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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第11話
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11-2






     11-2




 翌日の授業。

 舞地さんの事を考えながら、原稿用紙を睨む。

 昨日の世界史同様、生物でもレポートになっている。 

 すでにテストは終わっているので、先生も授業をやる気は薄いようだ。

 ケイと話を聞くと、情報局にも特にこれといった話はなかったらしい。 

 とはいえ昨日は世間話程度だったので、今日はもう少し本格的に聞きに行くとの事。

「進化論って何」

「ユウの先祖がお猿さんっていう意味よ」

 原稿用紙に猫を落書きしながら答えてくれる遠野さん。

 本格的に、やる気無しだな。

 この子は出席しなくてもA+だから、当たり前なんだけど。

「適者生存と突然変異の組み合わせがダーウィンの考え方。勿論それには異論があり、ある種の恣意的な力が働いているのではという説もあるけれど」

「そういう話をしてちょうだい」

「ショウを見習ったら」

 そう言われて隣を見ると、参考書を真剣に読みふける男の子が一人。

 あくまでも自力でやる気らしい。


「無理だって。いやショウが馬鹿という意味じゃなくて、設問が漠然とし過ぎてる」

「こいつは書いてるぞ」

「え?」 

 後ろを見ると、原稿用紙をひらひらさせているケイと目が合った。

「生物は神の創造物であるというプロテスタントなどに対し、オーソドックス(正教会)は柔軟な姿勢を取っている。化石や様々な研究の成果から、それを否定するのが困難なのも理由の一つだろう。あのさ、生物のレポートよ」

