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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第14話
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     14-5




 久しぶりに開けるドア。

 ホコリが積もっていたり、散らかっている様子はない。

 以前と変わらない光景。

 逃げるようにして後にした、あの時のまま。


 特に用はないし、ここに来た理由も別にない。

 私物は殆どモトちゃんのオフィスに置いてあり、活動の拠点もそこになっている。

 勿論そこは仮の場所で、私は本来ここにいるはずなのだけど。

 何日振りかに足を踏み入れる、自分のオフィス。

 蘇る記憶。

 彼の行動と、一言。 

 胸が痛む。

 長方形の机と、幾つかの椅子。

 壊れかけたロッカーとラック。

 奥に見える小さなキッチン。

 窓際に置かれている一つの椅子。

 場所は違うけど、中等部の頃と大差ない配置。


 いつも自分が座っている椅子に腰掛ける。

 隣にはサトミが、窓際にはケイ。 

 前には彼が座っている。

 でも今は、誰もいないオフィスに私一人が座っているだけ。

 会話も、笑顔も、それを生み出す人もいない。

 寂しい光景。

 ただその原因は、彼だけにあるのではない。

 私が、あの場から逃げ出さなかったら。 

 少しでも何かを返したら。

 今もまだ、ここで笑っていたのかも知れない。

 過ぎた後だから、そう思えるのだろうけど。

 また、それが良いのかという事でもある。

 あんな事を言った彼を受け入れていいのかと。

 大した内容でないのは、自分でもよく分かっている。

 人によっては軽く受け流す程度の話。

 でも私は、そうは受け取らなかった。

 表面上のつながりを求めるより、彼との決別を選んだ。

 曖昧に笑って答えるのではなく、彼を突き放した。

 その判断が正しかったのかどうか。

 今もこうして悩んでいる自分を思うと、気持が揺らぐ。

 少しだけ余裕を持って、彼の言葉を受けいれていたら。

 また違う道があったのではないだろうか。



 ドアの開く音が、不意に聞こえてくる。

 それは私が物思いに耽っていたからそう思えるだけで、実際はノックくらいあったのかも知れないが。

 とにかくドアが開き、人が中へと入ってきた。

 無言で目を合わせる私達。

 ぎこちなくなる動き。

 それでも何か言おうと、口を開く。

「……こんにちは」

 頭の中で色々考え、やっとの思いでささやいた言葉がそれ。

「あ、ああ。こんにちは」

 戸惑い気味に、同じ言葉が返ってくる。

 丁寧な、しかしよそよそしい挨拶。

 親しい者同士ではあまりかわさないような。

 所在なげに室内を見渡す彼。

 私も落ち着き無く、机の上に広げていた私物をリュックへと入れた。

「あ、あの」

 突然、少なくとも私にはそう思える呼び掛け。

 思わず身を固くして、怯え気味に見上げる。

「ご、ごめん」

「わ、私こそ」

 他人行儀に頭を下げ合い、どちらとも無く視線を逸らす。

 重く、気まずい空気。

 色々な事が頭の中をよぎるけど、それは決して一つにはまとまらない。 

 出てくる幾つもの言葉や考え。

 浮かべては消し、浮かべては消す。

 その間にも時間は過ぎていく。

 彼との、偶然の、貴重な時間が。

「あ、あの」 

 再びの呼び掛け。 

 さっきよりは慣れたせいか、怯える事無く彼を見つめる。

「さ、最近どう」 

 漠然とした、たわいもない一言。 

 今の私にとっては重い言葉。

 ショウに掛けられた分、余計にそう思う。



 赤い薄手のジャケットと、黒のコットンパンツ。

 彼が好むラフな服装。

 髪は以前より伸び、ただ表情はあまり勝れない。

 私がそう思っているだけかも知れないが。

「何とかやってる」

 曖昧に、どうとでも取れるように答える。

 ショウはぎこちなく頷き、頬の辺りを指で触れた。

「自分は?」

「あ、ああ。俺も何とか。新しく入ったガーディアンの指導を。そういう柄じゃないけど」

 少しの、控えめな笑顔。

 私も笑顔を作り、視線を落とす。

 短い、事務的な会話。

 それが、こんなにまでも疲れるなんて。

 普段はどんな事を、どうやって話していたんだろう。

 まるで歩き方を忘れてしまったような気分。

 あまりにも当たり前の事が、ため息が出そうな程難しく感じてしまう。

 今まで何も考えていなかった。

