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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第14話
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14-1






     14-1




 薄曇りの空。

 学内のグラウンド。

 プロテクターを着けた大勢のガーディアン達。

 今日は、ガーディアン連合と生徒会ガーディアンズの合同訓練。

 これから始まるのは、二手に分かれ攻撃と防御を受け持つシミュレーション。

「ちょっと暑いかな」 

「日焼け止め塗ったら」

 人の低い鼻に触れてくるサトミ。

 仕方ないので、プロテクターごと頭突きをかます。

 彼女のプロテクターがおかしな音を立て、後ろへよろめいた。

「な、何するのっ」

「訓練、訓練」

「分かったわ」

 低い声を出し、いきなり長いバトンを突きつけてくる女の子。

 喉元に迫ったそれをかわすと、足元にローキックが跳んできた。

 遠慮のない子だな。

 それを飛び越え、懐へ一気に飛び込む。

 焦りの表情を浮かべるサトミ。

 大丈夫、ただ脇を……。

「わっ」 

 目の前に広がる暗闇。

 それが彼女の長い黒髪だと気付いた時には、後ろから羽交い締めにされていた。

「暴動参加者1名確保。特徴は低い鼻となだらかな胸。直ちに照会して下さい」

「うー」

「唸る癖があるようです」

「がー」

 彼女に抑えられたまま、バタバタと手足を動かす。

 当然みんなの視線が集まり恥をかく。

 私だけでなく、サトミも。

「止めてよ」

「リンゴ炭酸」

「どうして私が……。分かった、分かったわよ」

「勝った」

 わがままを押し通して、ばたつかせていた手を止める。

 いい汗もかいた。


「まだ終わってないぞ」

 少し厳しい口調でたしなめてくるショウ。

 最近、特に精悍さを増した表情。

 日の陰った下で見ても、それは変わらない。

「少しふざけただけでしょ。何ぴりぴりしてるの」

 醒めた口調で指摘するサトミ。

 ショウは「分かったよ」とだけ呟き、どこかへ歩いていった。


「何、あの子。最近おかしくない?」

「この間言ってた、自立じゃないの」

「人のいいのが取り柄なのに。あれだと、ただのケンカ馬鹿になるわよ」

 辛辣に評し、人混みに消えていくショウの背中を見つめるサトミ。

 私はあまり見る気にになれず、視線を逸らす。

「準備はいいか」

 そんな私達の元へやってくる塩田さん。

 彼も全身にプロテクターを付け、肩にはバトンを担いでいる。

「指揮を執られるのでは」

 冗談っぽく尋ねるサトミに、塩田さんは鼻を鳴らしてバトンを振った。

「俺は現場の方が合ってるんだよ。そっちは、元野達に任す」

「向こうの指揮は?」

「矢田だろ。一応は、自警局長だからな」

 サトミ程は皮肉さが無い表情。

「ガーディアン連合対生徒会ガーディアンズですか。遺恨を残しそうですね」

「捉え方によるさ。人による、かな」

 意味ありげな呟き。

 サトミは苦笑して、取り巻きのガーディアンに指示を出している矢田自警局長に視線を向けた。

 彼も全身にプロテクターは付けている物の、前線に立つ事は無いだろう。

 その能力としてでなく、気構えとして。

 以前はともかく、今はそうとしか思えない。

「どうでもいいけど、玲阿と仲良くしろよ」

「え?」

「さっき怖い顔で歩いてたぞ。お前達以外に、止められる人間はいないんだから」

 先輩の顔で、そう諭してくる塩田さん。

 ただ私は素直に頷けず、曖昧に返事を返した。

「どうした」

「最近、ショウが張り切ってるんです。自分の意見を持つとか言って」

「サトミ」

「なるほどね。あいつはあいつなりに、何か考えてるって事か。それがどういう方向へ行くかはともかく」

 煙るような眼差し。

 誰が誰かも分からない、大勢の人混みの中。 

 気付かないはずなのに。

 私は彼を見つめてしまう。

 外見の良さや体格にだけではなく。

 彼という存在に。


「俺に相談しろとは言わないが、大丈夫か」

「今の所は」

「厳しいな、お前は」

「あの子が、今まで甘く過ごしてきただけです」

 険しい態度とと台詞を弱めないサトミ。

 私は黙って、その言葉を聞いている。

「……その辺りは、お前達自身の問題だ。もう一人の問題児は」

「あそこに」

「おーい、浦田」

