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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第21話
225/596

21-4






     21-4




 伊達さんが来たからといって、私の生活に変化を及ぼす訳ではない。

 彼は名雲さん達と行動しているし、私は普通の高校生として過ごす。

 当然幾つかの接点はあるが、それ程重なってはいない。

 今の所は。

「どうしたの」

 制服を着て、オフィスへとやってくるニャン。

 私以外の子も、彼女へと視線を向ける。

「制服くらい着るわよ。女子高生なんだから」

「走ってないと、死ぬかと思ってた」

「人を、鮫みたいに言って」

「猫でしょ」  

 にゃーと鳴き、机を引っ掻く。

 誰が猫かって話だな。

「猫ちゃん、アジアGPはいいの?」

「いいの」

 制服の下から出てくる、金色のメダル。

 サトミはそれを手に取り、薄く微笑んだ。

「こういうのをもらう人って、本当にいるのね」

「サトミ、TV観てないの?ニャンがさーって駆け抜けて、わーって歓声が上がって、うわーって」

「観てたけど、そうでは無かったわよ」

 ごく冷静に返してくるサトミ。

 客観的にはそうだろうけど、主観としてはまるで違う。

 私なんて、何度観たか数え切れないくらい。

 新聞も雑誌も、全部取ってあるし。

 誰がファンって、私がファンだ。

「で、それを見せびらかせに来たの」

 鼻で笑いながら尋ねるケイ。

 金メダリストに対して、失礼な男だな。

「それもあるけど」

 あるのか。

 しかしこれって、中まで金なのかな。

 こすっても剥がれないから、薄いメッキでは無さそうだ。

「ちょっと。ユウユウ」

「だって」

「だってじゃないの。ショウ君、ユウユウの手の届かない所に隠して」

「え、ああ」

 私の手から強引にメダルを奪い、ショウへ放るニャン。

 投げるなっていうの。

 というか、どうして私が心配してるんだ。

「今度、体育祭があるでしょ。ユウユウはどうする?」

「出ない。大体あなた、アジアチャンプでしょ。どうやっても勝てないって」

「リレーは?」

「同じ。陸上部に勝てる訳がない」

 うちの陸上部はかなりレベルが高いし、リレーもアジアGPとはいかないが東海地区ではトップレベル。

 素人の私が太刀打ち出来る状態ではない。

「ハンディは」

「無いわよ、そんなの」

「メンバーは、私が選んでいい?」

「ご自由に」

 確か、渡瀬さんは足が速かった。

 サトミとモトちゃんは論外として。

「エントリーは、いつまで?」

「今月中。私達はシードされてるから、本予選で会いましょ」

「望む所よ。うわー」

「自分が叫んでるんじゃない」

 くすっと笑い、オフィスを出て行くニャン。

 いや、ライバルか。

 取りあえずメンバーを選んで、少し練習しよう。


「私は出ないわよ」

「当たり前でしょ」

 するとサトミは露骨に嫌そうな顔をして、こちらを睨んできた。

 足は遅いは、恨みがましいは。

 ちょっと頭が良いからって、とんでもないな。

「もう、あなたなんて知らないから」

「こっちこそ」

 二人してきーっと唸り、顔を反らす。

 重くなる空気。

 静まり返る室内。

 叩かれる肩。

「……何よ」

「メダル」

 素っ気なく呟くケイ。

 ああ、そんなのもあったな。

 いや。悠長に構えてる場合じゃない。

「ショウ。届けてきて」

「陸上部か。たまには走るかな」

 ストレッチしつつ、ロッカーの上にあったメダルを持って出ていくショウ。

 そう言う事を聞くと、私も行きたくなるな。

「いや、違う。。メンバーを選ばないと」

「出ないわよ」

「もう、いいって」

 今度も二人して笑い、卓上端末を引き寄せる。

「神代さんは?あの子、体格がいいじゃない」

「見た目はともかく、足は遅いみたい。どうも、人材不足だな」

「じゃあ、出るなよ」

 素っ気なく、正論を言ってくるケイ。 

 そうだね、と言う訳にもいかず腕を組んで知り合いを思い浮かべる。

「ニャン……、は陸上部か」

「あなた、大丈夫?」

「行き詰まってきた。少し、頭を冷やしてくる」



 ストローから口を離し、空になったコップをゴミ箱へ放る。

 相変わらず、人でごった返すラウンジ。

 自分もそれを構成する一人だと気付き、少し笑う。

 さてと。喉も潤ったし、何をしようかな。

「……何してる」

 低い、涼しげな声。

 顔を上げると、伊達さんが立っていた。

 これだけ人がいるから気付かないのは当然だが、知り合いの雰囲気には敏感な方。 

 特に彼は、多少なりとも警戒している相手。

 塩田さん程ではないが、気配を感じさせない人らしい。

