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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第16話
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16-11






     16-11




 正門をくぐり、学外へ出る私達。

 医療部の受付では止められたが、引率という理由でそこを逃れた。

 背後からケイが何かを押し当てていたため、彼も素直に従って。

「ど、どこへ連れて行くんだ。僕は、本当に」

「あなたのマンションですよ。全部、そこに隠してあるんですよね」

「何もない。それに、これ以上言う事を聞く気もない」

 険しい顔で睨み付ける吉澤先生。

 ケイは気にも留めないとでも言いたげに髪をかき上げ、前を指差した。

「話は、後でゆっくり聞きます。まずは、マンションへ行きましょうか」



 外観からして豪奢な、いかにもといった感じの高級マンション。

 階段を登った先にある玄関にはカメラがあり、こちらの動きを追っている。

 厚い、おそらくは強化ガラスのドア。

 その奥にもドアがあり、カメラとコンソールが見えている。

 勿論、今私達が立っている玄関前にも。

「キーは」

「持ってない」

 吐き捨てるように答える吉澤先生。

 ケイは彼を一瞥し、ドアの横にあるコンソールへ触れた。

「さあ、帰ろう。この事は、冗談として済ませてあげるから」

「キーは」

「無いと言っただろ。それとも、無理矢理開ける気か?」

 余裕が出てきたのか、少し明るくなる表情。

 大人しい顔がケイを覗き込み、顎を振って促す。

「仕方ない」

「そう。早く帰ろう」

「キーを使いましょう」

 パーカーの懐から取り出されるカード。

 それがコンソールのスリットを通り、キー操作共にドアが開く。

「な……」

「残念でしたね」

 冷徹に言い放ち、中へと入るケイ。

 そこでもカードを通し、キーを操作する。

「部屋は違うが、中に入れれば問題ありません。さて、行くとしますか」

「それって、この間塩田さん達からもらった」

「頼れる先輩も、一応はいるって事さ」

 舞地さんを差しているのだろうが、私達は答えようもなく彼の後に続いてマンションの中へと入っていった。

 本当はどちらが正しいのか。

 私の判断、彼の主張。

 どちらにしろ私は、それを確かめるより他ない……。



 エレベーターを降り、幅の広い広い廊下を歩く。

 左に3つ並ぶドア。

 つまりワンフロアに3室という、かなり贅沢な作り。 

 ケイはためらわず一番手前のドアへ歩み寄った。

「さてと」

 吉澤先生へ向けられる視線。 

 しかし彼は黙って、その視線を跳ね返すだけだ。

「いいですよ。開ける方法は、いくらでもありますから」

「ここのセキュリティは、普通のマンションとは訳が違う」

「悪い奴から身を守るにも、悪い奴にも都合がいいって?」

 冷笑して切り返し、やはりドアの脇にあるコンソールへと触れる。

「どうせ警察を呼ぶんだし、壊すか。ショウ」

「分かった」

 ケイと入れ替わりにコンソールへ触れ、腰を落とした。

「セッ」

 一瞬浮いた手の平がすぐに当てられ、スリットの辺りから火花と煙が上がる。

 ドアの辺りから聞こえる、微かな音。

「開いた」

「もし何も見つからなかったら、請求書はお前の所に行くからな」

「おい」

「大丈夫。学校の教師とカウンセラーの給料で、こんな所に住める訳がない」



 さっと見た限りでは、3LDKといった所。

 家具や内装も、それに負けない程の物が揃っている。

 見慣れない美術品や高そうな家電製品には目もくれず、ケイは寝室へと足を踏み入れた。

「どこに隠しましたか」

「何もないと言っただろ。どう説明したら、分かってくれるんだ」

 相変わらずの、気弱な表情。

 その視線が、ベッドの下へと一瞬流れる。

「……なるほど」

 頷きながら、腰を屈めてそこを覗き込むケイ。

 狭い、わずかな隙間。

 その奥に、手が差し入れられる。

「クッ」

 突然上がる悲鳴。

 すかさず手を引き、その場でうずくまる。

「どうしたっ」

「ちょっとっ」

 慌てる私達とは違い、どこか笑い気味にケイを見つめる吉澤先生。

「勝手に人の家で、何かをしようとしたら危ないよ。君のやってる事は不法進入だから、怪我をしても責任は自分で取ってくれ」