 大声を上げ手を振る塩田さん。

 沙紀ちゃんと話し込んでいたケイは、手を挙げてこちらへ駆け寄ってきた。

「敵に内通か?」

「ええ。リーダーの寝首を掻く相談を」

 平然とそう答えるケイ。

 リーダーとはつまり、塩田さんの事だ。

 ただ塩田さんは鼻先で笑い、それを片付けた。

「お前、しばらく玲阿の様子を見てろ」

「あいつの側にいると、ごつい連中が来て怖いんですけど」

「仲間だろ」

「自分の事は自分でしないと。いちいち、面倒を見る必要はないと思いますよ」

 塩田さんの意図、ショウの微妙な変化を察知した答え。

 それは彼らしくもあり、また冷たいとも言える。

「冷たいな」 

 私とは違い、はっきりと口にする塩田さん。

「あれだけ強いんだし、自分の力がどこまで通用するか試せばいいんですよ。自分の責任でね」

「それで自滅してもか」

「もっとショウを信じたらどうです。……言っておきますが、俺があいつを信じているという意味ではないので」

 あまりにも醒めた言葉。

 だが彼は、それを気にした様子はない。

 私が顔色を変えたとしても。


「ケイ、言い過ぎよ」

「サトミも同意見かと思ってたけどね」

 私へ視線を向けるケイ。

 つまり彼女は、私を気遣ってそこまでは口にしなかったと言いたげに。

「あれだけ強ければ、自分で色々やりたくなって当然でしょ。むしろ、遅かったくらいよ」

「あくまで他人事か」

「じゃあ塩田さんから言って貰えます?調子に乗るなって」

「言えるか」

 苦笑する塩田さん。

 まだ二人とも軽さが残っているからいいが、本気でこの会話をされたら敵わない。

 いや、本当にショウがそうだとしたら。

「いっそ今日は、ショウに幾つかのブロックを指揮させたらどうです」

「あいつは、そういうの苦手だろ。せっかく出来た自信を無くす可能性もあるし」

「優しいですね……。じゃあユウに代わって、俺達だけでも」

「それならいいか。雪野、済まんが」

 顔の前に手を持ってくる塩田さん。

 私は無言で頷き、視線を伏せた。

 彼を試すような行為。

 その結果への不安。

 幾つもの、重い考え。

「大丈夫、ユウ」

 敢えて尋ねてくれるサトミ。

 軽く合わせられるヘルメット。

 私は目線で応え、空を見上げた。

 厚い雲の垂れ込める、初夏の空を……。



 さすがに全員でぶつかり合う訳ではなく、希望者と選抜方式。 私達は当然入っているが。

「ショウ君達は、最前列に」

「ああ」

 モトちゃんの指示に、短く答えるショウ。 

 私達のリーダーを任されたという不安や緊張は、特に感じられない。

 こういう場面で彼が私達を率いた事は何度もあり、その点では問題ない。

 ただそれは自発的な行動で、こうした公式な責任を伴う場合はどうか。 

 私でもこなしているんだから、大丈夫だとは思うけど。

「こちらは防御側で、一定ラインまで下がったら負け。相手の挑発に乗って、敵陣営に飛び込んでも駄目。あくまでも冷静に、実戦を想定してお願いします」

 ヘルメットのインカム越しに聞こえる、モトちゃんの落ち着いた口調。

 それに頷き、少しずつ意識を集中させる。 

 少なくとも、その気になる。

「最前列の交代は、こちらの指示に従って下さい。また体力的に問題が生じた場合は、無理せず引いて下さい。その辺りも、実戦同様臨機応変に」

 今度は木之本君の声が。

 聞き慣れた二人の声に、心が静かになっていく。

 またこれが、訓練だからという事もあるだろう。

「相手陣営の主力は、G棟隊長丹下さんが率いる部隊。補佐が阿川さんと七尾君。ここを除けば、私達の方が優位に立っています。ですから、そこと当たる人達は気を付けて」

「臨時アドレス転送開始。……全ガーディアン、通信状況良好。元野さん」

「ええ。矢田自警局長、こちらの準備は整いました」

 モトちゃんと局長の会話は聞こえない。

 聞く気もないが。

「みなさん。現時刻から5分後に開始します。その間に隊列の確認を。体調が不調な方は、早めに申し出て下さい」

「各リーダーは、班の人員を確認」

 木之本君の言葉に、左右に並ぶ私達を数えるショウ。

「G棟A-2、玲阿四葉。全4名問題なし」

 静かな、落ち着いた口調。

 帰ってくるのは木之本君の声ではなく、音声を認識したコンピューターの声。

 いくら彼が有能でも、同時に何十もの返事を返すのは不可能だ。

 横目に見るショウの表情に変化はない。 

 ヘルメットとフェイスカバー越しでも、それは分かる。

「どうした?」

 目線を合わせてくるショウ。

