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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第21話
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     21-3




「もう、研修はやらない?」

「そう。統合が早まる可能性の方が高いし、適性テストの結果も考慮して」

 例により、連合の議長執務室。

 すっかしそこに収まり、机に書類を滑らせるモトちゃん。

「なんか、遠回しに役立たず扱いされてるみたいだな」

「拗ねないで。結果は数値を判断してるだけで、個人の判断じゃないの」

「うーん」

 やれと言われるのも嫌だけど、やれないと言われるのも楽しくはない。

「どうしても研修を受けたいなら、それは構わないわよ。高レベルに到達するまで時間が掛かるというだけで、努力すれば一定のレベルにはなるから」

「要は、並って事?」

「そういう訳。ちなみに私は、配属変更を推奨するという結果」

 肩をすくめ、卓上端末の画面を指さすモトちゃん。

 各種の項目ごとに点数が付けてあり、欄の最後にトータルの評価が記されている。 

 私はB-、モトちゃんはD。

 他の人も載っていて、沢さんがA++でトップ。

 塩田さんと風間さんに七尾君がA+。

 沙紀ちゃんがAで、意外に矢加部さんも同ランク。

「サトミは?」

「あの子も、私と大差ない」

「頭良いのに?」

「現場の指揮は、また別なのよ。参謀や補佐役には適していても、実際の指揮となれば軍事的な能力や勘が必要になるから」

 軍事的な勘、ね。

「どうかした?」

「矢加部さんも評価が高いじゃない」

「あの子はお父様の補佐をしたりして、人に指示を出したり組織を動かす事に慣れてるのよ。つまり、子供の頃から研修を受けてるようなもの」

「ふーん。どうでもいいけどね」

 自分で聞いておいて、そう呟く。

 あの子がどうしようと私には関係ないし、興味もない。

 じゃあ聞くなという話だけど。

「あれは、あれ。ケイ」

「ケイ君?あの子、テスト受けてたかな……。ああ。生徒会の方に入ってる」

 別なファイルを開き、ケイのデータを表示させる。

「Aになってる。でも、こういうのは向いてるのかな」

「人間性はともかく、機転は利くから」

 誉めてるのかけなしてるのか、分からないコメント。

 とはいえAはテストを受けた全体でも、1%に過ぎない人数。

 彼が類い希な能力を持ってるのは、間違いない。

「ショウはどう?」

「かろうじてA。今後の努力次第ね」

「ふーん。じゃあ、あのは研修受けさせて」

「それなんだけど。軍の方からクレームが来たの。今から変な癖を付けると後で苦労するかも知れないから、取りあえずは歩兵として扱ってくれって」

 歩兵って。

 とはいえここで変に上官気取りになってもなんだし、その方がいいのかも知れない。

 そういう問題は、微かにも問題ない人だけどね。

「舞地さん達はないの?」

「テスト受けてもらうのもどうかと思ったし、そういう事をしてきたんだから高得点を取るのも分かってるでしょ」

「でも、あの人達はそれ程大人数では行動しないよ。上下組織じゃなくて、横のつながりみたいだし」

「まあね。どちらにしろ、隊長候補は確保出来たから大丈夫。それに舞地さん達は卒業するから、頼りたくても頼れないし」 

 肩をすくめるモトちゃん。

 しかし寂しげな様子はあまり感じられない。

 落ち着いた、先を見通すような眼差しくらいしか。

 友情、信頼。

 それとは違う、現実を。



 とにかく、研修は受けなくてよくなった。

 時間が空いた訳では無いにしろ、気は楽になったといっていい。

 オフィスに入ると、サトミが棚から本を出していた。

 均整の取れたプロポーション。

 床に落ちる影ですら、恋する人が現れるような。

 しかし、Dね。

「どうかした」

 私を見て、次に胸を押さえるサトミ。

 なにやら、ただならぬ気配を感じたらしい。

 というか、私が見てたんだけどさ。

「Cくらいじゃないの」

「あなたはどうなの」

「私?私はAくらいじゃない」

 自分でも胸を押さえ、小首を傾げる。

 いや。Aどころの騒ぎじゃないな。

「えー?って言いたくなった」

「面白くないわよ」

「そんな事は分かってる」

 咄嗟にサトミの胸に触れ、手を丸める。

 多分、普通はこうなるはず。

 私の場合は、真っ直ぐなまま。

 気を付けしてる訳でも無いんだから。

「ユウも、それなりには。それなりには」

 人の胸に手を触れ、そのまま絶句するサトミ。

 どうも、慰めの言葉も見つからなかったらしい。

 でもって私を抱きしめ、押し黙った。

 私も彼女にしがみつき、その胸に顔を埋める。

 というか、どうして顔の位置に胸があるんだか。


「相撲でもとってるのか」

 冷やかしもせず、下らない事を言ってくるケイ。

 でもって大して感心も払わず、ゲームを始めた。

 抱き合ってる女の子よりも、ぼろ負けするゲームか。

 意味が分かんないな。

 一緒に入ってきたショウは、こちらを見ようともしないけど。

「集団指揮のテスト結果、聞いたよ」

「私はコメントする権利無し」

 サトミは軽く両手を上げ、首を振った。

 とはいえ結果が悪かった事を気にしてる雰囲気はない。

「私は補佐タイプだし、向いてないのよ」

「私だって、指揮するタイプじゃないけど」

「少なくとも、ここでは指揮を執ってるじゃない」

 自分とケイ、何故かクルミを食べてるショウを指さすサトミ。

 それはそうだけど、実感はないし能力的にはサトミ達の方があらゆる面で上。

 大体3人相手で、指揮って言うの?

