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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第13話   2年編前編
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13-3






     13-3



 朝。

 教室にやってくると、サトミが薄ら笑いを浮かべていた。

 朝から、何してるんだか。

「おはよう」

「ええ、お早う」

 まだ笑ってる。

 何か言いたそうな顔だ。

 と思っていたら、向こうから振ってきた。

「聞きたい?」

「うん」

「今日、ケイはどこにいると思う」

「どこって、学校へ来る途中でしょ」

 こくりと頷くサトミ。

 でも、笑顔は消えない。

「確かに、学校ね。でも、どんな学校かしら」

「え?」

「取りあえず、私達も行きましょう」

 すっと立ち上がり、ドアを指差した。

 妙に楽しそうな表情で。

「ショウはどうするの」

「いないなら、置いていくわ。時間がないのよ」

「そんなに慌てなくても……。あ、来た」

 笑いながら入ってくるショウ。

 隣では木之本君も笑ってる。

 案外気が合うんだよね、この二人。

「行くわよっ」

 高らかに宣言するサトミ。

 芝居がかった仕草で、もう一度ドアを指差して。

 ケイの台詞じゃないけど、朝から元気がいいな。

「行くって、今学校に来てどこへ」

「いいから。木之本君も、ほら」

「無断欠席は良くないよ」

 真顔で指摘する木之本君。

 サトミは手早く端末を使い、欠席を学校へ通知した。

「これでいいわ」

「全然良くない。良くないよ、遠野さん」

 焦り気味に手を振った木之本君は、青くなった顔で体中を触りだした。

「気が小さいわね。普段から授業は休んでるじゃない」

「意味も無く休んでない。僕はちゃんと、理由があるから……」

「大丈夫。絶対後悔しないから」


 むずがる木之本君を無理矢理連れて、学校を後にした私達。

 やってきたのも、学校だ。

「あんまり変わってないね」

 見慣れた教棟、幾度となく歩いた通路。

 そしてかつて身に着けていた制服を着て歩く、大勢の少年少女達。

「1年振りか」

 感慨深げな声を出すショウ。

 中等部。

 幾つもの思い出と、幾つもの出会い。

 ショウやサトミ達と一緒に過ごした3年間。

 楽しい事、辛い事、嬉しかった事。

 その全てが詰まっている場所。

「学校は休んじゃ駄目だよ」

 まだ言ってる木之本君。

 懐かしさよりも、そっちの方が気になるようだ。

「いいから。さあ、行くわよ」

「どこへ」

「勿論、教室へ」


 見るからに幼い中学生達。 

 制服の違う私達を気にしつつ、すれ違う彼等。

 ただし授業中なので、それ程注目を浴びないのは助かる。

「一体、何なの」

「そこよ、そこ」 

 悪戯っぽい表情で、すぐ先にある教室を指差すサトミ。

 ドアにある小さなガラス窓から見える室内。

 ホワイトボードの方を向き、真剣な表情で授業を受ける生徒達。

 ひたむきといってもいい熱意。

 ただ、だからどうだという物でもない。

 少なくとも、今見る光景ではないから。

「……あれ」

 変な声を出すショウ。

 そして、教室と反対の窓際に行き体を折って笑い出した。

 一応、声はひそめているが。

「……あ」

 絶句して、やはり笑う木之本君。

 私は笑わない。

 何故か。 

 ドアまで、視線が届かないから。

「最後尾の窓際。ジャンプして、見てみなさい」

 くすくす笑うサトミ。 

 この子がここまで楽しそうなんだから、余程の事があるんだろう。

 トコトコとドアの前に立ち、額の辺りにあるガラス目がけてジャンプする。


 地味な顔立ち。 

 丸まった背中。

 眠そうな目付き。

 浦田珪君が、授業を受けていた。

 中等部の教室で。 

 高校生が。

「なっ」

 慌てて口を押さえ、ショウ達と一緒に大笑いする。

 声を出せない分、余計に笑えてくる。

「な、なんだ。あれは」

「知らない。僕は知らない」

「が、学校を間違えてるんじゃないの」

 とにかくおかしいというレベルを超えている。

 冗談にしても、度が過ぎている。 

 色んな意味で、もう駄目だ。



 みんなで笑っている間にチャイムが鳴り、生徒達が教室から出てきた。

 制服の違う私達に自然と注目が集まるが、そんな事は全然気にならない。

