられ、木之本君はそれを受け取る。
エレベーターを降り、モトちゃん達と合流。
こちらのガーディアンは、脂汗をかいている。
「脅したの」
「俺は何もしてない。勝手に焦ってるだけだ」
困惑気味に説明するショウ。
とはいえ間近に彼がいればかなりのプレッシャーで、それが密室ともなればへたり込むのも無理は無い。
私はむしろ、その方が嬉しいけどね。
ここでガーディアンから、保安部の人間へと警備が変わる。
違うのは肩口のIDだけで、一見したところ普通の子達。
ただし私達への怯えも無ければ、敵愾心を感じない。
傭兵。それも、前島君の直轄か。
「念のためにね」
軽くショウと目配せして、サトミとモトちゃんを中央に寄せる。
彼らを信頼したい気持もあるが、ここが敵の本拠地である以上油断は禁物。
何より先日のあの行為を見せられた後では、必要以上に警戒をしてしまう。
「止まって」
先行する保安部を先に行かせ、サトミ達を止まらせる。
彼らが怪訝そうに振り向いたその後ろを、スキンヘッドの男がにやけながら通り過ぎた。
服装は駅であった時と同じコート。
その下は不自然に膨らんでいる。
「ご心配なく。私達は、あなた達を護衛するよう依頼されていますので。危害を加えさせはしません」
「ガキが。俺に楯突こうって言うのか」
「ここで暴れる事に、お互いメリットはないと思いますが」
淡々と説明する、先頭を歩いていた保安部の傭兵。
スキンヘッドはにやけながら袖に手を入れ、肩を少し上げた。
仕込んでいる武器を取り出す仕草。
こちらも背中からスティックを抜き、ショウがサトミ達の前に立ち塞がる。
しかしスキンヘッドが取り出したのは、タバコ。
それに火をつけ、下品に笑うと煙を保安部の子に吹き付けた。
「禁煙とか、下らない事を言うなよ」
「何をしようと、あなたの自由です。彼らに危害を加えない限りは」
「格好良いな。前島がいるからって、調子に乗るなよ」
「覚えておきましょう」
あくまでも冷静な保安部の子。
スキンヘッドは火の付いたタバコを床へ投げ捨て、私達を一瞥して去っていった。
「失礼しました」
タバコの火を消し、紙で包んでポケットにしまう保安部の子。
名前も知らないし多分知っている子の方が少ないと思うが、ここまでの人がいるとは思わなかった。
多分これは彼女だけでなく、今私達を護衛している他の子に対応させても同じだと思う。
だからこそ木之本君の主張は正しく、いつか生きてくる日が来るんだと思う。
「私達も討論会は聞いていました。大変素晴らしかったです」
「僕はただ、当たり前の事を言っただけですから」
「他の学校では、決して当たり前ではないんです。それに、今のこの学校でも」
「だったら、そういう学校にしていけば良いと思いますよ」
柔らかく微笑む木之本君。
保安部の子は一瞬面食らったような顔をして、それ以上は何も言わず再び私達を先導して歩き出した。
「僕、変な事言ったかな」
「いや。別に」
「ごく普通だよ」
すぐに応じるショウとヒカル。
この辺は分かってないというか思考が同じなので、異論が出てくる事は無い。
「俺は喉の下をかきむしりたくなったね。恥ずかしくて倒れるかと思ったよ」
こういう人も、いるにはいるし。
自警局のブースに辿り着き、護衛の人達は一礼して去っていく。
ある意味プロというか、感情や情そのものをあまり感じさせない人達だな。
木之本君への敬意はともかくとして。
「お待たせしました。ここからは、護衛無しで私が案内します」
たおやかに微笑み、私達の先を歩き出す矢加部さん。
自警局長の補佐なので、別段おかしい事は無い。
あまり楽しい事も無いが。
「そう。猫と犬に関しては処置しておきましたから」
「なにそれ。のんきに猫と遊んでたの?」
「何って。あなたが言い出した事でしょうっ」
一瞬怖い顔をして振り向く矢加部さん。
でもって全員の不審そうな視線を浴びて、すぐに取り繕ったような高笑いをし始めた。
