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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第21話
226/596

21-5






     21-5




 腕を組み、机へ視線を落とす。

 つい漏れるため息。

 指で二の腕を叩き、もう一度息を付く。

「例の人の事で、また悩んでるの?」

 不安そうに声を掛けてくる神代さん。

 でもって彼女も、ため息を付く」

「何してるの」

「悩んでる」

「例の人とか、仕事じゃなくて?」

 外見は派手な癖に、変に真面目なんだから。  

 勿論、悪い事ではないけどね。

 机の上に置いてあるのは、秋期旅行の行き先リスト。

 学校が補助してくれる金額内で、危険のない地域ならどこへ行くのも自由。

 期間も、行き方も、泊まる先も。

 行かないという選択肢を取って、浮いたお金を別な手当へ回す方法もある。

「神代さんは、悩まないの」

「あたしは、冬だから」

 1年は冬。去年の、私達のように。

 厳密に決まってる訳ではなく、慣習のようなもの。

 生徒の運営に寄る所が多いこの学校で、一斉に生徒がいなくなっては困るから。

 例えばクラブなどは、合宿を兼ねて1年から3年が同時に旅行へ行ったりもする。


「去年は奥飛騨に行ったんだけど。寒くてさ」

「じゃあ、伊勢志摩へ行けば。暖かいよ」

 端末に地図や名産品を表示させる神代さん。

 大きな伊勢エビが、やたらと目に付く画面。

 しかしこれって、本当にエビなのか。

「考慮するというか。わざわざ学校の旅行で行かなくても、神代さんの家に泊まればいいじゃないの」

「まあね。ただあたしの家は旅館じゃないから、人数に限りがあるよ」

「大丈夫。泊めるのは、私とサトミ達くらいで。他の子は、旅館に泊まるから」

「何言ってるの」

 仕方なさそうに笑う神代さん。

 何にしろ、これで伊勢に拠点が出来た。

 柳君は対馬だし、その内攻め込もう。


「で、その伊達さんっていうのは」

「さあ。大人しくしてるみたいよ。ねえ、小谷君」

「特に、これといった情報は聞いてません。監視しにくい人、という報告しか」

 肩をすくめる小谷君。 

 私達に話すくらいだから、特に内密な情報でも無いのだろう。

 また彼の言う内容は、良く分かる。

 目の前にいるのは分かるけど、気を抜くと彼の存在を意識しなくなる。

 本人が意図的にそうしているのかはともかくとして、変わった人なのは間違いない。

「局長は、なんて」

「それも、特には。名の売れた傭兵だから注意してるのか、他の目的があるのか。気にしてる様子ではあります」

「小谷君から見て、どう思う?」

「ああいう手合いは、相手にしないに限ります」

 降参という意味か。

 両手を軽く上げ、冗談っぽく肩をすくめる。

 確かに私も、あの人と事を構えようとは思わない。

 この間は偶発的な状況だし、ショウがいた。

 しかし単独でなら、逃げる事も視野に入れる。

 彼が池上さん達の知り合いという事だけでなく、あの時感じた感覚を思い出せば迷うまでもない。

「そんな危ない人なの?」

 不安げに尋ねる神代さん。

 小谷君は小首を傾げ、私へ意見を求めるような眼差しを向けてきた。

「私も、よくは知らない。ただし前この学校にいた時は、私の先輩達と一緒に戦ったらしいよ」

「誰と」

「学校と」

「その時点で、かなり危ない気がする」

 当然の意見。

 私だって屋神さんや塩田さんの事がなければ、学校と事を構えるという考えすら思い付かない。

 話を聞いた今でも、腰が引けているというか踏み切れていない状態だ。

 しかし彼は契約を交わして、学校と戦った。

 つまりは、自分の意思で。

 それが意味する事を考えれば、やはり彼と敵対する気にはなれない。

 無論、状況にもよるが。



「……何してるんですか」

 怪訝そうに私を見下ろす御剣君。

 しかし私を見ると、誰でも同じ事を聞いてるな。

 聞かれないようにしろ、という事は気にしないとして。

「自分こそ」

「届け物ですよ。元野さんが、これをここへって」

 肩から降りる、本の束。

 二宮金次郎か、この人は。

「どうして、一度に運んでくるの」

「往復が面倒だったので。それに、分けて運んでくる程の重さでも無いですよ」

 半分を抱え、受付の上に置く御剣君。

 それをやっただけで、私は漬け物みたいになるだけだ。

「単純にすごいな」

 呆れ半分で呟く小谷君。

 御剣君は何かを彼へ言いかけ、私の方を窺って口を閉ざした。

 強いのに、どうしてそう人を気にするかな。

 というか、私を。

「あの、小さい子は」

「目の前にいるじゃない」

 人を指差してくる神代さん。

 その指を掴み、手の平をくすぐる。

 罰だ、罰。

「渡瀬さんの事でしょ。彼女に、用事でも」

「いや。後ろから襲われたら困るなと思って」

「誰が、そんな真似を」

 集まっていく視線。

 御剣君から、私へと。

 どうでもいいけど、この人達は私をどう見てるのかな。

「それは、道場での話でしょ。大体、そのくらい軽くさばいたら」

「あの子のレベルだと、そう簡単には行きませんよ。もし、武器でも使われたら」

「使わないよ。チィを、どういう目で見てるの」

「それは、格闘家として」

 真顔で、何を言ってるんだ。

 大体、武器って。

「警棒って事か」

「それもあるし、ナイフでも投げられたら困る」

「投げないよ」

「というか、避けたら」

 気楽そうに笑う小谷君。

