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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第14話
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     14-7




 手の中で警棒を転がし、その感触を確かめる。

 スティックでないと使えない事はなく、警棒での訓練も積んでいる。

 中等部で初めて持った頃は、正直かなりの重さを感じていた。

 今でも少しの負担はある。

 ただ、丸腰でいるよりは安心だ。

 使う場面が滅多にないとしても、相手への抑止力にはなるし。

「珍しいですね、警棒なんて」

「ん?」

 私の前に、マグカップを持って座る渡瀬さん。

 ここは沙紀ちゃんのオフィス。

 私は相変わらず以前のオフィスに戻らず、こことモトちゃんの所を行き来している。

「ちょっと、調整に出してるの。一応、オーダーだから」

「へえ」

 素直に感心した渡瀬さんは、腰のフォルダーから自分の警棒を抜いた。

「私のは支給品です」

「でもちゃんと手入れしてあるね」

「ええ。昔、沙紀さんが使っていた物なんです。それを譲ってもらって」

 はにかみ気味に笑う渡瀬さん。

 いつもの朗らかさよりも大人しく、可愛らしく。

「そういえば、これで斬られたのを思い出した」

「えっ?」

「服をね。あの子はすごいわよ」

「あ、そういう事ですか」

 ふと浮かぶ、安堵の表情。

 警棒で服を斬った事に対する感嘆の意は、あまり感じられない。

 きっと彼女にとっては、そのくらい当たり前と思っているのだろう。


「私、今でもそうですけど、昔はもっと落ち着きが無くて。よく、沙紀さんに助けてもらったんです」

「あの子は落ち着いてるものね。本当に、私と同級生かな」

「確かに」

「否定してよ」 

 くすっと笑い、彼女の警棒を借りる。

 表面は傷付きグリップ部分のすり減りはある物の、よく手入れが行き届いている。

「でも沙紀ちゃんのだったら、手の大きさが違うからグリップの減り方も違うでしょ」

「あ、そこだけは変えました」

 自然に返す渡瀬さん。 

 するとここまですり減るくらい、彼女はこれを手に馴染ませたという訳か。

 つまり、それだけ警棒の訓練を積んでいる訳だ。

 新しいグリップが、ここまですり減るくらい。

 外見は脳天気で、いつも楽しそうな彼女だけど。

 内面はまた違うらしい。

「頑張ってるね、渡瀬さんは」

「私なんて、全然。沙紀さんや、雪野さんに比べたら」

「私は駄目よ。ただのガーディアンで、あの子みたいに役職に就いてる訳じゃないし」

「んー、そういう見方もありますけど。やっぱり雪野さんもすごいですよ。私は北地区でしたけど、エアリアルガーディアンズはガーディアンなら大抵の人は知ってましたから」

 敬意に満ちた眼差しで私を見つめる渡瀬さん。

 ただその評判の内容は、きっと私達の暴れ過ぎに関する事だろう。

 そう思うと、あまり素直には喜べない。

「雪野さんと、その玲阿さんはすごい強くて。遠野さんは綺麗で、頭もすごい良くて。生徒会や教師相手にでも一歩も引かないすごい人達がいるって、みんな言ってました」

「そ、そう」

 思った通りの答え。

 ただ彼女に悪気はないようなので、ここは笑顔で受け止めよう。


「……ケイは?浦田珪」

 出てこない名前。 

 沙紀ちゃんも以前、こう言っていた気がする。

 すると渡瀬さんは短いお下げ髪に手を触れ、申し訳なさそうな上目遣いになった。

「浦田さんって、あまり評判聞かなかったんですよね。そういう人がいるのは知ってましたけど、何をやってるのかはあまり」

「分かる、それ」

「い、今は違いますよ。こうして近くにいると、やっぱりこの人もすごいんだなって思いますから」

 取り繕うように、慌てて説明する渡瀬さん。

 ただ何がすごいのかは語らないし、私もそれ程聞きたくはない。

 私こそ、彼の評判を聞いた事がないから。

 良い評判を。

「玲阿さんは、格好いいとかよく聞きますけどね……。済みません」

 滑らかになりかけた口が止まり、その可愛らしい顔が下がっていく。

 しかし、そうされるとこっちの方が恐縮をしてしまう。

「いいって、そう気にしなくても。確かにあの子は格好いいから」

 照れつつそんな事を言っている私。 

 自分でもどうしてしまったのかよく分からないが、言ってしまったものは仕方ない。