「失礼しました。野良猫や野良犬。引き取り手の無い子犬や子猫の収容施設の事です。里親の斡旋仲介、アニマルセラピー、試作品の研究。資金はほぼそれでまかなえる様、取り計らっています」
「ああ、そんな事、前に言ったね。すっかり忘れてた」
「そういう事だと思いました。名前はUアニマルスクールにしておきましたので」
「ちょっと。それ何」
「ユニバース、という意味です」
「発音はユーじゃないの」
「それ以外に、どう発音するんです」
この女、とてつもないレベルで嫌がらせをしてくるな。
優だと表記は「YU」なので、別物といえば別物。
ただし音としては、どちらも「ユー」
しかし下手に抗議すれば自意識過剰と言われそうなので、とりあえず無理やり笑顔を浮かべてお礼を言う。
名前はともかく、野良猫や野良犬達が少しでも救われるのは確かなんだから。
「舞地家からも、多少出資していただきました」
「あの人は、猫娘だからね。とりあえず理事長とかに、舞地さんを据えておいてよ」
「出資はしても、経営には関わらないとの事です。特にこういうケースでは」
今回の話は、言ってみれば慈善事業。
そういう事にお金は出しても表には出ないという訳か。
「それと、討論会は私も見させていただきました。非常に素晴らしかったです」
「みんな褒めてくれるけど、僕は当たり前の事を言っただけだよ」
「その普通の事が、なかなか出来ないんです。特に言葉で気持を伝える、相手に理解してもらうのはとても難しいですから。気に食わないと、すぐ力に訴える人もいますしね」
だったら、この場も力で解決してやろうかな。
なんとなく睨み合いながら、ようやく目的の場所へとやってくる。
局長執務室ではなく、自警局のブース内にある広い会議室。
そこに待ち受けていたのは自警局長、保安部現場責任者、執行委員会委員長。
言ってみれば、私達の敵対する相手だ。
矢田君と前島君は多少異なるかもしれないが、委員長に関しては間違いない。
そして、珍しい人がもう一人。
「なかなかの名調子だった。スピーチライターの経験でも」
「僕は、思った事を口にしただけです」
「なるほど。だから君達は侮れない」
真剣な顔で何度も頷く前生徒会長。
どうしてここに居合わせているのかは知らないが、それに意見する者は誰もいない。
「見過ごそうかとも思ったが、今回は問題が多すぎた。前職だが、さすがに言わせてもらおう」
ゆっくりと室内を歩く前会長。
委員長や前島君は至って冷静で、ただ二人の距離はやや離れている。
言ってみれば、それは精神的な距離も表しているだろう。
「現在は君達が学校を取り仕切っているのだから、その責任も君達にある。今回の捏造、処分、学校との癒着。こういう事をさせるために、後を任せた訳ではない」
「今回は、傭兵の独断だ。俺達は関わっていない」
「尻尾を切っていくのは構わないが、気付いたら自分の胴体を切り刻んでるぞ」
「忠告はありがたく受け取っておこう」
あくまでも冷静な委員長。
前島君も表情一つ変えず、正面を見据えている。
「それと矢田君。保安部の責任者は、君だろう」
「僕は自警局長で、保安部に対してはオブザーバーでしかありません」
「執行委員会の自警組織責任者は君だ。現場の指揮は彼でも、最終的な責任は君にあるんじゃないのか。それとも、都合の悪い事は全部人任せかな」
「僕は自分に任された仕事はこなしています。途中で逃げ出したりもしません」
いつか聞いたような会話。
前生徒会長は、逃げたというより不正な選挙で当選を向こうにさせられた被害者。
ただその後も、執行委員会に残る道はあった。
恥をかこうと、後ろ指を差されようと留まろうと思えば留まれた。
矢田君は、その事を言っているのだろう。
「逃げた、か。では、改めて執行委員会入りを求めたらどうする」
「それは」
横へ流れる視線。
それを受けた委員長は、彼を下げさせ一歩前に出た。
「あまりむしのいい話をされても困る。お前は自分で舞台を降りた。彼は降りなかった。その事実は厳として存在する」
「では、生徒会長選挙の調査を見せてもらおうか。余計な混乱を招くのは本意では無いが、そちらがそうならこっちも考えがある」
