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スクールガーディアンズ  作者: 雪野
第11話
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11-1






     11-1




 窓辺から差し込む冬の日差し。

 風が無い分、その弱い光に程良い暖かさを感じ取れる。

 何とも言えない気持ちよさ。

 このままずっとこの日溜まりにいられたら、どれだけ幸せだろう。 

 ささやかな幸せ。

 でもそれだけで、私は十分……。

「早く書いたら」

 素っ気ない口調で指し示される原稿用紙。

「んー」

 現実逃避はここまでのようだ。


 今は世界史の授業。

 春休みはもう目前で、テストの結果が良かった人達は今から休みを取っている。 

 学校に来ているのは、普段の半数以下。

 真面目な人か単位の危ない人ばかりという、対照的な組み合わせ。

 私も進級出来る程度の点は取ったし、出席日数も問題はない。 

 ただ後少しで世界史がA+なので、考査点を得るため出席という訳。

「ピラミッドについて記せ?」

 正面のホワイトボードに書かれた字を睨み、暇そうに端末を観ている先生も睨む。

 レポートで点をもらえるのは助けるけど、参った。

 取りあえず卓上端末を起動させ、ピラミッドに関するデータを集めてみる。

 ……たくさんある。

 というか、多過ぎる。

 どれをどう見ていいのかも分からない。


「難しいな、これ」

「そう」

 先生以上に暇そうなサトミ。

「ちょっと、寝ないでよ」

「私は関係ないもの」

 とのたまう、A+の人。

 この子の場合は殆どの教科でA+が確定しているため、こうして学校へ来る必要はない。

 私が連れてこなければ。

「いいから、教えて」

「エジプトにあるらしいわ」

「あ?」

「冗談よ」

 鼻で笑った。

 相当に失礼な人だな。

「いいじゃない、ピラミッドがどうだって。それに今作ると、何千億円もするのよ」

「今の話じゃなくて、昔の話をして」

「世界史は、あまり得意じゃ無いんだけど」

 ため息を付きつつ、自分の原稿用紙を裏返すサトミ。

「宇宙人が設計に関与したとも、底辺などの数字が天体との距離を示すとも言われているオカルト的な面を持つ巨大建造物。初期のピラミッドは古王朝時代、知名度の高いギザの3大ピラミッドは第4王朝時に建設。ファラオと呼ばれるエジプト王を埋葬する存在であり、権力の象徴という印象も強い」

 エジプト王朝の系図を書きながら、説明を続けていく。

「また特筆すべき王としては、67年に渡りエジプト全土に君臨したラムセス2世。多くの女性を囲い、アスワンハイダム水没の難を逃れたアブシンベル神殿やルクソール神殿の建設、ヒッタイトとの間で行われたガディッシュの戦い。またもう一人挙げるとすれば、唯一紳アトン神の信仰を強制したアメンホテプ4世」

「あ、あの」

「だが基本的に古代エジプトは多神教であり、その主神は太陽神のラー。それとアモン神が結びいたアモン=ラーの信仰へと結びつく。また霊魂不滅の観念からいわゆるミイラが作られる点は、唯一神を信奉する現在のキリスト教圏と一線を……」

 そこで一息つき、ふと周りを見渡すサトミ。

 そして顔を赤くする。

「な、なに」

「遠野さん、もう少しゆっくり」

「というか、ピラミッドの話して」 

 原稿用紙とペンを持ち、私達を囲む人達。

 表情は真剣そのもので、彼女の言葉を一語一句聞き漏らさないという様子。

「え?」

「ピラミッド」

「あ、ああそうね。えーと。強制労働的な印象のあるピラミッドだが、実際はやや異なった面を持っていたようである。当時の資料から「二日酔いで休む」などという記述も見られ、また雇用を生み出すという点では大恐慌時代にルーズベルトが施行したニューディール政策に近い面が……」