「雪野さんも、そう思います?」

 不安半分、興味半分という顔。

 私はぎこちなく頷き、警棒を握り締めた。

 だがそれがショウのだと気づき、顔に血が上る感触がする。

「どうかしました?」

「な、なんでもない。渡瀬さんは、ああいう子がタイプ?」

 ごまかしついでに、よく分からない事を聞く。 

 すると渡瀬さんは苦笑気味に両手を振り、何故かため息を付いた。

「そんな、恐れ多い」

「誰に」

「それは勿論、雪野さんに」

「私は、別に。何も、そんな。大体私達は、何でも」 

 何でも無いんだし。

 そう言おうとして、言葉に詰まる。

 言い切れるのか、本当にそうなのかと。

 この警棒を、今私が持っている意味は。

「少なくとも、ケイよりはましでしょ」

「外見はそうですけどね。あ、今の内緒」

 身も蓋もない事を言い合い、ようやく笑う私達。

 ただそれで、少しは空気も解された。


「大体私、詳しく言える程玲阿さんの事知りませんし」

「あの通りよ。普段、渡瀬さんが見ているまま」

「外見の割には、押しが弱いですよね」

「最近は違うんじゃない?」

 自分の身に降り掛かった事を前提に、そう答える。

 強気に、自分の考えだけで物事を押し通そうとしていた彼。

 その結果が今の私達の関係を招き、私の気持ちをも揺れさせた。

 押しが弱いのは昔の話で、それを笑っていたのも昔の自分だ。

「でもこの間、木之本さんに怒られてましたよ。その理由までは知りませんけど」

「木之本君が?」 

 随分意外な人の名前が出てきたな。

 あの子が誰かを怒るなんて、あるだろうか。

 私の表情から疑問を読み取ったのか、渡瀬さんも同意を求めるように小首を傾げる。

「あの人って、普段はすごい優しいじゃないですか。そんな人に何も言い返さず、一方的に怒られてたんですから」

「木之本君が怒るなんて、余程何かがあったのかな。怖くて、本人には聞けないけど」

「本当に。私、木之本さんが殴るかと思ったくらいですよ」

 真顔で語る渡瀬さん。

 それこそ疑わしいというか、あり得にくい話だ。

 ただ、全くないという事ではない。

 中等部の時にあった、ある出来事を思い出せば。

 彼を何も恐れず立ち向かえる数少ない一人が、木之本君だから。

「不思議というか、珍しい話ね」

「玲阿さんその後も、怒るって雰囲気じゃなかったし。反省というか、悩んでるというか」

「見た目は派手けど、結構色々な事を気にするタイプなのよ」

 何となくフォローする私。

 渡瀬さんも悪口を言っている訳ではないが、それ程良く言っている訳でもないので。

 私がそれについて何か言う権利があるかどうかは、ともかく。


「それに私は、男の子がどうとか恋愛ってあまり考えた事ありませんから」 

 この手の話題に照れた様子もなく、ごく自然に言ってのける渡瀬さん。

 内気や純真さを装っている訳はなく、本心からそう思っているようだ。

「ケイみたいな事言うわね。あの子も、その手の話は殆どしないから」

「あれ。浦田さんは、沙紀さんと付き合ってるんじゃ」

 飲みかけた紅茶を吹き出しかけ、どうにか喉の奥へ流し込む。

 久しぶりに、こういう話を聞いた。

「ま、まさか。誰がそんな事言った?」

「二人の雰囲気を見て、私がそう思っただけです。友達って関係ではないでしょう」

 意外と鋭い観察眼を披露する渡瀬さん。

 または、私達の周りなら誰もが思ってるかも知れない話。

「雪野さんは、どう思います?」

「どうって、何を」

 嫌な話題だなと考えつつ、曖昧に問い返す。

「誰かを好きになるって」

「え?」

 かなり唐突な、予想もしない質問。

 渡瀬さんははにかみ気味に笑い、テーブルにのの字を書いた。

「いえ。私はそういう気持ちになった事がないから。雪野さんはどうなのかなって」

「私も、そんな経験は」

「無いんですか?」 

 意外という表情。

 否定をするのもおかしいし、肯定するのもためらわれる。

 直接聞かれるよりも却って困る質問だ。

「済みません、変な事聞いちゃって」

 私の困惑を読み取ったのか、すぐに折れる渡瀬さん。

 こちらは安堵感と共に、首を振った。

「私こそ。難しいのよね、どう答えていいのか。あると言えばあるし、無いと言えば無いし。私も渡瀬さんと同じで、恋愛なんて分かってないのかな」

「そうなんでしょうか」

「うん。結局、私は何も分かってないのよ」

「はあ」

 戸惑う渡瀬さん。

 私は自嘲気味に笑い、警棒を手の中で転がした。