 ただ普通に話し、笑い、視線を交わしあって。

 そう。

 何でもない、普通の事。

 でも今は、それが何より難しい。

 彼もそう感じているのか、何かを言いかけては止め落ち着き無く頬や髪を触れている。

 ほんの少しの行き違い。

 それによって離れた、距離と時間。

 その結果がこれだ。

 会話の接ぎ穂すら見つからず、ただ気ばかりが焦る。


 無理に話す必要はない。

 今まではそうだった。

 ただ側にいるだけで、時を過ごす事が出来た。

 お互い黙って、ただほんの時折視線を交わすだけでもでよかった。

 そうすれば時は過ぎ、心は満ち足りた。

 でも今は、会話を交わす事も出来ず視線は重ならない。

 何より、その思いが。



 彼も私の気持ちを悟ったのか、また彼自身もそうだったのか。

 気まずそうな顔で、ドアの方へと歩き出す。

「……俺さ」 

 振り向き、そう呟くショウ。

 伏せていた顔を上げ、彼と見つめる。

 沈黙と時の流れ。

 出てこない次の言葉。

 私達はただ見つめ合うだけで。

 何を語ろうともしない。 

 お互いの気持ちを確かめようとも。

 一言聞けばいいのに。

 あの時の事を、その気持ちを。

 ぎこちなくても、格好悪くても。

 だけど私達は、それには触れない。

 当たり障りのない会話にも事欠き、お互いの離れた距離を埋めようともしない。

 私はそれが、本当の距離になるのが怖いから。

 埋められないと知るのが怖いから。


 彼はどうなんだろう。

 今さら、私との仲を修復しても仕方ないと思っているのだろうか。

 それとも、離れられて良かったとでも。

 何も分からない。

 聞こうともしない。

 逃げるのが嫌だなどと見栄を張りつつ、結局は逃げている。

 彼からも。

 自分からも。

「……い、いや。なんでもない」

 疲れたようにそう言い、再びドアへと歩き出す彼。

 それをくぐり、こちらへ精悍な顔が向けられる。

「さよなら」

 やはり他人行儀な挨拶。

 それとも、全ての意味を込めた言葉。

「……さよなら」

 重い気持のままそう返し、閉まっていくドアから目を逸らす。

 聞こえるのは、彼の違う言葉ではない。

 私との関係を元に戻そうとするような物では。 

 ドアの閉まる音。

 そして、足音。

 少しずつ、でも確実に遠ざかっていく。

 それは私と彼の距離が、確実に離れていく事をも意味する。

 戻ってこない彼。 

 後を追おうとはしない私。

 時は戻らず、ただ過ぎていく……。




 分かっていた事だ。

 私と彼の、今の関係。

 それがどうなっているか、出会った時にどうなるかは。

 ただそれが、思っていた通りになっただけの事で。

 一度底まで行ったせいか、それ程は落ち込まない。

 あくまでも、それ程は。

 あの日以来私の考えを占めるのは、殆どがこの事。

 このところ、ようやくその割合が減ってきたと実感出来る。

 それだけ私にとっては、大きい出来事なのだ。

 他人にとっては笑ってしまうような、でも私にとっては切実な悩み。

 いや。

 今ではもう悩みではなく、過去の事かも知れない。

 昨日のオフィスでの出来事を思い返すと、そう感じざろう得ない。

 私は私、彼は彼。

 すぐ側にいたのは、ほんの少し前の事。 

 でも今は、もう違う。

 彼は、私の側にはいない。

 それを認めよう。


 頭を切り換え、書類を片付ける。

 場所はモトちゃんのオフィス。

 以前は殆どやらなかった事。

 先日沙紀ちゃんの所で再研修を受けてから、ようやくそのノウハウが理解出来た。 

 勿論理由はそれだけではなく、何かをしていたい気分だから。

 地味に、一つの事に没頭していたい。 

 悩むのも、少し疲れたし。

「……いつから事務方になった」

「え」

 顔を上げると、珍しい人を目が合った。 

 生徒会長だ。

 しかし、そんな偉い人がどうしてここに。

「元野さんはいるかな。ガーディアン統合案について、話をしたいんだが」

「いるけど、それは塩田さんにすれば」

「連合の担当責任者は、元野さんと木之本君なんだよ」

「ああ」

 だからあの子は、その話に詳しかったのか。

「……モトちゃん?うん、生徒会長が、統合案について話をしたいって……。少し待ってくれって言ってる」

「分かった。遠野さんも参加してくれると助かるんだが」

「私は幹部ではないですから」

 柔らかく逃げる、私の隣にいたサトミ。

 生徒会長は苦笑して、手元にあったバインダーを彼女の前に置いた。

「まとめたのは君だろ」