「その。リレーのメンバーを捜してて」

「陸上部だったのか」

「いいえ」

 私を見つめてくる伊達さん。

 続く沈黙。

 重なる瞳。

「そうか」

 低く、先程より多少虚ろな口調。

 こういうのは慣れてるので気にしない。

 というか、気にしてたらきりがない。

「自分こそ、何してたんです」

「喉くらい渇く」

 ごく普通な、困惑する事もない答え。

 警戒している自分が、馬鹿しく思えるくらいの。

「名雲さん達は」

「いつも一緒にいる訳じゃない」

 聞けば答えてくれる。

 問題はないが、続かない。

 それは彼が悪いのか私が悪いのかは知らないが。


 とはいえすぐに別れるのもなんだと思い、開いているテーブルの片隅に座る。 

 買ってくれたジュースを前にして。

 へへ、得した。

「遊んでていいのか」

「自分こそ」

「俺はここの生徒じゃないし、大学卒業資格を持ってる」

「へー。優秀なんですね」

 ちろちろとジュースを飲み、紙パックのお腹をぺこぺこ押す。

 ストローを伝って登ってくるジュース。

 その感覚を十分に楽しんで、ストローを口から離す。

 いや。一人遊びしてる場合じゃない。

「舞地さんって、足早いですか?」

「遅くはないが、レースに出る程でもない」

「池上さんは」

「どちらかといえば、遅い。それに映未は、ここで勝負するタイプだ」

 自分の頭に触れる伊達さん。

 足の速さより、映未と名前を呼んだ事に反応しそうになる。

 柳君達から聞いてはいたが、本人の口から出てくるとまた違う印象がある。

「誰か、知りません?」

「俺は、ここの生徒じゃない」

 困惑、それとも呆れ気味の顔。

 当たり前だが、聞く相手を間違えた。

「あれ、あれは。白鳥さんと伊藤さん。あの人達、足長いし」

「雇うのか」

「雇うって、お金取るんですか」

「契約すれば、リレーくらい出てくれるだろ」

 淡々と語る伊達さん。

 ただ表情は、微かとはいえ笑い気味に見える。

 物静かな雰囲気だが、冗談も言うらしい。

「……ここの生徒じゃないなら、どうしてここにいるんです」

「厳しい質問だな」

 苦笑気味の表情。

 私はそれ程深い理由があって聞いた訳ではないが、彼はここに来た理由と取ったのだろう。

「いや。別にそんな深い意味じゃなくて、生徒じゃないならアパートで寝ててもいいと思って」

 言い訳というか、簡単に補足する。

 補足という程の内容でもないが。

「ここには、それなりの思い入れもある」

「ああ。昔、ここにいたんですね」

「よう。出戻り」


 軽い調子の声。

 視界に移る、塩田さんの姿。

 本当、いつの間に。

「塩田」

「俺は理由なんて聞かないからな」

「悪かったですね。馬鹿で、ストレートで」

「うるさいよ、お前は。大体、仕事はどうした」

 怖い顔で人を見下ろしてくる、ガーディアン連合議長。

 じゃあ、自分こそどうなんだ。

 塩田さんも私の意図に気付いたらしく、ごほんと咳をして伊達さんの隣へ座った。

「それはお前。性質の悪い学校外生徒が学内に侵入したっていうからさ。直々に、調査へ来たんだよ」

「話を聞くだけなら、他の人に任せればいいじゃないですか。また、モトちゃんに怒られても知りませんよ」

「あいつは男といちゃついてるから大丈夫だ」

 男、ね。

 こういう言い方をされると、ちょっとむかつく。

 名雲さんがどうこうではなく、モトちゃんと付き合ってる事に対して。

 これはもう、理屈じゃないな。

「お前、議長だと聞いたが」

「屋神さんが勝手に辞めたから、仕方なくさ」

「局長は」

「学校が抑えてるが、その下はこっちで抑えてる」

 簡単な情報伝達。

 伊達さんは小さく頷き、ラウンジの中央にいるジャージ姿の集団へ視線を向けた。

「SDCか。あそこの代表は直接俺の知り合いじゃないし協力関係でもないが、信頼出来る人間だ」

「三島さん並に?」

 低い、親しみと敬意のこもった口調。

 塩田さんは苦笑して、机の上に警棒を置いた。

「あの人と比べるのは酷さ。俺だって、屋神さんと比べればはるかにかすむ」

「気構えくらいはあるんだろ」

「それは間違いない。学校とやり合う訳じゃないが、こういう後輩もいる。学校が誰を雇おうと、何も問題ない」

 鋭くなる視線。

 それを平然と受け止める伊達さん。

 先程とは違う、張りつめた空気が二人の間に流れ出す。

 だがそれは一瞬で、塩田さんは軽く笑って彼の肩に触れた。

「とはいえ、お前もここにいた人間だ。一応、信用してやるよ」

「一応」

 苦笑して席を立った伊達さんは、胸元へ拳を持っていきそれを引き下ろした。

「叩かないのか」

「これの意味は知ってるだろ」

「俺相手には、叩けないって」

「叩いてもいいが、一応な」

 きびすを返し、速い足取りで去っていく伊達さん。