 その数十分後。

 ジャージ姿でグラウンドに立つ私達。

 サトミは喉を気にしながら、ストレッチを始めている。

「ねえ、寒いんだけど」

「今度は私に付き合う約束でしょ」

 ちなみに彼女は体育に出続ければ、BからAに評価が上がる。

 多分。

 ただ鈍いからな、この子。


 先生のホイッスルと共に回されるボール。

 広いグラウンドを駆けていく生徒達。

 私は緩やかに飛んできたボールを肩辺りでトラップして、前に蹴り出した。

 無い胸でも、当たると痛いのよ。

「器用ね」

 飛んでいくサッカーボールを見やるサトミ。

 それはゴール前に到達して、グラウンドを這うシュートを生み出した。

 ゴール自体は阻まれたけど、センタリングとしてはそう悪くないと思う。

「ほら、サトミも走って」

「足が、付いていかないの」

「大丈夫、ちゃんといい場所へパスするから」

 強引に彼女を押し出して、ゆっくりこっちにドリブルをしてくるロングヘアの女の子からボールを奪う。

「あっ」

「ごめんー」

 女の子の叫び声を後ろへ流し、一気にトップスピードへ。 

 距離を詰めてくる子達をサイドステップでかわし、ヒールでボールを浮かせもう2人抜く。

 次は股下で、最後はクライフターン。

 寒くて体が固い割には、結構良く動けた。

 さてと、サトミは……。


 いた。 

 ゴールまで手を振っている。

 了解っと。

 アウトサイドでしっかり捉え、直線的なセンタリングを狙う。

 矢のように飛んでいくボール。

 距離感、タイミング、速度。

 どれも申し分なし。

 一直線にサトミ目がけて飛んでいくボール。

 ディフェンダーは勿論、キーパーも反応しきれていない。

 後はあの子が上手い事……。


「きゃっ」

 叫び様、頭を下げる女の子。

 ボールはそのまま、ゴールの脇を突っ走っていく。

 当然私も突っ走る。

「何やってるのよっ。いいタイミングだったのに」

「あ、あなた。私を狙ったでしょ」

 真っ赤な顔で手を振り回すサトミ。

 面白いけど、笑ってる場合でもない。

「狙わないでどうするの。センタリングよ、今のは」

「そ、そうだけど。頭の、ここを通り過ぎて行ったじゃない」

「だから、合わせてよ。ねえ」 

 周りの子に同意を求めるが、反応無し。

 せいぜい、引きつった笑いが返ってくる程度だ。

「何よ」

「だって雪野さん、上手過ぎなんだもん。私達素人には止められない」

「私も、素人なんですけど」

「駄目駄目。とにかくキーパーと、ディフェンダーを調達しないと」

 勝手に話を進める、相手チーム。

 とはいえ見学の子達にも、なり手は無し。

 いいじゃない、こっちはサトミっていうハンディがあるんだし。

「どうかした」

「別に」

 勘付かれそうになったので、へへっと笑い足踏みをする。

 ふふっ、と笑うサトミ。

 よく分からないけど、寒空の下二人でへらへら笑う。


 そんな事をやっていたら、親切な男の子がボールを持ってきてくれていた。

「寒いのに、元気だね」

 少年っぽい顔に、爽やかな笑顔を浮かべる七尾君。

 彼も体育の授業らしく、ジャージ姿だ。

「あら、いい子がいるじゃない。ねえ」

「誰が」

「七尾君よ」

 知り合いらしく、彼の顔を指差す相手チームの女の子。

 その素敵な顔立ちと俊敏そうな身のこなしを見て、全体からも拍手が上がる。

「後は、ディフェンダーね」

「おい、勝手に」

「あ、また誰か来た」

 誰かの声に反応して、私も振り向く。

 丸い顔に、丸い体。

 人の良さそうな顔立ちで、言うなればポテポテと歩いてくる。

「七尾君、どうしたの」

「いや、この子らが俺にキーパーやれって」

「もうタイム測定は終わってるし、やってあげれば」 

 話の分かる子だ。 

 それに、なんか転がしてみたい子でもある。

「大石君。他にいないし、この子にしようか」 

 さっきの女の子が、みんなに提案する。

 今度も拍手は起きるけど、それがおざなりなのは致し方ないだろう。

 これでこの子が俊敏に動いたら、それはそれで怖いし。

「お前、大丈夫か?」

「まあ、立ってるだけなら」

「地蔵じゃあるまいし」

 結構失礼な事を言い、キーパー用のグローブを付ける七尾君。

 大石君は体を必死に折り曲げ、レガースを付けている。

 倒れそうだな、というかやっぱり倒れた。

「七尾君の知り合い?」

「顔くらいは。自警局らしい」

「ふーん」

 まあいいや。

 それよりも、この子が相手になると話は違ってくる。

 少々、気合いを入れるとするか。


 ストレッチの動き、投げられるボールへの反応、全体的な動作。