 そして無愛想な表情で、ケイも私達の前に姿を現した。

「……なんだよ」

 まさかここにいるとは思ってなかったらしく、一瞬たじろぐケイ。

 こっちは大笑いして、彼を出迎える。

「サトミッ」

「大声出さないで。ちょっと、授業参観に来ただけじゃない」

「ふ、ふざけやがって。俺は、何も好きこのんで」

 顔を赤くして震える男の子。

 どうやら彼にも、恥ずかしいという感情があったらしい。

「本当、こっちまで迷惑」

 彼の後ろから、ひょこりと現れる可愛らしい女の子。

 長い茶髪と、くるくるした大きな瞳。

 朗らかで、明るい佇まい。

 浦田永理ちゃん。

 認めたくはないが、ケイの妹とも言う。

「停学の次は、留年なんて。しかも同じクラスで。もう、嫌」

 という割には楽しそうなエリちゃん。

 今の状況を楽しんでいるようにも見える。

「留年じゃない。数学で成績が悪かったから、一時的に中等部でやり直してるだけだ。こんなのオンラインでやればいいのに、誰かの嫌がらせだな」

「でも、なんとか付いてきてるよね。計算は間違えるけど」

 ぺたぺた肩を叩かれ、やるせないため息を付くお兄さん。

 しかし、兄と名乗る資格無しだな。


「それで、いつまで通うの?」

「今週末の試験でパスすれば問題ない」

 端末に表示される成績表。

 ぎりぎりだが、どうにか及第点は上回っているようだ。

 中等部の授業だけどね。

「大体、みんな学校は」

「さぼった」

 平然と答え、お茶を飲む。

 木之本君は、一人難しい顔をしてるが。

「最悪だな」

「お前がだろ」

「ちっ」

 言い返せないケイ。

 珍しく彼を口でへこませ、嬉しそうに笑うショウ。

 サトミはまだ、薄ら笑いを浮かべている。

「余計な事しやがって」

「別にあなたを見に来た訳じゃなくて、例の彼を調べに来たという理由もあるのよ」

 落ち着いて答えるサトミ。

 そんな話は一言も聞いてないが、そうしておこう。

「小谷君?後で、永理に聞けよ。俺はもう、あいつに顔を合わせる資格がない」

「明日も、机を並べるんでしょ。級友として」

「くっ」

 席を立ちふらふらとカウンターへ歩き出すケイ。 

 逃げた訳ではなく、お茶を取りに行ったようだ。

 だが彼の足は、すぐに止まる。


 本当に幼いと言っていい顔立ち。

 大きな瞳と、赤みの差した頬。

 耳が見えそうな程のショートカット、華奢な体付き。

 トレイに紙コップをいくつも乗せ、慎重に歩く女の子。 

 愛らしい顔は真剣そのもので、だけど足取りは進まない。

「遅いわね。何してるのよ」

「早く持ってきて」

 近くのテーブルから聞こえる声。

 何人かの派手な顔立ちをした女の子が、横柄な態度で手を振っている。

 怒りを感じる前に、一つの考えが脳裏をよぎる。

 去年。

 大内さんとの出来事。

 あれと重なる光景。

 まさかと思いつつ、トレイを持っている女の子に視線を向ける。

 ひたむきな、一生懸命な表情。

 口元から漏れる、小さな声。

 何を言っているのかは聞き取れない。

 でも彼女が真剣で、それを頑張っているのだけは分かる。

 その気持ちを利用されているのも。


 私より早く席を立つ木之本君。

 彼は素早く女の子に駆け寄り、トレイに手を添えた。

「あ、あの」

「いいよ、僕が運ぶから」

 優しい、心からの笑顔。

 慌てて頭を下げる彼女を見て、はにかむ木之本君。

 彼だって、例の一件は話として聞いている。

 だけど、迷わず女の子に手を貸している。

 私の胸が熱くなる。

 嬉しさと、怒りとで。

「ユウ」

「大丈夫、加減はする」

 サトミに手を向け、戸惑い気味な女の子達の元へと詰め寄る。

 高校の制服を着ている私達と、その行動に明らかな動揺を見せている。

 一応睨み返してはいるが、内心どう思っているかは私にでも分かる。

「何、下らない事やってるの」

「こ、高校生には関係ないでしょ」

 立ち上がる女の子達。 

 身長で負けているため見下ろされる格好になるが、だからどうしたという話だ。

「関係?人をあごで使っておいて、理屈をこねる気?随分立派な事を言ってくれるわね」

「だ、だったら何よ」

「教えて欲しいの?」

 拳を固め、軽く前に突き出す。

 計3回。 

 3人いた彼女達の髪も、同時になびく。

「心の痛みがどんな物か、体で教えてあげるわよ」

「あ、ああ……」

 腰を引き、後ずさる女の子達。

 距離を詰める私。 

 テーブルに詰まった彼女達は、青ざめた顔で手を振った。