「すでに済んだ話だ。生徒会長職は執行委員会が、滞りなく代行している。来期の選挙に立候補するのは自由だが」
「では、そうさせてもらおうか。力と理念どちらが勝つのか。結果は今日の討論会で明らかになったと思うが」
そう言い残し、会議室を出て行く前会長。
委員長は険しい眼差しをその背中へと向け、そのままその視線を私達へぶつけてきた。
「再調査と処分の撤回だな。処分に関しては学校に掛け合い、調査結果は来週までに提出しよう。処分は撤回させるよう、こちらからも意見を添えておく」
あまりにも物分りの言い話。
そして再調査が進めば、今度は誰が処分されるか。
前回木之本君を陥れた連中。
それに関わった人間という訳か。
「本当、今の時点で胴体を切っててもおかしくないな」
「馬鹿には分からん理屈だよ。いや。お前達のお陰で余計な贅肉はそぎ落とせる。その意味では感謝しておこう」
小馬鹿にした顔で拍手する委員長。
今回も結果として彼を利しただけという訳か。
利用するだけ利用しておいて、最後には切り捨てる。
だが、こんなやり方が一体いつまで通用するのか。
「最後に、もう一度だけ言っておいてやる。今なら、我々の側に付かせてやるぞ」
「ありがたい申し出だけど、それは絶対無いから。火が付いた泥舟には、誰も乗りたがらないでしょ。それも、ムチで追いたてられる奴隷船に」
辛らつに言い返すモトちゃん。
委員長は残忍な表情で彼女を見返し、私達一人一人をも睨みつけて来た。
「理想や希望は叶わないからもてはやされるんだ。世の中には、現実しかないと思い知らせてやる」
「それはお互い様でしょう。私達はあなたに屈しないし、負ける気もしない」
「せいぜい強がってろ。さてと」
端末を取り出し、それを操作し始める委員長。
少しして、スキンヘッドの男が血相を変えて飛び込んできた。
「貴様。退学とはどういう意味だ」
「今回の不手際の責任を取ってもらう。旧連合の勢力を削ぐどころか、一般生徒には同調者が多数出た。契約不履行で違約金をもらいたいくらいだ」
「お前、俺を敵に回す気か。お前がやってきた事を、洗いざらいぶちまけても良いんだぞ」
「出来るのならやってみろ。しかし、お前の過去の行動から誰がそれを信じる?新カリキュラムを修めた草薙高校の生徒会幹部と、素性の怪しい前科者の傭兵。考えなくても分かるだろ」
唇を噛み締め、コートの懐に手を入れるスキンヘッド。
すかさず前島君が組み付いて、腕と首筋に肘を叩き込む。
「この野郎っ。死ねっ」
コートへの動きはあくまでも牽制だったのか。
靴先から刃が飛び出し、それが前島君の腕を掠める。
服は大きく縦に避け、内側のプロテクターが剥き出しになる。
「お前ら、全員道連れだ」
「という訳だ。協力願おう」
厭味たらしく笑う委員長。
恨みを自分一人ではなく、私達にまで分散させるためにこの場で言い渡した訳か。
とてつもなく狡猾で卑劣な考え方。
だが目の前に危険が迫っている以上、それに対処する以外の方法は無い。
「ドアは?」
「ロックした」
すぐに意図を読み取り、答えてくる前島君。
窓や大きな通気口も無く、進入路は無し。
このスキンヘッドだけ相手にすれば良い状況を作り出すのは成功した。
「慎重に。あの男は、意味無くコートを着てる訳じゃない」
「中に仕込んであるって事ね。了解」
スティックを抜き、すぐには近付かず3人で少しずつ輪を狭める。
実力としては大した事は無いが、今の話通りコートの下に何が隠れているかが不明な内はそう簡単には踏み込めない。
「俺が出ましょう。二人は、フォローを」
その状況を嫌ったのか、囮役を申し出る前島君。
それを止める理由は無く、彼の動きも注意しつつ輪を狭める。
「せっ」
声を出し、突然走り出す前島君。
スキンヘッドは、反射的にそちらへ顔を向ける。
ショウは即座に背後へ回り込み、私も声を出しながらその中央を細かく動く。
「死ねっ」
袖から出てくる、人の腕ほどありそうなサバイバルナイフ。