「Aだって、ケイが」

「悪知恵が働くもの」

 彼を目の前にして、平然と言い放つサトミ。

 普段よりも穏やかで、優しい顔で。

 ケイはぼろ負けのゲームをようやく止めて、私達を指差した。

「正攻法で対処するから、結果が良くないんだよ」

「ショウも、Aじゃない」

「こいつの場合は、指揮官個人の能力も加味されてる。何にしろ、しばらくは歩兵として頑張ってくれ」

 肩を叩かれ、生真面目に頷くショウ。

 からかわれてるのに、気付いてないらしい。 

 本当いい性格というか、騙されやすいというか。

 そこが彼のいいところだけどね。 


「こんにちは」 

 ぴょこりと飛び込んでくる柳君。

 相変わらず、抱きしめたくなるくらい可愛いな。

 勿論抱きしめないし、それならショウに抱きつくけどさ。 

「池上さんが言ってたよ。浦田君が襲ってくるって」

「あの女。それより、例のカードはどうやって金を引き出す」

「カードがあっても、パスは他に3つくらい必要だから難しいよ。それよりも、地道に働いたら」 

 優しく諭す柳君。

 ケイは腕を組み、難しい顔で地面を睨んだ。

「やっぱり、あの女達をどうにかするか」

「でも、必ず舞地さん達が持ってるとは限らないからね。白鳥さん達が持ってるかも知れないし、吉家さん達が持ってるかも知れない。パスを知ってるのは別な人だし」

 すると、カードは全国津々浦々を巡っている訳か。

 それを探しに行っても、実は違う人が持ってますって事になるかも知れないんだし。

 やっぱり、地道に働いた方が良さそうだ。


「こんにちは」 

 また、ぴょこりと可愛い子が入ってきた。

「渡瀬さん。どうかしたの」

「お届け物を持ってきました。 取りあえず、これを読んでおいて下さいって」

 机の上に置かれる、数冊の本。

 マニュアルと規則、副読本。

「何、これ」

「統合後の規則原案と、隊長クラスのマニュアルです。沙紀さんが、どうぞって」

「どうぞって言われても。どうぞ」

 サトミの方へ押し出して、気を楽にする。

 私には、もう関係ない。

 とりあえず今は、そういう事にしておこう。

「あ、こんにちは」

「こんにちは」

 可愛い顔同士で挨拶を交わす、柳君と渡瀬さん。

 お互いニコニコして、楽しそうだな。

 何が楽しいのかは、全然分からないけど。

「相棒は」

「ナオは仕事してます。書類をめくってましたよ」

 どんな仕事だ、それ。

 私みたいな事を言う子だな。

「あなたは、戻らなくていいの?」

「人間、慌てるとろくな事がありません」

「ユウみたいな子ね」

 笑顔と共に押し戻される本。

 また文字ばっかりだな、当たり前だけど。

「柳さんは、戻らなくていいんですか」

「大丈夫。僕は、浦田君の側にさえいれば」

「怖い事を言うな」

 しかし、まんざらでもないという顔をするケイ。 

 何が怖いって、この二人の関係が一番怖い。


「よう。柳はいるか」

「いるよ」

 ニコニコ答える柳君。

 名雲さんはその頭を撫で、机の上に座った。

「そこは、椅子ではありません」

「固い事言うなよ」

「もう一度言いましょうか」

 にこりと微笑むサトミ。

 そこから何を感じたのか、名雲さんは慌てて床へ飛び降りた。

「それで、何か御用ですか」

「いや。用って訳でもないけど。……なんだお前、小さいな」

「そうですか」

「雪野よりは大きいけどさ。……冗談だよ」

 今度は壁際へ飛び退く名雲さん。

 しかも、冗談ではないから嫌になってくる。

 本当、この学校に私より小さい子はいるのかな。

「もっと、楽しい話題はないの」

「これ以上楽しい話題が、どこにあるんだ」

 げらげら笑う男の脇腹を突き、床にひれ伏させる。

 本当に懲りないな。

「わ、脇を……」

「邪魔ね。何とかして」

 ショウに顎を振るサトミ。

 ケイはずるずると引き起こされ、脇を押さえたまま机に伏せた。

「雪野さん、いくら何でも」

「いいのよ。このくらいやらないと分からないから」

「そうそう」

 こくこく頷く柳君。