「生物学的見地から述べよ、という但し書きはない」

「屁理屈小僧ね」

 鼻を鳴らし、それでもケイのレポートを楽しそうに読んでいるサトミ。

 少なくとも勉強の面では、彼を認めているから。

「確かに、子供らしい顔立ちだから襲われないというのはおかしいわね。肉食動物が真っ先に襲うのは、弱った獲物か子供だから」

「だろ。その理屈で言ったら、どの動物もみんな可愛らしい顔になる。適者生存っていう、ダーウィンの進化論で行くと」

「そういえば、従兄弟がいたわね。心理学者のゴルドン」

「遺伝絡みは、色々あるから。劣性遺伝が必ずしもっていうあれ。例えば、聖徳太子とか」

 訳の分からない事を延々と話し出す二人。

 こちらはメモを取る気にもなれず、ぼんやりとその様子を眺めるしかない。

 ショウはまだ参考書を睨んでるし。


 その時。 

 教室のスピーカーから、緊急入電が入った。

「F棟B-5ブロック3階、304教室付近で複数名の生徒が暴れている模様。現場に近いガーディアンで向かえる方は、至急お願いします」

 近いし、向かえる。

 考査点は惜しいけど、これ以上悩んでいても仕方ないし。

「ほら、行こう」

「ええ」

 素直に用意を始めたのはサトミとショウ。

 ケイは露骨に嫌そうな顔をしている。

「ショウ、お願い」

「立てよ」

「わ、脇はつつくなっ」

 手を伸ばしただけなのに、ものすごい勢いで立ち上がった。

 余程嫌なんだろう。 

 これからは、折を見てちょくちょくやろう。

 勿論冗談だけど。 

 冗談で、やってやろう……。


 そういう訳で、304教室の傍までやってきた私達。

 例によって、野次馬に溢れている。

 生徒がいない割に、こういう時にはどこからか出てくるんだ。

 と感心している場合でもないので、後ろへ下がらせつつ話を聞いていく。

「何があったの」

「変な連中が、武器持って暴れてる。壁とか叩いてるだけだけどね」

「ふーん。それくらいなら、いいか」

 良くはないけど、人を殴るよりはましだ。

 とにかく、前へ。

 邪魔だな。

「どいて」

 動かない、長身の男の子達。

 前を見るのが楽しいのと、私の話を聞く気がない様子。

「どいてと言ってるの」

「うるさいな。前に行きたいなら、どこから……」

 スティックを振りかぶり、きっと睨む。

 さっと割れる男の子達。

 最初から、そうすればいいのよ。

「あなたを止めるガーディアンが必要ね」

 呆れ気味にささやき、その間を抜けていくサトミ。

 反論のしようもないので、私も後に付いていく。

「あれ、か」

 面白く無さそうな口調でショウが、革手袋をはめる。


 5人。

 服装はジャケットやコート。

 全員髪を赤や茶に染めていて、親しくなりたい顔立ちでもない。

 手には警棒や木刀、バトンを持って壁を叩いたり窓ガラスを割って奇声を発している。

「怪我人は」

 最前列にいた子に、私もスティックを手の中で転がしながら尋ねる。

「いないみたいだけど」

「そう。少し下がって。止めるから」

「ああ」

 取りあえずこっち側を下げ、反対側の野次馬達も手で下がるよう指示する。

 他のガーディアンはまだ来ていないようだが、この程度の連中なら私だけで十分だ。


 突然、耳をつんざくような音が辺りへ響き渡る。

「うるさい」

「この方が、効果的でしょ」

 いつか使った、痴漢防止用のブザーを鳴らすサトミ。

 確かにそうだけど、頭がくらくらしてきそうだ。

 ただ馬鹿連中もさすがに動きを止め、こちらへ陰険な視線を送ってくる。

「何だ、お前らは」

「別に。そこの修理代を回収しに来ただけさ」

 ぼろぼろになった壁や、割れた窓ガラスを指さすケイ。

 男の一人が、鼻で笑って警棒をこちらへ投げつけてきた。

 ワイヤーか何かを使っているらしく、それは途中で角度を変えさらに速度を増す。

 頭上から、振り下ろされるように向かってくる警棒。

「よっ」

 スティックでそれの先端を捉え、相手へ投げ飛ばす。

 感嘆の声が辺りから上がるが、大した事じゃない。

「がっ」

 ワイヤーの操作が出来ず、そのまま警棒を自分で喰らう男。

 今度は失笑が、辺りから起きる。

 当然私達も。

「ふざけやがって」

 顔色を変え、距離を詰めてくる残りの4人。 

 ふざけてるのは自分達なのに、日本語も分かってないらしい。

「で、あんたら誰」

 一応は警棒へ手を触れながら尋ねるケイ。

  男達は何も答えず、こちらへと近付いてくる。

 そしてその中の一人が、バトンを構えた。

 微かな音と共に、床へ落ちるバトンの先端。

 そこから現れたのは、照明の光に輝く長い刃。


 一斉に上がる悲鳴。

 下がっていく野次馬達。

 私は咄嗟に、ケイの顔を見た。

「どうかした?」

「だ、だって」

「ああ、そういう事」

 私の言いたい事が分かったらしく、苦笑するケイ。