 塩田さんはその背中を見届ける事もなく、警棒を腰へ戻した。

「何か言いたそうだな。昔の友達なら、もっと仲良くしろって?」

「ええ、まあ」

「そうしたい所だが、相手の素性がはっきりしない内はどうしようもない。あいつが胸を叩かなかったように」

 厳しい、しかし現実を語る塩田さん。

 それは、頭では納得出来る。

 また、そうした方がいいのも分かる。

 舞地さんの時を、思い出すまでもなく。

 でも、モトちゃんの時はどうだっただろうか。

「人を信じるのは、お前に任せる。俺は、疑ってかかる」

「塩田さん」

「これでも、浦田よりはましだと思うけどな」

 苦笑して、やはり足早に去っていく塩田さん。

 かつての友達。 

 それとも、共に戦った仲間。

 だが、そんな存在すら疑わなければならない状況。

 それは誰が悪いのか、何のせいなのか。

 こういった状況を作り出したのは。

 行き着く先は、考えるまでもなく学校。

 では、本当に学校が悪いのかどうか。

 それに従わないのが、本当に正しいのか。

 感情だけは判断出来ない事。

 今の私には、余計に。

 答えのない問題なのかもしれない……。



「遅かったわね。見つかった?」

「伊達さんならいた」

「リレーのメンバーを探しに行ったんでしょ」

「あ、そうか」

 そう言えば、そんな事もあったっけ。

 覚えてるのは、ジュースをおごってもらった事くらい。

 塩田さんと伊達さんが言い合っていたが、話す事でもないし覚えてない。

 自分で色々考えてる内に、全部どこかへ消えた。

 人間、忘れるから次の事を覚えていける。

 今はそう、前向きに考えよう。

「それは、また探す。ショウ、メダルは届けてくれた?」

「ああ。これ、陸上部のタイム」

 端末に、データを転送してくるショウ。

 それを確認して、ドアへと向かう。

「また探しに行くの?」

「行くわよ。地の果てまでも」

「意気込みはいいけど、勝てる訳?」

 ごく冷静に、状況を確認してくるサトミ。

 勝てるも勝てないも、向こうは陸上部。

 常識的に判断すれば、勝ち目はない。

 ただし相手はニャン。

 そうなれば、こちらは一歩も譲る事は出来ない。

 例えから回りでも何だとしても。

 ニャンと私は、そういう関係だから。

「しかし、よくリレーに出ようなんて思うわね」

「譲れないのよ、これだけは」

「じゃあ、頑張って。まずは、メンバー集めをね」

 笑いながら指を差してくるサトミ。

 ガッツポーズでそれに答え、こっちも笑う。

 本当、頑張る位置が手前過ぎるな。

「とにかく、メンバーを選ばないと」

「他に、やる事はないのか」

「ない」

 はっきりと言い切り、もう一度頭の中で知り合いをチェックする。

 高畑さんは細いし、第一中学生か。

 強い子なら思い付くけど、早い子は出てこないな。

 陸上部レベルともなると、余計に。


「駄目だ」

「今までの生き方が?」

 ふざけた意見を聞き流し、スティックを背中に付けてドアへ向かう。

「少し探してくる」

「暗くなる前に帰ってくるのよ」

 よく分からない言葉が、背中に当たる。

 というか、もう外は夕暮れ。

 なんか、切ない気分になってきた。

「ショウ、付いてきて」

「どこ行く気なんだ」

「いいから」

 構わず彼を引っ張り、ドアを飛び出る。

 二人だったら、暗くたって寂しくない。



「恥ずかしいな」

 床へ学内の地図を広げ、ペンを滑らせる私。

 それを見下ろしながらの、ショウの発言。

「今恥を掻くか、リレーで恥を掻くか。どっちがいいの」

「もういい」

 やっと分かってくれた。

 何となく彼が遠ざかったようだが、気のせいだろう。

 えーと、今がここで。

 ここと、ここと、ここか。

「お待たせ。行こうか」

「どこでも行くさ。ここ以外なら」

「いいじゃない。床にしゃがむくらい。猫だって犬だって、床に這ってるんだしさ」

「犬や猫は、服を着ないしな」

 言いにくそうに呟くショウ。

 なるほど、そういう事か。

 道理で彼が、後ろに付いた訳だ。

 勿論眺めるためじゃなくて、そういう連中を遠ざけるためにね。

 これからはよく考えて行動しよう。

 でもって、今何をしているかは考えないでおこう。


 ただし学内の地図といっても、生徒会が1年生や編入生へ配布する物ではない。

 もっと用途の限定された、SDCの発行している物。

「サッカー」 

 ぽつりと漏らすショウ。

 彼は足元に転がってきたボールを軽く蹴り返し、相手の足元へ上手く落とした。

「知り合いなんていないだろ」

「じゃあ、あてでもあるの」

「空手部になら、いるかもな」

 鼻で笑うショウ。

 空手部は幾つかあるが、その幾つかと彼は昔から揉めている。