 この人は、ケイがぼろぼろになると妙に楽しそうだな。

「浦田さんって、いつもやられてますね」

「俺はこの中で、最下層に属する人間なんだよ」

「私は年下ですよ」

「そういうのに関係なく。俺は駄目な人間なんだ」

 自覚はあるのか。

 よかった、よかった。

「でも私は、頭も良くないし。ケンカも全然」

「お前な。ここにいる人間と比べるな。学年トップに、学内最強だぞ」

 包容力ある笑顔を浮かべる名雲さん。

 渡瀬さんも柔らかく微笑み、手の平をこすり合わせた。

 行動の意味は理解出来ないが、気持は十分に分かる。

「大体、お前も強いんだろ」

「いえ。この前、御剣君に負けましたから」

「御剣?ああ、あのでかい奴か」

「玲阿君の親戚でしょ。ふーん、へー」

 目を輝かせる柳君。

 可愛らしい顔に宿る、熱気を帯びた表情。

 戦う事に価値を見いだす、生きて行くには必要ではない感覚。

 ただそれも、私には理解出来る。

「その後、ケイが倒したけどね」

「お前は、何をやってるんだ」

「一応は、先輩の威厳を示さないと。渡瀬さんは、一度このお兄さんに教わったら?我流の戦い方って言うのを勉強してもいいと思うよ」

 柳君の肩を叩き、ショウにも顎を振るケイ。

 渡瀬さんはおずおずと頷き、二人に頭を下げた。


 やや閑散とするオフィス内。

 というか元々狭いので、このくらいでちょうどいい。

 さっきまでは、圧迫感があり過ぎたとも言える。

「お前は、誰でもやっつけるんだな」

「舞地さんには負けますけどね」

 鼻を押さえるケイ。

 そういえば、夏休み前に鼻血を吹いてたな。

「それより、舞地さん達は大丈夫なんですか」

「今の所は」

「例の金髪達が計画してるって可能性は」

「情報を流すくらいはやってるだろ。ただ、あいつらも俺達がどういう人間かは分かってるさ。それに沢や、忍者もいる。変に暴れて目を付けられたらどうなるか、その程度の判断は付くだろ」

 淡々と説明する名雲さん。

 ケイは何となく笑い気味に、床を見つめている。

 ろくでもない事を考えてるのか、何かがおかしいのか。

 少なくとも、私には理解出来ない事柄が頭の中に描かれてるのだろう。

「本当に、大丈夫なんですか」

「この程度でどうにかなるなら、渡り鳥だワイルドギースだなんて呼ばれてない。自分の身を守るのは、基本中の基本だぜ」

「でも舞地さんや映未さんは、女性じゃないですか」

「だからこそさ。例えば大内がどういう生活をしてるか、教えてやりたいよ」

 若干不安げなサトミに対して、声を出して笑う名雲さん。

 どうも緊迫感が無いというか、焦ってるのは私達だけだな。

「浦田は心配しないのか」

「金の心配なら、いくらでもします」

「分かったよ、もう。お前から受け取った分は、俺が責任を持って返す」

「だったら、舞地さん達の心配もしましょう」

 何言ってるんだ、この人は。

 しかし名雲さんは気にした様子もなく、ドアへ顎を振った。

「あの小さいのを外へ出したのも、このためだろ」

「柳君はともかく、渡瀬さんを巻き込むのもどうかと思いまして」

「何の話」

「今から、浦田がする話さ」


 自然とケイへ集まる視線。

 といっても、私とサトミと名雲さんしかいないけど。

「じゃあ、お前の考えを聞こうか」

「まず、寮で襲った点が気になるんですよね。学内ならガーディアンに殴られて終わり。でも寮では、不法侵入と暴行で警察に身柄を引き渡される。良くて矯正施設、悪ければ刑事罰でしょうから」

「だったら、どうしてあの連中は寮に来たの?」

「1.そんな事も気にならないくらい馬鹿。2.そんな事が気にならないくらい、舞地さん達に恨みがある。3.寮で襲っても簡単に逃げられるし、捕まっても大丈夫だという情報を受け取っていた」

 明らかに引っかかるのは、3のケース。 

 また可能性としても、3を考えたくなる。

「3の理由は?」

「その情報を送ったのが、例の金髪達だとして。この一件で、何人かが捕まった。警察に引き渡され、背後関係も調べられる。つまり、そのグループはある程度のダメージを受ける」