 私はバトンごと手を振り、もう片方の手で彼を指差した。

「今日は、頑張って」

「ああ。何とかやってみる」 

 控えめながら、自信を感じさせる返事。

 何か言いたげなサトミ。 

 関心の無さそうなケイ。

 私は黙って頷き、フェイスカバーを降ろした。



 横一列に並ぶガーディアン達。

 小細工抜きでの、正面からのぶつかり合い。

 私達はその最前列で、回ってくるローテーションも一番多い。

 それだけ周りの期待を受けているとも言える。

 相手との距離は、殆ど無い。 

 よって、合図と共にぶつかるだけだ。

 集中力をさら高め、体に力を込めていく。   

 訓練とはいえ気は抜けないし、私は小さいからなおさらだ。

「何か言ったら」

 隣にいるショウへ顔を向けるケイ。

 皮肉ではなく、彼が初めて指揮する事への意味だろう。

「……怪我しないように、周りに気を配って。それと、今日は俺の言う通りに」

「ああ」

「そうね」

 静かに返すケイとサトミ。

 お互い顔を伏せ気味で、その表情は読み取りづらい。 

「全員に連絡。訓練開始まで30秒。10秒前からカウントします」

 ヘルメット内に響く、モトちゃんの声。 

 私はフェイスカバーを降ろし、前を向いた。

 今は、余計な事を考えている場合じゃない。


「5、4、3、2、1。訓練開始。全員防御準備」

 土煙が上がり、プロテクターを着けた生徒会ガーディアンズが一気に突っ込んでくる。

 腰をため、激突に備える私達。

 そしてスティックとプロテクターが、激しくぶつかり合う。

「下がるな。後列は前列をフォロー。怪我人はすぐに交代させろ」

 同じ最前列のどこかにいる塩田さんの声が、インカム越しに聞こえてくる。

 全身にのしかかる圧力。

 きしむプロテクター。

 それでも腰を落とし、必死に押し戻す。

「生徒会ガーディアンズ、右翼が若干後退。最前列は現状位置を確保。隊列を崩さないで下さい」

 開始前の指摘通り、地力はこちらが勝っているらしい。

 実戦ならすぐにでも前進するのだろうけど、今は訓練だ。

 突然増す圧力。

 最前列が入れ替わる、私達と対峙していた生徒会ガーディアンズ達。


 プロテクター越しの見慣れた顔。

 沙紀ちゃんと七尾君、そして阿川君と山下さん。 

 親近感は沸くが、それはそれだ。

 今私達が守っている場所は、全体のほぼ中央。 

 ここを突破されれば、指揮を執っているモトちゃんの所へ一直線。

 さすがにそれは、させられない。

 沢さんがいない事が、せめてもの救いか。

「クッ」

 猛烈な圧力に耐え、下の方から押し返す。

 単純な力勝負では相手にならないが、力点をずらして押す場所を工夫すればいい。

 後は気力だ。


 ぶつかり合う事数分。

 息が上がり、体力の持たない人から下がっていく。

 正直、私も少しきつい。

「玲阿君、一旦下がって下さい」

 訓練中とあってか、苗字で呼び掛けるモトちゃん。。

 圧力に耐えつつ、隣にいるショウを見上げる。

 だが彼は押し続けるだけで、後ろへ下がろうとはしない。

「玲阿君」

「まだいける」

「その判断はこちらでします。いいから、交代して」

 トーンの落ちる声。

 それでもショウは動かない。

 いや、むしろ前に出ている。

「玲阿。元野の指示に従え」

 今度は塩田さん。

 しかしショウは前進し続ける。

「今交代したら、押し切られる。後10分」

「それは元野が決める事だ。お前が判断する事じゃない」

「そんな事言ってたら負ける」

「勝ち負けは関係……。おい、玲阿っ」

 塩田さんの制止を無視して、密集する生徒会ガーディアンズの間を抜けていくショウ。

「どうしたの」

 私とヘルメットをぶつけ合いながら、怪訝そうに尋ねてくる沙紀ちゃん。

 こちらは答えようが無く、顔を伏せて視線を避ける。

「雪野、玲阿のフォローに回れっ。浦田と遠野もっ。俺もすぐ行くっ」

「了解っ」

 下がっていた視線を沙紀ちゃんに向け、無言で訴える。

「……分かった。ここは貸しよ」

「ごめん」

 わずかに体をずらした沙紀ちゃんの隣を通り抜けていく私達。

「済みません」

「いいよ。七尾君、今の内に少し前進を」

「了解」

 苦笑気味にすれ違う阿川君達。

 最後に沙紀ちゃんが何か言いたげに視線を合わせ、全体に前進を指示した。



 訓練なので打撃は禁止されているが、周囲全体を囲まれてはかなり苦しい。 

 こっちは4人だけ。 

 それに私はともかく、サトミとケイはこういう場面が得意ではない。

「あの馬鹿」