 彼は突然自分の脇を押さえ、ショウを指さしながら後ろへ下がった。

「任せた。あいつらの身元も、何となく分かったし」

「ああ。ユウとサトミも下がってろ」

 後ろを確認しつつ、前に出るショウ。

 私も彼同様、野次馬の中に仲間がいないか確かめつつ後ずさっていく。


「言っとくが、本物だぜ」

 サディスティックな笑みを浮かべ、手首を返す男。

 刃が光を返し、男の顔に影を落とす。

 しかしショウが動じる様子はない。

 ボクシングに近い構えも不動。

 微かな動揺も不安もない。

「今なら、まだ逃げられるぞ。え」

 小馬鹿にした口調。

 明らかにショウを見下げている態度。

 仲間達からも、笑い声が上がる。

「ほら、早く逃げろよ」

 小さく振られる刃。

 辺りから上がるどよめきに気をよくしたのか、男はさらに刃を振り回す。

「いいから、掛かってこい」

「なに?」

「遊んでる暇があるなら来いって言ったんだ」 

 挑発でも怒りでもない、静かな口調。

 微動だにしない構えだけが、そこにはあった。

「てめえ」 

 唾を吐き、腰を落とす男。 

 刃が上段に構えられ、先端の震えが微かに見える。 

 大した腕でないのは、最初から分かっている。

 しかし刃が当たれば、人の体など軽く切れてしまう。

 私はそれを、目の当たりにしている。

「シャッ」

 気合いと共に振り下ろされる刃。

 周りから上がる叫び声。

 ショウもそれに反応する。

 下がったのではない。

 腕を上に押し上げたのだ。


 まっすぐに振り下ろされる、長い刃。 

 それを遮るように上げられる、ショウの右腕。

 叫び声と悲鳴が、周囲に巻き起こる。

 しかし、ショウはどこも傷付いていない。

 何故か。

 刃は彼の腕で、完全に遮られたから。

 腕が落ちる事も、微かに血が出る事もない。

 まるで模造品のように、刃はショウの腕で止まっている。

 誰もが目を疑うような光景。

 だけど、紛れもない現実。

「なっ」

 おそらく一番驚いているだろう男は、ショウの前蹴りを受けて床に崩れる。

「な、何今の」

「す、すごい」

「映画みたい」

 辺りから聞こえる、賞賛とも驚きとも言えるさざめき。

 ショウは恥ずかしそうに、刀を受け止めたジャケットの腕の辺りをさすっている。

 高まる周囲のムード。 

 彼のすごさに、その強さに。

 まるで映画のヒーローを見つけたような、熱い視線と独特の高揚感。

 その興奮が、一気に頂点を目指して……。


「何してるのっ」

 先程のブザーにも負けない怒声。 

「い、痛っ」

 頭を抑え、顔をしかめるショウ。

「何するんだよ」

 しかしサトミの火を噴き出しそうな眼差しを受け、慌てて手を振る。

「そ、そのさ。ああしてかませば、後々楽かなって」

「普通に避けなさい。あなたなら、そのくらい出来るでしょう」

「そ、そうだけど。別に怪我もなかったし、受け止める自信はあったし。それにスリルって言うのか……」

 再び頭をはたかれ、「済みませんでした」と謝るショウ。

 先程、刀を素手で受け止めたとは思えない様である。

 周りからも、「あの子の方が強いのかしら」とささやき声が上がる。

 本当に、ねえ。

「まあまあ。サトミもそのくらいで」

「だって、この人馬鹿なのよ。もう、少し大人しくなったと思ったら」

「はいはい。ケイも、何か言ってやって」

「何を」

 珍しく、緊張気味な表情を浮かべているケイ。

「どうしたの」

「いや。腕が落ちたかと思って」

「あなたは、実際に切られたじゃない」

「人のを見てるのは、また別さ」

 苦笑して脇をさすっている。

 この子もこれで、少しは懲りればいいのに。

 それも、無理だろうな。



「さて、お前らはどうする」

 どうにか体勢を取り戻し、男達に尋ねるショウ。

 しかし今のを見せられて戦う気になる人がいるとは思えない。

 男達は背を向けて、反対側の人混みへ走り出した。

 振りかぶられる警棒や木刀。

 まずいな。

 私はスティックを肩へ構え、先頭を切っている男に狙いを定めた。

 この距離ならば、間違いない。

 そう思った途端、男達が倒れ出す。

 何があったのかと考える間もなく、人混みが割れる。

「塩田さん……」

「よう」

 軽く挨拶してくる塩田さん。

 その左右には、沢さんと副会長もいる。

「おかしな連中がいるって聞いたんでな」

「傭兵だよ」

「懐かしいですね」

 三者三様のコメント。

 そして私が口を開くより前に、ケイが意識を取り戻しかけた男の足を掴んだ。

「他の連中は後から来るガーディアンに任せて、まずはこいつの話を聞きましょう」



 ずるずると男を引っ張り、人気のない教室へ放り込むケイ。

「な、なんだ」

 周りを私達に囲まれ、引きつった顔を浮かべる男。 

 ケイは鼻で笑い、腰のから抜いた警棒を突きつけた。

「質問。どうして、ああいう事をした」

「だ、誰が言うか」