 彼は睨んでくる御剣君へ向かい、机の上にあったペンを振った。

「俺が投げたら、どうなる」

「当たるか」

「あたしは」

「無理だな」

 馬鹿にした様子はなく、事実を告げる口調。

 またそのくらいの自信がなければ、彼は彼として存在しない。

「嘘だと思うなら、やってもいいぞ」

「同時でも?」

「ああ。いつでも」


 その言葉が終わると同時に放られるボールペン。

 御剣君は手首を返し、それを難なく受け止めた。

 少し遅れてきた、もう一本も。

 距離としては、机1つ分。

 腕の長さを考えれば、距離はさらに短くなる。

 でも彼は、それを受け止めた。

「ふーん」

「雪野さんは投げなくていいですから」

 先手を制してくる御剣君。

 条件は私も同じ。

 ただし私は彼の動きや癖、死角を十分に理解している。

 神代さん達とは違い、フェイントを掛けたり角度を変えて投げるテクニックもある。

 この倍あったとしても、確実に当てられる。

 仕方ないので飴を置き、机の上で転がして遊ぶ。

「言ってよかったぜ」

 安堵のため息を漏らす御剣君。

「飴くらい当たってもいいじゃない」

「嫌です。大体、壁に穴が開いたらどうするんです」

 突然飛び退く神代さんと小谷君。

 この子達は、私を何だと思ってるんだ。

「穴が開く訳無いでしょ」

「言い切れます?」

「いや。それは、その。ロッカーならへこむかも知れないけど」

 飴を手の中へ収め、親指で軽くはじく。

「っと」

 タイミング良くかどうか。

 ドアから出てきた沙紀ちゃんは腕を伸ばし、壁に突き進んでいた飴を手の中へ収めた。

 怖い笑顔を浮かべながら。

「食べ物を、粗末にしないで」

「だってさ」

「だってじゃないの。ほら、集まってないで仕事に戻りなさい」 

 手を叩く沙紀ちゃん。

 散っていく後輩達。

 私もそれに倣い、出口へと向かう。

「優ちゃんは、何しに来たの」

「別に。オフィスにいても、やる事ないし」

「仕事は、どれだけでもあるのよ」

 私の目の前で、クッキーをかじりつつ指摘するサトミ。

 意味が分かんないな。

 すると沙紀ちゃんはくすっと笑い、ドアの方を指差した。

「北川さんが探してたわよ。少し手伝って欲しいって」

「私は自警局でもなければ、連合の幹部でもないの」

「いいじゃない。必要とされてるだけ」

 へへと笑い、労うようにサトミの肩を軽く叩く。

 私は必要とされてないので、今日の夕食でも考える。

「ユウも来て」

「お茶汲み?そういうの、嫌」

「じゃあ、私の代わりに溜まってる書類を片付ける?」

「お茶汲み大好き。お茶万歳」 


 別にお茶汲みはしないし、末席に置かれて放っておかれた訳でもない。

 気付いたら、みんなを見渡す位置にいた。

 大きなモニターを背負い、細い棒まで持って。

「私より、他に適任者がいると思うんだけど。あくまでも伝聞として」

 表示されているのは、傭兵の概要。

 今回の会議は、彼等に対する対策というかレクチャーらしい。

 元々この学校には無く、最近目に付く存在。

 教育庁の定義やレポートとは別に、最も新しい情報を得たいという観点からだろう。

 室内にいるのは、生徒会ガーディアンズやガーディアン連合の幹部達。

 また自警局と、総務局も何人か来てるらしい。

 私は舞地さん達から聞いた話を簡単に説明して、表示されている内容を補足した。

「危険度は」

「相手によります。この非公式なグループ分け。傭兵、渡り鳥、フリーランス。渡り鳥は、味方である場合は問題なし。フリーランスも同様。ただ、傭兵はかなり危険かと」

「経験上?」

「ええ、まあ。傭兵同士で反目してるらしいですし、最近当校に侵入してる彼等の行動を考えれば分かると思います」

 画面に表示される、傭兵が関係したと思われるトラブルの件数と内容。

 前期から件数が増え始め、内容も怪我人の発生率が高くなっている。

「では、彼等の実力は」

「ある人から聞いた話では、ガーディアンには及ばない練度とか。ただし武器を所持してますし、先程述べた通り行動に抑制がありません」

「当校のガーディアンとの比較は」

「練度、組織、指揮体系。圧倒的な数で対抗されない限り、問題ありません」

 内通という言葉も思い付くが、その辺は彼等も十分考慮に入れてるだろう。

「お前も詳しいんだろ」

 顎を振る風間さん。

 塩田さんは前髪をかき上げ、仕方なさそうに後ろのモニターを振り返った。

「がたがた騒ぐ話でもない。雪野が言った通り、人数が揃わない限りは軽くあしらえる」

「揃ったらどうする」

「そうしないようにするのは、学校や生徒会の仕事さ。俺に、生徒の転入を止める権限はない」

 肩をすくめる塩田さん。

 全員の視線は自然と、自警局幹部へと向けられる。

 正確には、矢田自警局長へと。

「やばい奴なら、俺も掴んでる。そいつらのリストは、自警局へ提出してあるんだがな」

「現在学校と協議の上、彼等の取り扱いを検討中です」

「という訳です、F棟隊長」

 顎を振る塩田さん。

 今度は風間さんが髪に触れ、足を組み替えた。

「そいつらを尋問しちゃまずいのか」

「彼等は、何もしてません」

「今の、塩田や雪野の話を聞いてなかったのか。すぐに追い出せとは言わないが、監視を強める必要はあるだろ」

「まだ疑いがあるだけです」

 あくまでも拒否する局長。

 とはいえ風間さんも説得するつもりはなかったらしく、鼻で笑い適当に頷いた。

「好きにしてくれ。俺も塩田同様、暴れた時点で動くしかないんだから。まさかそれを無責任とは言わないよな。こっちはリストを提出して、厳重にチェックするよう要請してるんだから」