「数字についてはそうですよ。ただ、議論をしたい気分ではないので」

「浦田君は」

「嫌です」

 直接的に断るケイ。

 皮肉っぽい顔付きで。 

「それに俺達の意見は主流じゃないから、話が揉めるだけですよ」

「多様な意見を集めた方がいいと思わないか」

「受け入れる度量が、今の局長にあるのなら考えます」

「無理ね」

 一言で斬って捨てたサトミは、自分の分の書類を全て片付け私の書類に手を伸ばした。

 視線はすぐに最後まで流れ、私の何倍もある彼女がこなした書類の上へと置いた。

「それだけ出来て、ただのガーディアンで満足してる。新カリキュラムを凌駕する能力を持っていながら、普通の高校生で平気のなのかな」

「勿論。飛び級で大学へ行く人の気が知れません」

 笑顔で返すサトミ。

 それは生徒会長だけでなく、ここにはいないヒカルへの気持でもあるのだろう。

 彼に大学へ行くのを勧めた事実はあるが、残って欲しいと思ったのもまた事実だから。

「ただガーディアンを統合した際には、余剰人員を削減する。その際、対象になったらどうする」

「のんびりと高校生活を送りますよ」

 淀む事無く答えが返される。 

 生徒会長は肩をすくめ、ケイへ顔を向けた。

「君から何か言ったらどうだ」

「確かに、もったいないとは思いますけどね。とはいえ何が大事でそうで無いかは、本人の気持ち次第ですから」

「なる程」

「宝石ですら飽き足らない人もいれば、ガラス玉で幸せになれる人もいる。価値観の相違なのか、本人の資質の問題なのか。難しい所ですね」 

 そう言って笑うケイ。

 会長も同感という顔で頷いている。

 彼の考え方はやはり理解出来ないが、こういうところを見ると否定的な感情は生まれてこない。


「楽しそうですね」

 バインダーを抱え、こちらへ歩いてくるモトちゃん。

 木之本君は生真面目に、頭を下げている。

「わざわざ済まない。先日受け取った概要書は読んだんだが、矢田君が難色を示してね」

「それ程問題点はないと思いますが」

 怪訝そうに表情を曇らせる木之本君。

 会長はサトミから渡されたバインダーを指差し、鼻で笑った。

「学校が介入出来る権限を、もう少し増やしたいらしい」

「それでは生徒の自治という、生徒会の設立理念にも抵触するんじゃないですか」

 珍しくいきり立つ木之本君に、会長は首を振った。

「矢田君にも事情があるんだろう。各局は独立した機関だから、生徒会長といえでも強くは出れなくてね」

「しかし。それは問題だな」

 まだ、何か呟いている。 

 穏やかで人は良いけど、信念をたやすく曲げる程弱い人間ではない。

「決まった話じゃないわよ。そうですよね、会長」

「ああ。それに各棟の隊長は、原案に賛成している。異論があるのは、矢田君と事務局の一部だ」

「キャリアとノンキャリアの対立ですか?」

「端的に言えば。ただ君達の場合は、敢えてキャリアにならなかったタイプだがね」

 局長が答えたところで、今度はやはりバインダーを抱えた沙紀ちゃんがやって来た。

「遅くなりました。あ、優ちゃん」

「忙しそうね」

「一応、教棟の隊長だから。遠野ちゃんが助けてくれると助かるんだけど」

「ごめん、私の方で先約済みだから」

 顔を手の前に持ってくるモトちゃん。

 サトミは肩をすくめ、首を振っている。

「争奪戦もいいが。丹下さん、G棟の意見は」

「7割方は、原案通りで問題ないと。残りは、様子見と反対が半々ですね」

「ガーディアンの権限縮小がネックかな」

「おそらくは。余剰人員削減の回答ともほぼ同数です。自分が首を切られると決めつけているようですね。それだけ、己を知っているというか」

 珍しく皮肉っぽい台詞。

 ただ会長とモトちゃんも同じような表情で笑っている事から、彼女達には共通する意識なのだろう。

「詳しい話は、別室でしようか。遠野さん達は」

「いえ、やはり結構です」

「俺も」

「私は、話が分からないから」 

 全員で断り、移動していくモトちゃん達を見送る。


「統合、か。本当に、そんな事が出来るの?」

「会長は後期を予定していたけど、こう揉めるようだと来年度ね。それでも交流や組織の一部は、前倒しで統合するらしいわ」

「そうなの。全然知らなかった」

「どうでもいいよ。ガーディアンをクビになるなら、また別だけど」

 投げやりな態度のケイ。

 確かにそうかも知れない。

 ガーディアンとして何か変わる訳ではないと思うし、仮にそうだとしてもまだ当分先の話だ。

 それよりもまずは、今の事を追い求めよう。

 私には、それすらも難しいけれど。

「どうなのかな」

「何が」

 不思議そうに尋ねてくるサトミ。