前島君は警棒で叩き落すが、反対側の腕からはもう一本ナイフが出る。
そちらをショウが蹴り落とし、二人が同時にハイとローを放ってスキンヘッドを床に倒す。
しかしローを放った前島君の顔がわずかに歪み、膝を付く。
すねの部分に何かが仕込まれていたらしい。
「大丈夫?」
「俺は・・・。近付くなっ」
駆け寄ろうとした私を制する前島君。
ショウに組みひしがれていたスキンヘッドの手が一瞬揺れて、足元を小さな瓶が転がってくる。
全身を伝う悪寒。吹き出る汗。
瓶の中で揺れる透明な液体。
思い出す、忌まわしい記憶。
膝の力が抜け、そのまま後ろへ倒れていく。
瓶を避ける前に、痛くも無い目元へ手を触れる。
「え」
背中に感じる固い感触。
だけど床のように冷たくはない、暖かく包み込むような感触。
ショウは私の顔を覗きこみ、優しく微笑んだ。
「大丈夫、みたいだな」
「え、うん。瓶は」
「止まった」
「ごめん。全然役立たずで」
今でも力は入らず、震えもまだ止まらない。
子供じみた恐怖心に捉えられ、それを未だに克服出来ていない自分。
だからこそ、そこを突かれたという気もする。
何をやっても、結局は足手まといでしかない。
「止めたのは俺じゃないぞ」
「じゃあ、前島君?」
「俺はここですが」
少し顔を上げた先にいる彼は、スキンヘッドの傍ら。
私達、瓶が転がってきた場所とは逆の位置。
「だったら」
そう呟き、足先の感覚に気付く。
靴底に感じる、硬く丸い感覚。
「あれ」
自分でも全然気付いていなかったし、止めるという意識すらなかった。
大した速度ではなかったし、瓶自体に危険は無い。
放っておけば勝手に止まるくらいの速度だった。
それでも私は、自分の足で瓶を止めた。
遅くても、意識していなくても。
それを分かってくれる人がいた。
私はそっとショウの手を握り返し、彼の手を借りてゆっくりと立ち上がった。
「なかなか感動的なシーンだった。ハンカチがいるかと思った」
厭味っぽく響く拍手。
委員長は冷ややかな笑みを浮かべ、しかし私達ではなく床に転がったままのスキンヘッドを見下ろした。
「これでかなり整理は出来た。本当、その点においてはお前達も優秀だ」
「仲間じゃないの」
「これが仲間なら、我々はとっくに破滅している。先を見ずに自分の感情だけで行動する連中に、何の未来がある」
「理屈だけで世の中が渡れると思ってる?」
「それは意見の相違だな。なんにしろ、こいつに用は無い。警察にでも引き取ってもらおう。おい」
ドアが開き、にやけた笑顔を浮かべて金髪の傭兵が入ってくる。
こいつこそ仲間のはずだが、男は一緒に入ってきた人達に命令してスキンヘッドを外へと運ばせた。
そこには何の情も感じられず、むしろ厄介払いをしたとでも言いたげな表情が浮かんでいる。
これを見ていれば次に切られるのは自分だと思うはずだが、そうではない関係が彼らの間では結ばれているのかもしれない。
「そう。言い忘れていた。保安部の現場責任者は、これから彼になる」
「前島、ご苦労」
下品に笑い、冗談っぽく敬礼する金髪。
前島君は顔色一つ変えず、正面を見据えたまま。
わずかにもその内面を窺う事は出来ない。
「ただ彼も何かと忙しいので、実際の指揮は今後も前島にとってもらう。何、責任の分担だ。今までと変わらず自由にやってくれれば言いし、我々も口出しはしない。緊急の際は別だが」
「分かりました」
「頑張れよ、前島」
蛇が舌なめずりするような顔。
男は運ばれていくスキンヘッドの脇腹に蹴りを入れ、もう一度下品に笑い声を上げた。
「心配するな。お前達も、順番にこうしてやる」
口をききたくもない相手といるもので、ただ言い返すくらいの事は出来ていた。
しかし今回は、会話を成り立たせる事すら嫌悪する。
「随分嫌ってくれたな。まあ、いい。これからは、じっくりと相手をしてやる」
「何言ってるか分からんよ。はっきりしゃべれ」
「何だと」
「だから、言ってる事が分からないんだって。顎がおかしいじゃないのか、お前」
金髪の顎を指差し、鼻を鳴らすケイ。