 皮肉を込めた台詞。

 失笑めいた笑い声が、控えめだがあちこちから上がる。

「私の対応に、問題があるとでも言うんですか」

 気色ばむ局長。 

 風間さんは彼から視線を逸らし、末席の方へ顔を向けた。

「あいつに聞いてもいいんだが」

「それは」

「風間。あいつには振るな」

 嫌そうに眉間へしわを寄せる塩田さん。

 局長はもっと極端に、顔を伏せて口ごもる。

「どうして。かなり傭兵には詳しいんだろ。なあ、おい」

「雪野さんと、大差ありません。正式にここへ招かれた訳でもありませんし」

「私的な意見を聞くのは問題ない。今の話で、補足する事があれば言ってみろ」

「特に、これといった点はありません。ただ」

 短い前置き。

 感情の含まれない、素っ気ない口調。

「そういった混乱を利用して、何かする連中がいたら困るというくらいで」

「皮肉か、浦田」

 鼻で笑う塩田さん。

 ケイは首を振り、気のない顔で脇へ手を当てた。

「それとも、内通者の情報でも持ってるのかしら」

 目元を鋭くする、北川自警課課長。

 返ってこない返事。

 どうとも取れる表情。

「浦田君」

「内通は大袈裟でも、これだけ怪しい連中が入り込んでるんです。何らかのルートが構築されてると考える方が妥当でしょう。それが学校か、生徒会かは知りませんけどね」

「私的な意見とはいえ、議事録に残る事を忘れないように」

「失う地位も名誉もないので。停学も、今さらですし」

 肩をすくめるケイ。

 北川さんは難しい顔で、風間さんへ視線を向けた。

「あくまでも、私的な意見だ。個人が何を思おうと関係ない。憲法でも認められてる、国民の権利って奴さ。だろ、矢田自警局長」

「ええ、まあ」 

 愛想のない返事。

 その間も視線は泳ぎ、手元は落ち着き無く動いている。

「どちらにしろ彼等と対峙するガーディアンの最高責任者なんです。この学校に通う生徒としても、厳正な対応をお願いしたいですね」

「僕は常に、この学校の事を考えて行動しています」

 辺りから上がる失笑。

 おそらくは、学校という言葉に。

 それが生徒までを指すのか、学校経営側を指すのかという意味だろう。

「僕の行動に、何か問題があるとでも?それとも、何か僕がやってるとでも言いたいんですか」

「落ち着けよ」

「僕にだって感情はあります。一方的に侮辱されて、それを無視する程人間も出来てません」

「強気だな、今日は」

 鼻で笑う風間さん。

 局長はきつい顔で、彼を睨んだ。

「怒るのは勝手さ。ただし浦田の言い分も、それなりに理はある。はっきり言って、評判悪いからな。お前」

「誤解があるのは認めます。しかし僕がこういった事に関与しているという証拠は無いでしょう」

「証拠、ね。浦田」

「ありませんよ」

 素っ気ない表情。

 何らかの意図を、あえて隠したような。

「第一この会議は傭兵についてのレクチャーであって、僕の糾弾が議題では無いはずですが」

「前も言ったが、こういうのを話し合うのもいいだろ。上が信用出来ないようじゃ、下の連中もおちおち傭兵と戦ってられない。違うか」

「僕が信用出来ないとでも」

「自分の胸に聞いてみろよ」

 軽い調子で話しかける風間さん。

 局長は顔を強ばらせて、席を立って机に手を付いた。

「だったら、誰か僕の代わりを務めるとでも言うんですか。学校、警察との交渉、一般生徒からの苦情。繁雑な事務処理、毎日の会合……」

「じゃあ、辞めれば。俺はそういう柄じゃないけど、そのくらいはこなすから」

 事も無げに言い放つ七尾君。

 机の上に置かれる、生徒会の資格を示すID。

「君が?」

 緩む口元。

 やや見下した感じでの。

「俺の成績や、履歴じゃ無理だって?」

「そうは言いませんけどね」

「学校の成績は確かに下から数えた方が早いかも知れないけど、自警組織に関しては詳しいよ。教育庁で、研修を受けてるから」

 淡々と説明する七尾君。

 少し離れた所で、沢さんが鼻で笑っている。


「それは……」

「別に、無理にとは言わないけどね。俺じゃなくても、北川さんも丹下さんもいるし」

「途中で職務を放り出すような真似なんて出来ません」

 苛立ち気味に返す局長。

 それなりに上手い言い訳を思い付いたという顔で。

「過去にそういう局長がいたらしいですが、そんな無責任な事を……」

 突然室内に響く鈍い音。

 机の上に置かれる足。

「峰山さんの事でも言ってるのか」

 低い声で尋ねる七尾君。

 先程までの気楽さは消え失せ、刺すような視線を局長へ向けている。

「辞めないのなら、こちらから辞めさせましょうか。私が、今すぐにでも代行するから」