 確かに、迂闊に運動部を探し回るのも問題か。

 という訳で、知り合いはいないしつてもない。

 第一彼等も、何らかの競技に参加するだろうし。

「しかし、よく走るな」

 広いグラウンド。

 隊列を組み、掛け声を上げて走るジャージ姿の男の子達。

 日は暮れて、影は伸び、冷たい風も吹いてくる。

 そんな中、彼らはただ走り続ける。

 ショウが、憧憬に似た眼差しを向けるのも頷ける。

「あー」

「何叫んでるの」

 笑い気味に声を掛けてくる鶴木さん。

 腰に木刀を差した、道着姿で。

 まさか感極まりましたとは答えず、愛想良く微笑んで揉み手をする。

 鶴木流剣術宗家の長女にではなく、SDC代表に対して。

「リレーのメンバーをスカウトしに来たんですけど、知り合いがいないので」

「体育祭の事を言ってるの?陸上部が出るのに、リレーへ出る気?」

「陸上部が出るからです」

「ああ。あなた、猫木さんと友達だったわね。やる気があるというか、無謀というか。多分、誰を誘っても協力しないわよ」

 ほら見た事かという顔をするショウ。

 怒りが小さい頂点に達したので、咄嗟に脇腹を掴んで離脱する。

 今度は自分の脇腹を軽く掴み、くすぐったさに身をよじる。

「仲が良いわね、相変わらず」

「どこが」

 即座に、声を合わせて二人で答える。

 鶴木さんはくすっと笑い、腰の木刀へ手を触れた。

「それにSDC代表としては、陸上部の勝利を危うくするような事は見過ごせないし」

「やる気、ですか。ショウ」

「おう」

 素早く左右に分かれ、彼は正面へ、私は後ろへと回り込む。

 木刀のリーチと強度。

 そして何よりも、彼女の実力。

 ただし、こちらは二人。

 共に戦うのは、誰よりも信頼出来る人間。

 負けるという言葉が、遠く遥かへかすむ。  


 無造作とも言える、上段からの振り下ろし。

 ただし岩をも砕く勢いのそれをかわし、ショウが素早く懐へ飛び込む。

 地面を舐め、跳ね上がってくる木刀。

 顎を引いてかわすショウ。

 鶴木さんは素早く片手に持ち替え、木刀を後ろへ振った。

 鼻先をかする切っ先。

 風圧を肌で感じつつ、肩を伸ばしての突きをかわして下から手首を叩く。

 そう思ったのもつかの間。

 手首が掴まれ、空が足元へ見える。

 こちらはそれ以上の速度で回転を速め、逆に鶴木さんを跳ね飛ばす。

「っと」

 地面へ落ちかけた鶴木さんを、スライディング気味に受け止めるショウ。

 彼の動きは見ていたし、だからこそ今のアクションを仕掛けた。

 勿論彼女も、そのくらいは分かっていただろうが。

「さすが」

 ショウの手を借り、優雅に立ち上がる鶴木さん。 

 顔もプロポーションもいいので、様になっている。

 多少、胸のどこかでむにゃむにゃしないでもないが。

 遠縁という事で、取りあえずはそれを収める。

「本気じゃなかっただろ」

「当たり前でしょ。あなた達に負ける訳無いじゃない」

 自信に満ちた顔と言葉。

 その辺は言いたい事もあるが、それくらいの気概がなければSDC代表を務められないだろう。

 なにより、武道家としても。

「とにかく、運動部を勧誘するのは禁止。ガーディアン対SDCなんて事にしたくないでしょ」

「はいはい。じゃあ、よそを当たります」



 さすがに逆らう訳にはいかないし、何より知り合いがいないのですぐに諦める。

 外はもう暗いので、ラウンジで一服。

 子供の頃なら、家に帰ってご飯を食べる頃。

 そう思うと、我ながら年をとった。

 などと言う程の年でもないが。

「誰かいない?」

「サトミじゃ駄目なのか」

「本気で言ってる?」

「そう聞かれると、俺も困る」

 苦笑してコーラに口を付けるショウ。

 私は何も飲まず、彼のコーラを見つめる。

 別に飲みたい訳じゃない。

 ただ、もう見たくないというレベルでもない。

「なんか、騒いでないか」

「有名人でもいるんじゃない」

 コーラから目を離さず、おざなりに答える。

 オレンジコーラだって。

 得体が知れない分、興味はそそるな。

「暴れてるみたいだぞ」

「暴れ馬でもいるんじゃない」

 コップを裏返しにして、コピーを読んでみる。

 コーラとオレンジ。

 あり得なかった出会い、それは新しい可能性への第一歩。

 書いてる事はすごいが、美味しいかどうかは触れてない。

「後で買ってやるから」

「あ、そう」

 スティックを背中へ戻し、素早く椅子から飛び降りる。

 別に買ってもらえるのを待ってた訳ではなく、他のガーディアンが来ないかを待ってただけだ。

 ここを受け持つガーディアンもいるだろうし、そう出しゃばっていても仕方ないから。



 入り口の手前辺り。

 野次馬が大勢いて、私からは何も見えない。

「どう」

 野次馬より、頭一つ高いショウへ尋ねる。

 なんか、鏡を使って見てるみたいだな。