「仲間割れって言う事?」

 私の視線を受け、名雲さんへ顔を向けるケイ。 

 自然と私も、そちらへ視線を動かす。

「連中は幾つもグループがあって、ただしそれ程仲がいい訳じゃない。寝返り、裏切りなんて普通にある。一応上部組織というか、そういう馬鹿連中を取りまとめるグループもあるけどな。つまり、そういう奴同士で潰し合ってる訳だ。今回が、そうなのかは知らないが」

 そういう訳か。

 しかし寮で襲われたというだけで、よくそこまで推測出来るな。

「その上部組織っていうのも、結構怪しいですけどね。上納金を取ってるんでしょう」

「ああ。傭兵はそれなりに人数がいるから、額もそれなりになる」

「その上部組織って、一体何なんですか」

「暴力団や、東南アジア系のマフィアが背後にいるとは言われてる」

「その暴力団やマフィアが、実際に出てきた事は?」 

 サトミの問い掛けに、口を閉ざす名雲さん。

 何だ、それ。

「そういう連中とやり合った事はある。ただ傭兵と関係がある場面では、かなり限られてる」

「つまり、つながりは不明だと」

「まあな」

「だからその辺の話を作って、信じる馬鹿から金を巻き上げてるんじゃないの」

 皮肉っぽく、彼らしい顔で笑うケイ。

 もしかして、その計画を立てたのが彼だと言われても信じられるくらいの。

「お前は、本当に悪いな」

「推測ですよ、推測。もしそうなら、面白いじゃないですか」

「で、話を戻すけど。今回の件はどう思う」

「情報がない分、それこそ分かりません。ただ、俺達を精神的に参らすには有効かも」

 こちらへ流れてくる視線。

 この件で、あれこれ気に病んでいる私やサトミへと。

「肝心の、あの二人はどうなんです」

「なんか、温泉に行くって言ってたぞ」

「え?」

 それにはさすがに、ケイも眉をひそめる。

 すると名雲さんはすぐに手を振り、窓の方を指差した。

「山奥とかじゃなくて。その辺で、温泉が湧いてるだろ」

「ああ、あそこ」

 ここから少し南へ行った所に、市内で温泉の湧き出ている所がある。

 風情を楽しむとは行かないが、手近に温泉気分を楽しむにはいい場所だ。

 安いしね。

「だってさ、雪野さん」

「あ、そう。あーあ。私も、日本海で温泉に浸かろうかな」

 何というのか、一気にやる気が失せた。

 人があれこれ心配してる間に、当の本人はのんきに過ごしてる訳か。

 勿論勝手に気にしてるんだけど、疲れたよ。

「だから言っただろ。放っておけって」

「だって。ねえ」

「以前の舞地さんの事を考えれば、多少は気にします」

「あれは例外さ。まさかあいつが出てくるとは、俺も思わなかった」

 苦い顔で呟く名雲さん。

 舞地さんの親しかった男の子を利用した。

 それともその男の子自身が荷担した、カードを奪う計画。

 それ自体は失敗に終わった物の、決して楽しい出来事ではなかった。

 私にとっても、勿論彼女にとっても。

「今度も、そういう事がある可能性は」

「無くもない。ただ、あり得ない」

 謎掛けみたいな返事。

 サトミとケイは視線を交わし合い、それとなく顔をそむけた。

「それよりあなたも、渡瀬さんの所へ行ってきたら」

「私は人に物を教える柄じゃないの」

「じゃあ、どういう柄なの」

「豹柄じゃ無いみたいだね」 

 少し笑ってみる。

 というか、私だけ笑っている。

 なんか、空気が重いな。



 より軽い空気を求め、トレーニングセンターまでやってくる。

 ここはここで、暑苦しいが。

「あれ、もう終わり?」

「終わりましたよ」

 上気した顔で、にこにこ笑う渡瀬さん。

 首からはタオル、頭はしっとり濡れている。

 すでに、シャワーも浴び終わったらしい。

「なんだ、へっ」

 鼻を鳴らし、壁に拳を叩き付ける。

 ジャブジャブ、フックからボディー。右のダブルから……。

「何してるんだよ」

「やる気を持て余してるの。柳君は」

「女の子に連れ去られた」

 遠い目で廊下を振り返るショウ。

 幸か不幸かは分からないが、彼は大丈夫だったらしい。

「私はそろそろ戻らないと、身の危険に関わるので」

「はは。じゃあ、沙紀ちゃんによろしくね」

「はい。玲阿さん、ありがとうございました」 

 ぺこりと頭を下げ、とことこと走っていく渡瀬さん。

 何をしてても可愛いな。

「どうだった?」

「悪くはない。やる気もあるし」

「弟子にしたら」

「そういう柄じゃない」

 何言ってるんだ、この人は。

「じゃあ、どういう柄なの」

「豹柄じゃないのは確かだな」

 ははと笑うショウ。

 当たり前だが、笑えもしない。

 というか、何にも面白くない。

 面白いのは、それを言った当人だけだ。

「馬鹿みたい」

「悪かったな」

「本当に」

 しみじみと呟き、彼を困惑させる。

 全く、つくづく馬鹿同士だな。