「北川さん、落ち着いて。彼がそこまで言うんだから、どこまでやれるか見せてもらおうじゃない。無責任じゃない、自警局長の仕事ぶりを」

 七尾君同様、険しい顔付きになる北川さんと沙紀ちゃん。

 局長は顔色を青くして、顔を俯けた。

「お前ら、止めろ」

 短く告げる風間さん。

 彼等は口を閉ざし、最後に局長を一睨みして椅子に深く座った。

「確かにここは、吊し上げの場じゃない。だろ」

「え、ええ」

「だから、個人をあげつらうな。分かったか」

 一瞬にして凍り付く室内の空気。

 沙紀ちゃん達以上の迫力と威圧感。

「レクチャーは終わりだ。解散しろ」



 室内に残ったのは、知り合いの顔ばかり。

 怒り気味の顔にも見える。

「何をやってるんだか」

 鼻で笑うケイ。

 彼が混乱の発端という気がしないでもないが。

「議事録に残るってのを忘れたのか」

「当然録音は切ってます」

 事も無げに答える北川さん。

 風間さんは首を振り、七尾さんの頭をはたいた。

「お前は、何を研修してきたんだ」

「だって、峰山さんを馬鹿にされて放っておく訳にいかないでしょう」

「あの程度の挑発に乗るな」

「自分だって乗った癖に」

 いきなり取っ組み合う二人。

 なんというのか、見慣れた光景なので放っておく。

「でも、よろしいんですか」

 苦笑気味に尋ねるサトミ。

 七尾君ともみ合っていた風間さんは彼から離れ、ドアを開けて外に出た。


「誰でも分かってる事を、口にしただけだ。矢田もあの程度ではおたつかないさ」

「そうでしょうか」

「回りからやいやい言われても、未だに局長にしがみついてるんだぜ。ああ見えても、結構図太いんだろ。それとも、将来に余程いい保証を確約されてるのかな」

「うらやましい話です」

 他人事のように呟くケイ。

 またその発言がどこまで本気かは疑わしい。

「そんなに峰山さんが大切なんですか」

 探るように尋ねるサトミ。

 彼がこの学校を去った件については、私達も関わってる。

 彼が自分の意思で決めたにしろ、形としては私達が追いやった事になっている。

 その事を含んでの問いだろう。

「俺はそうでもないけどな。左古さんや右藤さんの件もある。北地区の人間は、結構ストレスが溜まってるんだよ」

「北地区と南地区の対立になるとでも?」

「それを利用する奴はいるだろうな。乗る奴がいるかどうかは別として」

 流れる視線。

 塩田さんは鼻を鳴らし、気のない顔で壁へ拳を当てた。

「昔の話さ。なあ、伊達」


 私達の行く手。

 おもむろに顔を上げる、長身の男性。

 その後ろにいた柄の悪そうな男達は、こちらを見て逃げるように去っていく。

「どう思う?」

「映像は撮った」

 小声で会話を交わす、サトミとケイ。

 塩田さんは構わず、無造作に彼へと近付いた。

「今の連中は」

「尋問か」

 静かに返す伊達さん。

 塩田さんは苦笑して、後ろを振り返った。

「ここにいるのは、ガーディアンの幹部が殆どだ。何も言わなくてい」

 それをどうとったのか、伊達さんは口を閉ざし私達に背を向けた。

 塩田さんの気遣いを受け取ったとも、単に初めから言う気は無かったようにも見える。

「お前が伊達か」

 無遠慮に顔を近付ける風間さん。

 彼の後ろでは沙紀ちゃん達が、不安そうな顔をしている。

「跳んでくれよ」

 窓に向けられる指先。

 長い前髪の間から、細い目元を覗かせる伊達さん。

 緊迫する空気。

 少しの沈黙。

「ほら、跳べって」

 広げられる両腕。

 沈む足。

 今度は怪訝な空気が辺りに流れ出す。

「あの、何やってるんですか」

「こいつが、壁を蹴って跳ぶって聞いたんだよ」

「……誰から聞いた」

 ようやく答える伊達さん。

 多少困惑気味に見えなくもない。

「い、いいんです。この人、馬鹿ですから」

「ほら、風間さん」

 彼の腕を取り、後ろへ引っ張る沙紀ちゃんと北川さん。

 彼等の不安は、つまりこういう訳か。

 そのまま風間さんはずるずると引っ張られ、叫び声だけを残し消えていった。


「跳ぶって、どうやって」

 壁に足を添えるサトミ。

 蹴られる壁。

 現れたのは、無様によろめく天才少女が一人。

 仕方ないので倒れる前に彼女を受け止め、姿勢を正して押し戻す。

「そんなので、跳べないって」

「あなた、たまにやってるじゃない」

「無闇に蹴る訳じゃなくて、凹凸や窓枠に足を掛けるの。七尾君も、出来るよね」

「真似くらいなら」

 無造作に壁を蹴る七尾君。

 軽く舞い上がる体。 

 彼は手を横へ伸ばし、優雅な体勢で床へと降り立った。