 息を荒くしながら呟くケイ。

 サトミは無言で、押し寄せる圧力に耐えている。

「ユウ、無理しないで。下がってもいいのよ」

「大丈夫、モトちゃん。塩田さんとも合流出来るし、殴られないだけまだましよ」

「玲阿君は目測で、10m先。矢田自警局長の護衛と交戦中」

「打撃は無いんでしょ」

 舌を鳴らすサトミ。

「事前の取り決めではね。直属班じゃないから練度は低いけど、気を付けて」

「分かった、木之本君」

 舞地さんでないのは助かった。

 どちらにしろ、楽ではないが。

「ユウ、インカムで呼んで」

 私を肘でつつくサトミ。

 自分ではやりたくないらしい。

「……ショウ。前に出過ぎ。早く戻って」

「もう少しで届く。みんなこそ、俺の後に付いて来いよ」

「モトちゃんの指示に従うのが先でしょ」

「指揮所じゃ分からない事もある。現に俺は、ここまで来てる」

 辺りから聞こえる叫び声。

 どちらが先に手を出したかは知らないが、ため息が出てきた。

「ユウ、早く来いって」

「……今向かってる」

「分かった」

 ややうわずった声がして、通話が切れる。

 意味が分かってるのか。


「何考えてるんだか。ちっ」

 どこかを蹴られたらしく、声を上げるケイ。 

 圧力は依然として収まらず、一歩ずつ前進するのがやっとの状況。

「モト、時間は」

「後20分。時間切れが先か」

「ショウが先か、でしょ。分かってる」

「お願い」 

 いつにない真剣な口調。

 サトミはもう一度舌を鳴らし、私の隣になって進み始めた。

「ゆっくりでいいよ」

「早くショウを止めないと、本当に揉めるわよ。いくら訓練とはいえ、局長を倒したら」

「面白いじゃない、とはいえないか。仕方ないわね」

「本当、何がしたいのかしら」

 醒めた言葉遣い。

 サトミもケイも押し寄せる圧力を堪えるのに必死で、こうして前進するのは相当に苦しいのだろう。

 そして後ろでは、私達の守備位置が沙紀ちゃん達に突破されつつある。

 こっちが先になる可能性もあるか。


「どけよ」

「え?」 

 いきなり私の前に現れ、バトンを横に構える塩田さん。

「後ろから押せ。一気に抜ける」

「は、はい」

 腰を落とす塩田さん。 

 その後ろに構え、力を込める私達。

「大丈夫ですか?」

「時間がない。構わず押せ」 

 塩田さんも今の状況を十分に把握しているようだ。

 前から起きる低い声。 

 突然生じた圧力に戸惑っている様子。 

 ただそれは、私達が受けていたものに比べれば幾分落ちるだろうが。

 前進は相変わらず一歩ずつだが、少しは速度が増した。

 そしてショウの背中が見えてくる。


 生徒会ガーディアンズの最後列辺り。 

 小さく出来ている空白。

 その周囲をガーディアン達に囲まれ、バトンで押し合っているショウ。

 最後列の後ろには指揮所があり、局長らしき姿も見える。 

 また怪我人も。

 それがショウとやり合った結果なのかは分からないが、数はやや多い。

「玲阿、戻れっ」

 インカムではなく、フェイスカバーを上げて叫ぶ塩田さん。

 周囲の喧騒にも負けず響き渡る声。

 ショウが一瞬こちらへ目を向けるが、その場を下がる気配はない。

「あの馬鹿。おい、俺達も突っ込むぞ」

「まさか、加わらないですよね」

「それも面白いんだけどな」

 私と同じような事を言って苦笑する。 

 サトミとケイは、くすりともしないが。

「おい、ちょとどけ。あいつを止めるから」

「え?」

 私達と押し合いをしている生徒会ガーディアンズの子が、怪訝そうに塩田さんを見つめる。

「あ、塩田議長」

「それはいいから、仲間も少し下がらせろ」

「は、はい」

 インカムで連絡を取り、前を開けてくる男の子。 

 訓練だし、彼等もそこまで無理をする気はないのだろう。 

 ショウのように。

「悪いな」

「いえ。彼、何かあったんですか」

「俺が聞きたいよ」

 鼻で笑い、バトンを肩に担ぐ塩田さん。

 押し寄せる圧力から解放された私達も安堵の息を漏らし、彼へ続く。


「元野。矢田に連絡。訓練中止だ」

「その前に、こっちが落とされそうですよ。丹下さんが、目の前まで来てます」

「時間は」

「まだ20分以上。耐えきるのも出来なくはないですが」

 珍しい自嘲気味な声。

「塩田さん、木之本です」

「何だ」

「こちらは中央から完全に分断されています。訓練の趣旨から言っても、これ以上は」

「分かった。無理しない程度までやって、適当に切り上げろ」

 顔をしかめ、バトンで自分の肩を叩く塩田さん。