「ご、ごめんなさい。もう、もうしません」

「当たり前でしょ。言っておくけど、私はまだ優しい方だからね。あの子だったら、頭からお茶被ってるわよ」

 離れた所で腕を組んでいるケイを指差し、床を軽く蹴る。 

「行って」

「は、はい?」

「行きなさいと言ったの。それとも、まだ何か用事でもある?」

「い、いえっ」

 風を巻いて逃げていく女の子達。

 こっちは怒りが収まらず、もう一度床を蹴る。

「落ち着けよ」

「落ち着けないっ」

 ショウに吠えて、少し深呼吸する。

 そして反省をする。

 後悔も。

 まただ。

 またやっちゃったよ。

 しかも、中学生相手に。

 どっちが子供なんだか……。


「あ、ありがとうございます」

 たどたどしい口調と共に頭を下げる女の子。

 表情は硬く、動きもどこかぎこちない。

 緊張しているのかとも思ったけれど、どうも違うようだ。

「私、人と話すのが、上手く出来なくて。済みません」

 女の子はもう一度頭を下げ、固い動きで歩き出した。

「送ろうか?」

 そんな彼女に、優しく語りかける木之本君。

 戸惑いと焦りの表情を浮かべた彼女だが、はにかみ気味に頷いてくれた。  



 彼だけでなく、私達も一緒になって彼女に付いていく。

 何と言っても母校だし、懐かしさも手伝ってという所だ。

 ただあまり来た事のない、見慣れない場所へと私達はやってきていた。

「ここ、です」

 おずおずと開け放たれた、教室のドアを指差す女の子。

 廊下に人気はなく、どこか寂しさを感じさせる光景。

 作り自体は、他の教室や廊下と何も変わらないのに。

 その教室内には数名の生徒がいて、大きな紙にペンを走らせている。

 手全体でペンを握り、殴り書きともいえる方法で。

「他の教室も、行きますけど、ここにも、いるんです」

 困惑気味な、悲しそうな表情。

 伏せられる視線。

「ハンディキャップを持った生徒のクラスか」

 最後尾にいたケイが、ぽつりと呟く。

 薄々とは分かっていたが、彼ははっきりとそう口にする。

 誰の耳にも、勿論彼女の耳にも届くように。

 少女のぎこちない動きや、幼すぎる表情、たどたどしい語り口。

 全てはそれで、説明出来る。

 沸き上がる苦い気持。 

 言葉にならない、複雑な思い。

 重くのしかかってくるような空気。

 でもそれは、長くは続かない。


「さっきの連中を教育する方が、先だと思うけどね」

 鼻で笑い、壁に貼られた絵を眺めるケイ。

 非常に緻密な鉛筆画で、中等部の教棟を見事に表した一枚。

 ただ写実的とは言い切れない柔らかさもあって、つい見入ってしまうような作品。

「分からん」

 人の感慨をよそに、あっさりと言ってのける男の子。

「何がです」

 真顔でケイを睨む女の子。

「何もかも」

「最悪、ですね」

 女の子はそう言い捨て、ケイに背を向けた。

 見捨てられたとも言える。

「お、おい。なんだそれは」

 聞く耳を持たず、席に付く女の子。

 彼女の前には、今の絵と同じタッチで書かれた画用紙が置いてある。

「僕は少し寂しくなるね」

 突然そんな事を漏らす木之本君。

「寂しい?」 

 上手いとは思うけど、そうだろうか。

 しかし女の子は勢いよく席を立つや、木之本君の傍らへとやってきた。

「そ、そうですか?」

「うん。上手くいえないけど、色というか雰囲気というか。僕に何か訴えてくる。学校があって、緑があって、全部揃っていて。でも寂しいって」

「は、はい」

 激しく頷いた女の子は、小さな紙を彼に渡して窓際の席へと走って戻る。

 それと同じくしてチャイムが鳴り、私達は彼女に別れを告げて教室を出ていった。


「猫?」

 日だまりに丸くなる年老いた猫。 

 毛がよれよれになり、体は細く、全体的に力無い雰囲気。

 繊細なタッチから見て、これも彼女が描いた物だろう。

「頑張ってるんだよ、この猫は。自分はもうおじいさんだけど、それでも一生懸命に生きているって言うのかな。僕の勝手な推測だけど」

「ただの猫の絵じゃないの」 

 さっきの事があるのか、素っ気なく返すケイ。 

 木之本君はくすっと笑い、その絵を大切そうにポケットへしまった。

「あー面白くない」

「でも、お前の同級生だろ。あの子、確か3年だぞ」

「それはもう言うな……」

 肩を落とす彼を放っておいて、中等部の食堂でご飯を食べる私達。

 まだ高校には戻らず、のんきにしている訳だ。

「話って?」

 可愛らしい笑顔と共にやってくるエリちゃん。