 何となく黙る私達。

 ただ重い沈黙ではなく、お互いが思索しそれに耽るような。

 特に私は。

 深く、その考えに沈んでいく。

 いつものように。

 この最近のありふれた日課として。

 しかし、その静寂が不意に破られる。

「え、何?」

「誰かが叫んでます」

 受付の辺りを指差す渡瀬さん。

 私は意識を切り替えて、警棒を手に席を立った。


 やや細いが、かなりの長身。

 ただそれは身長のせいで、大柄であるのに違いはない。

 精悍というよりは、厳つい顔立ち。 

 その男性が、受付のテーブルに手を付き怒鳴っている。

 本人は普通に話しているつもりだろうが、他人から見ればそう見える。

「止めなさい」

「あ?」

 険悪な表情で振り向き、慌てて頭を下げる御剣君。

 相変わらずというか、懲りないというか。

「静かに話しなさいって、この間も言ったでしょ」

「お、俺はそのつもりですけど」

「だったら、もっと静かに。私は慣れてるから問題ないけど、あなたが変に誤解されるわよ」

「済みません……」

 大きな体を小さくさせ、私に頭を下げる御剣君。

 その様子を見守っていたガーディアン達から、感嘆とも恐れともつかない声が聞かれる。

 こうして私も誤解されるから、勘弁して欲しい。

 まずは、警棒をしまった方がいいか。

「さすがですね、雪野さん」

「渡瀬さんまで。私は、注意をしただけよ」

「冗談です」

 朗らかに笑う渡瀬さん。 

 その屈託ない笑顔と軽やかな笑い声が重くなりかけた辺りに広がり、自然と空気も軽くなる。

 受付全体を包み込む安堵感と暖かさ。

 多分本人も気付いていないだろう、彼女の魅力。

「そっちの子は」

「渡瀬千恵。1年です」

 一応は丁寧に挨拶をするが、少し物腰が険しくなった。

 おそらく、先日小谷君と彼がやり合ったのを思い出したのだろう。

 この子も、結構直情型だから。

「俺、何か悪い事やった?」

 さすがに気にする御剣君。

 私はその事を簡単に告げ、高い位置にある彼の顔を指差した。

「こうして誤解されるから、大人しくしなさいと言ってるの。誰もあなたにケンカなんて売らないから」

「そうですけど」

 不満の残る表情。

 これだけの体格と能力があれば、血がうずくのも仕方無いとは思う。

 先日のショウがそうだったように。

 ただ彼は、爆発する事はあってもそれには何かの理由があった。

 この間のように、意味もなく突っ走りはしなかった。

 でも、最近の彼は明らかにおかしかった。

 自分で何でもやろうとして、それを無理に押し通して。

 周りを見ず、耳も傾けず。

 そして私にも。

 それはともかく、彼は帰した方が良さそうだ。

 悪い子では無いけど、今の渡瀬さんの表情を見る限りではいい事が起こりそうに無い。

「ほら、今日は早く戻って。また揉めたら面倒でしょ」

「何か、追い払われてるみたいだな」

「誰が」

「い、いえ。何でもないです」

 すぐに謝る御剣君。 

 周囲のささやきが、再び起こる。

 もういい、今さらの事だ。


「とにかく……」

 ドアを指差したら、封筒を抱えたケイが入ってきた。

 当然そちらへ向かいかけた御剣君と、顔が合う。

「久し振り。そうか、俺が2年だから自分も1年だよな」

「は、はい」 

 気さくに話し掛けるケイと、固く頷く御剣君。 

 二人の雰囲気や体格を見ればその逆だと思うが、お互いの関係は見たままだ。 

「ショウと遊んでるんじゃないのか」

「え、ええ。最近は。でも、いつもって訳じゃ」

 私を恐る恐る窺うような視線。

 ケイは構わず、自分の胸元を指差した。

「あいつの仇でも取る?俺は、いつでもいいよ」

「ま、まさか。浦田さんとやるなんて」

「ケンカ、好きなんだろ」

「い、いえ。それと、これとは」

 しどろもどろの御剣君。 

 ケイは「冗談だ」と笑い、彼の隣を通り過ぎてこちらへとやって来た。

「そ、それじゃ失礼します。遠野さんにもよろしく」

「俺より怖いお姉さんに」

「い、いえ。それは」

 走るようにドアを出ていく大きな背中。

 ケイは鼻で笑い、私に封筒を渡した。

「何だ、あれ」

「私も、少し注意したから」

「それで、怯えてるって?逆だろ。あの子に勝てる奴なんて、この学校に何人いる」

 彼の強さを認める発言。 

 ケイが普通にやり合えば、間違いなく御剣君が勝つだろう。

 それを受けての発言であり、苦笑気味の表情だ。

「どうしてあの子、あんなに怖がってたんですか」