その途端金髪の顔が青白くなり、全身から殺意が吹き出てくる。
それでもケイは自分の顎を撫で、ほっとした表情を浮かべた。
「あー、良かった。俺の顎はちゃんとしてて」
「貴様。ここで死にたいのか」
「だから、聞こえないって。顎無しお化け」
「いつまでも、そうして笑っていられると思うなよ」
かろうじて自制心を見せ、ケイに射殺すような視線を残して去っていく男。
ケイはもう一度顎をさすり、男の背中に呼びかけた。
「豆腐ばっかりじゃ、楽しくないだろ。プリン送ってやろうか」
げらげらと笑い、すぐに表情を引き締めるケイ。
恨みを一身に買ったのは間違いなく、ただそれを気にしている様子は無い。
気にしているようだったら、それはまた彼らしくもない。
「挑発して、自分を的にする気か。稚拙なやり方だな」
「どうとでも言ってくれ。大体あの程度の小物、挑発するまでも無い。自滅タイプだから」
「せいぜい、寝首をかかれないようする事だ。さて、小芝居も終わった。そろそろ、お引取り願おうか」
会議室を出て、そのまま運営企画局へとやってくる。
そこには天満さんと中川さんが待っていて、木之本君の労をねぎらってくれた。
「偉いわよ。河合さんかと思った」
「はぁ」
「本当、偉い偉い」
大笑いして頭を撫でる天満さん。
木之本君はなんとも気恥ずかしそうに、俯いたまま。
私はお菓子を食べられるので、それを笑って見てればいい。
「ただ、あの金髪は厄介かもね。とにかく恨みの塊だから」
「ただのおじいちゃんでしょう」
一笑に付し、テーブルにあった書類をめくるケイ。
その手元を覗き込むと、借地契約書(部外秘)と書いてある。
「これが、草薙高校の東側の契約書の写し。ある程度は学校も買い戻したんだけど、一人融通の利かない地権者がいるみたいね」
「それはおいおいと。これは、もらっていきますよ」
「ええ。ただし、買うも買わないもお金がないと意味無いわよ。・・・襲いに来るなら、覚悟しなさい」
ケイの顔から何を読み取ったのか、敵意むき出しの表情で彼を睨みつける中川さん。
私なら、今すぐ彼を学校から追い出すけどな。
「それで、あの女の子はどうなったの?」
「神宮駅から、名古屋駅へ向かった所までは把握しています」
平然と答えるサトミ。
彼女はずっと私達と一緒にいて、当然あの女の尾行も監視も出来はしない。
しかし、これが真実だというのは誰もが理解しているだろう。
「ああいう子たちも悪くは無いんだけどね。結局は受け入れ態勢が確立されていないから、利用されるのよ」
「彼女達は悪くないんですか」
「勿論ここのケースにもよるわ。今回がどうとは、私からはなんとも言えないけど」
木之本君へ顔を向けつつ話す中川さん。
半分くらいは悪いと言っているようなものだが、ストレートに伝えない分別はあるようだ。
「大体私達はもう卒業だから、あれこれ関われないのよね」
「凪が留年すれば済む話じゃないの」
「そういう勇気、ある?それって、格好いい?それとも、恥ずかしい?」
「絶対恥ずかしいわね」
断固として言い切る天満さん。
中川さんも一緒になって笑い、大きな封筒を差し出してきた。
「この間の爆弾の続き。これは、私達が保管していた分」
「確かに」
それを受け取り、ショウへと渡すモトちゃん。
使う日がこなければいいのが一番だけど、それはまだ分からない。
「木之本は、いるか」
「木之本君は、イルカじゃないですよ」
至って真顔で答えるヒカル。
塩田さんは拳を固めて彼を睨み付け、どうにか爆発するのを押さえ込んだ。
「お前に用は無いんだ。討論会はなかなか良かったぞ。あれで連合の評価も高まった」
「僕は別に」
「そういうつもりが無いのは分かってる。ただ、お前も連合を代表する幹部の一人。それなりの責任はあると思え」
「はい」
素直に頷く木之本君。
塩田さんは満足げな表情を浮かべ、軽く彼の頭を撫でた。
「ちっ。元はといえば、お前が役立たずなんだ。死ね、死ね」
「そこの陰気な野郎。なんか言ったか」
「いえ、全然」