 体格的には普通だけど、切れがあって隙がない。

 その隣でポテポテやってる子とは、かなりの差だ。

「サトミは少し待ってて。最初は、私がやってみる」

「いいけど、何を燃えてるの」

 苦笑する彼女の肩に触れ、足を振り上げる。

 かかとを頭上まで振り上げ降ろす動作を、何度か。    

 特に意味はないんだけど、対抗上だ。



 七尾君のゴールキックでゲーム再開。

 いきなりハーフウェイラインを越えて飛んでいくボール。

 なるほどと感心している訳にも行かないので、すぐさまピッチを駆け抜ける。 

 風を切り、風景を後ろへ流し、飛ぶように駆けていく。  

 陸上部での練習の成果もあってか、殆ど息切れする事もなくボールへ追い付く。

 今はちょうど相手チームの子が、よろよろとドリブルをしている所。 

 そして私と目が合い、怯えた表情をする。

 なんか、肉食獣と草食獣みたいで嫌だ。

 とも言っていられないので、軽く距離を詰める。

 すかさず出されるパス。

 それを読み、インターセプト。 

 悲鳴が聞こえるけど、それもパス。


 ボールを蹴りつつパスコースを探すんだけれど、どうも相手チームの子が邪魔だ。

 積極的に取りには来ないし、かといって焦っている様子もない。

 先程までの闇雲さはなく、落ち着いて状況を見ているという感じ。

 ゾーンプレスかな。

 とはいえオフサイドは無いルールなので、無造作に縦パスを出す。 

 弧を描き、PKエリア寸前に落ちるボール。 

 それを見て、積極的に出てくる七尾君。 

「サトミッ」

 私の声に反応する彼女。

 でもボールはあっさり、七尾君に蹴り出される。

 慌てて振り返った女の子は、大急ぎでボールの方へ駆けていった。

 そしてボールが蹴られるたびに、その方向へと走っている。

「……疲れた」

 当たり前だ。

「パスコースやボールの出方を見て動けばいいでしょ」

「そんなの、知らない」

 燃え盛る瞳をボールへ向け、肩で息する天才少女。

 どうも、下らない事で熱くなる傾向があるからな。

 その間にも相手チームは壁パスを使って、頼りないながらも前進をし始めている。

 しきりに指示を送る七尾君。 

 ちなみに大石君は、サトミよりワンテンポ送れてボールに向かっている。

 いや、ツーテンポかもしれない。

 それはともかく、私もボールを追おう。


 スライディング、気味な動きでボールをカット。

 また上がる悲鳴。

 どうも評判が悪いな。

 でもいいや、ボールは取れたから。

 さてと、七尾君はゴール前で移動無しか。

 マンツーマンなら抜く自信はあるけれど、ゴール付近には人が多過ぎる。

「サトミ、センタリング上げて」

「出来ないわ、そんな真似」

「いいから。ボールの下辺りを、インサイドで思いっきり蹴ればいいから」

 サトミの叫び声も無視して、逆サイドへ走る。 

 それに合わせて、相手チームもシフトする。

 私は後ろ出て手を振り、味方をサトミ側へと移動させた。

 一応サインは決めてあるので、それには素早く反応してくれる。

 さらに移動をする、相手チーム。 

 そしてゴール前が、がら空きとなる。


「え、えいっ」

 やや間の抜けた気合いと共に、宙を舞うボール。

 勢いはないし、コースもかなりずれている。

 それでも取りあえずは、ゴール傍まで飛んできた。 

 私は一気に駆け出して、ボールへ詰め寄った。

 素早く反応し、構えを取る七尾君。

 ディフェンダーは無し。

 ボールは、ワンバウンドで私の前にやってくる。

 低い地面を、跳ねたか跳ねないか辺り。

 横へ倒れ、足を伸ばす。

 地面に手を付き、跳馬の上を回るような格好を取る。

 そのまま足を振り、ボールを蹴りつける。

 かなり低い位置からのボレー。  


 砂を巻き上げ、ゴールへ飛んでいくボール。

 腰を落とし、横へ飛ぶ七尾君。

 それに合わせるかのように、ボールは大きく右へ曲がる。

 鈍い音と、それに続く歓声。

 会心のボレーシュートを受け止めた七尾君は、にやりと笑ってボールを大きく蹴った。

「なかなかやるわね」

「一応、男なんで」

「彼は」

「さあ」

 小首を傾げる七尾君。

 今頃やってきて、息も絶え絶えにゴールポストへもたれている大石君を見て。

 頑張ってる姿勢は立派なんだけどね。



 仕方ないのですかさずとって返し、悲鳴を背中に聞きながらボールを奪う。

 反則している訳でもないのに、「覚えてなさいよ」は無いと思う。

「サトミ、今度はあなたがシュートして。さっきより、簡単な場所へ落とすから」

「大丈夫?」