「こいつの場合は、壁から壁へ跳んで天井を蹴って落ちてくるらしい」

 笑いながら説明する塩田さん。

 肩を叩かれた伊達さんは、素っ気ない顔でそっぽを向いている。

 彼について色々言っていたが、今の姿を見る限りでは仲の良い友人といった所だ。

「しかしあいつは、誰から聞いたんだ」

「阿川さんでしょう。伊達さんと一緒に戦った時に見たって言ってましたよ」

 説明する七尾君。

 彼も先程までの威圧感はなく、普段の気楽な雰囲気しか感じられない。

 ただし彼の立ち位置は、伊達さんの右後ろ。

 誰であっても後方は死角。

 右後ろへ付いたのは、リードパンチを当てやすくするためだろう。

 顔こそ笑っているが、心の内までは読み取れない。

「昔の話だ」

 一言で終わらせる伊達さん。

 彼はそのままきびすを返し、私達の前から去っていった。

「よろしいんですか」

 静かに問い掛けるサトミ。

 塩田さんは鼻を鳴らし、彼が去った廊下の奥を見つめた。

「あいつだって、何もしてないんだ。捕まえる訳にはいかないだろ」

「さっきの光景は?」

「俺達は警察じゃないんだから、捜査権もない。何かあったら動く、それだけさ」 

 気のない口調。

 ただ動くという言葉が何を意味するかは、鋭くなった目元を見なくなっても理解出来る。

「で、伊達がどうしてここに来たのか分かったか」

「さあ。調べろと言われれば調べますけど」

「何だよ」

「塩田さんが怒るので」

 含みのある言い方をするケイ。 

 そこから何かを悟ったのか、塩田さんの眉間にしわが寄る。

「お前」

「学外の事なら、外にいる人へ聞くしかないでしょう。例えば、峰山さんとか」

 さらに険しくなる表情。

 さっきの沙紀ちゃん達とは、また違う意味で。

「そんな顔しなくてもいいでしょう」

「あいつに頼るくらいなら、俺は死ぬ」

「死ねよ」

 鼻で笑うケイ。

 塩田さんは彼の首を締め上げ、床へ放り投げた。

「とにかく。俺は知らないからな」

「はいはい。こっちでやらせて頂きます。先輩の後始末を」

「俺が、いつお前に迷惑を掛けた」

「あー。脇腹痛いなー。どうして痛いのかなー」

 床で身をよじり、脇腹を押さえるケイ。

 彼の切られた直接の理由に塩田さんが関係している訳ではないが、広い意味では塩田さん達と学校とのトラブルが原因の一つではある。

「この野郎。とにかく相手が相手だ。迂闊につつくと、ろくな事にならんぞ」

「それは伊達さんが?それとも、最近入り込んでる傭兵が?」

「どっちもだ」



 とはいえ、相手が相手でもある。

 ああいう光景を見て、放っておくのもどうかと思う。

「ちょっと遠いね」

 細い目をさらに細め、画像を解析する木之本君。

 卓上端末の画面には、さっきの伊達さんと男達の影像が映っている。

「何を喋ってるか分かる?」

「読唇用のソフトが、確か……」

 下の方に現れる幾つかの文字。

 推測率60%とも書かれている。

「で、結局何言ってるの」

「今、推測中。……誰が、腹話術をやれと言ったの」

「上手くない?」

「口が一緒に動かなかったらね」

 人の唇を、指先で押さえるサトミ。

 なるほど。一つ賢くなった。

 ちなみに読唇用のソフトといっても、口の動きを読むだけの事。

 つまり「あ・い・う・え・お」と、微妙な唇の動きの組み合わせを。

 間近ならともかく、これだけ遠いとサトミのいう推測で判断するしかない。

「金を返せだって。借金でもあるのかな」

「そうかもね」

 素っ気なく肯定するサトミ。

 私だって、そうじゃないくらい分かってるっていうの。

「組織、だって。一体、どういう意味?」

「その先は、人間が推測するしかないわ。木之本君、ありがとう」

「いいよ。ただこの撮影と解析は、連合にちゃんと許可申請書を出してね」

 何とも生真面目な言葉が返ってきた。

 友達だから、内密にしてくれてもいいのに。

 書類を書かなくても済むし。

「木之本君は、どう思う?」

「本人に聞いた方がいいと思う」

「聞いても、教えてくれないの」

「誠心誠意頼めば大丈夫だよ」

 人のいい笑顔。

 それは、あなたの場合にのみ当てはまる。

「ケイは」

「こいつらの金でも持ち逃げしたんじゃないの」

 悪い笑顔。

 聞き流そうと思ったが、サトミは真剣な顔で画面を見入っている。

「どうかした?」

「組織という言葉を考えると、あり得なくもないと思って。傭兵は上納金を、上部組織へ納めてる。つまり一定のお金をプールしてる訳だから、それを持っていかれると組織がなりたたなくなる。それとも、上部組織から何らかのペナルティを受ける」