 トレイがケイの隣に置かれ、落ち込む彼を気にせず食べ始めた。

「永理、小谷君って知ってるかしら」

「うん。去年私達のガーディアンに入ってきた人。親しくはないけど、その人がどうかした?」

「ユウを慕って、エアリアルガーディアンズに入ってきたのよ」

「へえ。でもそんな話、聞いてないな。怪しくない?聡美姉さん」

 可愛らしい顔に知性的な表情が宿り、サトミと視線を交わし合う。

 この辺りはやはり、ケイの妹なんだと実感させられる。

「どういう人?」

「落ち着いてて、大抵の事を簡単にこなしてた。ただ班が違ったし、私の印象としてはそのくらい。何か問題でも?」

「あってからでは遅いからと思って、人を疑って掛かってるのよ」

「聡美姉さん、悪いから」

「あなたのお兄さん程じゃないわ」

 肩をすくめるサトミ。

 ケイは言い返しもせず、黙々とラーメンを食べている。

 たまにはいい傾向だ。

「悪い奴じゃないと思うけどな」 

 さりげなく漏らすショウ。 

 最近彼と親しいので、一言言いたかったのだろう。

「と、ショウさんは言ってるけど」

「その通りなら、私達も安心ね」

「皮肉か」

「まさか」

 大げさに肩をすくめるサトミ。

 ショウは鼻を鳴らして、残りのご飯を一気に掻き込んだ。

「お前はどう思うんだ」

「俺に発言権はないです」

「何だよ、それ」

「どうでもいいと思ってるからでしょ」

 さりげなく話を継ぐエリちゃん。

 それに対してケイは、関心なさげに頷いた。

 本当は何か考えているのかも知れないが、積極的に関わる気はないらしい。 

「お前にとっても後輩なんだぞ」

「あの子達が揉めようが何かを仕掛けてこようが、俺は全然困らない」

「あいつらが困ってもか」

「そう言ってきたら考える」

 トレイを持ってカウンターへ向かうケイ。

 彼の姿は、そのままどこかへと消えていく。

「何考えてんだ、あいつは。あ、悪い」

「いえ。珪君が馬鹿なだけだから」

 自分の兄を辛辣に評するエリちゃん。

 ただ彼女も、自分なりの意見を語ろうとはしない。

 求められたから答えるという姿勢だけで。


「さあ、僕達も学校へ戻ろうよ。せめて、午後の授業だけでも出ないと」

「相変わらず真面目ですね、先輩」

「僕が普通なんだよ、エリちゃん。ほら、みんな」

 ここへ来た時とは逆に、木之本君に促されて立ち上がる私達。

 大体ケイは、本当に学校へ戻ったのかな。

「雪野さん、早く」

「あ、うん。今行く」

 トレイを持ち上げ、舌先で残ったスープを少し飲む。 

 高等部と違って、少し薄味。

 でも美味しい。

「みんな待ってるよ」

 くすくす笑いながらカウンターを指差すエリちゃん。

 私は舌を出したまま、適当に頷いた。

「はは」

「おかしい?」

「あまり見た事無い顔」

 そういう言われ方をすると、答えに困る。

「小谷さんについては、私も聞いておくから」

「うん。それじゃ、またね」

「珪君の事、よろしくお願いします」

 だらりと舌を出し、会釈するエリちゃん。

 確かにおかしいし、あまり見た事無い顔だ。

 というか、他人に見せる物じゃない。

「はは」

「ははは」

 舌を出したまま笑い合う私達。

 意味はないけど、かなりおかしい。

「ユウ、何やってるの……」

 急に肩に手が置かれ、後ろに振り向かされた。

 私と目を合わせ、そのまま歩いていくサトミ。

 ショウと木之本君も、まるで逃げるように去っていく。

「失礼な子達だな」

「お互い様だと思うけど」

「ああ」

 舌を指差され、するりと引っ込める。

 そう言われればそうだ。 

 そう言われなくてもそうだ。

 本当高校生かなと、中等部で思ったりする私だった……。



 学校へ戻った途端、木之本君は連合の本部へ呼び出し。

 授業なんて、出れやしない。

 私達は下っ端なので、呼び出される事もなく出席。

 ケイは先に戻っていたらしく、黙々と授業を受けている。 

 政経、か。

 苦手ではないけど、興味もないな。

 選挙権はまだだし、これといった関心もない。

 そういえば以前副会長が、国会議員の選挙に向けて草薙グループが何らかのアクションを起こすって言ってたっけ。

 政治家になるメリットは、確かにある。

 ただ、それ以上のデメリットもあるんじゃないかな。 

 だから自分は立たないで、誰かをバックアップするんだろうか。

 現在でも草薙グループの支援を受けた議員は、国会に何人か選出されているというし。