「勿論。いくら反応が良くても、あれだけ広いゴールはそう守れないって」

 多分、と心の中で付け加えサトミを送り出す。

 まずは、すぐ傍の子へパス。

 それをリターンしてもらい、一人抜く。

 ディフェンダーは、殆どゴール前。

 疲労困憊といったサトミは、よろよろとその辺りを彷徨っている。

 まあいいか、マークも外れるし。

 では、そろそろ。


 軽く下からボールを蹴り、緩い山なりのセンタリング。

 ディフェンダーの頭を越え、さまよい歩くサトミの傍へ飛んでいく。

 同時に私もゴールへ駆け寄り、七尾君を牽制する。

 この速度なら十分ボールに追いつける距離。

 そして私とサトミの中央に、七尾君。

 これで彼は動けない。

 後はあの子が……。


 地面へ落ちてくるボール。

 そちらへ構えを取る七尾君。

 何やら叫び声が上がり、サトミがボールとゴールを直線に捉える。

 ダイビングヘッドでボールを捉える、サトミの頭。

 ボールは鋭角な角度で、矢のように飛んでいく。

 そして七尾君の指先をかすめ、激しくゴールネットを揺らした。


「やったっ」

 一斉に歓声を上げる私達。 

 相手チームの子も、捨て身の妙技に惜しみない拍手を送る。

 何とも言えない一体感と爽快感。

 これこそスポーツ、これこそサッカー。

 寒空はどこまでも澄んでいて、私達の気持ちも晴れやかで。

 試合終了を告げるホイッスルが、何とも耳に心地いい。

 そんな訳で味方の子達と握手を交わしていると、肝心のサトミがいない。

「サトミは?」

「さあ」

「あ、あそこ」

 ゴールの方を指さす、味方の女の子。

 みんな背が高いので見えない。

 というか、私より低い人がいない……。

「なんか、変よ」

「変わった子だから」

「そういう意味じゃないんだけど」

 言い淀む女の子。

 よく分からないので、人垣を掻き分けゴールへ向かう。

「わっ」

 今度は私が叫び声を上げる。


 寒風吹き荒ぶ、草薙高校第1グラウンド。

 白いラインの引かれたサッカーコート。

 そこに横たわる、黒髪の少女。

 両手両足はまっすぐ前後に伸ばされ、身動き一つしない。

「あ、あの。サトミさん?」

 微かに揺れる肩口。

 ゆっくり上げられる、端正な顔。

「す、すごいヘディングだったね」

「……だのよ」

「はい?」

「転んだのよっ」

 真っ赤な顔で怒鳴る、天才らしい女の子。

「まあ、動きは読めなかった」 

 笑いを堪えつつ、七尾君が説明する。

 ただ決して悪意のある感じではなく、子供っぽい可愛らしい笑い方。

「済みませんね、鈍くて」

 ようやく体を起こし、汚れを払い出すサトミ。

 その間も七尾君は、肩を震わせている。

「怒られない内に帰るよ。じゃ、また」

「うん、またね」

 軽快な足取りで走り去っていく七尾君。

 風に乗って笑い声が聞こえた気もするけど、この際は忘れよう。

 そういえば、もう一人いたはずだけど。

 と思ったら、いた。 

 またゴールポストにもたれ、激しく肩を震わせている。

 とはいえ七尾君のように笑っている訳ではなく、息切れらしい。

 大して走っていないように思えたけど、どうなんだろう。

 ねえ、大石君……。



 休み前なので、授業はお昼まで。

 それでもお腹は空くから、食堂には来る。

 ちなみに今日もいつものフリーセット、プラス。

「あら、美味しそう」

 不意にやってきて、プチシューを頬張るモトちゃん。

「あなた、何するの」

「サトミこそ、何怒ってるの」

「これには、みんなの思いと気持ちがこもってるのよ」

「こしあんと生クリームが詰まってたけど」

 楽しそうに笑って、モトちゃんは彼女の隣りに腰を下ろした。

「大体、その鼻は」

「名誉の負傷よ」

「嘘嘘。転んだだけ、どてって」

「うるさいわね」

 頬を赤らめ、鼻に張られたバンドエイドに触れるサトミ。

 腕白小僧だね、まるで。

「このお菓子は、みんなの貢ぎ物なんだって」

「そういう言い方は止めて。お見舞いの品よ」

「よく分からないけど、相変わらず鈍いわね」

 さらりと言いのけ、モトちゃんは高級えびせんべいをかじりだした。

 それはお互い様だと思うんだけど、まあいいや。


「俺も食べていいのか」

「どうぞ」

 勝手に差し出すモトちゃん。

 名雲さんは苦笑して、梅あられを食べ出した。 

 黒のシャツにジーンズという、相変わらずの薄着。

 本当に寒くないんだろうか。

「しかし、鼻からこけるとは。すごいな、お前」

「はいはい、失礼しました」

「普通、手を付くけどな」

 首を傾げる名雲さん。

 私も、そう思う。