 のろのろと廊下を歩き、ため息を付く。

 なんか、色んな意味で疲れてきた。

「何だよ」

「いいの。お茶飲みたい」

「お茶ね。コーラは」 

 意味の分からない提案をするショウ。

 それはともかく、人気のない廊下へと向かう。

「どこ行くんだ」

「こっちに、リンゴ炭酸の自販機があるの」

「ジュースといえば、コーラだろ」

 やけにコーラを押してくるな。

 私も常に、リンゴ炭酸を押すけどさ。

 などとたわいもない会話を交わし、二人で並んで歩く。 

 というか、ここを一人である気にはなれない。

 トレーニングセンターと、北門へ続く通路を繋ぐ渡り廊下。

 元々用事のない場所だけに、ここを利用する人も滅多にいない。

 それでも存在するのは、防災的な意味合いらしいが。



 重い空気。

 実際に、気体の重量を理解している訳ではない。 

 あくまでも精神的、感覚の部分での話。

 いや。この場合は、張りつめていると言うべきか。

 自然と窓から距離を取るショウ。

 私は彼と背を合わせるようにして、周囲へ視線を向ける。

 若干照明は薄暗いが、特に気になる存在はない。

 しかし、感覚は明らかに異変を感じ取っている。 

「塩田さんでもいるのか」

 周囲に視線を向けつつ、声を潜めるショウ。

 つまり、彼レベルの隠業を持つ相手だと言いたいのだろう。

 その直後ショウが動き出す。

 前でも後ろでもなく。 

 天井へと。


 正確には、壁を蹴り天井へと。

 天を貫くように伸びる右足。

 ショウはそのまま後方へ宙返りをして、顔をブロックしつつ床へ向かう。

 ブロックした腕に叩き落とされるかかと。

 天井に張り付いていた人影は、かかとでショウを捉えたままさらに肘を落とした。

「くっ」

 体を翻し、かろうじて逃れるショウ。

 相手は着地様、素早く床を踏み切り体勢を立て直している彼に膝を見舞った。

 だがそれはキャッチされ、そのまま後ろへ放られる。

 鈍い音が、床と人影の間に走る。

「くっ」

 床に倒れたままのロー。

 さらに倒立の体勢からの回し蹴り。

 その勢いを利用して立ち上がり、人影がショウの懐へ入る。

「任せてっ」

 私が戦う、という意味ではない。

 私も戦う、という意味だ。

 当然ショウもそれは理解していて、すぐにポジションを開ける。


 半身を開くショウ。

 その結果、懐へ飛び込んでいた人影と私が対峙する格好になる。

 立て続けのローから、足をスイッチしてのミドル。

 ショウは私の対角となる箇所へ、拳を叩き込む。

 ブロックしながら下がっていく人影。

 こちらは体を入れ替えながら、上下左右に打ち分ける。

 ショウが右へ打てば、私は右。 

 彼が上なら、私は下。

 合図をしている訳でも、規則に基づいて動いてる訳でもない。

 彼と共に積んだ、日々の鍛錬。 

 数え切れないくらいの、彼との組み手。

 お互いへの信頼と思い。 

 頭で考えなくても、何かを言わなくても。

 意識する事もなく。自然と体が動く。

 ショウと自分が一つになったように。


 不意に右へ出て、軽いジャブを数発放つ。

 それをブロックしつつ、ショウへ意識を向ける相手。

 体格や今までの動き。

 私を牽制役と思ったのだろう。

「セッ」

 右のダブルを放つショウ。

 それも、かなりの力を込めて。 

 相手はかろうじてそれを受け流し、私の方へ牽制気味なローを打ってきた。

「よっと」

 その膝へ乗り、体の力を抜いて腕を振る。

 さらに身を翻し、腰を入れて腕を畳む。

「ヤッ」

 一瞬で力を込め、足を後ろへ伸ばす。

 体の回転プラス、全体重を乗せた蹴り。

 体の小ささ、筋力の無さ。

 それらを補ってあまりある、高回転からの飛び後ろ蹴り。


 ブロックした体勢で、壁に吹き飛ぶ人影。

 感覚からいってダメージを逃がされた気はするが、それなりの手応えはあった。

 その間にショウが詰め寄り、容赦なく攻め立てる。

「くっ」

 小さく呟き、ショウを飛び越えて逃げ出す人影。

 ムササビのような動きだが、十分に終える速度。

 すぐにきびすを返し、人影を追う。


 渡り廊下に、すでに姿はない。 

 こちらもすぐに渡り終え、左手にある階段を見上げる。 

 どうにか見える背中。

「ショウッ」

「おうっ」

 すぐに続くショウ。

 コンパスでは負けるが、素早さでそれを補う。

 階段の途中で飛び上がり、手すりに飛び乗って上に上がる。

 さらに上、上へと。

 徐々に近付いてくる背中。

 そこで階段が途切れ、背中も消える。

「こっちかっ」

 足の運びをチェックして、右へ向かう。 

 案の定、背中もすぐに見えてきた。

 だがそこで、動きが止まる。

 開かれる窓。

 吹き抜ける風。

 無造作に飛び出ていく人影。