 私も彼女を見つめ返す。

「え、どうしたの」

「あなたが言ったんでしょ。どうなのかなって」

「そうだった?」

「大丈夫?」

 額に触れるサトミの手。

 私をそれを、上目遣いで窺う。

「熱はないわね」

「ちょっと、考え事してただけだから」

「ならいいけど」

 苦笑して、私の髪をそっと撫でる。

 私は鼻の辺りに触れ、目を細めた。

 まだ、調子は戻らないようだ。

「どこか遊びにでも行ったら」

「うん」

 曖昧に頷き、テーブルの上に置いてあるスティックを手に取る。

 軽く、手に馴染んだ感覚。

 これを持っていると、少しは意識がはっきりとする。

 言ってみれば、お守りみたいな物だ。

 物騒であるのは否めないが。


「俺も遊びに行きたいよ」

「いつも行ってるじゃない」

「遠くに、ずっと遠くに」

 窓の外を指差すケイ。

 眼差しも何となく遠くなる。

 彼は彼なりにストレスがあるんだろう。

「行けば、どこにでも。誰も知らない所へ」

「本当、そうしたい」

 やるせなくため息を付き、端末を見出した。

 横目に映るスケジュール表。 

 その殆どに、何かが組み込まれている。

「予定はないのに、妙に忙しいんだよな。今月なんて、休日が全部埋まってる」

「学校にいるんでしょ」

「ああ。どうなってるんだか」

 もう一度ため息を付き、首を振る。

 相当疲れているようだ。

「私、何か手伝おうか」

 そう申し出たら、意外そうに見つめ返された。

「変?」

「いや、助かる。……えーと、これ。生徒会ガーディアンズの仕事なんだけど、人手が足りないらしい」

「どんな仕事?」

「新人ガーディアンを連れての、学校の案内」

 どこかで聞いたような話。

 サトミが何か言いたげな視線を向けてくるが、私は書類を受け取った。

「一応報酬も出る。休日は無くなるけど、よろしく」

「分かった。そうなるとケイは?」

「他の仕事をする時間が出来る」

 虚しい笑顔。

 慰めるようにサトミが彼の肩に触れ、私の書類を覗き込む。

「いい気分転換じゃないの」

「うん。誰を案内するかにもよるけど」

「そうね」 

 分かってるという顔。

 今私が気を滅入らせている理由。

 そのきっかけとなった、ショウがやっていた矢加部さんの案内。

 勿論今回は、そういう事は無いだろう。

「とにかく、頑張って」

「ありがとう。サトミは?」

「寮で寝てる。私もちょっと疲れ気味なの」

 そう言うや、小さくあくびをするサトミ。

 確かに、疲れたような顔にも見える。

「みんな、冴えないね」

「そういう時もある」

「そういう事」

 自嘲気味に笑う私達。

 いつも楽しくて、元気だとは限らない。

 晴れの日があるように、曇りの日も、雨の日もある。

 今まで晴れだったから、それを忘れていたんだ。

 色々な事に気付かされる最近。

 前を向くのはいい事で、ずっとそうしようと思っていた。

 でも下を向き、後ろを振り返った今。

 違う景色が見えてきた。

 いい事ばかりではなく、嫌な事も。

 今回の出来事も、そう考えれば一つのきっかけなのかも知れない。

 知らなくても良かったという考え方もあるんだろうけど。

 私は、そうは思わない。 

 悲しくて、辛い出来事だけど。

 今でもその傷は癒えないけれど。

 このきっかけを、私は大切にしたい……。




「ここから向こうは特別教棟で、一般生徒は立ち入り禁止になってます」

「入ったら、どうなるんです」

「特に罰則はありません。生徒会が自主的に決めたルールなので」

 素直に頷く男女。

 私は苦笑して、「一般生徒の立ち入りを禁じる」と書かれた立て看板を指で触れた。

 休日とあって学内に生徒の数は少なく、案内もやりやすい状況。

 知り合いに見られたら恥ずかしいので、その意味でも都合がいい。


 一般教棟の間を通り、さらに人気のいない通路を歩いていく。

 緑に遮られた、静かな空間。 

 時折道端にある廃材。 

 私の後に付いてくる一年生達の顔が曇り始める。

 あまり怖がらせても仕方ないので、足を止めて彼等を振り返る。

「この先は、以前使っていたクラブハウスがあります。今は使用禁止となっていて、普通の生徒はまず立ち入りません」

 勘の良さそうな子はさらに顔を曇らせ、それ以外の子は怪訝そうに私の言葉を待つ。

 私は少しの間を取り、おもむろに口を開いた。

「分かりやすく言えば、不良のたまり場。学内でも最重要警備地区の一つ。当然、パトロールコースの一つでもあります」

「わ、私達もするんですか?」