「手は付きました。その後で、鼻を打ったんです。顔から落ちたら、骨が折れてますよ」

「ふーん。案外器用じゃない」

「私の事はいいから、モトこそ名雲さんと何してるの」

 そういえば。

 私もサトミと一緒になって、二人を見つめる。

「別に、意味はないわよ。一緒に授業のレポートを書いてただけ」

「仲いいね」

「そうかしら」

 気の無さそうな返事。

 名雲さんも、これといった変化はない。

 いいんだけどさ。

「それで、お勉強会は終わったんですか」

「もう少し残ってる。お前と違って、俺は出来が悪くてね」

「いえいえ、ご謙遜を。大学進学資格を取得していると聞いてますよ」

「そうだったかな」 

 すっとぼける名雲さん。

 そうですか。

 みなさん頭が良くて、よろしい事で。

「どうしたの、ユウ」

「別に」

「そう」

 素っ気なく話を終わらすモトちゃん。

 いいんだけど、ちょっと嫌だ。


「あーあ、面白くない」

「何よ、急に。そういえば、ショウ君は」

「実家で話し合いがあるんだってさ。お父さんの事とか、従兄弟の事とかで」

「名家だものね、あの子」

 という割には、鼻で笑うサトミ。

 確かにショウを見ている限りでは、そういう印象はない。

 人の良さは別にして、その手のおごりや傲慢さのない人だから。

「もう一人いるだろ」

「さあ私は知らない。サトミは?」

「同じく」

「私も」

「そうか。どうでもいいけどな」

 尋ねておいて、あっさり終わらせる人。 

 私達もどうでもいいので、そのままにする。


「名雲さんこそ、他の人はどこいったんです」

「柳はジムに行ってる。舞地と池上は、美術館行くとか言ってたな。おかげで俺一人、学校通いだよ」

「真面目ですね、相変わらず」

「普通だろ」 

 そうサトミに返し、席を立つ名雲さん。

「さてと、残りのレポートをやるとするか。直属班の仕事もあるし」

「私も手伝います」

「ああ、悪い」

 席を立ち、そんな彼の隣に着いていくモトちゃん。

 なんだか楽しそうに会話を交わしながら、二人の姿は食堂から消えた。

「だって」

「いいんじゃないの」

「まあね」

 と、訳の分からない会話を交わす私達。 

 そして別段食堂から消える事もなく、お菓子を食べ続ける。 

 春は近いのかなと、何となく思いながら……。




 昨日同様、授業はお昼で終わり。

 今日はショウも出席していて、3人で食堂へ向かった。

「木之本は」

「連合の本部にいるわ」

「モトは」

「さあ」

 素っ気なく答えるサトミ。

 ショウが私の方を見てくるけど、私も知らないので首を振る。

「授業は出てるんだろ。朝は、いたじゃないか」

「ええ。それと、出席日数の少ない授業のレポートも書いてるみたい」

「真面目な子だな。俺も、少しは見習おう」

 と仰る男の子。

 「あなたもでしょ」とサトミに突っ込まれ、小首を傾げている。

「ケイは」

「さあ」

 さっき以上に素っ気ない呟き。 

「学校来てないのか?」

「知らない。というか、どうでもいい」

「冷たい子ね」

「自分だってそうじゃない。大体あの子は進級出来るんだから、休みまでは学校こないつもりじゃないの」

 何でも先日の入院期間を考慮して、テストの結果に関わらず進級させてもらえるんだとか。

 またテストの結果はそれなりに良く、どちらにしろ問題はないはずだ。

 でも、私が来てあの子が来ないというのは面白くない。

「面白くないわね」

 私と同じ感想を漏らすサトミ。 

 その綺麗な手には、すでに端末が握られている。

「……私よ。……そうね。……ええ、分かったわ。……ええ。……じゃあ、今すぐ来て」

「どうした」

「嫌だって言ってたわ」

 事も無げに言ってのける人。

 ショウはぎこちなく頷いて、醒めた笑みを浮かべているサトミから離れた。


 という訳で。

 オフィスでうだうだしていたら、むすっとした顔の男の子が入ってきた。

「俺さ、まだ傷が痛いんだ。通院もしてるし」

「動かした方が、体にはいいのよ。お茶お願い」

「鬼だな」 

 文句を言っている割には、紅茶を入れ出すケイ。 

 珍しく、もこもこのダウンジャケットを羽織っている。

「あなた、そんなの持ってた?」

「名雲さんにもらった。俺の上着だと寒くて、傷が本当に痛いんだって」

「知らないわよ。それと、ミルクも入れてね」

「その内、睡眠薬入れてやる……」

 何かぶつぶつ言ってる男の子を放っておいて、彼が脱いだダウンジャケットを手に取る。

 クリーム色の結構大きいサイズで、あちこちに縫った跡がある。

 ただ素材がいいのか、大きさの割にはとても軽い。