「柄の悪そうな奴が、警棒を構えてる」

「どうして」

「本人に聞くしかないだろ」

「なるほどね」

 手前にいる野次馬へ声を掛け、少しずつ通路を確保する。

 やがて見えてくる、その柄の悪い男。

「傭兵、かな」

「それこそ、何のために暴れてるんだ」

「聞いてみれば」

「なるほどね」

 鼻を鳴らし、男の前に飛び出すショウ。

 一瞬にして引き締まる周囲の空気。

 私もすぐに後へ続き、辺りを見渡す。

 武器を持っているのは、ショウが向かい合っている男だけ。

 しかし柄の悪いのは、その側に何人かいる。

「武器を捨てろ。関係者は、全員俺の前に出てこい」

「誰だ、お前」

「俺が誰だか、関係あるのか」

 低く言い放つショウ。

 慌てて身を引く男達。

 威圧感、佇まい、そこから推測出来る実力。

 何もかもが、先程対峙した鶴木さんとは比べ物にならない。

 勿論あれ程の人間が何人もいるようでは、こちらが困るが。


「相変わらず、やってるね」

 静かな、しかしその底に見える独特の迫力。

 沢さんは飄々とした足取りで私達の側までやって来て、一緒にいたガーディアン達へ彼等を拘束するよう指示を出した。

「どうしたんです」

「傭兵らしいって聞いたから。それに、伊達君がいるし」

 変わらない、物静かな態度。

 普通には分からない、独特な迫力も。

「彼を信頼出来ないとでも?」

「名雲君達は生徒会長の命に従うという契約をしてるから、行動の予測は付く」

「知ってたんですか」

「まあね」

 遠巻きにしている野次馬を眺めつつ、連れ去られていく男達の後に続く沢さん。

 私達もすぐ、その横へ並ぶ。

「それに最近はここに居着いてるから、行動パターンを把握してる。彼等も、この学校や生徒に情もあるだろう」

「伊達さんは、違うとでも?」

「この1年余りの行動は、殆ど伝聞でしか知らない」

「昔の伊達さんは、信頼出来てたんですよね」

「どうかな。僕はフリーガーディアンで、彼は渡り鳥。元々、相容れない存在さ」



 沢さんの執務室に居合わせるのは、私とショウ。

 沢さんに、副隊長である七尾君。

「でも、一緒に仕事をした事はあるって」

「あるよ。今みたいに気楽そうにしてる彼等じゃなくて、もっと張りつめた雰囲気の彼等とか」

「え?」

「出会った頃は、そんな感じだった。特に、名雲君は」

 鼻で笑う沢さん。

 酷薄に、と言った方が正確だろうか。

「初めにその彼と行動してたのは、伊達君。舞地さん達と一緒になったのは、その後」

「今でも、それが変わらないと?」

「さあね。彼がどうだろうと、興味はない」

 非情とも言える、ただケイにも似た答え。

 沢さんは卓上端末のキーから手を離し、画面を消した。

「ただ、彼が何かをやった時は別だ。その時は、僕もそれなりのアクションをする」

「そうなると思ってるんですか?以前、伊達さんはここにいたんですよね」

「あの時と同じ彼なら、僕や塩田君は何も心配しない。でも、1年以上の間がある。良しに付け悪しきに付け、人は変わる。彼が変わらないという理由もない」

 こちらへ向けられる視線。

 私の意図を尋ねるような。

「私は伊達さんの事は知らないし、昔の事もよく知らないけど。彼を信じるのは、悪い事なんですか」

「人としては、その方がいい。組織を守るため、自分の利益を守るためなら疑った方がいい」

「沢さんも、疑ってるんですか」

「信じる理由がない。不意に彼が現れた理由。名雲君や、……池上さんとのつながり。そこを利用して付けいってこないとも限らない」

 淡々と語る沢さん。

 ショウは黙ったまま。

 七尾君も、同様。

 ただ、彼等の意図が同じかどうかは分からない。

「君達は静かだね」

「俺は、大体ユウと同意見なので」

「なる程。じゃあ、七尾君は」

「俺、ですか」

 普段と変わらない、軽い感じ。

 とはいえ話の内容や意味は、彼も理解しているはずだ。

「その伊達さん会った事無いし、傭兵と言ってもピンと来ないし。何かあったら、考えればいいんじゃないですか」

 やはり、今までと変わらない答え。

 来るものは迎え撃つ、それ以外には関わらないとでもいう具合の。

「気付いたら、君の首元に噛みついてるかも知れないよ」

「俺は、狙われるような事はしてません」

「敵対するグループの一員と思われたら?玲阿君程の実力ではないけど、僕なら相手にしないね」

「困ったな、それは」

 全然困ってない顔。

 どうもこの人は、何を考えてるか分かりにくい。

「それと僕達が警戒しなくても、自警局は監視してる」

「学校の仲間ではないって事ですか?」

「そう思わせるカムフラージュかも知れない。伊達君はそういう小細工をするタイプじゃないが、出来ない訳でもない。池上さん達が協力すれば、明日にでもこの学校は彼等の支配下に入る」