「質問2。IDなり、身元が分かる物は」

「誰が言うか。拷問でもしろよ」

 いきがる男に、ケイが薄く微笑む。

「まあいい。話したくないなら、用済みだ」

「な、なに」

「東海エアポートの増設用滑走路に、砂利と一緒に埋めてやる。魚が食べやすいように、少し刻むか」 

 さっきの刀を構え、男の喉元へ突きつける。

 顔中から滴る汗。

 ケイはくくっと笑い、その刃を軽く振った。

「浦田君、そのくらいでいいだろう」

「甘いですね」

「身元はもう分かってるんだ。聞くまでもない」

 男を醒めた眼差しで見下ろす沢さん。 

 そして男も、陰湿な視線で彼を見上げる。

「まさかお前まで、ここにいたとはな」

「去年から、僕はここにいる」

「長野にいただろ」

「さあね」

 曖昧な返事を返し、副会長へ顔を向ける。

「さて、どうする」

「私に振られても。ここはやはり、詳しい人へ聞きに行くべきでしょう」

「おい、それって」 

 突然顔を曇らせる塩田さん。 

 対して副会長と沢さんは、どこか楽しそうだ。

「俺は行かないぞ」

「いつまでも、意地を張っていても仕方ないでしょう。それに、彼等だけで行かせる気ですか」

「……嫌な言い方するな」

 鼻を鳴らし、塩田さんは副会長をきつく睨んだ。

 副会長は笑みを絶やさず、男へ指を向ける。

「それで、この人はどうします」

「浦田君の言う通り、海へ沈めればいい。一人いなくなっても、誰も気付かないよ」

「ふ、ふざけるなっ」

 突然立ち上がり、腰からナイフを抜く男。

 だがそれは、一瞬にして天井へ飛ぶ。

「黙れ」

 いつの間にか背後へ回っていた塩田さんの指が、男の脇の下へ触れる。

 呻き声すら出さず崩れる体。

 その動きはショウにすら理解出来ていないだろう。

 おそらく見えてはいる。

 だけど、誰も気付かない。

 それが塩田さんであり、彼の実力なのだ。



 男もガーディアンに引き渡し、私達はある建物の前に来ていた。

 薄汚れた外観と、雑然と積み上げられた廃材。

 周りに多少の緑があるため、学校の景観とは切り離された感もある。

「……あれ、綺麗」 

 旧クラブハウスに足を踏み入れた私は、その様子につい声を出した。

 以前はゴミが散乱してホコリまみれだったのに、今は薄い緑の床がはっきりと見えている。

 壁や柱が汚れ気味なのはともかく、誰かが掃除したようだ。

「でも、薄暗いわね」

 目を細めて歩くサトミ。

 確かに。

 今度は、灯りを交換しておいて欲しい。

「ここへ来るって事は?」

「そうよ。あの人に会いに行くの」

「楽しみね」

 くすくす笑う、中川さんと天満さん。

 塩田さんは後ろの方で、一人難しい顔をしている。

「忍者君は放っておいて、早く行きましょ」

「あ、はい」

「さくらんぼ・オレが楽しみー」

 軽快な足取りで先を急ぐ二人。

 私とサトミも、それに釣られて後を付いていく。



 しかし。 

 長い階段を上り終えた頃には、私達が前に立っていた。

「つ、疲れた。デスクワークばかりだと、駄目ね」

「な、凪ちゃんは、もう年なのよ」

 息も絶え絶えな二人。

 私達4人は一応鍛えているので平気だし、それは塩田さん達も同様だ。

 副会長もデスクワーク組なので、多少息は上がっているけど。

「いますね」

「主だから」

 苦笑する、副会長と沢さん。

 塩田さんは広いロビーの後ろの方で、一人佇んでいる。


 全面ガラス張りの壁際。

 学内のかなりが見渡せ、また熱田の杜もその一部が望める素敵な眺望。

 いつか矢田自警局長と来た、自販機コーナーの前。

 特等席のソファー。 

 そこに腰を下ろす、大柄な男性。

 精悍な、まるで狼のような顔付き。

 左右に女の子を侍らせた彼が、ゆっくりとこちらへ顔を向ける。

 射殺すよう鋭い視線。

「どうした、俺の手下にでもなりに来たか」

「それも面白そうですが、少し話を伺いたくて」

「俺みたいなチンピラから、何を聞くつもりだ」

 口元を緩ませた屋神さんは、席を立ち私達を手招きした。


 左右にいた女の子達は、かなり離れたところで窓の外を暇そうに眺めている。

 取り巻きみたいな男の子達も同様で、ただ彼女達よりは近い位置。

 私達を警戒している様子はないけれど、視線は皆かなり鋭い。

「今日は、綺麗に掃除してあるじゃないですか」

「先週やらせたばかりだ。清掃サービスを締め出すんだよ、ここの連中は」

「掃除する不良というのも、様になりませんからね」

 くすっと笑う中川さん。

 親しみのこもった、暖かな笑顔。

 天満さんも、いつも以上にあどけない表情である。

「授業はどうなってますか」

「オンラインで全員出席させてありますよ、副会長」

「それは結構です。ちなみに屋神さんの学年順位は、一応50位以内にあるとだけお知らせしておきます」

 その言葉に、私だけでなくサトミやショウも感心した顔になる。