「何鳥なんだろ」

「渡り鳥だろ」

 真顔で答えるショウ。

 おそらく、間違ってはいない。

 私が聞きたい事とは違うけど。

「普通は、ガチョウの胸から採れる羽毛と羽根の組み合わせよ」

「ワイルド・ギースだから、がちょう?雁じゃなくて?」

「探せば無くも無いでしょうけど、私は知らないわ」 

「寒い時期に、がちょうの毛をむしるんだ。それも手で」

 紅茶を机に置き、何とも楽しそうに話し始める男の子。

 こういう話になると、元気だね。

「その後は当然、丸裸になったがちょうを」

「もういい。そんな事聞きたくない」

「ここからが面白いのに」

 ケイは鼻を鳴らして、ショウの耳元へ顔を寄せた。

 見る見る青ざめていく、精悍な面差し。

 対照的に、喜々とする地味な顔立ち。

「今日は、フライドチキンでも食べようかな」

「俺はいい……」

「あ、そう。名古屋コーチンの、美味しい店があるのに

 大きく首を振るショウ。

 ケイは喉元で笑い声を出し、静かに紅茶をすすりだした。

 何をやってるんだか。


「ちょっと」

「ん。血の食べ方?」

「そんな話知らない。そうじゃなくて、……塩田さんに最近会った?」

 少し声をひそめ尋ねる。

 それにはサトミとショウも、表情を引き締めて私の方へ視線を送る。

「定期報告には行ってるから」

「なんて言ってる?」

「これといって、別に」

「私も聞いてないわ」

 頷きながら答えるサトミ。

 報告書を持っていくのは主にこの二人なので、聞いた訳だけど。

 少しの安堵感と、少しの寂しさ。

 頼りにされていないのか、私達を巻き込まないようにしてくれているのか。

 何となく考えてしまう。


「どうでもいい。大体、焼き鳥なんだろ」

「あれはその、違うわよ。ただ、私としてはまだいまいち」

「なら、余計に。大山さんも言ってたようんじ、俺達が無理する必要はない。新入生にやらせる口振りもあったし」

「そうだけど」 

 しかしケイは、あくまでも素っ気ない。

 勿論私がやると言えば、手伝ってはくれるだろう。

 でも、自分からどうこうとは言わない。 

 積極的に何かをする性格ではないし、関わる理由が薄いと思っている様子だ。

 それは私も分かるし、そうだと思う。

 ただ、納得出来ない気持ちがあるのもまた確かである。

「そろそろ休みなんだし、その間によく考えたら」

「サトミ」

「ユウが決めれば、私達はそれに従うだけだから。ね、ショウ」

「ああ」

 そっと私の手を取るサトミ。

 はにかみ気味に頷くショウ。

 私は微かに頭を下げ、口元で呟いた。

「最近、しおらしいわね」

「そうかな」

「いい傾向よ。ケンカばかりするよりは」

 くすっと笑い、冗談っぽく私の額をつつく。

 その感じがたまらなくて、言葉にならなくて。 

 私はもう一度だけ、顔を伏せた……。  




 学校に人がいないせいかトラブルが少なく、暇を持て余し気味である。

 それに外の空気が吸いたくて、私はオフィスを後にした。

 特に目的もなく、教棟の玄関を出る。

 視界に広がる、綺麗な緑。

 この寒い時期でも手入れは行き届いていて、見ているだけで穏やかな気持ちになってくる。

 冷たい風の中、足早に先を急ぐ生徒達。

 私は逆に、その冷たさに身を任せていた。

「あ」

 規則正しい足取りと、伸ばされた背筋。

 襟にはしっかりとネクタイがはめられ、制服にはしわ一つない。

「どうも」

 よく分からないので、曖昧な挨拶をする。

「ああ」

 生徒会長は苦笑気味に顔を緩ませ、玄関を指さした。

「寒いから、中に入ろうか」


 一般教棟、ドアをくぐった中にあるロビーのようなスペース。

 ガラス越しに日差しを浴びながら、二人で壁にもたれる。

「もう授業に出なくても、進級は出来るだろう」

「世界史が、後少しでA+なの。あなたみたいに、出来のいい人には分からないだろうけど」

「君は、いつも攻撃的だな」

 人が気にしている事を、さらりと指摘する生徒会長。

「それはともかく、大山さん達から色々聞いたそうじゃないか」

「ええ、まあ」

「どうするつもりだ」

「別に決めてない。私だけの事でもないし」

 率直に、自分の気持ちを告げる。

 生徒会長は何も言わず、ただ頷いただけだ。


「あなたは、どうするの。局長に、変な事を言ったり」

「矢田君が、君達とは会いたくないと言っていたんでね。おかしな連中が絡んできたのは予想外だったが」

「学校に付くの、それとも」

「そういう決めつけは良くない。何が正しくて間違っているのかなんて、誰が分かる」

 曖昧とも、正論とも言える言葉。