 あくまでも落ち着いた態度を崩さない沢さん。

 語られた内容に動揺しかけるが、そういう可能性は頭の片隅にあった。

 彼等は、何といっても昔からの仲間。

 言ってみれば、私達とは比べ物にならないつながりを持った。

 共に戦い、共に過ごし、共に同じ感情を抱いただろうはずの。

 沢さんの言った事を否定するのは簡単だが、その根拠は思い付かない。

「どちらにしろ、今伊達君が何かをしてる訳じゃない」

 一瞬緩む空気。

 だが沢さんは、すぐに言葉を続ける。

「最近、傭兵らしい連中がやたら入り込んでるのが気になる。学校の意図なのか、例の金髪達が絡んでるのか。何にしろ、あまり良くない兆候ではある」

「それと、伊達さんが関係してるんですか」

「分からないから、打つ手もない。七尾君の意見通り、待つしかないね」

「そうそう。絶対悪い事が起きるって決まった訳でもないんだし」

 先程同様の、気楽な台詞。

 勘に障るような物ではないが、今の私の気分とは少しずれている。

 ただそれは彼が悪いのではなく、私が一方的に思い詰めているだけだ。

 伊達さんへというより、池上さんに。

 舞地さんの時の事を考えれば、余計に。

「俺から、一ついいかな」

「え、うん」

「話を聞いてると、池上さんとその伊達さんが訳ありみたいだけど。肝心の池上さんは、なんか言ってるの?変な事をしてるとか」

 特に気まずさも感じさせず尋ねてくる七尾君。

 一応頭のの中で整理して、口を開く。

「別に、何も。私が勝手に、気にしてるだけで」

「そう。玲阿君は」

「俺も同じだ」

「ふーん。人がいいというか、先輩思いというか」

 苦笑気味の口調。

 やはり私達を小馬鹿にしてる様子はなく、そこからは好意的な感情が伝わってくる。

 彼自身の、具体的な気持は分からないが。

「取り合えず、目先から片付けていったら」

「目先って?」

「さっき捕まえてきた馬鹿達に、色々聞くとか」



 尋問室。

 壁を背にして座る男。

 ドアを背にするのは、相変わらず気楽そうな七尾君。

「転校じゃなくて、短期に来てるだけと」

 私もさっきチェックした、簡単な履歴。

 これがどこまで本当かは分からないが、他に身元を示す情報はない。

「さっきは、どうして暴れてた」

「お前に言う理由があるのか」

「言いたくないなら、警察で話してもらうだけさ」

 通常、あの程度なら警察に連絡すらしない。

 しかしそれを知らないのか、男は顔色を変え七尾君を睨み付けた。

「俺としては、それでもいい。書類を書く手間も省けるし、お前と顔を付き合わせなくても済む」

「ま、待て。大した理由じゃない。ただちょっと、目立とうと思っただけだ」

「あんな事をすれば,捕まるのは分かってるだろ」

「身元はすぐに引き受ける約束だった」

 軽く頷く七尾君。

 彼は端末を手に取り、どこかと連絡を取った。

「雇い主は誰だ」

「言えるか」

「じゃあ、ここへ来た理由は」

「人捜しだ」

 もう一度頷く七尾君。

 彼は彼は手の中でペンを何度か回し、薄く笑ってそれを止めた。

「釈放だ。ここから出てけ」

「あ、ああ」

「二度と来るな」

 飛び出ていく男。

 これ以上念を押さなくても、あの男を見る事はないだろう。

 このオフィスでではなく、この学校。

 もしかしたら、この街では。

「脅すな」

「人聞きが悪い。俺は、釈放してやったのに」

 ショウから放られたペンを受け取る七尾君。

 気付いた時にはペンは彼の手を離れ、男の目元をかすめてショウの手へと収まっていた。

「手元が狂ったんだよ。で、探してたのはやっぱり例の伊達さんかな」

「可能性としては、俺も認める。傭兵が追う相手で、最近学校に来た人間を考えれば」

「今の男の証言を信じるなら、という注釈も付く。それに俺としては、暴れた理由も気になる。今確かめたら、同時に他の場所でも何人かが暴れてた」