 淡々と説明するサトミ。

 ケイは相変わらず悪い顔で、画面へ視線を向けている。

「あくまでも、可能性の話よ。動機も、ここへ来た理由も分からないから」

「動機はともかく、理由は簡単さ。ここには舞地さん達がいる。なんと言っても、昔からの仲間。だから、何があってもかくまってくれる」

 聞きたくない内容。

 しかしそれを否定する材料は思い付かない。

 肯定する考えは、幾つも思い付くのに。

「でも、僕はそう思わないけど」

「どうして」

「理由はないよ。でもそんなに悪い人が、池上さん達の友達とは思えないから」

「それもそうだ。めでたし、めでたし。って訳にもいかなくてね」

 鼻を鳴らすケイ。

 木之本君も仕方なさそうに笑い、映像をDDへ保存した。

「これは塩田さんへ渡しておくから」

「モトへは、慎重にね」

「うん。そういえば、玲阿君は」

「その彼氏といちゃついてる」



 嫌な言い方を受けて、駐輪場へやってくる。

 別に人気のない所でケンカをしてる訳ではなく、バイクをいじってるらしい。

「どうする気?」

 シートの上に置かれたバイク。

 ちなみにシートの上に置かれているのは、バイクだけではない。

 カウルやマフラー、それ以外の細々したパーツが列を成して並んでいる。

「少し洗ってたら、段々気になってきて」

「気付いたら、これ?」

「え、ああ」

 明るい笑顔。

 オイルの付いた頬を、秋の日射しにきらめかせて。

 子供か。

 それはそれで、格好いいけどね。

「組み立てられるの?」

「逆の事をやればいいだけだから。マニュアルもあるし、別に問題ない」

 ブレーキパットを取り替えつつ話すショウ。

 ケイはそれを、嫌そうな顔で見つめている。 

 汚れるのが嫌なのではなく、彼には出来ない作業なので。

 この人の場合、ねじを一つ外せばそれは二度とはまらなくなる。

 ショウや木之本君が付いてれば、別だけどね。

「木之本、プラグ替えてくれ」

「名雲さんは?」

「もうすぐ戻ってくる。……ちょうどかな」

「よう」

 放られるペットボトル。

 一抱えありそうなくらいの。

 私はそれを避け、ショウは片手で受け止めた。

 3L入りを、ボールでも掴むように。

 私の手が小さいのか、彼の手が大きいのか。

 たぶん、両方だ。

「手伝ってくれるのか。浦田には言ってないからな」

「私もパスします」

 一歩下がるサトミ。

 確かに、バイクのパーツを磨いていても何も面白くはない。

 しかも、他人のバイクを。

「洗剤は」

「あるだろ」

「家庭用洗剤の方が落ちるから、買ってきて。それと、歯ブラシも」

「仰せのままに」

 差し出される、意外と華奢なケイの手の平。

 そこに、工具箱から取り出したハンマーを振り落とす。

「金だ、金」

「金と金槌で、似てるじゃない。はい、お釣りは上げるから」

「わーい、ありがとう。何て言えばいいのか」

 小銭を手の中で転がすケイ。

 頑張れば、歯ブラシくらい買える額を。

「購買より、そのスーパーの方が近いだろ。ほら、俺の乗ってけ」

 隣りのバイクを顎で示す名雲さん。

 かなり大きめの、ネイキッドバイク。

 ただしオートバランサーが付いてるため、私でも簡単に取り回し出来る。

 というかそれがなければ、誰でも一汗かく作業だ。

「それと、唐揚げ買ってきて」

「あのさ」

「いいから、ほら」

「ったく。追加を、端末に連絡してくるなよ」

 人の行動を先に読み取り、正門へと消えるケイの姿。

 不器用だが、乗るくらいの事は簡単にこなす。

 あれでも一応、上級免許を持ってるし。

「どこかで、バイクを売り捌いてたりして」

「面白いな、それ」

「本当に」