 私も答えようが無く、日溜まりの足元を見つめる。

「君達がどうしようとかまわないが、学校に楯突くとどうなるのかは考えておいた方がいい」

「去年退学した人達みたいになるっていう意味?」

「今年度は大人しかったが、来年度からはその時の理事達が殆ど全員復職する。当然規則改正も視野に入れているだろう」

 淡々と語る生徒会長。 

 そこからは、自分の感情や意志はまるで感じ取れない。

「大山さん達の意志を継いで学内に混乱をもたらすのか、大人しくして学校の言いなりになるのか。どちらが正しいのかなんて、言い切れない」

「それは分かるけど」

「信念を貫くには能力が必要で、またそれが他人からの支持を受けるかどうかは分からない。君達の正義が、全体の正義とは必ずしも一致しないんだよ」

「じゃあ、あなたはどうするの」

 つい、同じ質問を繰り返す。

 生徒会長は微かに眉を動かし、髪をかき上げた。


「私も、それなりに考えはある。ここで君に語る程でもないが」

「そう……」

「とにかく、よく考えるといい。卒業なんて、あっと言う間だ。いくら草薙グループがその後も圧力を掛けてくるといっても、法に触れる事をさせる訳じゃない」

 当たり前だけど、私よりは草薙グループに詳しいようだ。

 生徒会長であり、草薙グループの全面的なバックアップを受けた新カリキュラムの資格者なんだから。

「君の仲間達は、どう言ってる」

「私の判断に任せるって」

「そうか。その責任に押しつぶされはしないだろうが、せいぜい頑張るんだな」

「あなたも」

 適当に答え、彼に背を向ける。

 別に怒った訳じゃなく、これ以上話をしても進展がないと思ったからだ。 

 結局彼は自分の事を語らないし、私もこれからどうするかを決めてはいない。

 後は時の流れを待とう。

 私の気持ちだけではなく、彼の真意も含めて。

 それが、明らかになる時を……。



 オフィスに戻ってみると、人が入れ替わっていた。

「サトミとショウは」

「自警局の呼び出しがあった。今度アイスホッケー部が試合するから、警備の事で」

「ふーん。で、あなたは」

「寒いのは嫌いだから」

 脇腹を押さえながら答えるケイ。

「自警局は、寒くないでしょ」

「動きたくない」

「じゃあ、どうしてここにいるの?」

 くすっと笑い、彼を見つめる沙紀ちゃん。

 ケイは鼻を鳴らし、サトミが座っていた椅子を指差した。

「そこの女に呼び出された」

「何か文句あるの」

 きっと睨み付ける、白いセーター姿の池上さん。 

 その隣には、舞地さんが気だるそうに雑誌を眺めている。

「元気ないみたいだけど」

「さあ、僕も知らない」

 柳君はクッキーをかじって、首を振った。

 しかし、この人達は何故ここにいる。

「みんな、仕事は」

「直属班は、来年度まで休止。ガーディアンとして活動するようには言われてるけれどね」

「ふーん。で、どうしてここにいるの」

「真理依さん達、あちこち渡り歩いてるのよ。さっき私の所、その前は元野さんの所って」

 笑い気味に説明する沙紀ちゃん。

 「渡り鳥」なので、という訳でもないだろうに。

 というか、今までと変わって無い気がする。


 みんな楽しそうに話している間にも、舞地さんは気だるそうに机を見つめている。

 心ここにあらずといった様子とも取れる雰囲気。

 何かあったんだろうか。

「病気、でもないよね」

「ああ」

「眠いの?」

「ああ」

「お腹空いた?」

「ああ」

「私より、胸がないよね」

「それは無い」

 はっきりと、断固とした口調で否定する舞地さん。 

 意識はしっかりしているようだ。

 その答えはともかくとして。

「面白くないな」

「優ちゃん、何怒ってるの」

 舞地さんを気にしながら、そっと私の隣りに座る沙紀ちゃん。

 その綺麗な顔が、耳元へ寄せられる。

「どう思う?」

「さあ、恋煩いとか」

「んー、そうなのかな」

 彼女も良くは分からないらしく、伏し目がちな舞地さんを心配そうに見つめている。

「何よ、二人ともこそこそして。お姉さんも混ぜて」

 とふざけた事を言いながら、私達の間に強引に入ってくる池上さん。

 会話にではなく、位置的にだ。


「狭い」

「自分で入ってきて、何言ってるのよ」

「子供は黙ってなさい。それより、椅子が無い」

「あ、はい」

 沙紀ちゃんが親切に椅子を差し出し、彼女を座らせる。

「映未さんは、何か知らないんですか」

「先週辺りからよ。この子もいい年だし、悩みの一つや二つくらいあるわ」

「はあ」

「大丈夫。何かあったら、私が必ずどうにかするから」 

 限りない自信と優しさ。

 そして舞地さんへの思いがこもったささやき。