 学校が施行を目論む管理案は、彼等への支援を強制する手段として使われるとも副会長達は言っていた。

 しかし実感が湧かないというのが正直な所。

 こうして選挙制度を聞いていても、遠い別世界の話に思えてくる。

 大体私は、生徒会長選挙すら縁遠いから。


 なんて事を考えている内に、授業が終わっていた。

 それでもノートは取ってある。

 自分でも、ちょっと驚きだ。

「こんにちは」

「あ、こんにちは」 

 笑顔でオフィスに入ってくる神代さん。

「今日は私の方が早かったね」

「ちょっと授業が押して。何か、仕事は」

「特にないよ。というか、いつもないけどね」 

 二人して笑っていると、小谷君もやってきた。

 私は神代さんを目線で制し、彼にも声を掛けた。

「こんにちは。どう、調子は」

「まあまあです。パトロールはどうします」

「そうね。みんなはまだ来ないし、3人で行こうか」

 何となく顔をしかめる二人。

 口に出して断らないだけで、歓迎している様子はまるでない。

「そう険悪にならなくても」

「別に、俺は構いませんが」

 意味ありげな視線を神代さんへ向ける小谷君。

 しかし神代さんは言い返す事もせず、何か呟いて頷いただけだ。

 先日の事を、まだ気にしてるらしい。

「大丈夫。それより、プロテクターは」

「ええ。身に付けてます」

「よし、行こうか」


 小谷君を先へ歩かせ、私と神代さんが後に続く配置。

 普通のガーディアンなら5、6人でパトロールをするのだが、私はこの方が気楽な面ももある。

 やはり廊下に生徒の数は多く、その喧騒だけで疲れてきそう。

 神代さんの顔色は勝れなくて、足も遅れがちだ。

 時折振り返る小谷君に、手で合図して速度を保つようにする。

「調子悪いなら休む?」

「い、いえ。そこまでは」

「そう。無理しなくても……」

 震え気味な彼女を壁際へ下がらせ、騒ぎが起こっている前へと駆けていく。 

 小谷君の前に立つ、大柄な男が数名。 

 その手はジャケットの中へと消えている。

「お前か、新しいエアリアルガーディアンズってのは」

「それがどうした」

 毅然とした態度で答える小谷君。

 私は野次馬の陰に隠れ、話に聞き入る。

「なに。ちょうどいいから、お前で憂さを晴らそうと思ってな」

「顎が痛いんだよ」

「俺は膝だ」

 下品に笑う男達。

 誰かは知らないが、私達とやり合った事があるらしい。

 とはいえ意味もなくケンカはしないので、自業自得だ。

 こっちだって、それなりのリスクは伴う訳だし。

「代わりに俺を殴る気か」

「気にするな。お前が悪いんだ」

「馬鹿な仲間を持ったお前が」

 再び上がる笑い声。

 同時に警棒が抜かれ、小谷君の膝元へ振り下ろされる。

 バックステップでかわし、それを膝で蹴り上げる。

 そこからのサイドキックと、さらに体を翻しての後ろ回し蹴り。 

 一気に二人が床に伏せる。 

 この間ショウとやり合った時とは違う、軽快で切れのある動き。

 絶対的に強いというレベルではない物の、ガーディアンとしては優秀な部類に入るだろう。

 取りあえずこちらは彼に任せておくとして、後は神代さんの方を。


 案の定と言うべきか。

 彼女の側へ詰め寄っていく数名の男。

 野次馬は小谷君と男達の戦いに気を取られ、それに気付く者は殆どいない。

 腰をため、スティックを抜きながら低い姿勢で彼女の元へ駆けていく。

 神代さんへ伸びる手を払おうと、床を蹴り上からスティックを……。


 目の前で吹き飛ぶ男。 

 他の男達も、時間をおかず壁へ叩き付けられる。

 床を転がる警棒が、虚しく乾いた音を立てている。

 浮遊感を味わう間もなく神代さんの傍らへ降り立ち、スティックを背中のアタッチメントへ戻す。

「何してる」

「自分こそ」

 見つめ合う私と舞地さん。

 相変わらずだな、この人は。

 私も、人の事は言えないけど。

「知り合いか」

 息を乱す事無く尋ねてくる名雲さん。

 隣では柳君が、ニコニコ笑っている。

「うん。私達の所で、ガーディアンの研修をしてるの」

「雪ちゃんが、何教えるのよ」

 失礼な事を言う池上さんの脇を引っ掻き、神代さんの肩に手を置く。

 位置が高いので、ちょっと辛いが。

「あ、あの」

「心配しなくてもいいよ。この人達は無茶苦茶だけど、知り合いだから」

「は、はい」

 硬い笑顔で会釈する神代さん。 

 すると池上さんがふっと微笑み、彼女の頬へ手を当てた。

 まただよ、この人は。

「可愛いわね、あなた」

「え?」