 当然、身投げの訳はない。

 窓枠に取り付けられたワイヤーを見つつ、こっちも腰からワイヤーを伸ばし先端を窓にフックする。

「ショウは下にっ」

「ここまで来てか……」

 文句を言いつつ、すぐに引き返すショウ。

 こっちはすぐに手袋をして、ワイヤーを操作して窓から飛び出る。

 私の動きに合わせて伸びるワイヤー。

 下にいる相手を確認しつつ、教棟の壁を蹴りつつ降下する。

 真下に見える熱田神宮。

 体を吹き抜ける、秋の風。

 小さく見えていた木々が、徐々に近付いてくる。

 誰もいない地面も。 

 人影も。

「っと」

 地面までは降りず、足で器用に窓を開け中に飛び込む人影。

「ショウ。見てた?」

「ああ。でも、あそこって」

「早く、行って」

「今度は、登るのか」

 彼のため息を聞く前に端末とカメラをしまい、こっちも突入の準備をする。

 窓の上。

 少しの余裕を残して、ワイヤーを固定。

 スティックを抜き、スタンガンを作動させて肩に担ぐ。

窓は開いたまま。

 室内の配置をすぐにチェックして、タイミングを計る。

 よしっ。


 ためらいなくワイヤーを引き下ろし、体をやや後ろに振って反動を付ける。 

 続いて中に足から飛び込み、頭までくぐったのを確認してワイヤーを外す。

 足場を確保し、スティックを構えてさっきの人影を見つけ出す。

「動くなっ」

 室内に響く絶叫。

 反撃はない。

 ただ、反応はあった。

「……何してるの」

 冷たい、真冬を思わせるような口調。

 それ以上に冷たい切れ長の眼差しが、私を捉える。

「何って」

 こそこそとスティックを背中へ戻し、窓の外へ垂れ下がるワイヤーを手で引き上げる。

 その間もサトミは、腕を組んだままこちらを見つめている。

「自分こそ、どうしてこんな所に」

「よく回りを見てみなさい」

「見てって、別に」

 見慣れた机に、壊れ気味のロッカー。 

 どこかで見たリュックも置いてある。

 というか、私のリュックが。

「あれ」

「飛び込む前に気付かなかったの」

「窓の外からなんて、入った事ないもん」

「落ちたらどうするのよ。本当に、あなたは」

 怖い顔で怒るサトミ。

 ただ彼女の言いたい事は痛い程分かるので、すぐに謝り肩に触れる。

 サトミも笑顔を浮かべ、私に触れる。

 それ以外は何も語る必要もない。


 ワイヤーをどうにか巻き終え、息を整えつつ入ってきたショウを指差した。

 勿論彼は、ドアからだ。

 というか普通は、ドアからか。

「言ってよね」

「言う前に、落ちてっただろ」

 降りたって言ってよね。

 しかも、私が悪いみたいに言って。

「お前ら、何やってるんだ」

 呆れ気味な顔でこちらを見てくる名雲さん。

 その傍らには、私達の追っていた人物が立っている。

「あ、いた」

「いきなり襲われたって言ってるぞ」

「天井にぶら下がってれば、誰だって怪しむ」

「だ、そうだ」

 彼を見上げる名雲さん。

 背は高いが、やや細身。 

 長い前髪が目元を隠し、口元を固く結んでいる。

 先程までの動きが嘘のような、物静かな佇まい。

 だからどうだという話だが。

「名雲さんの知り合いなの」

「まあな。お前、会った事あるだろ。去年」

「知らない」

 私と同様に頷くショウ。  

 名雲さんは苦笑して、押し黙っている彼を肘で突いた。

「喋れよ」

伊達だてという」

「伊達。どっかで聞いた名前だけど。……誰」

「俺達の知り合いだよ。でもって昔、ここで屋神に雇われてた傭兵だ」

 渡り鳥、伊達、屋神さん。

 ようやく言っている事が理解出来た。

 彼が何者かも。

「ああ、そういえば。でも、どうして天井にぶら下がってたんです。大体、どうしてここにいるんです」

「君達を襲うつもりはなかった。少し様子を見ようとしたら、いきなり彼が飛びかかってきた」 

 外見に同様の、物静かな口調。

 ショウは口元で小さく呟き、頭を下げた。

 何も、謝らなくてもいいでしょうが。

「殺されるかと思ったが、何とかなった」

 机の上に置かれるプロテクター。

 肩口の部分が弾け、繊維が飛び出ている。

 おそらくは、私の飛び後ろ蹴りを受けた部分だろう。

「だって、危ないと思って」

「玲阿一人でもきついのに、お前もやったのか」

「だから、危ないと思って」

 同じ台詞を繰り返し、ショウと頷き合う。

 名雲さんはそう言うが、あの場にいれば傍観してるなんて選択肢はあり得ない。

 その場の勢い、という事もあるけどね。

「それはいいとして。どうして、ここにいるんです。突然、いきなり」

「特に理由はない。長い間会ってなかったから、顔を見に来ただけだ。それにさっき天井に取りついていた理由のもう一つは、ここに入り込んでる傭兵に会うと揉めると考えてだ」