 私と沙紀ちゃんも、彼女の凛々しい横顔に小さく頷く。

 そう。思いは変わらないという気持ちを込めて。



 少しして、舞地さんが一人帰っていった。

 儚さを漂わせた、切ない後ろ姿で。

「送らなくていいんですか?」

「子供じゃないんだし。あの子だって、たまには一人でいたい時もあるわ」

 付き合いが長い分、池上さんの言葉には説得力がある。

 舞地さん以上に切なげな表情はともかくとして。

「どうしたんだろう、真理依さん」

 不意にそう呟く柳君。

 可愛らしい顔は悲しげに曇り、指先は不安げに机を叩く。

 やるせないため息は、エアコンの音に消えていく。

 痛い程に感じられる、彼の気持ち。

 私も抱いている、同じ思い。

「浦田君は、どう思う」

「俺?」

 ゲーム雑誌を読んでいたケイが、自分の顔を指さす。

 微かな間。

 自然とみんなが、彼に意識を向ける。

「そうだな……。ブルーディじゃないの」

 淡々とした口調。

 表情に翳りや不安は微塵もない。

 その代わりに、私達が怒りの表情を浮かべる。

「じょ、冗談、冗談です。失言でした」

 喉元に左右から警棒を押しつけられ、正面からは私がスティックを突きつける。 

 柳君は机に伏せて、「駄目だ、この人は」と虚しく呟いている。

「たださっきの池上さんじゃないけど、舞地さんも自分の事は自分で解決するよ。そういう性格じゃないんですか?」

「そうだけど。あの子があそこまで落ち込むというか元気をなくすのは、ちょっと珍しいわ」

「心当たりは」

「さあ。柳君は」

 池上さんの問い掛けに、伏せながら首を振る柳君。

 私と沙紀ちゃんも同じで、結局誰も分かっていない。

「仕方ない。少し、探るかな」

「君、何かつてでもあるの」

「俺はないけど、この子はある」

 ケイの指が、すっと沙紀ちゃんへ向けられる。

 そういえばこの子、生徒会だ。

 池上さん達もそうだけど、彼女達はあくまでも雇われ。

 その点沙紀ちゃんは、幹部に近い立場。

 なるほど。


「自警局か運営企画局辺りから、情報局に渡りを付ければいい」

「それはかまわないけど、私は事務部門じゃないから」

「あ、それで思い出した」

 そして、つい笑ってしまう。

「ど、どうしたの」

「あ、ごめん。今日サッカーで、自警局の子に会ったの」

「へえ。どんな子?」

「丸っこくて、ポテポテ歩いてた。大石君だって」

 その途端、脇腹を押さえて机に伏せるケイ。 

 沙紀ちゃんは顔を赤くして、動かなくなった。

「な、なに?」

「知らない。俺は知らない」

「わ、私だって」 

 どう見ても、知ってるって態度だ。

「ちょっとあなた達。説明なさいよ」

「知りません。私は何も」

 そう言い残し、オフィスを飛び出ていく沙紀ちゃん。 

 ケイも脇腹を抱えて、よろよろと後を追う。

「何、あれ」

「さあ。とにかく、沙紀ちゃんと浦田君の仲がいいのは面白くないわね」

 なんだそれ。

 同感だけど。

「じゃあ僕も、浦田君達に付いて行こうかな」

「お願い。後で、連絡してね」

「うん、それじゃ」

 少しは元気になった顔で、手を振って出ていく柳君。

 私は彼等のマグカップを片付け、給油器から立ち上る湯気を眺めていた。

「……ごめん、ちょっと見てて」

「え、どうしたの」

「寒いから、その」

「トイレでしょ、雪ちゃん」

 ひ、人がわざわざ言わなかった事をこの人は。

「に、人間誰だって、そうなるのよ」

「別に悪いとは言って無いじゃない。あれは私が洗うから、お漏らししない内に早く行って来なさい」

「し、しないわよ」

 多分、と心の中で付け加えオフィスをそろりと出る。

 いや、そうなったら困るので。



 難問もクリアし、気分爽快。

 今なら廊下をどこまでも駆けていける気分。

 やらないけどね。

 鼻歌交じりで廊下を歩いていると、向こうから男の子が歩いてきた。

 これだけの生徒数がいれば知らない人は大勢いるんだけど、少し雰囲気が違う。

 華奢な体型と、繊細な顔立ち。

 赤い革ジャンに破れたジーンズという出で立ちが、妙に違和感を感じさせる。

 向こうも私に気付き、それとなく視線を逸らす。

 私も特に話しかける事はないので、そのままやり過ごす。



 でも、取りあえず胸に留めてはおこう。

 別に格好いいとかそういう理由だけではなく、その雰囲気が気になったから。

 それが無駄に終わればいいと思いながら。  多分無理だろうと、確信しながら。  











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