「本当に」

 うずくまった体の下から出てくる、火花を散らす警棒状のスタンガン。

 だがケイはそれを拾い上げ、平気な顔で立ち上がった。


 彼の手に握られた、何の変哲もないペン。

 ただグリップがゴム製で、そのわずかな部分を使えば電流を受ける事はない。

「まずは、証拠その1」

「な、何が。それは君みたいな泥棒が来ても大丈夫なように、盗難防止用として」

 袖をまくるケイ。

 腕に付いた、赤い跡。

 そこに、スイッチを切ったスタンガンが当てられる。

「ちょうどかな」

「ぼ、僕がやった訳じゃない。僕は知らない」

「その辺りは警察に任せましょう。傷は、ここだけじゃないんだから」

 再び体を屈め、今度はライトを使ってベッドの下を探る。

「……これの説明は?」 

 手の平より、やや大きめの黒いプラスチックケース。

 完全に顔色を失う吉澤先生。

「どうかしました?」

「き、君が持ってきて、そこから取り出したんだろ。ぼ、僕は知らない」

「まだ、中を見てませんけどね」

 慌てる彼を意に介さず、ケースのふたを開けるケイ。

 醒めた、感情のない表情。

 すぐにふたが閉じられ、ベッドの上へと放られる。

「証拠、その2。終わりましたね」

「ち、違う。僕じゃない。ほ、本当に」

「知り合いの刑事を呼ぶまで、自分の部屋をよく見てて下さい。脅迫した金で買った家を」



 壁際でうなだれていた吉澤先生が血相を変えて、ケイへ飛びかかる。

 膝を立て、それを防ぐケイ。

 しかし鳩尾に膝を受けながら、すさまじい形相で彼と体を入れ替えて壁際へと追い込んだ。

「馬鹿が、油断し過ぎだ」

 奇妙に歪む顔。

 ケイの喉元に突き付けられるナイフ。

 動きや仕草は素人その物だが、今の様子では何をするのか分からない。

「ケースを、こっちによこせ」

「ふざけないで」

「こうしてもいいのか」

 ナイフが喉にめり込み、そこから血があふれ出す。

「止めろ」

 腰を落とすショウ。

 吉澤先生は喉で笑い、ゆっくりとナイフを引いた。

「ケースをよこせ。……そうだ。次は、ここを出ていけ」

「逃げられると思ってるの」

「人質がいれば、通報のしようもない。そうだよな、浦田君」

 何も答えないケイ。

 しかし表情は落ち着いていて、慌てて自分から何かをする様子には見えない。

 また状況を考えれば、その方がいいだろう。

「サトミを裏切るの」

「さあな。ドラマと違って、いちいち自分の手口や理由を説明する義理もない」

「ふざけないでっ」

「心配するな。彼女も一緒に連れて行く」

 下劣に歪む口元。

 聞きたくもない、異様な笑い声。

 全身が総毛立ち、しかし頭に血が上っていくのが分かる。

「そんな事は、絶対にさせない」

「大丈夫。彼女は僕を信用してるから」

「そんな事は……」

 やや遠い、二人との距離。

 それはショウも同じ。

 しかも目の前にはベッドがあり、ナイフの事を考えればそう迂闊には動けない。

 だからといって、このまま見過ごす気はさらさらない。

 ケイを人質にする気も、サトミを危険に晒す気も。


 牽制気味に、右へと移動する。

 当然距離を保つため、向こうはこちらから見て左へと動く。

 変わらない、私達の距離。 

 その危険度も、事態も。

「時間がないんだ。これ以上抵抗するようなら、本当に刺すぞ」

「やってみなさいよ」

「何?」

 目を細め、私を見据える吉澤先生。

 カウンセリングに誘った時の優しい顔ではなく、サトミを穏やかに見守る時の顔ではなく。 

 人とは思えない、しかし明らかに人間としての意志を持つ瞳の輝きで。

「刺したいなら、刺せばいいでしょ。私はあなたを捕まえれば、それでいいんだから」

「面白いな。僕には、出来ないとでも」

「さあ。とにかく、あなたは捕まえる。だから、彼を離すなら今よ」

「随分舐められたな。じゃあ僕にどのくらいの覚悟があるか、見せてやろう。大丈夫、死なない程度に……」

 不気味と言っていい程に、大きく裂ける口。

 しかし横へ動いた私を気にして、ナイフが一瞬離れる。

 それと同時に、沙紀ちゃんが腰を落とし足を踏みきる。 

 床を滑るようにして一気に壁際へと迫り、何か反応をしようとした吉澤先生へと飛びかかる。

「ぐっ」

 鈍い声を出し、壁際に叩き付けられる吉澤先生。

 血の付いたナイフは床へと落ち、彼の体も床に崩れる。


「さすが」

「たまにはね」

 笑えもしないという顔で見下ろす沙紀ちゃん。