「まさか。それは名目で、実際にパトロールは殆ど行われてません。その代わり、彼等が一般生徒へ危害を加えないとという暗黙の慣習がありますが」

 それを貫き、また必ずあっただろう不満を抑え込んだ一人の生徒。

 今はもうここを巣立ち、友に囲まれている。

 胸に沸き上がる、言いしれぬ感慨。 

 それを押さえる事無く、心の中で彼に敬意を表する。


「今言った通り、ここは危ないから絶対に来ないで下さい。腕試しをしたい人がいるかも知れませんけど、その際怪我を負っても学校や生徒会は一切の補償をしませんから」

 素直に頷く彼等。

 ここにいる人達は大丈夫そうなので、私も笑顔で頷き返す。

「……沢さん」

 向こうから、つまり旧クラブハウスからこちらへと歩いてくる沢さん。

 彼はかなり前から私に気付いていたらしく、おかしそうに笑っている。

「引率かい?」

「ええ、そんな所です。沢さんは」

「知り合いとちょっとね」

 柔らかな、しかし内心を読み取りにくい笑顔。

 傭兵が何人も残っていると言っていたし、その辺りの関係なのだろう。

「雪野さんから聞いた通り、ここには立ち入らないように」

「あなたは、大丈夫だったんですか」

 当然ともいえる質問。 

 沢さんは軽く頷き、袖口を彼に見せた。

「調子に乗って行ったら、この通り」

 綺麗な裂け目。

 よく見ればジャケットも、あちこちに汚れが付いている。

 一気に重くなる空気。

 すると沢さんは手を振って、私を指差した。

「大丈夫。彼女は学内でも二桁には入る強さだから」

 まさかという視線。

 私の小柄で華奢な体を見れば、そう思うのも当然だ。

「沢さん、そういう話はいいですから。大体、自分は一桁に入るのに」

「最近は一つ順位が繰り上がったよ。元気のない子が一人いるからね」

 小声でささやく沢さん。

 何か言い返そうとした私を手で制し、すれ違うようにして歩いていく。

「舞地さんから聞いた通り、研修の件考えておいて」

「あ、はい。分かりました」

 私の会釈を待たず、早足で去っていく沢さん。

 そんな私達のやりとりを、みんなは怪訝そうに見つめている。

 確かに、何をやっているのかは分かりにくいだろう。

「さあ。ここはもういいから、他へ行きましょうか」



 幾つかある体育館やトレーニングセンターの一つ。 

 ここでは部活や遊びに来ている生徒の姿が多く、一年生へレクチャーをしながらその中の一つに入る。

 おそらく訓練をしているガーディアンがいると思ったからだ。

 受付でリストを見せてもらい、それを確認する。

 思った通り、3つ部屋が押さえてある。

 全部が生徒会ガーディアンズなのは、連合に所属する身としては少し残念だが。

 取りあえず部屋の場所をチェックして、そちらへと向かう。


 廊下から見える、ガラス張りの壁。 

 その向こう。

 マット敷きの広い部屋。

 今もジャージ姿の10名あまりの男女が、真剣な表情で型を繰り返している。

 ひたむきで、一生懸命で、疲れを疲れとも思わないような顔。

 それに対して自分はどうなのかと、考えさせられてしまうような。

 ガラス越しになので、声は殆ど聞こえない。 

 伝わるのは彼等の表情と、その熱意。 

 ガーディアンとしてだけではなく。

 今、この瞬間に懸けているのが分かる。

 私がそうだったから。

 過去形なのに、少し胸が痛む。

 その思いを振り払うように首を振り、型の説明をしようとガラスの向こうを指差す。


 だが、言葉は出てこない。

 型の練習をしている人達の、さらに奥。

 組み手をしている人達がいる。

 一人に対して、何人もが繰り返し挑んでいる。

 倒されては挑み、倒されては挑み。

 果てしない繰り返し。

 力尽きた者は壁際に崩れ、よろめきながらも立っている者は順番を待つ列へと並ぶ。

 技術や体力よりも、気力を問われる場面。

 それを無意味と思う人もいるだろう。

 私も、そう思った時もある。

 でもこの繰り返しが、この行為が。

 いつか生きる。

 それは誰かと戦う時だけでなく。

 ふとした瞬間に、何かと立ち向かった時に。 

 自分はこの困難を乗り越えた、幾度と無く立ち向かった。 

 限界を超え、それでもなお戦った。

 負けても、倒されても。 

 だけど挑み続ける。

 その事が、大きな糧となる。

 今の彼等には、ただの苦痛としか思わない事が。

 いつか、大きな実を結ぶ。

 そんな彼等とひたすらに戦い続ける男の子。


 心の中で応援をする。

 声援を送る。

 誰にも、勿論彼にも聞こえない。

 でも私の目には、彼しか映っていない。 

 彼に挑んでいる人達も。

 連れてきた1年生達も。