「なんだよ。俺が、そんなに馬鹿だと思ってたのか」

「そ、そうじゃないけど。50位っていうのは、ねえ?」

「こういう光景を見ていると、意外に思います」

 率直に語るサトミ。

 屋神さんはワイルドに笑い、長い足を組み替えた。

 襟にボアのある、厚手の革ジャンと皮パン。

 首元にはネックレスが見え、サングラスを胸に差している。

 格好いいし似合ってはいるけれど。


「怖い女だ。で、お前って三島に勝ったんだろ。去年来た時、言うの忘れてたぜ」

「ああ。一応」

 控えめに答えるショウ。

 その奥ゆかしさが、また彼らしい。

 そんな彼を、鋭い眼差しで見上げる屋神さん。

「ただあいつはあの時、まだ怪我が治ってなかった。それだけは、言っておく」

「はあ」

「友達思いだね、屋神さん」

「うるさいな」

 はにかみ気味に笑う屋神さんと、屈託無く笑う沢さん。

 いつも沢さんと一緒にいる訳ではないけれど、こんな楽しそうな彼を見るのは初めてだ。

 後ろで、複雑な表情を浮かべている塩田さんもまた。


 そういうやりとりを見ている間にディフェンス・ライン達から守ってくれた事を思い出し、彼に頭を下げる。

「この間は、ありがとうございました」

「気にするな」

「はい」

「はは、なんだそれ」   

 大笑いされた。

 そんなに、おかしい事だろうか。

「素直だな、お前。ひねくれてるよりはいいけどよ」

「そうですか」

「それはともかく、俺に何の用だって」 

 笑いつつ、本題に戻す屋神さん。

 副会長がやや姿勢を改め、まっすぐ彼を見つめる。

「傭兵の情報を、教えて欲しいんです」

「また古い話を」

「いえ、そうではなく。今学校に来ている連中の情報です」

「なるほどね」

 あらかじめ分かっていたのか、特に驚くような反応はない。

 ただその表情は、微かに引き締まった。

「ここにも、以前の傭兵が何人か残ってる。その関係で、多少は情報を掴んでいますよね」

「安心しろ。今回の奴らは、お前らを狙ってる訳じゃない」

「すると」

「伊達の知り合いで、ワイルド・ギースだったか?あいつらが目的だ」

「えっ?」

 思わず声が出る。

 サトミとショウも、厳しい顔で屋神さんを見つめている。

「ど、どういう事なの」

「そこまでは知らん。俺にはもう、関係ない話だ」

「……だけど」

 先日聞いた話を思い出し、言葉が出てこない。

 彼が何のためにここにいるのか。

 名誉も立場も捨て、それでも学校に留まるその思い。

 私にはない、強さ。

 そして彼が関わりたくないと思うのも、よく分かる。

 確かに、これ以上迷惑を掛けては行けない。

 後は、私達だけで……。


「お前は、嫌な顔をする」

「え?」

「思い詰めたっていうか、自分一人で頑張るっていうか。杉下や河合を思い出すぜ」

 自嘲気味な表情。

 屋神さんは小さくため息を付き、腕を組んで背もたれにもたれた。

「協力して頂けますか」

 さりげない口調で尋ねる副会長。

 屋神さんの眉が、微かにひそめられる。

「断りにくい状況を作りやがって」

「傍観よりはましですよ」

「ちっ。女装した奴が、何言ってるんだ」

「あれは、私の策ではありませんから」

 楽しそうに笑う二人。

 そして何枚かのカードが、胸元から差し出される。

「傭兵達が前使ってた、マンションのカードキーだ。使えるのも、確認してある。場所も、カード内に入ってる」

「ありがとうございます。後、杉下さんから渡された例のお金は」

「……お前、どこまで知ってる」

「ちょっとした冗談ですよ」

 再び笑う二人。

 だがそれは先程よりも鋭さのこもった笑顔であったが。

「まあいい。これを使うのはお前達の勝手だが、余程の用がない限りはマンションに立ち入るな。お前らも経験した通り、人を斬るくらい平気でやる連中だ」

「分かりました」

「それと、出来る限り大山達は動くな。今は各組織の責任者だし、それこそ河合達の二の舞になるぞ」

 関わりがないと言ったはずなのに、ぶっきらぼうな口調ながら諭している屋神さん。

 そして副会長達は真剣な表情で、話に聞き入っている。

 きっと私が彼等に向けるような、信頼と敬意に満ちた眼差しと共に。


「今の所、そのマンションに多少出入りがある。小坂こさか

「20名程、常駐しているようです。車と単車も、かなりあるとの報告が来ています。勿論、武装もしています」

 静かに語る、大柄な男の子。

 先程から屋神さんの傍にいた人で、彼と同じような革ジャンを着込んでいる。 

「こいつも元傭兵だ。ここに残った、数少ない奴の一人さ」

「小坂君、君が人の下に付くとはね」  

 倒しそうに笑う沢さん。

 その小坂さんは、面白く無さそうに顔を逸らした。

 フリーガーディアンと傭兵という関係で、知り合いなのだろう。

 よくは、分からないけれど。


「さあ、もういいだろ。ここにいると、お前らの経歴にも傷が付くぞ」