 こちらへ向けられる、卓上端末の画面。

 赤く点灯する数カ所の地点。

 この教棟だけでなく、他の教棟やグラウンドまでもそれは及ぶ。

「人捜しは一旦置いておくとして。これは、シミュレーションかな」

「俺達というか、ガーディアンが対応出来るかっていう?じゃあ、誰がやらせたんだ」

「それが分かったら苦労しない。あの男も、直接黒幕に雇われた訳じゃないだろうし。知らない奴の名前が出て終わりさ」

 肩をすくめて笑う七尾君。

 ショウも同様に肩をすくめ、私を見てきた。

「よく、そこまで分かるね」

「あくまでも、推測だよ。その伊達さんじゃないけど、証拠は無い」

「でも、怪しいと思うの?」

「この辺りは勘さ。証拠も何も関係ない。何を信じるかって事でしかない」

 やや表情を改めて語る七尾君。

 私とショウは彼に頷き、お互いの顔を見た。

 曖昧な、何を信じるのかという言い方。

 きっと彼は、こういう意図を込めたのだろう。

 誰を信じるのかという……。 



「こんにちは」

「どうしたの」

 笑顔で出迎えてくる、直属班の人。

 彼女に挨拶をして、それとなく室内を見渡す。

「池上さんは?」

「ちょっと出掛けてる。舞地さんなら、奥にいるわよ」

「どうも」

 隊長用の執務室。

 舞地さんの札が掛かっているのを確認して、中に入る。

 少し開いているドアから、中を見つつ。



 まず見えたのは、壁を背にしている伊達さん。

 お互いは知り合いだから、いてもおかしくはない。

 多少の緊張を感じつつ、ドアを閉める。

 彼の前には、舞地さん。

 二人とも向かい合ってはいるが、話をしている様子はない。

 仕方ないので二人の間に座り、スティックを机に置く。


 相変わらず、何も言わない二人。

 私から切り出すには、時機を逸している。

 重くはないが、沈黙は続いたまま。 

 この二人は、いつからこうしているのだろうか。

 それ以前に、何をしているのだろうか。

 何も言わずに、ただ黙って部屋にこもって。

 さながら、猫の集会だな。

 とはいえ私から話す事もないので、大人しくちんまり座る。

 何か、鼻が出てきたな。 

 すするのもあれだし、ティッシュを取り出す。 

 ポケットを探り、飴を出す。

 ガムも出す。

 ケーキ屋さんの割引券も。

 あった。

 ぐずぐずと鼻を拭き、ティッシュを丸めてゴミ箱へ放る。

 まだ、むずむずするな。

 小さいのに、機能だけは作用してる。

 駄目だ、また出てきた。

 もう一度ティシュッを取り出し、鼻をかむ。

 静かな室内に響く音。

 構わずもう一枚出して、口元を拭く。

 別に意味はなくて、気分的に。

「あー」

「うるさい」

 ようやく声を出す舞地さん。

 私は丸めたティッシュをゴミ箱へ放り、鼻をこすった。

「いいじゃない、鼻が出るんだから」

 言い訳にもならない事を言って、鏡を取り出し顔を見る。

 何か、赤くなってるな。 

 というか、かなり間抜けな顔になってる。

「どうしよう」

「何が」

「鼻が赤い」

「それがどうした」

 怖い事を言う人だな。

 可愛い後輩が悩みを告白したのに、他に言う事は無いんだろうか。

「マスクとか無いの」

「マスクも仮面も何もない」

「あ、そう。そのキャップ貸してよ」

 彼女の手が伸びる前に、机にあった赤いキャップをひったくる。

 後ろのストラップで長さを調整してと。

 元々大きいキャップなので、深く被れば顔は隠れる。

 前は駄目だが、足元さえ見えていれば問題ない。

「じゃあね」

「何しに来た」

 背中に当たる声へ手を振り、部屋を出る。


「……誰、あなた」

 上の方からする声。

 足元に見える、長い足。

「舞地真理依」

「随分縮んだのね」

「がっ」

 素早く吠えて、脇に手を伸ばす。

 しかし行動パターンを読まれてるらしく、私の手が空を掴む。