 私とケイを交互に見つめる渡瀬さん。

 その疑問は当然で、遠巻きにこちらの様子を窺っているガーディアン達も同様だろう。

「ホモっていうネタで、強請ってるんだよ」

「え?」

 点になる目。

 一気にざわめく周囲。

 ケイは笑って歩き出し、奥の部屋へ続くドアへと入っていった。


「浦田さんっ」

 すぐに私達を追ってくる渡瀬さん。

 当たり前だが、すぐにからかわれたと気付いたらしい。

 周りに彼女以外にいないのを確かめ、ケイが足を止める。

「聞きたいなら、御剣君に聞けば」

「そんな」

「冗談だよ。確かにショウや御剣君は強くて、俺なんて相手にならない。それこそ、一発殴られればそれで終わる。だけど」

 廊下の壁に背を持たれ、腕を組む。

 彼が希に浮かべる。

 またよく似合う、鋭さを帯びた笑顔。

「隙のない人間なんていない。俺は、そこを付くだけだよ」

「でも、やっぱり」

「どうしても勝てないと思ったら、銃でもナイフでも使えばいい。卑怯でも何でも、勝ちは勝ち。メンツや体面にこだわるか、その危機を乗り越えるか。選ぶのは自分さ」

 珍しく諭すような事を言うケイ。 

 渡瀬さんは当然、納得しがたい顔で彼を見る。

「ユウみたいに真っ直ぐ行くか、俺みたいにひねくれるか。それも、渡瀬さんの自由。自分の場合は、間違いなくユウの方だけどね」

「そうでしょうか」

「ああ。その方が、絶対にいい」

 強い、確信に満ちた口調。

 またそれは、自分をも否定する言葉。 

 だが彼は、恥じ入る事も落ち込む様子もない。

 その強い信念がある限り、彼は彼の道を行くだろう。


 隊長執務室。

 大きなデスクで端末を向き合っている沙紀ちゃん。 

 彼女の隣では、神代さんがその画面を見て何か言っている。

「お待たせ」

 軽く声を掛けるケイ。

「ありがとう。もらってきてくれた?」

「ユウが持ってる」

 私の胸元にある封筒が指差される。

「何が入ってるの」

「開ければ分かる」

 よく分からないまま、机の上で封筒を逆さにする。

 鈍い音。

 紙の束。

 さらに言うなら、お札の束。

「ええ?」

「短期間の仕事をした時に支払う手当よ。それ以外に、私の交際費もあるけど」

「そんなの、もらった事無い」

「生徒会ガーディアンズにはあるんだよ。俺達みたいな貧乏所帯とは違って」 

「先輩、抜いてないでしょうね」

 悪戯っぽく笑う神代さん。 

「心配しなくても、このくらいならいつでも横領出来る」

「え?」

 からかったはずが、逆にからかわれている。

 また、それが本当なのが怖い。

「じゃあ、優ちゃんにも」

 書類をチェックして、封筒に入れたお金を沙紀ちゃんが差し出してくる。

 私はそれを受け取って、首を傾げた。

「貰えるのは嬉しいけど、どうして私に」

「この間、新入生を案内したでしょ」

「ああ。そういえば」

 食事をして終わるくらいの金額ではあるが、素直に嬉しい。

 サトミにでも何か奢ろう。

「二人にも、はい」

「あ、どうも」

「ありがとうございます」

 私同様、嬉しそうに封筒を受け取る神代さん達。

 沙紀ちゃんは残りのお金を大きな封筒へ戻し、デスクの引き出しへと入れた。

「俺には」

「あら、どうして」

「善意のボランティアか、俺は」

「分かったわよ、面倒な人ね」

 ジャーキーを机の上に転がす沙紀ちゃん。 

「おい」

「いらないなら、いいのよ」

「いるって」

 沙紀ちゃんの手をかいくぐり、必死にジャーキーを持っていくケイ。

 そんな二人を、渡瀬さんは不思議そうに見つめている。

「良く分かんない」

 ぽつりと漏らす渡瀬さん。

 私も苦笑して頷いた。

 確かにこの二人の関係こそ、難しい。

 今の光景も、カップルと言うよりは親友という雰囲気だし。

 ただ沙紀ちゃんの気持ちは分かっていて、難しいのはケイの方だけど。

 どちらにしろ、私にも難しい。

 そして、分からない。

 自分の事すらも……。



 沙紀ちゃん達に別れを告げ、ラウンジへと向かう。

 モトちゃんを手伝っているサトミとの、待ち合わせ場所へ。

 終業時間には少し早いけど、今の私達にはそのくらいの融通は利く。

 勝手に担当ブロックを離れておいて、という話でもあるが。

「……何か、騒いでない」

 前を指差すケイ。

 ラウンジの入り口辺り。

 普段でもそこには、大勢生徒がたむろしている。

 だが今は、その数が少し多く見える。

「ガーディアンは……、いるか」

 彼は警棒から手を離し、軽く辺りを見渡した。