「屋神さんは、どうなんですか」 

「ねえ、ボス」

 冗談っぽく彼を指差す中川さんと天満さん。

 屋神さんは鼻を鳴らし、しなやかな動きで立ち上がった。

「言っただろ、俺はお前達を裏切った男だって。今は、ただのチンピラさ」

「大人しくしていれば、生徒会長にも収まっていられたのに。あなたが、一番馬鹿ですよ」

「うるさいな。……それで、今の生徒会長はどういう奴なんだ」

 全面ガラス張りの窓辺に立ち、外を眺める屋神さん。

 ガラスに映る彼の姿。

 その表情は、光の中に消えている。

「入学自体は、彼の意志と草薙グループの推薦です。ただ、入学前に杉下さんが接触していたようです」

「あいつか。そうなると、かなりの策士だな。今さら、どうでもいいんだが」

 素っ気ない呟き。

 振り返った彼の顔には、微かな寂しさも翳りもない。

 精悍な表情の他には、何も。

「後は好きにやってくれ」

「屋神さんは」

「俺には関係ない。もうすぐ卒業だしな」

「そうですか」

 副会長達も、それ以上は何も言わない。 

 私達には、その資格もないし理由もない。

「塩田は……、まあいい。俺も、あいつには掛ける言葉がない」

 一人離れた所で、壁にもたれる塩田さん。

 屋神さんの気遣うような視線も、彼には届いていないのか。

 それとも、気付いていない振りなのか。 

 塩田さんは顔を伏せたまま、そこから離れた。 

 こちらへ来るのではなく、階段へ向かっている。

 やがて見えなくなる、その背中。

 だがその行為や心情は、他人事ではない。

 私が塩田さんにそうしたように。 

 彼もまた……。


 重くなった空気を振り払うように、屋神さんが良く通る声で話しかける。

「お前は、大人しいな」

 自分の顔を指さすケイ。

 そういえば、さっきから一言も発していない。

「杉下や大山とも違う感じだし。それに、脇を斬られたんだろ」

「転んだら、そこに刃物が落ちてきて」

「敵を助けて斬られたって聞いたぜ。そんな、真人間のタイプじゃ無さそうだが」

 その言葉に、全員が頷く。 

 勿論、私も。

「どうでもいいですよ。それよりも、どうして舞地さん達……。伊達さんでしたか、その人の仲間が狙われてるか知りたいんですけど」

「恨みと、後は金絡みらしい。おきまりのパターンさ。学校の関与も多少はあるだろうが、基本的には個人的な恨みだ」

「金目当て、ですか」

「せいぜい頑張れ」

 他人事のように笑う屋神さんは、そのまま階段を指差した。

「さあ、俺の話は済んだ。もう帰れ」



 旧クラブハウスを後にした私達。 

 風は無く、昼下がりの日差しは緩やかで。

 副会長達の表情が曇っている事もない。

 塩田さんはともかくとして。

「これは、雪野さん達にお渡ししておきましょう」

 ラウンジのテーブルに置かれる、数枚のカード。

 先程、屋神さんから渡された物だ。

「彼が言った通り、用がない限り使わない方がいいでしょう。場所を確認するくらいは、問題ないですけどね」

「はい」

「……これは」

 一枚のカードを指出す塩田さん。

 その顔に浮かぶ、微かな表情。

「他のは知らないが、このマンションは多分大丈夫だ」

「ああ、あそこですか」

 頷き合う塩田さんと副会長。

「何それ。嶺奈ちゃん知ってる?」

「さあ」

 女性陣は知らないようだ。

 ただ塩田さん達も、はっきりは分かっていない様子である。

「とにかく、もし行きたいならそこだけにしろ」

「はあ」

「あー、面白くない」

 どこかで聞いたような事を言う人。

 苛立ちというか、後悔というのか。

 かなり複雑な表情になっている。

「もう帰る。後は好きにしろ」

「え、でも」

 呼び止める間もなく、塩田さんは足早にラウンジを出ていってしまった。

「という訳です。私達は退学になってもいいんですが、そうなると学内が混乱しますし」

「ごめんなさい」

「何かあったら、相談くらいは乗るから」

 そう言い残し、そそくさと去っていく副会長達。

 残されたのは私達と、数枚のカードだけだ。

「どうする?」

 先程のカードを手に取るサトミ。

「問題ないって言ってたし、行ってみるか」

 軽い調子で立ち上がるショウ。

 私は残りのカードをジャケットのポケットに入れ、頷いた。

「場所は」

「近いわね。歩いて行ける距離よ」

「分かった」



 正門を出て歩く事10分あまり。 

 住宅街の一角にある、高級マンション。

 寮程ではないにしろ、かなりの近さだ。

 煉瓦調の茶色の壁と、広い植え込みのスペース。

 エントランス前のドアにはカメラがあり、こちらの動きをずっとトレースしている。

 私達は低い階段を上がり、まずは閉じられているドアの前へと立った。

 スリットにカードを差し入れる前に、ドアが開く。

 磁気か何かを読み取るシステムらしい。

「パスワードとか無いのかな」

「さあ。俺に聞かれても」