 同時に頭が軽くなる感覚。

「その鼻、どうしたの」 

 人の顔を見て、うしゃうしゃ笑う池上さん。

 人の心配をよそに、いい気なものだ。

「かみ過ぎたの」

「あなた、鼻が弱いんじゃない?」

「改めて言われなくても分かってる」 

 もう一度鼻をこすり、受け取ったキャップを被る。

 紙袋を抱えている池上さんを眺めながら。

「どうしたの」

「あの二人が、部屋で何してるのかと思って」

「ああ、真理依と伊達君。大抵、あんな風よ」

 苦笑気味の表情。

 それ程見た事のない、親しみと優しさのこもった。

「ずっと?」

「愛想良く話し込む真理依っていうのも、想像出来ないでしょ」

「そうだけど。あっちの、伊達さんは?」

「自分の事を言わない男なの。愛想が無いというか、何を考えてるのか私が知りたい」

 肩をすくめる池上さん。

 駄目な子を見守るような顔で。

「付き合ってたんじゃないの」

「期待に添えなくて残念だけど、そこまでの関係じゃない。他の男の子よりは親しかったのは確かでも、恋人と呼ぶには無理があるわね」

 特に焦ったり、言い繕う様子はない。

 ただ事実を告げる。

 もしくは、彼女の本心を告げる気持が伝わってくるだけで。

「私の世話を焼くより、玲阿君とデートでもしてきたら」

「私達こそ、恋人という訳でも。それはその。あれ。私の感情や希望と、彼の感情や気持は別だから」

「本当に、違うの?」

 からかうように、人の顔を覗き込んでくる池上さん。

 少し下がり気味の、綺麗な瞳。

 鼻をくすぐる、コロンの香り。

 胸の鼓動を感じつつ、キャップを深く被って視線を避ける。

「ねえ」

「うるさいな」

「雪ちゃーん」

 背中に感じる柔らかな感触。

 前に回ってくる、長い腕。 

 どこを触ってるんだ、どこを。

「止めて」

「いいじゃない。お姉さんといい事しましょうよ」

「馬鹿じゃない。大体、女同士で」

「女同士が駄目って、誰が決めたの」

 そう言われたら、どうしようもない。

 というか、言いようがない。

「ひゃっ」

 変な声を上げて飛び退く池上さん。 

 頬を赤らめ、体を小さくしながら。

「ど、どこ触ってるの」

「自分だって」

「雪ちゃんなんて、触る所が無いじゃない」

 それもそうだ。

 何て納得する訳もなく、手を前に出して指をわしゃわしゃ動かす。 

「ちょっと、きゃっ。いやーっ」

「へへっ。その顔が見たいのよ」

「ば、馬鹿っ。だ、誰かーっ」

「呼んでも無駄よ。ここは私と……」

 背後に気配。

 素早く池上さんから離れ、足を後ろへ振り上げる。

 頭上で重なる、足首と足首。

「何してる」

「自分こそ」

 舞地さんと同時に足を降ろし、キャップを放る。

 それは弧を描いて飛んでいき、舞地さんの頭へと被さった。

 鍔が、後ろに向いたままで。

 それはそれで、可愛いと思う。

 本人も直さないし、問題ない。

「仲が良いな」

 苦笑気味の低い声。

 ドアの側に立っていた伊達さんが、腕を組んでこちらを眺めている。

「お前達って、昔からそうだったか」

「そうよ。あなたがいない間に、私達は変わったのよ」

 冗談っぽく舞地さんの肩を抱く池上さん。

 舞地さんも表情を変えず、彼女の腰に手を回した。

「何をしてるんだか」

「あなたには言われたくない」

 伸びてきた池上さんの指を掴み、ひゃっという声を上げさせてドアへ向かう。

「一体、何しに来たの」

 今度こそ部屋を出て、なだらかな胸をなで下ろす。

 それは私が聞きたいとは、言いようもないし。


 どちらにしろ、心配は無さそうだ。

 少なくとも、今の所は。

 また、私があれこれ気に病む事ではない。 

 それもまた、今の所は。












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