 薄く微笑むサトミ。 

 名雲さんは強ばった笑みを浮かべ、それを振り払うようにショウのバイクへ取り付いた。


「こちらの映像に、心当たりは」

 端末を取り出すサトミ。

 名雲さんはそれを覗き込み、手の甲で鼻をこすった。

「伊達、じゃなくてその後ろにいる奴か。……俺もここに居着いてるから、こういう連中に疎くてな」

「では、この会話の心当たりは」

「お前の考える事と大差ないだろ。俺の場合は、あいつを信じたいっていう心情がプラスされるくらいで」

 放られるスパナ。

 名雲さんは落ちてきたそれを、指先でつまみ手首を返した。

「峰山だったか。あいつなら詳しいだろ」

「彼と連絡を取るのは、塩田さんがお気に召さないので。他に誰か、心当たりの方は」

「沢だな。何といってもフリーガーディアンだし、権限を制限されててもそのくらいは軽い。あいつに頼め」

「引き受けてもらえるでしょうか」

 静かに尋ねるサトミ。

 名雲さんは手の中でスパナを転がし、再び手首を返してそれを消した。

「さあね。あいつにとっては、伊達がどうしようと関係ない。後ろに映って奴と何かやるなら別だが、敵対してるとも取れる。その程度の小競り合いなら、あいつは関わらない」

「では、他に詳しい方は」

「俺は情報を扱うのは、それ程得意じゃない。池上とは違って」

 袖から出てくるスパナ。

 名雲さんはそれを工具箱へ戻し、眩しそうに空を見上げた。

「まさか、池上には頼めないだろ。伊達が怪しい男達と変な会話をしてるんですけど、どう思いますって」

「言われなくても分かってます」

 鋭い眼差しで見つめるサトミ。 

 名雲さんは鼻で笑い、眩しそうに空を見上げた。

「それにこいつらの身元が分からなくても、手の打ちようはあるだろ。まだ、伊達が何かしたって訳でもないし」

「先に手を打つのも、定石でしょう」

「……まあいい。俺も多少は気になるし、知り合いに頼んでみる」

 一礼するサトミ。 

 ただし目元は以前として鋭く、彼を捉えている。


「浦田は……。来たか」

 戻ってくるバイク。

 それを降りたケイは、ヘルメットを外しため息を付いた。

「死ぬかと思った」

 冗談ではない口調。

 渡されたのは、何故か使った形跡のある家庭用洗剤。

「どうしたの」

「おかしな連中に襲われた。名雲とか呼ばれて」

「ああ、バイクが」

 彼が乗っていたのは、名雲さんのバイク。

 顔はヘルメットで隠れるし、体型も走っていれば判別しにくい。

「よく助かったな」

「そこはそれ。テクはないけど、土地勘はある」

「なるほど。……傷付いてないか」

「死にかけたって言っただろ。売る時、安くなるな」

 世間話の延長のような台詞。

 ショウも鼻で笑い、彼から洗剤を受け取った。

 しかし名雲さんは身震いして、慌ててカードキーを抜き取った。

 自分と間違われて襲われた事より、違う何かを怯えたらしい。


「名雲さんが襲われるのなら、モトちゃんは大丈夫なの」

 彼には悪いが、私としてはついそちらを心配してしまう。

 それはサトミも同様なのか、先程から変わらない鋭い眼差しを彼に向けている。

「大丈夫だよ」

 ニコニコと答える柳君。

 マグカップを、両手で持ちながら。

 どうしてこう可愛いかな。

「理由は?」

「名雲さんに手を出す馬鹿はいても、その彼女に手を出す馬鹿はいないからね」

「柳」

 ラウンジに響く大きい声。

 恥ずかしさを隠すような。

「そういう事があったの?」

「あったの。幸い、死人は出なかったけど」

 何だ、それ。

 しかも、冗談じゃ無さそうだし。

「玲阿君は?」

「木之本君と、バイクを組み立ててる」

「浦田君は?」

「こいつはいいんだよ」

 妙に優しい声を出す名雲さん。