「可愛いって言ったの。何か悩みでもあるなら、私に話してみて」

 優しい、大人の微笑み。

 思わず頬を赤らめる神代さん。

 熱い視線で見つめ合う二人。

「何してるのよ」

 強引に二人の間に割って入り、池上さんの手を振り払う。

「邪魔な子ね。ほら、お金上げるからその辺でお菓子でも買ってきなさい」

「ありがとうって、これ何」

「雪ちゃん銀行券よ」

 確かにそこには、「発行人・雪野優」とある。

 なんだ、それ。

 面白いけどさ。


「こいつ暇だからって、ずっとそんな事して遊んでるんだぜ」

「どうせ私は、名雲君程真面目じゃないわよ。あなたには、もう上げないから」

「いるか」

 鼻を鳴らす名雲さん。

 私は池上さんが差し出した、他の銀行券も見てみた。

 一応私達一通り分があり、中央には似顔絵付き。

 絵が好きだからな、この人。

「この、サトミの方がいい」

「これは会心の出来なのに。浦田銀行券で手を打ちなさい」

「そんなの捨ててよ」

「そうね」

 池上さんが手の中で丸めようとしたら、柳君が悲しそうな顔で手を出ししてきた。

「捨てるなら、僕にちょうだい」

「浦田君のよ」

「うん、分かってる」

「ならいいけど」

 ケイの似顔絵を受け取り、何とも嬉しそうな顔をする柳君。 

 かなり理解しがたい感性だ。

 何か呪われそうで、私ならすぐにでも燃やす。

「彼は」

 野次馬の向こう側を指差す舞地さん。

 そこには床に倒れている男達を拘束している、小谷君の姿があった。 

「いちいち捕まえなくてもいいのに」

 柳君の呟きに頷く私達。

 そんな事をしていたらきりがないし、他の仕事が何も出来なくなる。

 勿論ケースによっては拘束して連れて行くけど、大抵はIDをチェックして後日連絡というパターンだ。

 全くほったらかしておく場合だってある。

 忘れているとも言うが。

「真面目なんだろ」

「君みたいに?」

「まあな」

 苦笑気味に答える名雲さん。

 それはともかく、何人捕まえたんだ。

「取りあえず拘束しました。一番近いオフィスへ連れて行きましょうか」

 駆け寄って来るや、息を荒げながら尋ねてくる小谷君。

 まさか、「面倒だからほかっておいたら」と言える状況ではない。

 仕方ないので端末で、近くのオフィスをチェックする。

「私達の所は狭いし……。やっぱり、生徒会ガーディアンズのオフィスが近いね」

「誰の管轄だ」

「沢さん」


 という訳でやってきたのは、生徒会ガーディアンズA-2ブロックのオフィス。

 部屋はどう見ても3つ以上。

 卓上端末や装備品もいい物が揃っていて、私達の所とは比べ物にならない設備。

 ドアに監視カメラまであるしね。

「またトラブルかい」

 苦笑して私達を出迎えてくれる沢さん。

 否定しようと思ったけど、拘束した男達がぞろぞろ付いてくるのを見て諦めた。

「今回は、私じゃありませんから」

「すると」

「俺です」

 やや緊張した面持ちで前に出る小谷君。

 沢さんはいつもの笑顔で、彼と向き合った。

「雪野さん達と一緒に行動しているそうだね」

「ええ、一応」

「楽しいかい」

「そういう気持ちで一緒にいる訳ではありません」

 生真面目な口調で答える彼に、沢さんは軽く頷いた。

「君の考えは分かった。それで、後ろの人達を解放してくれないかな」

「え?」

 戸惑い気味な表情を浮かべる小谷君。

 沢さんは構わず、隣にいた七尾君を促した。

「頼むよ」

「雑用ですか」

「じゃあ、尋問するかい」

「喜んでやらせて頂きます」

 一礼して指錠を外していく七尾君。

 険しい視線を向ける小谷君にお構いなしで。

「IDのチェックは」

「してあります」

「じゃあ、ここで解散。後で警告書くらい生徒会から来るだろうから、各自反省するように。帰っていいよ」

 小谷君以上に戸惑う男達。

 だが沢さんの気が変わらない内にと考えてか、彼等は無言でドアを出ていった。

「どういう事ですか」 

 血相を変えて詰め寄る小谷君。

 沢さんは平然とした表情で、それを受け止める。

「彼等を尋問し、停学。より一層恨みを買い、次は寮への襲撃を試みる。君にではなく、雪野さん達に。なんてシナリオはどうだい」

「それは」

「君の正義と、みんなの安全。妥協と思うのは勝手だけど、その責任は取れるかな」

 静かな口調。

 笑顔はそのまま。

 しかし小谷君は言葉を返す事無く、視線を伏せた。


「沢、いじめるなよ」

「じゃあ、名雲君の意見は」

「お前と同じさ」

「それなら、君も仲間だ」