 今自分がどこにいて、何をしているかも定かではない。 

 ただ彼を見つめ、心の中で頑張れと思う。

 祈るように、願うように。

 一人頑張るショウに向かって……。



 閑散とした食堂で食事を取る。

 楽しげに、今日回ったコースを語る一年生達。 

 私はそれに耳を傾けつつ、さっきの事を考えていた。

 知らない内に、ショウを応援していた自分。 

 あんな事があって、それでも彼が頑張ればいいと思った。

 人が良いどころか、馬鹿にされてもおかしくないくらいだ。

 それとも私は、それ程ショウに思いを寄せていたんだろうか。

 いや、そういう事ではない。

 彼への思いの強さを否定する訳ではなく。

 もっと純粋な気持ち。

 頑張っている人を、素直に応援したいという。

 それが知っている人だった。 

 行き違い、仲違いしているとはいえ、私にとって特別な人だった。

 だから私は……。


 思索が不意に破られる。

 幾つもの足音と話し声。 

 騒がしいと言ってもいいくらいの。

「あいつ、やり過ぎだぜ」

「これ、血が出た」

「頭おかしいんじゃないのか」

 汗の滴る顔を赤くして、カウンターにあるお茶をがぶ飲みするジャージ姿の生徒達。

 さっき、ショウと練習をしていた人達だ。

「ケンカするために、ガーディアンやる訳じゃないんだからさ」

「程々にして欲しいよ」

「午後からまたか。かったるいな」

 延々と漏れる愚痴。

 食欲もないのか、彼等が手にしたのは果物とサンドイッチくらい。

 ただ文句だけが、いつ果てるともなくその口から漏れる。


「大体。生徒会ガーディアンズじゃないらしいぞ、あいつ」

「じゃあ、なんで」

「知るかよ。暇で、俺達をいじめたいだけ……」

 顔を上げる彼等。

 その視線は、突然その側に歩み寄った私へと向けられる。

「あの、何か」

 怪訝そうに掛けられる声。

 私は息を整え、気持ちを落ち着けた。

「あなた達、ガーディアンの研修中でしょ」

「え、ええ。でもそれを」

「さっきトレーニングセンターで、格闘訓練やってるのを見たの」

「あ、そうなんですか」 

 肩口にあるガーディアンのIDを見つけ、改まった態度になる彼等。

 私はもう一度息を整え、静かに話し出した。

「私は雪野優。で、一応ガーディアン。みんなが文句を言いたくなるのも分かるけど、さっきの子は嫌がらせでした訳じゃないと思うわよ」

「だけど俺達、怪我したし」

「これですよ」

 擦り切れた頬、あざになった腕、未だに引かない汗。

 それこそ、私にすら文句を言いかねない雰囲気だ。


「それは大変だと思う。でもあの子は、一人であなた達の相手をしてたんでしょ」

「え、ええ」

「まあ、そうです」 

 今気付いたという顔。

 それとなく交わされる視線。

 気まずそうに、でもまだ何か言いたげに。

「自分でやってみれば分かるけど、人を殴るのはそう簡単な事じゃない。精神的にも、肉体的にも。手首は痛めるし、相手にも気を遣うし、こうして恨みも買う」

 大人しく、黙って話を聞く彼等。

 伏し目がちに、静かに。

 私はそんな彼等を一人ずつ瞳に捉えた。

 無理もない事だ。

 多分この子達は、今までろくに運動をしてなかったんだろう。

 それがいきなり、殴り合いをさせられては。

 かなりどころか、相当の手加減をされていたとしても。 

 彼等にとっては、文句の一つも言いたいはずだ。

 訓練でここまでする必要があるのか。

 どうして自分達だけが。

 これをやって、どうなるというのか。

 当然の、誰もが抱く思い。

 でもそれは。 


 相手を思ってこその、厳しい訓練。

 お互いが、それに気付けばいい。  

 言わなくても気持は伝わる、というように。

 だけど、そんな事は希でしかない。

 大抵がそうなように。

 彼等も、また。

 それは仕方なく、気付かない方が普通。

 だから行き違いが生まれ、お互いに不信感を抱き、疎遠になってしまう。

 今の彼等は、その岐路に立っている。

 自分達を指導してくれる人達への反発。

 それは過去、何度あった事なんだろう。

 それでどれだけ、無意味な諍いがあったんだろう。

 私はそうならないと思っていた。

 何も語らなくても、気持は伝わると思っていた。

 でも現実は違う。

 だからせめて、彼等だけは……。


「あの子が少しやり過ぎてるのは、私も認める。でも現場に出て襲われた時は、あんな物じゃないから。今は苦しいかも知れないけど、もしそういう時が来たら。勿論そんな事はない方がいいに決まってるけど、絶対にないとは言い切れない」