 ケイは知らんという顔で、ちびちびせんべいをかじっている。

 余程彼を、バイクから遠ざけたいらしい。

「でも、どうやって逃げたの?向こうも車かバイクだったんでしょ」

「洗剤で、軽く洗ってやった」

 鼻で笑うケイ。

 勿論実際に洗った訳ではなく、洗剤を吹きかけたのだろう。

 フロントガラス、タイヤ、ハンドル、ブレーキ部分。

 この近くで交通事故があれば、まず間違いはない。

「本当、参ったよ」

「つまり、俺がやったって事になるのか」

「別にいいですよ。事情を話に言っても。あのバイクを貸してもらえれば、今すぐにでも」

「いや。それでいい。俺が全部悪い」

 物分かりのいい台詞。

 ケイはどうしたんだという顔で、隣にいる柳君へ視線を向けた。

「僕には、なんとも。彼女も出来たし、名雲さんともこれまでかな」

「お前、怖い事言うな」

「でも安心して。これからは、浦田君がいるから」

 ケイの腕に抱きつく柳君。

 何となく頬を赤くするケイ。

 この二人こそ大丈夫か。


「……まだやってたの」

「え、ああ」

 にこっと笑うショウ。

 その手元をライトで照らしていた木之本君も。

 遊びに出たまま帰ってこない子供じゃないんだからさ。

「別に乗って帰る訳じゃないんだから、明日にすれば」

「もう少しなんだよ」

 はめられるカウル。

 付けられるねじ。

 放っておいたら、真夜中でも同じ事を言いそうだな。

「終わりなの、終わり。ほら、道具片付けて。パーツもしまって」

「何だよ、もう」

 ぶつぶつ言いながら片付け始めるショウ。

 その脇に見える、コンビニ弁当の小山。

 徹夜でもする気だったのか、この人は。

「そういえば、今何時?」

「何時も何も、帰る時間。終業時間なんて、とっくに過ぎてる」

「え」

 小さい目を丸くする木之本君。

 相当に切羽詰まった顔にも見える。

「ど、どうしよう。仕事の事忘れてた」

「いいじゃない。もう、終わったんだから」

「そ、そうだけど。で、でも」

「本当に真面目なんだから。……で、あなたは何か言いたい事は」

 怖い顔で笑うサトミ。

 ショウは「え」と呟き、後ずさった。

「まあまあ。たまにはいいって。それに塩田さんが遊んでるんだから、問題ない」

「でも」

「かくしてまた一人、道を踏み外していく訳か」

 詠嘆するケイ。

 自分なんて、初めから違う道を歩いてるくせいに。

「大体、仕事ってなに」

「デスクの掃除」

「それって、仕事?」

「塩田さんの机だからね」

 吹き抜けていく乾いた風。

 白けきったと、例えてもいい。

 それって、仕事というより後始末じゃないのか。

「今から……」

「いいよ。……済みません、浦田ですけど。……ええ、いますよ。……さあ、どうだか。……じゃ、そういう事で」

「塩田さん?何か言ってた?」

 不安そうに尋ねる木之本君。

 ケイは端末をしまい、仕方なそうに鼻を鳴らした。

「謝ってた。木之本君が、怒って逃げたと勘違いして」

「別に、僕は」

「あの男にはいい薬だよ。……あれ、名雲さんバイク持ってたのかな」

 興味なさげに、空いているスペースを見つめるケイ。

 木之本君は何とも言いようのない複雑な顔で、組み立て途中のバイクを見つめている。


 友達、先輩、仲間。

 幾つもの呼び方と、関係。

 決して楽しい事ばかりとは限らない。

 でもその中でしか、私達は生きていかれない。

 その人達と、共にしか。

 だからこそ私達は悩み、苦しみ。

 喜びを分かち合う事が出来る。    





 







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