「兄弟揃って馬鹿が。討論会の最後に叫んだのもお前だろ。あれで、生徒会が相当揉めてたぞ」
ケイは笑うだけで何も答えず、塩田さんもそれ以上は追及しない。
告発する側にもリスクはあり、何より相手からの恨みを買う。
ショウが抱えている資料を使うとしても、それを受け止めるだけの覚悟があればの話だ。
「それと、執行委員会にクレームを付けに行ったようですね」
物静かに尋ねてくる大山さん。
彼は続いて、木之本君の処分が撤回された事を告げた。
「元々ずさんな調査内容でしたし、これ以上余計な事を探られるよりはと思ったのでしょう。それに代わって、何人かが停学になったようですけどね」
「僕のせいで?」
「そういう考え方もありますし、本人達の自業自得でもあります。人を呪わば穴一つと言いますし。悪い事をすれば、必ずその報いは受けるようになっています」
全員の視線を浴びるケイ。
少なくとも今のところは、罰を受けている様子は無い。
今度熱田神宮に行った時にでも、神様に報告しておくか。
「これで多少は盛り返したかな」
「悪質な傭兵が減った分、向こうの評価もいずれ高まるのでは」
サトミの問いに、塩田さんははっきりと首を振った。
「あの金髪が保安部だかの責任者だろ。基本的に物事の元凶はあいつで、禿もバンダナもそそのかされたに過ぎない。頭は悪いが、悪知恵だけは働くタイプだ」
「いずれ切られるのでは?」
「狡猾な分、使い勝手は良いらしい。人の嫌がる事、やりたがらない事を喜々としてやる。暴行、窃盗、横領、誘拐。お前達も気をつけろ」
なんとなくスティックを手にして、それを強く握り締める。
瓶一つでたやすく動揺してしまった自分。
果たしてその程度の覚悟で、そういう人間と渡り合えるのか。
それ以外にも不安な要素はたくさんあり、だけどこれから先は塩田さん達を頼る事も出来なくなっていく。
覚悟があろうと無かろうと、自分自身で道を切り開いていく以外には無い。
本部に戻り、暮れていく空をぼんやり眺める。
サトミ達は資料をまとめたりどこかと連絡を取り合ったりと急がしそうだが、今はそれを手伝う気になれない。
さぼっていると言われればそれまでで、ただあの瓶の事がやはり引っかかる。
「大丈夫か」
お茶のペットボトルを差し出してくるショウ。
それを受け取り、一口含んでため息を付く。
次にああいう事があったら、どう対応出来るのか。
今度も体が動くのか。
絶対と言いきれる程の自信は無い。
「大丈夫、なのかな」
そう呟き、ペットボトルを握り締める。
人に影響を与える存在でもなく、率いる事も出来ない。
「あまり深く考えるなよ」
「考えるなと言ってもね」
「俺達は、俺達に出来る事をやればいい。それだけだろ」
変に慰める訳でも、励ます訳でもない。
自分の進む道を示してくれるショウ。
私にはその道ははっきり見えないけど、多分彼には見えている。
その後をゆっくりとでも付いていく事は出来るだろう。
「ありがとう」
「いや。俺達は、暇で役に立たない方が本当は良いんだろうし」
「まあね」
私達が前に出るのは、トラブルがあった場合。
それも物理的なトラブルに限定される。
そんな事はない方がいいのは、ショウの言う通りだ。
むしろ私は、今の状況を喜んで受け入れるべきなんだろう。
自分が必要とされない事。大して役に立たない事を。
「みんな、色々考えてるんだね」
私の側に近付き、しみじみと語るヒカル。
彼は中等部の頃に大学へ進んだため、離れ離れになっていた。
休みの日や学校が終わってから顔を合わせる事はあっても、こうして一緒に過ごす日が来るとは思わなかった。
私達はあれからも、ずっと同じ学校に通い毎日一緒に過ごしていられた。
だからこそ、彼は今という時を私達以上に大切に思っているのかも知れない。
「ヒカルはどう思う。今の学校や私達を」
「学校は、ちょっと普通じゃないね。中等部の頃と比べても、荒んでる。みんなは、多分変わってないかな。という程、学校にいる時のみんなを知らないけど」
「成長してるかな」