「はい」

 素直な返事。

 私も頷き、たどたどしい話を続ける。

「辛いし、苦しいと思う。でも、今頑張ればいい事がある」

「いい事、ですか?」

 困惑気味な質問。 

 私は少しの間を置いて、一人一人と視線を合わせた。

「さっき言ったように危ない時に助かるし、体力も付く。それに」

「それに?」

「こうして文句を言い合って、みんなと仲良くなれる」

「あ、なる程」

 一斉に笑う彼等。

 それが聞こえたのか、離れていた私の引率してきた子達もやってくる。

「何してるんですか」

「ちょっとね。この子達が、いじめられていじけてるの」

「そ、そういう言い方はないでしょう」

「でも、そんなのが聞こえたな」

 一緒になって盛り上がる一年生達。

 私は少し距離を置き、その笑い声に耳を傾けた。

 暖かくなる胸の中。

 私自身には何の変化もない。

 いい事も、悪い事も。

 それでもいい。

 例え会ったばかりの人達でも、その笑顔を見られるのは嬉しいから。


「……一ついいですか」

「ん?」

 突然の質問。

 私は頷いて、彼等と向き合った。

「何?」

「さっきの人、玲阿さんって言うんですけど」

「う、うん」

 その名前に慌てて頷く。

 ただ別に、私と彼の関係を知ってる訳ではないだろう。

 そう思いつつ、胸の鼓動は高まっていく。

「どうして玲阿さんは、雪野さんが言ってたような事を説明しなかったんですか。説明してくれれば、俺達もそう文句は言いませんよ」

 同意の声があちこちから聞かれる。

 確かに、そうだ。 

 私へ向けられる、答えを待ち望む視線。

 何故私に、とは聞き返さない。

 それを答えるのも、先輩の役目だから。

「……多分、恥ずかしかったんじゃないの」

「恥ずかしいって」

「見た目は格好良くて大人びてるかも知れないけど、多分そういうのが苦手なのよ。……それに、言わなくても分かると思ってるんじゃないの」

 鼻で笑い、すぐに表情を改める。

 私と彼のつながりは、あえて明かす事でもない。

 そう、今の発言も少し問題だ。

「あのさ。この話は、その子に言わないでね。私は彼の事良く知らないし、誤解されたくないから」

「あ、分かりました」

 その言葉を聞いて、取りあえず胸を撫で下ろす。

 聞かれて困ると言うよりも、恥ずかしい。

 向こうだって、聞かされても困るし恥ずかしいだろう。

 特に、今のような状態では。

 再び自分達の会話に戻る彼等。

 それを見守りながら、自分で少し笑う。

 私は何をやってるんだろうと。

 暖かく、軽くなった気持の中で……。



 その日の夕方。

 学校近くのファミレスで、アイスティーを前にする私。

 その先には、夜風が出てきたというのにTシャツ姿の名雲さんが座っている。

 彼の隣には、寒がりで厚手のジャケットを着ている柳君も。

「研修、ね。確かに、沢からは聞いてる」

「何するの」

「どうしてお前が聞くんだよ」

 軽く柳君に突っ込み、名雲さんは自分の端末をテーブルの上に置いた。

 キー操作と共に、その上に浮かび上がる疑似ディスプレイ。

 プラズマや何かの応用らしいが、何回見ても驚かされる。

「少し遠くの学校へ行って、今までとは違うスタイルでやってみる。それもお前達全員を、幾つかのグループに分けて」

「私は、そういうの自信がないんだけど」

「それぞれには、俺達が付くから問題ない。沢が言ってる通り、研修だからな」 

 日本地図の俯瞰図が徐々に寄り始め、ある地区の拡大地図へと切り替わる。

「予定ではこの辺りの学校から依頼を受けて、それぞれに仕事をしてもらう。今まで雪野達は、組織の中でやって来ただろ」

「ええ。人数は4人でも、みんなと協力して」

「それを今度は、組織もバックもない所でやってみるって話さ。周りが全員敵とはいかないまでも、そう簡単な事じゃない。仕事の内容とは別に」

 鋭い笑顔。

 彼が経験してきた過去を思い出したのか、それともこれからの事に思いを馳せたのか。

 その表情のまま、名雲さんは画面を消した。

「グループ分けとして決まってるのは、お前と玲阿を別々にする事。理由は分かってるな」

「名雲さん、それは」

「いいの、柳君。私も、その方がいいと思うから」

「僕は、逆だと思うけど」

 自分の事のように寂しく漏らす柳君。

 私は彼に微笑みかけ、ため息を付いた。

「大丈夫かな、私は」

「本当に危ない所へは行かないさ。俺だって怖い」