 ベッドを飛び越えた私はナイフを拾い上げ、やはり床に落ちたケースと共にベッドの上へと置いた。

 ふたが開いて中が見せそうになったのをすぐに抑える。

 ケイは何も言わなかった物の、彼ですらああいう仕草をするくらいなら私は見ない方がいい。



「俺までやる事無いだろ」

「そのために連れてきたんでしょ。それに衝撃は後ろへ抜けてる」

「タックルを喰らったのは俺だ」 

 体を屈め、お腹を押さえながら上を向くケイ。

 彼女の意図はすぐに分かったし、だからこそ牽制気味に横へ動いた。 

 しかし喉元にはナイフが突き付けられ、そこへの何のためらい無いタックル。

 距離的にだけではく、私に同じ事が出来たかどうか。

 そんな私の考えをよそに、沙紀ちゃんは軽く彼の肩に触れた。 

 よろめきながら壁伝いに逃げていく吉澤先生へ、視線を向けながら。

「いいの?」

「良くないさ」


 すぐに後を追う私達。

 キッチンを右手に眺める、広い廊下。

 目の前は玄関で、彼はそこに立っていた。

 いや、彼一人ではない。

 玄関を背に、吉澤先生と向かい合っている一人の少女。

 長い髪を後ろで束ね、キャップを被った。

「舞地さん。どうして」

 胸の中に渦巻く不安。

 今までのケイとのやりとり。

 先程の、決定的な場面。

 深く被られたキャップに表情は隠れ、彼女の気持ちは読みとれない。 

 また、それを語ろうともしない。

「た、助けてくれ。この子達が、いきなり襲ってきたんだ」

 必死な懇願。

 舞地さんは腰から警棒を抜き、静かにそれを肩に担いだ。

「どうすればいい」

 低い、感情を感じさせない声。

 対照的に顔が見えていない吉澤先生の喜びが、背中越しに伝わってくる。

「あの子達を取り押さえてくれ。僕はその間に、警察へ行ってくるから」

「私は、言われた通りにすればいい訳か。感情のままに」

 良く分からない台詞。

 それでも彼女は明らかに集中力を高め、意識を高揚させている。

 ここまで来て、まさかこういう事になるとは。

 しかし、私もここで下がる訳にはいかない。

 結果や、自分の事はどうでもいい。

 例え舞地さんと戦う事になろうとも。

 私は……。


「そ、そう。君の思うままに行動すればいいんだ」

 喜々とした声。

 こちらを振り返り、指を差す吉澤先生。 

 舞地さんはキャップを上げ、微かに頷いた。

 鋭い怒りに溢れた視線が、ゆっくりと横へ流れ出す。

「分かった」

 短い答えと共に突き出される警棒。

 それは彼の鳩尾を捉え、再び床へと崩れさせた。

「舞地さん……」

「そんなに、驚く事?」

「だ、だって。ケイと」

 恐る恐る、その名を口に出す。

 すると舞地さんは困惑気味に視線を外し、警棒で足の辺りを撫でた。

「さすがワイルドギースのリーダーですね」

「お前が言うな」

 見つめ合う、舞地さんとケイ。 

 苦笑とも、共感とも付かない表情で。

「どういう事?」

「全部演技だよ。打ち合わせ無し、台本無しの」

「何?」

「お陰で私は、悪役だ」


「せっかく自由にしてやったのに、馬鹿だな」

 手慣れた仕草で指錠を締めるケイ。

 膝と足首にもロープが巻かれ、指先で強度を確かめる。

「ここまでやったんだ。今度は、どう言い訳する」

 床に転がったまま、そんな彼を見上げる吉澤先生。 

 教師としての、カウンセラーとしての物ではなく。

 偏執的な、そして殺意に満ちた眼差しで。

「じゃあみんなに刺激がない程度で、俺が代わりに説明してやるよ。な、先生」

「何を知ってるというんだ」

「何もかもさ。カウンセラーの立場を利用して、その相談内容を元に恐喝してたとか」

 ベッドに腰を下ろし、組んだ手を口に当てて彼を見下ろすケイ。

 すでに敬語は使っていない。

「前サトミをさらおうとした女の子の一人を、カウンセリングしてただろ。実際は地理の授業を取ってた生徒で、記録に残らない非公式な形で」

「ぼ、僕は」

「その子を介して、友達にもカウンセリングを勧めさせた。いつしか20名近くが集まって、悩みを告白していった。お前はそれを元に彼等を脅迫し、金を奪った。警察や学校へ訴えないよう、写真まで撮って」

 ベッドの上にあるケースへ向けられる、細められた瞳。

 視線はすぐに、床へと戻る。

 より醒めた輝きを宿して。

「寮生だった子を使い、たまたま悩みを抱えていた寮の警備員も抑えた。寮での活動範囲を広げるためと、寮生の監視の意味も込めて。あの盗撮男を犯人と疑わせるように、小細工をさせたり」