「あいつは訓練の意味が分かってるのか。スタンドプレーを披露する場じゃないんだぞ」

「それは、ショウを止めた後で」

 冷静に指摘するケイ。

 彼はすでにヘルメットを取り、乱れた髪を掻き上げている。

 サトミも同様で、表情はケイより硬い。


 割れた人垣の間を通り抜け、ショウを取り囲む輪に辿り着く私達。

 それに気付いたのか、バトンを構えて何人かのガーディアンがこちらを振り返る。

「落ち着け。あいつを止めに来ただけだ」

「あ、塩田議長」

「それはもういい。玲阿っ、もう終わったぞっ」

 肩で息をしながら振り返るショウ。

 曇るフェイスカバー。 

 傷だらけのプロテクター。

 そして険しい周囲からの視線。

 ショウはヘルメットを脱ぎ捨て、辺りに注意を払いつつバトンを腰の位置まで下げた。

「時間はまだあります」

「元野の所に、丹下達が迫ってる」

「だったら、その前に」

「俺は、終わったと言ったんだ。聞こえなかったのか」

 一瞬にして凍り付く辺りの空気。

 息を呑むガーディアン達と、視線を伏せるショウ。

 久しぶりに感じる、塩田さんの圧倒的な威圧感。

 それをこんな場面で味わうとは、思いもしなかったけど。

「みんな、悪い。この件については、後で連合の方から正式に謝罪する」

「そこまでしなくてもいいです。ただ、彼に一言注意して貰えれば」

 隊長らしい人がショウを指差し、ひびの入ったプロテクターを外す。

 彼に限らず周囲の人達は、同じような態度だ。

「ああ。矢田を呼んでくれ」

「はい」

 インカムで連絡を取る男の子。

 その間に私達のインカムには、モトちゃん達の所へ沙紀ちゃん達が突入。

 そして降伏したのと連絡が入った。

「という訳だ。玲阿、分かったか」

「でも」

「お前の話は後で聞く。……矢田、悪い」

 軽く頭を下げる塩田さん。 

 局長は青い顔で首を振り、私達から視線を逸らした。

「こちらも挑発に乗った面がありますから。今回は、両者不問という事で」

「ああ。少し早いが、ここで訓練は切り上げるか」

「その方が良さそうですね。元野さんには、こちらから連絡します」

 怯え気味の顔で背を向けようとする局長。

 私も見ていたい訳ではないので、すぐに意識から彼を消す。

「こいつには連合の方で処分させるから、悪いがそれで勘弁してくれ」

「いえ。ただ、これからは気を付けて下さい」

「そうだな。玲阿、行くぞ」

「はい……」

 何か言いたげな素振りを見せ、しかし俯き加減に歩き出すショウ。

 そこに向けられる、鋭い視線。

 彼がそれを気にしている様子はない。 

 サトミやケイ、塩田さんも。

 私を除いては、誰も。




 ストレッチと簡単な挨拶が終わり、全員が着替えに入る。

 当然男女は別。

 私はサトミ達と一緒に、クラブハウスのロッカールームにいた。

「あの子は何がやりたいんだか」

 ケイと同じような感想を漏らすモトちゃん。

 タンクトップにショートパンツの下着という、少々薄着。

 ただそれは、私やサトミ達も同様だ。

「自立っていうけど、あれはただ突っ走ってるだけよ」

 辛辣に評するサトミ。

 周りにいた女の子も、私を気にしつつ笑っている。

「丹下ちゃんはどう思う?」

「勝因の一つとして助かったわ」

「あ、皮肉」

「冗談。確かに、ちょっとらしくないかな。玲阿君ってもっと大人しいというか、良い意味で控えめじゃない。でも最近ちょっと変なのよね」 

 二人よりは穏やかな説明。

 どちらにしろ、批判的な意味合いは強いが。

「結局処分はどうなるの?」

「始末書ね。勿論、ユウも」

「え」

 少し離れて聞いていた私は、着かけていたTシャツを持ったままモトちゃんの前に駆け寄った。

「ど、どうして私まで」

「監督不行届として。今回の指揮権がショウ君にあったとしても、ユウには彼を監督する責任があるんだから」

「で、でも」

「いいじゃない。今さら1枚や2枚」

 他人事のように笑うサトミ。

 じゃあ自分も書いてよという話だ。

「後は議長名での訓告かな。資格停止まではいかないと思う」

「そんな大袈裟な」

「命令無視、ルールを無視した乱闘。訓練の遅滞と中止。私なら、そうするわよ」

 やや厳しい顔で指摘する沙紀ちゃん。

 間違いなく、G棟隊長としての表情で。

「後は、ショウに殴られて怒ってる人がいないかどうか。本当、困ったわね」

「昔もあの子は、よく暴れてたじゃない」

「その時は理由があったわ。今度みたいに、訳も分からずスタンドプレーに走るなんて」