「らしくないね、名雲さん」

「最近ここで平和ボケしてるからな。お前だってそうだろ」

 「まあね」と呟いて頷く柳君。

 私にとってはそれなりに危ない目にも遭ってるけれど、彼等にとっては平和らしい。

 その辺は経験の差からくる、物事の捉え方だろう。

 どちらの考え方がいいかは別として。

「俺達はどうなってもいいんだけど、お前の親はいいのか。怪我とかしたら、俺も謝りようがない」

「それは大丈夫。うちは、アバウトだから」

「ふーん、いいね」

 羨ましそうに、でも寂しげに笑う柳君。

 彼の両親は大戦中に亡くなっている。

 そのために、この手の話題の時はこういう顔になる。

 彼は気にしないと言うし、名雲さんもそう言っている。

 でも、私は気にしてしまう。

 余計な事かも知れないけど。



「こんばんは」

 朗らかな笑顔と共に、私達のテーブルへとやってくるサトミ。

「遅かったね」

「ちょっと、怪我人の手当を」

 彼女の隣り。

 頭を押さえ、顔をしかめているケイ。

 胸の中に沸き上がる不安。

「襲われたの?」

 私より先に、柳君が不安げに問い掛ける。

 そしてケイではなく、サトミが首を振った。

「部屋の隅の狭い所で仮眠してたら、急に起き上がって。ロッカーに頭を、ガツン」

 ケイは少し唸って、名雲さんの隣りに座った。

「大丈夫か、お前」

「医療部まで連れてかれましたから」

「脳波、バイタル、その他異常なし」

 楽しそうなサトミ。

 それは何事もなかったからか、彼が怪我をしたからか。

 寮で寝てると言っていたのにケイと一緒にいるところを見ると、前者の方が強いだろう。

「こぶ出来てるね」

 名雲さん越しに、ケイの頭を撫でる柳君。

 彼もまた、楽しそうだ。

 こちらは純粋に、イベントを楽しむ感覚だと思う。


「大体、何で飛び起きたの?」

「夢を見てた気もする。でも、頭を打って全部忘れた」

「何よ、それ」

 悪いと思いつつ笑ってしまう。

 それはみんなも同じで、柳君はすっかり元気になったようだ。

「私が覚えてるのは、急に小さな声で「助けてー」て呟いて。頭を打ってうずくまった途端、「助けてくれー」って」

 身振りを交えて状況を説明するサトミ。

 ケイは仏頂面で、それを聞いている。

「寝るなら、家で寝ろよ」

「学校でやる事があったんです。それに俺の前は、サトミも寝てました。よだれ垂らして」

「だ、誰が」

「でへって、ユウみたいに笑って」

 自分で笑うケイ。

 それにはサトミだけなく、私も声を荒げる。

「な、何よ、それ。誰がでへって笑ったの」

「わ、私だって、そんな笑い方はしないわよ」

「じゃあ、気のせいだ」

 あっさり逃げた。

 こっちもあまり突っ込み過ぎるとあれなので、睨みつつ引き下がる。

「私は、でへなんて笑わないわ」

 まだ言ってるサトミ。

 何か2重に馬鹿にされているようで、非常に心苦しい。

「とにかく、俺は眠いです」

「麻酔が効いたのよ」

「かもね。という訳で、帰ります」

 よろっと立ち上がったケイを助けるように、サトミが手を貸す。

「それでは、失礼します。ユウ、またね」

「うん」

 寄り添いあって、出口へと向かう二人。

 見ようによっては、カップルに見えなくもない。


「まるで恋人だな」

 苦笑気味に漏らす名雲さん。

 柳君も、遠慮気味に頷いている。

「実際はどうなの?遠野さんは、浦田君のお兄さんと付き合ってるんだよね」

「それは間違いないわよ。あの二人は男女という関係とは、また別だから。私にも、説明しづらいけどね」

 確かに人から見たら分かりにくい関係だが、私はそれなりに理解しているつもりだ。

 単純でありきたりではない、もっと深い部分でのつながり。

 勿論それで男女の関係になる人達もいるだろうけど、この二人は少し違うと思う。

 何が違うのかは私にも説明しづらいが。



 それに、私とショウとの関係はどうなんだろう。 

 男女ような、またはサトミ達のような。

 それとも、両方。

 自分では分からない。

 自分だからこそ、分からないのかも知れない。

 その答えを、彼は持っているのだろうか。

 私がそれを聞く日が来るのだろうか。 

 それ以前に、聞く勇気は。

 私には分からない。  









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