 肩をすくめるショウ。

 確かにそうだ。

 というか、そういうのはもう懲りた。

 ガラスのドアをくぐると、それが閉まりもう一つのドアに阻まれる。

 不審者はここで止めるシステムなのだろう。

「防弾の強化ガラス、か」

 ショウの拳が、試すようにドアへ触れる。

 しかしサトミの鋭い視線を受け、すぐに後ずさった。

「何やってるのよ。……部屋はどこだっけ」

「さっき聞いたでしょ。602」

 口元を、壁にあるマイクへ寄せるサトミ。

 すると微かな音がして、ドアがゆっくりと開いた。

「あっさりとしてるね」

「このくらい簡単じゃないと、住んでいる人は面倒よ。今のカードに入っている部屋の情報と、音声やコンソールでの部屋番号さえ一致すれば問題は無いんだし」

「関係ない人が持ってたら?例えば、今の私達のように」

「屋神さんが、パスコードやセキュリティは解除してくれてたのよ。多分」

 なるほど。

 分からない事は聞く物だ。

 何せ高級マンションなんて、縁がないから。

 いや、そうでもないか。

「そういえばショウの家も、高級マンションだよね」

「高級かどうかは知らないけど、セキュリティはある」

 はにかむ男の子。

 本当に慎ましいね、この子は。

 そこが、素敵なんだけど。


 と人には言えない事を考えながら、エレベーターを降りる。

 部屋は各フロアに3つだけ。

 エレベーターの出口が違うため、同じフロアでも顔を合わせる事がないシステムになっているようだ。 

 同時に乗り込む真似をすればまた別だが。

 ただその際は、他人の家に上がり込む結果になる。

「大丈夫かな」

 少し不安になりつつ、カードをドアの脇にあるスリットに挿す。

 微かな音がして、キーの解除される音がした。

「俺が先に入る」

 腰をため、ドアの脇に張り付いて開けるショウ。

 そしてジャケットのポケットから出したミラーで、中を確認する。

「どう?」

「特におかしな雰囲気はしない」

 わずかに空いた隙間からするりと入る。

 私もその後に、すぐ続く。


 広い玄関スペースに、長い廊下。

 取りあえず靴を脱ぎ、奥へ進む。

 汚れた雰囲気はまるでなく、また生活感も感じられない。

「クリーニングシステムは作動しているようね」

 ショウが開けていった左右のドアを覗き込みながら呟くサトミ。

 その中には多少の家具があるだけで、人は勿論それ以外には何もない。

 全部で4、5室だろうか。

 廊下の突き当たりを右へ入ると広いリビング風の部屋があり、その対面つまり左側にはダイニングキッチンがある。 

 暖かな日差しが降り注ぐリビングとキッチン。

 周りの建物が高いためそれ程の眺望は望めないが、学校の教棟をどうにか視界に収められる。

「こたつ」

 訝しげに指を差すケイ。

 リビングの中央辺りにある、座卓状の大きなこたつ。

 そこにも生活感は微かにも感じられず、綺麗に重ねられた座布団が妙に物悲しい。

「これは」

 キッチンにいたサトミが、私達を呼ぶ。


 埃一つない大きなテーブル。

 その上に、並べて置かれた2枚のカード。

「高校のIDじゃない」

 学校名と学年、そして顔写真。

 一人は精悍そうな女性で、はにかみ気味の笑みを浮かべている。

 もう一人は人の良さそうな男性で、細い目元がやや鋭いという印象だ。

「清水晃、林……」 

 爽来。

 日本人ではなく、中国人っぽい名前。

 すると「はやし」ではなく、「リン」か。

「……これって、この前塩田さん達が言ってた」

「確かに、名前は一致するわ。少なくとも彼等は実在して、ここにいたのね」

「疑ってたの?」

「多少は。悪い癖よ」

 鼻で笑い、サトミはカードを元の位置へ戻した。

「あの屋神さんも、ここにいたんだろ。それで塩田さんは、大丈夫って言ったんだな」

 いつの間にかこたつにはまっているショウ。

 ケイはだるそうに、台へ伏せている。


「何してるのよ」

 とはいえこっちも寒いので、一緒になって入る。

 当然、サトミも。

「俺、住もうかな。学校からも近いし」

 勝手な事を言うケイ。

 何よ、それ。 

 私もそう思った所なのに。

「大丈夫って事は、多分ここのカードは屋神さん達しか持ってないんだよ。他のマンションは、傭兵っていう連中も持ってるんだろうけど」

「そうなると、そっちへいる可能性は高いわね」

「どちらにしろ、しばらくは様子見かな。今日の行動で、俺達もターゲットになっただろうし」

 平然とした口調で語られる内容。

 それでああいうおかしな脅しをしたのか。

 半分は、趣味でやってるんだろうけど。

「じゃあ舞地さんは、どうして元気がないの」

「だから、それは知らない。まさか、聞く訳にもいかないし」

「お前も、そのくらいのデリカシーはあるんだな」

「ちっ」

 こたつの中で、何やらごそごそやり出す男の子達。

 しかしケイがあっさり「参った」と言って笑い出す。