「身長の事、じゃないよね」
おかしそう笑い、忙しそうに働くみんなを眺めるヒカル。
中等部の頃も、彼は率先して仕事を片付けたり命令をする事は無かった。
だけど今と同じように、暖かく私達を見守ってくれていた。
何をしても、何があっても私達を受け入れてくれた。
その責任を一人で背負うのがどれだけ大変なのか。
いつも笑っていた彼からは、全然想像も出来なかった。
彼が大学へ進んだ後後を任され、それがどれだけの重圧であり大変な事であったかを思い知らされた。
今の私は、彼に任された責任を十分に果たしていると言えるだろうか。
「さっきの会議室での話じゃないけど、結局僕も逃げた存在だからね。あれこれ言える立場じゃないよ」
「逃げたって。勉強をしたかったから進学したんでしょ」
「ゆっくりと、段階を踏んで進学しても良かった。年に数回はそう思う。こういうところにいると余計に。勿論過ぎた時間は戻らないから、何を言っても仕方ないけど」
一瞬見える寂しげな表情。
それはすぐにかき消え、いつもの明るい彼の笑顔が戻ってくる。
「完璧な人間はいないんだし、あまり気にしなくてもいいと思うけどね。誰にも失敗や欠点はあるんだから。僕もショウも、ケイも。誰だって」
「それは分かってるけど。性格かな」
「内向的だからね、ユウは。でも、後悔したり悩む方が人間として成長するんじゃない?そこまでして成長したくないって話でもあるけど」
「どっちなのよ」
苦笑しつつ、ふとある事を思い出す。
「それで、映像は持ってたの?」
「無いよ、何も」
少し声を上ずらせて答える木之本君。
分かりやすい以前に、嘘がつけない人だな。
「今更隠しても仕方ないじゃない。見せてよ」
「参ったな」
苦笑して、さっきも見たDDを近くの卓上端末に挿入する木之本君。
「パスワードは?」
「大して難しくないと思ったんだけど」
しかしそれについては教えてくれず、やがてそれぞれの端末に映像が送られてくる。
場所はラウンジの前。
あの女の腕を引き、奥へと入っていく集団。
やや揺れた映像は、そこから始まる。
追いついたところで相手を問い詰めると、いきなり殴りかかってきた。
それをよけつつ女を助け、しかし短い会話が交わされる。
こいつは仲間で、お前を騙すためにまとわり付いていただけだと。
木之本君はそれには答えず、女をかばって逃げようとする。
しかし多勢に無勢。
すぐに囲まれ、集団で暴行を受ける。
映っているのは、ラウンジの床と人の足。
そこに悲鳴や叫び声が聞こえ、多分私達がやってきたんだろう。
見てしまえばあっけない。
また、初めからこれを提出すれば済んだ話。
ただし提出すれば、この集団は勿論女にも処分が下ったのは間違いない。
「この女をかばう理由は、どこにあったの?。これを見る限り、ただ騙してただけじゃない」
「この学校が好きだって言ってたよ。出来ればずっといたいって」
卓上端末から抜き取られるDD。
それこそ騙されているとしか言いようが無く、人が良いにも程がある。
多分本人もそれは分かっているのか、なんとも気弱に笑って仕事へと戻った。
「本当に、それでいいの?」
「何が?」
「いや。それで、損してない?」
「多分、幸せだと思うよ」
はっきり、予断無く言い切る木之本君。
なんとなく気になってショウやヒカルを振り返るが、彼らも力強く頷いている。
こうなると、私があれこれ言っても仕方ない。
他人からはどう見えていようと、本人達が幸せな人生だと思ってるのならきっとそれで良いんだろう。
決して上手な生き方ではないけど、そんな彼らの事を分かってくれている人も大勢いるんだから。
「骨の髄までしゃぶられろ」
こういう意見も、あるにはあるんだけどね。
寮に戻り、部屋の整理をしながら今回の出来事を思い返す。
木之本君の優しさ、暖かさ、強さ。
彼は決して目立つ訳でも、先頭に立って行動している訳でもない。
だけど彼という存在の大きさがどれほどか、改めて理解出来た。
ただ、彼と自分を比較しても意味は無い。