 そちらが陽動、とでも考えているのだろう。

「ちょっと」

「どうした」

「あれ、サトミじゃない」

 人垣の向こう側。

 青い顔で壁にもたれている少女。

 距離はあるが、見間違えるはずはない。

「急ごう」

「ああ」


 人混みを掻き分け、入り口の側へと近づく。

 野次馬と、何人かのガーディアン。

 おかしな人間はいない。

 少なくとも、外見上の判断では。

「どうしたんですか?」

 顔見知りのガーディアンに声を掛け、サトミへと顔を向ける。

 顔色はともかく、怪我は無さそうだ。

「誰かに尾行されて、襲われかけたらしい」

「らしいって」

「目撃者はいるけど、逃げられた。帽子被ってて、顔は見てないって」

「ああ、そういう事」

 彼に礼を言い、サトミの元へ向かう。


「サトミ」

「あ」 

 青い顔を微かに緩ませるサトミ。

 余程の事があったのか、すぐには声が出てこない。

「大丈夫?」

「え、ええ。突き飛ばされただけだから」

「少し、調べるか」

 私達だけに聞こえるくらいのささやき。

 怜悧とも言える、凍り付くような瞳の色。

 ケイはサトミを手招きして、後ろを向かせた。

「何するの」

「指紋と、付着してる繊維を見る。ここだとあれだから、モトの所へ行こう」

「あ、うん。サトミ」

「ええ。大丈夫」

 弱々しい笑顔。

 私は彼女の手を握り、そっと腕を取った。

「ユウ、気配は」

「今の私に、そういう事を求めないでよ」

「悪い」

 辛そうに頷くケイ。

 私もため息を付き、側にいたガーディアンの人達に別れを告げる。

 その時、不意に目の前に人影が現れた。 


 私がサトミの前に立ち、ケイが警棒を抜いてさらに前へと出る。

「ま、待った」

 慌てて手を振る、飛び出てきた男性。 

 ケイは構わず、喉元へ警棒を突きつける。

「その人は違うわ」 

 後ろから、小声で制するサトミ。

「……済みません」

 警棒をしまい頭を下げるケイ。

 私もすぐに彼へ倣う。

「いや。僕こそ、急に出てきたから」

 青くなった顔で笑った男性は、額の辺りを手で拭った。

 長身だが華奢な体型。

 スーツを綺麗に着こなしている、好青年といった様子。

 端整な、やや線の細い顔立ち。 

 スーツやその雰囲気から言って、少なくとも高校生では無いだろう。

「私が取ってる、地理の先生よ。一緒に歩いている所を襲われて。吉沢よしざわ先生が私を押さなかったら、本当に怪我してたわ」

「いや。僕は本当に、ただよろけただけで」

「謙遜しないで下さい」 

 柔らかく微笑むサトミ。 

 彼女があまり見せない、優しい表情。

 吉沢先生という人も、気弱そうな笑顔でそれに応えている。

「そうなんですか。ありがとうございます」

「どうしてユウが、お礼を言うの」

「さあ」

 二人して笑い、私は胸を撫で下ろす。

 襲った相手が逃げたのは気がかりだが、それは後で考えればいい。

 それよりも、まずはサトミを休ませよう。

「あの。私達、彼女を休ませたいので」

「そうだね。遠野さん、大丈夫?」

「ええ。ありがとうございました」

「いや。それじゃ、またね」

 爽やかな笑顔で去っていく吉沢先生。

 その背中に手を振るサトミ。

 しかし、あんな格好いい先生初めて見た。

 気は弱そうだけど、優しそうだし。

「誰なの、一体」

「だから、地理の先生。あなたは取ってないでしょ」

「うん。ケイは知ってる……、訳無いか。襲ったくらいだし」

「未遂だよ、俺も。それより、急ごう」



 モトちゃんのオフィス。 

 その奥にある、着替え用のロッカールーム。 

 サトミが来ていたクリーム色のベストをテーブルの上へ置き、その上に大きなセロファン紙を重ねる。

 指紋と付着した繊維、それ以外の物を写し取る訳だ。

「でも、こんなの意味あるの?」

「警察に調べてもらう。そのために、こうして警察のマニュアル通りにやってる」

「ああ、それで」

 どうして木之本君がカメラを廻しているかと思ったら。

 いくら彼でも、ただベストを写していても面白くはないだろう。

「でも私達は、警察じゃないわよ」

「元野隊長は違うんですよ」

 冗談っぽくモトちゃんを指差すケイ。

 そのモトちゃんは、真剣な表情でセロファン紙を細い棒で押し付けている。

「自警局や連合の幹部は、警察で研修を受けてる。生徒の自治という大前提で、警察は学校へなかなか入れないから」

「じゃあ、木之本君も?」