 苦笑してお互いの顔を指差す二人。 

 その間に小谷君はきびすを返し、ドアへと歩き出していた。

「どこ行くの」

「少し、一人で考えてきます……」

 そう呟き部屋を出ていく小谷君。

 それを見て、七尾君が鼻を鳴らす。

「なんだ、あれ。熱血君?」

「君程じゃないよ」

「そうですか。あー、暇だ」

 伸びながら椅子へ座り、そのまま机へと俯せになった。

「柳、相手してやれ」

「了解」

 柳君の体が浮き上がり、机に伏せている七尾君の背中へと襲いかかる。

「おおっ?」 

 横へ転がり、かろうじて肘打ちをかわす七尾君。

 殆ど音はしなかったので、かなりの反応と言えるだろう。 

「な、何するんだっ」

「暇なんでしょ」

「そ、そういう問題かっ」

「かわせるから打ったんだよ。ちょっとへこんだかな」

 柳君は机を軽く撫で、申し訳なさそうに頭を下げた。

「沢さん、ごめんなさい」

「いいよ。気にしなくても」

「俺は机以下か……」

「ああ、七尾君もごめん」

 おざなりに謝られる七尾君。

 却って不憫だな。


「あなたと彼が揉めてるって訳」

 頬杖を付いて神代さんを見つめる池上さん。

 彼女は曖昧に頷き、私に伺うような視線を向けてきた。

「この人達は大丈夫。柄は悪いけど、話は分かるから」

「雪ちゃん達程じゃないわ。それはともかく、人が集まればトラブルも増えるわよ。知らない同士となれば、余計にね」

「あたしは別に、揉めたいとは思ってませんけど」

「浦田君とも何かあるんでしょ」

 再び私を見やる神代さん。

 いや、見られてもね。

「でも小谷だったか。あいつなら、俺も苦手だな」

「僕も。固いよ、あの子は」

「ショウとは気があってるみたいだよ」

「あいつも固い。ただそれは、少し面白いな」

 意味ありげに微笑む名雲さん。

 池上さんも小さく頷いている。

「どういう意味?」

「大した事じゃない。どうしても知りたいなら、浦田にでも聞け」

「あの人は、そんなに信頼が置けるんですか」

 訝しげに尋ねる神代さん。

 名雲さんは足を組み替え、軽く顎を逸らした。

「信頼はともかく、頭は回る。どうしてお前が雪野達の所へ配属されたか、どうしてさっきの奴がやってきたのか。そんな事を、ずっと考えてる」

「そうして私達を疑ってるんじゃないんですか。どこかのスパイや情報収集のために来たんじゃないかって」

「それも含めてさ。浦田の何が気にくわないのか知らないが、敵には回さない方がいいぞ」

 冗談めいた口調で諭す名雲さん。

 しかし神代さんは頷く素振りを見せただけで、納得はしていない様子だ。

「……取りあえず、あたしも先に帰ります」

「いいじゃない、ここで遊んでれば」

「少しは仕事もありますから。失礼します」

 硬い表情で一礼して、部屋を出ていく神代さん。


 彼女が出ていったのを確認して、柳君がふと息を付く。

「なんか、ぴりぴりしてたね」

「編入早々トラブルを起こしてれば、誰でもああなる。色々ストレスが溜まってるんだろ」

「君達は依頼先へ行くたびに、ストレスを感じてたかい」

「お前はどうなんだよ、フリーガーディアン」

 昔の事を楽しげに話し合う男の子達から、意識を舞地さんへと持っていく。

「どう思う?」

「私の意見に左右されるようでは、自分の考えとは言えない」

「アドバイスもしてくれないの?」

「そういう柄じゃない。それに、自分の事は自分で決めないと」

 素っ気なく言い切る舞地さん。

「そうだけど、私はこういう経験があまり無くて」

「いい勉強になる。いつまでも自分達だけでやっている訳にはいかないんだから」

「え?」

「元野が言っていた。雪野達にも、役職を付けたいって」

 精悍な顔に浮かぶ、微かな笑顔。

 この人が楽しい時に見せる、本当に希な表情。

 しかし、それを喜んでいる余裕はない。


「ええ?」

「決まった訳じゃない。ただ可能性はあるから、今度の事くらいで慌てていたら話にならない。いきなり部下が20人出来たらどうする」

「無理よ、そんなの。さっきの二人だけでも、手一杯なのに」

「元野や沙紀は、何百人という人間を束ねている。彼女達に出来て、雪野に出来ないという話はない」

 誉めてくれているのか脅しているのか分からない台詞。

 ただその大変さだけは、何となく分かったつもりだ。

 舞地さんの考えはともかく、私には無理だなと。

「それに、無理してまで仲裁する必要もないと思う」

「目の前で揉めてるのに?みんなはそう言うけど、本当にそれでいいのかな」