「馬鹿。映未さん達も知らないようだし、困ったわね」

「うーん。あの人達の過去も、謎だから」

「だから、ああいう手合いとは仲良くなっちゃ駄目なんだ」

「向こうも、そう思ってるわよ」

 軽く突っ込まれるケイ。

 そのうさを別なところで晴らしたらしく、突然ショウが笑い出す。

 何をやってるんだか、この人達は……。



 特に成果もなくマンションを出て学校の方へと歩いていると、柄の悪そうな連中がこちらへと向かってきていた。

 外見が厳つい人はいくらでもいるが、彼等はその態度や雰囲気がどうも嫌な感じだ。

 何をされた訳でもまたそういう現場を見た事もないけれど、それくらいは経験上分かる。

 向こうもそういう私達の意図に気付いたのか、険悪な視線を向けてくる。

 あくまでも視線を向けてくるだけで、突っかかってくる様子はないようだけれど。

「怖いね、全く」

 彼等に聞こえない程度の声でささやくケイ。

 サトミは初めから、見ようともしていない。

 すれ違い様、私は出かかった声をどうにか堪えた。

 そしてすぐに視線を伏せる。

「どうした?」

 連中を警戒しつつ、私に声を掛けてくるショウ。

 私はさりげなく、視線を彼等の一人へと向けた。

 繊細な顔立ちと、それに似合わない派手な服装。

 この集団の仲間とは思いづらい、一人の少年へと。

「知り合いか」

「違うけど、少し気になって」

「確かに」

 すでに彼等とはかなり離れ、向こうもこちらへはさほど注意を払っていない。

 先日廊下ですれ違った彼も、また。

「脅されてるって雰囲気にも見えるけどな」

「どうだろう」

 小首を傾げる私達。

 そしてその答えは、すぐに見つかる事となる。



 翌日、授業を終えてオフィスへ向かう私達。

 すると廊下に、人が多少集まっている。

 昨日のように暴れてる連中でもいるのだろうか。

「どうかした?」

「いや。ただ、変な連中がガーディアンに文句付けてる」

「……あ」

 今度は本当に声を出す。

 昨日マンションの傍で会った、あの連中。

 全員ではないが、数名がにやけた笑みを浮かべている。

 そして彼等と対峙しているのは、誰でもない舞地さんだ。

「どういう事」

「さあ。俺も、今見たばかりだから。あの子の知り合いみたいな感じだけどね」

「そう」

 野次馬の間をすり抜け、舞地さんの傍に駆け寄ろうとした時。

 その先頭に、名雲さん達も姿を発見した。

「何してるの。一体……」

「少し待て」 

 いつにない硬い表情で私達を制する名雲さん。

 柳君も私同様、今にも飛び出していきそうな雰囲気だ。

「落ち着いて、柳君」

「だって、池上さん」

「今は、話を聞きたいの」

 彼女もまた、普段とは違う醒めた口調で語る。

 不満気味に眉をひそめる柳君。

 ショウはいつでも飛び出せる格好で、サトミも警棒に手を触れている。

 私は言うまでもない。


「久し振りだね」

 やや高い、あどけなさの残る声。

 その繊細な顔立ちに合っているとも言える。 

 浮かぶ笑顔が、どこか冷たいのともかく。

「どうして、ここに」

 消え入りそうな舞地さんの声。

 男の子は鼻で笑い、彼女へ手を伸ばした。

 体を震わせ、それを避ける舞地さん。

 連中から失笑が漏れ、男の子が高い笑い声を上げる。

「せっかく会いに来たのに、冷たいね」

「会いに?」

「そうだよ、僕はあなたに会いに来たんだよ。真理依さんに」

 親しげな、なれなれしいとも言える口調。

 再び揺れる舞地さんの体。

 そして表情。 

 彼女を「真理依」さんと呼ぶ男の子。

 柳君は敬意を込めてそう呼ぶと、以前名雲さんから聞かされた。

 でも彼は、何故。

「また会いに来るよ」

「どうして」

「僕と真理依さんの仲だろ。それに、色々受け取りたい物もある」

 どっと沸く男達。

 甲高い笑い声を上げた男の子は、仲間に肩を抱かれ廊下を戻っていく。


「舞地さん」

 そっと、声を掛ける。

 恐る恐る、手を伸ばす。

 そうしないと彼女が壊れてしまいそうで。

 消えて無くなってしまいそうで。

 震える肩と、青ざめた表情。

 いつもの彼女からは考えられない態度。

「真理依」

 力強く彼女を抱きしめる池上さん。

 強く、思いを込めて。

 舞地さんもその胸にすがり、顔を埋める。

 そしてその手が、私の手をしっかりと握る。


「どういう事なんですか」

 固い口調で尋ねるサトミ。 

 名雲さんは口元を歪め、小声で呟いた。

「以前行った学校で、舞地を慕ってた奴だ」

「でも、今の態度は」

「ああ」

 苦い応え。

 柳君の固めた拳が、壁を捉える。

 鈍い音を立て、ひびの入る壁。

 それに何かを言う者はいない。

 顔を伏せる人と、体を震わせる少女を除いては。










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