「な、何を理由に」

「その子達が自分の事を、絶対話さないとでも思ってたのか?全員、臨床心理士や精神科医にカウンセリングを受けさせた結果だ。お前も知ってる通り、知り合いにそういうつてがあってな」

 床でもがく体。

 ケイは構わず、話を続ける。

「俺達を揺さぶって、サトミを不安にさせて自分に相談させようとしたんだろ。でも俺達が意外と動揺しないし、サトミにはそれを伝えようとしない。仕方ないから、俺と揉めてる舞地さんを抱き込みに掛かった」

「え?」

「自分の指示通り、俺達に反発する舞地さん。最後には自分の持ち場を離れ、隙を作った。サトミに、連絡が取れるように。全部、彼女の策だとも知らずに」

 その言葉に何の反応も示さず、黙って床を見下ろす舞地さん。

 ケイも彼女とは目を合わせず、間を置いて体を前へと倒した。

「どうだ」

「しょ、証拠を見せてみろ」

「もう十分だと思うけど」

 ポケットから取り出される端末。

 そこに表示されている、見慣れないアドレス。


「昨日、正確には今日の午前1時頃に送ったメール。アドレスは、サトミのを使って。送り先は二人で、内容は同じ。一人は状況を読み取ってもらうために、舞地さんへ。もう一人は、言うまでもない」