「さあ。私の前では揉めてないから」

「むー」

 澄ましている舞地さんを軽く睨み、オフィス内を見渡す。

「池上さんは?」

「屋上で絵を描いてる。春だから」

「そういう物なの?」

「本人がそう言うんだから、疑う理由がない」

 なるほどね。

 ためになったかどうかはともかく、舞地さんと話をした事に意味はあった。

 そして結局は、自分という訳か。



 自分のオフィスへ戻ると、みんな集まっていた。

 ただ、どことなく空気は重い。

 理由はやはり、神代さんと小谷君。

 何か言い合う訳ではないが、お互い黙っている分余計に気まずくなっている。

 ショウが時折小谷君に話を振るが会話は続かず、サトミが神代さんへ話し掛けても同様だ。

 放っておけばいいという意見もあったけど、狭い部屋でこれでは正直苦痛である。

「……私達ちょっと自警局へ行ってくるから、留守番お願い」

「え?」

「あの」

 戸惑う二人に手を振り、サトミ達をドアへ追いやる。

 後ろから声が掛かったが、気にせずドアを閉める。


「へぇ」

「何一人で満足してるの」

 ファッション雑誌を手にしたまま見下ろしてくるサトミ。

 ショウも、鉄アレイ片手だ。

「いいの。二人きりになれば、嫌でも話すから」

「ケンカしてたら?」

「まさか。お互い、そのくらいの分別はあるわよ」

 そう自分にも言い聞かせ、廊下の壁へもたれる。

 ため息を付き、その場にうずくまるサトミ。

 無言の抵抗みたいで、ちょっと嫌だ。

「前に来ないで」

「別にいいだろ」

「殺すわよ」

「ちっ」

 舌を鳴らし、サトミの隣へ戻るケイ。

「見えたって減る物でもあるまいし」

「あなたに見せるために、私は生きてる訳じゃないの」

「ヒカルはどうなんだ。あれは一応、俺の兄貴だぞ」

「何を言ってるのか、全然分からないわ」

 すっとぼけるサトミに、ケイは鼻を鳴らして壁へ爪を立てた。

「馬鹿じゃなかろうか」

 私も腰を下ろし、サトミと一緒にうずくまる。

 少し遅い時間なので廊下を歩く人はいなく、スカートの中を覗き込まれる心配もない。

 今日はスパッツをはいてないので、余計に助かる。

「白?」

「淡いクリーム」

「あ、本当」

「サトミは青?」

 なんて会話を交わし合う。 

 私の隣で、困った顔を赤らめているショウ。 

 ケイは「うー」と唸りながら、窓ガラスを掻きむしっている。

「やめてよ」

「じゃあ、そういうのも止めろ。思春期に差し掛かった一少年としては、非常に精神衛生に悪い。なあ、ショウ」

「い、いや。俺は別に」

「大丈夫。俺が全てを代弁してやる。こう下から、それこそ地の底から突き上げてくるんだよ。男としての熱い血潮がたぎるっていうのか。ああ、俺は男なんだって……」 

 下らない熱弁を振るう男の子を放っておいて、スカートを直す。

 元々見えないようには座ってるけどね。


「寒いわよ、ユウ」

「日が落ちてるから。春とはいえ、夜は冷えます」

「理由は聞いてないから、何とかしてちょうだい」

「はいはい」

 手を軽くこすり、サトミの柔らかな太股を撫でていく。

 つやつやして張りのある肌。 

 手の平に吸い付くような感触。

 少し冷たかった彼女の体が、何となく赤みを帯びていく。

 サトミも苦笑気味に、私の足を撫でてくれる。

「雪国の親子じゃないんだから」

「でも、暖かいでしょ」

「ええ。ショウ達もやったら」 

 冗談っぽく上を見上げるサトミ。

 太股をさすり合う、ショウとケイか。

 見たくないし、想像もしたくないな。

 そう思っていると、ドアの向こうから声が聞こえた。

 一瞬腰を浮かし掛けた私とサトミは、すぐに笑顔を浮かべた。

「計算通り?」

「まさか。私はいつも、思い付きだけよ」

「でも、よかったわね」

 そっと頬に触れるサトミの手。 

 こすられて暖かくなった彼女の指先。

 私の温もりと彼女の温もりが合わさった、仄かなぬくもり。

 私はそれに手を重ねる。



 ドア越しの笑い声。

 楽しそうな会話。

 それを作り出す事が出来た、小さな満足感。

 まだまだ簡単にはいかないし、これからどうなるかは分からない。

 でも彼等が笑っているのは、紛れもない事実だ。

 変わらない、確かにある事実。

 例えどういう関係であれ、気持ちは通じる。

 そう願いながら、私はドア越しの笑い声に耳を傾けていた。    









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