 もっともな、否定のしようもない答え。

 というか、悪いのは私達って言いたいのか。

「とにかく、一度医者へ行ってこい」

「伊達さん」

 ドアの前で、ニコニコしながら手招きする柳君。

 いつも笑顔だけど、今は一段と輝いて見える。

「雪野さん達は怪我してないの?」

「俺が手を出す隙は、まるでなかった」

 真顔で語る伊達さん。

 嫌みを言ってるのかと思ったけど、そういう雰囲気ではなさそうだ。

 外見や口調で、誤解されるタイプかも知れない。

「雪野さんと、玲阿君相手じゃね。このくらいで済んで、良かったと思わないと」

「ああ」



 唐突に開くドア。 

 飛び込んでくる猫。

 正確に言うと、胸元に抱かれた猫。

「この子見てよ。目つき悪いでしょ。これって、雪ちゃんが探してた妹じゃないの」 

 猫を抱いたまま、うしゃうしゃ笑う池上さん。

 というか、笑っているのか彼女だけ。

 彼女以外は、誰も笑っていない。

「何よ。ノリが悪いわね」

「池上さん」

 遠慮気味な顔で彼女の袖を引く柳君。

 池上さんは猫をその顔へ持っていき、またうしゃうしゃと笑った。

「ほら、これ」

「そうじゃなくて」

「どうかしたの」

「どうかしたというか。えーと、その」

 少しの間。

 床へ落ちる猫。

 飛び退く池上さん。

「な、なに、それ」

 真っ直ぐ伸びる、綺麗な指。

 それを鼻先に突き付けられる伊達さん。

 ドアの真横。

 池上さんが、気付かずに通り過ぎた場所で。

「久し振りだな、映未」

 微かに苦笑する伊達さん。

 池上さんは口を開けたまま頷き、その口だけを動かした。

「お前な、喋れよ」

「だ、だって。な、名雲君が連れてきたの」

「そいつが、勝手に来たんだ」

「あ、そう。ふーん。へー」

 どうにか平静を取り戻す池上さん。

 取り戻そうとしているようにも見えるが。

「今さら、何か用。……って、言う訳無いか」

 先手を制するような台詞。

 伊達さんは何も言わず、前髪に触れた。

「話は後にして、早く医者へ行ってこい」

「どうしたの」 

「玲阿と雪野にちょっとな」

「馬鹿じゃない」 

 短い呟き。

 それが私達へ向けられたのか、伊達さんへ向けられたのかは定かではないが。


「もう、嫌だ」

 机に伏せ、長くため息を付く。

 どうしていつも、こうなるんだ。

 大体、天井に張り付いてる方がおかしいんじゃない。

「俺達の事、なんて言ってた?」

「言い訳する前に、容赦なくやられたってさ。確かに天井にいたら怪しいけど、話くらい聞けよ」

「妙にピリピリしてたし、向こうも何も言わなかったから」

 小声で言い訳めいた事を言うショウ。

 私も顔を上げ、彼の隣で頷く。

「そうよ、変よ。……何よ」

「にゃー」

 人の目の前で鳴く猫。

 池上さんが連れてきた、私の妹だ。

 本当に目つきが悪いな。

「あいつは、ああいう奴なんだよ。口が重いし、自分の事を話すタイプじゃない」

「あ、そう。じゃあ、どうしてここに来たかも分からないの」

「理由はあるだろ。ここを去った経緯や、俺達と別れた経緯を考えれば」

「悪い事でも企んでるんじゃないですか」

 鼻で笑うケイ。

 ようやく口を開いたと思ったら、こういう事を言い出すか。



「例のカードを奪いに来たって事は」

「そういう奴じゃない」

「だったら舞地さんからカードを奪おうと思った、あの男の子は」

「こういうと何だが、あいつとは付き合いが違う。長さも、関係も」

 はっきりと言い切る名雲さん。 

 ケイは肩をすくめ、物言いたげに彼を見つめた。

「何だ」

「意外と人がいいなと思って」

「伊達とは、柳や舞地達よりも付き合いが長い。どうしても、情が絡む」

 苦笑気味の口調。

 しかし瞳は油断なく、ケイを捉えている。

「疑ってるのか?」

「疑わない方が、どうかしてるでしょう。ここへ顔を出せないと本人が思う過去があるのに、ここに現れたら」