「し、知らない。ぼ、僕の端末にもそんなのは残ってない」

「ネットワークからルートを辿って、記録を残してある。それに対する返信がこれ。アドレスは勿論、お前の」

「そ、そうだとして。だから、僕が何をやったとでも。メールを返すなんて、別に」

 必死に言い逃れようとする吉澤先生。

 また彼の言う通り、それ自体には特に問題ない。

 メールが来たから返した。

 ただ、それだけの事だ。

「その後で、サトミ宛に一つのメールが届いた。頭のおかしい奴から」

「だ、だから」

「変更されたサトミのアドレスに届いたのは、この二つだけ。一人はお前、もう一人はこの頭のおかしい奴」

「だから、どうした」

 鼻で笑うケイ。

 冷たく、薄く。

「聞いてなかったのか。変更されたアドレスを伝えたのは、お前と舞地さんの二人。そして舞地さんから、メールの返信はなかった」

「な……」

「つまり犯人は、お前しかいないって事だ」


 何よりも決定的な指摘。

 幾つもの疑いだけでない、完全な証拠。

 誰も、吉澤先生すらも口を閉ざし顔を伏せる。

「後は、警察が調べてくれる。じゃあ俺も、少し調べようかな」

「何を」

「サトミのおかしな物があったら、警察に渡す訳にいかないだろ」

「ああ、そういう事。だから、警備員さんも呼んでないのね」

 軽く頷き、ベッドのマットを剥がすケイ。

 それをすぐに止め、今度はカーペットをめくる。

 こんな事をやってもいいのかと思うが、今さらという気もする。

 それに彼の言う事は、確かに頷ける。


「……何だ、これ」

 クローゼットの奥から出てきた紙袋。

 ショウはそれを手にしたまま、ケイへ視線を向けた。

「開けるぞ」

「俺に断ってどうする」

「一応な」    

 苦笑して、紙を外すショウ。

 一瞬の輝きが、目を眩ませる。

「あれ」

「どうした」

「ん、なんでもない」 

 曖昧に首を振り、その中を覗き込む。

 やや小さめのスケッチブック。

 細かなタッチのラフデザイン。

 長い黒髪、切れ長の瞳。

 ほっそりした顎と、通った鼻筋。

「……サトミか?」

 認めたくないというような口調。 

 しかしそれ以外には、誰も思い浮かばない。

 こんなに綺麗で、凛として。

 優しい表情を浮かべる女の子は。


 胸に沸き上がる疑念。

 どうしてあの人が。

 どうして、こんな絵を。 

 こんな表情を描けるのか。

 彼の取った行動は、もう分かっている。

 その人間性も。

 それなのに。

 心に訴えられる程の、人の優しさを表現出来るなんて。

 純粋さと澄んだ心が無ければ描けないと思えるような、この絵を。

 誰でもないあの人が。

 するとあの人は、サトミに対して純粋な気持ちを持っていたのだろうか。

 でも彼の取っていた行動は、どう考えてもまともとは思えない。

 絵と心は関係がないのか。

 ただ、サトミを騙す手段の一つに過ぎないのか。


「……これは」

 袋の中からDDを取り出すショウ。

 彼はもう一度ケイに確認を取り、端末のスロットにそれを差し入れた。

「こっちもか」 

 端末の画面に映るサトミ。

 目を背けたくなるような物ではない。

 スナップ風の映像。

 女の子達と一緒にお菓子を食べ笑っている。 

 書類を整理している、真剣な表情。

 曇った窓を見つめる、切なげな背中。

 屋上から撮っているのだろうか。

 正門へ続く道を一人歩くサトミが振り向いている。

 映像はズームにならない。

 画面の中に、小さく映るサトミ。

 そっと、ためらいがちに振られる手。

 夕暮れの中、その顔は見えない。

 でも、彼女の気持ちは……。

「見るんじゃなかったな」

 苦い呟き。

 ショウはDDをスロットから抜き、それを手の中で握り締めた。

「どう思う?」

「何が」

「その、あの人の事」

「俺には分からん。これの意味も」

 小さく振られるDD。

 揺れる心のように。

「ケイは」

「あいつは許さない。それだけだ」 

 微かな揺らぎさえ見せない答え。

 その手がDDを掴み、ポケットへと入れる。

「今のはただの映像で、それ以上でもそれ以下でもない。せいぜい、盗撮じゃないってだけで」

「だけど」

「俺が殴られたから、怒ってる訳じゃない。二人の知りたくない事は言わないけど、あいつがどういう人間かは分かるだろ」

「う、うん」

 曖昧になる答え。  

 ショウも難しい顔で、スケッチブックとDDの入った紙袋を見つめている。

「つまりサトミの件が無くても、他の人間には最低の事をやってる。どっちにしろ、罪は償ってもらう」

「分かった」

「本当に?」

 苦笑気味の、暖かな瞳の色。

 ケイはそのまま、隣りにいる沙紀ちゃんへ話を振った。

「どう思う」

「私は、部外者だから」

「あ、そう。冷たい女だ」

「あなたには負けるわよ」

 ため息混じりに、壁際で腕を組んでいる舞地さんを見やる沙紀ちゃん。

 彼女はキャップをわずかに上げ、二人を捉えた。

「私はどう思われようと、関係ない。それより、遠野はどうする」

「僕は病気になって故郷に帰ります。なんてメールでもどうです」

「結局甘いな」

「済みませんね」 

 皮肉っぽく笑い、室内にあったあの人の端末を手に取るケイ。

 ボタンを操作し、すぐに手を止める。

「どうした」

「そこまで、世話を焼く事もないなと思って。あの子も、子供じゃないんだから」