「確かに」

 軽く頷くサトミとモトちゃん。

 やや深刻な雰囲気。

 すでに殆どの人は着替えを済ませ、ロッカールームを後にしている。

 残っているのは私達と、数名くらいだ。

「ユウ、まだ」

「今行く」

 スカートのフックを掛け、プロテクターの入った袋を背負う。

 シャワーを浴びてだるくなった体には、少しきつい。


 外に出ると、壁にもたれているショウがいた。

 私達全員と視線を重ねるショウ。

 いつもならサトミやモトちゃんから一言ある場面だが、二人ともただ黙っているだけだ。

 沙紀ちゃんは私達に任せるという雰囲気。

 そしていつものショウなら、自分の失敗に申し訳なさそうな態度を取るはず。

 でも彼は、こちらを気にしてはいるものの謝る素振りは感じられない。

 ロッカールームでの会話より重い空気。

 冗談でそれを和ませる気にはなれず、とはいえこのまま立ち去る事も出来ない。

 気まずい沈黙。

 それを破ろうとしない私達。

 時だけが過ぎていく。

「何してんだよ」

 愛想のない声。

 男子用のロッカールームから出てきたケイが、教棟を指を差す。

「終わったんだし、帰ろう」

 この場の雰囲気を気にする事無く、いつも通りの態度でそう促す。

 私達もそれを潮時のようにして、誰からともなく歩き出す。


 隣を歩くショウ。

 これといって会話はなく、ただ歩いていくだけ。

 楽しい気分も、浮き立つ気持も別にない。

 目的地に向けて歩く。

 それ以外の事は、何も。

 彼の存在が曖昧に感じられる。

 いつもとは違う、まるで他人のような感覚。

 同じ思いを共有して、同じ気持ちを分かち合って。

 時にはぶつかり合い、時には笑い合い。

 この人の側にいたいと思っていたのに。

 その存在が分からない。

 廊下を一緒に、同じ方向へ歩いている男の子。

 今はまるで、そんな感じ。  

「それ、持とうか」

 やや遠慮気味の声。

 ショウが、私の背負っていたプロテクターの袋を指差した。

「いいよ。軽いから」

 少し突っぱね気味に言い、袋を背負い直す。

「そうか」

 あっさりとした態度。 

 それきり何も言わず、前を向くショウ。 

 普段なら強引にでも持っていく所。

 別に重いからではなく、私が大変そうだからという理由だけではなく。 

 彼は私に、そう接してくれていた。

 今までは。

 肩にのしかかる重い感覚。

 実際には大した重さじゃない。

 サトミやモトちゃんも、平気でそれを持っているから。

 だけど今の私とっては、まるで鉛が詰まっているような気分だった……。



 パトロールや事務の仕事は訓練に参加しなかったガーディアンへ任せ、私達はいつもより早く終業した。

 全員一緒なので遊びに行くとか食事という選択肢もあるけど、誰もそんな事を言い出さない。

 またその気分でもない。

 殆ど会話のないまま解散し、寮へと戻る。


 食事、か。

 気分は重くてもお腹は空く。

 ただ寮にある食堂まで行く気にもなれず、キッチンへ入り適当に探してみる。

 パスタがあった。

 インスタントだけど、ソースも。

 面倒だし、これでいいか。

 茹で上げたパスタにオリーブオイルを絡ませ、インスタントのボンゴレソースを上から掛ける。 

 ハーフタイプなので、これなら残す事もない。

 後はサラダを、少し。

 ローテーブルまで運び、TVを付けて食事を始める。

 一人きりの、味気ない夕食。

 いつもならそうは思わないのに、今日はどうかしてる。

 さっきのショウを、まだ引きずっているようだ。

 訓練中から。

 いや。この最近の、彼の変化。

 サトミ達が指摘するまでもない、私が一番分かっている事。

 勿論分かっているからといって、何かが出来る訳ではない。 


 一言、注意する。

 注意、か。

 それが妥当なのかどうか。

 また彼が、素直に受け入れてくれるだろうか。

 今までと少し違う彼。

 間違っていると、私には言い切る自信がない。

 このままで良いとも思わないけれど。


 気付けばニュースが終わり、見た事のないタレントの旅行番組になっていた。

 海辺の旅館で豪華な食事を取る男女。

 伸び始めたパスタをすすりながら、それに視線を合わせる。 

 言葉は聞こえる、画面も目に映っている。

 理解しているかは、ともかくとして。

 それでもどうにかパスタを平らげ、ぬるいお茶を口にする。

 洗い物は終えたし、宿題も無い。

 後はお風呂に入って寝るくらいだ。