彼には彼の役割があり、私には私のやるべき事がある。
それさえ理解していれば、無意味に落ち込む必要もない。
などと、すぐに割り切れないからこうして悩むんだろうけど。
片付けに目途をつけ、パーカーを羽織ってラウンジへとやってくる。
まだみんな寝るには早い時間らしく、パジャマ姿やジャージ姿の女の子が集まって楽しそうに騒いでいる。
私はお茶の入った紙コップを持って、人気の無いテーブルの端へと座る。
顔見知りの子もいるが、今はそういう気分なので。
だったら自分の部屋に戻ればいいんだけど、やはりそういう気分なんだろう。
「あーあ」
色々感が過ぎてその緊張が少しほぐれたせいか、少し眠くなってきた。
欠伸をして目元を押さえると、前を通りかかった子が突然顔を寄せてきた。
多分知り合いではないはずで、見覚えすらもないが。
「目、大丈夫?」
「え。何が」
「調子悪いんでしょ、目の」
「いや。それはもう治りつつあるので」
何か誤解されてると思い、眠かっただけだとすぐに告げる。
女の子は張り詰めていた表情を緩め、少し恥ずかしそうに笑い出した。
「何だ、私はてっきり」
「あの。私の事知ってるの?」
「有名人だから。怖いって言う人もいるけど、違うでしょ」
そう聞かれると返事に困る。
実際一部の人間に怖がられているのは事実で、生徒会には特に評判が悪い。
違いますと言い切れる程の自信は、さすがに持ち合わせてはいない。
「全然怖くないわよ。ほら」
後ろから人の頬を摘む誰か。
多分好意でやってくれてるんだろうが、それ以外に方法は無かったのかと聞きたくなる。
「ニャン」
「この子は思いつめるタイプだから、ちょっと誤解されやすいんだけどね。どちらかといえば、気のいい江戸っ子タイプよ」
「名古屋生まれの名古屋育ちなんだけどね。それにそこまで割り切って考えてないし」
「という、悩み多き乙女なの。ほら虎も、子供の頃は可愛いじゃない」
ころころ笑い、私の頭を撫でるニャン。
その心地よさに身を委ね、彼女の優しさにも感謝する。
「そうみたいね。じゃ、私はこれで」
「うん、ありがとう」
笑顔で去っていった女の子に手を振り、名前も聞いていなかったと今頃気付く。
追いかけようにもその姿は人ごみの中へと消え、今はラウンジにいるかどうかも分からない。
「あんな友達、いた?」
「いや。眠くて目を押さえてたら、調子が悪いのかって心配してくれた」
「それだけみんなに愛されてるって事よ」
「愛、ね」
「それとも愛は、ショウ君だけで十分?」
また随分恥ずかしい事を言ってくるな。
でもって、みんなで聞き耳を立てないでよね。
「私は、そのあれ。えーと、何?」
「意味が分かんない。幸せ一杯夢一杯じゃないの」
「それは、はらぺこぺこりでしょ。あーあ」
少し気が楽になり、周囲の喧騒に溶け込みながらお茶を飲む。
自分の部屋では味わえない、少し騒々しいけど暖かな場所。
何の用が無くても、知り合いがここにいなくても。
こうして座っていれば、優しい気分になれる。
それは誰か一人のためではなくて、ここにいる全員の心が積み重なっての事だと思う。
悩みや苦しみ、悲しみもある。
それを包み込む優しさや暖かさもある。
普段は気付かない。
少し心が傷付いた時にだけ分かる、この場所の素晴らしさ。
多分、そういう事なんだろう。
第31話 終わり
第31話 あとがき
木之本君苦労編でした。
普通の、大人しい少年。
常に人を思いやる、心優しい少年。
影からみんなを支える、強い男の子です。
そういう人の良さを突かれて、今回などは追い込まれてしまったんですけどね。
困った事だとは思いつつも、改めるつもりはありません。
人が良いので。
木之本君、ショウ、ヒカル。
いわゆる善人トリオに共通した性格。
自分の苦労は苦労と思わず、人のために尽くして生きる。
それが特別ではなく、彼らにとっては普通。
ただ今回の件で、ケイが指摘したように旧連合の株は上昇。
反転攻勢の足がかりを得ました。
こうなると、彼の陰謀説を唱えたくなるくらいですね。