「どちらにしても、傷付くぞ。真実を知っても知らなくても。あの男がいなくなる事に変わりはないんだし」

「だとしたら、その程度に人間というだけです。身の危険は防ぐけど、心は自分でどうにかしないと」

 冷静な、突き放した答え。

 舞地さんは探るような視線を彼へ向け、キャップを深く被り直した。

「お前を恨むとしても」

「もう慣れてますよ」

「それで遠野の怒りのやり場が出来るなら、構わないとでも?」

「まさか。マゾなんです、俺」

 一転してふざけた事を言い、赤くなっている鼻の辺りを手で押さえる。

「何が言いたい?」

「いえ。警察もそろそろ来ますから、証拠隠滅と取られないように指紋でも拭きますか」

「ここへの不法侵入は」

「多少のやり過ぎは警察も認めてくれてます。向こうは向こうで、弱みがありますからね」 


 ケイが鼻で笑った所で、ドアが開いた。

 青白い、血の気の失せた顔。

 それとは正反対に瞳は充血し、口からは荒い息が漏れている。

 前傾した体、おぼつかない足元。 

 手にナイフと、スタンガンを握り締めて。

 人とは思えない形相で、こちらを睨み付けている。

「ふざけやがって」

 しわがれた低い声。

 優しげな表情も、気弱な笑顔も。

 もう、何もない。

 私の知っている吉澤先生は。

 サトミが慕い、私もそれに近い感情を抱いていたはずの人は。

 生徒を騙して、脅して、卑劣な事をして。

 今も私達に、武器を向けている。

「お前達、全員……」


 先程の沙紀ちゃん以上の、鋭い出足。

 体を後ろに一回転させ、床へ叩き付けられる吉澤先生。

「ショウ」

「かすっただけだ」 

 頬に付いた、赤い筋。

 ニードル式のスタンガンがかすめ、筋の周りも少しの火傷になっている。

「さすが」

「……あの時、指錠を緩く結んだだろ」

「殴ったのはお前だ。こいつはそれに気付かず、自力で解いたと思って」

 変わらない、醒めた眼差しで見下ろすケイ。

 意識を失い、目を閉じて天井を見上げているような格好。

 少し前までの人とは思えない形相は消え、私の知っている穏やかな表情に戻っている。 それとも、そう思いたいだけなのだろうか。

「起きて」

 首筋を軽く蹴り、強引に覚醒させる。

 ゆっくりと開く瞳。

 顔付きがすぐに変わり、怯えと怒りの入り交じった形相でこちらを睨み付ける。

 見たくもない、今すぐにここから立ち去りたくなる程の。

 私はそれを正面から受け止め、近くのラックに置いてあったスケッチブックを手に取った。

「バスルームに連れてきて」


 おぼつかない体で抵抗するが、ショウが肘を押さえて動きを止めさせる。

 他の部屋同様、広くシステムの整ったバスルーム。

 彼を床に座らせ、その鼻先にスケッチブックを突き付ける。

「あなたが描いたの」

 何も答えず、恨みがましい視線だけが向けられる。

 私はそれを受け止め、ケイへ手を伸ばした。

「ライターを貸して」

 すぐに手渡されるライター。

 手の平に収まる、やや重い感触。

 親指でふたを弾き、手前のボタンを押す。

 目の前まで立ち上る青い炎。

 全ての景色が、青く染まる。

「お、おい」

 引きつった制止。 

 構わずスケッチブックへ、その炎を寄せていく。

「や、止めて。止めて下さい。な、何でもします。もう、絶対に何もしないから。警察でも、どこにでも行く。お金も払う。だ、だから……」

 かすれていく声。

 燃えるスケッチブック。

 消えていく長い黒髪、輪郭。

 目も、鼻も。

 優しげに微笑む口元も。

 全てが、消えて無くなっていく。

 床に落ちる、炭となったスケッチブックの残骸。 

 ショウの手を振り払った吉澤先生は床にはいつくばり、それをかき集め出す。

 炎の残った、崩れるスケッチブックを。

 火傷も、汚れるのも構わずに。

 私はその姿を見つめていた。

 哀れで、滑稽とも言える。

 何故か共感を覚えずにはいられない、その様を……。




 重い沈黙。

 本とDDの積まれた、男子寮の一室。

 マグカップに注がれた紅茶はすでに冷め、テンポの遅いBGMがその静けさを埋めている。

 顔を上げ、時計を探すケイ。

「まだ30分も経ってないのか。……何やってんだ」

 眠そうにこちらを見て、タオルケットを少しずらす。

 それでもまだ辛いのか、ベッドから降りようとはしない。

「お前は、何も思わないのか」

「寝て、全部忘れた。舞地さんは」

「柳君が呼びに来て、もう帰った。お前が探せって言ったんだろ」

「あの子が探してれば、舞地さんが本当に怒ったと思わせられる」

 小さな欠伸。

 Tシャツから覗く腕には包帯が巻かれ、タオルケットに隠れた足も同様だ。


「あの人は、どうしてあんな事をしたのかな」

「カウンセリングでのストレスだろ。人の愚痴を聞くのは、誰だって面白くない」

「それが仕事じゃない」

「本当は教師をやりたかったらしいし、思うように行かないギャップもあったんじゃないの」

 先程までの言動とはまるで違う、理解ある答え。

 とはいえ聞かれたから答えたという態度であり、彼自身の心情は理解出来ない。

「カウンセリングしてても、美味しい所を教師に持ってかれたり」

「どういう意味?」

「教師に厳しく言われて、カウンセラーに甘えるのが普通。でもその逆の例が続いて、面白くなかったらしい。カウンセリングに来た生徒を甘やかす教師がいて、自分は仕方なく厳しく言う側に回る事が」