「それは、お前に任せる。ただし、池上の前では止めとけ」

「分かってます」

 静かに頷くケイ。 

 名雲さんは短い前髪をかき上げ、ため息を付いた。

「ここへ来た理由、か。そんなの、俺が知りたいぜ」

「どういう人なんですか、彼は」

 落ち着いた口調で問い掛けるサトミ。

 やや、丁寧過ぎるくらいに。

「見たままだ。物静かで、落ち着いてて。説明する前に、自分で行動する。腕も立つ」

「人間としては」

「裏切るような人間じゃない。俺達と行動してた時のあいつは」

 短く付け足す名雲さん。

 サトミは目を細め、さらに彼を見つめた。

「ここ最近何をやってたかは、話でしか聞いてない。とはいえ、前と同じで悪い事に手は染めてない」

「実力は」

「柳程じゃないが、俺よりは強い。作戦を立てるタイプじゃないが、自分で物事を判断するくらいは出来る。何より、義理堅い」

 義理堅い、か。

 色んな意味で、微妙だな。  

「それで映未さんとは、結局どうなんです」

「付き合ってた訳じゃない。ただ、俺達よりは仲が良かった。今は、どうかは知らん」

 小さく漏れるため息。

 名雲さんは足を組み替え、苦笑気味にサトミを見つめた。

「とにかく、信用してやってくれ」

「映未さんを?それとも、伊達さんを?」

「両方をだ」

 低い口調で語る名雲さん。    

 サトミは細めていた瞳を和らげ、顔を横へ向けた。

「私達は、それでもいんですけど」

「俺が、何か」 

 無愛想に応じるケイ。

 ただし先程までの言動を考えると、サトミの懸念も頷ける。

「あなたは、どう思ってるの?」

「興味ないね。傭兵にも、恋愛にも」

 冷たい。ただ、普段と変わらない台詞。

 少なくとも彼だけは、情に流される心配はないだろう。

「彼が、池上さんに何かするとしても」

「しないよ」

「させない、じゃなくて」

「さあね」

 鼻で笑うケイ。

 サトミは耳元の髪を撫でつけ、小さく首を振った。

「もういいわ。それで、伊達さんはしばらくこちらへいるんですか」

「ああ。取りあえず、俺の所に泊まる。柳も来るって言ってるけどな」

「男同士で、楽しそうですね。あなたも行ったら」

「舞地さんのアパートなら行ってもいい」

 行かせるか。

「そういう訳だ。どうしても気になるなら、監視でもしてろ」



 そんな事をする訳もなく、終業時間が来たので食堂へ向かう。

 気になる事は気になる。

 それはそれで、お腹も空く。

 ちらし寿司に少しだけ醤油を垂らし、錦糸卵と一緒に酢飯を頬張る。

 後はお茶で流し込み、しばし極楽気分を楽しむ。

「サトミはどう思う?」

「伊達さんの事?」

「え、ああ。そう」

 酢飯が固いとは告げず、適当に頷く。

 そういえば、そんな事もあったな。

「あなた、もう忘れたの」

「忘れてはないけど、気にしてもいない」

「いい性格ね」

 はは、誉められた。

 と喜ぶ程、いい性格でもない。

「じゃあ、どうなのよ」

「さあ。私達が関わる事かどうかも分からないし」

「まあね」

 単に舞地さん達を狙う人間がいるなら、私達が動く場面もあるだろう。

 しかしそこ、伊達さんがという存在が加わると、話は違ってくる。

 かつての、彼女達の仲間。

 池上さんにとっては、より親しいと注釈の付く。

 サトミの言う通り、軽々しく私達が立ち入るべきではない関係。



 先輩と後輩。

 それとも、渡り鳥。

 お互いの距離を、どう保てばいいのか。

 ケイのように、たやすく割り切る事は出来ない。

 また、どうすればいいのかも分かってはいない。 

 ただ、分からなくても時は進む。

 その関係も。

 結果の善し悪しはともかくとして。  






 







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