「まあね。あまりやりたい事じゃないけど。この学校に加害者がいるという証明をする事になるんだから」

 カメラを廻しながらため息を付く木之本君。

 彼らしい考え方ではある。

 私からすれば、どんな事をしてでも捕まえてやりたいが。

「……取りあえず出来た。後は袋に入れてと」

 大きなビニール袋にセロファン紙を入れて、何重もの封印がされる。 

 さらに木之本君が立会人のサインを入れ、端末で警察へ連絡を取った。

「これで、警察が取りに来てくれるわ」

「出前だな、まるで」

 鼻で笑うケイ。 

 ただ目付きは、依然として鋭さを失わない。

「でも警察は、このくらいじゃ調べてくれないでしょ」

「生徒会へ渡すより確実だから。捜査はしなくても、保管はしてくれる。犯罪者が、絶対手を出せない場所で」

「なるほど」

「こういう形で俺達を狙う奴は最近いないから、保険って事さ。それで何もないなら、一番いい」

 意外とまともな事を言ってきた。

 というか、普段がふざけ過ぎているとも言える。

「それより、心当たりは?」

「さあ」

「多過ぎて分からない、か」 

 眉間の辺りに拳を当て、ため息を付く。

「ショウがいれば、少しは楽なんだけど」

「若いのに、もう愚痴をいう年?」

 からかうモトちゃんに笑いかけ、軽く手を振るケイ。 

「良くいる馬鹿かも知れないし、沢さんの言ってる研修でしばらく学校の外に出る。取りあえずは、サトミが注意してて」

「ええ。女子寮は警備員もいるし、問題ないわ」

「私も気を付けるから」

 サトミの手を握り、もう片手を取っているモトちゃんと一緒に頷く。

 私自身の悩みなんてどうでもいい。

 とまでは言えないけど、それよりは優先される事柄だ。

 ただケイの言う通り、ショウがいればとは思う。 

 物理的に守るという意味だけでなく。  

 相手への抑止力。

 学内最強という噂と、それに違わない実力。

 そんな人が側いると知って襲ってくる人間は、まずいないだろう。

 また彼の、仲間への思い。

 そして仲間からの信頼。

 それあれば、誰が来ようと問題ではない。

 でも、彼はいない。

 サトミの側にも。

 勿論、私の側にも。

 ケイは当分襲われる心配はないと言っているけれど、絶対ではない。 

 そのために、どうべきか。

 私自身がサトミを守るにも、今の気持では無理がある。

 やる事だけはやるにしても。

 私は、何をしたらいいのだろうか……。



「襲われた?」

 ちらりと顔を上げる塩田さん。 

 私は頷いて、後ろに控えているサトミを指差した。

「報告は聞いてません?」

「いつの話だ」

「ついさっきです」

「まだ事務局の段階かな。相手は……、分かってたらここにはこないか」

「ただの馬鹿ならいいんですけどね」

 静かに語るケイ。

 塩田さんはデスクから離れ、端末を取り出した。

「……俺だ。遠野が襲われたという報告書は。……ああ、データだけでいいから送ってくれ」

「仕事が早いですね」

「言ってろ。しかし、玲阿がいないのは痛いな」

 ケイと同じ答え。

 私は何も言えず、視線を伏せる。

「お前が気にするな。それにしばらくよその学校に行くなら、心配はないだろ」

「そうですけど」

「私は大丈夫ですから」 

 明るく答えるサトミ。

 無理をしているようにも、見えなくもない。 

「……突き飛ばして逃げたか。ただの馬鹿か、ストーカー野郎か。これだけじゃ分からん。警察に連絡するのは、早過ぎないか」

「何事も先手です。おかしな奴は、先に尻尾を掴んでおかないと」

「例えば、お前みたいに?取り越し苦労で済めば、それに越した事はないしな」

 サトミへ向かって優しく笑い、塩田さんは端末で連絡を取り出した。

「俺だ。ああ、ちょっと来てくれ」


 呼び出されたのは、副会長。

 その後ろでは、天満さんが何かをかじっている。

 中川さんの呆れ気味な視線を受け流しつつ。

「猪のジャーキー。いる?」

「い、いらない」

「美味しいのに。豚の先祖よ」 

 嫌な事を言って、喜々としてかじっている。

 メーカーの試供品だろうけど、これは売れないし買いたくない。

「私に、何か」

「遠野がおかしな男に襲われた。何か情報は」

「そういう連中の監視は、君の所管でしょう」

「例の傭兵が紛れ込んでるって可能性もある」

 あごを引き、上目遣いで副会長を見据える塩田さん。

 副会長は優雅な仕草で髪をかき上げ、それを跳ね返した。

「彼等が動いているという情報はありません。旧クラブハウスも、静かな物ですし」