 天井を見上げ、ため息を付くケイ。 

 それが何に対してかも、分からない。

「生徒にとっては、自分の気持ちが軽くなればいいんだけど。あの男には、我慢出来なかったんだろ。周りの人間に、そう愚痴ってた」

「だとしても、そんな事くらいで」

「今のは動機の一つじゃないかって、俺が勝手に思ってるだけ。本当はどうなのかは、あいつしか知らない」

「訳が分かんない」

 そう思ってるのは、彼もまた同じかも知れない。

 遠い眼差し。

 寝起きの気だるさとも違う、物憂げな表情。

 しかし自分の行為を悔いる様子は、まるでない。


「あいつはどうなるんだ」

「少なくとも、俺達に近付く事はなくなる。多分裁判所が同一都市への居住を禁止するか、最低でも10km範囲での接近を禁止する」

「もう二度と、サトミとは会えないって事か」

「当然だろ。そのためにやったんだから。今さら、何言ってんだ」

 寝返りを打ち、背を向けるケイ。

 ショウは拳を押さえ、短くため息を付いた。

 あの人を殴った、その拳をさすりながら。


「他の奴が襲ってくる事は無いの?」

「例えが悪いけど、これだけ大がかりにやればいいデモンストレーションになる」

「せめてもの救いって訳。なんか、気が重くなる」

「ユウが狙われるって事は」

 話のついでという感じで、さりげなく尋ねるショウ。

 壁を向いていたケイは体を動かし、面倒げに頭を掻いた。

「それは、問題ない」

「どうして言い切れるんだ。現に寮で襲われたんだぞ」

「あれはサトミを不安がらせようとした、あの馬鹿の差し金。やったのは、脅されてた警備員だよ」

「だからって、違う奴に襲われないって保証はないだろ」

 納得がいかないと言う口調。

 舌を鳴らしたケイがゆっくりと体を起こし、彼を睨み付ける。

「大丈夫って言ってるだろ、しつこいな」

「どうして、言い切れる」

「何のために、お前がいるんだ。ったく、こっちが恥ずかしくなる」

 赤い顔で押し黙るショウ。

 私も、何も言う事がない。

 というか、言える訳がない。

「あの女はのんきにしてるし、馬鹿な男はいるし。勘弁してくれよな」

「わ、悪いか。確かにサトミはわがままな所があったけど、俺は別に」

「どっちも馬鹿だ、馬鹿」

「お前だろ、それは。大体サトミが大人しくしてれば……」

 ショウをつつき、ケイにペットボトルのふたを投げ付ける。

「なんだよ」

「痛いな」

 睨む二人。 

 その視線を受けながら、ドアへ顎をしゃくる。


 切れ長の澄んだ瞳、艶やかな腰までの黒髪。

 腕を組み、醒めた表情で私達を見下ろす美少女。

「楽しそうね」

 静かな一言。

 私とショウだけでなく、ケイまでも姿勢を正す。

「人の悪口だと、盛り上がれるのかしら?」

「い、いや。そういう訳じゃ。なあ」

「知らん」

 即座に首を振るケイ。

 ショウは大きな体を小さくして、目の前で見下ろすサトミの視線を避けた。

「頬の傷は、どうしたの」

「か、空手部でちょっと」

「あなた空手部とは、仲が悪いじゃない。そこで、スタンガンでも使われたとでも?」

 鋭く、的確な指摘。 

 言葉に詰まったショウは低く唸って、すがるような眼差しをケイへと向けた。

 だがそのケイも嫌そうに手を振り、ベッドに寝ようとする。

「いつの間に、生徒会へ復帰したの」

「誰から聞いた」

「あれだけあちこちに指示を出せば、嫌でも分かるわ」

 秘密にしていたはずが、全く筒抜けだったようだ。

 普通の人間なら、気付かないかも知れない。

 しかし相手がサトミでは、やはり何をしても無理だったという訳か。

 すると、もしかして……。


「先生は、どうしたの」

 いきなりの、そしてストレートな質問。

「生徒を脅迫してたから、警察が連れて行った。俺達の前には、二度と姿を現さない」

 質問と同様の、あまりもの直接的な答え。

 わずかな沈黙。

 前髪に隠れる視線。

 小さく動く口元。

 さらに沈み込んだ顔が、しなやかに上げられる。

「ごめんなさい」

 素直な、優しい表情。

 どこかで見た。

 そう、私が焼いたあの絵にも似た。

「礼なら、舞地さん達に言ってくれ」

「そうね……」

「という訳で、サトミが何かおごってくれるって」

「勝手な事言わないで」

 私と同じように、ペットボトルのふたを彼に投げるサトミ。

 ケイはそれを受け止め、微かに顔をしかめた。

「どうしたの」

「いや、別に」

「薬があるわね。また怪我でも?」

「風邪薬だよ。馬鹿は風邪引かないってのは、あれは嘘だな」

 冗談っぽく言葉を返し、ベッドから降りるケイ。

 サトミは何か言いたげにその動きを追い、静かに首を振った。

「いつから、怪しいって気付いてたの?」

「見た瞬間から」

 意外とも思える答え。

 ショウも不思議そうに彼を見る。

「じゃあ、初めからそう言えよ」

「言って、信じたか?」

「だけど。……大体、どうして怪しいって分かった」

「前に説明しただろ。同種を見分ける勘があるって」

 自分の胸に触れるケイ。