 やる事、やりたい事はある。

 でも、やる気がない。

 カーペットへ寝ころび、チャンネルを変えてクイズ番組に目を移す。

 笑っている出演者達。

 私も少し笑う。 

 何がおかしいのかは、自分でもよく分からない。

 頭では分かっていても、気持が付いていってない。

 まだ何があったという訳でもないのに。

 ほんの少しの変化なのに。

 自分の方が変わってしまっている。 

 普段の自分ではいられない。


 その理由は。

 あまり考えられない。 

 彼への気持ち。

 勿論それが一番だろう。 

 後は不安。

 彼が何をしたいのか、どこへ向かうのかが分からない。

 その時自分がどうしたらいいのかも。

 ただ、時だけが過ぎていく……。



 少し早めに寝付いたのだが、目が冴えて眠れない。

 考え事をしているためだろう。

 体は疲れているのに、意識は違う。

 仕方ないので部屋を出て、ラウンジの方へ歩いていく。

 廊下にはまだ人の姿があり、床に屈んでお菓子を食べている子達もいる。

 楽しそうな彼女達。

 それを羨む気持だろうか。

 胸の痛みを覚えつつ、廊下を歩く。


 照明の幾つかは消えているが、まだ人で賑わうラウンジ。

 私は自販機でお茶を買い、空いている窓際の席に付いた。

 薄暗い外。 

 景色は何も見えず、小さな虫が飛んでいるくらい。

 だからどうという訳もなく、ペットボトルを傾ける。

「雪野先輩」

「ん?」 

 振り向くと、パジャマ姿の神代さんが立っていた。

 その隣は、渡瀬さんも。

「あれ、あなたって自宅じゃ」

「ナオの部屋に泊まってるんです。その内私も、寮にしようかと思って」

「それもいいかもね。私も実家は近いけど、寮に住んでるし」

 前の椅子に座る彼女達。

 私は姿勢を直し、ため息を付いた。

「先輩、どうかしたの?」

 不安げな表情で尋ねてくる神代さん。

 渡瀬さんもお下げ髪を撫でつつ、上目遣いで私の様子を窺ってくる。

「ちょっと寝付かれないだけ。二人こそ、寝ないでいいの?」

「明日、休みだよ」

「ああ、そうか」

 今頃気付いた。

 ショウの事ばかり考え過ぎていたようだ。

「雪野さん、明日予定あります?」

「無いけど、どうして」

「美味しいパフェのあるお店があるんです」

「ふーん」

 付き合いではなく、つい笑顔がほころぶ。

 彼女達の屈託のない表情を見ていると。

「遠野先輩はどう?」

「私から連絡する。……ショウ達も呼ぼうか」

「たまには女の子だけで」

 悪戯っぽく笑う神代さん。

 私は安堵感を覚えつつ頷いた。

「でも、太るかな」

 細い体を撫でる渡瀬さん。

「あなたは、太ってちょうどいいくらいでしょ」

「雪野さんはどうですか?」

「私はちょうど良いくらいだって」

 彼女よりも小さな体を反らす。

 これで太ったら、本当に目も当てられない。 

「二人とも、もう少し食べたらどう?」

「食べられないんだって」

 声を合わせて抗議する。

 それが出来れば苦労しない。

「何も、怒らなくても」

「ナオには分からないのよ」

「そうそう。良いよね、胸が大きい人は」

「本当、本当」

 二人して頷き、ため息を漏らす。

 心底と付け加えたくなる程の。

「そ、そう。じゃあ、私はそろそろ寝るから」

「ナオ、待って」

「話は終わってないわよ」


「終わったよ、もう。……どうして付いてくるの」

「寂しいのよ。独り寝は」

「いつも独り寝でしょ」

 くすっと笑い、タオルケットを渡してくれる神代さん。

 二人はベッドの上。

 私はクッションを敷いた床の上。

 ベッドで寝ても良いけど、一人の方が気楽な気分。

 ただ冗談混じりに答えたように、一人きりは少し寂しい。

 今夜は先輩の立場を使って、彼女達に甘えよう。

 また、それを受け入れてくれた彼女達に感謝しよう。

「先輩、寝酒は?」

「え、そうなの?」

「ひ、人聞き気の悪い事言わないで。いくら何でも、寝酒は無いわよ」

「この前知り合いから、日本酒もらったんですけど。大吟醸とかいうのを」

 気付いたらベッドの上に乗っていた。

 そして神代さんの顔を見つめていた。

「出して」

「は、はい」

「お酒、か。私は苦手だな」

 お下げを解き、セミロングになっている渡瀬さん。

 それはそれで、また可愛い。

「先輩、つまみは」

「お酒だけでいい。一口飲むだけだから」

「ふーん」 

 疑わしいという顔と共に差し出される、五合の瓶と小さな湯飲み。

 本当なんだって。

 とにかく、飲もう。