「じゃあ、個人的な線か。それはもう、俺には分からん」

「気にし過ぎでしょう。何なら、護衛でも付けますか?」

「本当に、私は大丈夫ですから」

 大事になりかける気配に、困惑気味に手を振るサトミ。

 それだけみんな彼女の事を気にかけているのが、気恥ずかしいという部分もあるのだろう。

「しかし、怖い話ね。私も気を付けよう」

「あなたを襲う人なんていませんよ」

「あ、そう」

 へらっと笑い、指を舐める天満さん。

「凪ちゃんはどう思う?」

「今度の件が遠野さん達個人を狙ったとしても、傭兵が紛れ込んでいるのは事実なんだし。警戒は必要じゃない」

「だって」

「そこに来ての仲間割れは痛いですね」

 冷静に指摘する副会長。

 諭すような彼等の視線。

 サトミの件もあるけれど、これを言いたかった訳か。

 ケイ達はともかく、私には特に堪える。

「済みません」

「お前が謝ってどうする。どうせ謝るなら、あの馬鹿も連れてこい」

「で、でも。それは」

「もう、何言ってるのよ。自分だって、ずっと屋神さんとケンカしてたくせに」

 塩田さんが座っているデスクを蹴りつける中川さん。

「お、俺はいいんだよ。終わったんだから」

「だってさ。影でしくしく泣いてたのに」

 泣き真似する天満さんを中川さんが抱きしめ、二人でくすくす笑い出す。

「止めろって。おい、大山」

「屋神さんと、添い寝でもしたくなりましたか?」

「お、お前な。今は俺の話じゃなくて……」

 必死で言い繕う塩田さんだが、みんな全く聞いてない。

 でも楽しそうだし、このままにしておこう。

「それじゃ、私達は帰りますから」

「ちょ、ちょっと待てよ。お、おい」

「失礼します」

 閉まっていくドアの向こうから聞こえる怒号と高笑い。

 サトミを気遣ったのはおまけかなという意見に傾きつつ、私はドアへ背を向けた……。



 翌日の放課後。

 サトミ達と別れ、早足で廊下を行く。

 人を追い抜き、先を急ぐ。

 意識は。

 意識ははっきりしている。

 目的があるから。

 気持はともかく、迷いはない……。


 自動で開くドア。

 それをくぐり、中へと入る。

 営業っぽい笑顔を浮かべ、すぐに小さく口を開ける受付の女の子。

「どうかした、雪野さん」

「えと、ちょっと」

「……玲阿君は、奥よ。矢加部さんは、外に出てる」

 小声でささやき、別室へ続くドアを指差す。

 私は目線で応え、彼女に別れを告げた。

 G棟の、ある生徒会ガーディアンズのオフィス。

 矢加部さんの所属するブロック。

 また、ショウが今いるはずの所でもある。

 さっきのロビーを抜け、廊下へと出る。

 突き当たりが、隊長室。

 左右に控え室や尋問室、ロッカールームなどがある。

 私達のオフィスとは違う、広い間取り。

 まずは、控え室か。


 ドアの前に立ち、ノックする。 

 さすがにここは、自動ではない。

「……はい」

 聞き覚えのある声。

 私が動くより先に、ドアが開く。

「あ」

 小さく上がる声。

 戸惑いと、驚きと。

 喜びに見えたのは、私の考え過ぎか。

「今、いい?」

「ああ。俺一人だから」

 テーブルと椅子。

 ロッカーにTVや、卓上端末。 

 私達のオフィスと同じような様子。

 勿論、室内のサイズは小さいが。


 私が入れたコーヒーを前にして、机の上で指を組む。

 ショウは何も言わない。 

 テーブルを見つめ、黙っている。

 憂いを帯びた顔。

 ため息とも付かない、弱い息。

 疲れ切った、力無い佇まい。

 多分、最近の私と同じような姿。

 私は指先に力を込め、彼を真っ直ぐ見つめた。

「……今までの事を話に来たんじゃないの。サトミが、誰かに襲われて」

「え?」

 顔が上がり、瞳に力がこもる。

 私は首を振り、話を続けた。

「軽く突き飛ばされただけで、怪我はなかった。ただ相手に逃げられて、あの子も少し気にしてるみたい」

「そういうやり方で、俺達を襲う奴なんてまだいるのか。あまり、いい兆候じゃないな」

「うん。大丈夫だとは思うけど」

 真剣味を帯びる彼の表情と口調。

 紛れもなくサトミを思う気持が伝わってくる。

 それに伴い、私の胸も少しだけ暖かくなる。

「出来たら、あの子の側にいて欲しいの。それだけで安心出来るし、向こうも手出ししにくいと思うから」

「俺が?」

 眉をひそめ、口元の辺りに手が当てられる。

 逡巡、迷い。 

 即答は返ってこない。

 その時間が、暖まっていた胸を冷やしていく。