 つまり彼自身も、サトミを狙うストーカーと変わりないと認める発言。

 私は少し違うと思うのだが、その違いを説明出来ないし彼がそう言っているのだからここはそうしておこう。

「何の話?」

 目を細め、探るように上目遣いになるサトミ。

 ケイは適当に手を振り、腰を叩いた。

「わがままお嬢様のお守りをしたお陰で、寝不足ですよ。床に落ちたおにぎりは食べさせられるし、鼻は殴られるし」

「それは失礼しました。あなた、女子寮の監視カメラをまだ覗いてないでしょうね」

「どうしてそんな事まで知ってる」

「何でも知ってるわよ。警察が来る前に、マンションから色々持ち出したとか」

 瞳に力がこもり、口元が緩む。

 一体何者なんだ、この人は。

 あの場にはいなかったし、誰かに聞き込む時間もなかったはずなのに。


「ユウ、どうなの」

「さ、さあ。ショウが知ってるんじゃないの」

「お、おい。い、いや。俺は何も、その。えーと」

 突然立ち上がり、部屋の隅へ行くショウ。

 DDやマンガの積まれた場所へと。

 何もよりによって、そこへ行かなくても。

「ケイ、何か慌ててない?」

「気のせいだろ」 

 言葉の割には口元を抑え、苦い顔でショウを睨み付けている。

 しかし追い込まれた格好のショウは全く気付かず、視線を泳がせっぱなしだ。

 またそれが時折、ある場所で止まってしまう。

 素直なのは美徳だが、特には困る事もある。

 例えば、今のように。


「そこが気になるみたいね」

「え、いや。その、あのさ。俺、ちょっと」

 最悪だ。

 元々サトミには弱いのに、隠し事をしていたら耐えられる訳がない。

「何を持ってきたのか、私にも見せて」

「た、大した物じゃない」

「やっぱり持ってきてるのね」

 馬鹿ね、と言わんばかりの表情。

 薄い微笑みを受けたショウは、DDとの本の山を背にして手を振った。

 それに構わず、サトミが距離を詰める。

「見てもいいけど、見なくてもいいと思う。本当に、大した物じゃないから」

「だったら、見てもいいじゃない。私の裸でも映ってるの?」

「いや、裸は映ってないと思う」

 その答えに、頭を抱えるケイ。 

 正直だ。

 本当に、馬鹿正直だ。

 馬鹿でもいい。

「だったら、見ても構わないでしょ。私が映ってるなら、なおさら」

「そ、そうかな」

「納得するな。とにかく、見なくていいんだよ」

 ため息混じりに声を掛けるケイ。 

 しかしそうなると反発したくなるのか、サトミは腰を落としてショウの横へ手を伸ばした。


「や、止めろって」

「止めない」

 背中をラックに押し付けられるショウ。 

 サトミはくくっと笑い、一気に体を飛び込ませて手を伸ばした。

「あ」

 小さな声が上がる。

 サトミの弱いタックルを受け、ショウの体がラックを打つ。

 揺れるラック。

 その上に乗っていた、紙袋も揺れる。

 落ちてくる。

「きゃっ」

 叫ぶサトミをかばい、ショウはそれを肘で受け止めた。

 中身は何か知らないが、結構重そうだ。

「だから、危ないって言っただろ」

「え、ええ。ごめんなさい」

「い、いや。謝らなくても」

「ちょ、ちょっと」

「え?」


 そう聞き返した時にはもう遅く、鈍い音を立ててラックが倒れてきた。

 それを全身で受け止める男の子を、下敷きにして。

 鍛えているから大丈夫、の訳はない。

 慌ててラックを持ち上げ、彼を引きずり出す私達。

 本とDDに埋もれたショウは首筋を押さえ、何やら呟いた。

 かなり痛むらしい。



「あのさ」

「静かにしてなさい」

「で、でも」

「いいから」

 そっと髪を撫でる、しなやかな指先。

 ショートスカートから覗く、白い太股。

 その上に頭を乗せる、赤い顔をした男の子。

 膝枕とも、人は言う。

「何やってるのよ」 

 一応は聞かれないように呟き、部屋に散乱したDDを蹴る。

 サトミはそんな私を見もせずに、膝に乗ったショウを優しく見下ろしている。

「もうすぐ医療部の人が来るから、それまでは大人しくてなさい」

「だ、大丈夫だって」

「頭を打ったんだから、駄目。そうよね」

「俺に聞かれても」

 肩をすくめるケイ。

 しかし私がDDを蹴ったのを見て、怖い顔で睨み付けてくる。

「何よ」

「別にいいだろ、あのくらいは。サトミをかばった結果なんだし」

「だけど、その。あれじゃない。そんなの、それ。あのさ、私だって」

「じゃあ、俺にしてくれ」

 彼の鼻先に膝頭を持っていき、口を閉ざす。

 青い顔でベッドに戻ったケイは、舌を鳴らして手をタオルケットの中へと収めた。

 一枚のDDと共に。

 それに映っているのが何かは、勿論分かっている。



 膝枕をするサトミと、されるショウ。

 それを楽しそうに見つめるケイと、面白く無さそうに見つめる私。

 一つの結末。

 予想通りの、でもどこか違う後味の悪い。 












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