「……辛口、かな」

「何でもいいよ」

 鼻で笑う神代さん。

 渡瀬さんは良く分からないが、ベッドの上にのの字を書いている。

「二人も、ほら」

「いらないって」

「先輩の酒が飲めないっての。え?」

「無茶苦茶だ」

 むずる彼女に湯飲みを渡し、強引にお酒を注ぐ。

「もう」

 傾けられる湯飲み。

 微かに動く眉。 

 悩ましげに漏れるため息。

「へぇ」

「美味しいでしょ」

「うん。チィも飲んだら」

 今度は渡瀬さんに湯飲みが。

「……あれ」

 空になった湯飲みを差し出す渡瀬さん。

 喜々としてそれに注ぐ私。

 神代さんは鼻歌交じりで、さきいかを持ってくる。

 後輩との楽しい一時。 

 翳っていた気分が癒されていく感覚。 

 ただ、明日は辛いだろうな……。



 分かってるなら止めろという話だ。

 目覚ましで飛び起き、だるい体にムチを打つ。 

 パフェなんて、今日じゃなくても食べられるのに。

 頭の中でうだうだ言いつつ、女子寮の玄関に降りてくる。 

 そこにいたのは、私と同じくらいだるそうな神代さんと渡瀬さん。

「先輩、いつ帰ったの」

「二人が酔いつぶれた後」

「潰れてないです」

 あくび混じりの返事。

 渡瀬さんは青のワンピース、神代さんは赤いジャケットにジーンズスカート。

 何にしろ、似合っているからいい。

「遠野先輩達は」

「あの子達こそ、完全に酔いつぶれてる」

 一応部屋まで行ったんだけど、動かなかったので止めた。

 昨日のショウを、彼女達も少しは引きずってるのだろうか。

「で、お店はどこ」

「神宮駅の、少し裏手。車で行く?」

「あるの?」

「一応は」

 大きな胸を反らす神代さん。

 それは見たくないが、車は見てみたい。



「小さくない?」

「気のせいだよ」

「いや、小さいって」

 断言する渡瀬さん。

 彼女が座っているのはバックシート。 

 座っていると言っても、横向きに足を伸ばしてる。

「二人乗りじゃないの、これ」

「先輩とチィは小さいから」

「あ、そう」

 二人揃って、陰険に返事をする。

 面白くないな。 

 窓を開け、熱田神宮からの涼しい風を車内に吹き込む。

 すぐそこは都心なのに、これだけの広い緑を間近に感じられる場所。

 ふとした瞬間に思う。

 今は余計に心を和ませる事。 


 車を走らせる事少し。

 多少危なげな運転ではあったけど、どうにか喫茶店の駐車場へと滑り込んだ。

「チョコパフェ3つ」

 何でもそれが一押しらしく、代表して注文する神代さん。

 時間が早いせいか、席は半分が埋まっているといったところ。

 また彼女達の前には、そのチョコパフェらしき物が置いてある。

「私、残すかも」

 メニューの絵が少し大きそうだったので、あらかじめ言っておく。

 食い意地は張っていても、量は駄目なのだ。

「美味しいから、残さず食べれると思うけど」

「それが、なかなかね」

「分かります」

 小柄同士頷く私達。 

 神代さんは不思議そうに、そんな私達を眺めている。


 しばらくして可愛らしいウェイトレスさんが、そのチョコパフェを運んできてくれた。

 グラスから溢れそうな生クリームとフルーツ。 

 下の方は螺旋状の層が出来ていて、チョコと生クリームが交互に重なっている。

 見た目だけでも十分に楽しめ、食欲も増す感じ。

「いただき……」

 満面の笑みと共に手を合わせようとした時。 

 テーブルの隣を、数名の女の子が通り過ぎていった。

 どうやら二階席から降りてきたようだ。 

 その中心にいる女の子が、私の目を引いた。

 大きな瞳と、逸らしたあご。 

 綺麗ではあるが、どこか癖のある表情。

 高そうなブランドっぽい服とバッグ。

 いかにもといった感じのお嬢様。

 向こうも私に気付き、口だけを小さく動かす。

 何を言ったのかは分からないし、あまり知りたくもない。

 そのまま彼女達は店を去り、私も顔をパフェへと戻した。

「知り合い?」

「一応。同学年という意味では」

 適当に答え、一気にパフェを頬張っていく。

 胸に募る不安と苛立ち。

 その気持ちとは裏腹に、見る見る減っていくパフェ。




 戸惑い気味な神代さん達をよそに、私はパフェへ集中していた。

 無理矢理に、振り払うように。

 今の気持ちににも通じる、余計な事を思い出さないようにして。  













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