「いい気分じゃないのは、私も分かってる。でも、そういう事を言ってる場合じゃないでしょ」

「ただ、俺がいてどうなるって話だろ。1日中付いてる訳にはいかないし、向こうも気詰まりだろうし」

「一緒にいるって、その襲ってきた人が思うだけでいいのよ。そこまで多くは、求めてない」


 彼の言い方に、何となく反発気味に答える。

 向こうもそれが気に障ったのか、鼻の辺りにしわを寄せて唇を噛んだ。

「自分だって、丹下さんだっているだろ。その方が、却っていいんじゃないか」

「だから、相手への牽制だって言ってるでしょ」

「俺がいたって、ぎくしゃくするだけさ。いない方がいい」

 投げやりに言って、背もたれへ身を任せるショウ。 

 私はテーブルへ手を付き、身を乗り出した。

「いるだけでいいって言ってるの。聞いてないの」

「そんな事、俺にやれっていうのか。かかしじゃあるまいし」

「不満なの?そうなら、はっきり言ってよ」

 テーブルの上で固まる拳。

 熱くなる体、いや心の中。

 彼も目付きを鋭くさせ、同じくらいの高さになった私の顔を睨み付ける。


「ふ、ふざけないで」

「自分こそ。俺は、俺は」

「何よ」

「その、俺だって。そんな、そんな事をやるために」

「サトミを守るのが、馬鹿馬鹿しいっていうの」

 すぐに首を振るショウ。

 だが私を睨む眼光は弱まらない。

「そうじゃなくて。そうじゃなくて。俺だって、もっと他の事が出来るんだよ」

「やればいいじゃない。何か知らないけど」

「ぜ、全然分かってない。俺はもういちいち、人にあれこれ言われなくたって自分でやれるんだ」

「だからやればいいでしょっ。でも今は、それどころじゃ無いって言ってるのっ」

 テーブルを叩き、さらに身を乗り出す。

 ショウも席を立ち、高い位置から私を見下ろす。

 言葉はもう無くて、ただ相手の顔を見つめ続ける。

 その方が、お互いの意志を伝えやすいとでも言うかのように。

 熱くなる気持ち、消える周囲。

 今目の前にいる彼しか理解出来ない。 

 その気持ちと、存在以外には何も。

 彼と私。

 相手を理解しようとするのではなく、お互いの気持ちをぶつけ合う。

 険しい物腰と、挑むような態度で。 

 自分を分かってもらおうと、自分はこう考えていると。

 余計な遠慮や気遣いなどまるでなく。

 その気持ちを伝えようとする。

 私だって分かって欲しいから。

 彼がそうなように。

 色々な事を考えているように。 

 私だって、色々考えているから。 

 それを伝えたい。 

 他の誰にでもない、彼に……。


 しばらく見つめ合った後。

 ショウがふと視線を外す。

 私も髪をかき上げ、間を置いた。

 何か違う雰囲気。

 口では言い表しにくい、だけど不思議な気分。

 彼もそれを悟ったのか、その口元がわずかにだが緩んだように見えた。

 私にも自然と、笑顔が浮かぶ。

 少し開く彼の口。

 私は静かに、それを待った。


「……何してるんですか」

 不意に開くドア。

 甲高い声と共に入ってくる矢加部さん。

 その取り巻きも、当然のように。

「別に、何でもない」

 素っ気なく答え、彼女の隣を通り過ぎるショウ。

 私も無言で、その後に続く。

「ちょ、ちょっと」

「本当に、何もないから」

「そんな事は分かってます。でも、どうしてここに」

「サトミの事で、話があっただけ。それだけ」

 それは本当なので、真顔で言える。

 その他の話をする気も無いし。


 お互い無言でロビーにやってくる。

 開いたドアの前。

 私は素早くそこをくぐり、彼を振り向く。

 こちらを見てはいない。

 でも、だけど。

 一歩前に出るショウ。 

 少し近くなる、私達の距離。

「……俺、少しやる事があるから」

「うん、分かった。またね」

「ああ。何かあったら俺を呼ぶように、サトミへ」

「伝える。ショウも、頑張ってね」

 久しぶりに呼ぶ名前。

 自然に口をついて出た言葉。

「ユウも」

 それに応えてくれるショウ。

 閉まるドア。 

 振られる手。 

 私は廊下、彼は向こう側。

 それを隔てる壁。

 だけど。



 少し、一歩近づいた。

 ただケンカをしただけとも言える。

 私の思い込みとも言える。

 それでもいい。

 私の心の中は、いつになく晴れ渡ってるから。 












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